説明

バスバー及びボルト締結構造

【課題】ボルトの斜め締めの発生を抑制する。
【解決手段】ボルト締結構造1は、第1挿通孔12を有し、当該第1挿通孔12に挿通させたボルト20のねじ部26が第2バスバー40の第2ねじ孔43に螺合することにより当該第2バスバー40に固定される第1バスバー10であって、第1挿通孔12が形成されたバスバー本体11と、ボルト20をその先端が第1挿通孔12への挿通方向に向いた挿通姿勢で第1挿通孔12から第2ねじ孔43に向けて案内可能な第1カシメナット14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトを介してバスバーを被固定部に固定するボルト締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルトを介してバスバーを被固定部に固定するボルト締結構造として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、端子ボルトを介して、バスバーを絶縁板に固定する構造である。
【0003】
具体的には、上記ボルト締結構造は、端子ボルトと、その端子ボルトの挿通孔がそれぞれ形成された上記バスバー及び上記絶縁板と、締結ナットとを備える。バスバーを絶縁板に固定するためには、まず互いの挿通孔が同軸上になるようにバスバーと絶縁板とを配置し、その後、バスバー側から端子ボルトを両挿通孔に通して、絶縁板側突出した端子ボルトの先端部に締結ナットを締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−176559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、挿通孔はボルトが円滑に挿通できるように、ボルトのねじ部よりも径がやや大きく形成されている。そのため、ボルトをバスバーへ挿通する際に、ボルトが当該挿通孔に斜めに挿通され、正規の締結方向に対して斜めに締結される、いわゆる斜め締めが発生するおそれがある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ボルトの斜め締めの発生を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバスバー及びボルト締結構造は、挿通孔を有し、当該挿通孔に挿通させたボルトのねじ部が被固定部側の固定用ねじ孔に螺合することにより当該被固定部に固定されるバスバーであって、挿通孔が形成されたバスバー本体と、ボルトを、その先端が挿通孔への挿通方向に向いた挿通姿勢で挿通孔から固定用ねじ孔に向けて案内可能な案内部と、を備える構成としたところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、バスバーには、ボルトを、その先端側が挿通孔への挿通方向に向いた挿通姿勢で挿通孔から被固定部側の固定用ねじ孔に向けて案内可能な案内部が備えられている。このため、ボルトを固定用ねじ孔へと挿入する際、例えば上記挿通方向に対して斜め方向からの外力がボルトに加わる場合でも、その外力に抗して挿通姿勢を維持しつつボルトを固定用ねじ孔に向けて案内することができ、これにより、斜め締めの発生を抑制することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
案内部は、ボルトのねじ部と螺合可能であって、かつ、中心軸が上記挿通方向に沿った案内用ねじ孔を有する構成としてもよい。
【0010】
このような構成によると、案内部はボルトのねじ部と螺合可能であって、かつ、中心軸が上記挿通方向に沿った案内用ねじ孔を有する。このため、ねじ部を案内用ねじ孔に螺合させることでボルトを挿通姿勢でバスバーに仮保持させることができる。
【0011】
上記に記載のバスバーと、ボルトと、ボルトを挿通可能な挿通孔を有する被固定部と、を備え、被固定部には、当該被固定部の挿通孔を挿通したボルトのねじ部と螺合可能であって、かつ、中心軸が上記挿通方向に沿った固定用ねじ孔を有する締結部が一体的に形成されている構成としてもよい。
【0012】
このような構成によると、ボルトは、案内部によって上記挿通姿勢を維持した状態のまま、被固定部に向けて案内される。被固定部には締結部が一体的に形成されており、この締結部は、中心軸が上記挿通方向に沿った固定用ねじ孔を有する。このため、ボルトは、その挿通姿勢を維持した状態で締結部と螺合し易くなり、斜め締めの発生を抑制することができる。
【0013】
