説明

バックライトユニット及びそれを備えた表示装置

【課題】 少なくとも2つの方角に光指向性が現れるバックライトユニットを提供する。
【解決手段】 バックライトユニット39を光学部材35と面状光源部材30とで構成し、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に平行にプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材35を、面状光源部材30と表示装置20の間に配設する。また、光学部材35のプリズム36の面が面状光源部材30側に向くように配置する。そして、プリズム36の頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変化させる。また、プリズム36の頂角は60°〜115°の範囲に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置のバックライトユニット、あるいは、バックライトを備えた表示装置に関し、特に、光指向性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置はパーソナルコンピュータ、液晶テレビ、電子手帳、携帯電話、その他装置の端末表示機器などに広く用いられてきている。この液晶表示装置の表示画像を明るく鮮明に映し出すためにバックライトユニットを液晶表示パネルの下面側に配設して用いられる。このバックライトユニットの従来の構造の一つとして図18に示す構造のものがある。尚、図18は従来技術における液晶表示装置の要部断面図を示している。
【0003】
図18に示すバックライトユニット8は液晶表示パネル1の下面側に配設されて用いられ、バックライトユニット8と液晶表示パネル1とで液晶表示装置10を構成している。また、バックライトユニット8は、導光板2と、導光板2の一側面に配設したLEDなる光源3と、導光板2の上面側に配設した光拡散シート4と、この光拡散シート4上に設けた2枚の第1のプリズムシート5及び第2のプリズムシート6と、導光板2の下面側に設けた反射板7とから構成している。ここでの第1のプリズムシート5と第2のプリズムシート6は三角形のプリズム稜線を平行に連ねて形成したストライプ状のプリズムシートで、第1のプリズムシート5と第2のプリズムシート6は双方のプリズム稜線が液晶表示パネル1側に向かって互いに直交する状態で積層されて用いられている。
【0004】
上記の構成を取るバックライトユニット8の働きは次のようになっている。LEDなる光源3から放射された光を導光板2の側面から導光板2内に取り入れ、導光板2の下面に設けた反射手段(図示していない)の働きを受けて導光板2の上面から拡散シート4に向かって出射する。光拡散シート4はその入射した光を拡散して均一な光量分布状態にして第1のプリズムシート5、並びに、第2のプリズムシート6に向けて放射する。第1のプリズムシート5、及び第2のプリズムシート6では拡散された光を垂直光にして液晶表示パネル1に向けて出射する。また、導光板2の下面に設けた反射手段を通り抜けて導光板2の下方に出射した光は反射板7によって反射され、再び導光板2内に入射する。このようにして、光源3の光の多くの光量を効果的に液晶表示パネルに均一になるように出射して、液晶表示パネル1の表示画像を明るく照明する構造をなしている。
【0005】
また、バックライトユニットの従来技術の一つとして、下記特許文献1に開示された構造も見ることができる。特許文献1に示された構造は、図19に示すように、光源12aや導光板12b、反射シート12cなどからなるバックライトユニット11と液晶表示ユニット13との間に光指向性調整シート12を設けた構造をなしている。そして、光指向性調整シート12は、図20に示すように、四角錐の錐状体12bを設けた構成をなしている。この特許文献1のバックライトユニットの構造はプリズムシートを2枚重ねて用いる代わりに、四角錐の錐状体12bを設けた光指向性調整シート12を1枚用いてバックライトユニットの厚みを薄くした技術になっている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−172003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記で説明した液晶表示パネルのバックライト構造は、表示パネルの正面の位置から表示パネルを見た時に明るいパネル表示が得られると云う技術思想の下で、表示パネル面に対して垂直光が入射するような構成を取っている。
【0008】
図21は液晶表示パネルを見る位置によってパネル表示がどのように見えるかを模式的に示した説明図である。図21において、バックライトユニット15から出射する光(照明光)Pは液晶表示パネル16の表示パネル面に対して垂直になる指向性を持って出射され、液晶表示パネル16の表示パネル面を照明すると共に表示パネル面を透過して表示パネル面の図中真上方向に出射する。液晶表示パネル16の正面の位置Aから液晶表示パネル16の表示パネル面を見ると明るく照明された表示パネル面の鮮明になった表示画像が視認される。
【0009】
しかしながら、液晶表示パネル16から少し離れた両側方の位置B、Cから表示パネル面を見ると、表示パネル面からの直接出射光が目に入らないために表示パネル面の表示画像が少し暗っぽくなって鮮明さに欠けた表示画像が視認されるようになる。このことは、車載のカーナビゲーションなどを見るとこの現象が顕著に現れてくる。車載のカーナビゲーションは車内前方のほぼ中央部位置近傍に搭載されており、運転席や助手席から見ると少し離れた斜め前方の位置に来る。そして、運転席や助手席からこのカーナビゲーションの表示画面を見ると表示画像に鮮明さが欠けて、少し暗っぽくなって視認される。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、運転席や助手席などの両サイドからカーナビゲーションの如くの表示装置を見ても、両サイドから明るく鮮明な表示画像が見えるバックライトユニット構成や表示装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、本発明のバックライトユニットの特徴は、面状光源部材を備えて表示装置を照明するバックライトユニットにおいて、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に平行にプリズムの稜線が並ぶ光学部材を配設したことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記光学部材を前記面状光源部材と前記表示装置の間に配設すると共に、前記光学部材のプリズムの面が前記面状光源部材側に向くように配置したことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記プリズムの頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変化させることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、面状光源部材を備えて表示装置を照明するバックライトユニットにおいて、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