説明

バック・リーミング用自動制御システム

【課題】 「バック・リーミング」作業中のドローワークスの自動作業を行う制御システムを提供することにある。
【解決手段】 本発明の制御システムは、バック・リーミング作業中に或る吊上げ速度および吊上げトルクで掘管を移動させるホイストシステムを有する。オペレータ制御ユニットは、オペレータが少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値を入力することを可能にする。バック・リーミングパラメータセンサは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値を取得する。制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータをモニタする。ブレーキ組立体は、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ドローワークスシステムの吊上げトルクに抵抗する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バック・リーミング(back reaming)作業中にドローワークス(drawworks)または同様なホイスト手段を作動させる自動制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石油産業では、坑井掘削に使用される装置および機械は、掘削リグまたはリグとして一般に知られている。これらのリグには、掘管(ドリルパイプ)を回転させる手段が使用され、最もポピュラーで成功裏に使用されている掘管として、トップドライブシステムとして知られている装置がある。油田内でのトップドライブシステムの人気および急増は、当業界のドリラーおよびオペレータが安全かつ有益な態様で掘管作業を取扱う能力を大幅に高めてきた。
【0003】
このような作業の1つが「バック・リーミング」であり、バック・リーミングでは、オペレータが坑井から掘管を吊上げると同時に、掘削泥水をポンピングしかつ掘管を回転する。これにより、掘管が坑井内でジャミング(動かなくなること)する原因となる、掘管と坑井との間の摩擦力の発生が防止される。最近まで、このバック・リーミング法は、完全に手作業で行うか、或いはホイスト装置内に複雑な制御装置を使用して行ってきた。
【0004】
例えば手作業で行う方法では、オペレータは、クラッチを係合させることによりホイスト手段を係合させ、次にホイストスロットル(ハンドスロットルまたはフットスロットル)を手動操作することにより、掘管を坑井からゆっくりとかつ入念に吊上げる。しかしながら、この作業中、ドリラーは、パイプがそれぞれ横方向または回転方向にジャミングする危険があることを表示するため、フック荷重、回転トルクまたはスタンドパイプ圧力(ダウンホール泥水モータを使用する場合)を同時にモニタしなければならない。
【0005】
或いは他の方法では、オペレータは、ホイスト手段に連結された制御システムを操作することを要求される。このようなシステムでは、オペレータからの命令を受けると、制御システムがホイスト手段を付勢して、パイプを坑井からゆっくりと吊上げる。しかしながら、ドリラーは、掘管が坑井内でジャミングする危険があるかもしれないことを表示するため、依然としてフック荷重、回転トルクおよび/またはスタンドパイプ圧力をモニタしなければならない。
【0006】
また、これらの方法の両方に付随する問題は、多くのホイストシステムが、長時間に亘って動かないように掘管を保持することを許容できず、かつ掘管が坑井内でジャミングするときに生じる状況を許容できないことである。かくして、これらの各方法は、オペレータの判断に基いて、装置の破損を防止している。従って、バック・リーミング法の優れた制御が可能であると同時にオペレータの負担を軽減できる改善された制御システムが要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、「バック・リーミング」作業中のドローワークスの自動作業を行う制御システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態では、制御システムはオペレータ制御ユニットに接続されていて、ドリラーが、1つ以上の特定リーミングパラメータについて、リーミング作業中に到達すべき最大値を入力できるようにする。リーミング作業中、制御システムは、特定リーミングパラメータを連続的にモニタし、かつ測定値と、オペレータが入力した限界値すなわち最大値とを比較する。いずれかの最大値を超えるときは、制御信号がドローワークスに送られ、吊上げ速度を低下させる。
【0009】
他の実施形態では、特定リーミングパラメータは、ドリルビットに作用する引張り力(the pull on the drill bit:POB)、吊上げ速度(the rate of hoisting:ROH)および掘削トルクのいずれか1つまたは全部から選択できる。更に別の実施形態では、吊上げ速度は、ドローワークスブレーキ組立体の適用により制御される。
【0010】
