説明

バイオマス粉砕方法及びバイオマス粉砕装置並びに糖類製造方法

【課題】バイオマスの粉砕処理と水熱処理と殺菌処理を、不純物の混入無くかつエネルギー消費を少なくして高効率で行うことを可能とする。
【解決手段】高圧ポンプ2から吐出されたバイオマスのスラリーをノズル5との間に設けた加熱装置6で加熱しながらノズル5に連続的に圧送する。これにより、バイオマスのスラリーをノズル5内で超高速ジェット流に変換して、その高速ジェット流の運動エネルギーを微粒化エネルギーとして利用してスラリー中のバイオマスを例えば平均粒子径1μm以下に粉砕する。このようにして、高圧高温液環境下でバイオマスを粉砕することで、粉砕処理と水熱処理と殺菌処理を同時に行う。さらに、望ましくは、ノズル5から排出されるバイオマスのスラリーを冷却装置7で速やかに冷却して、バイオマスに含まれる目的成分の加熱劣化を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを粉砕するバイオマス粉砕方法及びバイオマス粉砕装置並びに糖類製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
脱石油化学社会の構築には、バイオマスと称される生物由来の資源を活用したエネルギーやマテリアルの生産は不可欠である。中でも、太陽エネルギーと二酸化炭素を光合成により有効活用できる植物系バイオマスは、大気中の二酸化炭素量増加を招くことのない、いわゆるカーボンニュートラルな資源として有効活用が強く望まれている。
【0003】
バイオマスは様々な成分からなる混合物であり、目的成分を活用するためには、微粉化して表面積を大きくして不純物の分離を容易にする必要がある。例えば、木材中からセルロースを回収し活用するためには、振動ミル(特許文献1、2参照)、カッターミル等の粉砕装置を用いてバイオマスの粉砕が行われる。
【0004】
さらに、バイオマス中の目的成分を加水分解などの化学反応に供するために、加熱高圧処理(水熱処理)を行う。例えば、セルロースを加水分解してグルコース等の有用成分を得る場合、オートクレーブ等の装置により加熱高圧処理を行うことがある(特許文献3、4、5参照)。
【0005】
また、食品や化粧品用途にバイオマスを用いる場合、乳化した材料を加熱殺菌して製品加工することがある(特許文献6参照)。さらに、玄米等の材料を微粉砕後加熱殺菌して製品加工することがある(特許文献7参照)。
【0006】
しかし、これらの方法でバイオマスを処理する場合、バイオマスを粉砕や乳化する工程と加熱高圧処理する工程とを各々別に設ける、いわゆるバッチ式の処理が用いられており、連続処理ができないためにエネルギー効率が悪く、装置が大型であるという欠点があった。さらに、原料となるバイオマスが加熱条件下に長時間おかれるため、バイオマス中の成分が加熱劣化する欠点があった。
【0007】
なお、加熱高圧水下で粉砕する方法として、ボールミルの様なバッチ式粉砕装置内で加圧熱水を発生させる方法(特許文献8参照)が提案されているが、この場合、バッチ式粉砕装置の入り口と出口のバルブを閉めて行うため連続処理ができず、エネルギー効率が悪く、大きな粉砕装置を加熱するために熱エネルギーの損失が多大となる欠点及び成分が加熱劣化する欠点は残ったままであった。
【0008】
さらに、食品や化粧品など不純物の存在が製品の品質の低下を招く用途にバイオマスを用いる場合、また、酵素や微生物処理を目的に無菌衛生的なバイオマスの処理が求められる場合、これら従来の方法ではバイオマスと他の粉砕用のボールやロッド等と接触させる原理を用いるため、ボール等の粉砕機の素材が不純物として混入するいわゆるコンタミネーションが生じる欠点があった。その上、バッチ処理であるために加熱処理後のバイオマスを連続で無菌衛生的に次工程に供給することは困難である欠点があった。
【0009】
別に、連続処理ができる方法として、微細繊維状のセルロース系物質及びその製造方法(特許文献9参照)において、連続エクストルーダを用いる方法が提案されている。しかし、連続エクストルーダは1軸以上の非常に重量の大きなスクリューを回転させるために粉砕装置や加熱加圧部が大型であるため、熱エネルギーロスが大きくなる問題は解決されていない。さらには、機械的なコンタミネーションが生じる欠点には対処していない。
【0010】
また、超臨界水等の非常に温度の高い加熱高圧水を用いるバイオマス処理方法(特許文献10参照)があるが、加熱高圧処理以外の他の処理には対応しておらず、さらには超臨界状態に耐えうる特殊な材料を用いた装置が必要となる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平07−223208号公報