案内部は、中心軸が上記挿通方向に沿った案内用ねじ孔を有し、ボルトは、頭部と、当該頭部よりも上記挿通方向の先端側に位置する小径部と、当該小径部よりも上記挿通方向の先端側に位置し、かつ、小径部よりも径が大きい大径部とを有し、大径部は、案内部及び締結部に螺合可能なねじ部が形成され、小径部は、案内部と同等以上の長さを有し、大径部が案内部を超えて締結部と螺合したとき、小径部が案内部の案内用ねじ孔内に位置する構成としてもよい。
【0014】
このような構成によると、ボルトは、小径部と、当該小径部よりも上記挿通方向の先端側に位置し、かつ、当該小径部よりも径が大きい大径部とを有し、大径部が案内部を超えて締結部と螺合したとき、小径部が案内部の案内用ねじ孔内に位置する。このとき、小径部は大径部よりも径が小さく案内部と螺合しないため、大径部が締結部に螺合することにより、バスバーと被固定部とを確実に締結することができる。
【0015】
前記前記大径部は、前記バスバー本体の前記挿通孔及び前記被固定部の前記挿通孔の長さの合計値と同等以上の長さを有する構成としてもよい。
【0016】
このような構成によると、大径部はバスバー本体の挿通孔及び前記被固定部の挿通孔の長さの合計値以上の長さを有する。このため、大径部は、バスバー側の案内部と、被固定部側の締結部と同時に螺合することが可能である。即ち、ボルトを挿通姿勢のままで、案内部との螺合から締結部との螺合へと、より確実に移行させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ボルトの斜め締めの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1のボルト締結構造1の部分的側断面図(ボルト仮止め時)
【図2】ボルト締結構造1の部分的側断面図(ボルトと第2カシメナットとの螺合開始時)
【図3】ボルト締結構造1の部分的側断面図(ボルトと第1カシメナットとの螺合解除時)
【図4】実施形態2の第1バスバーの断面図
【図5】実施形態3の第1バスバーの断面図
【図6】実施形態4の第1バスバーの断面図
【図7】実施形態5の第1バスバーの断面図
【図8】実施形態6の第2バスバーの断面図
【図9】実施形態7の第2バスバーの断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1から図3を参照して説明する。
【0020】
図1から図3は、本実施形態のボルト締結構造1の部分的側断面図である。以下、同図の紙面上下方向を、ボルト締結構造1の上下方向として説明する。
【0021】
例えば、第1バスバー10(バスバーの一例)は、自動車のボディに固定された機器側コネクタ(図示せず)に電気的に接続される一方で、第2バスバー40(被固定部の一例)は、電線側コネクタ(図示せず)に電気的に接続されている。そして、ボルト締結構造1は、自動車内に設置された電気接続箱内において、第1バスバー10を第2バスバー40にボルト20を介して固定することにより、機器側コネクタと電線側コネクタとを電気的に接続する。
【0022】
(ボルト締結構造の構成)
ボルト締結構造1は、主として、第1バスバー10と、第2バスバー40と、ボルト20とを備える。なお、本実施形態では、ボルト締結構造1は、更に、ボルト20の軸部22に装着されるばね座金30を備える。
【0023】
(1)第1バスバー
第1バスバー10は、第1バスバー本体11(バスバー本体の一例)と、第1カシメナット14(案内部の一例)とを有する。第1バスバー本体11は、例えば導電性を有する金属製の平板であり、電気接続箱内に配置される先端側に第1挿通孔12が貫通形成されている。この第1挿通孔12の径は、ボルト20のボルト頭部21の径よりも小さく、且つ、軸部22の径よりも大きい寸法に設計されている。即ち、第1挿通孔12に、ボルト20の軸部22は挿通可能であるが、ボルト頭部21は挿通不能である。
【0024】
第1カシメナット14は、環状をなし、例えば、炭素鋼、またはステンレス鋼もしくは銅など、必要に応じて任意の金属を使用することができる。具体的には、第1カシメナット14は、上下方向から見て、外形が例えば六角形であり、中央部分に、ボルト20の軸部22と螺合可能な第1ねじ孔13(案内用ねじ孔の一例)が貫通形成されている。第1バスバー本体11と第1カシメナット14とは、第1挿通孔12と第1ねじ孔13とが略同軸上になるように配置され、第1バスバー本体11の第1挿通孔12の周囲部分に第1カシメナット14のカシメ部分15が圧入されている。これにより、第1バスバー本体11と第1カシメナット14とが一体化されている。以下、第1挿通孔12及び第1ねじ孔13の中心軸方向(各図の紙面上下方向であって、第1バスバー本体11に略直交する方向)を、「正規の挿通方向」という。