一実施形態では、本発明は、掘削リグのバック・リーミング作業の自動制御方法である。本発明の方法は、バック・リーミング作業中に或る吊上げ速度および吊上げトルクで掘管を移動させるホイストシステムを設ける段階を有している。該ホイストシステムは、対応する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータを測定する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータセンサを有している。本発明の方法は更に、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値とを比較する段階と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ホイストシステムの吊上げトルクに抵抗するブレーキ組立体を始動させる段階とを有している。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、掘削リグのバック・リーミング作業の自動制御方法である。本発明の方法は、バック・リーミング作業中に或る吊上げ速度および吊上げトルクで掘管を移動させるドローワークスシステムを設ける段階を有する。ホイストシステムは、対応する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータを測定する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータセンサを有している。本発明の方法は更に、オペレータが少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値を入力できるオペレータ制御ユニットを設ける段階と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値とを比較する制御システムを設ける段階とを有し、該制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ドローワークスシステムの吊上げトルクに抵抗するブレーキ組立体を始動させる。
【0012】
更に別の実施形態では、本発明は、掘削リグのバック・リーミング作業の制御システムであり、該制御システムは、バック・リーミング作業中に或る吊上げ速度および吊上げトルクで掘管を移動させるホイストシステムを有している。該ホイストシステムは、対応する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータを測定する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータセンサを備えている。オペレータ制御ユニットは、オペレータが少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値を入力することを可能にする。バック・リーミングパラメータセンサは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値を取得する。制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータをモニタする。ブレーキ組立体は、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ドローワークスシステムの吊上げトルクに抵抗する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の上記および他の特徴および長所は、添付図面を考慮して以下の詳細な説明を参照することにより、一層良く理解されよう。
図1〜図3に示すように、本発明は、「バック・リーミング」(以下、「リーミング」という)作業中に、ドローワークス50または同様なホイスト手段の自動化された作動を行わせるためのドローワークス/ブレーキ制御システム110(以下、「制御システム110」という)に関する。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態では、制御システム110は、オペレータ制御ユニット115に接続されている。ドリラーまたはオペレータは、1つ以上の特定リーミングパラメータについての、リーミング作業中に到達すべき最大値を制御ユニット115に入力する。リーミングパラメータとして、例えば、任意のまたは全てのドリルビットに作用する引張り力(pull on the drill bit:POB)、吊上げ速度(rate of hoisting:ROH)および掘削トルクがある。オペレータは、次に、リーミング作業を開始する。
リーミング作業中、制御システム110は、種々のセンサ90、100、104を介して、POB、ROHおよび/または掘削トルクを連続的にモニタして、これらの測定値と、オペレータが入力した限界値または最大値とを比較する。いずれかの最大値を超えたときは、制御システム110からの制御信号109によりブレーキ組立体70が付勢され、吊上げ速度を低減させる。このような実施形態では、ブレーキ組立体70は、ドローワークス50の吊上げトルクに抵抗する制動トルクを付与することによりリーミング作業中の吊上げ速度を変調させて、POB,ROHおよび/または掘削トルクについてオペレータが設定した限界値を維持する。
【0015】
