説明

バイオマスの利用方法および利用システムおよびブロック型熱発電プラント

【課題】導入される下水汚泥のエネルギ含有量に基づいて高効率で作動できる下水汚泥を利用する方法およびシステムを提供することにある。
【解決手段】利用すべき物質が最初に乾燥されかつ次に熱分解ガスを発生させる目的で熱分解リアクタ内で熱分解される構成の、生体源物質より詳しくは下水汚泥を利用する方法に関する。本発明の方法は、前記物質が、互いに連続して配置された少なくとも2つのドライヤ段で熱的に乾燥され、物質の搬送方向で見て下流側に配置されたドライヤ段の廃棄熱が、上流側に配置されたドライヤ段のプロセス熱として使用されることを特徴とする。また本発明は、生体源物質より詳しくは下水汚泥を利用するシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体源物質、より詳しくは下水汚泥の利用方法であって、利用すべき物質を最初に乾燥させ、次に熱分解ガスを発生させる目的で熱分解リアクタ内で熱的に分解させる下水汚泥の利用方法に関する。また本発明は、生体源物質の利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体源物質の利用、特に他のエネルギキャリヤとしての生体源物質の使用が、集中的な研究の主題となっている。一般的な用語「生体源物質(biogenic mass)」は、ドイツ国バイオマス法令による「バイオマス(biomass)」、すなわち植物残渣、植物および動物を源とする廃棄物および副生物、バイオウェイスト(biowaste)、廃木等、リサイクルされた加工廃棄物、および家庭下水汚泥および産業下水汚泥を含むものである。
【0003】
特に、種々の方法で可能な下水汚泥の利用および廃棄は、近年、問題があることが証明されている。原則として、耕地(農業的利用)に下水汚泥を堆積することにより利用が可能である。ドイツ国下水汚泥法令の条文により許容されているけれども、肥料として長期間使用すると、土壌の汚染および過酷な負荷を招き、この場合には、この土壌で耕作された作物から作られる食品には有害物質が蓄積される。耕地上への下水汚泥の堆積はまた、大きい輸送体積の問題、したがって他の欠点として高いコストおよびCO排出量の問題が継続的に付随する。
【0004】
中央発電プラントでの下水汚泥の混焼は原則として可能であるが、これも大きい輸送体積の問題に関連する。なぜならば、約25%の固体留分(他の75%は水分)をもつ下水汚泥を発電プラントに輸送しなければならないからである。発電プラントでは、汚泥は複雑な乾燥処理を受けねばならず、これはエネルギ集約的処理であるため、乾燥下水汚泥の連続的混焼中に付加的に得られる熱エネルギが多かれ少なかれ完全にこの目的のために消費されてしまう。したがって、エネルギ供給業者にとって、エネルギに関する利益は全くない。
【0005】
分散型発電プラントでの下水汚泥の焼却も、処理コストを下げる観点からは僅かな成功を収めているに過ぎない。輸送ルートは一般に短縮できるが、焼却処理から得られるエネルギは、乾燥処理で消費されるエネルギと比較して非常に小さい。また、焼却処理は付加燃料を用いて維持されなくてはならず、この場合には、最終的に正のエネルギバランスが得られる理由を説明できるに過ぎない。
【0006】
最後に、下水汚泥の他の利用可能性は、バイオガスシステム内での発酵作用にある。しかしながら、この場合の主な欠点はバイオガスの収量が非常に低く、したがってこの方法の効率も非常に低いことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来技術から、本発明の目的は、生体源物質より詳しくは下水汚泥を利用する方法およびシステムであって、利用により発生されるエネルギに関し、導入される生体源物質のエネルギ含有量に基づいて高効率で作動できる方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記目的は、特許請求の範囲の請求項1の前提部に記載された、生体源物質より詳しくは下水汚泥を利用する方法により達成される。前記物質は、連続して配置された少なくとも2つのドライヤ段で熱的に乾燥され、物質の搬送方向で見て下流側に配置されたドライヤ段の廃棄熱が、上流側に配置されたドライヤ段のプロセス熱として使用される。
【0009】
本発明による方法の特別な長所は、下流側ドライヤ段の廃棄熱を、有効熱として上流側ドライヤ段に使用することにより、生体源物質の必要な乾燥を行うためのエネルギを全体として最小にできる。したがって、例えば熱分解プロセス中に得られる熱分解ガスの燃焼中に得られるエネルギは、生体源物質の乾燥のために加えるべきエネルギより非常に大きい。これは、従来技術の同様な方法ではこれまで不可能であった。この点に関し、本件出願人の計算によれば、生体源物質のエネルギ含有量に基づいて、生体源物質から約80%までのエネルギ回収が可能であることが証明されている。