【0025】
(2)第2バスバー
第2バスバー40は、第2バスバー本体41と、第2カシメナット44(締結部の一例)とを有する。第2バスバー本体41は、例えば導電性を有する金属製の平板であり、電気接続箱内に配置される先端側に第2挿通孔42が貫通形成されている。この第2挿通孔42の径は、ボルト20のボルト頭部21の径よりも小さく、且つ、軸部22の径よりも大きい寸法に設計されている。即ち、第2挿通孔42に、ボルト20の軸部22は挿通可能であるが、ボルト頭部21は挿通不能である。
【0026】
第2カシメナット44は、環状をなし、例えば、炭素鋼、またはステンレス鋼もしくは銅など、必要に応じて任意の金属を使用することができる。具体的には、第2カシメナット44は、上下方向から見て、外形が例えば六角形であり、中央部分に、ボルト20の軸部22と螺合可能な第2ねじ孔43(固定用ねじ孔の一例)が貫通形成されている。第2バスバー本体41と第2カシメナット44とは、第2挿通孔42と第2ねじ孔43とが略同軸上になるように配置され、第2バスバー本体41の第2挿通孔42の周囲部分に第2カシメナット44のカシメ部分45が圧入されている。これにより、第2バスバー本体41と第2カシメナット44とが一体化されている。なお、各図において、第2挿通孔42及び第2ねじ孔43の中心軸方向(各図の紙面上下方向であって、第2バスバー本体41に略直交する方向)は、上述した「正規の挿通方向」に略一致している。
【0027】
(3)ボルト
ボルト20は、ボルト頭部21(頭部の一例)と軸部22とを有する。軸部22は、小径部23及び大径部24を有する。小径部23は、ボルト頭部21よりも、第1カシメナット14への挿通方向(各図において紙面下方向)の先端側に位置し、大径部24は、小径部23よりも、上記挿通方向の先端側に位置する。
【0028】
小径部23の外径は、第1ねじ孔13及び第2ねじ孔43の内径よりも小さくなっており、小径部23は、クリアランスを持って第1ねじ孔13及び第2ねじ孔43に挿通可能とされている。即ち、小径部23は、第1ねじ孔13及び第2ねじ孔43に螺合不能になっている。なお、小径部23は、各図に例示するように、その外周面にねじ山を形成しない構成が好ましい。また、小径部23の挿通方向における長さは、第1カシメナット14の第1ねじ孔13の挿通方向における長さと同等以上である。
【0029】
大径部24の外径は、小径部23の外径よりも大きく、第1ねじ孔13及び第2ねじ孔43の内径に対応した大きさであり、大径部24の外周面にはねじ部26が形成されている。即ち、大径部24は、第1ねじ孔13及び第2ねじ孔43に螺合可能になっている。また、大径部24の挿通方向における長さは、第1バスバー本体11の厚さ寸法と第2バスバー本体41の厚さ寸法の合計値、換言すれば、第1挿通孔12の中心軸方向の長さと第2挿通孔42の中心軸方向の長さとの合計値(第1ねじ孔13と第2ねじ孔43との離間距離)よりも長い。更に、大径部24は、挿通方向先端側が先細り状にテーパ面25が形成されている。
【0030】
(第1バスバーと第2バスバーの締結工程)
ボルト締結構造1は以上のような構成であって、続いてボルト締結構造1を利用して第1バスバー10と第2バスバー40とを締結する工程について説明する。
【0031】
(1)第1バスバーへのボルトの仮止め
作業者は、まずボルト20の大径部24の先端を、第1カシメナット14の第1ねじ孔13内に挿入する。このとき、前述したように、大径部24の先端は先細り状にテーパ面25が形成されているから、大径部24の先端を第1ねじ孔13内に挿入することが容易である。そして、図1に示すように、ボルト20の軸部22を第1カシメナット14に螺合させる。ここで、前述したように第1カシメナット14は、第1バスバー本体11に一体化されており、その第1ねじ孔13は第1挿通孔12と略同軸上であって、当該第1ねじ孔13の中心軸は第1バスバー本体11に略直交する。このため、ボルト20を、正規の挿通方向に沿った姿勢(以下、「正規の挿通姿勢」という)で第1カシメナット14に螺合させることが容易である。
【0032】
このような構成により、作業者は、第1バスバー10を、ボルト20が脱落せずに仮止めした状態で搬送するなどの取り扱いが可能になる。また、ボルト20を第1バスバー10に仮止めした状態で、当該第1バスバー10と第2バスバー40とを重ね合わせる作業を行うことができる。
