説明

バイオマーカーを抽出するための方法、組成物およびキット

本発明は、生体試料からマーカーを抽出する方法、ならびにこのような方法において使用するためのシステム、デバイス、キットおよび試薬に関する。本発明は、試料中の複数の異なる生物種を測定するための方法、キット、試薬および組成物にも関する。本発明の特別な利点の1つは、複合生体マトリクスを含む単一の試料から得られる一体積中の1種以上の微生物またはウィルス粒子マーカーを同時に抽出することができる点である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2002年12月26日付けで出願された米国仮出願第60/435591号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照により本出願に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本発明は、1つ以上の試料から1種以上のマーカーを抽出する方法に関し、好ましくはこのようなマーカーを測定する方法にも関する。本発明は、このような方法で使用するための、システム、器具、装置、キットおよび試薬にも関する。
【背景技術】
【0003】
50年代始めから60年代始めの研究者達は、臨床試料中の粘液が、この試料に対して行われる臨床測定において不都合な影響を与えうることを認識していた。このような粘液の粘度が臨床試料に対して及ぼす影響を最小限にするために、唾もしくは痰のような粘液からなるマトリクスを液体化するための特定の方法および組成物が開発されてきた。このような抽出プロトコルは、DNAses(デオキシリボ核酸分解酵素)(Lieberman, Amer. Rev. Resp. Disease、Vol.97、662〜672頁、1968年)、またはN-アセチル-L-システインのようなチオールを含有する還元剤、(Webb、1. Thoracic & Cardiovascular Surg.、Vol.44、330〜343頁、1962年)、またはジチオスレイトール(米国特許第3502779号明細書(1970年3月24日))の使用を含む。これらの試薬は、単独でまたは組み合わせて使用されてきた(Lightowler & Lightowler, Arch. InPharmacodyn.、Vol.189、53〜58頁、1971年)。
【0004】
ウィルス粒子を特定するためのイムノアッセイ(免疫学的測定、免疫分析)キットまたは凝集試験キットは多数あり、近年市場に出回っている(QuidelのQuickVue、Abbott LaboratoriesのRSVAbbott TestPack、Biostar Inc.のFluOIAおよびBecton Dickinson and CompanyのDirectigen Flu and Directigen RSV)。市販されているほとんどキットでは、臨床試料を、洗剤(溶剤)と還元剤との組み合わせで前もって処理し、粘性のマトリクスを分解して抗原を可溶化する。洗剤と還元剤との組み合せを使用して抗原の抽出を行う例は、Horaudらの米国特許第6248513号明細書、Crosbyらの米国特許第6207445号明細書、Rehgらの米国特許第6194221号明細書、Hansenらの米国特許米国特許第5993826号明細書、Maulらの米国特許第5995377号明細書、Bogartらの米国特許第5869272号明細書、Imrichらの米国特許第5415994号明細書およびSnyderらの米国特許第5334503号明細書に記載されており、これらは全て、参照により本出願に組み込まれている。稀ではあるが、任意に、有機溶剤抽出も当分野で用いられる(Porcelliらの米国特許第6238676号明細書、この内容も参照により本出願に組み込まれる)。
【0005】
定着させたタンパク質マーカーの検出によるいくつかの細菌の菌株の検出には、ウィルス粒子のために使用される同様の抽出プロセスを使用することができる。例えば、Legionella pneumophiliaを免疫化学的手段により検出するために、唾もしくは痰の試料を含む綿棒を、Triton X-100洗剤およびEDTAを含むリン酸緩衝生理食塩溶液の抽出溶液により予め処理する(米国特許第5415994号明細書(1995年5月6日))。
【0006】
StreptococciおよびErzterococciの細胞壁から炭水化物抗原を抽出するために亜硝酸が使用されてきた(Petts、J.Clinical Microbiol、Vol.33(4)、1016〜18頁、1995年およびFacldam、Infections in Medicine、Vol.14(11)、891〜898頁、1997年)。さらなる例としては、Bogartらの米国特許第5494801号明細書およびSandらの米国特許第5536646号明細書が挙げられ、これらの内容は参照により本出願に組み込まれている。亜硝酸抽出は、細胞壁に関連する炭水化物マーカーを前記微生物から抽出するためにのみ使用される。他のマーカー、例えば単一の試料中の複数種の微生物からの1種または複数種のタンパク質マーカーを、特に、粘液排出物のような複雑な生体マトリクスを含む試料から抽出するのに、亜硝酸抽出が有用であるまたは有効であるとは考えられていなかった。逆に、亜硝酸の使用は、タンパク質マーカーのアッセイには有害であろうと考えられてきた。タンパク質は、亜硝酸によって処理すると脱窒する(アミン基を失う)。この分解経路により、変性および/または沈殿が起こると考えられていた。また、この経路により、タンパク質の抗原特性を変化しうる(つまり、アミンが除去されると抗体の結合特性が変化するので、抗体がタンパク質の表面と結合することができない。)この脱窒、変性および/または沈殿により、可溶のマーカーの量および接近可能性が低下し、分析に不適当な量のマーカーが残る。さらに、酸性条件に長時間晒すと、検出技術で使用される抗原の溶解性または抗体の反応性に不都合な影響があることが、当分野では一般に認識されている(米国再発行特許第33850号明細書)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、分析のための1つ以上の試料を処理するための新規の方法に関し、さらに、このような方法で用いるための試薬、組成物およびキットに関する。より好ましくは、本発明は、1種以上のマーカーを、1つ以上の試料から(好ましくは粘液のような1つ以上の複雑な試料から)抽出するための、および/または(例えば、試料の粘度を減少させることによって)より分析に適した試料を供給するための抽出方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外にも、本発明の好ましい実施の態様によって、複数のマーカー、好ましくは複数の異なる微生物の複数種のマーカーを、好ましくは単一の抽出プロトコルを使用して、同じ試料から抽出して測定することが可能となる。したがって、2種以上のマーカーを試験するために、異なる抽出方法によって別々の試料を処理する代わりに、単一の抽出プロトコルを用いて同じ試料を処理することができる。したがって、この方法によって、これまでより高い速度および効率で、患者から得られる試料を処理することができる。また、この方法は、特にカートリッジ、微小流体チップまたはバイオチップをベースとした多重検体測定(多成分同時検体測定)の手段を用いる迅速なポイントオブケア用アッセイ装置での使用に、より適用可能でもある。単一の抽出プロセスを使用することによって、使用者または機械が行わなければならない試料調製の複雑さを減じることができる。
【0009】
さらに、本発明の好ましい実施態様による抽出方法は、タンパク質、炭水化物、核酸および/または液体のマーカーを含む、様々な微生物から得られる様々なマーカーにより効果的に行うことができる。このようなマーカーは、非炭水化物マーカー(例えば、炭水化物部分からなっていないエピトープを認識する抗体が結合する抗原)であってもよい。
【0010】
本発明による一態様は、1つの試料中の複数の異なる微生物を測定する方法である。測定は、微生物を標示するマーカーがあるかないかを検出すること、マーカーの量を定量すること、既知のマーカーを特定すること、これまで未知のマーカーを同定することなどを含む。この微生物の少なくとも1種は、好ましくは、グラム陽性細菌であり、より好ましくは、StreptococciまたはEnterococci細菌(例えばA、B、FおよびG群Strep細菌)である。これらの細菌は、これらの細菌、好ましくは細胞壁関連抗体、より好ましくは群に特異的な抗原から得られたマーカーの抽出および測定によって測定する。好ましくは、測定される他の微生物の少なくとも1種が、菌類、ウィルスおよびグラム陰性細菌からなる群から選択され、かつ/または測定される他の微生物の少なくとも1種が、タンパク質(例えば、抗体によって認識されるアミノ酸を有するエピトープ)、炭水化物、核酸および/または液体のマーカーの測定によって測定される。測定されるウィルスは、好ましくは、ライノウィルス、パラインフルエンザウィルス、インフルエンザA、BまたはC型ウィルス、呼吸器多核体ウィルス(RSV)、コロナウィルス、アデノウィルス、コクサッキーAウィルス、単純ヘルペスウィルス、エンテロウィルス、エプスタイン−バーウィルス、サイトメガロウィルス、パピローマウィルスを含む群から選択される。
【0011】
本発明は、1種以上のマーカー、好ましくは2種以上のマーカーを抽出するための方法であって、試料(好ましくは、咽頭および/もしくは鼻咽頭の綿棒擦過物または鼻の洗い出し物のような、粘液を含有する試料)と、酸化性の酸(好ましくは亜硝酸)および任意に洗剤(溶剤)を含む抽出試薬と接触させることを含む。1種または複数のマーカーは、好ましくは、微生物から誘導される(より好ましくは、上気道の疾病または病気の原因となる病原微生物から選択される)。抽出試薬により、マーカーを試料から抽出し、(好ましくはイムノアッセイ、より好ましくは多重イムノアッセイによって、さらにより好ましくは、マーカーに対応する固定化された抗体のパターン化されたアレイを備えているアッセイによって)、そのマーカーを測定のために使用できるようにする。
【0012】
有利には、この方法は、タンパク質マーカーおよび/またはウィルスから得られるマーカーを抽出するために使用することができる。さらに有利には、この方法は、少なくとも1つのタンパク質マーカー(好ましくはウィルスから得られるもの)および炭水化物マーカー(好ましくは細菌、より好ましくはグラム陽性細菌から得られる細胞壁マーカー)を、単一の公知の抽出プロセスを用いて同じ試料から抽出するために使用する。また、この方法は、好ましくは、酸化性の塩(最も好ましくは亜硝酸塩)と、酸(好ましくは塩化水素酸、硫酸、酢酸またはクエン酸)とを組み合わせることによって、抽出試薬を調製するステップも含むことが出来る。
【0013】
本発明は、少なくとも1種の微生物、またはより好ましくは多数種の重要な微生物の何か1種の存在を知るために試料を分析する方法も含む。好ましくは、この1種または複数の微生物は、上気道の疾病または病気の原因となる病原微生物から選択される。この方法は、試料(好ましくは、咽頭および/もしくは鼻咽頭の綿棒擦過物または鼻の洗い出し液のような、粘液を含有する試料)と、酸化性の酸(好ましくは亜硝酸)および任意に洗剤を含む抽出試薬とを接触させることを含む。この抽出試薬により、試料マトリクスおよび/または重要な微生物から得られるマーカーを抽出し、(好ましくは、イムノアッセイによって、より好ましくは多重イムノアッセイによって)これらのマーカーを測定するために使用することができる。次に、処理された試料は、分析され、抽出されたマーカーが測定され、これにより、重要な微生物に対応する測定が行われる。有利には、この方法では、タンパク質マーカー、例えばウィルスから得られるマーカーを使用することができる。さらに有利には、この方法では、公知の単一の抽出プロセスを用いて、少なくとも1種のタンパク質マーカー(好ましくはウィルスから得られるもの)および少なくとも1種の炭水化物マーカー(好ましくは細菌から得られる、より好ましくはグラム陽性細菌から得られる細胞壁マーカー)が同じ試料から測定される。この方法は、また、好ましくは酸化性の塩(最も好ましくは亜硝酸塩)を、酸(好ましくは塩化水素酸、硫酸、酢酸またはクエン酸)と合わせることによって抽出試薬を調製するステップも含む。
【0014】
本発明の特定の一態様では、測定を、さらに、電気化学発光標識された抗体(つまり、抗原であるマーカーは抗体により認識される)を使用することによって改善することができる。これにより得られた結果は、治療のモニタリングに使用され、また治療計画の方針決定のために使用できる。
【0015】
本発明は、酸化性の酸(好ましくは亜硝酸)および好ましくは界面活性剤を含む抽出試薬に関する。さらに、本発明は、抽出試薬および1つ以上の以下の成分、すなわち(a)試料、(b)アッセイ試薬、(c)標識された試薬、およびこれらの組み合せを含む組成物に関する。さらに本発明は、1つ以上の容器、入れ物または室、抽出試薬(またはその成分)、ならびに好ましくは1つ以上の付加的な抽出要素および/または測定成分を含むキットに関する。
【0016】
特定の一態様では、このキットは、測定対象のマーカーに対応する抗体の固定化されパターン化されたアレイを有する固体支持体を備えており、好ましくは、第1のマーカーに対応する第1のの結合試薬を含む第1の領域と、第2のマーカーに対応する第2の結合試薬を含む第2の領域とを含んでいる。このキットは、抽出試薬を中和するための塩基またはpH緩衝剤を含有していてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