【0010】
本発明による方法の他の長所は、完全に分散された態様で作動できることにある。例えば、生体源物質はその元の位置の近く(すなわち、下水汚泥の場合には下水汚泥処理プラントの近く)で乾燥および熱分解できるため、熱分解ガスは、任意であるが、発電機に連結されるフュエルセルまたは熱エンジン、例えば発電するためのガスタービン、燃焼エンジンまたはスターリングエンジンで使用できる。ブロック型熱発電ステーションで使用する場合には、電気に加えて有効な熱が得られ、したがって本発明による方法は、発電−熱−コジェネレーションの所望の増大使用に関しても有意義である。
【0011】
少なくとも2つのドライヤ段は、好ましくは、上流側ドライヤ段としての少なくとも1つの低温ドライヤと、下流側ドライヤ段としての少なくとも1つの高温ドライヤとからなる。この場合、カスケード型乾燥プロセスでは、高温段の廃棄熱が、プロセス熱として低温段で利用され、かつシステムすなわち該システムに固有のプロセスで利用される。低温段および高温段に加えて他のドライヤ段を設けることができ、したがって複数のドライヤ段で形成されたドライヤカスケードを形成できる。この場合、乾燥すべき物質の搬送方向で見て下流側に配置された次の各最高ドライヤ段は、その廃棄熱を、プロセス熱として、上流側ドライヤ段またはより低い温度の上流側ドライヤ段で利用できるようにする。
【0012】
本発明の他の実施形態によれば、熱分解リアクタを加熱する補助バーナの廃棄ガスの熱は、上流側ドライヤ段および/または下流側ドライヤ段でプロセス熱として使用される。この場合、本発明が基づいている原理は、熱分解リアクタの廃棄熱(これは、高温ドライヤ段と比較しても非常に高い温度レベルにある)を、プロセス熱として1つ以上のドライヤ段で利用できるようにする。一般に、高温のプロセス段のカスケードでは、下流側プロセス段の廃棄熱が、プロセス熱として、より低い温度の上流側プロセス段に利用される。
【0013】
また、熱分解リアクタで作られた熱分解ガスの熱は、上流側ドライヤ段および/または下流側ドライヤ段でプロセス熱として使用される。熱分解ガスの高い含有熱エネルギが、プロセス熱として、熱分解リアクタの上流側に配置されたドライヤ段に供給される。したがって、全プロセスの効率が更に高められる。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、熱分解リアクタで作られた熱分解ガスが、熱分解ガスの含有エネルギを電気に変換するエネルギ変換ユニットに供給される。
【0015】
熱分解ガスの含有化学的エネルギを直接、電気に変換するフュエルセルは、発電機を駆動する熱エンジン、より詳しくはガスタービン、燃焼エンジンまたはスターリングエンジンのようなエネルギコンバータユニットであると考えることができる。
【0016】
熱エンジンの場合には、プロセス効率を更に高めるための本発明の他の実施形態により、熱エンジンの廃棄ガスの熱は、プロセス熱として上流側ドライヤ段および/または下流側ドライヤ段で使用できる。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、少なくとも2つのドライヤ段の各々には、これ自体の熱伝達回路、より詳しくは熱オイル回路を介してプロセス熱が供給される。かくして、実際に、廃棄熱は、本発明にしたがって上流側ドライヤ段のプロセス熱として使用できるように上流側ドライヤ段の熱伝達回路に一体化された熱交換器により、より詳しくは排出蒸気すなわち蒸気−空気混合物の形態で下流側ドライヤ段に搬送される。
【0018】
熱分解ガスにより作動される熱エンジンの場合に、廃棄ガスの廃棄熱が、上流側ドライヤ段および/または下流側ドライヤ段用のプロセス熱として使用されるならば、実際に、熱エンジンの廃棄ガスが、それぞれのドライヤ段の熱伝達回路に一体化された廃棄ガス熱交換器を通って搬送されることが行われる。より詳しくは、廃棄ガスを、下流側ドライヤ段の熱伝達回路に一体化された廃棄ガス熱交換器を通して最初に搬送し、次に、上流側ドライヤ段の熱伝達回路に一体化された熱交換器を通して搬送することができる。
【0019】
ドライヤ段から流出する排出蒸気はまた、このドライヤ段自体に必要なプロセス熱の少なくとも一部を供給し、排出蒸気の少なくとも或る量は、エネルギの付加により最初に圧縮され、加熱され、次に、それぞれのドライヤ段の熱伝達回路に一体化された熱交換器内で凝縮される。これにより、凝縮エンタルピが熱伝達回路に供給されかつ熱伝達媒体が加熱される。この場合、ドライヤ段の廃棄熱が、ヒートポンプの態様で圧縮されることにより高温レベルに上昇され、次に、凝縮器として機能する熱交換器を介して、有効熱の形態で、ドライヤ段にプロセス熱を供給する熱伝達回路に供給される。
【0020】