【特許文献2】特開2004−188833号公報
【特許文献3】特開2006−136263号公報
【特許文献4】特開2007−301472号公報
【特許文献5】特開2008−248202号公報
【特許文献6】特開2003−199519号公報
【特許文献7】特開2008−079596号公報
【特許文献8】特開2006−263570号公報
【特許文献9】特開2008−274247号広報
【特許文献10】特開2003−213037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、バイオマスの粉砕処理と水熱処理及び殺菌処理とを、不純物の混入無くかつエネルギー消費を少なくして高効率で行うことができるバイオマス粉砕方法及びバイオマス粉砕装置並びに糖類製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、高圧高温液環境下でバイオマスを粉砕することで、粉砕処理と水熱処理とを同時に行うようにしたものである。このようにすれば、バイオマスの粉砕処理と水熱処理とを、不純物の混入無くかつエネルギー消費を少なくして高効率で行うことができる。また、高温液環境下でバイオマスを粉砕することで、殺菌処理も同時に行うことができる。
【0014】
具体的には、バイオマスと液体とを混合したスラリーを高圧ポンプによりノズル内に圧送して超高速ジェット流に変換して、その高速ジェット流の運動エネルギーを微粒化エネルギーとして利用してスラリー中のバイオマスを粉砕するようにすると良い。
【0015】
この際、バイオマスに高温に加熱した液体を混合して高温のバイオマスのスラリーを作って高圧ポンプで圧送したり、バイオマスのスラリーを加熱して高圧ポンプで圧送するようにしても良いが、高圧ポンプとノズルとの間に、高圧ポンプから吐出されたバイオマスのスラリーを加熱する加熱装置を設けるようにすると良い。このようにすれば、ノズルの直前でバイオマスのスラリーを効率良く加熱することができる。
【0016】
更に、ノズルから排出されるバイオマスのスラリーを冷却する冷却装置を設けると良い。このようにすれば、粉砕したバイオマスを速やかに冷却して、バイオマスに含まれる目的成分の加熱劣化を抑えることができる。
【0017】
バイオマスと混合する液体は、水、酸性液、アルカリ性液、有機溶剤のうちのいずれか1種の液体又は2種以上の混合液を用いれば良い。
本発明のバイオマス粉砕方法を用いれば、バイオマスを平均粒子径1μm以下に粉砕することが可能となる。
本発明で粉砕対象となるバイオマスとしては、例えば、植物系バイオマスを用いても良く、さらには、木質系、草本系、セルロース系のいずれのバイオマスも粉砕可能である。
【0018】
本発明のバイオマス粉砕方法で粉砕したバイオマスは、例えば、食品や化粧品を製造する原料として用いても良いし、或は、粉砕したバイオマスを糖化させて糖類を回収した後、発酵させてエタノールやブタノールなどの液体燃料を製造したり、乳酸やコハク酸などのプラスチック原料を製造したりしても良い。このようによれば、木質系、草本系、セルロース系のバイオマスから糖類やエタノール等を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はバイオマス粉砕装置の構成を示す図である(実施例1、2)。
【図2】図2は衝突型ノズルの構成を説明する図であり、(a)は2枚の硬質のプレート材の斜視図、(b)はノズルの断面図である。
【図3】図3は貫通型ノズルの構成を説明する断面図である。
【図4】図4は様々な温度で粉砕処理後のセルロース試料混合液の酵素による分解率を示した説明図である(実施例1)。
【図5A】図5Aは未処理のセルロースの電子顕微鏡写真である(実施例1)。
【図5B】図5Bは室温で粉砕処理したセルロースの電子顕微鏡写真である(実施例1)。
【図5C】図5Cは180℃で粉砕処理したセルロースの電子顕微鏡写真である(実施例1)。
【図6】図6は室温及び180℃で粉砕処理したスギに含まれるセルロース類の酵素による分解率を示した説明図である(実施例3)。
【図7A】図7Aは未処理のセルロースの電子顕微鏡写真である(実施例3)。
【図7B】図7Bは180℃で粉砕処理したセルロースの電子顕微鏡写真である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した実施例を説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、図1に基づいてバイオマス粉砕装置の構成を説明する。