抽出は、測定のためにマーカーを使用可能にするために試料を処理することである。例えば、抽出は、例えば(i)細胞膜、細胞壁、細胞の外包膜などを破壊または可溶化して、膜、細胞壁、外包膜などに包まれている、付着しているおよび/または組み込まれているマーカーを遊離させ、(ii)より大きな化学的な部分から得られたマーカーを付着させ、(iii)多糖類の被覆を破壊するおよび/または溶解し、ならびに/または(iv)ゼリー状の被覆物を破壊および/または溶解することによって、マーカーを細胞、微生物または細胞器官から遊離させかつ/または可溶化することを含む。抽出は、大気中に存在する試料マトリクスの成分から得られるマーカー、細胞、細胞器官および/または微生物を遊離することも含む。前記マトリクスは、その中に生物またはマーカーが存在している媒体を含むことが出来る。本発明の方法は、粘液を含む試料マトリクスから得られる抽出マーカーに特に良好に適合する。
【0018】
本発明の抽出方法によって、異なる疾病状態または疾患の1種以上のマーカーを、単一の試料から、単一の抽出プロトコルを用いて、単一の反応体積で、本発明の抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤を用いて、抽出することが可能となる。
【0019】
本発明を用いた抽出および/または測定に適したマーカーは、生物および/または重要な生物の類に特徴的な性質を示し、生物および/または重要な生物の類の測定に使用可能な物質(またはそのフラグメントおよび/または誘導体)を含む。ここで使用される微生物は、ウィルス、細菌類、菌類および原生動物を含むと理解されたい。測定という言葉は、ここでは、定量的および定性的な測定を含むと理解されたい。さらに、検体の存在の検出、検体の定量、既知の検体の特定および/または試料中の未知の検体の同定を含む様々な目的のために行う測定を含むが、これらに限定されることはない。
【0020】
好ましい実施態様では、本発明による有用なマーカーは、疾病または疾病状態、好ましくは呼吸器感染症または性病、より好ましくは咽頭炎、副鼻腔炎、肺炎、気管支炎、流感および/または感冒を引き起こす病原微生物および/または病原微生物の類に特徴的な性質を有している。好ましいマーカーは、タンパク質(例えばペプチド、タンパク質、毒素および抗生物質)、炭水化物、核酸または脂質の、単独物もしくはそれらの組み合せを含む。本発明の最も好ましいマーカーは、タンパク質、ペプチドおよび多糖類である。複数のマーカーのうち少なくとも1つは、好ましくはタンパク質性である。
【0021】
本発明で使用される抽出および/または測定のために適するマーカーの別の特定の例としては、(a)グラム陽性細菌の細胞壁多糖類、例えばA、B、F、G群連鎖球菌の群に特異的な抗原(主としてN−アセチル−グルコサミンおよびラムノースからなるこの連鎖球菌抗原は、連鎖球菌のA、B、F、G群の同定および区別のために使用できる)、(b)リポタイコ酸類(この細菌の糖脂質抗原は、D群腸球菌を特定するのに使用することができる)、(c)インフルエンザ特異的なタンパク質、例えばインフルエンザ核タンパク質、マトリクスタンパク質、ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼおよび/またはこれらのペプチド誘導体であって、インフルエンザ、好ましくはA型および/またはB型インフルエンザの核タンパク質および/またはそのペプチド誘導体を同定できるもの、ならびに(d)RSVを同定するために使用することができる呼吸器多核体ウィルス(RSV)特定タンパク質、例えばG、F、マトリクス核タンパクおよび/またはそのペプチド誘導体、好ましくはGまたはFタンパク質および/またはそのペプチド誘導体が挙げられる。別の好ましいマーカーの類には、細菌毒素(例えば大環状の毒素)が含まれる。
【0022】
本発明は、複合の生物マトリクス、例えば、複数種の生体有機小粒子、例えばタンパク質中に多く含まれる粘性の浸出液を含む複合の粘性の生体液を用いる使用のために発展してきた。意外にも、本発明の抽出プロセスにより、本発明による抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤を使用することによって、試料中でマトリクスと関連しうる非特異的な結合が減少し、同時に、試料マトリクスの粘性または固体の成分を溶解および/または分解させることによってマトリクスの粘度が低くなる。
【0023】
本発明の好ましい実施態様は、単純な1段階または2段階の試料調製プロトコルを用い、このプロトコルでは、マーカーを生物から遊離し、かつ/または生物マトリクスを分解および/または液化する。本発明の方法を用いて分析することができる生物マトリクスは、環境試料(例えば、水、食料、水または大気から濾過された汚泥、環境拭い物など)、血清、血漿、血液、滑液、脳脊髄液、皮脂排出物、膿汁、粘膜分泌物、洗浄液を含む。最も好ましくは、試料は、粘液を含む試料、例えば鼻分泌物、血清、痰、咽頭の浸出液、尿の分泌物、膣分泌物およびそのような膜表面の洗い出し物である。本発明の好ましい一態様では、抽出プロトコルは、2種以上のマーカー、好ましくは炭水化物性および/または蛋白質性のマーカーを、同じ試料中の1種以上の異なる生物から同時に遊離させる。有利には、本発明の方法は、異なる類のマーカーを同時に抽出するために使用することができ、例えば、生物からのタンパク質抗原およびこれとは異なる生物からの炭水化物抗原(好ましくは、グラム陽性細菌類から得られる炭水化物細胞壁抗原)の抽出のために使用することができる。
【0024】
この好ましい態様は、異なる生物の組み合せによって生じている複合の疾病状態があり、患者が組み合わせた投薬による治療を必要としている場合に特に有利である。別の好ましい態様によれば、疾病の臨床所見から診断を下せない場合に、多重検体試験を行い、1種または複数種の感染生物を同定することができる。
【0025】
本発明において重要な生物は、細菌類、ウィルス類および菌類の群から選択される。本発明において病気を引き起こす感染微生物の特に重要なものは、
a)細菌株、例えばGABHS(A群β溶血連鎖球菌)(StrepA)、アルカノバクテリウム・ヘモリティカム(Arcanobacterium haemolyticum)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ヘモフィルス・デュクレイイ(Haemophilus ducreyi)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス(Moraxella (Branhamella)catarrhalis)、パラインフルエンザ(Parainfluenza)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、コリネバクテリウム・ジフセリエ(Corynebacteriurm diphtheriae)、カリマトバクテリウム属(Calymmatobacterium)、アクチノミセス属(Actinomyces)、バクテロイデス属(Bacteroides)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、モビルンカス属(Mobiluncus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ノカルジア属(Nocardia)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラジミア・プシタッチ(Chlamydia psittaci)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrheae)、ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)、ガルドネレラ・ヴァギナリス(Gardnerella vaginalis)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、E. coli(大腸菌)およびマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)の細菌株、
b)ウィルス株、例えばライノウィルス、パラインフルエンザウィルス、A、B、C型インフルエンザウィルス、呼吸器多核体ウィルス(RSV)、コロナウィルス、アデノウィルス、コクサッキーAウィルス、単純ヘルペスウィルス、塩テロウィルス、エプスタイン−バーウィルス、サイトメガロウィルスまたはパピローマウィルスのウィルス株、および
c)菌類、例えばカンジダ類(Candida spp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ブラストミセス属(Blastomyces)、コクシジオイデス属(Coccidioides)またはクリプトコッカス属(Cryptococcus)
d)原生動物、例えばクリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)、サイクロスポーラ・カエタネンシス(Cyclospora cayetanensis.)、エントアメーバ・ヒストリティカ(Entamoeba histolytica)またはジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)
であるが、これらに限定されることはない。
【0026】
意外にも、本発明の方法およびキットは、幅広い種類の試料を処理するために使用することができる。試料は、好ましくは生物試料、より好ましくは病原生物を含む臨床試料である。試料は、粘膜の綿棒擦過または洗い出しによってまたは粘膜から分泌された液体を取り去ることによって採取することができる。好ましい態様によれば、試料は、試料採取器(例えば吸引器、擦過綿棒、吸入器または掻き取り器)を用いて、好ましくは綿棒擦過(例えば鼻、鼻咽頭、咽頭または生殖器での綿棒擦過)よりによるかまたは洗い出し(例えば鼻または咽頭の洗い出し)により患者から採取する。別の特別な態様では、試料を濃縮または培養して、細胞数またはウィルス粒子数を増加させる。続いて、本発明による抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤を使用して試料に抽出プロトコルを施す。
【0027】
また、好ましくは、抽出されたマーカーを、当業者によって使用可能な多数の技術のうちの任意の技術、例えばイムノアッセイおよびイムノクロマトグラフィックアッセイを使用して測定する。本発明の好ましい一実施態様では、試料中の重要な複数種のマーカーを、多重アッセイフォーマット、好ましくは多重イムノアッセイフォーマットを用いて、最も好ましくはマーカーに対応する固定された抗体のパターン化されたアレイを用いて測定する。
【0028】
したがって、本発明は、広い範囲の態様では、分析用のこのような試料を調製するために、1種以上のマーカーを含むと考えられる1つ以上の試料を処理する方法に関する。好ましくは、試料(好ましくは生物試料、より好ましくは臨床試料)と、本発明の抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤とを、重要なマーカーの抽出に十分な時間接触させる。同時に、マーカーを、任意にpH中和および/または希釈した後、互いに分離させることができる。試料中のマーカーの抽出および分離を組み合せることによって、別個のマーカーの多重分析が可能となり、または別個に分析する場合には簡単なプロセスが可能となる。好ましくは、この方法は、処理された試料を分析するステップを含む。
【0029】
好ましい一態様によれば、試料は単一の生物試料であり、より好ましくは臨床試料であり、さらにより好ましくは1人の患者から採取した単一体積の1つの試料である。別の好ましい実施態様によれば、この方法によって、1種以上のマーカーを、一連の複数の患者からの一連の複数の試料から抽出し、その場合、各試料が異なる単一体積で処理される。
【0030】
一実施態様は、1種以上のマーカー、好ましくは2種以上のマーカー、より好ましくは3種以上のマーカー、さらにより好ましくは5種以上のマーカー、最も好ましくは少なくとも10またはそれ以上の種類のマーカーを、本発明の抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤を使用して、試料から抽出する方法に関する。好ましくは、前記マーカーの少なくとも1種が、タンパク質性、核酸性または脂質性(例えば、炭水化物成分を含有しておらずかつ結合試薬によって認識されるエピトープ)である。別の態様によれば、少なくとも1種のマーカーが、ウィルスのまたは菌のマーカーである。
【0031】
別の実施態様は、複合生物マトリクスを含む単一試料から得られた単一体積中の1種以上のマーカーを同時に抽出するステップを含む。より詳細には、本発明の抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤を利用した簡単で迅速なプロセスを用いて単一の試料を処理し、様々な異なる生物、好ましくは病原微生物、最も好ましくは上気道感染症に関連した病原微生物のパネル(集合体)に関連したマーカーを抽出して測定する。例えば、疾病または疾病状態(例えば感冒、咽頭炎、気管気管支炎、副鼻腔炎、喉頭炎、気管支炎、肺炎など)の原因となる病原微生物を適時に同定することによって、改善された患者の治療および処置が得られる。したがって、本発明の一実施態様では、抽出プロトコルにより、複数のマーカーが良好に(かつ好ましくは別個に)抽出される。マーカーは、好ましくは生物マーカーであって、より好ましくは異なる生物から得られるマーカーであって、さらにより好ましくは細菌、ウィルスおよび/または菌のマーカーである。
