説明

バスバーユニットおよびブラシレスモータ

【課題】軸方向および径方向に小型化できるとともに、組立時に良好な作業性を確保できるバスバーユニットおよびこのバスバーユニットを用いたブラシレスモータを提供する。
【解決手段】コイルに給電するためのリング状のバスバーユニット50であって、コイルの一端と接続される相端子を有する複数の相用バスバー30U〜30Wと、コイルの他端と接続される中性点端子を有する中性点用バスバー30Nと、各バスバー30U,30V,30W,30Nを保持するバスバーホルダ51と、を備え、バスバーホルダ51には、各バスバー30U,30V,30W,30Nが径方向に積層して配置されるとともに、各相端子は、軸方向の一方側から径方向外側に向かって延出形成され、中性点端子は、軸方向の他方側から径方向外側に向かって延出形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バスバーユニットおよびこのバスバーユニットを備えたブラシレスモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、インナーロータ型のブラシレスモータは、モータケースに内嵌固定されたステータと、モータケースの径方向中央に配置されステータに対して回転自在に支持されたロータとを有している。ロータの外周面には、複数の永久磁石が設けられている。ステータは、略円筒状のステータコアと、このステータコアから径方向内側に突設された複数のティースとを備えている。
【0003】
各ティースには、電気的絶縁材である樹脂製のインシュレータが装着され、このインシュレータを介してコイルが巻装されている。そして、コイルに外部電源からの電力が給電されると、コイルに発生する磁束と永久磁石との間に吸引力、または反発力が生じロータが回転する。
【0004】
ところで、コイルへの給電手段として、小型化や組付け性の向上を図るために、略円環状に形成された樹脂モールド体に、金属製の複数のバスバーを互いに電気的に絶縁された状態で埋設したバスバーユニットを用いる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載のバスバーユニットは、平板状の各相(U相、V相、W相の三相)のバスバーと中性点用バスバーとが軸方向に離間した状態で積層され、樹脂モールド体によりモールドされて形成されている。
【0006】
各相のバスバーに突設されている各相用端子と、中性点用バスバーに突設されている中性点用端子とは、それぞれ樹脂モールド体の外周面から径方向外側に向かって放射状に突出した状態となっている。
各相用端子には、各相コイルの巻き始め端部が接続される一方、中性点用端子には各相コイルの巻き終わり端部が接続される。これにより、各相コイルは、いわゆるスター結線方式にて結線されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−233327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来技術では、以下のような課題がある。
従来技術のバスバーユニットは、各バスバーを軸方向に積層して配置する際、各バスバーの電気的絶縁距離を確保する必要がある。このため、バスバーユニットを軸方向に小型化するのには限界がある。
また、各相用端子および中性点用端子が径方向外側に向かって放射状に突出しているため、バスバーユニットを径方向に小型化した場合には、周方向に並ぶ各相用端子および中性点用端子のピッチが狭小となる。特に、バスバーユニットを軸方向に小型化しつつ、径方向に小型化した場合には、各相用端子および中性点用端子が軸方向および周方向で接近する。このため、各端子の電気的絶縁距離を確保しつつバスバーユニットを軸方向および径方向に小型化するのには限界がある。
さらに、バスバーユニットの小型化により各相用端子および中性点用端子が接近すると、隣り合う各端子が邪魔となり、各端子とコイルとの接合作業や接合部分の検査作業等の作業性が悪化する。
【0009】
そこで本発明は、軸方向および径方向に小型化できるとともに、組立時に良好な作業性を確保できるバスバーユニットおよびこのバスバーユニットを用いたブラシレスモータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係るバスバーユニットは、ステータコアに巻装された複数の相のコイルに給電するためのリング状のバスバーユニットであって、相毎に設けられ、前記コイルの一端と接続される相端子を有する複数の相用バスバーと、中性点を成し、前記コイルの他端と接続される中性点端子を有する中性点用バスバーと、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーを保持する絶縁部材からなるバスバーホルダと、を備え、前記バスバーホルダには、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーが径方向に積層して配置されるとともに、前記相端子は、軸方向の一方側から径方向外側に向かって延出形成され、前記中性点端子は、軸方向の他方側から径方向外側に向かって延出形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーを径方向に積層して配置することで、従来技術に比較してバスバーユニットを軸方向に小型化できる。また、軸方向の一方側に相端子を配置し、軸方向の他方側に中性点端子を配置しているので、相端子と中性点端子との軸方向における離間距離を確保しつつ径方向に小型化できる。
また、バスバーユニットを軸方向および径方向に小型化したとき、相端子と中性点端子との離間距離が確保されているので、各端子とコイルとの接合作業や接合部分の検査作業時に、隣り合う各端子が邪魔とならない。したがって、組立時に良好な作業性を確保できる。