本発明の他の有利な実施形態によれば、熱分解リアクタで作られた或る量の熱分解ガスは、ボイラ、より詳しくは上流側および/または下流側ドライヤ段の熱伝達回路に一体化された熱オイルボイラのバーナ用燃料として使用される。ボイラは、好ましくは、下流側ドライヤ段の熱伝達回路内に配置され、ボイラバーナの廃棄ガスは、次に、上流側ドライヤ段の熱伝達回路内に一体化された熱交換器を通して案内される。この場合、分枝された熱分解ガスの含有エネルギは、少なくとも2つのドライヤ段の両方に特に効率的な態様で使用される。
【0021】
熱分解リアクタで作られた或る量の熱分解ガスは、熱分解リアクタ自体の補助バーナ用燃料として使用することができる。この結果、システムは、他の燃料から基本的に独立して作動できる。
【0022】
乾燥された物質の熱分解中に作られた熱分解コークスはガス化手段に供給でき、ガス化手段でのガス化により作られた希薄ガスは、燃料として、熱分解リアクタの補助バーナに供給できる。これにより、一般には使用されない熱分解生成物(この場合には熱分解コークス)のエネルギが本発明の方法では直接的に使用されるため、プロセス効率を高めることができる。
【0023】
装置に関して、上記目的は、特許請求の範囲の請求項17の前提部に記載された、生体源物質より詳しくは下水汚泥を利用するシステムであって、ドライヤ装置が少なくとも2つのドライヤ段を有し、該ドライヤ段が、物質の搬送方向に連続して配置されており、かつ物質の搬送方向で見て下流側に配置されたドライヤ段の廃棄熱が上流側に配置されたドライヤ段に有効な熱として使用できるように互いに連結されている構成のシステムにより達成される。
【0024】
したがって、上記説明は、本発明によるシステムの長所に関しても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、一実施形態を示す添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図1】下水汚泥から発電するシステムを示すブロック図である。
【図2】好ましい一実施形態による熱オイル回路を備えた低温ドライヤを示すブロック図である。
【図3】図1のシステムの熱分解リアクタの好ましい一実施形態を示す図面である。
【図4】下水汚泥を利用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1にブロック図の形態で概略的に示す、生体源物質としての下水汚泥から発電するシステムはドライヤ装置1を有し、供給箇所1aからシステム内に導入される下水汚泥は、ドライヤ装置1を通って搬送されかつ乾燥される。ドライヤ装置は2つのドライヤ段、すなわち低温ドライヤ3および高温ドライヤ4に分割されている。更なるドライヤ段を付加することもできる(この場合は図示せず)。
【0027】
プロセス方向で見て高温ドライヤ4の後ろには熱分解リアクタ2が配置されており、該熱分解リアクタ2は補助バーナ2aにより加熱される。熱分解プロセス中、ドライヤ装置1内で乾燥された下水汚泥は熱的に分解され、このとき、熱分解ガス(通常、窒素、二酸化炭素、水素、一酸化炭素および高炭素原子からなる)および他の生成物として、更なる利用が不可能な熱分解コークスおよび灰分が生成される。
【0028】
熱分解ガスは、ライン25を介して熱分解リアクタ2から出て、熱エンジン(この場合にはガスタービン)5に到達し、該ガスタービン5は、電気を発生させる発電機5aに連結されている。ガスタービンの代わりに、熱分解ガスの化学的エネルギを直接電気に変換する燃焼エンジン、スターリングエンジンまたはフュエルセルを設けることもできる。
【0029】
ドライヤ装置1の個々のドライヤ段としての低温ドライヤ3並びに高温ドライヤ4は、これらの各々が熱伝達回路(この場合は熱オイル回路30、40)を有し、該熱オイル回路30、40は、それぞれのドライヤ段3、4にプロセス熱を供給する。熱オイル回路30、40は相互に連結できる(図1には示されていない)。相互に連結することは、定常作動状態に到達するまで、下水汚泥の迅速乾燥を達成すべくシステムを始動させるときに特に有利である。
【0030】
高温ドライヤ4の熱オイル回路40では、熱オイルを加熱する熱オイルボイラ41および熱交換器42が連続して配置されている。熱オイルボイラ41は、その一部として補助バーナ41aを有し、その燃料供給ライン43が熱分解ガスライン25に連結されている。したがって、補助バーナ41aは、熱分解リアクタ2で作られる燃料としての熱分解ガスにより直接作動される。熱交換器42では、熱オイル回路40内を循環する熱オイルが、ガスタービン5からの廃棄ガスライン52を介して流出する高温廃棄ガスにより更に加熱される。
【0031】