図1は、本発明の制御システム110を、慣用の掘削リグに相互接続したところを示す概略図である。図示の実施形態では、掘削やぐら(デリック)10の上端部にクラウンブロック15が支持されている。クラウンブロック15は、ロープ装置17を介して移動ブロック20または荷重支持部品に連結され、フック構造体25を支持している。フック構造体25はトップドライブ組立体12に連結されかつ該組立体12を支持しており、トップドライブ組立体12は、ドリルストリング13に連結されている。ドリルストリング13は、1つ以上の掘管と、掘削作業時にトップドライブ組立体12により回転されると坑井16を形成するドリルビット14とを有している。次に、ドローワークス50を使用して、リーミング作業中に坑井16からドリルストリング13を吊上げる。
【0016】
ドローワークス50はホイストライン30に取付けられており、ホイストライン30は、ドローワークス50が、リーミング作業中にドリルストリング13を吊上げることを補助する。ホイストライン30の一端は、デッドライン35およびデッドラインアンカー40を介して地面に固定されている。ホイストライン30の他端は、ドローワークス50に取付けられるファストライン45を形成している。
【0017】
図1に示す実施形態では、ドローワークス50は、掘削作業中およびリーミング作業中に、関連クラウンブロック15および移動ブロック20の作動に必要な、電気モータ、ディーゼルその他の適当な原動機等の1つ以上の原動機と、ファストライン45の巻上げおよび巻き解きを行う円筒状の回転ドラム65に連結されるトランスミッション60とを有している。このような実施形態では、回転ドラム65は、巻上げドラムまたはホイストドラムとも呼ばれている。図1には、ホイストシステムの一実施形態が示されているが、本発明の自動リーミング制御システムには、掘管を制御可能に上昇させることができる他のホイストシステムも使用できることは理解されよう。
【0018】
図1に示すように、リーミング作業中の安全性および制御性を高めるべく移動ブロック20の位置を決定するため、掘削やぐら10の近接スイッチ102またはドローワークス駆動軸85に取付けられたエンコーダ100等の複数の位置決めセンサを使用できる。このような実施形態では、移動ブロック20の位置を表示する出力制御信号107または105が、それぞれ近接スイッチ102またはエンコーダ100から制御システム110に送られる。この場合、移動ブロック20の実際の速度および位置は、リーミング中のホイストの安全作動を確保するのに使用できる。一実施形態では位置決めセンサは近接スイッチ102であるが、移動ブロック20の位置を決定する他の手段を、本発明の自動リーミング制御システムに使用できることは理解されよう。
【0019】
図1に示すように、本発明には自動制御可能な任意のブレーキを使用できるが、ブレーキ組立体70は、一般にバンド型ブレーキまたはキャリパディスクブレーキ等の主摩擦ブレーキ80と、渦電流型ブレーキまたは摩擦板ブレーキ等の補助ブレーキ75と、非常用ブレーキ78とを有するのが好ましい。ブレーキ組立体70は、ドローワークス50の駆動軸85を介してドローワークス50に連結されている。ブレーキ組立体70は、制御システム110により制御される。また、本発明には任意の適当なアクチュエータを使用できるが、本発明のブレーキ70は、一般に、例えば、電子制御型空気弁により制御システム110により出力される制御信号109により変調されるリグ空気圧が供給される空気圧シリンダを用いて油圧または空気圧により付勢される。
【0020】
前述のように、制御システム110にリーミングモニタ信号を供給するため、本発明には多数のセンサが使用される。図1に示す実施形態では、歪みゲージまたは流体ロードセル等の荷重検出デバイスがデッドライン35に取付けられており、かつ、デッドライン35の張力従って移動ブロック20により支持される荷重すなわちPOBを表示する出力制御信号95を発生する。荷重検出デバイス90からのこのPOB測定値は、歪みゲージ90から制御システム110へと供給される。ライン35に生じる張力状態を表示するのに、種々の張力測定デバイスを使用できる。図1に示す一実施形態では、実際のフック荷重すなわちPOBは、緊張したラインの数およびキャリブレーションファクタに関連して、荷重検出デバイス90を用いて計算される。或いは、慣用のロードセル、流体張力トランスデューサまたは他の荷重測定デバイスを掘削やぐら10に組合せて、移動ブロック20により支持される荷重を表示する出力制御信号95を発生させることができる。
【0021】
上記とは別にまたは上記に加えて、システムには、吊上げ速度をモニタするセンサを設けることができる。このような実施形態では、図1に示すように、例えばエンコーダ100のような測定デバイスがドローワークス駆動軸85に取付けられる。このような実施形態では、ドラム65が回転してファストライン45を繰込みまたは繰出すときおよび移動ブロック20が上昇または下降するときに、回転ドラム65の回転速度を表す出力制御信号105が、エンコーダ100から制御システム110へと送られる。このようなエンコーダを使用して、信号の周波数は、一般に、緊張したライン、ドラム65の直径、ライン巻回数およびラインサイズに基いて、ドラム65の実際の速度および究極的には移動ブロック20の速度を計算することにより、移動ブロック20の移動速度の測定に使用できる。或いは、移動ブロック20の移動速度は、該移動ブロック20の垂直位置の変化から計算できる。このようなシステムでは、ROHは、移動ブロック20の速度から計算できる。また、近接スイッチ102は、エンコーダ100により得られた測定値を確認するのに使用できる。
【0022】
