説明

バックライト手段の制御方法及びテレビ装置

【課題】電源投入時などのように黒一色の画面から突然映像が表示されることなどによる視聴者の心理的ストレスを解消することの出来るバックライト手段の制御方法,及びこのようなバックライト手段の制御方法を実行可能なテレビ装置を提供すること。
【解決手段】入力された映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段にその背面から光を照射するバックライト手段の制御方法において,上記映像信号の入力されていない状態から映像信号が入力された状態への切り替え,あるいは,受信チャンネルの切り替え時に,前記バックライト手段の輝度を標準的表示時の輝度より低い予め定められた初期輝度に設定し,その後,前記輝度を徐々に上昇させて標準の輝度に移行させるようにしたバックライト手段の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,バックライト手段の制御方法及びテレビ装置に係り,特に電源投入時やチャンネル切り替え時などに映像が急に出現あるいは変化することによる心理的ストレスの解消などを図ることの出来るバックライト手段の制御方法,及びこのようなバックライト手段の制御方法で制御されるテレビ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,ますます市場の増大が見込まれている薄型テレビにおいては,その牽引役となっている液晶テレビ装置の需要増大と共に,表示画面の更なる大型化が進んでいる。
例えば,特許文献1には,チャンネル選局時においてチャンネル表示の輝度を一定時間高めることにより,通常の時の輝度を抑えることにより消費電力を抑える発明が開示されている。
【特許文献1】実開平2−55778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような液晶表示画面の大型化に伴い,視聴者に対する視覚的刺激が増加することによる心理的ストレスの増大が問題となっている。
例えば,電源起動時や入力端子切換時等,映像信号の入力されていない黒一色の状態から突然映像信号が入力されて映像が出現する状態への切り替え時における心理的ショック,あるいは,受信チャンネルの切り替え時に,急激な画面輝度の変化が視聴者に与える心理的ストレスの増大といった不具合がそれに該当する。
また,上記のような大画面化に伴い,液晶テレビ装置の消費電力の増大化と画面表示輝度の総エネルギー増大化による使用上の不具合が表面化するようになってきている。例えば,50インチ以上の大画面の液晶表示装置で,装置の消費電力が増大するために,電源起動時に蛸足配線等による供給電力が低下した状態では,上記電源起動時のような映像信号の入力されていない黒一色の状態から,突然映像信号が入力されて映像が出現する状態への切り替え時などに,大きい突入電流が流れ,上記突然の電力変動によって電源が起動しなくなる不具合も指摘されている。
上記のような電源が起動しなくなる不具合に対して,電源の供給電流能力を上げる対策が挙げられるが,この対策では,電源供給側のコスト上昇,電源起動時の家庭内電源元のブレーカー落ち,バックライトなどの負荷側に問題があった場合の安全性に関わる問題,等が懸念される。
上記のような問題は,液晶表示装置のみでなく,プラズマ表示装置そのほか全ての表示装置あるいはテレビ装置でも同様に発生するものであり,この発明はこれらの全ての表示装置に適用可能である。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,前記電源投入時などのように黒一色の画面から突然映像が表示されることなどによる視聴者の心理的ストレスを解消することの出来るバックライト手段の制御方法,及びこのようなバックライト手段の制御方法を実行可能なテレビ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,入力された映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段にその背面から光を照射するバックライト手段の制御方法において,上記映像信号の入力されていない状態から映像信号が入力された状態への切り替え,あるいは,受信チャンネルの切り替え時に,前記バックライト手段の輝度を標準的表示時の輝度より低い予め定められた初期輝度に設定し,その後,前記輝度を徐々に上昇させて標準の輝度に移行させることを特徴とするバックライト手段の制御方法として構成される。
