説明

バイポーラ電極方式のガイドワイヤー及びカテーテルシステム

【課題】 ガイドワイヤー及びカテーテルシステムを提供する。
【解決手段】 生体の管状器官内に挿入されるものであって、両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、導電性材質からなって長く形成され、カテーテルのルーメンに挿入されて両端部がルーメンから突設される第1ワイヤーと、導電性材質からなり、長く形成されて第1ワイヤーと離隔して配置される本線部と、本線部から螺旋状に延設されて、内側に第1ワイヤーが挿入されるコイル部を備える第2ワイヤーと、を備え、第1ワイヤーと第2ワイヤーとの間は電気的に絶縁されるが、第1ワイヤーと第2ワイヤーとの各先端部は絶縁解除されており、絶縁解除されている第1ワイヤーの先端部と第2ワイヤーの先端部とは一定距離ほど離隔して配置されるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーを備えるカテーテルシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドワイヤー及びカテーテルシステムに係り、さらに詳細には、血管閉塞、腫よう除去、管状構造閉塞、瘻孔(fistula)閉塞、分路(shunt)閉塞などの高周波熱治療施術時に使われるガイドワイヤー及びカテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
動靜脈奇形(arteriovenous malformation)のような血管奇形(vascular malformation)または臓器破裂による出血疾患などの多様な場合において、出血部位の血管を閉塞する血管閉塞術(occlusion)または塞栓術(embolization)の施行が必要である。
【0003】
従来の塞栓術は、一般的にポリビニルアルコール、ゲルフォーム、無水エタンオール、微細球、コイル、分離風船などの塞栓物質を用いて血管を閉塞させた。すなわち、血管に沿ってカテーテルを患部まで挿入させた後、塞栓物質を、カテーテルを通じて患部に注入することによって血管を閉塞させた。
【0004】
しかし、塞栓物質を用いて血管を閉塞する時、塞栓物質の使用による副作用が生じることがある。すなわち、塞栓物質が逆流して隣接した正常血管を閉塞する恐れがあり、静脈側に流入されれば、肺動脈を防止して医原塞栓症(iatrogenic embolism)が発生しうる。
【0005】
一方、塞栓物質を用いずに高周波電流を用いて血管を閉塞させる高周波熱治療(radiofrequency ablation、RFA)を通じて血管を閉塞させる方法も多く行われる。図1は、カテーテルを用いた高周波熱治療を説明するための概略的な図面であり、図2は、外傷による腎臓(Kidney)破裂による出血疾患が発生した患者に対して、カテーテルと電極を用いて行われた高周波熱治療を説明するための写真であって、図2Aは、治療前の状態であり、図2Bは、カテーテルとガイドワイヤーとが挿入された状態であり、図2Cは、治療後の状態である。
【0006】
高周波熱治療を施すためには、まず患者の身体にカテーテル1を挿入させ、血管を通じて病変が発生した領域までカテーテルの近位端を接近させねばならない。血管を通じてカテーテル1を挿入させるのは、非常に繊細な過程であるため、血管造影術透視システムを通じて行われる。カテーテル1の近位端が病変に到達すれば、高周波発生器(図示せず)に電源を印加することによって、高周波電流を病変に印加して治療を行う、以下でさらに詳細に説明する。カテーテル1は、中空の形状であって、その内側にルーメン(図示せず)が形成されるが、ガイドワイヤー(図示せず)は、カテーテル1のルーメンに同軸的に挿入されており、末端部はカテーテル1に対して突出して露出されている。したがって、カテーテル1の近位端が病変が発生した領域に至れば、ガイドワイヤーの近位端も同じ領域に位置する。このガイドワイヤーは金属素材であって、高周波発生器に電気的に連結されている。一方、患者の身体(外側皮膚)に接地パッド(図示せず)を付着し、この接地パッドも高周波発生器に電気的に連結されている。高周波発生器に電源を印加すれば、ガイドワイヤーから接地パッド側に電流の伝達経路が形成される。この伝達過程で、イオンの振動による摩擦エネルギーが組織の温度を上昇させて、凝固壊死を誘導することによって血管が閉塞される。
【0007】
図2Aは、外傷によって腎臓の破裂及び腎臓動脈の擬似動脈瘤が発生した事例である。外傷によって、図2Aに参照番号2で表示された領域に多量の出血があったことが分かる。図2Bでは、ガイドワイヤー3がカテーテル1に挿入された状態で血管を通じて出血領域に到達した状態であり、高周波電流を用いてこの領域で高周波熱治療を施し、その結果は、図2Cに示されている。図2Cを説明すれば、図2Aとは異なって、出血が止まったことが分かり、高周波熱治療を通じて血管が効果的に閉塞されたことが確認できる。
【0008】
前記のような構成のカテーテルシステムを用いて行う高周波熱治療は、塞栓物質を使用することによって発生しうる正常血管の閉塞などの副作用を防止できて効果的である。しかし、電流の伝達経路(患部から接地パッドまでの経路)で病変が発生した領域以外に、心臓、神経系、皮膚などの正常な機関にも副作用が発生する恐れがある。また、前記の構成を用いたカテーテルシステムでは、施術のために患者に接地パッドを付着せねばならないなど、使用上の不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、血管奇形、腫よう、出血などの病変が発生した領域のみに局部的に凝固壊死を誘導できて、正常組織の破損などの副作用なしに非常に効果的な高周波熱治療が可能なだけでなく、非常に簡単な構成からなって施術の便宜性と経済性が増大したバイポーラ電極方式のガイドワイヤー及びカテーテルシステムを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような課題を解決するための本発明の一つの特徴は、導電性材質からなって長く形成され、生体の管状器官内に挿入される中空型のカテーテルに挟み込まれて、両端部が前記カテーテルから突設される第1ワイヤーと、導電性材質からなり、長く形成されて前記第1ワイヤーと離隔して配置される本線部と、前記本線部から螺旋状に延設されて、その内側に前記第1ワイヤーが挿入されるコイル部とを備える第2ワイヤーと、を備え、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの間は電気的に絶縁されるが、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの各先端部は絶縁解除されており、前記絶縁解除されている第1ワイヤーの先端部と前記第2ワイヤーの先端部とは、一定距離ほど離隔して配置されるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーを提供することである。
【0011】
前記のような課題を解決するための本発明の他の特徴は、生体の管状器官内に挿入されるものであって、両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、導電性材質からなって長く形成され、前記カテーテルのルーメンに挿入されて両端部が前記ルーメンから突設される第1ワイヤーと、導電性材質からなり、長く形成されて前記第1ワイヤーと離隔して配置される本線部と、前記本線部から螺旋状に延設されて内側に前記第1ワイヤーが挿入されるコイル部とを備える第2ワイヤーと、を備え、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの間は電気的に絶縁されるが、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの各先端部は絶縁解除されており、前記絶縁解除されている第1ワイヤーの先端部と前記第2ワイヤーの先端部とは、一定距離ほど離隔して配置されるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーと、を備えてなるカテーテルシステムを提供することである。
