説明

バイブレータ保持装置及びそのバイブレータ保持装置を搭載した電子機器

【課題】 バイブレータを保持部材に保持させる時の組立ばらつきを軽減し、接触信頼性を向上するバイブレータ保持装置を提供する。
【解決手段】 通信端末装置などの電子機器本体を振動させるバイブレータの保持部材を備え、上記バイブレータを上記保持部材に保持させるとこのバイブレータの端子が回路基板の接点部に接触するように構成するとともに、上記保持部材を上記回路基板に固着することを特徴とするもので、組立ばらつきが軽減するとともに、接触信頼性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ページャや携帯電話機で代表される通信端末装置などの電子機器において、その本体を振動させるバイブレータを取り付けるためのバイブレータ保持装置及びそのバイブレータ保持装置を搭載した電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ページャや携帯電話機で代表される通信端末装置などの電子機器には、使用者に着信を知らせるためにバイブレータを取り付けて電子機器本体を振動させることが一般に行われている。このバイブレータは、モータの駆動軸に偏心体を取り付け、駆動軸で偏心体を回転させることにより生じる振動を電子機器本体に伝えるものである。
【0003】
ところで、従来の通信端末装置などの電子機器におけるバイブレータ保持装置においては、バイブレータ取り付け台と一体的に形成された保持部に緩衝材で覆われたバイブレータを圧入して嵌合することによりバイブレータを保持し、さらに、バイブレータに突設された板ばね状端子をプリント基板に取り付けたシールドケースの貫通穴を通すことにより、プリント基板の接点部に当接させて接触導通させる構成が採用されている。すなわち、バイブレータ取り付け台は、バイブレータを保持するために、回路基板上にもともと必要であったシールド部材を利用してその上部にバイブレータの保持部を設ける構成が採用され、この構成の採用により、組立及び分解時の作業性が良好で、かつ、必要な配置スペースを小さくして、装置の小型化を可能としている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開2001-29887号公報(第5欄13行−26行、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバイブレータ保持装置は上記のように、バイブレータを取り付け台と一体的に形成された保持部に対し、バイブレータを覆う緩衝材をたわませながら圧入して嵌合するため、組立のばらつきによって緩衝材が均一にたわまず、バイブレータが取り付け台に対し傾いて保持されるという問題点があった。
【0006】
更にその問題点によって、バイブレータに突設された板ばね状端子を回路基板に接触させるのに必要な接触圧力を確保できなくなるため、接触信頼性を確保するのが困難であった。また、バイブレータが傾いて保持されると、バイブレータの分銅部と外装筐体とのクリアランスが狭くなることになる。このため、バイブレータの傾きが大きくなるとバイブレータの分銅部が外装筐体に接触し、異音が発生する問題点があった。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、第1の目的は、バイブレータを保持部材に保持させる時の組立ばらつきを軽減し、接触信頼性を向上するバイブレータ保持装置及びそのバイブレータ保持装置を搭載した電子機器を得るものである。
【0008】
また、第2の目的は、バイブレータを覆う緩衝材により外装筐体に振動を伝え易くするバイブレータ保持装置及びそのバイブレータ保持装置を搭載した電子機器を得るものである。
【0009】
さらに、第3の目的は、回路基板の実装部品に対する衝撃を軽減できるバイブレータ保持装置及びそのバイブレータ保持装置を搭載した電子機器を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかるバイブレータ保持装置は、通信端末装置などの電子機器本体を振動させるバイブレータの保持部材を備え、上記バイブレータを上記保持部材に保持させると上記バイブレータの端子が回路基板の接点部に接触するように構成するとともに、上記保持部材を上記回路基板に固着することを特徴とするものである。
【0011】
また、この発明にかかる電子機器は、上記電子機器本体を振動させるバイブレータと、上記バイブレータを保持する保持部材と、上記バイブレータを上記保持部材に保持させると上記バイブレータの端子が接触する接点部を有する回路基板とを備え、上記保持部材を上記回路基板に固着するものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、バイブレータを保持する保持部材を、回路基板に対して固着したので、バイブレータの端子と回路基板の接点部との接触位置のばらつきを軽減し、接触信頼性が向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の各実施の形態において、通信端末装置などの電子機器として携帯電話機を例に挙げて図示説明するが、この発明はこれに限定されることなく、その他の通信端末装置などの電子機器にも適用できることは勿論である。
【0014】
実施の形態1.