【0032】
好ましい実施態様によれば、化学的な抽出は、微生物から得られる抗原を抽出するだけでなく、同時に、本発明の抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤を使用して、試料または試料のマトリクス、好ましくは粘性排出物(浸出液)を液化するまたはその粘度を減少させる。
【0033】
さらに別の態様は、1種以上の生物(好ましくは2種以上の生物)を含む試料と、抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸および任意に界面活性剤と接触させて、2種以上のマーカー、好ましくは生物マーカー、好ましくは異なる生物マーカー、より好ましくは細菌、ウィルスおよび/または菌のマーカーを測定する方法に関する。
【0034】
好ましくは、この方法は、マトリクスから得られる2種以上のマーカーを分離し、これにより、アッセイ組成物を調製し、好ましくはさらにアッセイ組成物のpHを中和する(例えば、塩基および/または緩衝剤を加えて6.0〜8.5のpHを得る)ステップを含み、このアッセイ組成物中、好ましくは単一体積中、または任意には同じ試料部分を含む2つ以上の検出体積中の2種以上のマーカーを検出または測定するステップを含む。
【0035】
本発明の抽出方法は、好ましくは濾過または遠心分離によって、試料と抽出試薬と接触させる前におよび/または測定前に試料を予め濃縮するステップを含む。また、遠心分離または濾過は、可溶化させた後、好ましくは可溶化されたマーカーの測定前に、粒子片を除去するために用いることができる。
【0036】
本発明の特別な一態様によれば、この測定方法は、感染性疾病または疾病状態、好ましくは感染性疾病、上気道の病気および/または性病に罹っている疑われる患者に対する診断試験である。
【0037】
別の好ましい態様によれば、この方法は、1種または複数種のマーカーを測定するステップを含む。本発明のこの抽出プロトコルは、1種以上の微生物マーカーの検出のための当分野で公知の多くの診断アッセイフォーマットによる分析に適したアッセイ組成物を提供する。
【0038】
本発明の別の態様によれば、本発明の方法は、好ましくは、試料中のマーカーを測定するステップをさらに含む。特別な一態様では、本発明は、試料中の1種以上、好ましくは2種以上のマーカーを測定する方法を提供し、少なくとも1種のマーカーは、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質の分子またはこれらの組み合せとなっている。さらに別の態様によれば、本発明は、試料中の1種以上の、好ましくは2種以上のマーカーを測定する方法を提供し、この場合、少なくとも1種のマーカーが、ウィルス、細菌または菌のマーカーである。好ましくは、2種以上のマーカーが、多重測定を用いることにより、同じ試料中で測定される。
【0039】
本発明の一態様は、1つの試料中の異なる複数の生物を測定する方法に関する。少なくとも1つの生物は、好ましくはグラム陽性細菌、より好ましくはStreptococci(連鎖球菌)またはEnterococci(腸球菌)(例えばStrepA、B、FおよびG群細菌)である。このような細菌は、前記細菌から得られるマーカー、好ましくは細胞壁関連抗原、より好ましくは群に特異的な抗原を抽出して測定することによって測定される。好ましくは、測定される別の生物の少なくとも1種が、菌類、ウィルス類およびグラム陰性細菌類を含む群から選択され、かつ/または別の生物の少なくとも1種が、タンパク質、炭水化物、核酸および/または脂質のマーカーを測定することによって測定される。測定されるウィルスは、好ましくは、ライノウィルス、パラインフルエンザウィルス、A、BまたはC型インフルエンザウィルス、呼吸器多核体ウィルス(RSV)、コロナウィルス、アデノウィルス、コクサッキーAウィルス、単純ヘルペスウィルス(HSV)、エンテロウィルス、エプスタイン−バーウィルス、サイトメガロウィルスおよびパピローマウィルスを含む群から選択される。
【0040】
抽出ステップに続く、微生物または微生物に関連するマーカーを測定するために利用可能な方法は多様にある。この技術は、細胞培養をベースとしたアッセイ、凝集試験、イムノアッセイ(または重要な検体の特異的な結合相手を使用することに基づく別のアッセイフォーマット)、イムノクロマトグラフィックアッセイ、酵素アッセイなどを含むが、これらに限定されることはない。外観検査による測定を可能にする技術もあれば、測定を行うための装置の使用が必要となりうるか技術または装置の使用が有用となりうる技術もある。結合アッセイの生成物を分析するための多数の検出技術が利用可能である。
これらの技術は、結合反応生成物が表面に形成される固相結合アッセイ技術と、結合反応生成物が溶液中に残る均一結合アッセイ技術とを含む。これらの技術は、標識された結合試薬の存在を測定する(例えば標識が、蛍光、化学発光、放射活性、磁性、酵素活性のような特性を備えていて、それを測定する)ことによって、または標識の使用を必要とすることなく(質量または反射率の変化の測定をベースとした技術、例えば弾性表面波測定および表面プラズモン共鳴測定により)、結合が起こったことを検出することができる。さらに、化学的な試験もあり、その場合、所定の検体は、所定の薬品に晒されると色の変化を引き起こす。別の適切な検出方法は、酵素バイオセンサの使用を含み、その場合、酵素が所定の検体を認識し、検体の化学的な変換を触媒してこれを1つ以上の反応生成物に変化させ、さらにこの反応生成物が目視または装置により検出される。
【0041】
測定に使用することができる技術のさらなる例としては、質量分析、クロマトグラフィー、電気泳動、凝集、ウェスタンブロット、特異的結合アッセイ、イムノアッセイ、イムノフルオレッセンスアッセイ(免疫蛍光測定法)およびイムノクロマトグラフィックアッセイが挙げられる。本発明の好ましい方法は、特異的結合アッセイ、好ましくはイムノアッセイまたはイムノクロマトグラフィックアッセイである。
【0042】
本発明の好ましい実施態様によるイムノアッセイまたは特異的結合アッセイは、当分野で適用可能な多数のフォーマットを有していることができる。抗体および/または特異的な結合相手は、標識により標識されているかまたは表面に固定されている。「抗体」という用語は、処理されていない抗体分子(抗体サブユニットのインビトロの再結合により組み合わせられたハイブリッド抗体)、抗体フラグメント、および抗体の領域に結合する抗原を有する組み換えたんぱく質構造(例えば、Porter, R. R.とWeir, R. C.、J. Cell Physio., 67 (Suppl 1)、51-64、1966年、およびHochman, J. Inbar, D.とGivol, D.、Biochemistry 12: 1130、1973年に記載されている。これらの刊行物の内容は、参照により本願に組み込まれている。)を含む。この用語は、処理されていない抗体分子、抗体フラグメント、および例えば標識の導入によって化学的に変性させた抗体構造も含む。
【0043】
この検出方法は、好ましくは結合アッセイ、より好ましくはイムノアッセイであって、この検出は、アッセイ組成物と、重要な1種または複数種のマーカーに特異的に結合可能な1種以上の検出分子とを接触させることによって行う。より好ましくは、このアッセイは、サンドイッチまたは競合結合アッセイフォーマットを用いる。試験片上で行われるサンドイッチイムノアッセイの例は、Grubbらの米国特許第4168146号明細書およびTomらの米国特許第4366241号明細書に記載されており、これらの内容は参照により本出願に組み込まれている。本発明で使用するのに適した競合イムノアッセイ装置の例は、Deutschらの米国特許第4235601号明細書、Liottaの米国特許第4442204号明細書および米Buechlerらの国特許第5208535号明細書に記載のものが含まれ、これらの内容は参照により本出願に組み込まれている。
【0044】
本発明の好ましい態様によれば、試料には、本発明の抽出方法が施され、その後、電気化学発光に基づくアッセイフォーマット、最も好ましくは電気化学発光(ECL)に基づくイムノアッセイを用いて、1種または複数種のマーカーを測定する。高感度、広いダイナミックレンジおよびECLの感度は、医学的な診断において重要な因子である。市販のECL装置は高性能に動作し、この装置は、良好な感度、ダイナミックレンジ、精度および複合試料マトリクスの耐性を有しているので、広く用いられてきた。
【0045】
好ましくは、マーカーは、最も好ましくはECL検出を利用して、固相サンドイッチイムノアッセイで測定する。固相サンドイッチイムノアッセイでは、マーカーに対応する2つの抗体、すなわちi)固相に(ビオチン−ストレプトアビジン相互作用のような例えば特異的な結合対の情報によって)結合されるまたは結合されることが可能な捕捉抗体、およびii)標識、好ましくはECL標識に(例えばビオチン−ストレプトアビジン相互作用のような特異的な結合対の情報によって)結合されるまたは結合されることが可能な検出抗体が使用される。可溶化されたマーカーを含む試料は、2つの抗体および固相と接触し、これにより、マーカーの存在で、2つの抗体がマーカーと結合して、標識を含む固相上に「サンドイッチ複合体」を形成する。固相上の標識が、試料中のマーカーを測定するために測定される。
【0046】
市販の所定の装置は、恒久的に利用される再利用可能なフローセルを備えている、フローセルに基づく設計を利用している。このような型の装置で行う結合アッセイでは、たいていの場合、固相結合アッセイのための固相支持体として磁気反応性の粒子を使用する。ECL標識を有する免疫複合体(イムノコンプレックス)が粒子に結合し、これが磁気によってフローセル内の電極で捕捉される。電極に電圧を印加することによって、粒子上に捕捉された標識がECLを発するように誘導され、このECLが、標識の量を測定するために測定される。ECLアッセイ法は、ECLを生じさせる電圧を印可する前にECL共反応物質を導入するステップを含むことができる。
【0047】
近年、ECLを生じさせるために使用される電極上に固定される試薬を用いるECLの装置類が開示されてきた(例えば米国特許第6140045号明細書、第6066448号明細書、第6090545号明細書、第6207369号明細書およびPCT出願国際公開第98/12539号パンフレットを参照)。この場合には、電極自体が、固相支持体となっている。このようなECL測定に適した組み込まれた電極を有するマルチウェルプレートも、近年開示されている(例えば、「Assay Plates, Reader Systems and Methods for Luminescence Test Measurements」を発明の名称としている、同時係属中の米国特許出願第10/185274号明細書および第10/185363号明細書、いずれも2002年6月28日に出願され、これらの内容は、本出願に組み込まれている)。組み込まれた電極を備えているこのマルチウェルプレートは、ウェル内に複数のアッセイ領域を有しているプレートを含み、複数の結合試薬を固定することがきる。マルチウェルアッセイプレートの使用によって、プレートの複数のウェル中に分配された複数の試料の同時の処理および分析が可能となる。典型的には、試料および試薬を、マルチウェルアッセイプレート(マイクロプレートまたはマイクロタイタープレートとしても知られている)で保存し、処理および/または分析する。
【0048】
本発明によれば、電気化学発光測定を、好ましくはスクリーン印刷されたカーボンインク電極、例えば特別に設計されたカートリッジまたはマルチウェルプレート(例えば24、96、384などのウェルプレート)の底部にパターン形成されたカーボンインク電極を用いて行う。カーボン電極の表面でのECL標識からの電気化学発光は、イメージングプレート読み取り器を用いて導入され測定される。イメージングプレート読み取り器は、同時係属中の米国特許出願第10/185274号明細書および第10/185363号明細書に記載されている(両出願の発明の名称は共に「Assay Plates, Reader Systems and Methods for Luminescence Test Measurements」であり、いずれも2002年6月28日に出願されており、これらの内容は参照により本出願に組み込まれている)。同様のプレートおよびプレート読み取り器は、現在市販されている(Meso Scale DiscoveryのSector HTS instrument)。
【0049】