【0012】
前記のような課題を解決するための本発明のさらに他の特徴は、金属材質からなり、生体の管状機関に挿入可能に一方向に長く配置されたワイヤー本体と、前記ワイヤー本体の外周面にコーティングされて前記ワイヤーを絶縁させる絶縁材と、前記ワイヤー本体の一端部に付着される第1電極と、前記第1電極から一定距離ほど離隔して前記ワイヤー本体の一端部に付着される第2電極と、高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第1電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第1電極に付着される第1導線と、高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第2電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第2電極に付着され、前記第1導線と電気的に絶縁されている第2導線と、を備えてなるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーを提供することである。
【0013】
前記のような課題を解決するための本発明のさらに他の特徴は、生体の管状器官内に挿入されるものであって、両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、金属材質からなって、一方向に長く配置されて前記カテーテルに挟み込まれるワイヤー本体と、前記ワイヤー本体の外周面にコーティングされて前記ワイヤーを絶縁させる絶縁材と、前記ワイヤー本体の一端部に付着される第1電極と、前記第1電極から一定距離ほど離隔して前記ワイヤー本体の一端部に付着される第2電極と、高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第1電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第1電極に付着される第1導線と、高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第2電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第2電極に付着され、前記第1導線と電気的に絶縁されている第2導線を備えるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーと、を備えてなるカテーテルシステムを提供することである。
【0014】
また、前記のような課題を解決するための本発明のさらに他の特徴は、生体の管状器官内に挿入されるものであって、絶縁材からなって両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、前記カテーテルの長手方向に沿って長く配置され、前記ルーメンの形状が維持されるように前記カテーテルの内周面と外周面との間に挿設されて前記カテーテルを支持し、導電性材質であって、両端部が前記カテーテルから突出して外部に露出されている電極用形状維持体と、導電性材質からなり、前記ルーメンに同軸的に挿入されて一端部が前記ルーメンから突出して、前記電極用形状維持体の一端部と一定距離ほど離隔して配置されるガイドワイヤーと、を備えるカテーテルシステムを提供することである。
【0015】
また、前記のような課題を解決するための本発明のさらに他の特徴は、生体の管状器官内に挿入されるものであって、絶縁材からなって両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、前記カテーテル本体の長手方向に沿って長く配置され、前記ルーメンの形状が維持されるように、前記カテーテルの内周面と外周面との間に挿設されて前記カテーテル本体を支持し、導電性材質であって、両端部が前記カテーテルから突出して外部に露出されている電極用形状維持体と、を備えるカテーテルシステムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のカテーテルを用いた高周波熱治療を説明するための概略的な図である。
【図2A】外傷による腎臓破裂による出血疾患が発生した患者に対して、カテーテルと電極を用いて行われた高周波熱治療を説明するための写真であり、治療前の状態を示す写真である。
【図2B】外傷による腎臓破裂による出血疾患が発生した患者に対して、カテーテルと電極を用いて行われた高周波熱治療を説明するための写真であり、カテーテルとガイドワイヤーとが挿入された状態を示す写真である。
【図2C】外傷による腎臓破裂による出血疾患が発生した患者に対して、カテーテルと電極を用いて行われた高周波熱治療を説明するための写真であり、治療後の状態を示す写真である。
【図3】本発明の第1実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤー及びカテーテルシステムの概略的な斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線の概略的な断面図である。
【図5】図4のV−V線の概略的な断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーの概略的な斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーの概略的な斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤー及びカテーテルシステムの概略的な斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線の概略的な断面図である。
【図10A】図9のXa−Xa線の概略的な断面図である。
【図10B】図9のXb−Xb線の概略的な断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーについての斜視図である。
【図12】本発明の第6実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーの斜視図である。
【図13】本発明の第7実施形態によるカテーテルシステムの概略的な一部切開斜視図である。
【図14】図13のXIV−XIV線の概略的な断面図である。
【図15】図14のXV−XV線の概略的な断面図である。
【図16】本発明の第8実施形態によるカテーテルシステムの電極用形状維持体を説明するための斜視図である。
【図17】本発明の第9実施形態によるカテーテルシステムの電極用形状維持体を説明するための斜視図である。
【図18】本発明の第10実施形態に適用された電極部材を説明するための分離斜視図である。
【図19】図18のXIX−XIX線の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図3は、本発明の第1実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤー及びカテーテルシステムの概略的な斜視図であり、図4は、図3のIV−IV線の概略的な断面図であり、図5は、図4のV−V線の概略的な断面図である。図3ないし図5を参照するに、本実施形態によるカテーテルシステム100は、カテーテル10、バイポーラ電極方式のガイドワイヤー50、風船60及び高周波発生器70を備える。
