説明

バイオ燃料および関連材料を製造するためのシステムおよび方法

クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞(American Type Culture Collection 700394T)および本種の全てのその他の株は、バイオマスなどの材料を発酵させて、エタノール、水素、および有機酸などの、有用な産物および副産物にすることができる。クロストリジウム フィトフェルメンタンスを含む組成物も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容がその全体として参照により本明細書に組み入れられる、2006年1月27日に申請された米国仮特許出願第60/762,813号からの優先権の恩典を主張する。
【0002】
連邦政府が資金提供する調査に関する声明
本発明は、米国エネルギー省(DOE)によって与えられた、助成金第DE-FG02-02ER15330号の下で、政府の支援を得てなされた。それゆえ、政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、エタノールなどのバイオ燃料、および関連材料を製造するための組成物、ならびにシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
再生可能でかつ持続可能なバイオマス資源から使用可能なエネルギーを産生する方法を開発することに関心がある。炭水化物の形態のエネルギーを、廃棄物バイオマスの中に、および穀物(例えば、トウモロコシもしくは小麦)または草(例えば、スイッチグラス)などの、専用のエネルギー作物の中に見出すことができる。セルロースおよびリグノセルロース材料が、多くの用途で大量に産生され、処理され、および使用されている。
【0005】
現在の努力目標は、炭水化物の使用可能なエネルギー形態への変換のための実行可能でかつ経済的な戦略を開発することである。炭水化物から有用なエネルギーを取り出すための戦略には、エタノール(「セルロースエタノール」)およびその他のアルコール(例えば、ブタノール)の産生、炭水化物の水素への変換、ならびに燃料細胞による炭水化物の電気エネルギーへの直接的変換が含まれる。例えば、バイオマスエタノール戦略は、DiPardo, Journal of Outlook for Biomass Ethanol Production and Demand (EIA Forecasts), 2002(非特許文献1);Sheehan, Biotechnology Progress, 15:8179, 1999(非特許文献2);Martin, Enzyme Microbes Technology, 31:274, 2002(非特許文献3);Greer, BioCycle, 61-65, April 2005(非特許文献4);Lynd, Microbiology and Molecular Biology Reviews, 66:3, 506-577, 2002(非特許文献5);およびLynd et al. "Consolidated Bioprocessing of Cellulosic Biomass: An Update", Current Opinion in Biotechnology, 16:577-583, 2005(非特許文献6)によって記載されている。
【0006】
【非特許文献1】DiPardo, Journal of Outlook for Biomass Ethanol Production and Demand (EIA Forecasts), 2002
【非特許文献2】Sheehan, Biotechnology Progress, 15:8179, 1999
【非特許文献3】Martin, Enzyme Microbes Technology, 31:274, 2002
【非特許文献4】Greer, BioCycle, 61-65, April 2005
【非特許文献5】Lynd, Microbiology and Molecular Biology Reviews, 66:3, 506-577, 2002
【非特許文献6】Lynd et al. "Consolidated Bioprocessing of Cellulosic Biomass: An Update", Current Opinion in Biotechnology, 16:577-583, 2005
【発明の開示】
【0007】
概要
本発明は、一部は、嫌気性細菌であるクロストリジウム フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)の新しい特徴の発見に基づく。例えば、単離されたクロストリジウム フィトフェルメンタンスの株(ISDgT、American Type Culture Collection 700394T)は、培養へのアクセス権が、特許出願の未決定の間、米国特許法施行規則1.14条および米国特許法122条の下でそれに資格を与えると特許商標庁の長官によって決定された者に利用可能となることを保証する条件の下で寄託されている。本出願、またはその所産に相当するものが申請される国における外国特許法によって請求される場合に、寄託物は利用可能である。しかしながら、寄託物の利用可能性は、政府の行為により認められる特許権の低下において本出願を実施するための許可を構成しないということが理解されるべきである。さらに、本培養寄託物は、微生物の寄託についてのブダペスト条約の条項に従って保存されおよび公に利用可能とされると考えられ、すなわち、それらは、寄託物の試料の供与に対する最新の請求後少なくとも5年間、およびいかなる場合にも、寄託の日付後少なくとも30(三十)年間、または本培養を開示して刊行され得る任意の特許の法的強制力がある有効期間の間に寄託物からの試料の供与に対する最近の請求後少なくとも5年を足した期間、それらを生存しかつ汚染されていない状態にしておくために必要とされる全ての注意を払って保存される。寄託物の状態のために、請求された場合に保管人が試料を供与することができないならば、寄託者は寄託物を取り替える義務を認める。本培養寄託物の公への利用可能性に対する制限は全て、それらを開示する特許の許諾時に取り消し不能の形で除去されるであろう。
【0008】
本発明者らは、ISDgT株などのクロストリジウム フィトフェルメンタンスが、単独でまたは1つもしくは複数のその他の微生物(例えば、酵母もしくはその他の細菌)との組み合わせで、炭水化物もしくは炭水化物の混合物であり、または炭水化物もしくは炭水化物の混合物を含む材料を発酵させて、大規模に、可燃燃料、例えば、エタノール、プロパノール、および/または水素にすることができるということを見出した。例えば、クロストリジウム フィトフェルメンタンスは、おがくず、木粉、木材パルプ、紙パルプ、紙パルプ廃棄物ストリーム、草(例えば、スイッチグラス)、バイオマス植物および作物(例えば、クランベ)、藻類、米の籾殻、バガス、ジュート、葉、刈草、トウモロコシ茎葉、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ穀粒(トモロコシのすりつぶし)、蒸留かす、ならびに蒸留溶質などの廃棄物バイオマスを発酵させて、エタノール、プロパノール、および水素にすることができる。さらに、有機酸(例えば、ギ酸、乳酸、および酢酸)、またはそれらの共役塩基(例えば、フォルメート、ラクテート、もしくはアセテート)などの、その他の有用な有機産物を産生することもできる。
【0009】
ある局面において、本発明は、1つまたは複数のバイオマス材料から1つまたは複数の燃料を作って高分子量の炭水化物を含むバイオマス材料を提供し;バイオマス材料を加水分解して加水分解されたバイオマス材料を提供し;加水分解されたバイオマス材料をクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞と培地中で組み合わせ;ならびに例えば、エタノール、プロパノール、および/または水素などの、燃料または燃料の混合物を産生するのに十分な条件下でおよび該燃料または燃料の混合物を産生するのに十分な時間、加水分解されたバイオマス材料を発酵させる方法を特色とする。燃料に加えて、その他の産物および/または副産物を産生することができる(例えば、有機酸および/またはそれらの共役塩基)。幾つかの態様において、培地中の炭水化物の濃度は約20mMよりも大きい。その他の態様において、濃度は、約1mMよりも大きく、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16よりも大きく、または約18mMよりも大きい。
【0010】
別の局面において、本発明は、高分子量の炭水化物を含むバイオマス材料を加水分解するよう設計された加水分解ユニット、ならびに培地を収容しおよびその中に分散されたクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を含むよう設計された発酵槽を含む燃料プラントを特色とする。
【0011】
別の局面において、本発明は、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞ならびにリグノセルロース材料(および/またはその他のバイオマス材料)を培地中で組み合わせる工程、ならびに例えば、エタノール、プロパノール、および/または水素などの、1つまたは複数の燃料を産生するのに十分な条件下でおよび該燃料を産生するのに十分な時間、リグノセルロース材料を発酵させる工程を含む1つまたは複数の燃料を製造する方法を特色とする。
【0012】
別の局面において、本発明は、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞および炭水化物を含む材料を培地中で組み合わせる工程、ならびに燃料を産生するのに十分な条件下でおよび燃料を産生するのに十分な時間、炭水化物を含む材料を発酵させる工程を含む1つまたは複数の燃料を製造する方法を特色とする。培地中の炭水化物の濃度は、20mMよりも大きく、例えば、30mM、40mM、50mM、75mMよりも大きく、または100mMもしくはそれよりもさらに大きい。
【0013】
本明細書において記載された任意の方法において、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を単独でまたは1つもしくは複数のその他の微生物(例えば、酵母もしくはその他の細菌)と組み合わせて利用して、燃料または有機酸もしくは塩(例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩)として単離することができる、それらの共役塩基などの、別の有用な産物を産生することができる。別の細菌の例は、ザイモモナス モビリス(Zymomonas mobilis)の任意の株である。