重要な1種または複数種の生物の測定または別の分析の感度および選択性をさらに向上させるために、本発明の好ましい実施態様は、イムノアッセイにおける電気化学発光(ECL)標識および標識された試薬、好ましくはECL標識で標識された抗体を利用している。現在、分析測定のための市販の多数のECL標識がある。電気化学発光標識、共試薬、ならびに検出または測定の方法およびシステムの例は、米国特許第5093268号明細書、第5147806号明細書、第5324457号明細書、第5591581号明細書、第5597910号明細書、第5641623号明細書、第5643713号明細書、第5679519号明細書、第5705402号明細書、第5846485号明細書、第5866434号明細書、第5786141号明細書、第5731147号明細書、第6066448号明細書、第6136268号明細書、第5776672号明細書、第5308754号明細書、第5240863号明細書、第6207369号明細書および第5589136号明細書、ならびにPCT国際公開第99/63347号パンフレット、第00/03233号パンフレット、第99/58962号パンフレット、第99/32662号パンフレット、第99/14599号パンフレット、第98/12539号パンフレット、第97/36931号パンフレット、第98/57154号パンフレットおよびPCT/US02/19788に記載されており、これらの内容は参照により本出願に組み込まれている。ECL標識の例は、i)金属が例えばVIII族の貴金属からなる有機金属化合物であって、トリスビピリジルルテニウム(RuBpy)部分のようなRu含有およびOs含有の有機金属化合物を含むもの、およびii)ルミノールおよびこれに関連する化合物である。ECLプロセス中でECL標識と共に使用する物質を、ここではECL共反応物と呼ぶ。通常使用される共反応物は、第4アミン(例えば、参照により本出願に組み込まれている米国特許第5846485号明細書参照)、シュウ酸塩、およびRuBpyから得られるECLのための過硫酸塩、およびルミノールからのECLのための過酸化水素(参照により本出願に組み込まれている米国特許第5240863号明細書参照)を含む。ECL標識により生成された光は、診断の過程で記録信号として使用することができる(参照により本出願に組み込まれているBardらの米国特許第5238808号明細書)。例えば、ECL標識は、抗体のような結合薬剤に共有結合しており、結合の相互作用に結合試薬が加わることは、ECL標識から発せられるECLを測定することにより監視することができる。
【0050】
本発明の一態様は、1種以上のマーカー(好ましくは2種以上のマーカー)を測定する方法であって、
(a)1種以上のマーカーを含む試料と、本発明の抽出試薬とを接触させるステップであって、これにより、抽出された1種以上のマーカーを含む組成物が形成されるステップ、
(b)前記組成物と、抽出された1種以上のマーカーと結合可能な1つ以上の結合試薬を含む試薬とを接触させるステップであって、この結合試薬がECL標識と架橋しているステップ、
(c)電気化学発光を生じさせるように前記標識を誘導するステップ、および
(d)この発せられた電気化学発光を測定するステップ
を含む方法に関する。
【0051】
本発明の一態様は、1つの試料中の複数の異なる生物種を測定する方法であって、
(a)前記試料と、亜硝酸を含む抽出試薬とを接触させて、これにより、アッセイ組成物を形成するステップ、および
(b)前記アッセイ組成物中で、前記複数の生物種を測定するために、前記複数の生物種のマーカーを測定するステップ
を含む方法に関する。
【0052】
好ましくは、前記試薬は、前記抽出された1種以上のマーカーと結合可能な1つ以上の捕捉試薬をさらに含み、この捕捉試薬は、ビードまたは固相支持体(例えば、電気化学発光を生じさせるための作用電極)に結合している。
【0053】
好ましくは、この方法は、ステップ(a)の後、組成物のpHを調整または中和するステップをさらに含む。
【0054】
好ましくは、試薬は、複数の異なるマーカーに結合することのできる複数の異なる結合試薬と、任意に複数の異なる捕捉試薬とを含む。
【0055】
本発明のさらに別の好ましい態様は、様々な微生物マーカー(好ましくは、異なるおよび/または逆の化学的性質を有するマーカー、例えばタンパク質、炭水化物など)を、上気道の疾病をもつ1人以上の患者から同時に抽出するための臨床的な方法に関する。試料は、患者、好ましくは上気道に病態がある患者から、好ましくは咽喉の綿棒擦過または鼻の洗い出しによって採取する。この試料は、本発明の抽出試薬、好ましくは酸化性の酸、より好ましくは亜硝酸、および任意に界面活性剤と接触させ、この試薬により、微生物マーカーを遊離し、有利には粘性の浸出液を液化して、これによりアッセイ組成物が形成される。その結果得られたアッセイ組成物は、重要な微生物が存在するかどうかを直接的に試験するかまたはpH緩衝剤により中和させた後に試験される。好ましくは、重要な微生物は、StrepA、FluA/BおよびRSVである。試料の処理および試験は、好ましくは、「診療室内で」、好ましくは患者が診療室にいる間に行われる。本発明の主な利点の1つは、単一の抽出ステップを、様々な異なる微生物の測定と連結させることができるという点である。結果が迅速に得られることによって、(i)適切かつ適時の処理計画を提供すること、(ii)抗ウィルス剤の出現を適切に適用すること、および(iii)抗生物質の不必要な使用を減らすことによって、医師を支援する。
【0056】
本発明の別の態様は、本発明の方法を使用するための抽出試薬に関する。一態様は、酸化性の酸を含む抽出試薬に関する。好ましくは、この試薬は、界面活性剤をさらに含む。意外にも、本発明のこの抽出試薬は、多様な微生物およびマトリクスに広く適用可能である。
【0057】
別の態様は、酸化性の酸、好ましくは酸化性の酸および界面活性剤の水溶液から本質的になる抽出試薬に関する。
【0058】
別の態様によれば、この抽出試薬は、酸化性の酸と、界面活性剤と、(a)検出標識(例えばECL標識)、(b)1種以上のマーカーに結合可能な結合試薬、(b)1つまたは複数のECL共反応物および(c)ブロッキング剤(例えばBSA)からなる群から選択される1つ以上の成分とから本質的になっている。溶液は、6.0〜8.5の範囲のpHを得るために、塩基および/または緩衝剤を加えることによって中和することができる。
【0059】
好ましくは、酸化性の酸は、亜硝酸である。亜硝酸は、StrepAのA群抗原に作用を及ぼすために適切であることが当分野で知られているが、以前は、タンパク質、核酸および脂質のマーカーに対し極めて不都合な影響を与えると考えられていた。亜硝酸は、好ましくは、非イオン界面活性剤のような界面活性剤と組み合わせて、抽出の効率をさらに向上させる。
【0060】
本発明の好ましい一態様では、使用される亜硝酸は、硝酸塩と酸とを組み合わせることによって調製される。有用な亜硝酸塩は、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウムのような無機酸と、有機亜硝酸塩とを含む。有用な酸は、塩化水素酸および硫酸のような無機酸、ならびに酢酸およびクエン酸のような有機酸の両方を含む。酸は、好ましくは有機酸であって、より好ましくは酢酸である。
【0061】
本発明の抽出試薬と共に使用するために適した界面活性剤は、Tween、TRITON、 CYMAL、ZWITTERGENT、IPTG、CHAPS、CHAPSO、Anapoe、BAM、FOS-Choline、Pluronics、Tetronics、Brij、Span、HEGA、C-HEGA、n−ド(トリ、テトラ、ヘキサ、ウン)デシル−β−D−マルトシドおよびL−、D−DAOの類の界面活性剤である。
【0062】
好ましい態様によれば、抽出試薬は、亜硝酸ナトリムのような亜硝酸塩と、酸および任意に界面活性剤とを組み合わせることによって生成させる。
【0063】
好ましくは、この抽出試薬を、亜硝酸ナトリム溶液および酢酸を等体積で合わせることによって生成し、これらの各成分(またはどちらかの成分)は、任意に界面活性剤、好ましくはTween-20を含有している。より好ましくは、0.5〜10Mの亜硝酸ナトリウムと、これに見合う濃度の0.1〜0.5Mの酸(好ましくは酢酸)とを組合せ、任意に各溶液が界面活性剤を(好ましくはTween-20)を0.5〜5%含有している(またはどちらかの溶液がその倍の量を含有する)。最も好ましくは、2〜7.5Mの亜硝酸ナトリウム溶液と、0.125〜0.188Mの酸(好ましくは酢酸)とを組み合わせ、各溶液が界面活性剤(好ましくはTween-20)を1〜3%含有している。
【0064】
本発明によって、濃縮された抽出試薬を使用することもできる。より高い試薬濃度によって迅速な抽出が得られるが、その一方でより低い抽出試薬濃度も好ましく、それというのは、低い濃度は、マーカーの抗原性および試薬の安定性をを保持すると共に、中和プロセスをより簡単にし、タンパク質の変性および脱窒を最小限にするからである。特別な一態様では、例えば2M亜硝酸ナトリウム、1%Tween-20溶液を、0.125M酢酸、1%Tween-20溶液と組み合せる。別の特別な一態様では、7.5M亜硝酸ナトリウム、3%Tween-20を、0.188M酢酸および3%Tween-20と組み合わせる。
【0065】
本発明の好ましい一態様では、亜硝酸を生成するために組み合わせられた2つの試薬のうち1つを、乾燥状態で、好ましくは有機酸の乾燥状態または別のあらゆる亜硝酸塩の乾燥状態で使用する。
【0066】
本発明の別の態様は、抽出のため、および好ましくは、複合生物マトリクスのような試料から得られるマーカーを測定するための改善された組成物に関する。
【0067】
一実施態様は、(a)2種以上のマーカー(好ましくは2種以上の抽出されたマーカー)、好ましくは生物マーカー、好ましくは微生物マーカー、好ましくは異なる生物からのマーカー、より好ましくは細菌、ウィルスおよび/または菌のマーカー、ならびに(b)酸化性の酸、好ましくは酸化性の酸、および好ましくは非イオン界面活性剤を含む界面活性剤を含む組成物であって、2〜5の範囲のpH、好ましくは検出前に中和されたpHを有する組成物に関する。好ましくは、この組成物は、疾病を引き起こす完成性の複数の微生物を迅速に診断するために使用することができるアッセイ組成物である。
【0068】
本発明のさらに別の態様は、1種以上の抽出されたマーカー、好ましくは生物マーカー、好ましくは微生物マーカー、好ましくは異なる複数の生物マーカー、より好ましくは細菌、ウィルスまたは菌のマーカーと、2〜5の範囲のpHを有する酸化性の酸、好ましくは酸化性の酸および界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤、好ましくは測定前に中和されたpHを有するものとを含む組成物に関し、少なくとも1種のマーカーが、タンパク質、ペプチド、毒素、核酸もしくは脂質、または少なくとも1種のマーカーが、ウィルスのもしくは菌類のマーカーである。好ましくは、アッセイ組成物は、重要な1種または複数種のマーカーと特異的に結合可能な1つ以上の検出分子または捕捉分子(つまり、結合試薬)、検出標識および/または共反応物なども含むことができる。
【0069】
一態様では、アッセイ組成物は、試料および抽出試薬を含んでおり、この場合、試料は、生物、毒素および/またはウィルス粒子ならびに本発明による抽出試薬を含む。好ましい一態様では、このアッセイ組成物は、抽出試薬を中和できるpH緩衝剤または塩基をさらに含んでいる。例えば、中和緩衝剤(好ましくはトリスまたはPBS、より好ましくは1〜2Mのトリス緩衝剤)を、有効時間、抽出試薬と共に試料をインキュべートした後、生物試料に添加する。このアッセイ組成物の最終pHは、好ましくは中性、好ましくは、このpHは6.0〜8.5である。本発明の特別な一態様では、中和緩衝剤を乾燥状態で添加することができる。
【0070】
本発明の別の態様は、本発明の抽出方法を使用して、1種以上(好ましくは2種以上)のマーカーを試料から抽出するためのキットに関する。
【0071】
本発明はまた、試料中の複数の異なる生物種を測定するためのキットであって、1つ以上の容器に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、(d)前記複数の異なる生物種の第1の生物から得られる第1のマーカーに結合する第1の結合試薬、および(e)前記複数の異なる生物種の第2の生物から得られる第2のマーカーに結合する第2の結合試薬を備えているキットにも関する。
【0072】
このキットは、好ましくは、1つ以上の容器に、抽出試薬、好ましくは亜硝酸、および任意に界面活性剤を含んでいる。好ましくは、キットは、1つ以上のアッセイ要素をさらに備えている。より好ましくは、キットは、亜硝酸塩、酸および非イオン界面活性剤を、別々の容器または室内に有していて、これにより、本発明の抽出試薬を生成するための迅速な再組み合せが可能となる。
【0073】
本発明は、2種以上のマーカー、好ましくは生物マーカー、好ましくは微生物マーカー、好ましくは異なる生物マーカー、より好ましくは細菌、ウィルスおよび菌のマーカーを、1つ以上のアッセイで使用するために、試料から抽出するためのキットであって、1つ以上の容器、入れ物および室に(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤、ならびに(d)(i)pH緩衝剤/pH中和剤、(ii)試料採取装置(例えば、擦過綿棒、吸引器、吸入器または掻き取り器)、(iii)防腐剤、(iv)安定剤、(v)抽出用容器、(vi)漂白剤、(vii)乾燥剤、(viii)捕捉部分および(ix)検出部分からなる群から選択された少なくとも1つの抽出要素を備えているキットにも関する。
【0074】