【0018】
カテーテル10は、血管などの生体の管状器官に挿入されるものであって、長く形成され、概略円形の断面を持つ。カテーテル10は、一般的に厚さによって分類されるが、一般カテーテルと、非常に小径のマイクロカテーテルとに大別される。マイクロカテーテルの場合、その直径が0.3mmないし0.5mmほどに形成され、長さは多様であるが、例えば、80cm〜160cmで形成される。カテーテル10は、血管を通じて人体内に挿入されるので、柔軟な材質からなる。カテーテルの材質には、いわゆるテフロン(登録商標)樹脂として知られているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂が使われる。ポリテトラフルオロエチレンの場合、融点327℃の結晶性ポリマーであって、連続使用温度は260℃であり、低温(−268℃)から高温まで安定的に使用できる。また、耐薬品性が強くて酸、アルカリなどの各種溶剤に対しても反応性がなくて、安定的に使用できる。それ以外にもポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタンなどの材質が使われることもある。これらのフッ素樹脂は、後述するバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50がカテーテル10の内側に挿入される時、摩擦を低減させて挿入を容易にする。一方、カテーテル10の外周面は、親水性コーティングされていて、血管への挿入を容易にする作用をする。
【0019】
カテーテル10は、両端が開放された中空型であって、その内側にルーメン13が形成されるが、このルーメン13は、カテーテル10の長手方向に沿って同軸的に配置される。また、本実施形態でルーメン13は、カテーテル10に沿って長く形成された隔壁14によって第1ルーメン11と第2ルーメン12とに分離される。第1ルーメン11は、カテーテル10の両端部、すなわち、人体の内側に挿入される近位端10pと、人体の外側に配置される遠位端10dとを備えて、カテーテル10の全体を貫通して形成される。この第1ルーメン11は、後述するバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50を挿入させるための通路として作用する。第2ルーメン12は、後述する風船60の内部に流体を注入する通路として機能するものであって、カテーテル10の全領域のうち、風船60が配置される部分からカテーテル10の近位端10pの反対側の遠位端10d側に延設される。これにより、第2ルーメン12の一端部には、カテーテル10の内周面と外周面との間を貫通して、流体を風船60に流入させる流入口17が形成される。また、第2ルーメン12の他端部には流体注入管18が配置される。この流体注入管18も中空の形状であって、その内側に第3ルーメン(図示せず)が同軸的に形成されている。この第3ルーメンは、後述する風船60に注入される流体を第2ルーメン12側にガイドするためのものであって、第3ルーメンと第2ルーメン12とは互いに連通されている。流体注入管18は、カテーテル10が挟み込まれて固定されているハブhに挟み込まれて結合され、ハブhの内側で第2ルーメン12と第3ルーメンとが互に連結される構造になっている。
【0020】
また、カテーテル10の遠位端10dには、後述するバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50の挿入を容易にするために、挿入口が形成されている挿入ハブ15が設置される。この挿入口は、近位端10p側へ行くほど直径が小さくなるように、テーパー状に形成されている。同様に、流体注入管18の端部にも流体の注入を容易にするために、その内側にテーパード注入口が形成された注入ハブ16が設置される。
【0021】
バイポーラ電極方式のガイドワイヤー50は、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55とを備える。
【0022】
第1ワイヤー51は、長く形成されてカテーテル10の第1ルーメン11に同軸的に挟み込まれる。但し、第1ワイヤー51の両端部は、それぞれカテーテル10から突出して配置される。本発明によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50及びカテーテルシステム100で、第1ワイヤー51は、血管に沿って病変が発生した領域に経路をガイドする基本的機能を行うと同時に、後述するが、高周波治療のための電極としての機能を行う。電極としての機能を行えるように、第1ワイヤー51は、導電性を持つように金属材質からなる。
【0023】
第1ワイヤー51の先端部には球形の第1電極53が付着される。この球形の第1電極53は、第1ワイヤー51の先端部に配置されて、後述する第2ワイヤー55の先端部に付着される第2電極58との間に電気的作用を行うものであって、導電性材質からなる。
【0024】
また、第1ワイヤー51の外周面には、絶縁材質のポリマー素材、例えば、テフロン樹脂のコーティング剤52でコーティングされている。さらに詳細には、第1ワイヤー51がカテーテル10の第1ルーメン11から突出した領域のうち最前方部分である先端部と、後述する高周波発生器70と連結される終端部とを除いて、これら間の中央部はいずれもコーティング剤52によってコーティングされる。第1ワイヤー51の先端部、すなわち、第1電極53は、前記したように、後述する第2ワイヤー55の先端部との間に電流が導通する電極として作用する部分であり、第1ワイヤー51の終端部は、高周波発生器70と電気的に連結される部分であるので、第1ワイヤー51の先端部と終端部とがコーティング剤52によって絶縁されないようにするためである。
【0025】
一方、第1ワイヤー51のうちカテーテル10のルーメンから突出した部分は、微細血管まで挿入されねばならない部分であるため、白金などの素材を用いて他の部分に比べてはるかに柔軟に形成される。
【0026】
第2ワイヤー55は、第1ワイヤー51と同様にカテーテル10のルーメンに同軸的に挟み込まれるものであって、本線部56とコイル部57とで形成される。この第2ワイヤー55は、第1ワイヤー51と同様に電極として作用するので、導電性の金属材質からなる。
【0027】
本線部56は、長く形成されて第1ワイヤー51から一定距離ほど離隔して平行に配置される。コイル部57は、本線部56の先で螺旋状に延設される。コイル部57の先、すなわち、第2ワイヤー55の先端部には環状の第2電極58が付着される。第2電極58は、導電性材質からなる。この環状の第2電極58は、第1ワイヤー51の第1電極53に対応して電極として作用するので、第1電極53との間に交流電流を伝播させる経路が形成される。
【0028】
また、コイル部57の内側に第1ワイヤー51が挿入される。但し、第1ワイヤー51の第1電極53は、コイル部57に対して突設されるので、第1ワイヤー51の先端部である第1電極53と第2ワイヤー55の先端部である第2電極58とは、互いに一定距離dほど離隔して配置される。離隔した距離dは1mm〜50mmで設置されることが望ましい。後述するが、第1ワイヤー51の先端部と第2ワイヤー55の先端部との間に血管や腫ようなどの病変部位が位置し、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55との各先端部の間で交流電流を伝播させて、血管を閉塞させるか、または腫ようを焼灼する。これにより、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55との各先端部の間の距離、すなわち、第1電極53と第2電極58との距離dが1mm未満ならば、電流が伝播される領域が小さ過ぎて、広い病変部位に対する効果的施術を期待できないだけではなく、先端部が互いに接触する恐れがあって望ましくない。また、距離dが50mmを超過すれば、電流の伝播が円滑でなく効果的な施術が困難である問題点があり、病変部位以外の正常組織にも影響を及ぼすところ、望ましくない。