【0014】
別の局面において、本発明は、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞単独でまたは酵母株もしくはザイモモナス モビリスの株などの、1つもしくは複数のその他の微生物との共培養で1つまたは複数のバイオマス材料から1つまたは複数の燃料を製造する方法を特色とする。燃料を製造するのに加えて、共培養を用いて、有機酸、または共役塩基もしくはその塩などの、本明細書において記載された任意の副産物を製造することができる。
【0015】
別の局面において、本発明は、クロストリジウム フィトフェルメンタンスを利用して、本明細書において記載された任意のそれらの材料などの、1つまたは複数のバイオマス材料から、有機酸、またはその共役塩基もしくは塩を産生する方法を特色とする。例えば、その他の有用な産物または副産物を、化学産業または薬学的産業用のフィードストックとして用いることができる。産生することができる酸(共役塩基)の例として、乳酸(ラクテート)および酢酸(アセテート)が含まれる。
【0016】
別の局面において、本発明は、クロストリジウム フィトフェルメンタンスおよび1つまたは複数のその他の微生物、例えば、酵母またはその他の細菌(例えば、ザイモモナス モビリス)を含む共培養を特色とする。
【0017】
別の局面において、本発明は、クロストリジウム フィトフェルメンタンスおよび1つまたは複数のその他の微生物、例えば、酵母またはその他の細菌(例えば、ザイモモナス モビリス)を含む組成物を特色とする。組成物は、例えば、固体混合物(例えば、フリーズドライ混合物)、または微生物の液体分散、例えば、共培養の形態であることができる。
【0018】
別の局面において、本発明は、バイオマスまたはバイオマス材料の混合物を選択する工程;バイオマスをクロストリジウム フィトフェルメンタンスを含む培地と組み合わせる工程;バイオマスを第一の期間発酵させて第二のバイオマス材料を提供する工程;(クロストリジウム フィトフェルメンタンスを含むまたは含まない)第二のバイオマス材料をクロストリジウム フィトフェルメンタンスとは異なる別の微生物または微生物の混合物と組み合わせる工程;および第二のバイオマスを第二の期間発酵させて燃料または有機酸などの有用な材料を産生する工程を含む、バイオ燃料などの有用な産物を製造する方法を特色とする。
【0019】
別の局面において、本発明は、その中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンスを含む培地を含む発酵槽を特色とする。クロストリジウム フィトフェルメンタンスと共に、培地は本明細書において記載された任意のその他の微生物のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0020】
別の局面において、本発明は、本明細書において記載された任意のその他の微生物のうちの1つまたは複数と共培養しているクロストリジウム フィトフェルメンタンスを含む発酵槽を特色とする。
【0021】
別の局面において、本発明は、その中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンスを含む培地を含む発酵槽を特色とする。発酵槽は、エタノールなどの発酵産物を連続的に除去するよう設計されている。幾つかの態様において、産物の濃度は実質的に一定、または平均濃度の約25パーセントの範囲内のままである。幾つかの態様において、本明細書において記載された任意のバイオマスは、連続的に発酵槽に供給される。
【0022】
別の局面において、本発明は、本明細書において記載された任意の過程によって作られる産物を特色とする。
【0023】
別の局面において、本発明は、クロストリジウム フィトフェルメンタンスを含む、例えば、発酵槽に播種するための、キットを特色とする。キットは、本明細書において記載された任意のその他の微生物のうちの任意の1つまたは複数をさらに含むことができる。例えば、キット中の微生物を1つの容器または多数の容器の中で組み合わせることができる。キット中の微生物を培地中で分散させることができ、またはそれらをフリーズドライすることができる。キットは栄養分などの出発材料をさらに含むことができる。
【0024】
クロストリジウム フィトフェルメンタンス(American Type Culture Collection 700394T)は、培養株であるISDgT(Warnick et al., International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 52:1155-60, 2002)の表現型および遺伝子型の特徴に基づいて定義される。本発明は一般に、ISDgT株および/またはISDgT株から派生しもしくは独立に単離され得る、クロストリジウム フィトフェルメンタンス種の任意のその他の株が関わる燃料および/またはその他の有用な有機産物を産生するためのシステム、ならびに方法および組成物に関する。標準的な分類学的考察(Stackebrandt and Goebel, International Journal of Systematic Bacteriology, 44:846-9, 1994)を用いて種を定義し:それらが70%未満のDNA再会合値を有することが示されない限り、タイプ株(ISDgT)と比較した場合に97%およびそれより高い16S rRNA配列相同性値を有する株をクロストリジウム フィトフェルメンタンスの株とみなす。70%またはそれよりも大きいDNA再会合値を有する微生物はまた、少なくとも96%のDNA配列同一性を有し、種を定義する表現型特質を共有するということを示すかなりの証拠が存在する。クロストリジウム フィトフェルメンタンス株ISDgTのゲノム配列の解析により、植物多糖発酵用の機構および経路に関与し、この微生物の並ならぬ発酵特性を生じさせる可能性が高い多数の遺伝子および遺伝子座の存在が示されている。上述の分類学的考察に基づいて、クロストリジウム フィトフェルメンタンス種の全ての株も、これらの発酵特性の全て、またはほとんど全てを保有すると考えられる。クロストリジウム フィトフェルメンタンス株は、自然分離株、または遺伝子改変株であることができる。
【0025】
新しいシステムおよび方法の利点として、以下のことの任意の1つまたは組み合わせが含まれる。クロストリジウム フィトフェルメンタンスは、高効率で広範囲の材料を発酵させて燃料にすることができる。好都合なことに、例えば、ラクトース、廃棄紙、葉、刈草、および/またはおがくずなどの廃棄産物を用いて、燃料を製造することができる。クロストリジウム フィトフェルメンタンスは、高濃度の炭水化物においてさえも依然として活性がある。多くの場合、炭水化物を含む材料を、前処置なしで未加工のままで用いることができる。例えば、幾つかの例において、発酵前にセルロース材料の一部を形成する低分子量の糖を放出するためにセルロース材料を、酸、塩基、または酵素で前処置する必要はない。代わりに、クロストリジウム フィトフェルメンタンスは、未加工のセルロース材料を発酵させて直接燃料にすることができる。幾つかの例において、例えば、おがくずまたはスイッチグラスなどのリグノセルロース材料を、リグニンおよび/またはヘミセルロースの除去なしで用いることができる。クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞は、幅広い範囲の温度およびpH範囲の下で増殖および発酵することができる。発酵の間、発酵培地のpHを調整する必要がなくてもよい。幾つかの例において、所望の産物、例えば、エタノールの産生量を増加させるために、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を1つまたは複数のその他の微生物と組み合わせて用いることができる。さらに、クロストリジウム フィトフェルメンタンスは、高濃度の5炭素糖、または5炭素糖繰り返し単位を含むポリマーを発酵させて可燃燃料にすることができる。キシロースなどの、5炭素糖、またはキシランおよび植物細胞壁の「ヘミセルロース分画」のその他の成分などの、5炭素糖繰り返し単位を含むポリマーは、クロストリジウム フィトフェルメンタンスによってリグノセルロース材料のその他のポリマー成分と同時に加水分解および発酵され、エタノールおよび水素などの産物を産出する。5炭素糖、または5炭素糖繰り返し単位を含むポリマーは、クロストリジウム フィトフェルメンタンスの代謝資源を流用するのではないようである。さらに、クロストリジウム フィトフェルメンタンスは、例えば、40mM(グルコース等量)よりも大きい、より高いセルロース濃度を発酵させて、エタノール産出量を増加させる。その他のセルロース発酵微生物は通常、約20mM(グルコース等量)を上回る、より高濃度のセルロースを発酵させず、およびエタノール産出はより高いセルロース濃度では減少する(Desvaux et al., Appl. Environ. Microbiology, 66, 2461-2470, 2000)。
【0026】
炭水化物は、ポリマー、オリゴマー、ダイマー、トリマー、またはモノマーであることができる。炭水化物が1つの繰り返し単位よりも多くから形成されている場合、各々の繰り返し単位は同じであることができまたは異なることができる。ポリマー炭水化物の例として、セルロース、キシラン、ペクチン、およびスターチが含まれ、その一方でセロビオースおよびラクトースはダイマー炭水化物の例である。モノマー炭水化物の例として、グルコースおよびキシロースが含まれる。本明細書において使用される場合の「低分子量の炭水化物」という用語は、普遍的な較正曲線を用いて決定された場合、約1,000未満の式量、または数平均分子量のある任意の炭水化物である。通常、「高分子量の炭水化物」という用語は、1,000よりも大きく、例えば、5,000よりも大きく、10,000よりも大きく、25,000よりも大きく、50,000よりも大きく、100,000よりも大きく、150,000よりも大きく、または250,000よりも大きい分子量を有する任意の炭水化物である。
【0027】