最後に、図1に示すように、上記とは別にまたは上記に加えて、掘削トルクをモニタすることもできる。掘削トルクは、例えばトルクセンサ104等により、トップドライブまたはロータリテーブルに作用するトルクを検出することにより測定し、またはトップドライブの原動機ドライブ112またはロータリテーブルドライブ113により報告できる。このような実施形態では、掘削トルクを表す出力制御信号108が、トルクセンサ104またはドライブ112または113から制御システム110に送られる。或いは、ダウンホール掘削モータが使用されるときは、スタンドパイプ圧力を測定することにより、掘削トルクを得ることができる。
【0023】
図1〜図3に示すように、制御システム110は、ブレーキ組立体70に信号接続されて、ブレーキ制御信号109を供給し、それぞれ荷重検出デバイス90、エンコーダ100およびトルクセンサ104からの出力制御信号95、105、108を連続的に受ける。ここで、出力制御信号95、105、108の各々は、電気信号、デジタル信号または他の適当な信号である。制御システム110はまた、掘削やぐら10上またはこの近くに配置されたオペレータ制御ユニット115に信号接続されており、これにより、オペレータは、モニタすべき特定リーミングパラメータについての適当な最大値を入力できる。或いは、例えば掘削やぐら10上またはこの近くに設けられる機器管理室内に配置される別のワークステーション(図示せず)を制御システム110に接続して、他のユーザインターフェースおよび形態信号を供給するように構成できる。
【0024】
一実施形態では、図2に示すように、オペレータ制御センタ115またはマシンインターフェースには、オペレータまたはドリラーが特定リーミングパラメータを設定しかつ制御できる工業プロセッサドリブンモニタを設けるのが好ましい。例えばオペレータは、ドリルビットに作用する引張り力(POB)、吊上げ速度(ROH)および掘削トルクのいずれかまたは全てについて、リーミング作業中に到達すべき最大値を入力できる。
【0025】
図2に示すように、制御システム110は、プログラマブルロジックコンピュータ、シングルボードコンピュータまたはこれらと同等のプログラマブルコントローラ(ドローワークスPC155)を有し、該ドローワークスPC155には、種々のセンサからの測定したリーミング値およびオペレータ制御センタ115からのオペレータが定めたそれぞれの最大値が入力される。次に、プログラマブルコントローラ155は、これらの値を比較して、適当な制御信号を、ブレーキシステムおよびドローワークスに出力する。ブレーキシステムおよびドローワークスは、例えば光学的リンケージおよび/またはハードワイヤリンケージ等の順次通信コネクション150を用いてドライブシステム120との間にインターフェースされている。
【0026】
任意の適当なインターフェースを使用できるが、図示の実施形態では、2つ以上の遠隔プログラマブルコントローラ(PC)の入力/出力(I/O)ユニット145を使用して、ドローワークス50およびドローワークスプロセッサ155のブレーキ組立体70(図2に示すように、ディスクブレーキ80、パーキングブレーキ75および非常用ブレーキ78のいずれかまたは全部を含む)を制御している。制御システム110には更に、種々の掘削リグ作業の遂行中に、オペレータの値、作動パラメータおよび計算された値の入力および出力を行うためのプロセッサ160が接続されている。
【0027】
必ずしも必要という訳ではないが、制御システム110は、ドライブシステム120を介してドローワークスの原動機(単一または複数)55に接続することもできる。原動機(単一または複数)55は交流(AC)モータまたは直流(DC)モータで構成でき、かつドライブシステム120もそれぞれ交流(AC)または直流(DC)で構成できる。ドライブシステム120には更に、例えばプログラマブルコントローラ(PC)等のコントローラ125およびモータの制御を行うACバス135に接続された1つ以上のモータ(原動機)ドライブ130を設けることができる。
【0028】
前述しかつ図3に示すように、本発明の制御システム110には、オペレータがドローワークスクラッチ(すなわち、ハイクラッチ2Bまたはロークラッチ2A)を係合させることにより開始させることができる自動バック・リーミング(auto back reaming:ABR)モードを設けることができる。ABRが許容されている間(例えば、自動掘削している間)にクラッチ2Aまたは2Bを係合させると、制御システム110に指令を与えて、ドライブシステム120およびブレーキ組立体70を付勢させる。
【0029】
ABRモードで作動中、制御システム110は、オペレータがいつロークラッチ制御またはハイクラッチ制御を行ったかを検出し、これにより、次に、それぞれローまたはハイクラッチソレノイド7Gまたは7Eを付勢する。次に、付勢されたクラッチソレノイド7Gまたは7Eおよび/またはロークラッチ2Aまたはハイクラッチ2Bの圧力センサ7Dからの信号が制御システム110のCPUに入力され、該CPUはバック・リーミングを行うというオペレータの意図を検出する。
【0030】
ひとたびドローワークスクラッチ2が係合されると、制御システム110は、ドローワークス原動機(単一または複数)55から供給する必要があるトルクの大きさを計算し、かつ出力信号7Fを使用してトルクコマンドセレクタ9を制御する。該トルクコマンドセレクタ9は、次に、トルク入力120Cをドローワークスドライブ120に出力する。次に、ドローワークス原動機(単一または複数)55は、移動ブロック20の荷重を静(stationary)に保持するのに必要なトルクより大きいトルクを発生する。始動トルクは、静フック荷重にオペレータが入力した最大POB値を加えたものとして計算される。