【0033】
(2)ボルトと第2カシメナットとの螺合開始
作業者は、図1に示すように、第1バスバー本体11と第2バスバー本体41とを、両者のねじ孔13,43(挿通孔12,42)同士が略同軸上になるように重ね合わせる。なお、仮に、ねじ孔13,43同士の中心軸がずれていたとしても、ボルト20を締め込む作業を続けると、大径部24の先端側のテーパ面25が第2カシメナット44の第2ねじ孔43の開口部に当接することにより、ねじ孔13,43同士の中心軸のずれが抑制されていく。
【0034】
そして、仮止め状態のボルト20を、更に、第1カシメナット14の第1ねじ孔13に締め込んでいく。こうして、ボルト20は第1挿通孔12から第2挿通孔42に向かうが、この際、ボルト20に、例えば上記挿通方向に対して斜め方向からの外力が加わる場合でも、第1カシメナット14が、その外力に抗して、ボルト20を正規の挿通姿勢で第2挿通孔42、更には第2カシメナット44の第2ねじ孔43に向けて案内する。これにより、ボルト20が挿通方向に対して傾斜した姿勢で第2ねじ孔43と螺合する、いわゆる斜め締めの発生を抑制することができる。
【0035】
その後、大径部24が第2カシメナット44に螺合し始める。ここで、前述したように、大径部24の挿通方向における長さは、第1ねじ孔13と第2ねじ孔43との離間距離よりも長いので、図2に示すように、大径部24は、第1ねじ孔13と第2ねじ孔43とに同時に螺合した状態になる。これにより、ボルト20を第1カシメナット14との螺合により正規の挿通姿勢を維持した状態で、第2カシメナット44との螺合に移行させることができ、より確実に斜め締めの発生を抑制することができる。
【0036】
(3)ボルトと第1カシメナットとの螺合解除
前述したように、第2カシメナット44は、第2バスバー本体41に一体化されており、その第2ねじ孔43は第2挿通孔42と略同軸上であって、当該第2ねじ孔43の中心軸は第2バスバー本体41に略直交する。このため、例えば上記挿通方向に対して斜め方向からの外力が加わる場合でも、第2カシメナット44が、その外力に抗して、ボルト20を正規の挿通姿勢で第2ねじ孔43内へと案内する。これにより、図3に示すように、大径部24が第1ねじ孔13を通り抜けた後でも、斜め締めの発生を抑制することができる。
【0037】
また、大径部24が第1ねじ孔13を通り抜けて第2ねじ孔43と螺合したとき、小径部23は、第1ねじ孔13内に位置しており、両者23,13は螺合せず、空回り状態となる(螺合解除)。このため、第1カシメナット14はボルト20の頭部21と第1バスバー本体11との間で上下方向に自由に移動可能になる。その結果、更に、大径部24が第2カシメナット44に締め込まれるに連れて、頭部21と第2カシメナット44との距離が狭くなっていき、両者21,44の間で第1バスバー本体11と第2バスバー本体41とを強固に挟み込んで締結することができる。
【0038】
ここで、本実施形態では、軸部22の全長に亘って大径部24と同じものが形成されたボルトを使用してもよい。但し、このような構成では、軸部22のねじ部26は、第2カシメナット44と螺合しているとき、第1カシメナット14とも常に螺合することになる。その結果、更に、軸部22が第2カシメナット44に締め込まれても、第1カシメナット14と第2カシメナット44との距離が変わらない。従って、この構成よりも本実施形態の構成の方が、第1バスバー本体11と第2バスバー本体41とを強固に締結することができる点で、本実施形態の構成の方が好ましい。
【0039】
<実施形態2>
本発明の実施形態2について図4を参照して説明する。上記実施形態1では、バスバー本体(第1バスバー本体11)と案内部(第1カシメナット14)とをカシメによって一体化し、被固定部(第2バスバー本体41)と締結部(第2カシメナット44)とをカシメによって一体化したが、これに限らず、バスバー本体及び案内部、被固定部及び締結部の少なくとも1組を、溶接により一体化した構成でもよい。本実施形態2では、溶接により一体化した構成を、第1バスバー10Aを例に挙げて説明する。以下の説明においては、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0040】
図4は、本実施形態2の第1バスバー10Aの断面図である。第1バスバー10Aは、第1バスバー本体11と溶接ナット16とを有する。溶接ナット16は、例えば、炭素鋼、またはステンレス鋼もしくは銅など、必要に応じて任意の金属を使用することができる。溶接ナット16は、カシメ部分15がない点で相違するものの、全体として、実施形態1の第1カシメナット14と略同一形状をなす。溶接ナット16の下端側が、溶接によって第1バスバー本体11に接合され、両者16,11が一体化されている。