バイオマス粉砕装置は、原料となるバイオマスに液体を混合して作ったスラリーが投入されるホッパ1を備えている。このホッパ1内に投入されるスラリー中のバイオマスは、予め適宜の粉砕機を使用して、例えば最大粒子径1mm以下(より好ましくは最大粒子径500μm以下)に粗粉砕されている。
【0021】
粉砕対象となるバイオマスとしては、例えば、植物系バイオマスを用いても良く、例えば、木質系、草本系、セルロース系のいずれかのバイオマスを用いれば良い。バイオマスに混合する液体は、水、酸性液、アルカリ性液、有機溶剤のうちのいずれか1種の液体又は2種以上の混合液を用いれば良い。
【0022】
ホッパ1内のバイオマスのスラリーは、プランジャーポンプ等の高圧ポンプ2に供給され、この高圧ポンプ2でスラリーを所定圧力例えば50〜250MPaに加圧してノズル5側に吐出する。この高圧ポンプ2の入口ポートと出口ポートには、それぞれ逆止弁3,4が設けられている。この高圧ポンプ2によりバイオマスのスラリーをノズル5内に圧送して超高速ジェット流に変換して、その高速ジェット流の運動エネルギーを微粒化エネルギーとして利用してスラリー中のバイオマスを例えば平均粒子径1μm以下に粉砕する。
【0023】
高圧ポンプ2とノズル5との間には、高圧ポンプ2から吐出されたバイオマスのスラリーを加熱する加熱装置6(熱交換器)が設けられ、この加熱装置6で、高圧ポンプ2から吐出されたバイオマスのスラリーを、所定温度例えば100〜300℃(より好ましくは150〜250℃)に加熱しつつノズル5に圧送する。このようにして、高圧高温液環境下でバイオマスを粉砕することで、粉砕処理と水熱処理と殺菌処理とを同時に行うことが可能となる。
【0024】
ノズル5の形状は、例えば、特許第2788010号公報、特開平9−201521号公報、特開平9−201522号公報等に記載された衝突型(クロス溝型)、貫通型(オリフィス型)、その他(長管型、発熱抑制型等)のいずれかを用いれば良い。
【0025】
例えば、衝突型ノズル5aは、図2に示すように、2枚の硬質のプレート材11,12にそれぞれ2つの貫通孔13を形成すると共に、2枚の硬質のプレート材11,12の対向面に、2つの貫通孔13に連通する溝14を形成して、2枚の硬質のプレート材11,12を2つの溝14がクロスするように重ね合わせた構成であり、高圧ポンプ2から吐出された高圧のバイオマスのスラリーが2つの溝14を超高速で中央側に向かって流れて衝突してスラリー中のバイオマスを微粒化する。
【0026】
一方、貫通型ノズル5bは、図3に示すように、筒状のノズル本体15内に複数のオリフィス16を設けた構成であり、高圧ポンプ2から吐出された高圧のバイオマスのスラリーが筒状のノズル本体15内を超高速で流れて各オリフィス16を通過する際に乱流が発生し、その乱流のエネルギーによってスラリー中のバイオマスを微粒化する。
【0027】
本発明で使用可能なノズル5は、図2、図3の構成に限定されず、要は、バイオマスのスラリーの超高速ジェット流を生じさせてその剪断エネルギーや衝突エネルギーによってスラリー中のバイオマスを微粉砕するものであれば良い。さらに、平均粒子径1μm以下に微粉砕するものであればより好ましい。
【0028】
図1に示すように、ノズル5の出口側には、ノズル5から排出されるバイオマスのスラリーを所定温度以下例えば100℃以下(より好ましくは50℃以下)に冷却する冷却装置7(熱交換器)が設けられている。これにより、粉砕したバイオマスを速やかに冷却して、バイオマスに含まれる目的成分の加熱劣化を抑えることができる。
【0029】
この冷却装置7の出口側には、バイオマスのスラリーの圧力を調整する圧力調整弁8が設けられ、この圧力調整弁8を通過した粉砕後のバイオマスのスラリーが回収部9内に回収される。圧力調整弁8の入口ポート側には、バイオマスのスラリーの圧力を計測する圧力センサ10が設けられている。高圧ポンプ2の吐出ポート側にも、バイオマスのスラリーの圧力を計測する圧力センサ24が設けられている。
【0030】
加熱装置6とノズル5との間、ノズル5と冷却装置7との間、冷却装置7と回収部9との間には、それぞれバイオマスのスラリーの温度を計測する温度センサ21、22、23が設けられている。
【0031】
以上説明した構成のバイオマス粉砕装置を用いて粉砕したバイオマスは、例えば、食品や化粧品を製造する原料として用いても良いし、或は、粉砕したバイオマスを糖化させて糖類を回収した後、発酵させてエタノールやブタノールなどの液体燃料を製造したり、乳酸やコハク酸などのプラスチック原料を製造したりしても良い。このようにすれば、木質系、草本系、セルロース系のバイオマスから糖類やエタノール等を効率良く製造することができる。