【0012】
また、本発明の請求項2に係るバスバーユニットは、前記バスバーホルダには、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーを挿入可能な環状に形成された複数の溝部が径方向に並んで複数形成され、前記各溝部は、軸方向の一方側および他方側のいずれか一方に開口し、前記各溝部の開口側には、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーの軸方向の位置を規制する規制部材が設けられていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、溝部に複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーを配置することで、各バスバー間の電気的絶縁を確実に確保しつつ、バスバーユニットを軸方向および径方向に小型化できる。
また、バスバーホルダには、各溝部の開口が同一方向に形成されているので、同一方向から各バスバーを挿入できる。したがって、各バスバーをバスバーホルダに組付ける際に、バスバーホルダを反転させる等の煩雑な工程を設けることなく、簡単に作業できる。
また、溝部の開口側に規制部材を設けることで、モールドにより各バスバーを保持する従来技術と比較して、簡単かつ低コストに各バスバーを保持できる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係るバスバーユニットは、前記相端子は、径方向外側に向かって延出形成され、前記コイルを挟持可能な一対の相爪部と、これら一対の相爪部の間に配置され、軸方向に沿って立ち上がり形成された相接合部とを備えている一方、前記中性点端子は、径方向外側に向かって延出形成され、前記コイルを挟持可能な一対の中性点爪部と、これら一対の中性点爪部の間に配置され、軸方向に沿って立ち上がり形成された中性点接合部とを備え、前記相接合部と前記中性点接合部とは、同一方向に指向していることを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、相接合部と中性点接合部とが同一方向に指向しているので、コイルの一端を相接合部に接合し、コイルの他端を中性点接合部に接合する際に、同一方向から作業できる。特に、接合方法が溶接の場合には、溶接トーチの挿入方向を同一とできるので、コイルの一端を相接合部に溶接し、コイルの他端を中性点接合部に溶接する際に、良好な作業性を確保できるとともに、溶接設備を共用化できる。
【0016】
また、本発明の請求項4に係るバスバーユニットは、前記バスバーホルダの接線方向から前記バスバーホルダを見たとき、前記各相端子と前記中性点端子とが重ならないように配置されていることを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、バスバーホルダの接線方向から各端子とコイルとの接合部分を画像や目視等により検査する際に、各相端子の接合部分と中性点端子の接合部分とを同時に検査できる。したがって、検査作業の良好な作業性が確保できる。また、接合部分の検査作業の時間を短縮できる。
【0018】
また、本発明の請求項5に係るバスバーユニットは、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーが、周方向に長い板状部材により形成され、且つその幅方向が前記バスバーホルダの軸方向と一致するように形成されていることを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、各バスバーの幅を幅狭に設定することで、バスバーユニットの軸方向の小型化が簡単にできる。また、各バスバーは径方向に厚みを有しているので、バスバーユニットが径方向に大型化するのを抑制できる。
さらに、各バスバーは、板状部材から長尺矩形状の部材を打ち抜いた後、長尺矩形状の部材をリング状に曲げ加工することで形成できるので、従来技術のように板状部材から円環状の部材を打ち抜く必要がない。したがって、板状部材の歩留まりを向上でき、製造コストを低減できる。
【0020】
また、本発明の請求項6に係るバスバーユニットは、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーを形成する板状部材はリング状に多角形状に形成され、前記各溝部は、前記相用バスバーおよび前記中性点用バスバーの多角形状に対応した多角形状に形成されていることを特徴としている。
【0021】
本発明によれば、バスバーユニットの組立て時にバスバーホルダに対して各バスバーを周方向に位置決めしやすく、バスバーユニットの組立時の作業性がさらに向上し、製造コストを低減することができる。
【0022】
また、本発明の請求項7に係るブラシレスモータは、上述したバスバーユニットを備えたことを特徴としている。
【0023】
本発明によれば、軸方向および径方向に小型なブラシレスモータを形成できる。また、組立時の作業性が良好で低コストなブラシレスモータを形成できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーを径方向に積層して配置することで、従来技術に比較してバスバーユニットを軸方向に小型化できる。また、軸方向の一方側に相端子を配置し、軸方向の他方側に中性点端子を配置しているので、相端子と中性点端子との軸方向における離間距離を確保しつつ径方向に小型化できる。
また、バスバーユニットを軸方向および径方向に小型化したとき、相端子と中性点端子との離間距離が確保されているので、各端子とコイルとの接合作業や接合部分の検査作業時に、隣り合う各端子が邪魔とならない。したがって、組立時に良好な作業性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ブラシレスモータの中心軸を含む断面図である。