【0029】
本発明によるバイポーラと方式のガイドワイヤー50は、前記のように血管に挿入されるものであるので、ガイドワイヤー50に段差が形成されることは望ましくない。したがって、第1電極53の直径D1と第2電極58の外径とコイル部57の幅D2とはいずれも同一に形成されて、同じ厚さを持つ。また、本発明によるガイドワイヤー50に段差が形成されずに同じ厚さを保持できるように、第1電極53と第2電極58との間に配置されているコーティング剤52は、他の部分に比べて厚くコーティングされる。すなわち、第1電極53の直径D1及び第2電極58の外径と同じ幅で形成される。
【0030】
一方、本実施形態では採用されていないが、第2ワイヤー55の本線部56外周面には、第1ワイヤー51と同様にテフロンなどがコーティング剤がコーティングされうる。但し、第2ワイヤー55のコイル部57にもコーティングをする場合、バイポーラ電極方式のガイドワイヤー50が厚くなりうるので、コーティングしない。また、第2ワイヤー55の先端部は、第1ワイヤー51の先端部と共に電極として作用するので、絶縁されてはならず、終端部も高周波発生器70に電気的に連結されねばならないので、絶縁されてはならない。これにより、第2ワイヤー55の先端部と終端部とはコーティング剤によってコーティングされない。
【0031】
前記のように、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55との本線部に、テフロンなどを用いてコーティングをすることで、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55とが電気的に互いに絶縁されるが、本発明の望ましい実施形態では、ポリマー材質の被覆剤59によって、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55の本線部56とを電気的に互いに絶縁させる。すなわち、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55の本線部56とが離隔した状態で、溶融されたポリマー材質の被覆剤59が、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55の本線部56との間、及び第1ワイヤー51と第2ワイヤー55の本線部56とを共に被覆した後、所定の時間が経過すれば、溶融状態の被覆剤59が固化される。
【0032】
このような状態になれば、ポリマー材質の被覆剤59が第1及び第2ワイヤー51、55の間に介されて、これらを電気的に互いに絶縁させることができる。また、被覆剤59によって第1、2ワイヤー51、55が一体に形成されるので、ワイヤーが互いに分離されている場合に比べて使用及び操作が容易になるという長所がある。但し、本発明によるガイドワイヤー50を血管に挿入する時、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55とが相対移動することは望ましくないので、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55との本線部56は互いに結合されている。第1ワイヤー51の外周面はコーティング剤52が包んでいるので、第2ワイヤー55の本線部56との間は電気的に絶縁が維持され、コーティング剤52によってコーティングされた第1ワイヤー51と第2ワイヤー55の本線部56とを、接着剤bや結合部材(図示せず)などによって互いに結合させて相対移動することを防止する。
【0033】
一方、この被覆剤59の外径も、第2ワイヤー55のコイル部57の幅D2と同一であるので、コイル部57と被覆剤59との間に段差が形成されずに同じ厚さが維持される。
【0034】
前記の構成で形成されたバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50は、用途によってその直径が多様でありうるが、本実施形態では第2ワイヤー55のコイル部57の外径を約0.016インチで形成する。参考までに、本実施形態でカテーテル10の外径は約0.038インチ以上に設定される。
【0035】
風船60は、カテーテル10の外周面に密閉結合されるが、さらに具体的には、第2ルーメン12の流入口17が配置された領域を包みつつカテーテル10の外周面に結合される。風船60は、血管内で膨脹して血流を遮断するためのものであり、伸縮性材質からなる。すなわち、第2ルーメン12を経て流入口17を通じて、流体(一般的に血管造影術に使われる流体)が風船60の内周面とカテーテル10の外周面との間に流入されれば、風船60は膨脹する。これにより、カテーテル10の近位端10pが病変領域に到達する前には収縮した状態にあり、病変領域から流体が注入されれば膨脹する構造になっている。風船60の外周面は血液と接触するので、抗凝固物形成性を持つ材料で形成されることが望ましく、後述する高周波熱治療時に相当な熱が発生するので、耐熱性の優秀な材料で形成されることが望ましい。
【0036】
高周波発生器70は、高周波交流を発生させるものであって、電気施術に使われるものであって、生体組織を局部的に切開または凝固させるためのものである。本実施形態において、バイポーラ電極方式のガイドワイヤー50の第1ワイヤー51は、高周波発生器70の正極端(+)に電気的に接続され、第2ワイヤー55は、高周波発生器70の負極端(−)に電気的に接続される。これにより、本実施形態では、従来技術で説明したように接地パッドを用いた単極性電極ではなく、第1ワイヤー51と第2ワイヤー55とがそれぞれ正極と負極として作用する、いわゆる両極性電極を形成する。高周波発生器70に約20wattほどのパワーが印加されれば、第1ワイヤー51の第1電極53と第2ワイヤー55の第2電極58との間には高周波領域(200〜1200kHz)の交流電流が伝播される。このように交流電流が伝播される過程で、イオンの振動による摩擦エネルギーが血管、腫ようなどの生体組織の温度を高めて凝固壊死を誘導することによって、出血のある血管を閉塞させるか、または腫ようを焼灼する。
【0037】
単極性電極を用いて高周波熱治療を行う場合、前記のように患者に接地パッドを付着せねばならないという使用上の不都合があり、何よりも電極から接地パッドに至る電流の伝達経路が長く形成されることによって、閉塞させねばならない血管と伴う他の主要血管や組織にまで影響を及ぼすという問題点があった。しかし、本発明のように両極性電極を利用すれば、バイポーラ電極方式のガイドワイヤー50でのみ局部的に伝達経路が形成されるので、他の組織や血管に副作用を発生させないという長所がある。
【0038】
そして、風船60は、出血部位の血流が速い場合にも効率的な高周波熱治療を可能にする。すなわち、高周波発生器70を通じて熱治療は、組織の温度を高めて凝固を誘導するものであるが、血流が速い場合、熱が病変部に集中的に伝えられず、血流に沿って熱が伝えられる現象、いわゆる熱沈殿効果が発生するので、凝固壊死の誘導が困難になる。このような場合、風船60を血管内で膨脹させて血流を一時遮断し、高周波熱治療を行うことによって効果的な施術が可能になる。
【0039】
一方、前述した第1実施形態では、バイポーラ電極方式のガイドワイヤー50の第1ワイヤー51の一端部(カテーテルの近位端10p側)が直線型であると説明及び図示したが、第1ワイヤーの一端部は多様な形態を持つことができる。このように第1ワイヤー51の一端部が曲線からなる形態の実施形態が、図6及び図7に図示されている。
