説明

バインダ

本発明は、たとえばガラスウールまたはストーンウール絶縁材などのためのバインダに関する。疎性物質を結合するための、未反応の実質的にホルムアルデヒドフリーの硬化可能なバインダ溶液は、還元糖と、アンモニウム塩の酸性前駆体と、任意にはカルボン酸またはその前駆体と、任意にはアンモニアとを水に溶解することによって得られる溶液から実質的になる。開示される特定的なバインダの1つは、ブドウ糖一水和物、無水クエン酸、水およびアンモニア水を混合することによって得られるクエン酸三アンモニウム−ブドウ糖系に基づく。このバインダ系の多くの利点のうちの1つは、このバインダ系がホルムアルデヒドフリーであることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばガラスウールまたはストーンウール絶縁材などのためのバインダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(本明細書に引用により援用する)は、メイラード反応物を含むバインダを含むバインダに関する。開示される特定的なバインダの1つは、ブドウ糖一水和物、無水クエン酸、水およびアンモニア水を混合することによって得られるクエン酸三アンモニウム−ブドウ糖系に基づく。このバインダ系の多くの利点のうちの1つは、このバインダ系がホルムアルデヒドフリーであることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/014236号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの局面は、請求項1に記載のバインダ溶液を提供する;従属請求項は、代替的および/または好ましい実施形態を定めるものである。
【0005】
別の局面において、本発明は、
−炭水化物と、
−無機塩から得られる酸性前駆体と、
−窒素の供給源と、
−任意には有機酸またはその前駆体と、
−任意にはアンモニアと
を溶解することによって得られる溶液を含むバインダ溶液を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ミネラル繊維テストサンプルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に従って用いられるバインダ溶液は「実質的にホルムアルデヒドフリー」であってもよく、すなわちこれらのバインダ溶液は、乾燥および/もしくは硬化(または乾燥および/もしくは硬化をシミュレーションする適切なテスト)の結果として5ppm未満のホルムアルデヒドを遊離してもよい。こうしたバインダ溶液は、好ましくは「ホルムアルデヒドフリー」であり、すなわちこうした条件で1ppm未満のホルムアルデヒドを遊離する。
【0008】
バインダを取入れた本発明に従う製品(たとえば絶縁材料または木材ボードなど)は「実質的にホルムアルデヒドフリー」であってもよく、すなわちこれらの製品は、5ppm未満もしくは検出限界未満の遊離ホルムアルデヒドを含むか、および/または全体でこれらの量未満の遊離ホルムアルデヒドを含む材料からなるか、および/またはその通常の使用をシミュレーションするために適合された標準化されたテストにおいて、ホルムアルデヒドの放出がないかもしくは検出不可能なレベルであると分類できる程度のレベルのホルムアルデヒドを放出してもよい。好ましくはこうした製品は、ISO16000に従ったテストの開始から24〜48時間の期間に10μg/m未満、より好ましくは5μg/m未満のホルムアルデヒドを放出する。
【0009】
本発明に従うバインダは、たとえば国際公開第2007/014236号のクエン酸三アンモニウム−ブドウ糖系などに比べて、少なくとも同等であり実際には改善された特性を有し得ることが見出されている。国際公開第2007/014236号は、とりわけ炭水化物(たとえば還元糖など)、アンモニアおよびカルボン酸の組合せに基づくバインダ系を教示しており、メイラード型反応がその硬化化学作用の基礎を形成しているかもしれないと示唆している。特に酸性前駆体および/またはその誘導体が硬化バインダの構造に組み込まれているときには、使用される酸の性質が硬化バインダの特性に大きな影響を及ぼすと考えられてきた。したがって、別様には明らかに類似のバインダ系において、無機塩から得られる酸性前駆体が好適な酸性前駆体を提供することは、驚くべきことである。
【0010】
無機塩から得られる酸性前駆体の使用は、コスト、利用可能性および取扱いの容易さの点においてかなりの利点を有し得る。バインダ溶液の無機塩から得られる酸性前駆体は、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩および炭酸塩からなる群より選択される種を含んでもよい。1つまたはそれ以上の無機アンモニウム塩、たとえば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムまたは炭酸アンモニウムなどの使用によって、特定の利点を得ることができる。アンモニウム塩は、酸性前駆体もしくはその部分、および/または窒素の供給源もしくはその部分、および/またはpH調節系もしくはその部分を提供してもよい。硝酸アンモニウムもこの働きをしてもよい;しかし、硝酸アンモニウムは炭水化物(たとえばブドウ糖の場合など)のアルデヒド基を酸化するおそれがあり、および/または爆発を避けるための予防措置を必要とし得る。
【0011】
硫酸アンモニウムは特に有利であるが、それに加えて、または代替的にリン酸アンモニウムが用いられてもよい。リン酸アンモニウムは、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウムまたはリン酸三アンモニウムであってもよい;リン酸アンモニウムはリン酸水素アンモニウムであってもよい。炭酸アンモニウムも、単独で、または本明細書に開示される他の材料と組合せて、良好な結果を提供し得る。炭酸アンモニウムは重炭酸アンモニウムであってもよい。
【0012】
酸性前駆体は、特に無機アンモニウム塩(単数または複数)から実質的になっているときには、
・未硬化バインダ溶液の乾燥重量比で少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%、より好ましくは少なくとも9%;および/または
・未硬化バインダ溶液の乾燥重量比で25%もしくは20%未満、好ましくは18%未満、より好ましくは16%未満を構成していてもよい。
【0013】
「からなるか、または実質的になる」という用語は、請求項の範囲を、請求される発明の基本的かつ新規の特徴(単数または複数)に物質的に影響しない特定の材料またはステップに限定することを意図するものである。
【0014】
酸は、硫酸、リン酸、硝酸または弱酸を含んでもよい。
【0015】
バインダは、炭水化物(特に糖の場合)に対して乾燥重量比5%から25%、好ましくは10%から20%、より好ましくは15%から20%の酸性前駆体(特に無機アンモニウム塩の場合)を含んでもよい。
【0016】
バインダが無機塩から得られる酸性前駆体および有機酸の両方を含むとき、これらは炭水化物(特に糖の場合)に関して乾燥重量比で以下の量だけ存在してもよい:
【0017】
【表1】