これにより,例えば電源が投入されたときに,それまで黒一色であった映像表示画面に突然画像が表示されるといったことがなくなり,黒一色の画面から徐々に映像が鮮やかに表示されていくので,視聴者における心理的ショックが軽減される。また,映像表示に要する大きい電流が突然流れる,いわゆる突入電流が流れなくなるので,電源が立ち上がらないといった不都合が回避される。
【0005】
また,前記輝度の上昇については,段階的に行われるものであってもよい。制御としては,連続的制御より段階的制御のほうが容易であり,輝度については,かならずしも連続的に変化させる必要もないからである。
前記のように輝度を段階的に変化させる場合には,前記初期輝度値,各段の輝度値,各段の制御時間が所定のバックライト制御諸値記憶手段に記憶され,このバックライト制御諸値記憶手段に記憶されたバックライト制御諸値に基づいて前記前記輝度の上昇が段階的に行われるようにすることで,装置の簡易化が図られる。
視聴者の心理的ストレスを軽減させるためには,音量についても徐々に上昇させることが望ましい。このような観点から,前記バックライト手段の輝度の上昇に伴って音量についても上昇させるような態様が考えられる。
上記のようなバックライト手段の制御方法を用いて駆動されるテレビ装置として,入力された映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段と,上記映像表示手段にその背面から光を照射するバックライト手段とを備えたテレビ装置において,上記映像信号の入力されていない状態から映像信号が入力された状態への切り替え,あるいは,受信チャンネルの切り替え時に,前記バックライト手段の輝度を標準的表示時の輝度より低い予め定められた初期輝度に設定し,その後,前記輝度を徐々に上昇させて標準の輝度に移行させるバックライト制御手段を備えたことを特徴とするテレビ装置が考えられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,入力された映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段にその背面から光を照射するバックライト手段の制御方法において,上記映像信号の入力されていない状態から映像信号が入力された状態への切り替え,あるいは,受信チャンネルの切り替え時に,前記バックライト手段の輝度を標準的表示時の輝度より低い予め定められた初期輝度に設定し,その後,前記輝度を徐々に上昇させて標準の輝度に移行させることを特徴とするバックライト手段の制御方法が提案され,これにより,視聴者における心理的ショックが軽減される。また,映像表示に要する大きい電流が突然流れる,いわゆる突入電流が流れなくなるので,電源が立ち上がらないといった不都合が回避される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は,本発明の実施の形態に係る液晶テレビ装置の制御ブロック図,図2は,バックライト輝度制御手順の概要を示すフローチャート,図3は,制御諸値記憶手段に記憶される諸値の一例を示す図,図4は,段階的制御手順の概念の一例を示す図である。
本発明の液晶テレビ装置の一実施形態では,液晶表示装置の電源が立ち上げられ,液晶表示装置の画面が例えば黒一色の状態になったのち,映像信号が入力されることにより液晶表示装置の画面に映像が表示されうる状態になった瞬間からしばらくの間,バックライトの点灯管(バックライト手段の一例)への電力を制御する。具体的には,初期的に液晶表示装置の輝度を所定値まで低下させ,その後輝度を徐々に上昇させてやがて標準の輝度状態まで移行させる。これにより,視聴者に与えられる視覚的刺激を軽減させることで心理的ストレスを解消するようにしたものである。
【0008】
以下に本発明の一実施形態にかかる液晶テレビの制御装置の一構成例を説明する。
図1は,本発明の一実施形態にかかる液晶テレビ装置の制御装置における一構成例を示すブロック図である。液晶テレビ装置の制御装置100は,アンテナで受信されたテレビ放送電波から希望するチャンネルを選局するチューナ1と,外部接続されたAV機器からのビデオ信号を入力するビデオ入力端子を介して入力された各ビデオ信号を切り替え出力する映像切替スイッチ6とを備えている。
【0009】
上記映像切替スイッチ6に接続された図外のY/C分離回路は,映像切替スイッチ6より出力されたテレビジョン信号(コンポジット信号)を輝度信号Yと色信号Cと(YCセパレート信号)に分離する。上記Y/C分離回路で得られた輝度信号Yと色信号Cとから図外のRGBデコーダは,R,G,B各原色信号を得て出力する。また上記RGBデコーダで得られたR,G,B信号は,図外のA/D変換回路によってA/D変換される。