に平行に台形プリズムの稜線が並ぶ光学部材を前記面状光源部材と前記表示装置の間に配設すると共に、前記光学部材の台形プリズムの面が前記面状光源部材側に向くように配置したことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記台形プリズムの2つの傾斜角面を延長して交差する公差角を台形プリズムの頂角とすると、前記台形プリズムの頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変化させ、且つ、前記台形プリズムの先端フラット面の幅の大きさを調整することによって正面方向への出射光量を調整することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、面状光源部材を備えて表示装置を照明するバックライトユニットにおいて、前記面状光源部材と前記表示装置の間に平坦部を挟んでプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材を、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に前記プリズムの稜線を平行に並べて配設すると共に、前記光学部材のプリズムの面が前記面状光源部材側に向くように配置したことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記平坦部を挟んでプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材のプリズムの頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変化させ、且つ、前記平坦部の幅の大きさを調整することによって正面方向への出射光量を調整することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記プリズムの頂角及び前記台形プリズムの頂角の角度は60°〜115°であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記光学部材から出射される光指向性がハート形であることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記光学部材から出射される光指向性が方角の異なる少なくとも2つの方角の指向特性を有することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記面状光源部材は少なくとも光源と導光板を有し、前記光源は前記導光板の端部に設けていることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記面状光源部材は少なくとも光源と拡散シートを有し、前記光源は前記拡散シートの直下に設けていることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記光源はLED又は冷陰極管であることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記面状光源部材はエレクトロルミネッセンスであることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明のバックライトユニットの特徴は、前記の表示装置は液晶表示装置であることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の表示装置の特徴は、バックライトを備えた表示装置であって、前記バックライトユニットは方角の異なる少なくとも2つの方角の指向特性を有していることにより、前記表示装置の表示画像は前記2つの方角で明るく鮮明に視認されることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明の表示装置の特徴は、前記の表示装置が車載用のカーナビゲーション又は車載用のテレビに用いられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
発明の効果として、プリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材を用いるとプリズムの稜線と直交する方角の方向に光指向性を持たせることができる。そして、光学部材の配置方向で所望の光指向方向を設定することができる。
【0029】
また、光学部材を面状光源部材と表示装置の間に配設し、光学部材のプリズムの頂角を面状光源部材側に向けて配置すると、面状光源部材から出射した光が真直ぐに光学部材に入射し、光学部材によって指向性を持った光に変換されて表示装置に入射する。そして、その指向性を持った状態での光が表示装置から出射する。従って、その指向方角から表示装置の表示画像を見ると、目には表示装置からの出射光が入って来るので明るくて鮮明な表示画像が視認されるようになる。
【0030】
光学部材である平行に稜線が並ぶプリズムは三角形の形状をなし、頂角を挟んで2つの傾斜角面を持つ。この頂角を変えることによって頂角を挟んでの2つの傾斜角面の傾斜角が変わる。これによって、面状光源部材からの傾斜角面への入射光の入射角が変わり、屈折によっての光学部材からの出射光の方角が変わる。即ち、光指向の方角が変わる。従って、頂角の角度を変えることによって光の指向方角を自由に変えることができるので任意な方角に指向方向を決めることができる。
【0031】
また、本発明においては、台形プリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材を用いて、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に台形プリズムの稜線が並ぶように配置し、更に、台形プリズムの面が面状光源部材側に向けて配置する。台形プリズムは対向する2つの傾斜角面と1つの先端フラット面からなることから、面状光源部材から出射した光は真直ぐに台形プリズムの2つの傾斜角面と1つのフラット面に入射する。2つの傾斜角面は異なった方向に向いていることから、2つの傾斜角面に入射した光は屈折を起こしながら2つの異なった方角に向かって出射していく。一方、先端のフラット面に入射した光は大きな屈折もせずに入射した光の方向と同じ方向を向いて出射していく。従って、台形プリズムを持った光学部材からは3つの方角に光指向特性を持った光が出射する。このことは、光指向のある3つの方角からそれぞれ表示装置を見ると、何れの方角も表示装置からの出射光が直接目に入り、表示画像が明るく鮮明に視認されるようになる。
【0032】
また、台形プリズムの頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変えることができる。台形プリズムの頂角の角度を変えて光指向の方角を任意に設定できる。
【0033】