有機酸が用いられるとき、それはアンモニウム塩から得られたものであることが好ましい。たとえば、クエン酸アンモニウム、特にクエン酸三アンモニウムがクエン酸の供給源として用いられてもよい。
【0018】
ミネラルウール絶縁材のための先行技術のフェノールホルムアルデヒドバインダ系は、硬化剤として約2重量%の硫酸アンモニウムを加えて用いられていた。しかし、こうしたフェノールホルムアルデヒドバインダ系の化学作用は、フェノールおよび/またはホルムアルデヒドおよび/またはその他のフェノール類に基づかない本発明のバインダ系に匹敵するものではない。
【0019】
特に還元糖ではなく炭水化物がバインダ溶液に用いられてもよく、それはたとえばアルドースまたはケトースの形の単糖を含んでいてもよい。好ましくは、炭水化物は糖を含み、より好ましくは還元糖または熱硬化条件下でインサイチェで還元糖をもたらす反応物を含む;炭水化物はグルコース(すなわちブドウ糖)を含んでもよい。炭水化物は還元アルデヒドを有する炭水化物を含んでもよい。特にミネラルウール絶縁製品の製造に対しては、還元糖、特にブドウ糖の使用によって良好なバインダ強度が与えられると考えられている。ブドウ糖は100%純粋である必要はないが、ブドウ糖等価値(dextrose equivalent value)が少なくとも0.85、好ましくは少なくとも0.9、より好ましくは少なくとも0.95である材料を使用することが有利であると考えられる。ブドウ糖等価値DEは次のように考えることができる:i)解重合の尺度として、およそDE=100/dp、ここでdpは重合の程度を示す;またはii)乾燥時のD−グルコース(ブドウ糖)として算出される還元糖の総量として。
【0020】
好ましくは、バインダ溶液および/またはバインダは、デンプンを含まないかまたは実質的に含まない;実質的な量のデンプンが存在すると、硬化時間が増加するか、および/または硬化バインダの強度が低下すると考えられる。バインダ溶液および/またはバインダは、タンパク質を含まないかまたは実質的に含まなくてもよい。
【0021】
工業用の、非食品等級のブドウ糖が還元糖として用いられてもよい;94.5のDE値を有する、Tate and Lyleより得られる75%固形糖溶液であるSirodex331などの製品が用いられてもよい。
【0022】
還元糖はブドウ糖から実質的になっていてもよい。特にこの場合、加えてより特定的には酸性前駆体がアンモニウム塩、たとえば硫酸アンモニウムなどから実質的になる場合には、還元糖の量/酸性前駆体の量の乾燥重量比は2.5以上であるか、および/または13以下であってもよい。
【0023】
窒素の供給源は、アミンまたはアミン反応物であってもよい;それは、たとえば無機アンモニウム塩など、酸性前駆体と同じ供給源から得られてもよい。窒素の供給源は好ましくは溶液のアンモニアである。
【0024】
言及される材料を与える前駆体および/または反応物が用いられてもよい。
【0025】
実施形態の1つにおいて、バインダは、還元糖および水溶液中の無機アンモニウム塩から実質的に得られる。
【0026】
別の実施形態において、バインダは有機酸、特にカルボン酸も含んでいてもよい;それはポリカルボン酸、特に二カルボン酸(bi−carboxylic acid)またはトリカルボン酸、望ましくはクエン酸であってもよい;それは好ましくは単量体である。有機酸(またはその前駆体、塩もしくは無水物)と、無機塩から得られる酸性前駆体との組合せによって、さまざまな利点が与えられ得る。第1に、こうした組合せによって、(有機酸のみに基づくこうしたバインダにおいて観察される)パンキング(punking)の危険性を減らしながら許容できる強度を与えてもよい。パンキングとはミネラル繊維絶縁材領域の技術分野の用語であって、一般的には、完成し一般的には包装された絶縁製品における熱の同時発生によってバインダが比較的急速に酸化することを示す。パンキングによって、一般的に煙霧の発生および絶縁材料の退色がもたらされる。それは、絶縁材料の厚みを通じて温度を上昇させる発熱反応を伴い得る;これによって絶縁製品の完全性が破壊され、および/または発火の危険がもたらされるおそれがある。
【0027】
代替的または付加的に、有機酸(またはその前駆体、塩もしくは無水物)と無機塩から得られる酸性前駆体との組合せによって、硬化の際に起こる酸性状態を緩和して、こうした状態が結合される材料に相当な損傷をもたらす危険性または傾向を低減させてもよい。こうした組合せは、たとえばガラスウール絶縁材などよりも酸による損傷を受けやすい可能性のある繊維を有するストーンウール絶縁材に対するバインダとして、特に有利であり得る。
【0028】
さらなる実施形態において、バインダは実質的に以下のものに由来する:炭水化物;無機アンモニウム塩;ならびに有機酸および/または有機酸前駆体;水溶液中。
【0029】
本明細書に記載される構成要素を含むか、またはそれらから実質的になるバインダは、たとえば以下から選択される添加剤などの添加剤を含んでもよい:シラン、ミネラルオイル、カップリング剤、シリコーンまたはシロキサン(特に撥水性のためのもの)、シリコン含有化合物、界面活性剤、親水性添加剤、疎水性添加剤、ワックス、pHを調節するために有用な物質(例、水酸化アンモニウム)、およびアンモニア。使用されるときの水酸化アンモニウムおよびその他の添加剤が、窒素の付加的な供給源を提供してもよい。
【0030】
好ましくは、添加剤(アンモニアを除く)の総量は5重量%未満(存在する水の重量を除く)、より好ましくは3重量%未満または2重量%未満である。
【0031】
特にミネラル繊維製品に対しては、添加剤としてシランを含むことが好ましい。バインダおよび/またはバインダ溶液は、乾燥重量比で少なくとも0.1%および/または1%未満のシランを含んでもよい。シランはアミノ置換されていてもよい;それはシリルエーテルであってもよく、シリルエーテルが存在すると、特に風化後のバインダの長期強度をかなり改善し得ると考えられている。
【0032】
バインダのpHに対する選択は以下のとおりである:
【0033】
【表2】