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係るバイブレータ保持装置を搭載したこの発明の実施の形態を示す携帯電話機の主要部分解斜視図、図2は図1に示した携帯電話機の部分断面図である。
【0015】
携帯電話機は、図1に示すように外装筐体1を振動させるバイブレータ2をばね力で挟持することにより保持する保持部材3を備えている。また、バイブレータ2は、バイブレータ本体4のケース5と、ケース5と例えば一体成形、あるいは別体成形された後にケース5に一端部が半田付けなどで固着され、他端部が突設される板ばね状端子6とを有している。一方、保持部材3が固着される回路基板7は、保持部材3が実装される半田付け部8とバイブレータ2の板ばね状端子6が圧接する接点部9を有している。バイブレータ2は緩衝材からなるカバー部材10により、図2においてその上面と側面及び底面の一部が覆われるように保持され、板ばね状端子6はカバー部材10の底面部から突出し、回路基板7の接点部9に圧接するように構成されている。なお、カバー部材10には、図1あるいは図2における上面部に中空穴11が形成されているが、これは必ずしも必要ではない。
【0016】
図2に示すように、バイブレータ2を保持するための保持部材3は、半田付けにて回路基板7に設けられた半田付け部8に実装される。なお、この保持部材3は回路基板7に自動実装機によって実装され、リフロー炉を通して半田付けされる。バイブレータ2を保持部材3に保持させると、バイブレータ本体4のケース5に突設されている板ばね状端子6と回路基板7上の接点部9とが圧接することにより導通する。これによって回路基板7上に設けられた駆動回路からの駆動電力が接点部9、および板ばね状端子6を経由してバイブレータ2に供給されてバイブレータ2は振動し、その振動が回路基板7を経由して外装筐体1に伝わり携帯電話機本体が振動する。
【0017】
従来のバイブレータ保持装置では、保持部材を回路基板に取り付ける時、つめ嵌合などにより取り付けていたため、取り付け部にがたつきが生じ易く、バイブレータと回路基板とのクリアランスにばらつきが発生し易かったが、この実施の形態によれば、保持部材3と回路基板7とが半田付けによって固着されているため、固着部にがたつきが発生しない。そのため、バイブレータ2と回路基板7とのクリアランスに対するばらつきを軽減でき、バイブレータ本体4のケース5に突設されている板ばね状端子6と回路基板7上の接点部9との接触信頼性を向上させることができる。
【0018】
実施の形態2.