【0040】
図6は、本発明の第2実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーについての概略的な斜視図である。図7は、本発明の第3実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーの主要部位についての概略的な斜視図である。図6を参照するに、第1ワイヤー51aの一端部は折り曲げられて、カテーテルの長手方向に対して交差する方向に配置される。また、図7を参照するに、第1ワイヤー51bの一端部は、‘U’状に完全に折り曲げられて形成される。血管は太い血管から枝を形成して狭い血管に分岐されるが、分岐される血管は太い血管に対して交差する方向に配置される。太い血管に沿って進む途中で分岐された血管にバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50aを挿入しようとする場合、第1ワイヤー51aの一端部が、図6に示したように折り曲げられていることが有利である。すなわち、血管が分岐される部分でバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50aを回転させれば、第1ワイヤー51aの折り曲げられた一端部が分岐された血管側に方向を合せることができるためである。
【0041】
また、血管が完全に逆方向に形成されて分岐され、完全に逆方向に分岐される血管にバイポーラ電極方式のガイドワイヤー50bを挿入させねばならない場合、図7に示したように、第1ワイヤー51bの一端部が‘U’状に形成されていることが、容易な挿入を可能にする。
【0042】
一方、バイポーラ電極方式のガイドワイヤーは次のように構成されてもよい。図8は、本発明の第4実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤー及びカテーテルシステムの概略的な斜視図であり、図9は、図8のIX−IX線の概略的な断面図であり、図10Aは、図9のXa−Xa線の概略的な断面図であり、図10Bは、図9のXb−Xb線の概略的な断面図である。
【0043】
図8ないし図10Bを参照するに、本実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤー150は、ワイヤー本体151、第1電極153及び第2電極154を備える。
【0044】
ワイヤー本体151は、カテーテル10の第1ルーメン11に挟み込まれた状態に血管に挿入されるように長く配置され、柔軟に形成される。また、ワイヤー本体151は、血管に沿って病変が発生した領域に経路をガイドする基本的機能を行えるように金属材料からなり、施術者は、血管造影システムを通じて血管内でガイドワイヤー150の位置を把握できる。そして、ワイヤー本体151には、その末端部を絶縁させるためのものとして、絶縁材質からなる絶縁キャップ159が結合されている。
【0045】
一方、説明の便宜上、図面ではワイヤー本体151が直線型であると図示したが、実際にワイヤー本体151の先端部はコイル型に形成されて、非常に柔軟に折り曲げられることができるので、狭い血管内でも移動が容易である。また、ワイヤー本体151の先端部は、柔軟性を確保できるように他の部分と異なって白金などの素材が使われる。ワイヤー本体151の外周面には絶縁材質のポリマー素材、例えば、テフロン樹脂の絶縁材152がコーティングされていて、ワイヤー本体151を絶縁させる。
【0046】
第1電極153は環状に形成されて、ワイヤー本体151の一端部の外周面に挟み込まれて結合される。但し、ワイヤー本体151との間には絶縁材152及び後述する被覆剤158が介されていて、第1電極153とワイヤー本体151とは電気的に絶縁されている。
【0047】
第2電極154も第1電極153と同様に環状に形成され、第1電極153と一定距離ほど離隔してワイヤー本体151の一端部の外周面に挟み込まれて結合される。同様に、ワイヤー本体151との間には絶縁材152及び被覆剤158が介されていて、第2電極153とワイヤー本体151とは電気的に絶縁されている。
【0048】
第1電極153は、第1導線156によって高周波発生器70と電気的に連結される。すなわち、第1導線156は、ワイヤー本体151に沿って長く配置され、その一端部は第1電極153と連結されて、他端部は高周波発生器70の正極(+)に接続される。
【0049】
また、第2導線157によって第2電極154は、高周波発生器70と電気的に連結される。第1導線156と同様に第2導線157は、ワイヤー本体151に沿って長く配置されて、その一端部は第2電極154と連結され、他端部は高周波発生器70の負極(−)に接続される。
【0050】
第1導線156と第2導線157とは、被覆剤158によって互いに絶縁される。すなわち、第1導線156と第2導線157とが互いに離隔した状態で、溶融されたポリマー材質の被覆剤158で、第1導線156と第2導線157とを備えてワイヤー本体151全体を包んだ後、所定の時間が経過すれば、溶融状態の被覆剤158が固化する。このような状態になれば、ポリマー材質の被覆剤158が第1導線156と第2導線157とを分離させるので、これらを電気的に互いに絶縁させることができる。
【0051】
そして、第1電極153と第2電極154とによってガイドワイヤー150の外周面に段差が形成されないように、第1電極153及び第2電極154の外径は、被覆剤158の外径と同一に形成される。また、互いに離隔している第1電極153と第2電極154との間にも、同じ外径を持つ環状の絶縁体155が挟み込まれる。これにより、本実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤー150の外周面全体は、段付けられずにスムーズに形成される。
【0052】
また、前述したように第1電極153と第2電極154との間には血管や腫ようなどの病変部位が位置し、効率的な治療のために、第1電極153と第2電極154との間の離隔した距離は1mm〜50mmで設置されることが望ましい。
【0053】
本実施形態によるガイドワイヤー150を使用すれば、前述した実施形態と同様に患者に接地パッドを付着せねばならないという使用上の不都合を防止でき、第1電極153と第2電極154との間にのみ局部的に伝達経路が形成されるので、他の組織でも血管での副作用の発生を防止できる。
【0054】
一方、第4実施形態とは異なってガイドワイヤー150の先端部が前記の第2及び第3実施形態のように曲線形態に構成されてもよい。図11は、本発明の第5実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーについての斜視図であり、図12は、本発明の第6実施形態によるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーの斜視図である。
【0055】
図11を参照するに、第4実施形態によるガイドワイヤー150aの先端部は折り曲げられて、カテーテルの長手方向に対して交差する方向に配置される。また、図12を参照するに、ガイドワイヤー150bの先端部は、‘U’状に完全に折り曲げられて形成される。このように、ガイドワイヤーの先端部が曲線形態になれば、前記の第2及び第3実施形態で説明したように、血管の分岐される部分でガイドワイヤーを容易に挿入できるようになる。
【0056】
一方、前述した実施形態とは異なって、カテーテルシステムが電極用形状維持体を持つように構成されてもよい。図13は、本発明の第7実施形態によるカテーテルシステムの概略的な一部切開斜視図であり、図14は、図13のXIV−XIV線の概略的な断面図であり、図15は、図14のXV−XV線の概略的な断面図である。