【図2】バスバーユニットの外観斜視図である。
【図3】バスバーユニットの分解斜視図である。
【図4】U相用バスバーの斜視図である。
【図5】中性点用バスバーの斜視図である。
【図6】中性点用バスバーの形成時の説明図である。
【図7】ホルダ部の外観斜視図である。
【図8】ホルダ部の各溝部に中性点用バスバーおよび各相用バスバーを収容したときの外観斜視図である。
【図9】カバー部の外観斜視図である。
【図10】ホルダ部にカバー部を装着するときの説明図である。
【図11】図2のA矢視図であり、バスバーユニットを接線方向から見たときの説明図である。
【図12】コイルの結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(ブラシレスモータ)
以下に、図面を用いて、実施形態の電動機としてのブラシレスモータの説明をする。
図1は、ブラシレスモータ1の中心軸Oを含む断面図である。
図1に示すように、ブラシレスモータ1は、例えば、不図示の電動パワーステアリング装置(EPS;Electric Power Steering)に用いられるものであって、ステータハウジング2に圧入されたステータ3と、ステータ3に対して回転自在に設けられたロータ4とを有している。
【0027】
ステータハウジング2は、有底筒形状を有し、筒状部分の内周にステータ3が圧入されている。ステータハウジング2の底部2aには、中央部に軸受5が圧入されている。なお、以下の説明では、ステータハウジング2の開口側(図1における左側)を軸方向の一方側とし、底部2a側(図1における右側)を軸方向の他方側として説明する。
ステータ3は、略円筒状のステータコア10を有している。ステータコア10の外周面は、ステータハウジング2の内周面に、例えば圧入等によって固定されている。ステータコア10には、径方向内側に向かって複数のティース(不図示)が周方向に等間隔で突設されている。各ティースには、インシュレータ11を介してコイル12が巻装されている。なお、ステータコア10は複数枚の鋼板材を積層状に重ねて構成されている。
【0028】
コイル12は、周回り方向に沿って複数のティース内にU相、V相、W相の順に割り当てられている。すなわち、この実施形態のブラシレスモータ1は、U相、V相、W相の3相のコイル12を備えた3相ブラシレスモータとなっている。
【0029】
ステータハウジング2の一方側(図1における左側)には、ブラケット7が設けられており、ステータハウジング2の開口部を塞いでいる。ブラケット7は略円盤状に形成されており、中央部には軸受固定孔20が形成されている。軸受固定孔20には軸受21が圧入固定されている。
【0030】
ブラケット7には、後述するロータ4の回転位置検出用のレゾルバ14を構成するレゾルバステータ14aが固定されている。レゾルバステータ14aは、ロータ4と一体に回転するレゾルバロータ14bの回転位置を検出可能になっている。
また、ブラケット7の外周部には、ボルト孔24が設けられている。ボルト孔24にはボルト(不図示)が挿通されて、ブラシレスモータ1が被取付体(不図示)に締結固定される。
【0031】
ロータ4は、回転シャフト6と、回転シャフト6の外周面に固定されるロータコア41と、ロータコア41内に周方向に沿って配置されるマグネット13とを備えている。なお、ロータコア41は、複数枚の鋼板材を積層状に重ねて構成されている。
回転シャフト6は、ブラケット7に設けられた軸受21と、ステータハウジング2の底部2aに設けられた軸受5とにより、ブラシレスモータ1の中心軸Oと一致するように回転自在に支持されている。
【0032】
ロータコア41は、略円盤状に形成された複数の電磁鋼板を中心軸Oに沿って積層することで形成される。ロータコア41の軸方向の長さは、ステータコア10の軸方向の長さと略同一となるように設定されている。ロータコア41の中心には、圧入孔43が形成されている。圧入孔43の直径は、回転シャフト6に対して圧入固定可能なように設定される。
また、ロータコア41は、圧入孔43の径方向外側に、軸方向に貫通する複数のスリット44が形成されている。各スリット44内には、マグネット13が挿入されて固定される。
【0033】
マグネット13は、ブロック状に形成されたセグメント型のネオジム等からなる永久磁石であって、周方向に磁極が順番に変わるようにスリット44内に配置されている。マグネット13の軸方向の長さは、ロータコア41の軸方向の長さと略一致するように設定されている。
【0034】
上述のように構成されたブラシレスモータ1は、外部から各相のコイル12に電力を供給することで磁界が発生する。そして、この磁界とマグネット13との間の吸引力および反発力により、ロータ4が回転するようになっている。ここで、外部からの電力は、ステータハウジング2内に設けられたバスバーユニット50を介して各相のコイル12に供給される。
【0035】
(バスバーユニット)
図2は、バスバーユニット50の外観斜視図である。
図3は、バスバーユニット50の分解斜視図である。なお、これ以降、図6および図12を除く各図では、紙面上側がステータハウジング2の一方側(図1における左側)となっており、紙面下側がステータハウジング2の他方側(図1における右側)となっている。
【0036】
図2に示すように、バスバーユニット50は、略リング状に形成されており、ステータコア10(図1参照)の一方側(図1における左側)において、ステータコア10と同軸に配置されている。
図3に示すように、バスバーユニット50は、各相のコイル12の巻き始め端(不図示)と接続される各相用バスバー(U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、W相用バスバー30W)と、各相のコイル12の巻き終わり端(不図示)と接続される中性点用バスバー30Nと、これら各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nを保持するバスバーホルダ51とを備えている。