また、本発明においては、平坦部を挟んでプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材を用い、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向にプリズムの稜線を平行に並べて、プリズムの面を面状光源部材側に向けて配置する。これは、上記の台形プリズムと同じ作用・効果をもたらす。即ち、三角形の対向する2つの傾斜角面から2つの方角に指向する光が得られ、プリズムに挟まれた平坦部から1つの方角に指向する光が得られ、合わせて3つの方角に光指向特性を持った光が出射する。従って、光が指向する3つの方角から表示装置を見ると明るく鮮明な表示画像が視認されるようになる。また、三角形のプリズムの頂角の角度を変えると指向の方角が変わる。これによって、頂角の角度調整で指向の方角を調整することができる。また、プリズムに挟まれた平坦部の幅を大きさを変えるとその平坦部を透過する光量が変わる。幅を広くすると透過光量が多くなって明るさが増し、幅を狭くすると透過光量が少なくなって暗さが現れてくる。このように、平坦部の幅の調整で平坦部から現れる方角の指向特性を調整することができる。このことは、台形プリズムの場合と同じ結果をもたらす。
【0034】
本発明においては、頂角の角度を60°〜115°に設定する。この角度の範囲であると光指向の方角の異なる2つの方角の指向特性が現れる。ここで、115°より大きいと指向方角が1つの方角しか現れず、それも、表示装置の正面に向いた指向方向になる。また、60°より小さいとプリズム成形型制作上の問題が現れ、光学部材の製作が難しくなる。
【0035】
また、光の指向特性は2つの方角に指向し、概ねハート形をなす。このことより、表示装置の明るくて鮮明な表示画像が方角の異なる2つの方角から視認できるようになる。
【0036】
また、本発明のバックライトユニットの面状光源部材は光源と導光板を有する。そして、光源をLEDから構成して導光板の端部に設ける。LEDは部品として非常に小さいものであるのでバックライトユニットを小型化できる。特に、導光板の角部に配設するとLEDの指向領域を有効に利用できて、最少の数で効果的に照明する構成をなすことができる。コスト低減の効果を生む。また、本発明のバックライトユニットの面状光源部材は光源と拡散シートを有する。そして、光源を拡散シートの真下に設ける。光源を真下に配設した場合は導光板を用いないで照明構造を構成することができる。光源を真下に配設すると、光源の光を無駄なく有効に利用できるので明るい照明輝度が得られる。また、光源として冷陰極管を用いるとLEDの如く指向性を持たないので均一な明るさに照明することができる。
【0037】
また、光源にLEDを用いると、低い電圧で駆動できるので電力消費量が少なくて済み、経済的である。また、光源にエレクトロルミネッセンスを用いると、導光板等が不要になり薄型のバックライトユニットを構成することができる。
【0038】
次に、表示装置として液晶表示装置を用いる。液晶表示装置は低電圧駆動ができるので消費電力が少なくて済み、経済的である。また、液晶表示装置は光を透過するので本発明には好適に適用できる。
【0039】
以上の作用・効果を持つバックライトユニットを表示装置に備えると、少なくとも2つの方角に指向特性を持っていることから、表示装置は2つの方角で明るくて鮮明な表示画像を視認することができる。即ち、車載用のカーナビゲーションや車載用のテレビなどに本発明の表示装置を用いると運転席や助手席から見ても明るくて鮮明な表示画像を視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図8を用いて説明する。尚、図1は本発明の実施形態に係るバックライトユニットを備えた表示装置の要部断面図を示しており、図2は図1における光学部材の働きを説明する説明図で、図2の(a)は模式的に表した断面図、図2の(b)は図2の(a)のD部拡大図を示している。また、図3は光の指向する方向と光学部材の配置関係を示した平面図で、図4はプリズム頂角の角度を変えての指向特性をシミュレーションしたグラフ、図5は図4における角度を説明する説明図である。また、図6は図4に示された指向特性を模式的に表した斜視図を示している。また、図7はプリズム頂角を変えての指向特性を実測したグラフである。また、図8は表示装置から出射される照明光の指向性を説明する斜視図を示している。
【0041】
最初に、本実施形態に係るバックライトユニットは、図1に示すように、表示装置20と面状光源部材30の間にプリズム36を有した光学部材35を配設した構成をなす。そして、面状光源部材30と光学部材35とでもってバックライトユニット39を構成している。
【0042】
本実施形態における表示装置20は液晶表示装置を用いている。この液晶表示装置は上基板21Aと下基板21Bとの間隙に液晶25をシール材26で封止して、その下面側に光透過性と光反射性の両機能を持った半透過反射板29を設けた構成をなしている。ここでの液晶はTN液晶やSTN液晶などが用いられる。また、半透過反射板29は透過性を持たせて形成したアルミ金属蒸着膜シートや反射型偏光板などが用いられる。尚、図示はしていないが、上基板21Aと下基板21Bとの間隙にシリカボールやプラスチックボールなどからなるスペーサを分散させて設けており、所要の間隙(ギャップ)量を確保している。また、上基板21Aはガラスなどからなる上透明基板21aの下面にITO膜からなる上透明電極22aと透明なポリイミド樹脂膜などに配向処理を施した上配向膜23aを設け、上透明基板21aの上面に上偏光板24aを設けた構成をなしている。また、下基板21Bはガラスなどからなる下透明基板21bの上面にITO膜からなる下透明電極22bと透明なポリイミド樹脂膜などに配向処理を施した下配向膜23bを設け、下透明基板21bの下面に下偏光板24bを設けた構成をなしている。
【0043】
光学部材35はプリズム36を有した透明シート状の部材からなり、プリズム36は三角形状をなしてプリズムの稜線が平行に並んだプリズムである。そして、プリズム36の面を面状光源部材30側に向けた配置をなしている。
【0044】
面状光源部材30は、本実施形態においては、導光板31とLEDなる光源32と導光板31の下面に設けた反射板33とで構成している。導光板31は透明なポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂などで形成し、その下面31aには、図示はしていないが、プリズムなどの凹凸加工を施して光源32からの入射光を光学部材35に向かって反射する反射手段を設けている。光源32はLEDや冷陰極管などが用いられるが、本実施形態においてはLEDを用いている。導光板31の端面31dに近接して、導光板31の大きさに応じて必要な個数分配設している。反射板33は光反射機能を持った金属板やフィルム、箔などが用いられる。本実施形態においては、アルミ金属蒸着膜を設けたフィルムを用いている。光源32の発光した光を導光板31の奥方へと下面31aに設けてある反射手段を介して導き、そして、導光板の31の下面31aに設けてある反射手段や反射板33を介して光学部材35に向かって光を出射する。この面状光源部材30は表示装置20を照明する面状の照明光源としての役割をなしている。この面状光源部材30と上記した光学部材35とでバックライトユニット39を構成している。
【0045】