【0057】
図13ないし図15を参照するに、本実施形態によるカテーテルシステム300はカテーテル10、電極用形状維持体230、ガイドワイヤー250、風船60及び高周波発生器70を備える。ここで、カテーテル10、風船60及び高周波発生器70は、前述した実施形態の構成と同一であるので説明を省略し、電極用形状維持体230及びガイドワイヤー250について説明する。
【0058】
電極用形状維持体230は、カテーテル10の内側に形成されたルーメン13の形状を維持するためのものである。すなわち、カテーテル10が柔軟な材質からなっているので、一抹の外力によっても第1ルーメン11及び第2ルーメン12の形状が変形できる。このように外力によって第1ルーメン11の一部領域で直径が狭くなれば、後述するガイドワイヤー250の挿入が容易でなく、第2ルーメン12の直径が狭くなれば、風船60への流体の注入が容易でなくなるという問題点がある。これに形状維持体230は、カテーテル10の内周面と外周面との間に挿設され、カテーテル10の全体長さにかけて配置されて、第1及び第2ルーメン11、12の形状が変形されずに原形を保つようにする。本実施形態で、電極用形状維持体230は、カテーテル10の内周面と外周面との間に螺旋状に巻き取られて設置される。
【0059】
また、本実施形態において電極用形状維持体230は、ルーメンの形状維持と共に電極として作用する。したがって、電極用形状維持体230は、銅、ステンレスなどの導電性物質からなり、電極用形状維持体230の両側端部は、カテーテル10から突出して外部に露出しており、その一端部は、高周波発生器70の負極端に電気的に接続される。
【0060】
ガイドワイヤー250は、カテーテル10の第1ルーメン11に同軸的に挿入されて、カテーテル10が血管に沿って病変部に至る経路をガイドするものである。ガイドワイヤー250は、導電性を持つように金属材質からなる。また、ガイドワイヤー250の外周面はポリマー素材、例えば、テフロン樹脂の絶縁材でコーティングされている。さらに詳細には、ガイドワイヤー250の一端部、すなわち、ガイドワイヤー250がカテーテル10のルーメンから突出した部分と、高周波発生器と連結される他端部との間である中央部がコーティングされる。前記ガイドワイヤー250がルーメンから突出した長さは約0.5〜2cmほどである。ガイドワイヤー250がカテーテル10の第1ルーメン11に挿入されれば、前述したように、その一端部は第1ルーメン11を超えて突設される。これにより、ガイドワイヤー250の一端部と電極用形状維持体230の一端部とは、カテーテル10から突出した状態で互いに離隔して配置される。ガイドワイヤー250の他端部は、高周波発生器70の正極端に電気的に連結される。
【0061】
本実施形態によるカテーテルシステム300を使用すれば、前述した実施形態と同様に患者に接地パッドを付着せねばならないという使用上の不都合を防止でき、ガイドワイヤー250の端部と電極用形状維持体230の端部との間にのみ局部的に伝達経路が形成されるので、他の組織や血管に副作用が発生することを防止できる。
【0062】
一方、電極用形状維持体は他の形状で形成されてもよい。図16は、本発明の第8実施形態によるカテーテルシステムの電極用形状維持体を説明するための斜視図であり、図17は、本発明の第9実施形態によるカテーテルシステムの電極用形状維持体を説明するための斜視図である。
【0063】
図16を参照するに、第8実施形態で電極用形状維持体248は網状に配置されて、カテーテル10の内周面と外周面との間に挿設される。そして網状から1本の鉄心がカテーテル10の外部に突出する形態である。
【0064】
図17を参照するに、第9実施形態による電極用形状維持体は、環状支持体241と線形支持体242とを備える。環状支持体241は環状に形成された支持体が、カテーテル10の長手方向に沿って一定距離の間隔で設置される。本実施形態で線形支持体242は4本の直線型鉄心であって、環状支持体241の周縁方向に沿って所定角度間隔(約90°)に沿って配置され、カテーテル10の長手方向に沿って長く配置される。線形支持体242のうち一本の一端部がカテーテル10に対して突出し、他端部は高周波発生器に連結される構成になっている。
【0065】
また、これまで電極用形状維持体が直接電極として作用すると説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、別途の電極部材を利用してもよい。このような形態の実施形態が、図18及び図19に図示されている。図18は、本発明の第10実施形態に適用された電極部材を説明するための分離斜視図であり、図19は、図18のXIX−XIX線の断面図である。
【0066】
図18及び図19を参照するに、カテーテル10の一端部には環状の電極部材280が挟み込まれて結合される。この環状の電極部材280は、導電性材質からなっている。カテーテル10の内周面と外周面との間に螺旋状に巻き取られていた形状維持体230aは、この電極部材280に電気的に連結される。これにより、電源が印加されれば、ガイドワイヤー250から環状の電極部材280側に電流の伝達経路が形成される。この環状の電極部材280は、前記カテーテル10の一端部の終端からカテーテル10の他端部側に一定距離ほど離隔して配置されるか、または離隔せずに一端部の終端に正確に配置されることもある。但し、離隔する距離が遠すぎれば、電流の伝達経路があまりにも長くなって望ましくない。
【0067】
本発明は、添付した図面に図示された実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は特許請求の範囲のみによって定められねばならない。
【0068】
例えば、前述した実施形態では高周波発生器が使われると説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、病変によってマイクロウェーブ発生器などが使われてもよい。
【0069】
また、前述した実施形態ではカテーテル10に風船60が結合された形態に説明されたが、風船が結合されていない形態のカテーテルを使用でき、この場合には、風船に流体を注入するための第2ルーメン12や流体注入管18が備えられていない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、病変が発生した領域のみに集中的に高周波熱治療を行えるので、非常に効果的な治療が可能であり、他の組織や血管に副作用を引き起こさない。
【0071】
また、本発明によれば、従来に接地パッドを付着せねばならなかった使用上の不都合を解消して、使用性が向上したという長所がある。
【0072】
また、ガイドワイヤーの一端部を折り曲げられて形成することによって、分岐される血管へのガイドワイヤーの挿入を容易に行えるという長所がある。
【符号の説明】
【0073】
10 カテーテル
10p 近位端
10d 遠位端
15 挿入ハブ
16 注入ハブ
18 流体注入管
50 バイポーラ電極方式のガイドワイヤー
51 第1ワイヤー
52 コーティング剤
53 第1電極
55 第2ワイヤー
57 コイル部
58 第2電極
59 被覆剤
60 風船
70 高周波発生器
100 カテーテルシステム
h ハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材質からなって長く形成され、生体の管状器官内に挿入される中空型のカテーテルに挟み込まれて、両端部が前記カテーテルから突設される第1ワイヤーと、
導電性材質からなり、長く形成されて前記第1ワイヤーと離隔して配置される本線部と、前記本線部から螺旋状に延設されて、その内側に前記第1ワイヤーが挿入されるコイル部とを備える第2ワイヤーと、を備え、