【0037】
(U相用バスバー)
図4は、U相用バスバー30Uの斜視図である。
以下に、各相用バスバー(U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、W相用バスバー30W)について説明する。なお、U相用バスバー30U、V相用バスバー30VおよびW相用バスバー30Wは、外径が異なるだけで基本的な構成は同一である。したがって、以下の説明では、U相用バスバー30Uについてのみ説明をし、V相用バスバー30VおよびW相用バスバー30Wについては、詳細な説明を省略している。
【0038】
図4に示すように、U相用バスバー30Uは、銅等からなる平板状の金属板材をプレス加工等により打ち抜き、ブラシレスモータ1(図1参照)の中心軸Oと同心となるように軸方向視リング状に略C字状に曲げることで形成される。U相用バスバー30Uは、軸方向に板材の幅方向を有し径方向に板材の厚み方向を有するように形成されている。
軸方向から見たときのU相用バスバー30Uの開口角度、すなわち、U相用バスバー30Uの一端31Ua、中心軸Oおよび他端31Ubで形成される開口角度θ1は、例えば80°に設定されている。
【0039】
また、略C字状に形成されたU相用バスバー30Uの本体部31Uには、周方向に所定のピッチ角θ2で複数の角部32Uが形成されている。また、各角部32U,32U間には、平面部33Uが形成されている。また、本実施形態のU相用バスバー30Uは、13箇所の角部32Uと14箇所の平面部33Uからなる多角形状に形成され、隣り合う各角部32Uのピッチ角θ2は、例えば20°に設定されている。
【0040】
また、U相用バスバー30Uの本体部31Uには、U相のコイル12(図1参照)の巻き始め端に対応する位置に、複数本(本実施形態では3本)のU相端子35Uが形成されている。U相端子35Uは、U相用バスバー30Uの本体部31Uにおける軸方向の一方側(図4における上側)から、径方向外側に向かって延出されている。本実施形態では、U相用バスバー30Uの本体部31Uの周方向に、例えば約120°間隔で等間隔に3本形成されている。
【0041】
また、U相端子35Uは、本体部31Uの平面部33Uと連続形成されている。本実施形態のU相端子35Uは、平面部33Uから軸方向の一方側に延長された平坦な板片を、径方向外側に曲げ加工することで形成される。
ここで、U相端子35Uが接続される本体部31Uが仮に曲面であった場合には、曲げ加工がしにくくなり、U相端子35Uの位置精度も悪化するおそれがある。しかしながら、U相端子35Uは、本体部31Uの平面部33Uに接続されているので、U相端子35Uを容易に曲げ加工でき精度良く形成できる。
【0042】
U相端子35Uの先端には、二又状に設けられた一対のU相爪部36U,36Uが一体成形されており、後述するように、これらU相爪部36U,36Uによりコイル12の巻き始め端を挟持可能になっている。
また、U相爪部36U,36Uの間には、U相接合部37Uが形成されている。U相接合部37Uは、軸方向に沿って一方側(図4における上側)に指向するように、U相爪部36U,36Uの間から立設されている。後述するように、U相接合部37Uには、コイル12の巻き始め端が溶接されて接続される。
【0043】
また、U相用バスバー30Uには、本体部31Uの一端31Uaから軸方向の一方側に向かって、給電部39Uが立設されている。給電部39Uは、ターミナル23(図1参照)に電気的に接続される。ターミナル23は、ステータハウジング2(図1参照)の外周部に突設された不図示の電源コネクタを介して外部電源に接続されており、外部からの電力をU相用バスバー30Uに供給できるようになっている。
【0044】
(V相用バスバー、W相用バスバー)
図3に示すように、V相用バスバー30Vは、U相用バスバー30Uよりも外径が小さくリング状に略C字状に形成されている。また、W相用バスバー30Wは、V相用バスバー30Vよりも外径が小さく形成されている。また、本実施形態のV相用バスバー30V、W相用バスバー30Wは、それぞれ、13箇所の角部と14箇所の平面部からなる多角形状に形成されている。したがって、後述するように、バスバーホルダ51にU相用バスバー30U、V相用バスバー30V、W相用バスバー30Wを収容した際、径方向外側から径方向内側に向かって、U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、W相用バスバー30Wの順に配置される。
【0045】
(中性点用バスバー)
図5は、中性点用バスバー30Nの斜視図である。
以下に、中性点用バスバー30Nについて説明する。
図5に示すように、中性点用バスバー30Nは、U相用バスバー30U(図4参照)と同様に、銅等からなる平板状の金属板材をプレス加工等により打ち抜き、ブラシレスモータ1(図1参照)の中心軸Oと同心となるように、軸方向視リング状の略C字状に曲げることで形成される。
【0046】
図3に示すように、中性点用バスバー30Nは、U相用バスバー30Uよりも外径が大きく形成されている。したがって、後述するように、バスバーホルダ51に中性点用バスバー30Nを収容した際、中性点用バスバー30Nは最も径方向外側に配置される。
【0047】
図5に示すように、軸方向から見たときの中性点用バスバー30Nの開口角度、すなわち、中性点用バスバー30Nの一端31Na、中心軸Oおよび他端31Nbで形成される開口角度θ3は、例えば約20°に設定されている。
また、略C字状に形成された中性点用バスバー30Nの本体部31Nには、U相用バスバー30U(図4参照)と同一のピッチ角θ2=20°で、角部32Nが形成されている。また、各角部32N,32N間には、U相用バスバー30Uと同様に、平面部33Nが形成されている。また、本実施形態の中性点用バスバー30Nは、16箇所の角部32Nと17箇所の平面部33Nからなる多角形状に形成されている。