【0032】
本発明者らは、上記構成のバイオマス粉砕装置を使用してバイオマスの粉砕試験を行ったので、以下、その試験結果について説明する。
【実施例1】
【0033】
ホッパ1内に投入した試料の混合液(スラリー)は、高圧ポンプ2により毎秒約2.4mLの流量で連続的にノズル5に圧送した。加熱装置6で加熱する部分の容積は、高圧ポンプ2とノズル5とを繋ぐ配管部とノズル5を含めて合計10mL以下と非常に小さく、試料が加熱高圧下で粉砕や乳化等の処理を行うのに要する時間は4秒以下であった。
【0034】
処理圧力150MPa、加熱温度が室温から180℃までの様々な加熱条件で連続処理の試験を行った。重量比で水:結晶性セルロース=99:1となるように混合させ、セルロース混合液を調整して試験に供した。ホッパ1内に投入した試料の平均粒子径は、74.4μmであり、排出された試料の平均粒子径は13.1から14.1μmと粉砕され小さくなった(表1参照)。
【0035】
また、粉砕前の試料混合液中のセルロースは水に即時に沈殿したが、粉砕処理後のセルロースは水への親和性が向上したことにより乳化され沈殿しにくくなった。これら粉砕処理後の試料を酵素加水分解試験に供したところ、150℃以上の加熱試験区において、α−セルロース分解率(グルコース(g)/α−セルロース(g) ×100)は大きくなり、180℃加熱試験区では82時間後に未加熱試験区の約2倍の値を示した(図4参照)。
【0036】
なお、液中のグルコース量はグルコースオキシダーゼ法を用いて測定した。未処理のセルロース、室温処理のセルロース及び180℃処理のセルロースの電子顕微鏡写真による観察を行ったところ、180℃処理によりセルロースの形状がブロック状から繊維状へと変化し、表面積が大きくなることが確認された(図5A〜C参照)。
【実施例2】
【0037】
処理圧力150MPa、加熱温度が室温と180℃の2条件で、連続処理の試験を最大30回繰り返し行った。重量比で水:結晶性セルロース=99:1となるように混合させ、セルロース混合液を調整して試験に供した。
【0038】
試料の平均粒子径は、室温1回処理後は14.1μmと小さくなったが、その後、5回処理後では29.6μmと大きくなった。
電子顕微鏡写真の観察結果では1回処理と5回処理の大きさには違いが認められないことから、凝集により見かけ上大きい値を示したものと考えられた。
一方、180℃加熱条件下の試験では、処理回数が増加する毎に平均粒子径が減少し、30回処理で0.127μmまで小さくなることが確認された。
【0039】
【表1】

【実施例3】
【0040】
水:スギ=99:1となるように混合させた試料を、実施例2と同様の連続処理の試験に試験に供した。180℃処理のスギ試料の最大粒子径は22.0μm、室温連続処理のスギ試料の最大粒子径は21.3μmであった。これら処理後の試料を酵素加水分解試験に供し、液中のα−セルロース分解率(グルコース(g)/α−セルロース(g) ×100)及びホロセルロース分解率(%)(全糖(g) /ホロセルロース(g) )を測定した。
なお、液中のグルコース量はグルコースオキシダーゼ法を、また、全糖量はフェノール硫酸法を用いた。
【0041】
図6には、酵素処理111時間後の分解率の値を示した。α−セルロース分解率及びホロセルロース分解率は、共に室温処理したスギに対し、180℃で処理したスギの方が2倍以上大きい値を示した。室温処理のスギ及び180℃処理のスギについて、電子顕微鏡写真による観察を行ったところ、180℃連続処理によりスギの形状がより細い繊維状へと変化し、表面積が大きくなることが確認された(図7A,B参照)。
【実施例4】
【0042】
処理圧力150Mpa、加熱温度が室温と180℃の2条件で、連続処理の試験を最大5回行った。重量比で水:トマトの茎=99:1となるように混合させ、トマトの茎の混合液を調整して生菌数測定試験に供した。なお、生菌数測定は、標準寒天培地を用いた平板法で行い、培養温度は30℃とした。
【0043】