規定のかつ計算可能な式量のある規定の単一構造を有する炭水化物、例えば、モノマーまたはダイマー炭水化物(例えば、それぞれアラビノースおよびセロビオース)については、炭水化物の式量を用いて濃度を算出する。規定の単一構造を有さない炭水化物、例えば、ポリマー炭水化物(例えば、セルロース)については、ポリマー炭水化物の塊全体がポリマー炭水化物を形成するモノマー炭水化物単位まで加水分解されることができると仮定して濃度を算出する。その後、モノマー炭水化物単位の式量を適用して、モノマー等量単位で濃度を算出する。例えば、純粋なセルロースは完全にグルコースで構成される。セルロースの塊全体がグルコースまで加水分解されると仮定すると、10グラムのセルロースは10グラムのグルコースを与えると考えられる。グルコース(C6H12O6)は180.16 amuの式量を有する。10グラムのグルコースは0.056モルのグルコースである。この量のグルコースが1Lの溶液中にある場合、濃度は0.056Mまたは56mMであると考えられる。ポリマーが1つより多くの繰り返し単位を有する場合、ポリマー炭水化物の塊全体がポリマー炭水化物を形成するモノマー炭水化物単位まで加水分解されることができると仮定することによって、濃度は全平均炭水化物濃度として算出されると考えられる。例えば、ポリマー炭水化物が完全に2つの繰り返し単位で構成されている場合、Xグラムのポリマー炭水化物の加水分解は、Xグラムのモノマー炭水化物を与える。合成式量は、第一のモノマー炭水化物のモル分率およびその式量の積ならびに第二のモノマー炭水化物のモル分率およびその式量の積の合計である。その時、炭水化物のモルの平均数は、合成式量で割ったXグラムである。平均炭水化物濃度は、モルの平均数をそれらが存在する溶液の量で割ることによって見出される。
【0028】
「発酵可能な材料」とは、クロストリジウム フィトフェルメンタンス(例えば、ISDgT)が、少なくとも一部は、例えば、エタノール、プロパノール、もしくは水素などの燃料、および/または例えば、有機酸などの別の有用な産物に変換することができる材料である。
【0029】
バイオマスとは、死んでいるまたは生きている、生物学的有機体(例えば、植物または動物)であり、または該有機体から得られる有機性の、非化石材料である。バイオマスは、地質学的過程によって石炭または石油などの物質に転換された塊を除くが、例えば、そのような有機体またはそのような有機体の残部を化学的に処置することによって、生きているまたは死んでいる有機体から得られる材料を含む。バイオマスの例として、木材、木材関連材料(例えば、パーティクルボード)、紙、草(例えば、スイッチグラス、ミスカンタス(Miscanthus))、米の籾殻、バガス、綿、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、麦わら、葉、刈草、トウモロコシ茎葉、トウモロコシ穂軸、蒸留かす、マメ植物、ソルガム、およびバイオマス作物(例えば、クランベ)が含まれる。
【0030】
そうでないように定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は全て、本発明が属する技術分野の専門家によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施または検討において用いることができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書において述べられた刊行物、特許出願、特許、およびその他の参照は全て、それらの全体が参照により組み入れられる。矛盾がある場合、定義を含む、本明細書が支配すると考えられる。さらに、材料、方法、および実施例は、例証的であるに過ぎず、および限定的であるよう意図されない。
【0031】
本発明のその他の特色および利点は、以下の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明白であると考えられる。
【0032】
詳細な説明
図1は、その中に溶解または分散した発酵可能な材料を有する培地12を収容する発酵容器10を示す。発酵可能な材料は、例えば、グルコース、セロビオース、もしくはセルロースなどの炭水化物であり、またはそのような炭水化物を含む。培地12は、ISDgT細胞などの、その中に分散した複数のクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞14も有する。クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞14は、発酵可能な材料を発酵させて、例えば、エタノールおよび/または水素などの可燃燃料を産生する。その他の有用な産物および副産物も産生することができる。その他の産物は、有機酸(例えば、ギ酸、乳酸、および酢酸)、またはそれらの共役塩基(例えば、ギ酸、乳酸、または酢酸イオン)を含むことができる。
【0033】
クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞14(American Type Culture Collection 700394T)は、マサチューセッツ州(USA)のクオビン湖(Quabbin Reservoir)近くの植林地の中の間欠河川の川底の湿った沈泥から単離された。通常、ISDgT細胞14は、円形の、末端胞子(直径0.9〜1.5μm)を形成する、長く、細く、真っすぐで、かつ運動性の桿体(0.5〜0.8×3.0〜15.0μm)である。クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞のさらなる特徴は、Warnick et al., Int. J. Systematic and Evol. Microbiology, 52, 1155-1160(2002)に記載されている。
【0034】
培地12の表面19より下に沈められているガス出口18を含む気泡器16を通して実質的に酸素を含まないガスを泡立てることによって達成および/または維持される嫌気性環境で、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞14を培養する。培地12の中での反応からの余分なガスおよび流出物は、ヘッドスペース22を満たし、および容器壁30の中で形成されたガス出口穴21を通して最終的に放出される。嫌気的条件を維持するために用いることができるガスには、N2、N2/CO2(80:20)、N2/CO2/H2(83:10:7)、ならびに、例えばヘリウムおよびアルゴンなどの、希ガスが含まれる。幾つかの実施において、均一性を達成および/または維持するために、培地12を(矢40で示されるように)かき混ぜる。容器10を振盪または振動させることによって均一性を維持することもできる。
【0035】
幾つかの例において、培地12の中で懸濁されたクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞14の濃度は、約106〜約109細胞/mL、例えば、約107〜約108細胞/mLである。幾つかの実施において、発酵の開始時の濃度は、約107細胞/mLである。
【0036】
本発明者らは、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞14が、低濃度、例えば、0.01mM〜約5mM、および高濃度両方の炭水化物を発酵させることができ、ならびにその他の有機体に対して副作用を有すると考えられる、比較的高濃度の炭水化物でそれらの作用が通常阻害されないということを見出した。例えば、培地中の炭水化物の濃度は、20mMよりも大きく、例えば、25mM、30mM、40mM、50mM、60mM、75mM、100mM、150mM、200mM、250mM、300mMよりも大きく、または500mMもしくはそれよりもさらに大きいものであることができる。任意のこれらの態様において、炭水化物の濃度は通常、2,000mM未満である。
【0037】
発酵可能な材料は、1つもしくは複数の低分子量の炭水化物であることができ、またはそのような炭水化物を含むことができる。低分子量の炭水化物は、例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、またはこれらの混合物であることができる。単糖は、例えば、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、ノノース、またはこれらの混合物であることができる。例えば、単糖は、アラビノース、グリセロアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリスロース、リボース、リブロース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、フルクトース、セドヘプツロース、ノイラミン酸、またはこれらの混合物であることができる。二糖は、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、ゲンチオビオース、またはこれらの混合物であることができる。
【0038】
幾つかの態様において、高分子量の多糖(例えば、セルロース、キシランもしくはヘミセルロースのその他の成分、ペクチン、および/またはスターチ)を分解することによって、低分子量の炭水化物を作り出す。この技術を廃棄物ストリーム、例えば、廃棄紙(例えば、廃棄新聞紙および廃棄段ボール)に都合良くかつ直接的に適用することができる。幾つかの例において、別々の過程として分解を行ない、その後低分子量の炭水化物を利用する。その他の例において、高分子量の炭水化物を培地に直接添加し、およびインサイチューで低分子量の炭水化物に分解する。幾つかの実施において、これを化学的に、例えば、酸化、塩基加水分解、および/または酸加水分解によって行なう。化学的加水分解は、Bjerre, Biotechnol. Bioeng., 49:568, 1996、およびKim et al., Biotechnol. Prog., 18:489, 2002によって記載されている。
【0039】
幾つかの実施において、1つまたは複数の酵素、例えば、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、またはセロビオヒドロラーゼ(CBH)を用いて多糖を分解することによって、低分子量の炭水化物を作り出す。これらの酵素を酵素調製物として多糖源に添加することができ、またはそれらを有機体、例えば、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)BKMF 1305、およびトリコデルマ リーゼイ(Trichoderma reesei)RUT C30によって、インサイチューで作ってもよい。酵素的分解は、T. Juhasz, Food Tech. Biotechnol.(2003), 41, 49によって考察されている。
【0040】
具体的な実施において、ラクトースを炭水化物として用いる。ラクトースは、チーズ産業によって大量に生産されている。例えば、1年に約4億7000万ポンドのラクトースが米国のチーズ産業によって生産され、および別の7億2600万ポンドが欧州で生産されているということが、Elliott, Proceedings of the 38th Annual Marschall Cheese Seminar(2001)によって推定されている。発酵槽、例えば、主要な発酵槽に供給するシード発酵槽の中で、単独でまたはその他の増殖基質と一緒に、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞のための増殖基質として、ラクトースを用いてもよい。低分子量の炭水化物の発酵を増加させ、ならびに/またはセルロース、もしくはその他の高分子量の炭水化物の分解および発酵の速度を上げるために、ラクトースを発酵容器に添加してもよい。