これは少なくとも、バインダが結合すべき材料に適用される状態、および/または廃水回復系において回収される状態におけるものである。バインダがこうした中性またはアルカリ性のpHを有することで、いくつかの実質的に酸性の先行技術バインダ系で起こっていたような製造機器の腐食の問題が軽減され得る。こうした先行技術バインダは、ポリアクリル酸またはポリマーポリカルボン酸から実質的になるバインダを含む。よって本発明の特定的な利点の1つは、こうした中性またはアルカリ性の条件で動作できるバインダ系の使用である。硬化されるとき、バインダは硬化プロセスの間に酸性になるかもしれない。しかし、この状態にあるときの製造機器とバインダとの接触は最小限であるため、この場合の機器腐食の問題はあまり重要ではない。バインダのpHは13以下、好ましくは12、11または10以下であってもよい。好ましいpHは、7.5から9.5、特に8から9の範囲内であってもよい。結合すべき材料に適用され、その後水に溶解されるバインダは、6より大きいpHを有してもよい。
【0034】
バインダ溶液のpHを適切なレベルに調整することによって、バインダ溶液の構成要素の析出を防ぎ、特に無機塩から得られる酸性前駆体が溶液中に残ることを確実にすることが好ましい。これは特に、リン酸アンモニウムが酸性前駆体を与える場合のことである。特にリン酸アンモニウムが用いられてバインダ溶液がリン酸塩析出物を含まないとき、析出物を含まないアンモニウム塩の酸性前駆体を含む均一なバインダ溶液を用いることによって、より良好な乾燥および/もしくは風化強度ならびに/またはより均一な製品が得られてもよい。
【0035】
バインダ組成物は水溶液の形で与えられてもよい;バインダ組成物は遊離アンモニアまたは過剰なアンモニアを溶液中に含有してもよい。たとえば、溶液中にアンモニアが存在することに部分的または実質的に起因して、バインダ溶液中に存在する酸性基に比べてアルカリ性基が過剰であることによって、バインダの中性またはアルカリ性のpHが生成されてもよい。付加的なアンモニアがバインダ溶液にたとえば0.2重量%〜1重量%、またはそれ以上加えられてもよい;このことが、特にミネラルウール絶縁材の製造に対して、洗浄水系を長期にわたってアルカリ性に保つことを助けてもよい。
【0036】
特に断熱製品のためのミネラルウール繊維の場合、形成された直後の熱いミネラルウール繊維にバインダ溶液を噴霧すると、ミネラルウール繊維の残留熱によって、バインダ溶液中のあらゆる水のかなりの部分が蒸発する可能性がある。その結果、次いで芯(batt)を形成するために集められるミネラルウール繊維の上に存在するバインダは、粘着性、粘稠またはべたつく液体の形であり得る。これによって、バインダを介した個々の繊維間の結合が促進されてもよい。
【0037】
このバインダ系の多くの利点の1つは、このバインダ系が実質的に未反応の状態で適用され、たとえばミネラルウール繊維に噴霧されることである。バインダ溶液を実質的に未反応の状態で適用できることによって、構成要素を予め反応させるいくつかの先行技術バインダ系に起こったような、溶液中のバインダ構成要素を予め反応することに関する問題が軽減されてもよい。こうした先行技術バインダは、結合すべき材料に適用される予め反応させたポリマーまたは樹脂から実質的になるバインダを含む。結合すべき材料の上に、粘着性、粘稠またはべたつく液体の形で実質的に未反応のバインダが存在することにより、バインダ構成要素間の反応は実質的に乾燥状態で起こってもよい。この反応は溶媒の利益を受けずに起こるため、バルク重合と言われることもある。よって本発明の特定的な利点は、実質的に乾燥状態で、またはバルク重合によって重合できるバインダ系の使用である。
【0038】
本発明の状況において用いられるミネラル繊維は、内部または外部スピニングによって形成されてもよい。バインダ溶液が噴霧されるとき、ミネラル繊維は20℃から200℃、一般的には30℃から100℃または150℃の範囲の温度であってもよい。噴霧されるバインダ溶液の量は、ミネラル繊維の形成から芯を形成するための回収までの間にミネラル繊維を所望の温度に冷却することを助けるための付加的な水スプレーとともに、またはこうした水スプレーなしで使用されてもよい。
【0039】
ミネラル繊維に適用されるバインダ溶液のpHを調節するために溶液中にアンモニアを使用することの特定的な利点は、繊維に貼り付くバインダ溶液のアンモニアの少なくとも一部が、ミネラルウール繊維の残留熱によって蒸発し得ることである。その結果、繊維を被覆するバインダ溶液のpHは、噴霧されるバインダ溶液よりも低くなってもよい。
【0040】
本発明は、以下の逐次的ステップを含む、ミネラル繊維断熱製品を製造する方法に及ぶ:
・溶融したミネラル混合物からミネラル繊維を形成するステップ;
・ミネラル繊維に実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液を噴霧するステップ、バインダ溶液は以下を含む:炭水化物(特に還元糖)、無機塩から得られる酸性前駆体、および窒素の供給源;
・バインダ溶液が適用されたミネラル繊維を集めてミネラル繊維の芯を形成するステップ;および