【0031】
次に、制御システム110は、種々のセンサ7Cからの制御信号を使用して、リーミングパラメータを計算しかつモニタする。これらの値は、オペレータが入力したこれらのパラメータの限界値と比較され、バック・リーミング作業がオペレータの限界値内で遂行されることを確保する。センサからの測定値が、オペレータが入力した限界値に一致するか該限界値を超える場合には、CPUは信号をブレーキアクチュエータに送る。ブレーキアクチュエータは、次に、ブレーキシステム70を制御してトルクを加え、ドローワークス原動機(単一または複数)55の吊上げトルクに抵抗するトルクを加えかつドリルストリングの吊上げ速度を制御して、ROH、POBおよび/または掘削トルクについてオペレータが入力した限界値を維持する。CPUは、ブレーキシステム70に指令を発して、関連最大値を超えなくなるまで吊上げ速度が低下されるように、ドローワークス原動機(単一または複数)55の吊上げトルクに抵抗するトルクを加えさせ、次にブレーキアクチュエータに指令を発して、ブレーキシステム70の抵抗トルクを低下させ、ドローワークス原動機(単一または複数)55が吊上げ速度を増大できるようにする。
【0032】
例えば、吊上げおよびバック・リーミング中に、トップドライブの原動機トルクが、苛酷な坑井条件のために、オペレータが入力した掘削トルクの限界値を超える場合には、CPUは、ブレーキアクチュエータに指令を発し、ブレーキ組立体70が制動力を加えて吊上げ速度を低下させるように制御して、苛酷な領域を一層ゆっくりと掘削するときに、掘削原動機のトルクを低下できるようにする。これは、ブレーキ組立体70の円滑な比例制御と、ドローワークス原動機(単一または複数)55がこのモードで発生するトルクよりも大きいトルクを発生するのに充分な能力とにより可能になる。
【0033】
リーミングシステムが、オペレータにより入力された特定リーミングパラメータについての1つ以上の限界値を超えることを防止するため、ドローワークス原動機(単一または複数)55を完全に停止させる必要がある場合には、制御システム110は、トルクコマンド7Fをトルクコマンドセレクタ9に送り、該トルクコマンドセレクタ9は、次に、ドライブシステム120からのトルクコマンド120Cを送って、ドローワークス原動機(単一または複数)55により発生されたトルクをゼロに低下させる。これにより、原動機への損傷が防止され、安全な作業が可能になる。
制御システム110がABRモードにないときは、ドローワークストルクコマンドは、ハンドスロットルまたはフットスロットル、または同等の装置により入力される。
【0034】
他の実施形態では、吊上げ速度の制御のためにブレーキシステムを依然として使用する間に、オペレータが、吊上げトルクに指令を発する他の制御装置を使用する。
【0035】
前述のように、制御システムは、特定バック・リーミングパラメータを連続的にモニタしかつ測定値と、特定バック・リーミングパラメータについてオペレータが入力した限界値すなわち最大値とを比較する。いずれかの最大値が測定値と一致するか、測定値より大きい場合には、制御信号がドローワークスに送られ吊上げ速度を低下させる。しかしながら、上記説明が特定バック・リーミングパラメータセンサにより測定された特定バック・リーミングパラメータのモニタリングに関心を集中させたものであるが、モニタされたバック・リーミングパラメータは、ビット重量、吊上げトルク、吊上げ速度、掘削泥水流量、掘削泥水圧力、および掘削泥水内の泥水スクリーンの地層掘削条件のいずれか1つまたはこれらの任意の組合せとすることができる。これらのバック・リーミングパラメータは、歪みゲージ、近接センサ/スイッチ、カメラ、ジャイロスコープ、エンコーダおよび磁気ピックアップ/スイッチのいずれか1つまたはこれらの任意の組合せを含むバック・リーミングパラメータセンサにより測定できる。
【0036】
上記説明は、本発明の好ましい実施形態に関連して行ったものである。当業者および本発明が関連する技術は、説明した構造および作業方法の変更、例えばサイズ、形状、材料、組成、回路要素、配線、並びに例示回路および構造の他の細部の変更は、本発明の原理、精神および範囲を逸脱することなく実施できる。従って、上記説明は、添付図面に示しかつ説明した正確な構造のみに関係すると解すべきではなく、特許請求の範囲の記載において定められた構造に関連して解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】掘削リグおよび本発明によるドローワークス/ブレーキ制御システムを示す概略図である。
【図2】1つのフローチャートを含む、図1のドローワークス/ブレーキ制御システムを示すブロック図である。
【図3】図1のドローワークス/ブレーキ制御システムを示す概略図である。
【符号の説明】
【0038】
10 掘削やぐら
50 ドローワークス
55 原動機
70 ブレーキ組立体
110 制御システム
115 オペレータ制御ユニット
120 ドライブシステム(ドローワークスドライブ)
160 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削リグのバック・リーミング作業の自動制御方法において、