【0048】
また、中性点用バスバー30Nの本体部31Nには、複数本(本実施形態では9本)の中性点端子35Nが形成されている。中性点端子35Nは、中性点用バスバー30Nの本体部31Nにおける軸方向の他方側(図5における下側)から、径方向外側に向かって延出されている。本実施形態では、中性点用バスバー30Nの本体部31Nの周方向に、例えば約20°間隔で等間隔に形成されている。
また、中性点端子35Nは、U相端子35U(図4参照)と同様に、本体部31Nの平面部33Nと連続形成されている。したがって、前述同様に、中性点端子35Nを容易に曲げ加工でき精度良く形成できる。
【0049】
中性点端子35Nの先端には、一対の中性点爪部36N,36Nと、中性点接合部37Nとが形成されている。一対の中性点爪部36N,36Nおよび中性点接合部37Nの形状は、U相端子35UのU相爪部36U,36UおよびU相接合部37U(図4参照)と同一形状であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
ここで、中性点接合部37Nは、軸方向に沿って一方側(図5における上側)に指向しており、U相接合部37Uと同一方向に指向している。したがって、後述するように、U相接合部37Uにコイル12の巻き始め端を溶接し、中性点接合部37Nにコイル12の巻き終わり端を溶接する際に、同一方向(すなわち軸方向の一方側)から溶接できる。したがって、良好な作業性を確保できるとともに、溶接設備を共用化できる。
【0051】
図6は、中性点用バスバー30Nの形成時の説明図である。なお、図6(a)は、従来技術の中性点用バスバーを形成する際の説明図であり、図6(b)は、本実施形態の中性点用バスバー30Nを形成する際の説明図である。
【0052】
図6(a)に示すように、従来技術の各相用バスバーおよび中性点用バスバー(図6(a)では中性点用バスバーのみを図示)は、板状部材Tから円環状の部材T1を打ち抜いて形成される。このため、従来技術の中性点用バスバーをプレス加工する際、円環状の部材T1の内側部分T2が廃棄されるため、板状部材Tの歩留まりが悪かった。
【0053】
これに対して、図6(b)に示すように、本実施形態の各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30N(図6(b)では中性点用バスバー30Nのみを図示)は、板状部材Tから部材T3を打ち抜いた後、リング状の略C字形状に曲げ加工することで形成される。ここで、部材T3は、長尺矩形状に形成されているので、各部材T3を近接して打ち抜くことができる。したがって、従来技術に比べて板状部材Tの歩留まりを向上できるので、製造コストを低減できる。
【0054】
(バスバーホルダ)
続いて、図3に示すバスバーホルダ51について説明をする。バスバーホルダ51は、中性点用バスバー30Nおよび各相用バスバー30U,30V,30Wを収容するホルダ部52と、収容された各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nを覆うカバー部57と、により構成される。
【0055】
図7は、ホルダ部52の斜視図である。
ホルダ部52は、樹脂等の絶縁部材により略リング状に形成されており、環状に形成された複数(本実施形態では4個)の溝部53(溝部53N,53U,53V,53W)が径方向に同心に形成されている。
各溝部53N,53U,53V,53Wは、軸方向の一方側(図7における上側)に開口している。中性点用バスバー30N、U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、およびW相用バスバー30Wは、軸方向の一方側から挿入されて、各々溝部53N、溝部53U、溝部53V、溝部53W内に収容される。
【0056】
溝部53は、径方向外側から径方向内側に向かって溝部53N,53U,53V,53Wの順に、それぞれ中性点用バスバー30N、U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、W相用バスバー30Wに対応した多角形状に形成されている。また、本実施形態の各溝部53N,53U,53V,53Wは、その周方向の長さが、それぞれ収用される中性点用バスバー30N、U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、およびW相用バスバー30Wと同じ長さに設定されており、さらに、中性点用バスバー30N、U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、およびW相用バスバー30Wと同じ数の角部と平面部を有する多角形状に形成されている。したがって、バスバーホルダ51には、径方向外側から径方向内側に向かって、中性点用バスバー30N、U相用バスバー30U、V相用バスバー30V、W相用バスバー30Wの順に配置される。
【0057】
ホルダ部52の外周壁52aには、中性点用バスバー30Nの中性点端子35N(図5参照)に対応する位置に、径方向外側に開口する端子引出孔55が複数(本実施形態では9個)形成されている。中性点端子35Nは、この端子引出孔55からホルダ部52の外周壁52aよりも径方向外側に突設される(図8参照)。
【0058】
ホルダ部52の内周壁52bには、径方向内側に突出した嵌合爪部56が複数(本実施形態では3個)形成されている。嵌合爪部56は、後述するカバー部57に形成された嵌合片59とスナップフィット可能に形成されている。
【0059】
図8は、ホルダ部52の溝部53N,53U,53V,53Wに中性点用バスバー30Nおよび各相用バスバー30U,30V,30Wを収容したときの外観斜視図である。