次に、図2は光学部材35の働きを説明する説明図で、模式的に描いてある。図2の(a)において、面状光源部材30から出射した光Pは、光学部材35のプリズム36に入射する。そして、光学部材35を透過して出射するときには方角の異なるP1とP2の出射光が出射される。これは、光学部材35によって2つの方角に指向した光に変換されている。図2の(b)において、プリズム36はプリズムの頂角αを挟んで2つの傾斜角面36m、36nを持っている。そして、傾斜角面36m側に入射した光は屈折を起こしながら図中Q1で示したQ1の方角に向かって出射する。一方、傾斜角面36n側に入射した光はQ2の方角に向かって出射する。このように、プリズムの頂角αを挟んで傾斜角面36mと傾斜角面36nとに入射する光によってQ1方角とQ2方角とに指向して進む。
【0046】
ここで、図3は光の指向する方角の方向と光学部材の配置関係を示した平面図を示している。図3において、矢印Q1、Q2は前述の図2の(b)で示した光の指向の方角を表している。この指向の方角Q1、Q2はプリズム36の平行に並んだ稜線36a(図3において、稜線36aは鎖線で表している)と直交する方向に向かって現れてくる。従って、指向の方角Q1、Q2の方向と直交する方向にプリズム36の稜線36aが来るように光学部材35を配置すると方角Q1、Q2の方向に光指向が得られる。
【0047】
この光指向の方角はプリズムの頂角αの値によって変化する。図4はプリズムの頂角と指向特性を示したグラフで、a.プリズム無しのもの、プリズムの頂角がb.120°、c.105°、d.90°、e.75°、f.60°の場合について、指向の方角を横軸に取り、光の強度を縦軸に取って指向の方角と光の強度の関係をシミュレーション(計算値)によって示したものである。図4から、a.プリズム無しのものは0°の所で光の強度がピークに達し、角度が+側、或いは−側にずれていくに従って光り強度が低くなって正規分布をなすような形の指向特性を示す。これは、0°の所が一番明るく、0°から離れるに従って暗くなることを表している。これに対して、プリズムの頂角がf.60°のものはラクダのこぶのように+42°前後と−42°前後の2箇所の方角で光の強度のピークが現れている。このことは、2つの方角に指向しており、その方角が±42°前後の所になっていることを表している。また、プリズムの頂角e.75°のものとプリズムの頂角d.90°のものは±30°前後の2箇所の方角で光の強度ピークをなしており、プリズムの頂角c.105°のものは±18°前後の2箇所の方角で光の強度ピークをなしている。このグラフからプリズム頂角が鋭角になるに従って光のピーク強度の発生する方角の角度が大きくなることが分かる。
【0048】
ここで、図4に示す横軸の角度について図5を用いて説明する。図5において、面状光源部材30の手前側に光学部材35が設けられている。この光学部材35からの光出射位置Oを原点位置Oとした時におけるx軸とz軸を示していて、原点位置Oの所のz軸を0°としている。Q1及びQ2は原点位置Oからのz軸方向に出射した出射光の方角を示しており、z軸の0°に対して+θ°、−θ°ずれた方角を指している。この+θ°、−θ°が図4に示す横軸の角度になっている。
【0049】
次に、図4に示されたある頂角(α)の指向特性を3次元的に見ると図6に示すような絵が現れる。z軸は光の強度を示している。斜線で示したRの部分は指向特性を示すもので、角度と光の強度の関係を示している。方角Q3、Q4が光の強度が一番ピーク(強く)なる所の方角を示し、その位置が0°からずれた+γ°、−γ°の角度になっていることを示している。このことから、2つの指向の方角Q3、Q4に向かって光の強度が大きくなったハート形状を示す指向特性が現れる。このように、2つの指向の方角を持つプリズムの頂角を取るものはハート形状をなす指向特性が現れる。
【0050】
尚、図6におけるハート形状は2つの指向の方角Q3、Q4が+γ°、−γ°なる等角でピーク強度に達したものを描いてある。これは、三角形状をなすプリズム36の対向する2つの傾斜角面36mと36nの傾斜角が等角である場合は図6に示すような対称の形状のハート形状が得られる。しかしながら、2つの傾斜角面36m、36nのそれぞれの傾斜角が異なってくると光の指向の方角がそれぞれ変わってきて、その場合には非対称的なハート形状となって現れてくる。このように、2つの傾斜角面36m、36nのそれぞれの傾斜角が変わっても光の指向の方角が変わってくる。
【0051】
次に、図7はa.プリズム無しのもの、b.プリズムの頂角の角度が100°のもの、c.プリズムの頂角90°のもの、d.プリズムの頂角65°のものについての指向特性の実測値をグラフにしたものである。図7に示された指向特性のカーブは前述の図4でのシミュレーションによって描いたカーブと非常に近いカーブが得られている。例えば、d.プリズムの頂角65°のものは±40°位でピーク強度になっている。これに対して、前述の図4のシミュレーションでのプリズムの頂角60°では±42°近くでピーク強度になっている。頂角に5°の違いはあるものの非常に近いカーブが得られている。そして、図7のグラフからもプリズムの頂角が鋭角になるに従い光のピーク強度の発生する方角の角度が大きくなることが分かる。
【0052】
以上のことより、プリズムの頂角αの角度は光指向の方角を決める上で重要な要素になる。本発明においては、プリズムの頂角αの角度は60°〜115°の範囲に設定する。115°の角度は指向の方角が2箇所に現れる範囲で、これより角度が大きくなると指向の方角が正面の位置に1箇所となる。正面から表示装置を見るぶんには明るく鮮明な表示画像が視認されるが、前方斜め方角側から表示装置を見ると表示画像の明るさと鮮明さが欠けたものとなって視認されてくる。また、プリズム頂角の角度が60°より小さいとピッチも小さくなり、プリズム36の成形型の製作が困難になる。
【0053】
プリズム36を持った光学部材35は透明なポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などを用いて形成する。これらの樹脂は耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、耐光性、耐薬品性などに優れている。光学部材35の厚みは60〜130μmの厚みのものを用いており、プリズム36のピッチはプリズムの頂角が90°のもので約50μmのピッチに設定している。この光学部材35はシート成形方法やホットプレス方法などで形成することができる。また、プリズム36の面は光沢面に仕上げられる。
【0054】
以上の構成をなした光学部材35を表示装置20と面状光源部材30との間に配設する。面状光学部材30から出射した光が直接光学部材35に入射する。そして、光学部材35によって光の光路変換がなされて2つの方角に指向の方向をもって光学部材35から出射する。そして、表示装置20に入射して、2つの光指向の方向を持った状態で表示装置20を透過して表示装置20から出射される。即ち、表示装置20からは図8に示すような指向性を持った照明光が出射する。図8において、表示装置20からの出射光T1、T2は表示装置20の両側2箇所に大きく別れて指向性を持った照明光で、プリズムの頂角の角度が小さい光学部材を用いた場合にこの状態が得られる。一方、表示装置20からの出射光V1、V2は表示装置20の両側2箇所に小さく別れて指向性を持った照明光で、プリズムの頂角の角度が大きい光学部材を用いた場合にこの状態が得られる。表示装置20と面状光源部材30との間に光学部材35を配設すると、面状光源部材30から出射した光が直接光学部材35入射する。そして、光学部材35から光指向性が2つの方角に持って現れ、その光指向性を持った状態で表示装置20を透過して表示装置20から出射する。光学部材35と表示装置20との間には光指向性に影響を与える部材が無いので光学部材35で得られた光指向性がそのままの状態で表示装置20から得られる。