【0010】
映像信号処理装置10は,上記A/D変換回路で得られたR,G,B信号(テレビジョン映像信号)に対して,各入力映像信号フォーマットに応じた所望の映像処理(例えば,色空間変換処理,IP(Interlace To Progressive)変換処理,スケーリング処理,FRC(Frame Rate Conversion)処理,γ補正処理,色補正処理及び同期検出処理など)を施し,選択的に切り替え出力する。
【0011】
そして映像信号処理装置10より出力されたR,G,B信号(画像表示信号)に基づいて,不図示のLCDコントローラは,不図示のソースドライバへ出力する階調データ及び信号線制御信号を生成するとともに,不図示のゲートドライバへ出力する走査線制御信号を生成し,液晶パネル14(映像表示手段の一例)における画像表示制御を行う。
また不図示の電源から電力供給を受けて電源供給回路21は,バックライト16の点灯管16aを駆動する光源駆動回路15に電力を供給する。マイコン18は,不図示のLCDコントローラを介して,インバータ回路等を備えた光源駆動回路15へ出力するバックライト制御信号を生成し,バックライト16の点灯管16aの発光駆動制御を行う。
【0012】
さらにマイコン18は,ユーザー操作インターフェース23を介してリモコンから受信した赤外線信号を検出・解析し,チューナ1,映像切替スイッチ6,映像信号処理装置10,及び不図示のLCDコントローラの各部に対して所定の制御信号を出力する。
【0013】
またマイコン18は,リモコンからのユーザーによる設定指示に応じて,チューナ1による番組選局,映像切替スイッチ6によるテレビ受信信号と外部ビデオ信号との出力切り替え,映像信号処理装置10によるテレビジョン映像信号とコンピュータ映像信号との出力切り替え,などの制御を行う。
【0014】
時計用発振子19は,液晶テレビ装置の時刻情報を生成するためのもので,通常,時刻の単位時間を示すクロック信号を発生する水晶発振子により構成される。そしてマイコン18は,時計用発振子19からのクロック信号をカウントするカウンタを有し,カウンタでカウントされた時間を用いて,設定入力された初期時刻データを基に,実際の時刻を計測する。
そして本発明の特徴である電源立ち上げ時などにおけるバックライトの点灯制御時間を計測するために,時計用発振子19及びマイコン18が使用される。
バックライトの点灯制御時間の計測は,上記の時計用発振子19に限らず,何らかの時間計測を行うことができる手段,例えば,マイコンのクロック周波数等を利用して時間計測する手段等を適宜設定できる。
【0015】
以下,電源投入時,入力信号切り替え時,及びチャンネル切り替え時のそれぞれにおけるバックライト手段の輝度制御(以下,バックライト制御という)について説明する。
なお,本発明にかかるバックライト制御は,これらの例に限らず,映像信号が入力されていない状態から入力された状態に突然変化するような場合には,等しく適用され得る。
【0016】
「電源投入時の制御」
電源の投入は,例えば液晶テレビ本体の電源スイッチの操作によっても可能であるが,多くの場合,前記リモコンからの電源オン信号を受けたリモコン受光部などのユーザー操作インターフェース23からの信号によってマイコン18が実行する。
電源がオンされると,マイコン18は,図外のLCDコントローラに起動信号を送り光源駆動回路15を起動させる。この信号を受けた光源駆動回路15は,直ちにバックライト16の前記点灯管16aを駆動する。この時,従来の技術においては,光源駆動回路15による起動電流は,通常の映像表示時に点灯管16aに与えるべき標準電流に設定される。この場合,上記点灯管16aの立ち上がりには所定の時定数があり,光源駆動回路15による起動からしばらくして,上記標準電流によって点灯管16aが標準的な映像表示時と同じ明るさで突然液晶パネル14が背面から照射される。そのため,それまで黒一色であった液晶パネル14に突然映像が表示されて,視聴者を驚かすことになる。
【0017】
この実施形態では,このような黒一色の画面に突然映像が表示されることによる心理的ショックを緩和するために,電源が立ち上げられ,液晶パネル14の画面が黒一色の状態から,映像信号が入力されることにより液晶パネル14の画面に映像が表示されうる状態になった瞬間から所定時間の間,バックライト16の点灯管への電力を制御する。制御の内容としては,初期的に液晶パネル14の輝度を所定値まで低下させ,その後輝度を徐々に上昇させてやがて標準の輝度状態まで移行させる。このような幾分の遅れをもってバックライト16を徐々に立ち上げることにより,視聴者に与えられる視覚的刺激を軽減させることで心理的ストレスを解消する。