【0041】
発酵可能な材料は、1つもしくは複数の高分子量の炭水化物であることができ、またはそのような炭水化物を含むことができる。高分子量の炭水化物には、例えば、ポリガラクツロン酸、セルロース、微結晶セルロース、ペクチン、スターチ、キシラン、その他のヘミセルロースポリマー、またはこれらの混合物が含まれる。微結晶セルロースおよび修飾微結晶セルロースは、AVICEL(登録商標)という商標名でFMC Biopolymerから市販されている。
【0042】
発酵可能な材料は、1つもしくは複数のバイオマス材料、例えば、セルロースもしくはリグノセルロース材料であることもでき、または1つもしくは複数のバイオマス材料、例えば、セルロースもしくはリグノセルロース材料を含むことができる。セルロース材料は、セルロースを含むが、リグニンを実質的に含まない、例えば、0.5重量パーセント未満しか含まない材料である。セルロース材料は、天然、半合成、または完全合成であることができる。例えば、綿は天然のセルロース材料である。半合成セルロース材料には、例えば、レーヨン(再生セルロース)および例えば、未使用のくず織物材料(例えば、レムナント)から得られる、綿繊維を含む織物、または消費財廃棄物、例えば、古着が含まれる。その他の半合成セルロース材料には、(例えば、トウモロコシエタノール産業からの)蒸留かす、紙、ならびにポリコーティング紙およびクラフト紙などの製品が含まれる。紙または紙製品は未使用の材料であることができ、またはそれらは消費財廃棄物材料であることができる。
【0043】
リグノセルロース材料には、セルロースおよびある割合のリグニン、例えば、少なくとも約0.5重量パーセント〜約60重量パーセント、またはそれより多くのリグニンが含まれる。リグニンはポリフェノール材料とみなすことができる。幾つかのリグニンは、下の構造(I)で表すことができる:

リグニンは、高度に分岐していることができ、および部分的に架橋されていることもできる。リグニンは、少なくとも一部は、その源、例えば、それが硬木に由来するのか、または軟木に由来するのかということに依存する顕著な構造的変動を有することができる。
【0044】
リグノセルロース材料には、例えば、製紙スラッジ;木材、および木材関連材料、例えば、おがくず、パーティクルボード、または葉;ならびに天然繊維源、例えば、ポプラの木などの木、スイッチグラスなどの草、葉、刈草、米の籾殻、バガス、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、麦わら、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、小麦わら、米の籾殻、およびココナッツの毛が含まれる。
【0045】
特定の実施において、リグノセルロース材料を針葉樹などの木、例えば、イースタンヘムロック(ツガ カナデンシス(Tsuga canadensis))、イチョウの木(ギンコ ビロバ(Ginkgo bilboa))、エンピツビャクシン(ジュニペルス バージニアーナ(Juniperus virgineana))、モンタナマツ(ピヌス ムゴ(Pinus mugo))、ヒマラヤスギ(ケドルス デオダラ(Cedrus deodara))、ウェスタンレッドシダー(ツヤ プリカータ(Thuja plicata))、ヨーロッパイチイ(タクスス バクカータ(Taxus baccata))、コロラドトウヒ(ピケア プンゲンス(Picea pungens))から入手し;または落葉樹、例えば、ナナカマド(ソルブス(Sorbus))、ガム(ユーカリプツス グンニイ(Eucalyptus gunnii))、カバノキ(ベツラ プラティフィラ(Betula platyphylla))、もしくはノルウェーカエデ(アーケル プラタノイデス(Acer platanoides))利用することができる。また、ポプラ、ブナ、サトウカエデ、およびオークの木を利用してもよい。
【0046】
幾つかの例において、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞は、リグニンを除去する必要なく直接的にリグノセルロース材料を発酵させることができる。
【0047】
しかしながら、ある種の態様において、発酵させる前にリグノセルロース材料からリグニンの少なくとも幾らかを除去することが有用である。例えば、リグノセルロース材料からのリグニンの除去は、残存するセルロース材料をより多孔性でかつより高い表面積にすることができ、それによって、例えば、発酵の割合およびエタノール産出を増大させることができる。例えば、亜硫酸過程、アルカリ過程によって、またはクラフト過程によって、リグニンをリグノセルロース材料から除去することができる。そのような過程およびその他のものは、Meister, 米国特許第5,138,007号、およびKnauf et al., International Sugar Journal, 106:1263, 147-150(2004)に記載されている。スイッチグラスのリグニン含有量は、約17.6%(乾重量パーセント)であり、それはトウモロコシ茎葉とほぼ同じである。筆記用紙のリグニン含有量は、約0パーセントリグニン〜約12パーセントリグニンの範囲にまで及ぶ。事務用紙に中には、約11〜12パーセントリグニンの範囲内にあるリグニン含有量を有するものがある。Mosier et al., Bioresource Technology 96:673, 2005は、幾つかの材料のリグニン含有量を考察し、およびそれを除去するための幾つかの前処置戦略も考察している。リグニンを除去する場合、例えば、リグニンを燃焼させることによってボイラーを熱するための過程におけるエネルギー源として、それを用いることができる。
【0048】
リグノセルロース材料を化学的に処置し、セルロース材料が、例えば、繊維の形態で、リグニンから分離されるのを可能にする程度までリグニンを可溶化することによって、セルロース材料をリグノセルロース材料から得ることができる。リグノセルロース材料が木に由来する場合、溶解されたリグニンは通常、材料の約25〜45%を構成する。
【0049】
例えば、回転ナイフカッターで材料を剪断することによって、またはボールミルで材料を微粉化することによって、材料のサイズを低下させることができる。回転ナイフカッターを用いて、材料、例えば、セルロースまたはリグノセルロース材料のサイズを低下させる場合、典型的には、結果として得られる材料は、性質が繊維状で、例えば、5/1よりも大きく、10/1よりも大きく、15/1よりも大きく、20/1よりも大きく、または25/1よりもさらに大きい、実質的な長さ対直径の比を有する。ボールミルを用いる場合、典型的には、結果として得られる材料は、例えば、5ミクロン未満の、例えば、4ミクロン未満、2.5ミクロン未満、1ミクロン未満の直径を有する、実質的に球状の粒子を典型的に有する、粉末の形態にある。
【0050】
図2は、例えば、チップの形態で、セルロースまたはリグノセルロース材料102を充填することができるホッパー101を含む回転ナイフカッター100を示す。セルロースまたはリグノセルロース材料を剪断区域103に引き込み、および固定羽根104と回転羽根106の間で剪断する。仕切り105は、仕切りの中に定められた穴を通過するのに十分なほど材料のサイズが小さくなるまで、セルロースまたはリグノセルロース材料が剪断区域103を離れるのを防ぐ。ひとたびセルロースまたはリグノセルロース材料が仕切りの中の開口部を通過すれば、それは容器110で捕捉される。剪断された繊維状のセルロースまたはリグノセルロース材料の回収を手助けするために、名目大気圧を下回る圧力で容器110を維持することができる。容器の中に回収された繊維状のセルロースまたはリグノセルロース材料は、例えば、立方センチメートル当たり0.5グラムより少なく、例えば、立方センチメートル当たり0.3グラムより少なく、または立方センチメートル当たり0.2グラムよりさらに少ない、比較的低いかさ密度を有し、かつ図3Aおよび3Bで示されるような、「ふわふわした」外観を有する。
【0051】
幾つかの実施において、比較的高い表面積および/または比較的高い多孔度を有する繊維状の材料を用いることが望ましい可能性がある。例えば、望ましい繊維状の材料は、BET Brunauer Emmett Teller表面積測定法を用いて測定された場合、0.5m2/gよりも大きく、例えば、1.0m2/g、1.5m2/g、1.75m2/g、5m2/gよりも大きく、もしくは10m2/gよりもさらに大きい表面積;および/または水銀ポロシメトリーで決定された場合、70パーセントよりも大きく、例えば、80パーセント、87.5パーセント、90パーセントよりも大きく、もしくは95パーセントよりもさらに大きい多孔度を有することができる。高表面積および/または高多孔度は、加水分解率および/または発酵率を増大させることができる。
【0052】
例えば、紙源から得られた材料、および綿から得られた材料の混成物などの、任意の上の材料の混成物を用いることができる。
【0053】
幾つかの態様において、エタノールなどの、発酵産物を連続的に除去するように、その中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を含む培地を含む発酵槽を設計する。幾つかの態様において、所望の産物の濃度は、実質的に一定、または例えば、約10mM〜約25mMの初期濃度での発酵の2、3、4、5、6、もしくは10時間後に測定される、平均濃度の約25パーセント以内のままである。幾つかの態様において、本明細書において記載された任意のバイオマス材料または混合物を発酵槽に連続的に供給する。
【0054】
クロストリジウム フィトフェルメンタンス用の培地は、緩衝剤、例えば、NaHCO3、NH4Cl、NaH2PO4・H2O、K2HPO4、およびKH2PO4;電解質、例えば、KClおよびNaCl;増殖因子;界面活性剤;ならびにキレート剤などの、さらなる構成要素を含むことができる。増殖因子には、例えば、ビオチン、葉酸、ピリドキシンHCl、リボフラビン、尿素、酵母抽出物、チミン、トリプトン、アデニン、シトシン、グアノシン、ウラシル、ニコチン酸、パントテン酸、B12(シアノコバラミン)、p-アミノ安息香酸、およびチオクト酸が含まれる。ミネラルには、例えば、MgSO4、MnSO4・H2O、FeSO4・7H2O、CaCl2・2H2O、CoCl2・6H2O、ZnCl2、CuSO4・5H2O、AlK(SO4)2・12H2O、H3BO3、Na2MoO4、NiCl2・6H2O、およびNaWO4・2H2Oが含まれる。キレート剤には、例えば、ニトリロ三酢酸が含まれる。界面活性剤には、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEGおよびPPGのコポリマー、ならびにポリビニルアルコールが含まれる。