【0041】
<実施形態3>
本発明の実施形態3について図5を参照して説明する。上記実施形態1では、バスバー本体(第1バスバー本体11)と案内部(第1カシメナット14)とをカシメによって一体化し、被固定部(第2バスバー本体41)と締結部(第2カシメナット44)とをカシメによって一体化したが、これに限らず、バスバー本体及び案内部、被固定部及び締結部の少なくとも1組を、共通の金属部材から形成することで一体化した構成でもよい。本実施形態3では、共通の金属部材から形成することで一体化した構成を、第1バスバー10Bを例に挙げて説明する。以下の説明においては、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0042】
図5は、本実施形態3の第1バスバー10Bの断面図である。第1バスバー10Bは、共通の導電性の金属部材を、切削などの加工を施すことにより、上記第1バスバー10と略同一の形状と、上記第1カシメナット14と略同一の形状とを形成したものである。なお、第1カシメナット14と略同一の形状部分51には、ボルト20の大径部24のねじ部26と螺合可能な第1ねじ孔13Bが貫通形成されている。
【0043】
<実施形態4>
本発明の実施形態4について図6を参照して説明する。上記実施形態1では、バスバー本体(第1バスバー本体11)と案内部(第1カシメナット14)とをカシメによって一体化し、被固定部(第2バスバー本体41)と締結部(第2カシメナット44)とをカシメによって一体化したが、これに限らず、バスバー本体及び案内部、被固定部及び締結部の少なくとも1組を、共通の金属平板に形成された貫通孔の周縁部分を、バーリングにより隆起させることで一体化した構成でもよい。本実施形態4は、共通の金属平板から形成することで一体化した構成を、第1バスバー10Cを例に挙げて説明する。以下の説明においては、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0044】
図6は、本実施形態4の第1バスバー10Cの断面図である。第1バスバー10Cは、共通の導電性の金属平板に、貫通孔を形成して、その貫通孔の周縁部分にバーリングを施すことにより、上記第1バスバー10と略同一の形状と、上記第1カシメナット14と略同一の形状とを形成したものである。なお、第1カシメナット14と略同一の形状部分52には、ボルト20の大径部24のねじ部26と螺合可能な第1ねじ孔13Cが貫通形成されている。
【0045】
<実施形態5>
本発明の実施形態5について図7を参照して説明する。上記実施形態1では、バスバー本体(第1バスバー本体11)と案内部(第1カシメナット14)とをカシメによって一体化し、被固定部(第2バスバー本体41)と締結部(第2カシメナット44)とをカシメによって一体化したが、これに限らず、バスバー本体及び案内部、被固定部及び締結部の少なくとも1組を、共通の金属平板から形成することで一体化した構成でもよい。本実施形態5では、共通の金属平板から形成することで一体化した構成を、第1バスバー10Dを例に挙げて説明する。以下の説明においては、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付す。
【0046】
図7は、本実施形態5の第1バスバー10Dの断面図である。第1バスバー10Dは、共通の導電性の金属平板に、挿通孔12を形成することにより、上記第1バスバー10と略同一の形状と、上記第1カシメナット14と略同一の形状とを形成したものである。なお、第1カシメナット14と略同一の形状部分53には、ボルト20の大径部24のねじ部26と螺合可能な第1ねじ孔13Dが貫通形成されている。
【0047】
<実施形態6>
(1)ハウジング
図8に示すように、ハウジング60は、合成樹脂により凹部に形成され、第2バスバー40の第2カシメナット44を収容するように設けられる。
【0048】
例えばボルト20を必要以上に螺合したときに、第2カシメナット44の下方からボルト20の先端25が所定の寸法以上に突出することで、機器がボルト20により傷つけられるおそれがある。そこで、そのような突出による損傷を抑制するために、ハウジング60が設けられる。
【0049】
<実施形態7>