【0055】
車載などのカーナビゲーションや車載のテレビなどに上記の構成をなすバックライトユニットを備えた表示装置を用いると、表示装置から出射される照明光が運転席や助手席の人の目に直接届くようになる。従って、運転席や助手席側から表示画像を見ても表示装置からの照明光が直接目に入ってくるので、明るくて鮮明な表示画像が視認されるようになる。運転席や助手席の2箇所の指向の方角はプリズムの頂角を許容できる範囲の中で適宜に選択して設定すると良い。
【0056】
尚、本実施形態においては、面状光源部材30と光学部材35とでバックライトユニット39を構成したが、更に、従来技術で用いられていた拡散シートやプリズムシートを用いてバックライトユニットを構成することも可能である。
【0057】
また、本実施形態においては、面状光源部材30を導光板31と光源32などで構成したが、エレクトロルミネッセンス(EL)で構成することも可能である。
【0058】
また、本実施形態においては、光学部材35のプリズム36を三角形状のもので構成したが、台形形状の台形プリズムや、三角プリズムの間に平坦部を設けたプリズムなどで構成することも可能である。台形プリズムや平坦部を設けたプリズムを用いると3つの方角での光指向が得られる。
【実施例1】
【0059】
以下、実施例を述べる中で更に詳しい本発明の内容を説明する。最初に、実施例1に係るバックライトユニットを備えた表示装置について図9〜図13を用いて説明する。図9は本発明の実施例1に係るバックライトユニットを備えた表示装置の平面図、図10は図9における表示装置の要部断面図、図11は図10におけるE部の拡大図、図12は図10における導光板と光源の配置関係を示す配置図を示している。また、図13は図10における光学部材の台形プリズムから得られる指向特性を模式的に示した斜視図を示している。尚、前述の実施形態での構成部品と同じ構成をなす部品は同一符号を付してある。
【0060】
実施例1の表示装置は、図9に示すように、車載用のカーナビゲーション用の表示装置になっている。行先地の地図が表示装置上に表示されていて、行き先設定や経由地設定などの情報指示入力部などが設けられている。情報入力などはタッチパネルで行うようになっており、タッチパネル付表示装置になっている。このタッチパネル付表示装置60は、図10に示すように、表示装置20の上面側にタッチパネル50を設けた構成をなし、更に、このタッチパネル付表示装置60はその下面側に面状光源部材40と光学部材45から構成されるバックライトユニット49を備えている。
【0061】
タッチパネル付表示装置60の表示装置20は液晶表示装置で、前述の実施形態で用いた表示装置の構成と同じ構成のものを用いている。即ち、表示装置20は上基板21Aと下基板21Bとの間隙に液晶をシール材(図中、間隙、液晶、シール材は省略)で封止して、下基板21Bの下面側に光透過性と光反射性の両機能を持った半透過反射板を設けた構成をなしている。また、上基板21Aはガラスなどからなる上透明基板の下面にITO膜からなる上透明電極と透明なポリイミド樹脂膜などに配向処理を施した上配向膜を設け、更に、上透明基板の上面に上偏光板を設けた構成をなしている。また、下基板21Bはガラスなどからなる下透明基板の上面にITO膜からなる下透明電極と透明なポリイミド樹脂膜などに配向処理を施した下配向膜を設け、更に、下透明基板の下面に下偏光板を設けた構成をなしている。
【0062】
次に、タッチパネル50は可撓性を有する上基板51Aと下基板51Bとを一定の間隙を設けてシール材56で貼付けたものから構成している。また、ここでの上基板51Aは透明な0.2mm厚みの可撓性のあるガラスからなる上透明基板51aの下面にITO膜からなる上透明電極52aを設け、上透明基板51aの上面に上偏光板54aを設けた構成をなしている。また、下基板51Bは透明なガラスなどからなる下透明基板51bの上面にITO膜からなる下透明電極52bを設け、この下透明電極52b上にドットマトリックス状にドットスペーサ53を設け、更に、下透明基板51bの下面に位相差板54bを設けた構成をなしている。
【0063】
このタッチパネル付表示装置60は、タッチパネル50から表示装置20で表示される指示画像を透視して、所要の指示画像の位置のタッチパネル50の上基板51Aを押圧すると上基板51Aが撓み、上基板51Aの上透明電極52aと下基板51Bの下透明電極52bが接触して電流が流れ、その指示画像に対応した指示作業が行われるようになっている。例えば、図9において、行き先設定の表示画像の部位を押圧すると行き先設定用の表示画面が現れて、行き先の情報入力を行うようになっている。車載用のカーナビゲーションに使われるタッチパネルは熱変形の少ない材料が選ばれる。このため、上基板51Aは0.2mm厚のマイクロガラスを用いている。また、ガラス材であることからその撓み量も小さいため上基板51Aと下基板51Bとの間隙(ギャップ)量は概ね10μm位の値に設定している。この間隙量はシール材56に間隙量の大きさのシリカ粒子を配合することで間隙量を設定している。
【0064】
以上の構成をなすタッチパネル付表示装置60と面状光源部材40との間に、図10に示すように、台形プリズム46を持った光学部材45を配設する。このとき、光学部材45の台形プリズム46の面が面状光源部材40に向くように配置する。台形プリズム46は、図11に示すように、台形の形状をなしたプリズムで、2つの対向した傾斜角面46m、46nと先端のフラット面46cから構成されるプリズムである。本発明においては、台形の形状をなしたプリズムを台形プリズムと定義付けることにする。
【0065】
面状光源部材40は、実施例1においては、導光板41と、導光板41の角部に配設した光源42と、導光板41の下面に配設した反射板43と、導光板41の上面に配設した拡散シート44、更にその上に配設した2枚のブリズムシート48a、48bとから構成している。2枚のブリズムシート48a、48bは稜線が平行に並んだストライプ状のプリズムシートであるが、ブリズムシート48aとプリズムシート48bはそれぞれの稜線が直交する状態に配設されている。そして、ブリズムシート48a、48bのプリズム面は何れも上側、即ち、光学部材45側に向けて配置している。また、導光板41の下面41aにはサーキュラープリズム41bなる反射手段を設けており、このプリズム41bでもって光源42からの光を導光板41の奥深くに導くと共に導光板41の上面側に光を反射する働きをさせている。反射板43はアルミ金属蒸着膜を設けたフィルムで構成している。光源42はLEDで構成しており、導光板41の角部の切欠けを設けた端部に配設している。
【0066】