・芯を硬化オーブンに通すことによって、ミネラル繊維とバインダとを含む芯を硬化して、実質的に水不溶性の硬化バインダによってともに保持されたミネラル繊維の芯を提供するステップ。
【0041】
ミネラル繊維を形成するステップと、集めて芯を形成するステップとの間に、ミネラル繊維に洗浄水を噴霧してもよく、洗浄水の少なくとも一部はミネラル繊維に噴霧された後に洗浄水系に戻されて、洗浄水として再使用される。バインダ溶液が洗浄水を含んでいてもよい。
【0042】
バインダは硬化可能であってもよい;バインダは、たとえば硬化オーブンなどにおいて硬化されてもよい;バインダは熱硬化性バインダを形成してもよい。硬化された形のバインダは:メラノイジンを含んでもよく;および/または熱硬化性であってもよく;および/または水不溶性もしくは実質的に水不溶性であってもよい。バインダ溶液は実質的に無色または白色からオフホワイトであってもよい;硬化の際にバインダは暗色、特に暗褐色を帯びてもよい。硬化された製品は暗い色、特に暗褐色であってもよい。バインダはタンパク質を含まなくてもよい;バインダはセルロース原料を含まなくてもよい。このバインダ系の多くの利点のうちの1つは、硬化の程度を色で判断できることである。実質的に脱水したバインダは白色またはオフホワイトを示す。次第に硬化の程度が大きくなると、バインダの色は次第に暗くなる(茶色の色合いが暗くなる)。ミネラル繊維に適用されるとき、ミネラルウール絶縁材の硬化の程度をその色によって判断できる。
【0043】
結合すべき材料に適用されるとき、および/または硬化の前には、バインダはメラノイジンおよび/または硬化に由来するその他の反応生成物を含まないか、実質的に含まなくてもよい。バインダの硬化によって、特に中間生成物としてグルコシルアミンが生じ得る。その結果、硬化した製品または特に部分的に硬化した製品は、グルコシルアミンを含んでもよい。
【0044】
硬化の際のバインダの反応は、たとえば米国特許出願公開第20070027283号または国際公開第2007/14236号などに記載されるとおり、実質的にメイラード型反応であってもよい。バインダは、還元糖と、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウムおよび炭酸アンモニウムからなる群より選択される材料とを含む混合物の重合生成物を含んでもよい。
【0045】
バインダ溶液は、以下のものを組合せることによって調合されてもよい:
・炭水化物、好ましくは還元糖;
・無機塩から得られる酸性前駆体、好ましくは硫酸アンモニウムまたはリン酸アンモニウム;
・窒素の供給源;および
・水。
この調合物は、アンモニア水溶液の形で提供される任意または付加的なアンモニアを含んでもよい。水は洗浄水または再利用されたプロセス水を含んでもよい。
【0046】
炭水化物と、無機アンモニウム塩を含む酸性前駆体とからバインダ溶液を形成することによって、1つの特に有利な調製方法が提供される。この方法は、オープンおよび/または大気圧であってもよい簡単な混合チャンバ中で達成されてもよい。炭水化物および/または酸性前駆体は、粉末または液体の形で加えられてもよい。調製は好ましくは室温で行なわれる。好ましくは、バインダ溶液を調製するために必ずしも熱を与える必要はない;しかし、特にバインダ溶液の成分の溶解および/または混合が加熱によって促進されるときには、バインダ溶液を調製する際にバインダ溶液をたとえば20℃から80℃の範囲の温度に加熱してもよい。
【0047】
特に、結合すべき材料に適用された状態のバインダ溶液は、以下を含んでもよい:
・少なくとも5%、10%、15%もしくは18%の固体、および/または
・70%もしくは60%未満(特に木材ボード適用の場合)、または50%、40%もしくは20%未満の固体(特にミネラル繊維絶縁材適用の場合)
これは特に、140℃にて2時間乾燥した後のベークアウト固体の重量として決定されるものである。
【0048】
バインダ溶液によってともに結合される疎性物質の集合は、以下から選択される材料を含んでもよい:繊維、繊維状の材料、ミネラル繊維、ガラス繊維、ストーンウール繊維、セルロース繊維(木部繊維、木の削りくず、木の粒子およびおがくずを含む)、木のベニヤ板、表面材、木部表面材、粒子、織物または不織材料、緩く組立てられた材料、織物または不織材料。
【0049】
バインダ溶液および/またはバインダは、好ましくは有機的である。
【0050】
疎性物質は、バインダの助けによって成形および/または寸法決めおよび/または鋳造されてもよい。生成される材料は、以下から選択されてもよい:断熱材料、ミネラル繊維製品、木材ボード製品(チップボード、配向性ストランドボード、パーティクルボード、中密度繊維ボード、木部表面材製品を含む)、鋳物砂。
【0051】
バインダが適用されるとき、結合されるべき物質は20℃から100℃の範囲の温度であってもよい。特に木材ボード製品の場合には、バインダと疎性物質とがたとえばタンブリングなどによって機械的に混合されてもよい。
【0052】
特に疎性物質に適用されるときのバインダ溶液は、噴霧または鋳込みによる適用のために適切な粘度を有してもよい。20℃におけるバインダ溶液の粘度は次のとおりであってもよい:
・約1.5Pa.s未満、好ましくは約1×10−2Pa.s未満;および/または
・約2×10−4Pa.sより大きい、好ましくは約5×10−4Pa.sより大きい。
【0053】
バインダの硬化は硬化オーブン内で、たとえば強制熱風循環などを用いて行なわれてもよい;硬化は圧搾機内で起こってもよい。硬化はバインダの脱水を含んでもよい;硬化は重合を含んでもよい;硬化はバルク重合反応を含んでもよい。硬化は20分以下、好ましくは10分以下の持続時間で行なわれてもよい;硬化は、230℃〜300℃の範囲内の温度の硬化オーブンの少なくとも1つのゾーンに、30秒から20分の範囲のオーブン滞在時間で、製品(たとえばミネラル繊維芯)を通すことによって行なわれてもよい。バインダ溶液(水はすでに蒸発されていてもよい)が疎性物質と接触しているときにバインダの硬化が起こることが好ましい;硬化は実質的に大気圧で起こってもよい。硬化は実質的に乾燥硬化であってもよく、すなわち蒸気または加熱水蒸気を用いるのではなく、乾燥した熱および/または実質的に乾燥もしくは加熱された大気を適用することによる硬化であってもよい。
【0054】
特にミネラル繊維絶縁製品の場合には、硬化温度および時間は、製品の密度および/または厚さの関数として選択されてもよい。こうした場合の硬化オーブンは、200℃から350℃(典型的には230℃から300℃)の範囲内の温度を有する複数の加熱ゾーンを有してもよい。薄い低密度の製品(12kg/mまたはそれ以下)は、硬化オーブンをわずか20秒間通過することによって硬化されてもよい;厚い高密度の製品(80kg/mまたはそれ以上)は、硬化オーブンを15分間またはそれ以上通過することを必要としてもよい。製品は硬化プロセスの際に180℃〜220℃の範囲の温度に達してもよい。
【0055】
硬化したバインダは、元素分析によって決定される質量で2%より多く、および/または8%未満の窒素を含んでもよい。
【0056】
未硬化状態のバインダは、乾燥重量比で以下のレベルの硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩および/または硝酸塩を含んでもよい:
・2.5%、3%もしくは5%より多く;および/または
・25%、22%もしくは20%未満。
【0057】
本発明に従ったバインダ系を用いて製造された完成材料は、特に酸性前駆体の働きをする無機塩に由来する硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩および/または硝酸塩の残留レベルを有してもよい。こうした種は以下の量で存在してもよい:
・500mg/kg、750mg/kg、1000mg/kgもしくは1500mg/kgより多く;および/または
・5000mg/kg、4000mg/kgまたは3000mg/kg未満。
【0058】
こうした種の存在は浸出テストで評価されて、用いられたバインダ系の最終生成物に表示されてもよい。
【0059】
特にミネラルウール絶縁材の場合の、完成製品におけるバインダの量は次のとおりであってもよい:
・1%、2%、2.5%、3%、3.5%もしくは4%より多く;および/または
・20%、15%、10%もしくは8%未満
これは完成製品の乾燥重量で測定されたものである。
【0060】
特にミネラル繊維絶縁材の場合、製品は以下の分離強度(parting strengths)の1つまたはそれ以上を有してもよい:
通常の分離強度が
・少なくとも120g/g、好ましくは少なくとも150g/g;および/または
・400g/g未満
風化分離強度が
・少なくとも120g/g、好ましくは少なくとも150g/g;および/または
・400g/g未満
通常の分離強度と風化分離強度との間の損失%が
・10%未満、好ましくは5%未満。
【0061】
製品がミネラルウール絶縁材であるとき、この製品は以下の特徴の1つまたはそれ以上を有してもよい:
・密度が5kg/m、8kg/mまたは10kg/mより大きい;
・密度が200kg/m、180kg/mまたは150kg/m未満である;
・ガラスウール繊維を含み、密度が5kg/m、8kg/mもしくは10kg/mより大きく、および/または80kg/m、60kg/mもしくは50kg/m未満である;
・ストーンウール繊維を含み、密度が15kg/m、20kg/mもしくは25kg/mより大きく、および/または220kg/m、200kg/mもしくは180kg/m未満である;
・熱伝導率λが0.05W/mK未満、および/または0.02W/mKより大きい;
・99重量%未満および/または80重量%より大きいミネラル繊維を含む;
・厚さが10mm、15mmもしくは20mmより大きく、および/または400mm、350mmもしくは300mm未満である。
【0062】
製品が木材ボード製品であるとき、この製品は以下の特徴の1つまたはそれ以上を有してもよい:
・寸法が少なくとも50cm×80cm、好ましくは少なくとも1m×2m
・厚さが少なくとも11mm、12mmまたは15mm
・硬化時間が25分、15分、12分または10分未満