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図3はこの発明の実施の形態2に係るバイブレータ保持装置を搭載したこの発明の実施の形態を示す携帯電話機の主要部分解斜視図、図4は図3に示した携帯電話機の部分断面図である。
【0019】
図3に示すように、この実施の形態2に係るバイブレータ保持装置を搭載した携帯電話機は、バイブレータ本体4のケース5に第1の係止部である係止爪30が形成されるとともに、保持部材3に第2の係止部である係止穴31が形成されている。そして、図4から理解されるように、ケース5の係止爪30と保持部材3の係止穴31が互いに係合するように構成されている。また、カバー部材32の側面部には、切欠部33が形成されており、この切欠部33内に保持部材3の係止穴31に係合したケース5の係止爪30が納まるように構成されている。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0020】
この実施の形態2によれば、バイブレータ本体4のケース5に設けられている係止爪30が保持部材3に設けられている係止穴31に係合することによって、バイブレータ2が保持部材3に固定される。この係合構造により、バイブレータ本体4のケース5に固定されている板ばね状端子6を回路基板7上の接点部9に対し確実に接触させるために必要な接触圧力を確保するとともに、その接触圧力によってバイブレータ本体4のケース5が受ける反力で保持部材3からバイブレータ2が持ち上げられるのを防止できる。
【0021】
従来のバイブレータ保持装置では、バイブレータを覆う緩衝材を保持部に対して圧入することによって嵌合しているため、組立ばらつきによりバイブレータが傾いて取り付けられると、バイブレータに突設された板ばね状端子を回路基板に接触させるのに必要な接触圧力を確保できなくなって、接触信頼性を確保するのが困難であったが、この実施の形態では、バイブレータ本体4のケース5に設けられている係止爪30と保持部材3の係止穴31とが係合することにより、板ばね状端子6の圧接方向に対するクリアランスのばらつきが軽減し、接触信頼性がさらに向上する。
【0022】
なお、上記実施の形態2では、バイブレータ本体4のケース5に設けられている係止爪30と保持部材3に設けられている係止穴31が互いに係合する構成のものを示したが、バイブレータ本体4のケース5に係止穴もしくは凹部を設け、保持部材3に係止爪もしくは凸部を設けてもよい。
【0023】
また、従来のバイブレータ保持装置では、バイブレータが傾くとバイブレータと外装筐体とのクリアランスが狭くなるため、バイブレータの傾きが大きくなるとバイブレータの分銅部が外装筐体に接触し、異音が発生する問題点があったが、この実施の形態では、係止爪30と係止穴31の係合により、保持部材3に対するバイブレータ2の浮き、あるいは傾きを防止でき、外装筐体1とバイブレータ2とのクリアランスのばらつきが軽減できる。そのため外装筐体1に接触して異音が発生することもなくなり品質が安定する。
【0024】
実施の形態3.
次に、この発明の更に他の実施形態について説明する。図5はこの発明の実施の形態3に係るバイブレータ保持装置を搭載したこの発明の実施の形態を示す携帯電話機の主要部分解斜視図、図6は図5に示した携帯電話機の部分断面図である。
【0025】
図5あるいは図6に示すように、この実施の形態3に係るバイブレータ保持装置を搭載した携帯電話機は、バイブレータ2の周囲を覆う緩衝材からなるカバー部材50を備え、そのカバー部材50の側面部に振動防止用のリブ51が形成され、さらに、外装筐体1に接する側の面に例えば糸リブ状の突起部52が形成されている。また、カバー部材50は、バイブレータ本体4のケース5と保持部材3との間に、その一部が介在するように構成されている。即ち、バイブレータ2の回路基板7に接する側の面にも、その一部が延在する構成のカバー部材50が用いられている。また、バイブレータ2を押圧挟持する保持部材3のばね力は実施の形態1あるいは実施の形態2に比較し、弱く設定されている。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0026】
この実施の形態によるバイブレータの保持装置は、バイブレータ2を押圧挟持する保持部材3のばね力が弱く設定されているので、バイブレータ2の周囲を覆う緩衝材からなるカバー部材50が保持部材3に対して、圧入することなくバイブレータ2が保持され、振動防止用のリブ51によりがたつくことなく保持部材3に保持される。
【0027】
上記のように、この実施の形態によれば、カバー部材50の外装筐体1に接する側の面には、例えば糸リブ状の突起部52を設けて、外装筐体1に圧接するように構成することにより、バイブレータ2から発生する振動を携帯電話機本体に伝え易くする。さらに、カバー部材50の回路基板7に接する側の面を回路基板7と直接当たるように構成し、回路基板7に実装されている電気部品に対して振動を軽減させる。
【0028】
それにより、従来のバイブレータ保持装置では、バイブレータ全周に覆われた緩衝材を、箱状に囲われた保持部材に圧入してバイブレータを保持するため、緩衝材が均一にたわまず、組立ばらつきにより、バイブレータが傾いて保持され、振動によってバイブレータが直接外装筐体に接触することによって異音が発生する問題点があったが、この実施の形態によれば、バイブレータ全周に覆われた緩衝材からなるキャップ部材50を保持部材3に対して、圧入せずに保持させるため、バイブレータ2を保持する際に傾いて保持されにくく、従来のような問題点を改善でき、品質がさらに安定する。