【0018】
上述のバックライト16のマイコン18による制御手順を図2に示したフローチャートを参照して説明する。
ここにS1,S2,…は,処理手順(ステップ)の番号である。
従来の液晶テレビ装置では,上記のように電源が投入されると,マイコン18は,図外のLCDコントローラに対して光源駆動回路15に映像を表示する時と同じ標準電流を流すように指示を出していたが,この実施形態では,電源投入されると(S1),マイコン18は,光源駆動回路15以外の全ての電源をオンする(S2)。続いて,マイコン18は,標準電流より低い予め定められた駆動電流の初期値を光源駆動回路15がバックライト16に出力するよう指示する。これにより,バックライト16は,所定の低輝度で点灯する(S3)。
【0019】
上記のように標準電流より低い所定の立ち上げ用電流についての初期値の指示が終了すると,マイコン18は,さらに予め定められた所定の周期(制御時間)で光源駆動回路15に与える光源駆動電流を段階的に上昇させ,最終的に標準電流に達するように制御する。
すなわち,上記のようにバックライト16が,初期的に低輝度で点灯される(S3)と,続いてマイコン18は,予め定められた所定時間(制御時間)分待った後(S4),光源駆動回路15に与える光源駆動電流を予め定められた所定量(1ステップの電流変化量ΔA)だけ上昇させる(S5)。
続いてマイコン18は,光源駆動電流が最終目標値となる標準値(通常の映像表示時における輝度を得る光源駆動電流値)に達したか否かを判断し(S6),達していると判断した場合は,処理をS7に進め,達していないと判断した場合には,S4に戻って標準輝度に達するまでS4〜S6の処理を繰り返す。
【0020】
これによって,この実施形態にかかる液晶テレビ装置では,電源投入時における黒一色の画面から,映像信号が映像信号処理装置10及びLCDコントローラに突然与えられても,液晶表示パネル14をその背面から照らすバックライト16が,低い輝度から徐々に標準輝度になるまで時間をかけて立ち上げられるので,突然の画面輝度の変化に視聴者が心理的ショックを受けることが無くなる。
上記段階的に輝度を上昇させる処理の詳細については後述する。
【0021】
「入力端子切り替え時の制御」
入力端子の切り替えは,前記したように映像切替スイッチ6によるビデオ端子の切り替えによって達成されるが,この場合には当初から電源が切れているわけではないので,マイコン18によって映像信号処理装置10からの信号によって不図示のLCDコントローラが制御され,無映像の状態を示す例えばブルー一色の画面となっている。
この状態でチューナ1を経て映像が入力されると,それまで例えばブルー一色であった液晶表示画面に突然映像が表示されて,視聴者を驚かすことになる。
【0022】
この実施形態では,このような単一色の画面に突然映像が表示されることによる心理的ショックを緩和するために,入力端子がチューナ1に切り替えられた瞬間に,バックライト16の点灯管16aへの電力を制御して初期的に液晶パネル14の輝度を所定値まで低下させ,その後輝度を徐々に上昇させてやがて標準の輝度状態まで移行させる。このような幾分の遅れをもってバックライト16を徐々に立ち上げることにより,視聴者に与えられる視覚的刺激を軽減させ,心理的ストレスを解消する。
【0023】
これを図2に示したフローチャートを参照して説明する。
処理は,図2におけるステップS7から開始され,マイコン18は,外部入力の切替操作が行われたか否かを,前記ユーザー操作インターフェース23からの信号により判断する(S7)。外部入力の切り替えが行われたと判断される(S7でYes)と,マイコン18は,外部入力切替処理を実行する(S8)。続いて,マイコン18は,標準電流より低い予め定められた駆動電流の初期値を,光源駆動回路15がバックライト16に出力するよう指示する。この時,はじめから電源がオフしているわけではなく,例えばブルー一色の画面から映像表示画面に移るのであるから,この時の初期値は,前記電源投入直後に設定する値(S3)よりは大きい値に設定される。これにより,バックライト16は,所定の低輝度で点灯される(S9)。
【0024】
すなわち,この実施形態では,映像切替スイッチ6への入力をマイコン18がビデオ端子からチューナ1に切り替えた瞬間に,マイコン18は,標準電流より低い予め定められた駆動電流(初期値)を光源駆動回路15がバックライト16に出力するよう指示する。