本発明の実施形態7について図9を参照して説明する。図9は、上記実施形態7の図8と置き換えたものであり、以下の説明においては、実施形態7と同様の構成には同一の符号を付す。
【0050】
第2バスバーに設けられるハウジング60に、ボルト20の締め込み方向と交差する方向に開口する形態をなしているハウジング61を用いてもよい。このような構成によると、締結完了後に当該開口からボルト20の締結状態を確認することができる。また、図9に示すようなハウジング61においては、締結完了後に当該ハウジング61の開口部にカバーを被せてもよい。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、図1に示すように第2バスバー40の第2バスバー本体41が用いられたが、インサート端子台、組み立て端子台、または絶縁板を用いてもよい。
(2)案内部に用いられた、第1カシメナット14と、第1溶接ナット16と、第1カシメナット14と略同一の形状部分51,52,53とは、第1ねじ孔13,13B,13C,13Dが貫通形成されているが、第1ねじ孔13,13B,13C,13Dが形成されず、内面が通常の貫通孔の構成であっても良い。このような構成であっても、ボルトを第1ねじ孔13,13B,13C,13Dへと挿入する際、第1挿通孔12への挿通方向に対して例えば斜め方向からの外力がボルトに加わる場合でも、その外力に抗して挿通姿勢を維持しつつボルトを第2ねじ孔43に向けて案内することができ、これにより、斜め締めの発生を抑制することができる。
(3)上記実施形態においては、ボルト20の軸部22の全長に亘って大径部24と同じものが形成されたボルト20を使用してもよい。この場合には、第1カシメナット14を、ねじ溝を有しない貫通孔が形成されたカシメナットに代えることにより、ボルト20と第2カシメナット44との間で、第1バスバー本体11と第2バスバー本体41とを締結することができる。
【符号の説明】
【0052】
10・・・第1バスバー
11・・・第1バスバー本体
12・・・第1挿通孔
13・・・第1ねじ孔
14・・・第1カシメナット
20・・・ボルト
21・・・頭部
22・・・軸部
23・・・小径部
24・・・大径部
30・・・ばね座金
40・・・第2バスバー
41・・・第2バスバー本体
42・・・第2挿通孔
43・・・第2ねじ孔
44・・・第2カシメナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通孔を有し、当該挿通孔に挿通させたボルトのねじ部が被固定部側の固定用ねじ孔に螺合することにより当該被固定部に固定されるバスバーであって、
前記挿通孔が形成されたバスバー本体と、
前記ボルトを、その先端が前記挿通孔への挿通方向に向いた挿通姿勢で前記挿通孔から前記固定用ねじ孔に向けて案内可能な案内部と、を備えるバスバー。
【請求項2】
前記案内部は、前記ボルトのねじ部と螺合可能であって、かつ、中心軸が前記挿通方向に沿った案内用ねじ孔を有する構成である、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバスバーと、
ボルトと、
前記ボルトを挿通可能な挿通孔を有する被固定部と、を備え、
前記被固定部には、当該被固定部の挿通孔を挿通した前記ボルトのねじ部と螺合可能であって、かつ、中心軸が前記挿通方向に沿った固定用ねじ孔を有する締結部が一体的に形成されている、ボルト締結構造。
【請求項4】
前記案内部は、中心軸が前記挿通方向に沿った案内用ねじ孔を有し、
前記ボルトは、頭部と、当該頭部よりも前記挿通方向の先端側に位置する小径部と、当該小径部よりも前記挿通方向の先端側に位置し、かつ、前記小径部よりも径が大きい大径部とを有し、
前記大径部は、前記案内部及び前記締結部に螺合可能なねじ部が形成され、
前記小径部は、前記案内部と同等以上の長さを有し、
前記大径部が前記案内部を超えて前記締結部と螺合したとき、前記小径部が前記案内部の前記案内用ねじ孔内に位置する、請求項3に記載のボルト締結構造。
【請求項5】
前記前記大径部は、前記バスバー本体の前記挿通孔及び前記被固定部の前記挿通孔の合計長さと同等以上の長さを有する、請求項4に記載のボルト締結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−34469(P2012−34469A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170699(P2010−170699)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】