本発明の別の実施態様は、1種以上のマーカー、好ましくは生物マーカー、好ましく微生物マーカー、好ましくは異なる生物マーカー、より好ましくは細菌、ウィルスまたは菌のマーカーを、1つ以上のアッセイで使用するために、試料から抽出するためのキットであって、1つ以上の容器に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤、ならびに(d)(i)pH緩衝剤/pH中和剤、(ii)試料採取装置(例えば、吸引器、擦過綿棒、吸入器または掻き取り器)、(iii)防腐剤、(iv)安定剤、(v)抽出用容器、(vi)漂白剤、(vii)乾燥剤、(viii)捕捉部分および(ix)検出部分からなる群から選択された少なくとも1つの抽出要素を備えているキットに関し、この場合、少なくとも1種のマーカーが、タンパク質、ペプチド、毒素、核酸もしくは脂質、または少なくとも1種のマーカーが、ウィルスまたは菌類のマーカーである。本発明のキットは、重要なマーカーに結合可能な1つ以上の結合試薬をさらに備えている。またこのキットは、乾燥状態または溶液状態の亜硝酸塩、これと結合して亜硝酸を形成する乾燥状態または溶液状態の酸、およびpH緩衝剤/pH中和剤としてトリス塩基もしくは緩衝剤またはPBSを提供することもできる。
【0075】
好ましくは、キットは、試料採取装置(例えば、吸引器、擦過綿棒、吸入器または掻き取り器など)、抽出用容器、pH緩衝剤、複数の防腐剤、安定剤、乾燥剤および漂白剤をさらに備えている。
【0076】
キットは、好ましくは、多様な検出方法、例えばイムノアッセイ、イムノクロマトグラフィックアッセイ、特異的結合アッセイ、クロマトグラフィックアッセイおよび質量分析アッセイで使用するためにまたはそのような方法に適合可能であるように構成されている。しかし、検出方法は、特定の検出技術に限定されることはない。
【0077】
好ましい別の態様によれば、キットは、特異的結合相手、好ましくは標識された特異的結合相手、より好ましくはECL標識された特異的結合相手をさらに備えている。本発明のキットの結合相手は、抗体、ペプチドまたは非ペプチド類似物、レクチン、抗原、DNAおよび/またはRNAアプタマー、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、ハプテン、抗ハプテン、抗生物質などを含む多様な物質を含むことができるが、これらに限定されることはない。
【0078】
一態様では、キットは、2つの結合相手を備えており、第1の結合相手は、マルチウェルプレート底部のような固体支持体もしくはビード上に固定され、第2の結合相手は、標識、好ましくはECL標識で標識されている。ECL検出キットの例としては、IGEN International, Inc.(Gaithersburg、Maryland)、Meso Scale Diagnostics (Gaithersburg, Maryland)およびRoche Diagnosticsから販売されているキットを含む。このようなキットは、本発明の抽出試薬と組み合わせることができる。別の適切なキットは、上記の電気化学発光に関連する特許に記載されており、その内容は参照により本出願に組み込まれている。
【0079】
好ましい一態様では、固体支持体は、その上に固定された結合試薬(好ましくは抗体)のパターン化されたアレイを有しており、第1の結合試薬を有している少なくとも第1の領域と、第2の結合試薬を有している第2の領域とを形成する。これらの結合試薬は、好ましくは、重要な生物のためのマーカーのような重要なマーカーに対応している。
【0080】
本発明の好ましい態様によれば、キットは、予め組み合わせられたシステムまたは装置、例えばカートリッジまたはマルチウェルプレートであって、好ましくは1つ以上の室内に保存されている、本発明の抽出試薬を含む1つ以上の必要な試薬を有するシステムまたは装置を備えている。このようなキットによって、迅速に「診療所内で」マーカー抽出およびこれに続いて行われる分析が可能となるであろう。
【0081】
本発明を、以下の実施例に基づきさらに詳説する。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明の範囲内である抽出、プレート、キットおよび方法のいくつかを例示したものである。もちろん、これらの実施例が本発明を制限すると考えるべきではない。当業者は、本発明について多くの変化および変形を過度の実験なしに行うことができる。
材料および方法
抽出試薬:
抽出試薬を、亜硝酸ナトリウムの貯蔵溶液(2M亜硝酸ナトリウム、1%Tween-20)と酢酸の貯蔵溶液(0.125M酢酸、1%Tween-20)とを等体積で混合することによって使用直前に調製し、1M亜硝酸ナトリウム、0.5%Tween-20、0.0625M酢酸という最終濃度が得られた。
【0083】
いくつかの実験では、より高い濃度の抽出試薬を使用した。この試薬は、亜硝酸ナトリウムの貯蔵溶液(7.5M亜硝酸)、酢酸の貯蔵溶液(0.188M酢酸)および3%Tweenの貯蔵溶液を等体積で混合することによって使用直前に調製した。この高濃度の抽出試薬は、特別に指示された場合に使用した。
細菌およびウィルスの調製:
Streptococcus pyogenes(StrepA、ATCC12385)を、37℃の5%CO2雰囲気下でトリプチケース・ソイ・ブロス(trypticase soy broth)で濁るまで培養した。この貯蔵物を、PBS(100mMリン酸緩衝剤、150mMNaCl、pH7.5)で1:10で希釈した。
【0084】
A型インフルエンザ、B型インフルエンザおよび呼吸器多核体ウィルス(2.25×1012ウィルス粒子/ml)のウィルス試料をAdvanced Biotechnologies Inc.より購入し、使用前にPBSで所望の濃度に希釈した。
粘液の調製:
ヒトの気管支粘膜試料または鼻の排出物試料を、上気道の疾病の症状のない人から得た。高粘度の試料および低粘度の試料を、均一な溶液となるまで超音波により分解した。
ECL標識:
以下に示す標識化合物1(Meso Scale Discovery、Meso Scale Diagnostics,LLC、Gaithersburg、MDの一事業部のSulfo-TAG(TM)NHSエステル)を使用して、電気化学発光測定のための生体分子を標識した。
【0085】
【化1】

【0086】
生体分子の標識は、Sulfo-TAG NHSエステルを、pH8.0の生体分子のリン酸緩衝生理食塩溶液に加えることによって行った。標識された生体分子は、典型的に、(例えばPharmacia BiosciencesのSuperdex Peptide GelまたはSephadex G50を使用して)サイズ排除クロマトグラフィーによってまたは逆相HPLCによって、結合されていない標識から分離精製した。標識されたタンパク質に関して、タンパク質に対する標識の比は、標識の濃度(455nmでのSulfo-TAG標識の減衰係数ε455〜15,400M−1cm−1から計算)およびタンパク質の濃度(Pierce ChemicalsのBCA Protein Assayを用いて決定)から計算した。多クローン性の抗StrepA抗体および単クーロン性の抗A型インフルエンザ、抗B型インフルエンザ、抗RSVをそれぞれ、Virostat Inc.、Fitzgerald Industries International、Research Diagnostics Inc.およびAccurate Chemical and Scientific Corp.より購入した。
マルチウェルプレート:
電気化学発光測定は、特別に設計された96ウェルマルチウェルプレート(Meso Scale Discovery、Meso Scale Diagnostics,LLC、Gaithersburg、MDの一事業部のMulti-Array(TM)またはMulti-Spot(TM)プレート)を使用して行った。
測定装置:
電気化学発光を、Sector HTSTM readerまたはSector PRTM reader(Meso Scale Discovery、Meso Scale Diagnosticsの一事業部、LLC、Gaithersburg、MD)を用いて誘導し、測定した。
実施例1:S. Pyogenesの検出および定量
ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(StrepA)を粘液溶液で希釈(1:4体積比)し、混合し、室温で2時間インキュべートした。
【0087】
StrepA粘液溶液(50μl)を、450μlの抽出試薬または2つのコントロール溶液(4%Tween-20のPBS溶液もしくは界面活性剤不含のPBS溶液)のうち1つと合わせた。混合し、15分間インキュベートした後、これらの溶液を、等体積の150mMリン酸を含むリン酸緩衝生理食塩溶液(PBS)と合わせ、抽出試薬の酸性度を中和した。StrepAを含んでいないPBSを、アッセイバックグラウンドを測定するために陰性コントロールとして使用した。
【0088】
多クローン性の抗strep抗体(A群の炭水化物に対する抗体)を、特別に設計された96ウェルマルチウェルプレート(MSDのHigh Bind Multi-Arrayプレート)の底部にパターン化形成されたスクリーン印刷されたカーボンインク電極への受動吸着によって、50mg/mlの抗体のPBS溶液2.5μlを電極表面に直接的に堆積させることによって固定化させた。溶液を乾燥させた後、5%BSA(Seracare Inc.のウシ血清アルブミン)250μlを各ウェルに加え、使用前にプレートを4℃で一晩保存した。次に、プレートを、ウェル1つあたりPBS300μlで2回、使用直前に洗浄した。プレートの別々のウェルに、処理された試料25μlを、Sulfo-TAG(3μg/ml)で標識されたコンジュゲート抗StrepA抗体25lと共に加えた。
【0089】
プレートを1時間インキュベートし、洗浄し、ECLAssay Buffer(200mMリン酸緩衝液中の125mMトリプロピルアミン、pH7.5)で満たし、StrepA抗原の量を、ECLを使用して定量した。
【0090】
データ(表I)は、亜硝酸または界面活性剤によって試料を処理しない場合、粘液の存在によってイムノアッセイが完全に妨げられること、およびこのような処理によってStrepAの定量を改善できることを示している。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例2:A型インフルエンザの検出および定量
精製されているA型インフルエンザウィルス(2.25×10l2ウィルス粒子/ml、Advanced Biotechnologies Inc.)を、PBSで1:10に希釈した。次に、この調製物を、低粘度の粘液調製物で希釈(1:4)し、混合し、室温で2時間インキュベートした。
【0093】
インフルエンザの粘液溶液(50μl)を、450μlの抽出試薬または2つのコントロール溶液(4%のTween-20のPBS溶液もしくは界面活性剤不含のPBS)のうち1つと合わせた。混合し、15分間インキュベートした後、これらの溶液を等体積のPBSと合わせ、抽出試薬の酸性度を中和した。FluAを含んでいないPBSを、アッセイバックグランドを測定するための陰性コントロールとして使用した。
【0094】
単クローン性の抗A型インフルエンザ抗体を、受動吸着によって、特別に設計された96ウェルプレート(MSDのHigh Bind Multi-Array Plates)の底部にパターン化形成されたスクリーン印刷されたカーボンインク電極に、50μg/mlの抗体のPBS溶液2.5μlを堆積することによって固定化した。溶液を乾燥させた後、5%のBSAのPBS溶液250μlを各ウェルに加え、プレートを、使用前に4℃で一晩保存した。プレートを、ウェル1つ当たりPBS300μlで2回、使用前に洗浄した。FluA抗原を、ECLイムノアッセイによってプレートで測定した。各ウェルには、抽出された粘液/抗原溶液またはPBS25μlを、TAG(3μg/ml)で標識された単クローン性のコンジュゲート抗A型インフルエンザ抗体と共に加えた。プレートを、1時間インキュベートし、洗浄し、Assay Bufferで満たし、A型インフルエンザ抗原の量をECLを使用して定量した。
【0095】
データ(表II)は、試料を界面活性剤で処理しなかった場合、粘液の存在がウィルス検体の定量を妨げることを示している。さらに、意外にも、亜硝酸処理はアッセイには不都合な影響を与えていない。
【0096】
【表2】

【0097】
実施例3:複数の検体の同時検出および定量
A型インフルエンザ、B型インフルエンザおよび呼吸器多核体ウィルス(Advanced Biotechnologies,Inc.)を、精製された貯蔵溶液を希釈することによってPBS中に調製した。濁ったS.pyogenesの溶液培養物の1:100PBS希釈液も調製した。各溶液(50μl)を直前に調製した抽出試薬450μlと混合し、5分間インキュベートした。次に、溶液を等量のPBSで中和した。
【0098】
各ウェルが4つの別々のスポットを備えている、4スポット96ウェルマルチスポットプレート(Meso Scale Discovery)を準備し、4つの検体のそれぞれに対して特異的な抗体を、別々のスポット上に固定化させた。これらの抗体を、50μg/mlの抗体のPBS溶液250nlを各スポット上に堆積させることによって受動的に固定化した。溶液を乾燥させた後、5%のBSAのPBS溶液250μlを各ウェルに加え、プレートを4℃で一晩保存した。使用前に、プレートを、ウェル1つ当たりPBS300μlで2回洗浄した。
【0099】
検体溶液を個々のウェル(25μl/ウェル)に分配し、TAG標識された4種のコンジュゲート抗体(それぞれが前記検体の1つに対して特異的)の混合物を含有する溶液も加えた(25μl、各抗体の最終濃度は1.5μg/mlであった)。1時間混合した後、プレートを洗浄し、ECLAssay Buffer200μl(200mMリン酸緩衝剤中の125mMトリプロピルアミン、pH7.5)を加え、各スポット上に捕捉された抗原の量をECLを使用して定量した(表III)。