本実施形態の場合には、低温ドライヤ3の熱オイル回路30には、全部で5つの熱交換器31〜35が連続して配置されている。熱オイル回路40内に配置された熱オイルボイラ41のバーナ41aの廃棄ガスは、熱交換器31を通って流れる。熱交換器31から流出する廃棄ガスの残留熱は、損失熱として逃散する。次に、熱オイル回路40内に配置された熱交換器42を既に通過したガスタービン5の廃棄ガスが、熱交換器32を通って流れる。明瞭化のため、両熱交換器42、32の連結は、図1において単に記号C−Cにより示されている。ガスタービン5の廃棄ガスの残留熱は、熱交換器32(該熱交換器32内で、熱オイル回路30内を循環する熱オイルが更に加熱される)を通った後に、ここでも損失熱として逃散する。
【0032】
熱オイル回路30の熱オイルは、熱分解リアクタ2の補助バーナ2aの廃棄ガスにより更に加熱され、この目的のため、廃棄ガスは、廃棄ガスライン23を通って流れかつ該ライン23に連結された熱交換器33内に流入する。
【0033】
更に、高温ドライヤ4から出る排出蒸気が流れるライン44が、熱オイル回路30の熱交換器34に連結されており、排出蒸気が熱交換器34を通って流れかつ或る量の熱エネルギを熱オイルに供給するようになっている。
【0034】
最後に、低温ドライヤ3の熱オイル回路30には熱交換器35が配置されている。熱分解リアクタ2から出る高温熱分解ガスが熱交換器35を通って流れ、該熱交換器35で或る量の熱が熱オイルに供給される。
【0035】
図2は、低温ドライヤ3の特に好ましい実施形態を示すブロック図である。低温ドライヤ3の熱オイル回路30には、他の熱交換器37が一体化されている。明瞭化のため、前述の熱交換器31〜35は、図2には示されていない。低温ドライヤ3から流出する排出蒸気は、図2の構成にしたがってコンプレッサ36により圧縮される。これにより、排出蒸気はより高い温度レベルに上昇され、次に、圧縮された排出蒸気としてライン38を通り、凝縮熱交換器として作用する熱交換器37内に流入する。したがって、排出蒸気は熱交換器37を通るときに液化され、この場合、凝縮熱は熱オイル回路30内を循環する熱オイルに供給される。ヒートポンプの作動原理とほぼ同じこの構造により、低温ドライヤ3での乾燥プロセスのための更なるプロセス熱を、コンプレッサの付加エネルギの使用により非常に効率的な態様で供給できる。
【0036】
図3は、図1のシステムの熱分解リアクタ2の特に好ましい実施形態を示すブロック図である。図1のブロック図から既に知られているコンポーネンツは同じ参照番号で示されている。図3に示す構成の特別な特徴は、熱分解プロセス中に作られる熱分解コークスは、ライン24を介してリアクタ2から回収されかつガス化段26に供給され、ここで、熱分解コークスが既知の方法でガス化される。作られた希薄ガスは浄化段27で浄化され、次に付加燃料として熱分解リアクタ2の補助バーナ2aに供給される。かくして、全体的方法の効率が高められる。なぜならば、更なる熱分解生成物(この場合には熱分解コークス)をこのプロセスでのエネルギ源として利用できるからである。
【0037】
下水汚泥から発電すべく図1のシステムで行われる方法を、図1および図4のフローチャートに関連してより詳細に説明する。
【0038】
第1段階では、常時約25%の乾燥物質含有量(残余の75%は水で形成されている)を有する、乾燥すべき下水汚泥がシステムに供給され、低温ドライヤ3内に搬送されかつ予備乾燥される。ここでは、下水汚泥は、低温ドライヤ3を出た後に約40%の乾燥物質含有量となるまで乾燥される。低温ドライヤ3には、熱オイル回路30により必要なプロセス熱が供給される。予備乾燥された物質は、次に高温ドライヤ4内に搬送され、最終乾燥度に到達するまで乾燥される。高温ドライヤ4内で作られた排出蒸気は、ライン44を介して、低温ドライヤ3の熱オイル回路30内に設けられた熱交換器34内に搬送され、ここで、排出蒸気は、熱オイル回路30内を循環する熱オイルに或る量の熱を供給する。この結果、物質すなわち高温ドライヤ4の廃棄熱の搬送方向で見て下流側に配置されたドライヤ段の廃棄熱が、上流側に配置されたドライヤ段すなわち低温ドライヤ3のプロセス熱として使用される。
【0039】
次に、約85%の乾燥物質含有量に乾燥された物質が熱分解リアクタ2内に供給され、ここで、この物質は、酸素が存在しない2段階熱分解プロセス(このプロセス自体は既知である)で熱的に分解されるのが好ましい。このために必要な熱は、補助バーナ2aにより発生される。発生されたバーナ廃棄ガスは、ライン23を介して、低温ドライヤ3の熱オイル回路30内に設けられた熱交換器33に供給される。したがって、バーナ廃棄ガスの熱も、ドライヤ段(この場合には低温ドライヤ3)内のプロセス熱として使用される。
【0040】
熱分解リアクタ2で作られた熱分解ガスは、ライン25を介して熱分解リアクタ2を出て、最初に除塵器21に通され、ここで熱分解ガス流中に依然として含まれるあらゆる塵埃が除去される。図1から理解されようが、熱分解ガスは、次に、熱交換器35を通って流れ、これにより、熱分解リアクタ2内で作られた熱分解ガスの熱は、プロセス熱として再びこのドライヤ段に供給される。
【0041】