前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの間は電気的に絶縁されるが、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの各先端部は絶縁解除されており、前記絶縁解除されている第1ワイヤーの先端部と前記第2ワイヤーの先端部とは、一定距離ほど離隔して配置されることを特徴とするバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項2】
導電性材質からなり、前記第1ワイヤーの先端部に結合される球形の第1電極をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項3】
前記球形の第1電極の直径は、前記第2ワイヤーコイル部の幅と同じであることを特徴とする請求項2に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項4】
導電性材質からなり、前記第2ワイヤーの先端部に結合される環状の第2電極をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項5】
前記第1ワイヤーの先端部と第2ワイヤーの先端部との離隔した距離は、1mmないし50mmであることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項6】
前記第1ワイヤーの一端部は折り曲げられて、前記カテーテルの長手方向に対して交差する方向に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項7】
前記第1ワイヤーの一端部は、‘U’状に折り曲げられて形成されることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項8】
テフロン材質のコーティング剤によって、前記第1ワイヤーの外周面が包まれてコーティングされることによって、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとは互いに電気的に絶縁されることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項9】
テフロン材質のコーティング剤によって、前記第2ワイヤー本線部外周面が包まれてコーティングされることを特徴とする請求項8に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項10】
導電性材質からなって前記第1ワイヤーの先端部に結合される球形の第1電極と、導電性材質からなって前記第2ワイヤーの先端部に結合される環状の第2電極とをさらに備え、
前記第1ワイヤーにコーティングされるコーティング剤のうち、前記第1電極と第2電極との間に配置された部分の厚さは、前記第2ワイヤーコイル部の幅と同じであることを特徴とする請求項8に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項11】
前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの本線部は、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの間に介される絶縁材によって電気的絶縁状態を保持しつつ、互いに結合されて相対移動しないことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項12】
前記第1ワイヤーと前記第2ワイヤーとの本線部は、互いに離隔した状態で絶縁材質の被覆剤によって共に包まれて一体に形成され、
前記被覆剤は、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの本線部間にも介されて、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの本線部を互いに電気的に絶縁させることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項13】
生体の管状器官内に挿入されるものであって、両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、
導電性材質からなって長く形成され、前記カテーテルのルーメンに挿入されて両端部が前記ルーメンから突設される第1ワイヤーと、導電性材質からなり、長く形成されて前記第1ワイヤーと離隔して配置される本線部と、前記本線部から螺旋状に延設されて内側に前記第1ワイヤーが挿入されるコイル部とを備える第2ワイヤーと、を備え、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの間は電気的に絶縁されるが、前記第1ワイヤーと第2ワイヤーとの各先端部は絶縁解除されており、前記絶縁解除されている第1ワイヤーの先端部と前記第2ワイヤーの先端部とは、一定距離ほど離隔して配置されるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーと、を備えてなることを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項14】
高周波電流を発生させる高周波発生器をさらに備え、
前記バイポーラ電極方式のガイドワイヤーの第1ワイヤーと第2ワイヤーとは、それぞれ極性を別にして前記高周波発生器に電気的に連結されていることを特徴とする請求項13に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
金属材質からなり、生体の管状機関に挿入可能に一方向に長く配置されたワイヤー本体と、
前記ワイヤー本体の外周面にコーティングされて前記ワイヤーを絶縁させる絶縁材と、
前記ワイヤー本体の一端部に付着される第1電極と、
前記第1電極から一定距離ほど離隔して前記ワイヤー本体の一端部に付着される第2電極と、
高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第1電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第1電極に付着される第1導線と、
高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第2電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第2電極に付着され、前記第1導線と電気的に絶縁されている第2導線と、を備えてなることを特徴とするバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項16】
前記第1電極と第2電極とは環状に形成されて、前記ワイヤー本体の外周面に挟み込まれて付着されることを特徴とする請求項15に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項17】
前記ワイヤー本体の先端部は折り曲げられて形成されることを特徴とする請求項15に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項18】
前記ワイヤー本体の先端部は‘U’状に折り曲げられて形成されることを特徴とする請求項17に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項19】
前記第1電極と第2電極との間に配置される絶縁体をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項20】