【0055】
幾つかの実施において、発酵条件には、約45℃未満、例えば、約42℃未満(例えば、約34℃から38℃、または約37℃)の温度で培地を維持する工程が含まれる。任意のこれらの実施において、通常、約5℃を上回る、例えば、約15℃を上回る温度で培地を維持する。
【0056】
幾つかの実施において、発酵条件には、約9.5を下回る、例えば、約6.0から9.0、または約8から8.5のpHで培地を維持する工程が含まれる。通常、発酵の間、培地のpHは典型的には、1.5 pH単位よりも多くは変化しない。例えば、発酵が約7.5のpHで始まる場合、典型的には、発酵の終わりに、細胞の増殖範囲内である、pH6.0よりも低くはならない。
【0057】
クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞は、例えば、7重量パーセントまたはそれより高い、例えば、12.5重量パーセントなどの、比較的高濃度のエタノールに適応する。クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞は、発酵の前に、例えば、7パーセントエタノールなどの、エタノールに富む環境で増殖させ、例えば、20パーセントなどの、さらにより高濃度のエタノールに細胞を適応させることができる。幾つかの態様において、例えば、2パーセントエタノールから始め、その後5パーセントエタノール、その後10パーセントエタノールと、連続的により高い濃度のエタノール中でクロストリジウム フィトフェルメンタンスを適応させる。
【0058】
エタノールに加えたまたはエタノール以外の産物を産生することができる。より一般的には、発酵産物には、アルコール(例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、またはこれらの混合物)および水素などの、燃料が含まれる。その他の産物には、有機酸(例えば、ギ酸、乳酸、酢酸、もしくはこれらの混合物)、またはそれらの共役塩基(例えば、ギ酸、乳酸、もしくは酢酸イオン)もしくはその塩が含まれる。
【0059】
ISDgT株などのクロストリジウム フィトフェルメンタンスを単独で、または酵母もしくは菌類(例えば、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア スチピチス(Pichia stipitis)、トリコデルマ種、アスペルギルス種)もしくはその他の細菌(例えば、ザイモモナス モビリス、クレブシエラ オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、大腸菌(Escherichia coli)、クロストリジウム アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム ベイジェリンキー(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム パピロソルベンス(Clostridium papyrosolvens)、クロストリジウム セルロリチカム(Clostridium cellulolyticum)、クロストリジウム ジョスイ(Clostridium josui)、クロストリジウム テルミチジス(Clostridium termitidis)、クロストリジウム セルロシ(Clostridium cellulosi)、クロストリジウム セレレクレスケンス(Clostridium celerecrescens)、クロストリジウム ポプレチ(Clostridium populeti)、クロストリジウム セルロボランス(Clostridium cellulovorans))などの、1つもしくはその他の微生物と組み合わせて、用いることができる。例えば、増殖基質としてセルロースを含む培地中でセルロース分解性のクロストリジウム(C7株)をザイモモナス モビリスと共培養で増殖させた場合、エタノール産出は、クロストリジウム単独による培養でよりも2.5倍高かった(Leschine and Canale-Parola, Current Microbiology, 11:129-136, 1984)。微生物の混合物を、固体混合物(例えば、フリーズドライ混合物)として、もしくは微生物の液体分散として提供し、およびクロストリジウム フィトフェルメンタンスとの共培養で増殖させることができ、または例えば、クロストリジウム フィトフェルメンタンスの添加前もしくは添加後に別の微生物を添加することによって、微生物を連続して培養培地に添加してもよい。
【0060】
さらに、本明細書において記載された任意のバイオマス材料または本明細書において記載された任意のバイオマス材料の混合物を、連続的なまたは同時に起こる方法で本明細書において記載された1つまたは複数の微生物で処置することができる。例えば、バイオマス(もしくはバイオマス混合物)を微生物の混合物、例えば、共培養で同時に処置することができ、またはバイオマス(もしくはバイオマス混合物)を第一の微生物もしくは第一の微生物の混合物(例えば、1つもしくは複数の酵母、菌類、もしくはその他の細菌)で初めに処置することができ、その後結果として得られるバイオマスを1つもしくは複数のクロストリジウム フィトフェルメンタンスの株と共に処置することができる。その他の態様において、バイオマス材料(もしくはバイオマス混合物)を1つもしくは複数のクロストリジウム フィトフェルメンタンスの株で初めに処置し、その後結果として得られるバイオマスを1つもしくは複数のその他の微生物(本明細書において記載された微生物の任意の1つもしくは混合物)で処置する。
【0061】
バイオマスからの大規模エタノール産生
通常、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を利用して大規模にバイオマスから燃料等級のエタノールを産生する2つの基本的アプローチがある。第一の方法では、最初に高分子量の炭水化物を含むバイオマス材料を低分子量の炭水化物まで加水分解し、その後クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を利用して低分子量の炭水化物を発酵させ、エタノールを産生する。第二の方法では、化学的および/または酵素的前処置なしでバイオマス材料それ自体を発酵させる。第一の方法では、酸、例えば、ブレンステッド酸(例えば、硫酸もしくは塩酸)、塩基、例えば、水酸化ナトリウム、熱水過程、アンモニアによる繊維の破裂過程(「EFEX」)、石灰過程、酵素、またはこれらの組み合わせを用いて、加水分解を遂行することができる。水素、および発酵のその他の産物を望ましい場合に捕捉および精製し、または例えば、燃焼させることによって処分することができる。例えば、水素ガスを燃え上がらせ、または例えば、燃焼させることによって、例えば、蒸気ボイラーを駆動するための、過程におけるエネルギー源として用いることができる。バイオマスの加水分解および/または蒸気処置は、例えば、バイオマスの多孔度および/または表面積を増大させ、時折セルロース材料をクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞により曝露されるようにすることができ、それによって発酵率および産出を増大させることができる。リグニンの除去は、例えば、ボイラーを駆動するための可燃燃料を提供することができ、ならびに例えば、バイオマスの多孔度および/または表面積を増大させ、発酵率および産出を時折増大させることもできる。通常、任意の下記の態様において、培地中の炭水化物の初期濃度は20mMよりも大きく、例えば、30mM、50mM、75mM、100mM、150mM、200mMよりも大きく、または500mMよりもさらに大きい。
【0062】
酸加水分解前処置を利用したバイオマスからのエタノール産生
図4は、水に懸濁された(例えば、約10から約60重量パーセントの)バイオマスを酸性化ユニット160の中で、酸で最初に処置することによって、バイオマスからエタノールを産生するための過程158を例証している。バイオマスは、例えば、木材チップ、おがくず、粉砕された農業残渣もしくはバイオマス作物(例えば、トウモロコシ茎葉もしくはスイッチグラス)、トウモロコシ製粉残渣、図3Aおよび3Bで示されたもののような剪断された紙製品、またはこれらのおよびその他のセルロースおよび/もしくはリグノセルロース材料の混合物であることができる。ガス状の二酸化硫黄を水に懸濁されているバイオマスの中を通して泡立てることによって、または強い酸、例えば、硫酸、塩酸、もしくは硝酸を添加することによって、バイオマスを酸性化することができる。酸性化の間、pHを約3より下で、例えば、約2.5より下または約1.5より下で維持する。バイオマスの加水分解を手助けするために、既に酸性化ユニットにある酸に加えて、任意で、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、またはこれらの混合物などの金属塩を添加することができる。例えば、約1から6時間、例えば、約40℃から約80℃の温度で、酸性化ユニット160の中にバイオマスを収容する。
【0063】
酸性化ユニット160の中での酸性化の後、例えば、圧搾によってまたは遠心分離によって、脱水ユニット164の中でバイオマスを脱水し、酸性化水の多くを除去する。望ましい場合、酸性化ユニット160の中で酸性化水を再使用することができる。
【0064】
例えば、幾つかの例において、バイオマスを実質的に圧縮強化しない、重力供給器または回転バルブ供給器によって、酸を染み込ませたバイオマスを加水分解ユニット166の中に供給する。加水分解ユニット166の中に蒸気を注入してバイオマスと直接接触させかつバイオマスを所望の温度まで熱する。蒸気の温度は、例えば、約130℃から約220℃であり、および例えば、約10分から約120分という時間の間、蒸気注入を続ける。その後、例えば、約100℃から約190℃の温度で作動するフラッシュタンク170の中に加水分解物を排出し、ならびにしばらくの間、例えば、約1時間から約6時間、タンク170の中に収容し、バイオマスをさらに加水分解して、例えば、可溶性のオリゴ糖およびモノマー糖にする。
【0065】
その後、抽出機172、例えば、向流抽出機、スクリューコンベヤ抽出機、または真空ベルト抽出機の中に加水分解物を供給する。抽出器172の中で、例えば、約40℃から約90℃の温度の熱水で加水分解物を洗浄する。例えば、それ自身の重量よりも大きく、例えば、それ自身の重量の2倍よりも大きく、例えば、それ自身の重量の3倍、4倍、8倍よりも大きく、またはそれ自身の重量の10倍よりもさらに大きい、量の水で加水分解物を洗浄する。