図8に示すように、各相用バスバー30U,30V,30Wは、各相端子35U,35V,35Wが接触しないように、各々周方向に所定角度ずれて配置されている。
ここで、上述したように、各溝部53N,53U,53V,53Wは、中性点用バスバー30Nおよび各相用バスバー30U,30V,30Wの形状に対応して、軸方向視多角形状に形成されている。これにより、中性点用バスバー30Nおよび各相用バスバー30U,30V,30Wを各溝部53N,53U,53V,53Wに収容したとき、中性点用バスバー30Nおよび各相用バスバー30U,30V,30Wの周方向の回転が規制されて位置が精度良く決定されるため、バスバーユニット50の組立て時にバスバーホルダ51に対して各バスバー30U,30V,30W,30Nを周方向に位置決めしやすく、バスバーユニット50の組立時の作業性がさらに向上し、製造コストを低減することができる。
【0060】
また、ホルダ部52の軸方向の一方側(図8における上側)の端面には、各相端子35U,35V,35Wに対応した位置に、軸方向の一方側に突設された複数の段部54が形成されている。段部54には、各相端子35U,35V,35Wの軸方向の他方側(図8における下側)面が当接している。これにより、各相端子35U,35V,35Wが、各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nを跨いでホルダ部52の径方向外側に引き出された際に、他の各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nと接触するのを確実に防止できる。したがって、各相端子35U,35V,35Wと各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nとの間で確実に絶縁距離を確保し、短絡を防止できる。
【0061】
図9は、カバー部57の外観斜視図である。
カバー部57は、ホルダ部52に対応した外形を有しており、樹脂等の絶縁材料により略リング状に形成されている。
カバー部57の外周壁57aには、各相用バスバー30U,30V,30Wの給電部39U,39V,39W(図4参照)に対応した位置に、径方向内側に切り欠かれた切欠部58が3箇所形成されている。給電部39U,39V,39Wは、この切欠部58から中心軸Oに沿ってカバー部57の軸方向の一方側(図9における上側)に突設される。
【0062】
図10は、ホルダ部52にカバー部57を装着するときの説明図である。
図10に示すように、カバー部57の内周壁57bには、軸方向の他方側(図10における下側)に突出した嵌合片59が複数(本実施形態では3個)形成されている。
嵌合片59は、ホルダ部52の内周壁52bに形成された嵌合爪部56に対応した位置に形成されている。嵌合片59は、径方向内側から見て略矩形枠状に形成されており、嵌合孔59aを有している。
カバー部57とホルダ部52とは、スナップフィットにより装着されている。具体的には、軸方向の一方側(図10における上側)からカバー部57をホルダ部52に押し込むことで、嵌合爪部56が嵌合片59の嵌合孔59aに入り込み、カバー部57とホルダ部52とがスナップフィットにより装着される。
【0063】
図11は、図2のA矢視図であり、バスバーユニット50を接線S方向(図2参照)から見たときの説明図である。なお、図11では、コイル12の巻き始め端12a、コイル12の巻き終わり端12bおよび溶接部70(70V,70N)を二点鎖線で図示している。また、図11では、V相用バスバー30Vおよび中性点用バスバー30Nにコイル12が溶接されている状態を図示しているが、U相用バスバー30UおよびW相用バスバー30Wにコイル12が溶接されている状態も同様である。
【0064】
図11に示すように、V相のコイル12の巻き始め端12aは、軸方向の他方側(図11における下側)から導入されて、V相端子35Vに形成された一対のV相爪部36V,36V間に挟持され、V相接合部37Vに沿うように配置される。そして、軸方向の一方側(図11における上側)から、V相接合部37Vの先端とV相のコイル12の巻き始め端12aとを、例えばTIG溶接により溶接することで、溶接部70V(70)が形成される。
【0065】
また、コイル12の巻き終わり端12bは、軸方向の他方側(図11における下側)から導入されて、中性点端子35Nに形成された一対の中性点爪部36N,36N間に挟持され、中性点接合部37Nに沿うように配置される。そして、軸方向の一方側(図11における上側)から、中性点接合部37Nの先端とコイル12の巻き始め端12aとを、例えばTIG溶接により溶接することで、溶接部70N(70)が形成される。
【0066】
ここで、各相接合部37U,37V,37Wと中性点接合部37Nとが、同一方向(軸方向の一方側)に指向しているので、コイル12の巻き始め端12aを各相接合部37U,37V,37Wに溶接し、コイル12の巻き終わり端12bを中性点接合部37Nに溶接する際に、軸方向の一方側から作業できる。これにより、溶接トーチ(不図示)の挿入方向を同一とできるので、コイル12の巻き始め端12aを各相接合部37U,37V,37Wに溶接し、コイル12の巻き終わり端12bを中性点接合部37Nに溶接する際に、良好な作業性を確保できるとともに、溶接設備を共用化できる。
【0067】
また、各相端子35U,35V,35Wは、軸方向の一方側(図11における上側)に配置され、中性点端子35Nは軸方向の他方側(図11における下側)に配置されている。このため、バスバーホルダ51の接線S方向(すなわち矢視A、図2参照)からバスバーホルダ51を見たとき、図11に示すように、各相端子35U,35V,35Wの各相接合部37U,37V,37Wと、中性点端子35Nの中性点接合部37Nとは、投影面上で重ならないように配置されている。