【0100】
この実験は、ウィルスおよびS. pyogenesのためのアッセイを、同じ酸による前処理を用いて行うことができることを示している。
【0101】
【表3】

【0102】
実施例4:亜硝酸および界面活性剤の、粘液に対する効果
極めて粘度の高い鼻排出物の粘液の試料を得た。
【0103】
試料を、2つの部分(それぞれ〜500μl)に分割し、透明のプラスチック試験管に入れた。これらの試料をボルテックスにかけたが、これによって、試料の物理的特性は影響を受けず、試料が試験管からこぼれることもなかった。
【0104】
1つの試料に対して、抽出試薬200μl(7.5M亜硝酸ナトリウムおよび0.188M酢酸を1:1の割合で調製)を加えた。20%Tween-20(w/v)200μlを加えた。両試料を、簡単にボルテックスにかけ、周囲温度で2分間インキュベートした。界面活性剤で処理された試料の粘度には変化がなかったことが分かった。しかし、酸で処理された試料は、より低い粘度であり、試験管からこぼしやすくなっていた。さらに30分間のインキュべーション後には、酸で処理された粘液の粘度のさらに著しい低下が観察された。
実施例5:粘液を含有している試料中のStrepAおよびインフルエンザAの同時検出
水で希釈した粘性の鼻排出物を超音波を用いて分解することによって均一な粘液溶液を調製した。A型インフルエンザおよびStrepA両方の濃縮した貯蔵溶液と粘液溶液と混合することによって、陽性試験試料を調製し(最終希釈1:500)、罹患している人から得られた鼻試料を模擬した。粘液溶液にPBSのみを加えることによって、陰性コントロール試料を調製した。これらの溶液を、アッセイを行う前に1.5時間氷浴中に置いた。等体積の0.188M酢酸、3M亜硝酸ナトリウムおよび3%Tween-20を加えることによって、高濃度の抽出試薬を使用直前に調製した。3%Tween-20に換えて水を加えることによって、界面活性剤を含有しない抽出試薬も調製した。
【0105】
陽性および陰性試料(100μl)のそれぞれを、抽出試薬(界面活性剤を含むものおよび含まないもの)450μlと組み合わせた。5分間のインキュべーション後、2Mトリス緩衝剤(pH7.5)50μlを加え、溶液を中和した。これらの溶液(75μl)を、標識された抗StrepA抗体および抗A型インフルエンザ抗体の両方(それぞれ10μl、25μg/ml)を含む溶液と合わせ、これらの溶液50μlを、異なるスポット上に予め吸収させたStrepAおよびA型インフルエンザ捕捉抗体を有しているMSD4スポットマルチスポットプレートに加え、混合せずに10分間インキュベートした。次に、プレートを洗浄し、アッセイバッファを加え、Sector HTSTM装置(Meso Scale Discovery(TM)、Meso Scale Diagnostics, LLC、Gaithersburg、MDの一事業部)でECLを測定した。
【0106】
データ(表IV)は、StrepAおよびA型インフルエンザが、粘液を含有した亜硝酸で処理した同じ試料中で同時に測定されたことを示している。界面活性剤の効果により、ウィルスアッセイ信号はほぼ2倍となったが、StrepAアッセイにおいてはわずかな効果しか現れなかった。
【0107】
【表4】

【0108】
咽頭の綿棒擦過物を、A型インフルエンザを罹患している2人からおよびStrepA感染症をもつ2人から得た。この擦過綿棒を−20℃で冷凍保存した。解凍後、各擦過綿棒を直前に調製した抽出試薬450μlに入れ、1分間インキュベートし、その後、擦過綿棒を取り除き、2Mトリス緩衝剤(pH7.5)50μlに加えることによって溶液を中和した。
【0109】
A型インフルエンザおよびStrepAに対して特異的な抗体を各ウェル内の別々のスポット上に固定した4スポットマルチスポットプレートを準備した。バックグラウンド測定として、各ウェル内の別のスポットにBSAを塗布した。中和された綿棒擦過抽出物を、TAG標識されたA型インフルエンザ抗体およびStrepA抗体の混合物10μlと合わせた(標識された抗体の最終抗体濃度はそれぞれ1μg/ml)。溶液(50ul)をウェルに分配し、プレートを混合せずに8分間インキュベートした。次にプレートを洗浄し、アッセイバッファを加え、A型インフルエンザおよびStrepAの量をECLによって定量した(表V)。
【0110】
意外にも、ウィルス粒子および細菌の両方のマーカーを、本発明の抽出試薬によって同時に抽出することができた。
【0111】
【表5】

【0112】
参照の組込
本発明の範囲は、ここに記載した特異的な実施態様によって制限されることはない。実際、ここに記載されている態様に加え、本発明の様々な変形が得られることは、上記の記述および添付図面から当業者には明らかである。このような変形は、特許請求の範囲内に収まるように意図されているものである。本明細書で引用した様々な文献およびその開示内容の全体は、参照により組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の複数の異なる生物を測定する方法であって、
(a)前記試料と亜硝酸を含む抽出試薬とを接触させるステップであって、これにより、アッセイ組成物を形成するステップ、および
(b)前記アッセイ組成物中で、前記複数の生物のマーカーを測定するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の生物が、グラム陽性細菌である第1の生物を含み、前記抽出試薬が、該第1の生物から得られる第1のマーカーを抽出し、前記測定ステップが、該第1のマーカーの測定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の生物が、連鎖球菌(Streptococci)または腸球菌(Enterococci)であり、前記第1のマーカーが、細胞壁関連抗原である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の生物が、A、B、FまたはG群連鎖球菌であり、第1のマーカーが、群に特異的な抗原である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の異なる生物が、菌類、ウィルス類およびグラム陰性細菌類からなる群から選択される第2の生物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の異なる生物が、第2のマーカーを有する第2の生物を含み、前記測定ステップが、前記第2のマーカーの測定を含み、該第2のマーカーが、タンパク質、核酸および/または脂質マーカーである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が粘液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記試料が、鼻もしくは咽頭の試料または生殖器の排出物試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出試薬が界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記マーカーを、多重アッセイフォーマットを用いて前記アッセイ組成物中で測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記多重アッセイフォーマットが、多重イムノアッセイである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記測定ステップが、前記アッセイ組成物と、固定化された抗体のパターン化されたアレイとを接触させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アッセイ組成物のpHを中和するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
上気道試料中の複数の異なる生物を測定する方法であって、
(a)前記上気道試料と、亜硝酸を含む抽出試薬とを接触させるステップであって、これにより、アッセイ組成物を形成するステップ、
(b)前記アッセイ組成物を、連鎖球菌細菌からの細胞壁関連抗原を抽出するのに適した条件下でインキュベートするステップ、および
(b)前記アッセイ組成物中で、前記抗原および少なくとも1種のウィルスのマーカーを含む1種以上の付加的なマーカーを測定するステップ
を含む方法。
【請求項15】
前記連鎖球菌細菌が、A、B、FまたはG群連鎖球菌細菌であり、前記抗原が、群に特異的な抗原である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種のウィルスのマーカーが、タンパク質、核酸および/または脂質マーカーである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ウィルスが、ライノウィルス、パラインフルエンザウィルス、A、BまたはC型インフルエンザウィルス、呼吸器多核体ウィルス(RSV)、コロナウィルス、アデノウィルス、コクサッキーAウィルス、単純ヘルペスウィルス(HSV)、エンテロウィルス、エプスタイン−バーウィルス、サイトメガロウィルスおよびパピローマウィルスから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記1種以上の付加的なマーカーが、A型インフルエンザのマーカー、B型インフルエンザのマーカーおよび呼吸器多核体ウィルス(RSV)のマーカーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記試料が、鼻の洗い出し液または喉の綿棒擦過物である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記抽出試薬が、界面活性剤をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記抗原および前記1種以上の付加的なマーカーを、前記アッセイ組成物中で、多重アッセイフォーマットを用いて測定する、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記多重アッセイフォーマットが、多重イムノアッセイフォーマットである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記測定ステップが、前記アッセイ組成物と、固定化された抗体のパターン化されたアレイとを接触させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記アッセイ組成物のpHを中和するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
試料中の複数の異なる生物種を測定するためのキットであって、1つ以上の容器内に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、(d)前記複数の異なる生物種のうち第1のものから得られる第1のマーカーに結合する第1の結合試薬、および(e)前記複数の異なる生物種のうち第2の生物から得られる第2のマーカーに結合する第2の結合試薬を備えているキット。
【請求項26】
前記第1および第2の結合試薬が、抗体である、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記複数の異なる生物種の前記第1の生物が、グラム陽性細菌である、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
前記グラム陽性細菌が、連鎖球菌(Streptococci)または腸球菌(Enterococci)細菌であり、前記第1のマーカーが、細胞壁関連抗原である、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記グラム陽性細菌が、A、B、FまたはG群連鎖球菌細菌であり、前記第1のマーカーが、群に特異的な抗原である、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記複数の異なる生物種の前記第2の生物が、菌類、ウィルス類およびグラム陰性細菌類からなる群から選択される、請求項27に記載のキット。
【請求項31】
前記第2のマーカーが、タンパク質、核酸および/または脂質マーカーである、請求項27に記載のキット。
【請求項32】
その上に固定化された抗体のパターン化されたアレイを有する固体支持体をさらに備えており、該パターン化されたアレイが、前記第1の結合試薬を有している第1の領域と、前記第2の結合試薬を有している第2の領域とを含む、請求項25に記載のキット。
【請求項33】
前記酸を中和するための塩基またはpH緩衝剤をさらに備えている、請求項25に記載のキット。
【請求項34】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が乾燥状態になっている、請求項25に記載のキット。
【請求項35】
前記亜硝酸塩および/または酸が溶液状態になっている、請求項25に記載のキット。
【請求項36】
前記亜硝酸塩および前記酸が、亜硝酸としての合わせられた状態になっている、請求項25に記載のキット。
【請求項37】