【0066】
pH調整およびろ過ユニット180の中で、例えば、石灰またはアンモニアの形態の、アルカリを抽出物に添加し、抽出物のpHを約7から約8に調整する。アルカリの添加中の任意の沈殿を除去し、およびその中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を有する培地を収容する、発酵槽182に濾液を送る。培地中の炭水化物の初期濃度は、20mMから約100mMである。培地中に懸濁されたクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞の濃度は、例えば、約107から約109細胞/mLである。ある実施において、(GS-2と称される)培地は、酵母抽出物、6.0;尿素、2.1;K2HPO4、2.9;KH2PO4、1.5;MOPS;10.0;クエン酸三ナトリウム二水和物、3.0;塩酸システイン、2.0を含む(各々、g/Lで表す)。その他の実施において、Wolin et al., Bacteriology, 87:993, 1964で記載されているように調製された、トリプトン、2.0;アデノシン、0.02;シトシン、0.05;グアノシン、0.02;チミン、0.05;ウラシル、0.04;およびある量のビタミン溶液、例えば、10g/mL:を含む、成分をGS-2培地中の成分に添加し、またはGS-2培地中の成分と置き換えてもよい。培地中の炭水化物の初期濃度が、例えば、約pH7.0からpH7.5であるように、pHおよびろ過ユニット180からの抽出物を調整する。
【0067】
望ましい場合、発酵の開始時に、加水分解物に加えて、低分子量の炭水化物、例えば、ラクトースを、例えば、約1.0g/Lから5g/Lの初期濃度まで添加することができる。これは、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞の数を急速に増大させ、および発酵槽内で酵素を作るのを助けることができる。例えば、約15℃から40℃の温度を維持しつつ、しばらくの間、例えば、約8時間から72時間、培地の中を通して窒素ガスを泡立てながら、発酵を進行させる。発酵の間に産生される水素ガスを窒素ガスによって発酵槽182から吹き飛ばし、および回収するかまたは燃え上がらせるかのいずれかにする。
【0068】
抽出機172からの抽出固形物を脱水し、その後第二の酸性化ユニット190に供給する。抽出機からの固形物を酸、および任意で、金属塩の水性溶液に浸す。酸性化の間、pHを約3より下、例えば、約2.5より下または約1.5より下で維持する。例えば、約1から6時間、例えば、約40℃から約80℃の温度で、第二の酸性化ユニット190の中にバイオマスを収容する。
【0069】
酸性化ユニット190での酸性化の後、例えば、圧搾によってまたは遠心分離によって、脱水ユニット200の中でバイオマスを脱水し、酸性化水の多くを除去する。望ましい場合、酸性化ユニット160および/または酸性化ユニット190の中で酸性化水を再使用することができる。
【0070】
酸を染み込ませたバイオマスを第二の加水分解ユニット202の中に供給する。第二の加水分解ユニット202の中に蒸気を注入してバイオマスと直接接触させかつバイオマスを所望の温度まで熱する。蒸気の温度および処置の時間は、第一の加水分解ユニット166で用いられたものと通常同じである。その後、例えば、約140℃から約190℃の温度で作動するフラッシュタンク204の中に加水分解物を排出し、ならびにしばらくの間、例えば、約0.5時間から約12時間、タンク204の中に収容し、バイオマスをさらに加水分解する。
【0071】
pH調整およびろ過ユニット210の中の抽出物にアルカリを添加し、抽出物のpHを約7から約8に調整する。アルカリの添加中の任意の沈殿を除去し、および発酵槽182の内容物と濾液を組み合わせ、その後発酵槽212に送る。例えば、約25℃から35℃の温度を維持しつつ、しばらくの間、例えば、約15時間から100時間、培地の中を通して窒素ガスを泡立てながら、発酵を進行させる。発酵の間に産生される水素ガスを窒素ガスによって発酵槽212から吹き飛ばし、および回収するかまたは燃え上がらせるかのいずれかにする。
【0072】
発酵後、発酵槽212の内容物全体を蒸留ユニット220に移し、ならびに(容量で)96パーセントエタノール/4パーセント水を蒸留および回収する。例えば、ベンゼンの添加およびその後の混合物の再蒸留による、96パーセントエタノールの共沸蒸留によって、または分子ふるいに96パーセントエタノールを通して水を除去することによって、燃料等級エタノール(99−100パーセントエタノール)を得ることができる。
【0073】
酵素加水分解前処置を利用したバイオマスからのエタノール産生
図5Aは、例えば、水に懸濁された(10から60重量パーセントの)バイオマスを加水分解ユニット230の中で、ヘミセルロース、ペクチン、およびスターチの成分に対して活性がある酵素または酵素の混合物、例えば、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ(CBH)、β-グルコシダーゼ、グリコシドヒドロラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リアーゼ、およびエステラーゼで最初に処置することによって、バイオマスからエタノールを産生するための過程228を例証する。加水分解の間、水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約6.0から約7.5で維持する。例えば、約6から120時間、例えば、約25℃から約40℃の温度で、および窒素下で、加水分解ユニット230の中にバイオマスを収容する。
【0074】
加水分解後、例えば、石灰もしくはアンモニアの形態の、アルカリ、および/または例えば、硫酸の水性溶液の形態の酸を、pH調整ユニット234を経由して加水分解ユニット230の内容物に添加し、内容物のpHを約7から約8に調整する。pHを調整した後、その中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を有する培地を収容する、発酵槽240に加水分解ユニット230の内容物全体を移す。培地中の炭水化物の初期濃度は、20mMから約100mMである。培地中に懸濁されたクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞の濃度は、例えば、約107から約109細胞/mLである。ある実施において、培地は、酵母抽出物、6.0;尿素、2.1;K2HPO4、2.9;KH2PO4、1.5;MOPS;10.0;クエン酸三ナトリウム二水和物、3.0;塩酸システインを含む(各々、g/Lで表す)。培地中の炭水化物の初期濃度が、例えば、約50mMから200mMであるように、加水分解ユニット230からの流出物を調整する。望ましい場合、発酵の開始時に、例えば、約1.0g/Lから5g/Lの初期濃度までセロビオースを添加することができ、または発酵または加水分解の速度を上げるためにラクトースを添加することができる。例えば、約15℃から40℃の温度を維持しつつ、しばらくの間、例えば、約8時間から72時間、培地を通して窒素ガスを泡立てながら、発酵を進行させる。発酵の間に産生される水素ガスを窒素ガスによって発酵槽240から吹き飛ばし、および回収するかまたは燃え上がらせるかのいずれかにする。
【0075】
発酵後、発酵槽240の内容物全体を蒸留ユニット242に移し、および上で考察されたように燃料等級のエタノールを得ることができる。
【0076】
酸または酵素前処置を伴わないバイオマスからのエタノール産生
図5Bは、水に懸濁された、例えば、10から60重量パーセントのバイオマスを収容容器252に最初に詰めることによって、バイオマスからエタノールを産生するための過程250を例証する。正常大気圧下である場合、例えば、約25℃から約90℃の温度で、または正常大気圧よりも高い圧力、例えば、約1.5気圧から約10気圧下である場合、約100から約175の温度で、例えば、約1時間から36時間の時間、バイオマスを浸漬させてもよい。浸漬時間の後、例えば、石灰もしくはアンモニアの形態の、アルカリ、および/または例えば、硫酸の水性溶液の形態の酸を、pH調整ユニット260を経由して収容容器252の内容物に添加し、内容物のpHを約7から約8に調整する。pHを調整した後、その中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を有する培地を収容する、発酵槽262に収容容器252の内容物全体を移す。培地中の炭水化物の初期濃度は、20mMから約100mMである。上で記載されている条件下で、発酵容器262の中で発酵が起こる。上記の場合も、燃料等級のエタノールが蒸留ユニット270の中で蒸留される。
【0077】
図5Cは、バイオマスからエタノールを産生するための過程300を例証する。バイオマス(リグニンを除去したまたは除去していない)、および任意で、蒸気を発酵槽302に詰める。リグニンを除去する場合、任意のエネルギー集約的過程で蒸留ユニットを運転するためのエネルギーとしてそれを用いることができる。蒸気は、バイオマスを滅菌するために、およびバイオマスをほぐしかつそれをより反応性にするために好都合であることができる。発酵槽302にバイオマスを詰め、および例えば全質量の約10から60重量パーセントが懸濁されたバイオマスであるように(必要ならば)水を添加する。正常大気圧下である場合、例えば、約25℃から約90℃の温度で、または正常大気圧よりも高い圧力、例えば、約1.5気圧から約10気圧下である場合、約100℃から約175℃の温度で、例えば、約1時間から36時間の時間、バイオマスを浸漬させてもよい。浸漬時間の後、例えば、石灰もしくはアンモニアの形態の、アルカリ、および/または例えば、硫酸の水性溶液の形態の酸を、pH調整ユニット306を経由して発酵槽302の内容物に添加し、内容物のpHを約7から約8に調整する。
【0078】
その中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を有する培地を収容する、シード発酵槽304を用いて、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を増殖させる。培地中に懸濁されたクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞の濃度は、例えば、増殖の開始時に約107、および炭水化物を発酵させるためにシード混合物を用いる準備ができた時に約108細胞/mLである。培地中の炭水化物の初期濃度は、20mMから約100mMである。ある実施において、培地は、酵母抽出物、6.0;尿素、2.1;K2HPO4、2.9;KH2PO4、1.5;MOPS;10.0;クエン酸三ナトリウム二水和物、3.0;塩酸システインを含む(各々、g/Lで表す)。シード発酵槽304の内容物全体をほぼ室温で保たれた発酵槽302に移し、および上で記載されている条件下で発酵させる。上記の場合も、燃料等級のエタノールが蒸留ユニット270の中で蒸留される。