・EN319に従って測定された内部結合強度が少なくとも0.4N/mmもしくは0.45N/mm(特にパーティクルボードまたは繊維ボードに対して)、またはEN300に従って測定されたものが少なくとも0.28N/mm(特に配向性ストランドボード対して)
・EN317に従った20℃における水中での24時間後の厚さ膨張が12%未満、好ましくは10%未満
・20℃における水中での24時間後の水吸収が40%未満、好ましくは30%未満
・EN310に従った弾性係数が少なくとも1800N/mm(特にパーティクルボードまたは繊維ボードに対して)、または2500N/mm(特に配向性ストランドボード対して)、または3500N/mmもしくは4800N/mm
・曲げ強度(MOR)が少なくとも14N/m(特にパーティクルボードまたは繊維ボードに対して)、または18N/mm(特に配向性ストランドボード対して)、または20N/mmまたは28N/mm
・添加剤としてのワックス、たとえば0.1重量%から2重量%、好ましくは0.5重量%から1重量%の範囲で
・樹脂含有量(乾燥木材粒子の重量に対する乾燥樹脂の重量)が8重量%から18重量%、好ましくは10重量%から16重量%、より好ましくは12重量%から14重量%の範囲
・圧搾機中で、特に180℃もしくは200℃より高いか、および/または280℃もしくは260℃未満の温度のプラテンの間で硬化される。
【0063】
ミネラル繊維テストサンプルの平面図である図1を参照しながら、本発明の実施形態を例として説明する。
【実施例】
【0064】
シェルボーン(Shell bone)テスト
次のステップによって、バインダを水溶液として調製した:
・オープンな非加熱反応容器中で所望のバインダ調合物の成分を組合せるステップ
・蒸留水を加えるステップ
・その後にシラン溶液を加えるステップ
・液体を加える間およびその後の数分間撹拌して、固体を完全に溶解させるステップ。
バインダ溶液は、溶液の総重量のパーセンテージとして約45%の溶解した固体を含有するようにした。この溶液の2gサンプルは、約200℃から210℃における8分間の熱硬化の際に30%の固体をもたらした(重量損失は、熱硬化性バインダ形成の際の脱水に起因する)。
【0065】
ガラスビーズを含有するシェルボーンの乾燥および「風化」引張り強度の評価によって、繊維ガラス絶縁材またはその特定のバインダによって調製された他の材料の予想される引張り強度および予想される耐久性の指標が与えられた。予想される耐久性は、シェルボーンの風化引張り強度の乾燥引張り強度に対する比率に基づく。
【0066】
シェルボーンを調製するために、電気ミキサーを約2分間用いて約75gのバインダを727.5gのガラスビーズ(Quality Ballotini Impact Beads,Spec.AD,US Sieve 70−140,106−212 micron−#7,Potters Industries,Inc.よりのものに相当)と混合した。混合のほぼ中間点および混合の終わりにも、ミキサーのウィスクの側部ならびに混合ボウルの側部および底部から得られたあらゆる凝集塊を、スパチュラを用いて手動で混ぜ合せた。
【0067】
調製されたガラスビーズ/バインダ混合物を、約218℃(425°F)に予熱されたシェルボーン鋳型(Dietert Foundry Testing Equipment;Heated Shell Curing Accessory,Model 366)の鋳型空洞に加えた。各空洞中の混合物の表面を平らにし、過剰な混合物をかき落としてシェルボーンに均一な表面積を与えた。いずれかの空洞に存在するあらゆる不整合または隙間には、付加的なガラスビーズ/バインダ混合物を充填してから平らにした。頂部プラテンを底部プラテンの上に素早く置いた(2つの異なる態様で硬化した層を有するシェルボーンを生成することを避けるため)。硬化シェルボーンを7分後に取出し、ワイヤラック上で室温に冷却し、ラベルを付けて個別にプラスチック貯蔵袋に入れた。シェルボーンを調製した日にテストできなかったときは、シェルボーンを含有するプラスチック袋をデシケータ装置に入れた。硬化の際の底部プラテンの温度は約204℃から約221℃(約400°Fから約430°F)の範囲であり、頂部プラテンの温度は約227℃から約243℃(約440°Fから約470°F)の範囲であった。
【0068】
破壊強度をテストするための手順:
・機器:5500R Instron機
・テストの直前に各シェルボーンをプラスチック袋から取出し、その重量および厚さを記録した。
【0069】
シェルボーンに対する風化手順:
・予熱した湿度チャンバ(65℃、95%相対湿度)中での16時間の風化
・取出されたシェルボーンを個別のプラスチック貯蔵袋に密閉して、直ちにテストに用いた。
【0070】
ゲル時間を測定するための手順:
150℃に設定したホットプレートの中央に少量のバインダ(2.0ml)を加えて、ストップウォッチを始動させる。サンプルを引張って長いひも状にすることが可能になるまで、バインダをスパチュラで動かす。バインダを加えてからひも形成までにかかった時間がゲル時間である。
【0071】
テストしたバインダ調合物−無機酸性前駆体をクエン酸と比較:
【0072】
【表3】