導光板41とLEDなる光源42との配置は図12に示す配置を取っている。導光板41の角部を切欠けして、その切欠けの端面41cに近接して光源42を配置している。LEDは光指向性を持っているため、指向範囲の領域に導光板41が納まるように角部にLEDを配置している。このような配置構造を取るとLEDを最小限の個数に抑えることができ、コスト削減の効果を得る。導光板41の下面41aには光源42なるLEDを中心にして同心円なるサーキュラープリズム41bを設けている。このような構成をなすとサーキュラープリズム41bで反射する反射光はサーキュラープリズム41bに入射する入射光の方向と同一方向に向いて反射するので、反射光量の均一性が得られる。そして、照明の明るさのムラが少なくなる。導光板41は耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、耐光性、耐薬品性などに優れた透明なポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂などで形成する。
【0067】
以上の構成をなす面状光源部材40は光源42からの光を導光板41のサーキュラープリズム41bの働きを受けて導光板41の奥深くまで導光し、更に、導光板41のサーキュラープリズム41bの働ききと反射板43の働きを受けて導光板41の上面から光を出射する。その出射光は拡散シート44によって拡散されて拡散シート44から出射する。拡散シート44により光拡散することで放射光量はムラなく均一化される。更に、その拡散した放射光はプリズムシート48a、48bらよって垂直光になって光学部材45に入射する。
【0068】
光学部材45の台形プリズム46に多くの垂直光が入射する。台形プリズム46に入射した光は、図11に示すように、台形プリズム46の傾斜角面46mに入射した光は屈折を起こしながらQ1の方角に出射する。また、傾斜角面46nに入射した光は屈折を起こしながらQ2の方角に出射する。また、先端のフラット面46cに入射した光はそのまま上面側のQ5の方角に出射する。このことから、台形プリズム46を用いると3つの方角に光を指向させることができる。
【0069】
この3つの方角への指向特性を模式的に現すと図13の絵を描くことができる。Q1の方角に指向する光、Q2の方角に指向する光、そして、Q5の方角に指向する光で、Q5の方角は光学部材45の正面に位置する方向になっている。ここで、台形プリズム46の2つの傾斜角面46m、46nを延長して交差する交差点を46bとし、この交差点46bの交差角を台形プリズム46の頂角αと呼ぶことにすると、この頂角αを変化させることによって前述の実施形態で説明したように光の指向特性の方角を変化させることができる。また、この頂角αを60°〜115°の範囲に規制する。115°の角度は指向の方角が2箇所に現れる範囲で、これより角度が大きくなると指向の方角が正面の位置に1箇所となる。また、プリズム頂角の角度が60°より小さいとピッチも小さくなり、プリズム36の成形型の製作が困難になる。また、台形プリズム46の先端のフラット面46cを透過する光は光学部材45の正面の方向に向かって出射する。そして、このフラット面46cの幅が大きければフラット面46cからの出射光量が多くなり、光の強度も強くなる。逆に、このフラット面46cの幅が小さければフラット面46cからの出射光量が少なくなり、光の強度も弱くなる。このように、光の指向の方角は頂角αの角度によって設定し、正面方向の光量はフラット面46cの幅の大きさによって設定する。
【0070】
以上の構成をなすバックライトユニット49をタッチパネル付表示装置60の背面側に備なえてカーナビゲーションを形成すると、カーナビゲーションの表示画面には3つの方角に光指向の方向を持ったものが得られる。1つ目の方角は助手席に向いた指向の方向であり、2つ目の方角は運転席に向いた指向の方向であり、3つ目の方角はカーナビゲーションの正面に向いた指向の方向である。この3つの方角からカーナビゲーションの表示画像を見るとカーナビゲーションから出射する光が直接目に入るので明るく鮮明な表示画像が視認される。カーナビゲーションの正面からも明るく鮮明な表示画像が視認できるので、カーナビゲーションへの情報入力は車の停止中に正面からタッチパネル50を操作して行える。特に、夜間時における情報入力操作には明るい画像照明の中で行うことができる。また、台形プリズム46は先端がフラット面をなすため、この台形プリズム46の下に配設される面状光源部材40と接触してもキズが付くといった心配は軽減される。
【0071】
実施例1ではカーナビゲーションを取り上げて説明したが、車載用の液晶テレビなどにも実施例1のバックライトユニット構成は適用できる。実施例1の構成のバックライトユニットを備えた車載用の液晶テレビにあっては、助手席や運転席、更には、後部座席からも明るく鮮明なテレビ画像を見ることができる。
【0072】
尚、実施例1のバックライトユニット49は台形プリズム46なる光学部材45を用いて構成したが、台形プリズム以外の形状として図14に示すプリズムを用いても同じ効果を得ることができる。図14は光学部材の他の形状として平坦部を挟んでプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材の斜視図を示したものである。図14に示すように、この光学部材95は平坦部97を挟んで三角形のプリズム96があり、そのプリズム96の稜線96aが平行に並んでいる。そして、このプリズム96の面が面状光源部材側に向けられて、平行に並んだ稜線96aが光指向を持たせる方角の方向と直交する方向になるように配置する。
【0073】
図15は図14に示す光学部材の作用を説明する模式的に示した要部断面の説明図を示している。三角形のプリズム96は、図15に示すように、2つの傾斜角面96m、96nを持っており、傾斜角面96mに入射した光は屈折を起こしてQ1の方角に指向して出射する。また、傾斜角面96nに入射した光は屈折を起こしてQ2の方角に指向して出射する。これは、どのプリズム96においてもQ1とQ2の2つの方角に指向する光が出射する。また、平坦部97に入射した光は余り屈折を起こさずにQ5の方角に指向して出射する。光学部材95に入射する光は面状光源部材の2枚の重ね合わせたプリズムシートによって垂直光に近い光が入射する。このため、平坦部97に入射した光は余り屈折を起こさずにQ5の方角に出射する。以上のことによって、Q1の方角と、Q2の方角と、Q5の方角の3つの方角に指向する光が出射する。これは、前述の台形プリズムなる光学部材45と同じ作用が得られる。
【0074】
この光学部材95は、プリズム96の頂点96bの頂角αを変えることによってQ1の方角とQ2の方角を変えることができる。また、平坦部97の幅lの大きさを変えることによってQ5の方角に指向する光の強度を変えることができる。幅lを広くするとQ5の方角に進む光量が多くなり光強度は高くなり、幅lを狭くするとQ5の方角に進む光量が少なくなって光強度は低くなる。これらの作用・効果は台形プリズムの場合と同じである。また、頂角αの角度は、台形プリズムの場合と同様に、60°〜115°の範囲に規制する。
【0075】
以上のことから、平坦部を挟んでプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材95を用いた場合でも、図13に示す指向特性と同じ指向特性が得られる。
【実施例2】
【0076】