【0079】
酸加水分解前処置および酵素加水分解前処置の組み合わせを利用したバイオマスからのエタノール産生
酸加水分解前処置および酵素加水分解前処置の組み合わせを用いて、バイオマスからのエタノールを産生することもできる。例えば、酸性化ユニットの中でのバイオマスの処置、それに続く(図4で示されたような)蒸気注入によって、酸を用いて最初の加水分解が起こることができ、その後(図5Aで示されたような)酵素加水分解を用いて、最初に加水分解されたバイオマスに最後の加水分解を適用することができる。
【0080】
エタノール産生の方法および/または特色の任意の組み合わせを利用して、混成の産生法を作ることができる。本明細書において記載された任意の方法において、発酵前にリグニンを除去することができる。さらに、本明細書において記載された任意の方法によって、エタノールに加えたまたはエタノール以外の産物を産生することができる。より一般的に、発酵産物には、アルコールおよび水素などの、燃料、ならびに有機酸などの、その他の産物が含まれる。ISDgT株などの、クロストリジウム フィトフェルメンタンスを単独で、または本明細書において記載された任意のその他の微生物(例えば、酵母もしくはその他の細菌)のうちの1つもしくは複数と組み合わせて相乗的に用いることができる。
【0081】
実施例
本開示を以下の実施例でさらに記載するが、それは特許請求の範囲で記載された本発明の範囲を限定しない。
【0082】
ある実験において、N2の雰囲気下、7.5の初期pHでGS-2セルロース培地中の培養チューブの中でクロストリジウム フィトフェルメンタンスを増殖させた。初期のクロストリジウム フィトフェルメンタンス濃度は、約0.8〜1.1×107細胞/mLであり、およびインキュベーションの温度は30℃であった。
【0083】
図6は、セルロース分解の終了時のエタノール(E)、アセテート(A)、フォルメート(F)、およびラクテート(L)の濃度を(グルコース等量で)初期セルロース濃度の関数として示している。37mMという初期セルロース濃度では、ラクテート(L)、アセテート(A)、およびエタノール(E)の濃度は、それぞれ4mM、20mM、および59mMであった。フォルメート(F)は、この初期濃度で検出可能ではなかった。74mMという初期セルロース濃度では、ラクテート(L)、フォルメート(F)、アセテート(A)、およびエタノール(E)の濃度は、それぞれ7mM、10mM、20mM、および123mMであり;ならびに148mMという濃度では、ラクテート(L)、フォルメート(F)、アセテート(A)、およびエタノール(E)の濃度は、それぞれ10mM、17mM、20mM、および160mMであった。図6は、エタノール(E)の濃度がセルロースの初期濃度を増大させるのに伴って増大するので、高濃度のセルロースはクロストリジウム フィトフェルメンタンスの作用を阻害しないということを示している。
【0084】
この結果は、例えば、(グルコース等量で)約40mMを上回る、より高濃度のセルロースを発酵せず、およびより高いセルロース濃度で減少した量のエタノールを産生する、その他のセルロース発酵微生物を用いて得られる結果と対照をなす(Desvaux et al., Appl. Environ. Microbiology, 66, 2461-2470, 2000参照)。クロストリジウム フィトフェルメンタンスを用いる場合、アセテートレベルはセルロースの初期濃度を増大させるのに伴って顕著には増大せず、そのことは、セルロースのうちのより多くのものがより経済的に価値があるエタノールを作ることになるので、好都合であることができるということも注目に値する。通常、その他のセルロース分解性細菌は、(モル基準で)アセテートよりも少ないエタノールを産生し、およびエタノール対アセテート比は初期セルロース濃度を増大させるのに伴って減少する(例えば、上のDesvaux et al.参照)。
【0085】
第二の実験において、50もしくは100mM(単糖等量)という全炭水化物濃度のために、25もしくは50mM(グルコース等量)のセルロース、または25もしくは50mM(キシロース等量)のキシラン、または各々25もしくは50mMの、セルロースとキシランを含むGS-2セルロース培地中の培養チューブの中でクロストリジウム フィトフェルメンタンスを増殖させた。培地の初期pHは7.5であり、および初期のクロストリジウム フィトフェルメンタンス濃度は0.8〜1.1×107細胞/mLであった。30℃でN2の雰囲気下で培養をインキュベートした。炭水化物減成を視覚的にモニターした。
【0086】
両方の炭水化物を含む培養において、セルロースおよびキシランは同時に分解された。両方の炭水化物を含む培養におけるセルロースまたはキシランの分解の割合は、1つの炭水化物を含む培養における分解の割合と等しくまたは1つの炭水化物を含む培養における分解の割合よりも大きかった。この実験は、クロストリジウム フィトフェルメンタンスの培養によるセルロースの発酵は、5炭素糖ポリマーで、かつヘミセルロースの重要な成分である、キシランによって阻害されないということを示した。さらに、この実験は、セルロースおよびキシランがクロストリジウム フィトフェルメンタンスの培養によって同時に発酵され、そのことは、バイオマスの大多数の天然資源が、最も豊富な成分としてのセルロース、およびセルロースに次いで二番目に豊富な、キシランなどの、ヘミセルロースを含む、炭水化物の混合物を含むということを考慮すると、好都合であることができるということを示した。対照的に、その他の微生物は、5炭素糖、または5炭素糖繰り返し単位を含むポリマーを発酵することができないようである。また、その他の微生物に関して、5炭素糖、またはそのポリマーは、微生物の代謝過程を実際に妨げ、発酵率およびエタノール産生を低下させることができる。
【0087】
第三の実験において、10、20、または40g/Lのスターチ(Difco可溶性スターチ)を含むGS-2セルロース培地中の培養チューブの中でクロストリジウム フィトフェルメンタンスを増殖させた。培地の初期pHは7.5であり、および初期のクロストリジウム フィトフェルメンタンス濃度は0.8〜1.1×107細胞/mLであった。30℃でN2の雰囲気下で培養をインキュベートした。スターチ発酵をガス産生および培養濁度の増大によって示した。発酵の終了時に、発酵産物の濃度を決定した。10g/Lという初期スターチ濃度で、ラクテート、フォルメート、アセテート、およびエタノールの濃度は、それぞれ、1mM、2mM、4mM、および69mMであった。20g/Lという初期スターチ濃度で、ラクテート、フォルメート、アセテート、およびエタノールの濃度は、それぞれ、3mM、4mM、5mM、および127mMであった。40g/Lという初期スターチ濃度で、ラクテート、アセテート、およびエタノールの濃度は、それぞれ、11mM、4mM、および132mMであった。この後者の実験では、フォルメートは検出されなかった。これらの実験は、スターチの初期濃度を増大させるのに伴ってエタノールの濃度が増大し、結果が増大する濃度のセルロースで細胞を培養した上記の結果と類似しているので、より高い濃度のスターチはクロストリジウム フィトフェルメンタンスの作用を阻害しないということを示している。
【0088】
第四の実験において、27g/Lの挽いたトウモロコシ、または10.5g/Lの湿った蒸留かす、または20g/Lの細断されたトウモロコシ茎葉、または20g/Lの細断されたスイッチグラスを含むGS-2セルロース培地中の培養チューブの中でクロストリジウム フィトフェルメンタンスを増殖させた。培地の初期pHは7.5であり、および初期のクロストリジウム フィトフェルメンタンス濃度は0.8〜1.1×107細胞/mLであった。30℃でN2の雰囲気下で培養をインキュベートした。ガス産生によって示されるように、全ての物質が発酵され、および全ての培養における主要な発酵産物はエタノールであった。この実験は、クロストリジウム フィトフェルメンタンスが、セルロースフィードストックの化学的な前処置なしで、およびセルラーゼまたはその他の酵素の添加なしで、これらのセルロースフィードストックをエタノールまで発酵するということを示している。
【0089】
最後の実施例において、クロストリジウム フィトフェルメンタンスのゲノム配列の解析により、この微生物は並ならぬ発酵特性を保有し、ならびに植物バイオマスの多数の成分を分解しおよびこれらの成分をエタノールまで発酵するのに特によく適しているという結論が支持される。クロストリジウム フィトフェルメンタンスのゲノムは、米国エネルギー省のJoint Genome Instituteによって配列決定されている。ドラフト配列アセンブリが2005年11月8日にまず利用可能になり、および2006年5月20日に一般に公開された(http://genome.ornl.gov/microbial/cphy/)。このドラフトアセンブリは、169の隣接する領域に分割された4.5MBのヌクレオチド配列を含み、そこから3671の推定タンパク質が得られた。2006年12月、配列中のギャップが閉じられ、および完成した配列が2007年の初めに期待されている。
【0090】
クロストリジウム フィトフェルメンタンスの並ならぬ発酵特性および植物バイオマスの多数の成分を分解するその能力を指示するものとして、本発明者らは、炭水化物摂取機構の証拠を求めてゲノム配列を検討した。クロストリジウム フィトフェルメンタンスのゲノムは、100を超えるABC型輸送系を含み、およびこれらのうちの52は炭水化物を細胞内に輸送する目的用であるように見える。これらの輸送系のうちの幾つかがグルコース、フコース、またはキシロースのような単糖に特異的である一方で、その他のものは、二糖(例えば、セロビオース)、三糖、および四糖の輸送に疑いの余地なく関与している。炭水化物輸送系のこの例外的に広い多様性は微生物の中で前例がなく、およびクロストリジウム フィトフェルメンタンスがセルロースバイオマスを分解するのに特によく適しているということを示している。
【0091】
その他の態様
本発明は、その詳細な説明と共に記載されているが、前述の説明は、付随する特許請求の範囲の範囲によって規定される、本発明の範囲を例証し、および該範囲を限定しないことが意図されるということが理解されるべきである。
【0092】
その他の局面、利点、および修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】その中に分散したクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を有する培地を収容する発酵容器の模式的断面図である。