テストしたバインダ調合物−無機酸性前駆体とクエン酸との組合せをクエン酸単独および無機酸性前駆体単独と比較:
【0073】
【表4】

キー:
DMH=ブドウ糖一水和物
CA=クエン酸
NH4OH=水酸化アンモニウム
ISIO200=シラン
AmSO4=硫酸アンモニウム
AmPO4=リン酸アンモニウム
テスト結果−無機酸性前駆体をクエン酸と比較:
【0074】
【表5】

テスト結果−無機酸性前駆体とクエン酸との組合せをクエン酸単独および無機酸性前駆体単独と比較:
【0075】
【表6】

ともに行なわれたテストの結果(テストAからGは1つのセッションで行なわれ、テストHからKは別のセッションの間に行なわれた)から、同じテストセッションにおいて得られた他の結果と比較した有用な結果の指標が与えられる。異なるテストセッションのテスト結果を比較することは信頼性が低いかもしれない。
【0076】
絶縁製品に対する第1の比較テスト
ミネラル繊維絶縁製品におけるバインダ系の比較テストから以下の結果が得られた:
【0077】
【表7】

テスト製品のバインダ含有量LOI(Loss on ignition:強熱減量)、%重量:
【0078】
【表8】

ドレープテスト(特定された期間の後に測定した平均値をmmで表わす):
【0079】
【表9】

厚さ(British Standard BS EN 823:1995に従って特定された期間の後に測定した平均値をmmで表わす):
【0080】
【表10】

密度(特定された期間の後に測定した平均値をkg/mで表わす):
【0081】
【表11】

存在する硫酸塩の量、mg/kg
【0082】
【表12】

分離強度(g/g)
【0083】
【表13】

テスト手順:
バインダ含有量LOI(強熱減量)
ウールとバインダとの計量されたサンプルを、550℃に設定したマッフル炉に入れる。設定時間の後にウールを炉から取出し、デシケータに入れて冷却し、再計量する。重量の損失が元のサンプル重量のパーセンテージとして表わされ、これはバインダ含有量または強熱減量(LOI)として公知である。
【0084】
ドレープテスト
単一の芯(またはスラブ)を、1メートル離して壁に配置された2本のポール(各々長さ500mm、直径20mm)に渡して置く。芯の中央のたるみの程度を記録する。これをパック中のすべての芯およびいくつかのパックに対して繰り返す。一定の期間にわたる設定点でパックを測定することによって、芯に対する圧縮の長期の影響を定める。
【0085】
密度:ドレープテストを受けたサンプルに対して測定する。
【0086】
存在する硫酸塩の量:British Standard BS EN 12457−2のL/S10に従った溶出液分析による、水中の顆粒廃棄物に対する浸出テスト。
【0087】
分離強度
分離強度は、6つのテスト試料の合計破壊荷重をそれらの総重量で割ったグラム/グラムで表わされる。
【0088】
テストは、ミネラル繊維マットに対して、テストのために受取ったとき(通常の分離強度)、および以下に説明する加速風化テストの後(風化分離強度)に行なわれる。
【0089】
図1に示される形および寸法の第1組の6つのサンプルが、テストされるミネラル繊維マットから切出される。寸法は次のとおりである:
r:半径12.7mm;
DC:中心間の距離44.5mm;
a:25.4mm;
b:121mm。
【0090】
サンプルの長軸はコンベヤの方向と平行である必要があり、サンプルはミネラルマットの全幅にわたって取られる必要がある。次いで、同じ態様で第2組の6つのサンプルが取られる。
【0091】
第1グループの6サンプルの総重量W1をグラムで記録する。
【0092】
第2グループの6サンプルの総重量W2をグラムで記録する;次いでこれらのサンプルを予熱したオートクレーブに入れて、チャンバの底から離したワイヤメッシュ棚の上で、35kN/mにおける湿り蒸気の下で1時間条件付けする。次いでこれらを取出し、オーブン中で100℃にて5分間乾燥し、直ちに分離強度をテストする。
【0093】
分離強度をテストするために、各サンプルを順に5500 Instron引張り強度機の顎部に載せて、最大破壊荷重をグラムまたはニュートンで記録する。破壊荷重をニュートンで測定するときは、その値に101.9を掛けることによってグラムに変換する。各組のサンプルからグラムによる6つの結果が得られる:第1組のサンプルに対するG1、G2、G3、G4、G5およびG6、ならびに第2組のサンプルに対するG7、G8、G9、G10、G11およびG12である。
【0094】
通常分離強度は、次の式を用いて第1組のサンプルから算出される:通常分離強度=(G1+G2+G3+G4+G5+G6)/W1。
【0095】
風化分離強度は、次の式を用いて第2組のサンプルから算出される:風化分離強度=(G7+G8+G9+G10+G11+G12)/W2。
【0096】
絶縁製品の第2の比較テスト:
【0097】
【表14】