上記のように標準電流より低い所定の立ち上げ用電流(初期値)の指示が終了すると,マイコン18は,さらに予め定められた所定の周期で光源駆動回路15に与え,光源駆動電流を段階的に上昇させ,最終的に標準電流に達するように制御する。
【0025】
すなわち,上記のようにバックライト16が,初期的に低輝度で点灯される(S9)と,続いてマイコン18は,予め定められた所定時間分待った後(S10),光源駆動回路15に与える光源駆動電流を予め定められた所定量(1ステップの電流変化量ΔA)だけ上昇させる(S11)。
続いてマイコン18は,光源駆動電流が最終目標値となる標準値(通常の映像表示時における光源駆動電流値)に達したか否かを判断し(S12),達していると判断した場合は,処理をS7に戻し,チャンネルの切り替えか,外部入力の切り替え操作が行われるのを待つ。また,達していないと判断した場合には,S10に戻って標準輝度に達するまでS10〜S12の処理を繰り返す。
【0026】
これによって,この実施形態にかかる液晶テレビ装置では,外部入力状態時におけるブルーなどの単一色の画面から,映像信号が映像信号処理装置10及びLCDコントローラに突然与えられても,液晶表示パネル14をその背面から照らすバックライト16が,低い輝度から徐々に標準的輝度まで時間をかけて立ち上げられるので,突然の画面輝度の変化に視聴者が心理的ショックを受けることが無くなる。
【0027】
「チューナ切り替え時の制御」
チューナの切り替え(すなわちチャンネルの切り替え)は,前記したようにリモコンからの指示を受けたマイコン18によるチューナ1の切り替えによって達成される。
チューナ1の切り替えは,視聴者の判断によって行われるので,基本的には視聴者にそれほど大きい心理的負担となることは従来無かった。しかしながら近時の大画面化の傾向によって,例えば静かな映像から急に刺激の強い映像に切り替わると,やはり視聴者が驚かされることになる。特に,チャンネルの切り替えによって音量が突然大きくなった場合の心理的ストレスはさらに大きなものとなる。
【0028】
この実施形態では,このようなチャンネル切り替えにより突然映像が変化することによる心理的ショックを緩和するために,チューナ1が切り替えられた瞬間に,バックライト16の点灯管16aへの電力を制御して初期的に液晶パネル14の輝度を所定値まで低下させ,その後,輝度を徐々に上昇させてやがて標準の輝度状態まで移行させる。このような幾分の遅れをもってバックライト16の輝度を徐々に上昇させることにより,視聴者に与えられる視覚的刺激を軽減させることで心理的ストレスを解消する。
具体的処理手順としては,図2におけるステップS7〜S12の外部入力が切り替えられたときの処理と同様であり,S7,S8の外部入力の切り替えをチャンネルの切り替えに置き換えればよいので,ここでは詳細な説明を省略する。
【0029】
上記のような光源駆動回路15からバックライト16へ与えられるバックライト駆動信号の段階的上昇処理の詳細について図2及び図3を参照して説明する。
有利な実施形態として,上記のような初期的な低い駆動信号の値や,段階的制御の制御時間,さらには段階的に変動させる駆動信号の値といった諸値については,マイコン18に接続されたバックライト制御諸値記憶手段の一例であるROM20に記憶させておき,これを参照して制御することが望ましい。かかる記憶される諸値の一例が,図2に示されている。
【0030】
この場合,設定値はNo.1から4まで記憶されており,設定値1はバックライト輝度制御開始時(電源投入時,外部入力切替時,あるいはチャンネル切替時)の初期(電流)値,設定値2は,バックライト16の輝度制御時に,段階的に輝度レベルを上げる際の1段階(ステップ)当たりの電流変化量ΔA,設定値3は,バックライト輝度制御時に段階的に輝度を変化させる際の1段階(ステップ)の処理待ち時間(制御時間)ΔT,設定値4は,バックライト輝度制御の最終目標電流値である。上記設定値4は,一般的に標準的視聴時の輝度を得るための電流値に設定されるが,かならずしもこれに限るものではない。
これらの設定値は,上記各制御モード(電源投入時,入力端子切り替え時,及びチューナ切り替え時の各モード)に対応して,また液晶テレビ装置の種類に応じて異なるものが前記ROM20に記憶されることになる。
【0031】
マイコン18は,上記設定値を用いて,前記各モードに応じたバックライト制御を行う。
図4はそのような制御の態様の一例を示す電流値の変化を示すグラフである。
このグラフに示す例では,初期的な電流値(初期設定値)から4回の電流切り替えで目標とする電流に到達した場合が示されている。途中の電流設定値が設定2〜設定4まで変化し,最終の目標値が設定5で表示されており,その間,電流値が連続的に変化するように滑らか制御が行われている例である。もちろん,滑らか制御を行わず,段階的に変化させるものでも構わない。