前記第1電極と第2電極との間の離隔した距離は1mmないし50mmであることを特徴とする請求項15に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項21】
前記第1電極と第2電極とは、環状に形成されて前記ワイヤー本体の外周面に挟み込まれるが、前記第1電極及び第2電極の外径は互いに同一であり、
互いに離隔している前記第1電極と第2電極との間が段付けられないように、前記第1電極と第2電極との間には、前記第1電極と第2電極との外径と同じ外径を持つ絶縁体が挿入されることを特徴とする請求項15に記載のバイポーラ電極方式のガイドワイヤー。
【請求項22】
生体の管状器官内に挿入されるものであって、両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、
金属材質からなって、一方向に長く配置されて前記カテーテルに挟み込まれるワイヤー本体と、前記ワイヤー本体の外周面にコーティングされて前記ワイヤーを絶縁させる絶縁材と、前記ワイヤー本体の一端部に付着される第1電極と、前記第1電極から一定距離ほど離隔して前記ワイヤー本体の一端部に付着される第2電極と、高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第1電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第1電極に付着される第1導線と、高周波電流を発生させる高周波発生器と前記第2電極とを電気的に連結するように、前記ワイヤー本体に沿って長く配置されて前記第2電極に付着され、前記第1導線と電気的に絶縁されている第2導線を備えるバイポーラ電極方式のガイドワイヤーと、を備えてなることを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項23】
生体の管状器官内に挿入されるものであって、絶縁材からなって両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、
前記カテーテルの長手方向に沿って長く配置され、前記ルーメンの形状が維持されるように前記カテーテルの内周面と外周面との間に挿設されて前記カテーテルを支持し、導電性材質であって、両端部が前記カテーテルから突出して外部に露出されている電極用形状維持体と、
導電性材質からなり、前記ルーメンに同軸的に挿入されて一端部が前記ルーメンから突出して、前記電極用形状維持体の一端部と一定距離ほど離隔して配置されるガイドワイヤーと、を備えることを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項24】
前記電極用形状維持体は、螺旋状になって前記カテーテルの内周面と外周面との間に巻き取られていることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項25】
前記電極用形状維持体は、網状になっていることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項26】
前記電極用形状維持体は、前記カテーテルの長手方向に沿って互いに一定距離ほど離隔して配置される複数の環状支持体と、前記環状支持体の周縁方向に沿って複数配置され、そのそれぞれは前記カテーテルの長手方向に沿って長く形成されて前記環状支持体と連結されている線形支持体を備え、前記線形支持体の両端が前記カテーテルから突出して外部に露出されていることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項27】
前記電極用形状維持体は、前記カテーテルの長手方向に沿って線形に長く形成されて、前記カテーテルの内周面と外周面との間に一つ以上配置されることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項28】
導電性材質からなり、前記カテーテルの一端部の外周面に挟み込まれて結合される環状の電極部材をさらに備え、
前記電極用形状維持体は、前記電極部材に電気的に連結されていることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項29】
前記環状の電極部材は、前記カテーテルの一端部の先端から他端部側に一定距離ほど離隔して配置されることを特徴とする請求項28に記載のカテーテルシステム。
【請求項30】
前記ガイドワイヤーの一端部が前記ルーメンから突出した部分の長さは0.5〜2cmであり、前記ガイドワイヤーの一端部と他端部との間の中央部は、ポリマー素材の絶縁材でコーティングされていることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項31】
高周波電流を発生させる高周波発生器をさらに備え、
前記電極用形状維持体の他端部と前記ガイドワイヤーの他端部とは、それぞれ極性を別にして前記高周波発生器に電気的に連結されていることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項32】
前記ルーメンは、前記カテーテルの一端部から他端部まで貫通して形成される第1ルーメンと、隔壁によって前記第1ルーメンと隔離され、一端部は、前記カテーテルの内周面と外周面との間を貫通してカテーテルの外部と連通する第2ルーメンとで形成され、
前記第2ルーメンの一端部を包む状態で前記カテーテルの外周面に気密に付着されて、前記第2ルーメンを通じて流体が注入される時に膨脹する風船と、前記風船に注入される流体を前記カテーテルの第2ルーメンにガイドするように、前記第2ルーメンと連結される第3ルーメンがその内側に形成されている中空の流体注入管と、をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載のカテーテルシステム。
【請求項33】
生体の管状器官内に挿入されるものであって、絶縁材からなって両端が開放されており、その内側にルーメンが同軸的に形成されている中空型のカテーテルと、
前記カテーテル本体の長手方向に沿って長く配置され、前記ルーメンの形状が維持されるように、前記カテーテルの内周面と外周面との間に挿設されて前記カテーテル本体を支持し、導電性材質であって、両端部が前記カテーテルから突出して外部に露出されている電極用形状維持体と、を備えることを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項34】
導電性材質からなり、前記カテーテルの一端部の外周面に挟み込まれて結合される環状の電極部材をさらに備え、
前記電極用形状維持体は、前記電極部材に電気的に連結されていることを特徴とする請求項33に記載のカテーテルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−530260(P2010−530260A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512087(P2010−512087)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003354
【国際公開番号】WO2008/153357
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509344010)チュンアン ユニヴァーシティ インダストリー アカデミー コーペレーション ファウンデーション (3)
【出願人】(509344021)テウン メディカル カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】