サンプル:繊維ガラス芯の以下のサンプルをテストした:
【0098】
【表15】

結果
【0099】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に
−還元糖と、
−硫酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩および炭酸アンモニウム塩からなるリストより選択される材料と、
−任意にはカルボン酸またはその前駆体と、
−任意にはアンモニアと
を溶解することによって得られる溶液から実質的になる、実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項2】
水に
−還元糖と、
−硫酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩および炭酸アンモニウム塩からなるリストより選択される材料と、
−任意にはカルボン酸またはその前駆体と、
−任意にはアンモニアと
を溶解することによって得られる溶液から実質的になる、請求項1に記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項3】
前記還元糖はブドウ糖から実質的になる、請求項1または2に記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項4】
前記カルボン酸はアンモニウム塩の形で与えられる、先行する請求項のいずれかに記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項5】
前記溶液のpHは7より大きい、先行する請求項のいずれかに記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項6】
前記バインダ溶液のpHは、使用条件において硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩または炭酸塩の析出を防ぐものである、先行する請求項のいずれかに記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項7】
硫酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩および炭酸アンモニウム塩からなるリストより選択される材料は、前記バインダ溶液の乾燥重量の5%と25%の間を構成する、先行する請求項のいずれかに記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項8】
前記バインダ溶液は少なくとも5%の固体および50%未満の固体を含む、先行する請求項のいずれかに記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項9】
硫酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩および炭酸アンモニウム塩からなるリストより選択される材料に対する還元糖の乾燥重量での比率は、(還元糖の乾燥重量/アンモニウム塩の乾燥重量)で表わされるときに2.5から13の範囲内である、先行する請求項のいずれかに記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項10】
前記バインダ溶液は、溶解されたバインダ固体として算出されるときに0.1%と1%の間のシランまたはシリコン含有カップリング剤を含む、先行する請求項のいずれかに記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液。
【請求項11】
製品を製造する方法であって、
・疎性物質の集合を与えるステップと;
・請求項1から10のいずれか1項に記載の実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダ溶液で疎性物質の前記集合を処理するステップと;
・前記バインダ溶液で処理された疎性物質の前記集合を基体の形に配置するステップと;
・エネルギーの供給源を適用することによって前記バインダを硬化するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記バインダを前記硬化するステップは、前記基体を、230℃〜300℃の範囲内の温度の硬化オーブンの少なくとも1つのゾーンに、30秒から20分の範囲内のオーブン滞在時間で通すことによって行なわれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バインダを前記硬化するステップは、圧搾機のプラテンの間で行なわれる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダによってともに維持される疎性物質の集合を含む材料であって、前記材料は、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩および炭酸塩からなる群より選択される種を500mg/kgより多く含むことを特徴とする、材料。
【請求項15】
硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩および炭酸塩からなる群より選択される前記種は、バインダ前駆体から実質的に得られる、請求項14に記載の材料。
【請求項16】
前記バインダは硬化され、メラノイジンを含む、請求項14から15のいずれか1項に記載の材料。
【請求項17】
疎性物質の集合と、未硬化であるかまたは部分的に硬化された実質的にホルムアルデヒドフリーのバインダとを含む材料であって、前記バインダは水に溶解されるときに6より大きいpHを有し、かつ
−還元糖と、
−硫酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩および炭酸アンモニウム塩からなるリストより選択される材料と、
−任意にはカルボン酸またはその前駆体と、
−任意にはアンモニアと
を含むことを特徴とする、材料。
【請求項18】
前記疎性物質はミネラル繊維を含む、請求項14から17のいずれか1項に記載の材料。
【請求項19】
前記材料はミネラル繊維断熱材料である、請求項18に記載の材料。
【請求項20】
前記材料は木材ボードである、請求項14から17のいずれか1項に記載の材料。

【図1】
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【公表番号】特表2010−535864(P2010−535864A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518696(P2010−518696)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060185
【国際公開番号】WO2009/019235
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510028648)
【Fターム(参考)】