未処理トマト混合液の生菌数は2.0×107 /gであった。また、室温条件で連続処理を1回及び5回実施したトマト混合液の生菌数は、それぞれ、4.7×107 /g、 3.8×107 /gであり、殺菌効果は認められなかった。一方、180℃で連続処理を1回及び5回実施したトマト混合液の生菌数は、それぞれ5.2×102 /g、300以下/gであり加熱連続処理による殺菌効果が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明により植物系バイオマスの加熱高圧状況下で連続処理するシステムを提供できる。さらに、加熱高圧下で粉砕された植物系バイオマス中に含まれる成分を従来技術よりエネルギーの消費が少なく抽出することができる。抽出する成分は、加熱による劣化が少なく、殺菌や機械的な不純物の混入ない高品質なものとして提供できる。そのうえ、植物系バイオマス中に含まれる糖類を省エネルギーで製造することが可能となり、糖類を用いたバイオ燃料やバイオマテリアルが少ないエネルギー消費で提供できる。
【符号の説明】
【0045】
1…ホッパ、2…高圧ポンプ、3,4…逆止弁、5,5a,5b…ノズル、6…加熱装置、7…冷却装置、8…圧力調整弁、9…回収部、10…圧力センサ、11,12…硬質のプレート材、13…貫通孔、14…溝、15…ノズル本体、16…オリフィス、21,22,23…温度センサ、24…圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧高温液環境下でバイオマスを粉砕することで、粉砕処理と水熱処理と殺菌処理を同時に行うことを特徴とするバイオマス粉砕方法。
【請求項2】
前記バイオマスに液体を混合して作ったスラリーを高圧ポンプによりノズル内に圧送して超高速ジェット流に変換して、その高速ジェット流の運動エネルギーを微粒化エネルギーとして利用して前記スラリー中のバイオマスを粉砕することを特徴とする請求項1に記載のバイオマス粉砕方法。
【請求項3】
前記高圧ポンプと前記ノズルとの間に、前記高圧ポンプから吐出されたバイオマスのスラリーを加熱する加熱装置を設けることを特徴とする請求項2に記載のバイオマス粉砕方法。
【請求項4】
前記ノズルから排出されるバイオマスのスラリーを冷却する冷却装置を設けることを特徴とする請求項2又は3に記載のバイオマス粉砕方法。
【請求項5】
前記バイオマスに混合する液体は、水、酸性液、アルカリ性液、有機溶剤のうちのいずれか1種の液体又は2種以上の混合液であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のバイオマス粉砕方法。
【請求項6】
前記バイオマスを平均粒子径1μm以下に粉砕することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のバイオマス粉砕方法。
【請求項7】
前記バイオマスとして植物系バイオマスを用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のバイオマス粉砕方法。
【請求項8】
前記バイオマスとして、木質系、草本系、セルロース系のいずれかのバイオマスを用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のバイオマス粉砕方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のバイオマス粉砕方法で粉砕したバイオマスを糖化させて糖類を製造することを特徴とする糖類製造方法。
【請求項10】
高圧高温液環境下でバイオマスを粉砕することで、粉砕処理と水熱処理と殺菌処理を同時に行うことを特徴とするバイオマス粉砕装置。
【請求項11】
前記バイオマスに液体を混合して作ったスラリーを高圧ポンプによりノズル内に圧送して超高速ジェット流に変換して、その高速ジェット流の運動エネルギーを微粒化エネルギーとして利用して前記スラリー中のバイオマスを粉砕することを特徴とする請求項10に記載のバイオマス粉砕装置。
【請求項12】
前記高圧ポンプと前記ノズルとの間に、前記高圧ポンプから吐出されたバイオマスのスラリーを加熱する加熱装置が設けられていることを特徴とする請求項11に記載のバイオマス粉砕装置。
【請求項13】
前記ノズルから排出されるバイオマスのスラリーを冷却する冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載のバイオマス粉砕装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公開番号】特開2010−188288(P2010−188288A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35766(P2009−35766)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【出願人】(501267542)吉田機械興業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】