試料中の複数の異なる生物種を測定するためのキットであって、1つ以上の容器内に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、(d)連鎖球菌細菌から得られる細胞壁関連抗原である第1のマーカーに結合する第1の抗体、および(e)ウィルスから得られる第2のマーカーに結合する第2の抗体を備えているキット。
【請求項38】
前記連鎖球菌細菌が、A、B、FまたはG群連鎖球菌細菌であり、前記第1のマーカーが、群に特異的な抗原である、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
前記第2のマーカーが、タンパク質、核酸および/または脂質マーカーである、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記ウィルスが、ライノウィルス、パラインフルエンザウィルス、AまたはB型インフルエンザウィルス、呼吸器多核体ウィルス(RSV)、コロナウィルス、アデノウィルス、コクサッキーAウィルス、単純ヘルペスウィルス(HSV)、エンテロウィルス、エプスタイン−バーウィルス、サイトメガロウィルスおよびパピローマウィルスからなる群から選択される、請求項38に記載のキット。
【請求項41】
抗体のアレイであって、該アレイ上に抗体が固定化されたパターン化されたアレイを有する固体支持体をさらに備えており、該パターン化されたアレイが、前記第1の抗体を有している第1の領域と、前記第2の抗体を有している第2の領域とを含む、請求項37に記載のキット。
【請求項42】
前記酸を中和するための塩基またはpH緩衝剤をさらに備えている、請求項37に記載のキット。
【請求項43】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が、乾燥状態になっている、請求項37に記載のキット。
【請求項44】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が、溶液状態になっている、請求項37に記載のキット。
【請求項45】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が、亜硝酸としての合わせられた状態になっている、請求項37に記載のキット。
【請求項46】
前記界面活性剤が非イオン界面活性剤である、請求項37に記載のキット。
【請求項47】
試料中の複数の異なる生物種を測定するためのキットであって、1つ以上の容器内に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、(d)A、B、FおよびG群連鎖球菌細菌から得られる、群に特異的な抗原である第1のマーカーに結合する第1の抗体、(e)A型インフルエンザから得られる第2のマーカーに結合する第2の抗体、(f)B型インフルエンザから得られる第3のマーカーに結合する第3の抗体、および(g)呼吸器多核体ウィルス(RSV)から得られる第4のマーカーに結合する第4の抗体を備えているキット。
【請求項48】
抗体のアレイであって、該アレイ上に抗体が固定化されているアレイを有する固体支持体をさらに備えており、該パターン化されたアレイが、前記第1の抗体を有している第1の領域、前記第2の抗体を有している第2の領域、前記第3の抗体を有している第3の領域および前記第4の抗体を有している第4の領域を含んでいる、請求項47に記載のキット。
【請求項49】
前記酸を中和するための塩基またはpH緩衝剤をさらに備えている、請求項47に記載のキット。
【請求項50】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が、乾燥状態になっている、請求項47に記載のキット。
【請求項51】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が、溶液状態になっている、請求項47に記載のキット。
【請求項52】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が、亜硝酸としての合わせられた状態になっている、請求項47に記載のキット。
【請求項53】
前記界面活性剤が非イオン界面活性剤である、請求項47に記載のキット。
【請求項54】
2種以上のマーカーをマトリクスから抽出する方法であって、該マトリクスを含有している試料と抽出試薬とを接触させることを含み、該抽出試薬が酸化性の酸を含む方法。
【請求項55】
1種以上のマーカーをマトリクスから抽出する方法であって、該マトリクスを含有している試料と抽出試薬とを接触させることを含み、該抽出試薬が、酸化性の酸を含み、該1種以上のマーカーが、タンパク質、ペプチド、毒素、核酸、脂質およびこれらの組合せからなる群から選択されるマーカーからなる方法。
【請求項56】
1種以上のマーカーをマトリクスから抽出する方法であって、該マトリクスを含有している試料と抽出試薬とを接触させることを含み、該抽出試薬が、酸化性の酸を含み、該1種以上のマーカーが、ウィルスマーカー、菌マーカーまたはこれらの組み合せを含む方法。
【請求項57】
2種以上のマーカーを測定する方法であって、
(a)1種以上の生物を含有している試料と、酸化性の酸を含む抽出試薬とを接触させるステップであって、これにより、アッセイ組成物を調製するステップ、および
(b)前記2種以上のマーカーを前記アッセイ組成物中で測定するステップ
を含む方法。
【請求項58】
1種以上のマーカーを測定する方法であって、
(a)1種以上の生物を含有する試料と、酸化性の酸を含む抽出試薬とを接触させるステップであって、これにより、アッセイ組成物を調製するステップ、および
(b)前記1種以上のマーカーを、前記アッセイ組成物中で測定するステップ
を含み、
前記1種以上のマーカーの少なくとも1つが、タンパク質、ペプチド、毒素、核酸および脂質からなる群から選択されるマーカーからなる方法。
【請求項59】
1種以上のマーカーを測定する方法であって、
(a)1種以上の生物を含有する試料と、酸化性の酸を含む抽出試薬とを接触させるステップであって、これにより、アッセイ組成物を調製するステップ、および
(b)前記1種以上のマーカーを、前記アッセイ組成物中で測定するステップ
を含み、
前記1種以上のマーカーの少なくとも1つが、ウィルスマーカーまたは菌マーカーである方法。
【請求項60】
前記抽出試薬が界面活性剤をさらに含む、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記界面活性剤が、非イオン界面活性剤である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記1種以上のマーカーを前記試料から分離させるステップをさらに含む、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記酸化性の酸が亜硝酸を含む、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記亜硝酸を、亜硝酸塩と酸とを混合することによって調製する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記亜硝酸塩および/または前記酸を、液体状態で使用する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記亜硝酸塩および/または前記酸を、乾燥状態で使用する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記酸化性の酸が、2〜5の範囲のpHを有している、請求項54から59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記抽出試薬を、(a)亜硝酸塩溶液、(b)酸溶液および(c)界面活性剤溶液を混合することによって調製する、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記抽出試薬を、(a)亜硝酸塩および界面活性剤を含む第1の溶液、および(b)酸および界面活性剤を含む第2の溶液を混合することによって調製する、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記抽出試薬を、(a)亜硝酸塩溶液と界面活性剤との組み合せ、および(b)乾燥状態の酸を混合することによって調製する、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記抽出試薬を、(a)酸溶液と界面活性剤との組み合せ、および(b)乾燥状態の亜硝酸塩を混合することによって調製する、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記アッセイ組成物のpHを中和するステップをさらに含む、請求項57から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記マトリクスが生体マトリクスを含む、請求項54から56までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記試料が生体マトリクスを含む、請求項57から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記生体マトリクスが粘性の分泌物(浸出物)である、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記試料が生体試料を含む、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記生体試料が臨床試料を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記臨床試料が患者から採取される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記臨床試料が、綿棒擦過、吸引または洗い出しによって採取される請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記臨床試料が、鼻もしくは咽頭の試料または生殖器の排出物試料である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記試料を培養するステップをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記1種以上のマーカーが生物マーカーである、請求項54から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記1種以上のマーカーが、異なる生物から得られる少なくとも2種のマーカーを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記生物が微生物である、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記微生物が、細菌、ウィルスまたは菌類を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記微生物が、GABHS(A群β溶血連鎖球菌)(StrepA)、アルカノバクテリウム・ヘモリティカム(Arcanobacterium haemolyticum)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ヘモフィルス・デュクレイイ(Haemophilus ducreyi)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス(Moraxella (Branhamella)catarrhalis)、パラインフルエンザ(Parainfluenza)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、コリネバクテリウム・ジフセリエ(Corynebacteriurm diphtheriae)、カリマトバクテリウム属(Calymmatobacterium)、アクチノミセス属(Actinomyces)、バクテロイデス属(Bacteroides)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、モビルンカス属(Mobiluncus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ノカルジア属(Nocardia)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラジミア・プシタッチ(Chlamydia psittaci)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrheae)、ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)、ガルドネレラ・ヴァギナリス(Gardnerella vaginalis)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、E. coli(大腸菌)およびマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)からなる細菌株から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記微生物が、ライノウィルス、パラインフルエンザウィルス、AまたはB型インフルエンザウィルス、呼吸器多核体ウィルス(RSV)、コロナウィルス、アデノウィルス、コクサッキーAウィルス、単純ヘルペスウィルス(HSV)、エンテロウィルス、エプスタイン−バーウィルス、サイトメガロウィルスおよびパピローマウィルスからなる群からなるウィルス株から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記微生物が、カンジダ類(Candida spp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ブラストミセス属(Blastomyces)、コクシジオイデス属(Coccidioides)およびクリプトコッカス属(Cryptococcus)からなる菌類から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