【0029】
また、カバー部材50に例えば糸リブ状の突起部52を設けて、外装筐体1に圧接することにより、バイブレータ2から発生する振動を装置本体に伝え易くし、また、緩衝材で構成されるカバー部材50を回路基板7と直接当たるように構成することにより、回路基板7に実装されている電気部品に対して振動を軽減させる機能を持たせることにより、着信時、振動によって電子機器本体を震わせるバイブレータ本来の機能も果たすことができる。
【0030】
上記各実施の形態におけるバイブレータについては、コイン型の平型タイプのバイブレータを実装した構成例について図示説明したが、円筒型の分銅タイプのバイブレータを用いても良いことは勿論である。また、上記各実施の形態においては、保持部材3と回路基板7との固着を半田付けにて行う場合について図示説明したが、ロー付け、あるいはレーザ等の溶接技術を用いて固着してもよく、この発明は諸種の設計的変更をも包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のようにこの発明は、例えば、ページャや携帯電話機などの小型の通信端末装置で、使用者に着信を知らせるためにバイブレータを取り付けて振動させる機能を持つ電気機器に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施の形態1に係るバイブレータ保持装置を搭載したこの発明の実施の形態を示す携帯電話機の主要部分解斜視図である。
【図2】図1に示したバイブレータ保持装置を搭載した携帯電話機の部分断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るバイブレータ保持装置を搭載したこの発明の実施の形態を示す携帯電話機の主要部分解斜視図である。
【図4】図3に示したバイブレータ保持装置を搭載した携帯電話機の部分断面図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るバイブレータ保持装置を搭載したこの発明の実施の形態を示す携帯電話機の主要部分解斜視図である。
【図6】図5に示したバイブレータ保持装置を搭載した携帯電話機の部分断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 外装筐体
2 バイブレータ
3 保持部材
6 板ばね状端子
7 回路基板
8 半田付け部
9 接点部
10、32、50 カバー部材
30 係止爪
31 係止穴
52 糸リブ状突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末装置などの電子機器本体を振動させるバイブレータの保持部材を備え、上記バイブレータを上記保持部材に保持させると上記バイブレータの端子が回路基板の接点部に接触するように構成するとともに、上記保持部材を上記回路基板に固着することを特徴とするバイブレータ保持装置。
【請求項2】
バイブレータに設けた第1の係止部と、保持部材に設けた第2の係止部を係合させることにより、上記バイブレータを上記保持部材に保持することを特徴とする請求項1に記載のバイブレータ保持装置。
【請求項3】
緩衝材からなるカバー部材を備え、バイブレータを上記カバー部材で覆って保持部材に保持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイブレータ保持装置。
【請求項4】
カバー部材を、電子機器本体が有する外装筐体に圧接するように設けるとともに、上記カバー部材の上記外装筐体との間に突起部を形成することを特徴とする請求項3に記載のバイブレータ保持装置。
【請求項5】
カバー部材の一部を、上記バイブレータと回路基板との間に介在させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のバイブレータ保持装置。
【請求項6】
通信端末装置などの電子機器において、上記電子機器本体を振動させるバイブレータと、上記バイブレータを保持する保持部材と、上記バイブレータを上記保持部材に保持させるとこのバイブレータの端子が接触する接点部を有する回路基板とを備え、上記保持部材を上記回路基板に固着することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
バイブレータに設けた第1の係止部と、保持部材に設けた第2の係止部を係合させることにより、上記バイブレータを上記保持部材に保持することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
緩衝材からなるカバー部材を備え、バイブレータを上記カバー部材で覆って保持部材に保持することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
カバー部材を電子機器本体が有する外装筐体に圧接するように設けるとともに、上記カバー部材の上記外装筐体との間に突起部を設けることを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
カバー部材の一部をバイブレータと回路基板との間に介在させることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−130474(P2006−130474A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325151(P2004−325151)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】