次に、本発明の実施例2に係るバックライトユニット及びバックライトユニットを備えた表示装置について図16を用いて説明する。尚、図16は実施例2に係るバックライトユニットを備えた表示装置の要部断面図を示している。また、実施例2の表示装置はカーナビゲーション用のタッチパネル付表示装置をなしている。ここで、前述の実施例1のカーナビゲーション用のタッチパネル付表示装置の構成と同じ構成をなす部品は同一符号を付しある。
【0077】
実施例2のバックライトユニットを備えたタッチパネル付表示装置60は、図16に示すように、表示装置20の上面側にタッチパネル50を設けた構成をなしている。また、タッチパネル付表示装置60と面状光源部材70の間に台形プリズム46を持った光学部材45を設けている。また、光学部材45の台形プリズム46の面を面状光源部材70側に向けて配置しており、光学部材45と面状光源部材70でバックライトユニット79を構成している。
【0078】
実施例2のタッチパネル付表示装置60を構成する表示装置20とタッチパネル50は前述の実施例1の表示装置、タッチパネルの仕様と同じ仕様のものを用いている。従って、タッチパネル付表示装置60も前述の実施例1のタッチパネル付表示装置と同じ仕様になっている。また、実施例2で用いている台形プリズム46を設けた光学部材45も前述の実施例1で用いた光学部材の仕様と同じ仕様のものを用いている。前述の実施例1の構成の仕様と同じ仕様をなす構成部品についてはここでの説明は省略する。
【0079】
実施例2の面状光源部材70は、LEDからなる光源72と、光源72の下側に配設した反射板73と、光源72の上側に配設した拡散シート44と、更にその上に配設した2枚のプリズムシート48a、48bとから構成している。尚、拡散シート44、2枚のプリズムシート48a、48bは前述の実施例1で用いた拡散シート、2枚のプリズムシートの仕様と同じ仕様のものを用いている。そして、2枚のブリズムシート48a、48bはそれぞれの稜線が直交する状態に配置しており、ブリズムシート48a、48bのプリズム面は何れも上側、即ち、光学部材45側に向けて配置している。
【0080】
光源72はLEDで構成する。複数のLEDを用い、照明の明るさのムラが小さくなる間隔に配置する。このLEDからは直接上側の拡散シート44に向けて光を出射する。
【0081】
反射板73は、実施例2においては、アルミ金属の0.1〜0.15mmの薄板を鏡面仕様にして用いている。尚、この反射板73は反射シートや白色のプラスチック支持枠などに代えることも可能で、バックライトユニット及び表示装置の構造などに応じて適宜に選択すると良い。
【0082】
以上の構成をなす面状光源部材70の照明明るさは非常に明るい。LEDの光を直接照明に利用する構造を取るため光の利用効率が非常に高く、効果的な照明が行える。尚、実施例2においては光源72にLEDを用いたが冷陰極管を必要とする本数を並べて用いても同様な効果を奏する。
【0083】
尚、台形プリズム46を設けた光学部材45による作用は、前述の実施例1で説明した作用と同じ作用が得られる。即ち、3つの方角への光指向特性を得る。そして、実施例2のバックライトユニットの構成もカーナビゲーションには好適に適用でき、更に、上記したバックライトユニット構造の効果も加わって非常に明るくて鮮明な表示画像が得られる。
【実施例3】
【0084】
次に、本発明の実施例3に係るバックライトユニットについて図17を用いて説明する。ここで、図17は本発明の実施例3に係るバックライトユニットを備えた表示装置の要部断面図を示している。
【0085】
実施例3に係るバックライトユニット89は、図17に示すように、光学部材35と面状光源部材80とから構成しており、表示装置20の下面側に配設して用いられる。ここで、実施例3における表示装置20と光学部材35は前述の実施形態での表示装置、光学部材の仕様と同じ仕様のものを用いている。従って、同一符号を付している。
【0086】
実施例3における光学部材35は表示装置20と面状光源部材80との間に配設している。そして、光学部材35のプリズム36の面を面状光源部材80の方に向けて配置している。実施例3の面状光源部材80は分散型のエレクトロルミネッセンス(以下、ELと呼ぶ)で構成している。
【0087】
面状光源部材80であるELは透明基体81の下面側に透明電極82、発光層83、誘電体層84、背面電極85を積層し、更にこれを覆う形で防湿性を有する絶縁膜86を設けた構成をなす。そして、透明電極82と背面電極85に所要の電圧を印加すると発光体層83が発光して、その発光した光が矢印で示した如く光学部材35の三角形状をなすプリズム36に向かって出射する。
【0088】
ここで、透明基体81は透明なガラスやPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどが用いられ、透明電極82は酸化インジウム(In)に酸化錫(SnO)をドーピングして得られたITO(Indium Tin Oxide)粉末を蒸着などの方法で形成したITO膜からなる。発光層83は硫化亜鉛(ZnS)を発光母体として微量の附活剤(金属やハロゲン元素)をドーピングして得られた発光体粉末を、例えば、シアノエチル化合物などの高誘電樹脂バインダーに分散してスクリーン印刷などの印刷方法で形成する。誘電体層84は、例えば、チタン酸バリウムなどの高誘電物質を高誘電樹脂バインダーに分散してスクリーン印刷などの印刷方法で形成する。また、背面電極85は銀ペースト、或いは黒鉛ペーストの導電性ペーストをスクリーン印刷などの印刷方法で形成する。絶縁膜86は絶縁性、耐湿性に優れた樹脂やPETフィルムなどを用いて形成する。
【0089】
このELは0.2mm前後の厚みであることから面状光源部材80を薄型にできると云う効果を生む。また、発光輝度に均一なものが得られることから明るさにムラが出ないと云う効果を得る。
【0090】
以上の構成をなしたバックライトユニットはムラのない均一な照明明るさが得られ、且つ、薄型にできる。また、光学部材35のプリズム36の作用により、前述の実施形態で説明した如く、2つの方角への光指向特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係るバックライトユニットを備えた表示装置の要部断面図である。
【図2】図1における光学部材の働きを説明する説明図で、図2の(a)は模式的に表した断面図、図2の(b)は図2の(a)のD部拡大図である。
【図3】光の指向する方向と光学部材の配置関係を示した平面図である。
【図4】プリズムの頂角の角度を変えての指向特性をシミュレーションしたグラフである。
【図5】図4における角度を説明する説明図である。
【図6】図4に示された指向特性を模式的に表した斜視図である。
【図7】プリズムの頂角を変えての指向特性を実測したグラフである。
【図8】表示装置から出射される照明光の指向性を説明する斜視図である。
【図9】本発明の実施例1に係るバックライトユニットを備えた表示装置の平面図である。
【図10】図9における表示装置の要部断面図である。
【図11】図10におけるE部の拡大図である。
【図12】図10における導光板と光源の配置関係を示す配置図である。
【図13】図10における光学部材の台形プリズムから得られる指向特性を模式的に示した斜視図である。
【図14】光学部材の他の形状として平坦部を挟んでプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材の斜視図である。