熱交換器35を通る前に、或る量の熱分解ガスの流れが、ライン25からライン22、43に分枝する。ライン22に供給される熱分解ガスは、熱分解リアクタ2の補助バーナ2aを燃焼させる燃料として使用され、一方、ライン43に供給される一部の熱分解ガスは、高温ドライヤ4の熱オイル回路40内に配置された熱オイルボイラ41の補助バーナ41aに燃料として供給される。かくして、熱分解リアクタ2で作られた熱分解ガスに含まれる化学的エネルギは、全プロセスを維持すべく、特に効率的な方法で使用される。
【0042】
ライン25を通って流れる熱分解ガスは、次に、ガスタービン5に供給され、ここで燃焼される。ガスタービン5は発電機5aを駆動する。ガスタービンの廃棄ガスはライン52を通って、高温ドライヤ4の熱オイル回路40に配置された熱交換器42に供給され、次に、低温ドライヤ3の熱オイル回路30に配置された熱交換器32に供給される。これにより、ガスタービンの廃棄ガスに含まれる熱が、再びプロセス熱として2つのドライヤ段3、4に利用できるようになる。
【0043】
かくして、全プロセスの全体的効率を高めるため、特定温度のプロセス段の廃棄熱を、プロセス熱の形態および上昇するプロセス温度の多段プロセスの形態で、低温の1つ以上の上流側プロセス段に供給する原理が上記方法で実施される。
【符号の説明】
【0044】
1 ドライヤ装置
2 熱分解リアクタ
2a、41a 補助バーナ
3 低温ドライヤ
4 高温ドライヤ
5 熱エンジン(ガスタービン)
5a 発電機
30、40 熱オイル回路
31〜35、42 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用すべき物質が最初に乾燥されかつ次に熱分解ガスを発生させる目的で熱分解リアクタ(2)内で熱分解される構成の、生体源物質より詳しくは下水汚泥を利用する方法において、前記物質が、連続して配置された少なくとも2つのドライヤ段(3、4)で熱的に乾燥され、物質の搬送方向で見て下流側に配置されたドライヤ段(4)の廃棄熱が、上流側に配置されたドライヤ段(3)のプロセス熱として使用されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのドライヤ段(3、4)は、上流側ドライヤ段としての少なくとも1つの低温ドライヤ(3)と、下流側ドライヤ段としての少なくとも1つの高温ドライヤ(4)とからなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記熱分解リアクタ(2)を加熱する補助バーナ(2a)の廃棄ガスの熱が、上流側ドライヤ段(3)および/または下流側ドライヤ段(4)でプロセス熱として使用されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記熱分解リアクタ(2)で作られた熱分解ガスの熱が、上流側ドライヤ段(3)および/または下流側ドライヤ段(4)でプロセス熱として使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記熱分解リアクタ(2)で作られた熱分解ガスが、熱分解ガスの含有エネルギを電気に変換するエネルギ変換ユニット(5)に供給されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記エネルギ変換ユニット(5)はフュエルセルであることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギ変換ユニットは、発電機に連結される熱エンジン、より詳しくはガスタービン(5)、燃焼エンジンまたはスターリングエンジンであることを特徴とする請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記熱エンジン(5)の廃棄ガスの熱は、上流側ドライヤ段(3)および/または下流側ドライヤ段(4)でプロセス熱として使用されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのドライヤ段(3、4)の各々には、これ自体の熱伝達回路(30、40)、より詳しくは熱オイル回路を介してプロセス熱が供給されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記廃棄熱が、より詳しくは排出蒸気の形態で、上流側ドライヤ段(3)の熱伝達回路(30)に一体化された熱交換器(34)を介して下流側ドライヤ段(4)に搬送されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つのドライヤ段(3、4)のうちの少なくとも一方において、ドライヤ段(3)から出る排出蒸気の少なくとも或る量が最初に圧縮され、次に、それぞれのドライヤ段(3)の熱伝達回路(30)に一体化された熱交換器(37)で凝縮され、凝縮エンタルピが熱伝達回路に供給されることを特徴とする請