前記2種以上のマーカーを、単一の検出体積から測定する、請求項57に記載の方法。
【請求項90】
前記2種以上のマーカーを、前記試料の部分を含む2つ以上の検出体積から測定する、請求項57に記載の方法。
【請求項91】
前記1種以上のマーカーを、単一の検出体積から測定する、請求項58または59に記載の方法。
【請求項92】
前記1種以上のマーカーを、前記試料の部分を含む2つ以上の検出体積から測定する、請求項58または59に記載の方法。
【請求項93】
感染性疾患に罹っていることが疑われる患者のための診断試験である、請求項57から59までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記感染性疾患が、呼吸器疾患または呼吸器の病気である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記感染性疾患が性病である、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記測定がイムノアッセイを含む、請求項57から59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記測定が、前記アッセイ組成物と、前記1種以上のマーカーに特異的に結合することができる1つ以上の分子とを接触させることを含む、請求項57から59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記2種以上のマーカーのそれぞれに対して、前記アッセイ組成物が、該マーカーと特異的に結合することができる検出分子をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項99】
前記1種以上のマーカーのそれぞれに対して、前記アッセイ組成物が、該マーカーと特異的に結合することができる検出分子をさらに含む、請求項58または59に記載の方法。
【請求項100】
2種以上のマーカーおよび酸化性の酸を含む組成物。
【請求項101】
1種以上のマーカーおよび酸化性の酸を含む組成物であって、少なくとも1つのマーカーが、タンパク質、ペプチド、毒素、核酸または脂質である組成物。
【請求項102】
1種以上のマーカーおよび酸化性の酸を含む組成物であって、少なくとも1つのマーカーが、ウィルスまたは菌のマーカーである組成物。
【請求項103】
界面活性剤をさらに含む、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項104】
前記界面活性剤が非イオン界面活性剤である、請求項103に記載の組成物。
【請求項105】
検出部分または捕捉部分をさらに含む、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項106】
検出部分および捕捉部分をさらに含む、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項107】
pH中和剤をさらに含む、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項108】
前記マーカーが生物マーカーである、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項109】
前記2種以上のマーカーが、異なる生物から得られる生物マーカーである、請求項100に記載の組成物。
【請求項110】
前記生物が微生物である、請求項108または109に記載の組成物。
【請求項111】
前記微生物が、細菌、ウィルスおよび/または菌類を含む、請求項110に記載の組成物。
【請求項112】
前記マーカーが、前記微生物が、GABHS(A群β溶血連鎖球菌)(StrepA)、アルカノバクテリウム・ヘモリティカム(Arcanobacterium haemolyticum)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ヘモフィルス・デュクレイイ(Haemophilus ducreyi)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス(Moraxella (Branhamella)catarrhalis)、パラインフルエンザ(Parainfluenza)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、ボルデテラ・ペルタシス(Bordetella pertussis)、コリネバクテリウム・ジフセリエ(Corynebacteriurm diphtheriae)、カリマトバクテリウム属(Calymmatobacterium)、アクチノミセス属(Actinomyces)、バクテロイデス属(Bacteroides)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、モビルンカス属(Mobiluncus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ノカルジア属(Nocardia)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラジミア・プシタッチ(Chlamydia psittaci)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrheae)、ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)、ガルドネレラ・ヴァギナリス(Gardnerella vaginalis)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、E. coli(大腸菌)およびマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)からなる細菌株から選択される微生物から誘導されている、請求項100から102のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項113】
前記1つ以上のマーカーが、ライノウィルス、パラインフルエンザウィルス、AまたはB型インフルエンザウィルス、呼吸器多核体ウィルス(RSV)、コロナウィルス、アデノウィルス、コクサッキーAウィルス、単純ヘルペスウィルス(HSV)、エンテロウィルス、エプスタイン−バーウィルス、サイトメガロウィルスおよびパピローマウィルスからなるウィルス株から選択される微生物から誘導されている、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項114】
前記1つ以上のマーカーが、
前記微生物が、カンジダ類(Candida spp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ブラストミセス属(Blastomyces)、コクシジオイデス属(Coccidioides)およびクリプトコッカス属(Cryptococcus)からなる菌類から選択される微生物から誘導されている、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項115】
前記組成物が、2〜5の範囲のpHを有している、請求項100から102までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項116】
1つ以上のアッセイで使用するために試料から2つ以上のマーカーを抽出するためのキットであって、1つ以上の容器に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、ならびに(d)(i)pH緩衝剤/pH中和剤、(ii)試料採取器、(iii)防腐剤、(iv)安定剤、(v)抽出用容器、(vi)漂白剤、(vii)乾燥剤、(viii)捕捉部分および(ix)検出部分からなる群から選択される少なくとも1つの抽出要素を含むキット。
【請求項117】
1つ以上のアッセイで使用するために試料から1種以上のマーカーを抽出するためのキットであって、1つ以上の容器に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、ならびに(d)(i)pH緩衝剤/pH中和剤、(ii)試料採取器、(iii)防腐剤、(iv)安定剤、(v)抽出用容器、(vi)漂白剤、(vii)乾燥剤、(viii)捕捉部分および(ix)検出部分からなる群から選択される少なくとも1つの抽出要素を含み、当該1種以上のマーカーをの少なくとも1つが、ウィルスマーカーまたは菌マーカーであるキット。
【請求項118】
1つ以上のアッセイで使用するために試料から1種以上のマーカーを抽出するためのキットであって、1つ以上の容器に、(a)酸、(b)亜硝酸塩、(c)界面活性剤、ならびに(d)(i)pH緩衝剤/pH中和剤、(ii)試料採取器、(iii)防腐剤、(iv)安定剤、(v)抽出用容器、(vi)漂白剤、(vii)乾燥剤、(viii)捕捉部分および(ix)検出部分からなる群から選択される少なくとも1つの抽出要素を含み、当該1種以上のマーカーをの少なくとも1つが、タンパク質マーカー、核酸マーカーまたは脂質マーカーであるキット。
【請求項119】
前記1種以上のマーカーが、生物から得られる少なくとも1種の生物マーカーを含む、請求項116から118までのいずれ
か1項に記載のキット。
【請求項120】
前記生物が微生物である、請求項119に記載のキット。
【請求項121】
微生物が、細菌、ウィルスまたは菌類から選択される、請求項120に記載のキット。
【請求項122】
前記2種以上のマーカーと結合することのできる1つ以上の結合試薬をさらに備えている、請求項116に記載のキット。
【請求項123】
前記1種以上のマーカーと結合することのできる1つ以上の結合試薬をさらに備えている、請求項117または118に記載のキット。
【請求項124】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が乾燥状態になっている、請求項116から118までのいずれか1項に記載のキット。
【請求項125】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が溶液状態になっている、請求項116から118までのいずれか1項に記載のキット。
【請求項126】
前記亜硝酸塩および/または前記酸が組み合わされて亜硝酸を形成する、請求項116から118までのいずれか1項に記載のキット。
【請求項127】
前記界面活性剤が非イオン界面活性剤である、請求項116から118までのいずれか1項に記載のキット。
【請求項128】
前記pH緩衝剤/pH中和剤がトリス塩基溶液である、請求項116から118までのいずれか1項に記載のキット。
【請求項129】
上気道の疾病の原因となる病原微生物のマーカーを抽出する臨床的な方法であって、粘液を含む咽頭および/もしくは鼻咽頭の綿棒擦過物または鼻の洗い出し物と、酸化性の酸および洗剤を含む抽出試薬とを接触させることを含み、これにより、前記粘液から前記マーカーを抽出する方法。
【請求項130】
上気道の疾病の原因となる病原微生物のマーカーを抽出する臨床的な方法であって、粘液を含む咽頭および/もしくは鼻咽頭の綿棒擦過物または鼻の洗い出し物と、酸化性の酸および洗剤を含む抽出試薬とを接触させることを含み、これにより、前記粘液から前記マーカーを抽出し、前記病原微生物の1種以上が存在していて、該病原微生物の少なくとも1種がウィルス粒子または菌類である方法。
【請求項131】
上気道の疾病の原因となる病原微生物のマーカーを抽出する臨床的な方法であって、粘液を含む咽頭および/もしくは鼻咽頭の綿棒擦過物または鼻の洗い出し物と、酸化性の酸および洗剤を含む抽出試薬とを接触させることを含み、これにより、前記粘液から前記マーカーを抽出し、前記病原微生物の2種以上が存在していて、該病原微生物の少なくとも1種がウィルス粒子または菌類である方法。

【公表番号】特表2006−518990(P2006−518990A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563569(P2004−563569)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/039938
【国際公開番号】WO2004/059280
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505243216)メソ スケール テクノロジーズ エルエルシー (8)
【Fターム(参考)】