したがって、バスバーホルダ51の接線S方向から各相端子35U,35V,35Wとコイル12との溶接部70(70U,70V,70W)および中性点端子35Nとコイル12との溶接部70(70N)を画像や目視等により検査する際に重なることがないので、各々同時に検査できる。したがって、検査作業の良好な作業性が確保できる。また、これにより、溶接部70の検査作業の時間を短縮できる。
【0068】
図12は、コイル12の結線図である。
上述ようにバスバーユニット50の各相用バスバー30U,30V,30Wの各相端子35U,35V,35Wに各相のコイル12の巻き始め端12a(図11参照)を接続するとともに、中性点用バスバー30Nの中性点端子35Nにコイル12の巻き終わり端12b(図11参照)を接続する。これにより、各相のコイル12は、図12に示すように、スター結線方式にて結線された状態になる。
このような構成のもと、各相のコイル12に電圧を印加すると、各相のコイル12に所望の電流が供給され、各相のコイル12に所望の磁界が発生する。各相のコイル12に磁界が発生すると、この磁界とロータ4のマグネット13との間に吸引力、または反発力が発生し、これによってロータ4が回転する。
【0069】
(効果)
本実施形態によれば、複数の相用バスバーおよび中性点用バスバーを径方向に積層して配置することで、従来技術に比較してバスバーユニットを軸方向に小型化できる。また、軸方向の一方側に相端子を配置し、軸方向の他方側に中性点端子を配置しているので、相端子と中性点端子との軸方向における離間距離を確保しつつ径方向に小型化できる。
また、バスバーユニットを軸方向および径方向に小型化したとき、相端子と中性点端子との離間距離が確保されているので、各端子とコイルとの接合作業や接合部分の検査作業時に、隣り合う各端子が邪魔とならない。したがって、組立時に良好な作業性を確保できる。
【0070】
また、本実施形態によれば、溝部53N,53U,53V,53Wに複数の相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nを配置することで、各バスバー30U,30V,30W,30N間の電気的絶縁を確実に確保しつつ、バスバーユニット50を軸方向および径方向に小型化できる。
また、各溝部53N,53U,53V,53Wの開口が同一方向に形成されているので、同一方向から各バスバー30U,30V,30W,30Nを挿入できる。したがって、各バスバー30U,30V,30W,30Nをバスバーホルダ51に組付ける際に、バスバーホルダ51を反転させる等の煩雑な工程を設けることなく、簡単に作業できる。
また、溝部53N,53U,53V,53Wの開口側にカバー部57を設けることで、モールドにより各バスバー30U,30V,30W,30Nを保持する従来技術と比較して、簡単かつ低コストに各バスバー30U,30V,30W,30Nを保持できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、各バスバー30U,30V,30W,30Nの幅を幅狭に設定することで、バスバーユニット50の軸方向の小型化が簡単にできる。また、各バスバー30U,30V,30W,30Nは径方向に厚みを有しているので、バスバーユニット50が径方向に大型化するのを抑制できる。
さらに、各バスバー30U,30V,30W,30Nは、板状部材から長尺矩形状の部材を打ち抜いた後、長尺矩形状の部材をリング状に曲げ加工することで形成できるので、従来技術のように板状部材から円環状の部材を打ち抜く必要がない。したがって、板状部材の歩留まりを向上でき、製造コストを低減できる。
さらに、各バスバー30U,30V,30W,30Nを形成する板状部材はリング状に多角形形に形成され、前記バスバーホルダ51の前記各バスバー30U,30V,30W,30Nを挿入可能な環状に形成された複数の溝部53U,53V,53W,53Nは環状に多角形に形成されているので、バスバーユニット50の組立て時にバスバーホルダ51に対して各バスバー30U,30V,30W,30Nを周方向に位置決めしやすく、バスバーユニット50の組立時の作業性がさらに向上し、製造コストを低減することができる
【0072】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0073】
実施形態では、ブラシレスモータ1を例に本発明を説明した。しかし、本発明の適用は、ブラシレスモータ1に限られることは無く、バスバーユニット50を備えた種々の電動モータに適用ができる。
【0074】
本実施形態では、各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nには、本体部に平面部および角部が形成されていた。しかし、例えば、各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nの本体部を一定の曲率半径で略円弧状に形成してもよい。ただし、バスバーホルダ51のホルダ部52に対して、周方向の位置決めができる点、および各相端子35U,35V,35Wおよび中性点端子35Nを精度良く形成できる点で、本実施形態に優位性がある。
【0075】
実施形態では、ステータハウジング2の開口側を軸方向の一方側とし、底部2a側を軸方向の他方側として説明したが、ステータハウジング2の底部2a側を軸方向の一方側とし、開口側を軸方向の一方側としてもよい。すなわち、各相端子35U,35V,35Wおよび中性点端子35Nは、軸方向においてそれぞれ本実施形態の反対側に配置されていてもよい。
【0076】
各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nの形状は、実施形態に限られない。例えば、各相端子35U,35V,35Wおよび中性点端子35Nの個数やピッチ角等は任意に設定できる。