【図15】図14に示す光学部材の作用を説明する模式的に示した要部断面の説明図である。
【図16】本発明の実施例2に係るバックライトユニットを備えた表示装置の要部断面図である。
【図17】本発明の実施例3に係るバックライトユニットを備えた表示装置の要部断面図を示している。
【図18】従来技術における液晶表示装置の要部断面図を示している。
【図19】特許文献1に記載された液晶表示装置の断面構成図である。
【図20】図19における光指向性調整シートの拡大斜視図である。
【図21】液晶表示パネルを見る位置によってパネル表示がどのように見えるかを模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0092】
20 表示装置
21A、51A 上基板
21B、51B 下基板
21a、51a 上透明基板
21b、51b 下透明基板
22a、52a 上透明電極
22b、52b 下透明電極
23a 上配向膜
23b 下配向膜
24a、54a 上偏光板
24b 下偏光板
25 液晶
26、56 シール材
29 半透過反射板
30、40、70、80 面状光源部材
31、41 導光板
31a、41a 下面
31d、41c 端面
32、42、72 光源
33、43、73 反射板
35、45、95 光学部材
36、96 プリズム
36a、96a 稜線
36m、36n、96m、96n 傾斜角面
44 拡散シート
46 台形プリズム
48a、48b プリズムシート
39、49、79、89 バックライトユニット
50 タッチパネル
53 ドットスペーサ
54b 位相差板
60 タッチパネル付表示装置
81 透明基体
82 透明電極
83 発光層
84 誘電体層
85 背面電極
86 絶縁膜
α 頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状光源部材を備えて表示装置を照明するバックライトユニットにおいて、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に平行にプリズムの稜線が並ぶ光学部材を配設したことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項2】
前記光学部材を前記面状光源部材と前記表示装置の間に配設すると共に、前記光学部材のプリズムの面が前記面状光源部材側に向くように配置したことを特徴とする請求項1に記載のバックライトユニット。
【請求項3】
前記プリズムの頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のバックライトユニット。
【請求項4】
面状光源部材を備えて表示装置を照明するバックライトユニットにおいて、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に平行に台形プリズムの稜線が並ぶ光学部材を前記面状光源部材と前記表示装置の間に配設すると共に、前記光学部材の台形プリズムの面が前記面状光源部材側に向くように配置したことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項5】
前記台形プリズムの2つの傾斜角面を延長して交差する交差角を台形プリズムの頂角とすると、前記台形プリズムの頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変化させ、且つ、前記台形プリズムの先端フラット面の幅の大きさを調整することによって正面方向への出射光量を調整することを特徴とする請求項4に記載のバックライトユニット。
【請求項6】
面状光源部材を備えて表示装置を照明するバックライトユニットにおいて、前記面状光源部材と前記表示装置の間に平坦部を挟んでプリズムの稜線が平行に並ぶ光学部材を、光指向を持たせる方角の方向と直交する方向に前記プリズムの稜線を平行に並べて配設すると共に、前記光学部材のプリズムの面が前記面状光源部材側に向くように配置したことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項7】
前記プリズムの頂角の角度を変えることによって光指向の方角を変化させ、且つ、前記平坦部の幅の大きさを調整することによって正面方向への出射光量を調整することを特徴とする請求項6記載のバックライトユニット。
【請求項8】
前記プリズムの頂角及び前記台形プリズムの頂角の角度は60°〜115°であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
【請求項9】
前記光学部材から出射される光指向特性がハート形であることを特徴とする請求項1乃至3、8のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
【請求項10】
前記光学部材から出射される光指向性が方角の異なる少なくとも2つの方角の指向特性を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
【請求項11】
前記面状光源部材は少なくとも光源と導光板を有し、前記光源は前記導光板の端部に設けていることを特徴とする請求項1、2、4、6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
【請求項12】
前記面状光源部材は少なくとも光源と拡散シートを有し、前記光源は前記拡散シートの直下に設けていることを特徴とする請求項1、2、4、6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
【請求項13】
前記光源はLED又は冷陰極管であることを特徴とする請求項11又は12に記載のバックライトユニット。
【請求項14】
前記面状光源部材はエレクトロルミネッセンスであることを特徴とする請求項1、2、4、6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
【請求項15】
前記表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項1、2、4、6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
【請求項16】
バックライトを備えた表示装置であって、前記バックライトは前記請求項1乃至15のいずれか1項に記載のバックライトを備えており、前記バックライトユニットは方角の異なる少なくとも2つの方角の指向特性を有していることにより、前記表示装置の表示画像は前記少なくとも2つの方角で明るく鮮明に視認されることを特徴とする表示装置。
【請求項17】
前記請求項16に記載の表示装置は車載用のカーナビゲーション又は車載用のテレビに用いられることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−258152(P2007−258152A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330307(P2006−330307)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】