【0032】
通常の標準的映像表示時におけるバックライトの輝度(標準値)は,一般に400cdであり,初期的な輝度としては,映像が明瞭に見えない程度の輝度であればよいので,例えば50cdが選ばれる。上記標準値400cdと初期値50cdの差350cdを例えば10段階で上昇しようとすれば,1段階当たり(ステップ)の上昇輝度は35cdであるから,1段階当たり35cdの変化を得るような電流変化量ΔAを選択すればよい。また,1段階当たりの制御周期(制御時間)ΔTは,例えば200msecが選ばれる。この場合,制御段の数を10段階とすれば2secで初期的な輝度から標準的な輝度まで変化することになる。制御周期ΔTの幅としては,20msec〜200msec程度が望ましい。また,1段階当たりの輝度増加量は10〜50cd程度が望ましい。さらに制御段数としては10〜50回程度が通常選ばれる。
【実施例】
【0033】
電源投入時,外部入力切替時あるいはチャンネル切替時などの画面の切り替え時に,画面の急激な変化によって視聴者に心理的ストレスが加えられるのは,画面輝度の急激な変化のみでなく,音量についても同様である。したがって,上記画面輝度の切り替え時に音量を一定量まで落として,そこから輝度の上昇に伴って音量も上昇させるような処理をすれば,視聴者のショックは更に軽減されるであろう。
またすでに述べたように,この発明は,上記実施形態に記載した液晶表示装置,これを用いた液晶テレビ装置に限定されることはなく,例えばプラズマテレビ装置そのほかの全ての手法に基づく表示装置あるいはテレビ装置に適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶テレビ装置の制御ブロック図。
【図2】バックライト輝度制御手順の概要を示すフローチャート。
【図3】制御諸値記憶手段に記憶される諸値の一例を示す図。
【図4】段階的制御手順の概念の一例を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1…チューナ
6…映像切替スイッチ
10…映像信号処理回路
14…液晶パネル
15…光源駆動回路
16…バックライト
16a…点灯管
19…時計用発振子
20…ROM
23…ユーザー操作インターフェース
100…制御装置
S1,S2,…処理手順(ステップ)番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段にその背面から光を照射するバックライト手段の制御方法において,
上記映像信号の入力されていない状態から映像信号が入力された状態への切り替え,あるいは,受信チャンネルの切り替え時に,前記バックライト手段の輝度を標準的表示時の輝度より低い予め定められた初期輝度値に設定し,その後,前記輝度を徐々に上昇させて標準の輝度に移行させることを特徴とするバックライト手段の制御方法。
【請求項2】
前記輝度の上昇が段階的に行われるものである請求項1に記載のバックライト手段の制御方法。
【請求項3】
前記輝度を段階的に変化させるときの前記初期輝度値,各段の輝度値,各段の制御時間が所定のバックライト制御諸値記憶手段に記憶され,このバックライト制御諸値記憶手段に記憶されたバックライト制御諸値に基づいて前記前記輝度の上昇が段階的に行われる請求項1あるいは2のいずれかに記載のバックライト手段の制御方法。
【請求項4】
前記バックライト手段の輝度の上昇に伴って音量についても上昇させる請求項1〜3のいずれかに記載のバックライト手段の制御方法。
【請求項5】
入力された映像信号に基づく映像を表示する映像表示手段と,上記映像表示手段にその背面から光を照射するバックライト手段とを備えたテレビ装置において,
上記映像信号の入力されていない状態から映像信号が入力された状態への切り替え,あるいは,受信チャンネルの切り替え時に,前記バックライト手段の輝度を標準的表示時の輝度より低い予め定められた初期輝度に設定し,その後,前記輝度を徐々に上昇させて標準の輝度に移行させるバックライト制御手段を備えたことを特徴とするテレビ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−25689(P2009−25689A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190530(P2007−190530)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】