【0077】
バスバーホルダ51のホルダ部52およびカバー部57の形状は、実施形態に限られない。例えば、カバー部57は、ホルダ部52の軸方向の一方側面の全面を覆う必要はなく、各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nが軸方向の一方側に抜け出るのを防止できればよい。ただし、各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nと他部品との電気的絶縁を確実に確保できる点で、本実施形態に優位性がある。
また、カバー部57を設けることなく、ホルダ部52に各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nを配置した後、ポッティング等により各相用バスバー30U,30V,30Wおよび中性点用バスバー30Nを固定してもよい。
【0078】
バスバーホルダ51のホルダ部52とカバー部57との固定方法は、実施形態のスナップフィットに限られない。例えば、ホルダ部52とカバー部57とを接着等により固定してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 ブラシレスモータ
10 ステータコア
12 コイル
30U U相用バスバー(相用バスバー)
30V V相用バスバー(相用バスバー)
30W W相用バスバー(相用バスバー)
30N 中性点用バスバー
35U U相端子(相端子)
35V V相端子(相端子)
35W W相端子(相端子)
35N 中性点端子(中性点端子)
36U U相爪部(相爪部)
36V V相爪部(相爪部)
36W W相爪部(相爪部)
36N 中性点爪部(中性点爪部)
37U U相接続部(相接続部)
37V V相接続部(相接続部)
37W W相接続部(相接続部)
37N 中性点接続部(中性点接続部)
50 バスバーユニット
51 バスバーホルダ
53U,53V,53W,53N 溝部
57 カバー部(規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアに巻装された複数の相のコイルに給電するためのリング状のバスバーユニットであって、
相毎に設けられ、前記コイルの一端と接続される相端子を有する複数の相用バスバーと、
中性点を成し、前記コイルの他端と接続される中性点端子を有する中性点用バスバーと、
前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーを保持する絶縁部材からなるバスバーホルダと、
を備え、
前記バスバーホルダには、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーが径方向に積層して配置されるとともに、
前記相端子は、軸方向の一方側から径方向外側に向かって延出形成され、前記中性点端子は、軸方向の他方側から径方向外側に向かって延出形成されていることを特徴とするバスバーユニット。
【請求項2】
前記バスバーホルダには、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーを挿入可能な環状に形成された複数の溝部が径方向に並んで複数形成され、
前記各溝部は、軸方向の一方側および他方側のいずれか一方に開口し、
前記各溝部の開口側には、前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーの軸方向の位置を規制する規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバスバーユニット。
【請求項3】
前記相端子は、径方向外側に向かって延出形成され、前記コイルを挟持可能な一対の相爪部と、これら一対の相爪部の間に配置され、軸方向に沿って立ち上がり形成された相接合部とを備えている一方、
前記中性点端子は、径方向外側に向かって延出形成され、前記コイルを挟持可能な一対の中性点爪部と、これら一対の中性点爪部の間に配置され、軸方向に沿って立ち上がり形成された中性点接合部とを備え、
前記相接合部と前記中性点接合部とは、同一方向に指向していることを特徴とする請求項1または2に記載のバスバーユニット。
【請求項4】
前記バスバーホルダの接線方向から前記バスバーホルダを見たとき、前記各相端子と前記中性点端子とが重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のバスバーユニット。
【請求項5】
前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーは、周方向に長い板状部材により形成され、且つその幅方向が前記バスバーホルダの軸方向と一致するように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のバスバーユニット。
【請求項6】
前記複数の相用バスバーおよび前記中性点用バスバーを形成する板状部材はリング状に多角形状に形成され、前記各溝部は、前記相用バスバーおよび前記中性点用バスバーの多角形状に対応した多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のバスバーユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のバスバーユニットを備えたことを特徴とするブラシレスモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−102596(P2013−102596A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244361(P2011−244361)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】