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記熱分解リアクタ(2)で作られた熱分解ガスの或る量が、上流側および/または下流側のドライヤ段(3、4)の熱伝達回路(40)に一体化されたボイラ(41)、より詳しくは熱オイルボイラのバーナ(41a)用燃料として使用されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ボイラ(41)は下流側ドライヤ段(4)の熱伝達回路(40)内に配置されており、ボイラバーナ(41a)の廃棄ガスが、上流側ドライヤ段(3)の熱伝達回路(30)に一体化された熱交換器(31)を介して案内されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記熱エンジン(5)の廃棄ガスは、最初に、下流側ドライヤ段(4)の熱伝達回路(40)と一体化された廃棄ガス熱交換器(42)を介して案内され、次に、上流側ドライヤ段(3)の熱伝達回路(30)と一体化された熱交換器(32)を介して案内されることを特徴とする請求項9〜13および8のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記熱分解リアクタ(2)で作られた或る量の熱分解ガスが、熱分解リアクタ(2)の補助バーナ(2a)用燃料として使用されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記乾燥された物質の熱分解中に作られた熱分解コークスがガス化手段(26)に供給され、ガス化手段でのガス化により作られた希薄ガスが、燃料として、熱分解リアクタ(2)の補助バーナ(2a)に供給されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
生体源物質より詳しくは下水汚泥を利用するシステムであって、ドライヤ装置(1)と、物質の搬送方向で見てドライヤ装置の後に配置された、乾燥物質から熱分解ガスを作るための熱分解リアクタ(2)とを有するシステムにおいて、ドライヤ装置(1)が少なくとも2つのドライヤ段(3、4)を有し、該ドライヤ段(3、4)が、物質の搬送方向に連続して配置されており、かつ物質の搬送方向で見て下流側に配置されたドライヤ段(4)の廃棄熱が上流側に配置されたドライヤ段(3)に有効な熱として使用できるように互いに連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項18】
前記少なくとも2つのドライヤ段(3、4)は、上流側ドライヤ段としての少なくとも1つの低温ドライヤ(3)と、下流側ドライヤ段としての少なくとも1つの高温ドライヤ(4)とからなることを特徴とする請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも2つのドライヤ段(3、4)の各々が、プロセス熱を供給するための熱伝達回路(30、40)より詳しくは熱オイル回路を有していることを特徴とする請求項17または18記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも2つのドライヤ段(3、4)の熱伝達回路(30、40)が互いに連結できることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記熱分解ガスで作動されるフュエルセルまたは熱分解ガスで作動されかつ発電機に連結される熱エンジン(5)が、プロセス方向で見て熱分解リアクタ(2)の後に配置されていることを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項記載のシステム。
【請求項22】
請求項17〜21のいずれか1項に記載のシステムを有することを特徴とするブロック型熱発電プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520166(P2012−520166A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553369(P2011−553369)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051063
【国際公開番号】WO2010/102854
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511223268)エー.オン アンラージェンサービス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】E.ON Anlagenservice GmbH
【住所又は居所原語表記】Bergmannsglueckstr. 41−43,45896 Gelsenkirchen,Germany
【Fターム(参考)】