【図2】バイオマスを細動させるのに用いられる回転ナイフカッターの模式的断面図である。
【図3A】図2の回転ナイフカッターの中で剪断されたセルロース材料の写真である。
【図3B】図3Aに示された材料の高度に拡大された写真である。
【図4】酸加水分解前処置を用いてバイオマスからエタノールおよび水素を産生するための過程を示すブロック図である。
【図5A】酵素的な加水分解前処置を用いてバイオマスからエタノールおよび水素を産生するための過程を示すブロック図である。
【図5B】酵素的に前処置されていないバイオマスを用いてバイオマスからエタノールおよび水素を産生するための過程を示すブロック図である。
【図5C】化学的または酵素的に前処置されていないが、任意で蒸気処置されているバイオマスを用いてバイオマスからエタノールおよび水素を産生するための過程を示すブロック図である。
【図6】クロストリジウム フィトフェルメンタンスと一緒に(グルコース等量で)様々な初期セルロース濃度を発酵させることによって得られる主な産物および産物の濃度を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス材料から燃料を製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
高分子量の炭水化物を含むバイオマス材料を提供する工程;
バイオマス材料を加水分解して、加水分解されたバイオマス材料を提供する工程;
炭水化物の濃度が20mMよりも大きい培地中で、クロストリジウム フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)細胞と、加水分解されたバイオマス材料を組み合わせる工程;ならびに
燃料を製造するのに十分な条件下および時間で、加水分解されたバイオマス材料を発酵させる工程。
【請求項2】
燃料が、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、およびその混合物からなる群より選択されるアルコールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
バイオマス材料が酸による処置によって加水分解される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
バイオマス材料が酵素または酵素の混合物による処置によって加水分解される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
バイオマス材料が、酸による処置、それに続く酵素による処置によって加水分解される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
加水分解する前にバイオマス材料のサイズを減少させる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
加水分解工程に、酸性化ユニットの中での酸による前処置と、それに続く脱水が含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
以下を含む燃料プラント:
高分子量の炭水化物を含むバイオマス材料を加水分解するように設計された加水分解ユニット;および
培地を収納するように設計され、かつその中に分散されたクロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞を含む、発酵槽。
【請求項9】
培地を収納するように設計され、かつクロストリジウム フィトフェルメンタンスを含む発酵槽が、クロストリジウム フィトフェルメンタンスとは異なる1つまたは複数のその他の微生物をさらに含む、請求項8記載の燃料プラント。
【請求項10】
1つまたは複数のその他の微生物が1つまたは複数の酵母を含む、請求項9記載の燃料プラント。
【請求項11】
1つまたは複数のその他の微生物が1つまたは複数の細菌を含む、請求項9記載の燃料プラント。
【請求項12】
1つまたは複数の細菌が、ザイモモナス モビリス(Zymomonas mobilis)の任意の1つまたは複数の株を含む、請求項11記載の燃料プラント。
【請求項13】
燃料を製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞およびリグノセルロース材料を培地中で組み合わせる工程;ならびに
燃料を製造するのに十分な条件下および時間で、リグノセルロース材料を発酵させる工程。
【請求項14】
リグノセルロース材料が、木材、木材パルプ、製紙スラッジ、紙パルプ廃棄物ストリーム、パーティクルボード、草、米の籾殻、バガス、綿、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、麦わら、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、蒸留かす、葉、小麦わら、ココナッツの毛、藻類、スイッチグラス、ミスカンタス(Miscanthus)、マメ植物、ソルガム、バイオマス作物(クランベ)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
培地がその中に、増殖因子、ミネラル、界面活性剤、キレート剤、およびその混合物からなる群より選択される構成要素を溶かしている、請求項13記載の方法。
【請求項16】
培地を約45℃未満の温度で維持することが条件に含まれる、請求項13記載の方法。
【請求項17】
培地のpHを約9.5より下に維持することが条件に含まれる、請求項13記載の方法。
【請求項18】
燃料がエタノールであり、および約1Mよりも低いエタノールの濃度を維持することが条件に含まれる、請求項13記載の方法。
【請求項19】
燃料を製造する方法であって、以下の工程を含む方法:
炭水化物の濃度が40mMよりも大きい培地中で、クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞および炭水化物を含む材料を組み合わせる工程;ならびに
燃料を製造するのに十分な条件下および時間で、炭水化物を含む材料を発酵させる工程。
【請求項20】
濃度が50mMよりも大きい、請求項19記載の方法。
【請求項21】
濃度が100mMよりも大きい、請求項20記載の方法。
【請求項22】
濃度が2000mM未満である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
材料が1,000未満の分子量を有する低分子量の炭水化物を含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
低分子量の炭水化物が、アラビノース、セロビオース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラクトース、マンノース、リボース、キシロース、およびその混合物からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
材料が1,000よりも大きい分子量を有する高分子量の炭水化物を含む、請求項19記載の方法。
【請求項26】
高分子量の炭水化物が、セルロース、微結晶セルロース、ポリガラクツロン酸、ペクチン、スターチ、キシラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
材料を、それが約5ミクロンから50ミクロンの粒子サイズを有するように粉末にする、請求項19記載の方法。
【請求項28】
材料が2つまたはそれより多くの炭水化物の混成物を含む、請求項19記載の方法。
【請求項29】
材料がセルロースまたはリグノセルロース材料を含む、請求項19記載の方法。
【請求項30】
セルロースまたはリグノセルロース材料が、ポリコーティング紙、クラフトペーパー、製紙スラッジ、木材、木材パルプ、蒸留かす、パーティクルボード、葉、草、刈草、米の籾殻、バガス、綿、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、麦わら、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、小麦わら、ココナッツの毛、藻類、スイッチグラス、クランベ、バイオマス作物、およびその混合物からなる群より選択される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
材料が、高分子量の炭水化物を分解することによって形成された低分子量の炭水化物を含む、請求項19記載の方法。
【請求項32】
酵素を使用することが分解に含まれる、請求項31記載の方法。
【請求項33】
酵素が、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ(CBH)、β-グルコシダーゼ、グリコシドヒドロラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リアーゼ、ならびにヘミセルロース、ペクチン、およびスターチの成分に対する活性があるエステラーゼ、ならびにその混合物からなる群より選択される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
材料に実質的にリグニンが含まれない、請求項19記載の方法。
【請求項35】
以下の工程を含む方法:
クロストリジウム フィトフェルメンタンス細胞、第二の微生物、および炭水化物を含む材料を培地中で組み合わせる工程;ならびに
炭水化物を含む材料を発酵させる工程。
【請求項36】
燃料を製造するのに十分な条件下および時間で発酵を実行する、請求項35記載の方法。
【請求項37】
第二の微生物が酵母を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
第二の微生物がクロストリジウム フィトフェルメンタンスとは異なる細菌を含む、請求項35記載の方法。
【請求項39】
クロストリジウム フィトフェルメンタンスおよび第二の微生物を含む組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−524432(P2009−524432A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552480(P2008−552480)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/002334
【国際公開番号】WO2007/089677
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(505231659)ユニバーシティ オブ マサチューセッツ (23)
【Fターム(参考)】