バック・リーミング作業中に或る吊上げ速度および吊上げトルクで掘管を移動させるホイストシステムを設ける段階を有し、該ホイストシステムは、対応する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータを測定する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータセンサを有し、
少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値とを比較する段階と、
少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ホイストシステムの吊上げトルクに抵抗するブレーキ組立体を始動させる段階とを更に有することを特徴とする自動制御方法。
【請求項2】
制御システムを設ける段階を更に有し、制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値とを比較することを特徴とする請求項1記載の自動制御方法。
【請求項3】
前記制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ブレーキ組立体を始動させることを特徴とする請求項2記載の自動制御方法。
【請求項4】
オペレータが少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値を入力できるオペレータ制御ユニットを設ける段階を更に有することを特徴とする請求項1記載の自動制御方法。
【請求項5】
前記ホイストシステムを設ける段階は、ドローワークスシステムを設けることを含むことを特徴とする請求項1記載の自動制御方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバック・リーミングパラメータは、掘管の吊上げ速度、掘管のドリルビットに作用する引張り力、掘管に加えられる掘削トルク、掘削泥水流量、掘削泥水圧力、および掘削泥水内の泥水スクリーンの地層掘削条件からなる群から選択される少なくとも1つのバック・リーミングパラメータからなることを特徴とする請求項1記載の自動制御方法。
【請求項7】
掘削リグのバック・リーミング作業の自動制御方法において、
バック・リーミング作業中に或る吊上げ速度および吊上げトルクで掘管を移動させるドローワークスシステムを設ける段階を有し、ホイストシステムは、対応する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータを測定する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータセンサを有し、
オペレータが少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値を入力できるオペレータ制御ユニットを設ける段階と、
少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値とを比較する制御システムを設ける段階とを更に有し、該制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ドローワークスシステムの吊上げトルクに抵抗するブレーキ組立体を始動させることを特徴とする自動制御方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバック・リーミングパラメータは、掘管の吊上げ速度、掘管のドリルビットに作用する引張り力、掘管に加えられる掘削トルク、掘削泥水流量、掘削泥水圧力、および掘削泥水内の泥水スクリーンの地層掘削条件からなる群から選択される少なくとも1つのバック・リーミングパラメータからなることを特徴とする請求項7記載の自動制御方法。
【請求項9】
掘削リグのバック・リーミング作業の制御システムにおいて、
バック・リーミング作業中に或る吊上げ速度および吊上げトルクで掘管を移動させるホイストシステムを有し、該ホイストシステムは、対応する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータを測定する少なくとも1つのバック・リーミングパラメータセンサを備え、
オペレータが少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値を入力できるオペレータ制御ユニットと、
少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値を取得するバック・リーミングパラメータセンサと、
少なくとも1つのバック・リーミングパラメータをモニタする制御システムと、
少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなると、ドローワークスシステムの吊上げトルクに抵抗するブレーキ組立体とを更に有することを特徴とする制御システム。
【請求項10】
前記制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値とを比較することにより少なくとも1つのバック・リーミングパラメータをモニタすることを特徴とする請求項9記載の制御システム。
【請求項11】
前記制御システムは、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの測定値と、少なくとも1つのバック・リーミングパラメータの所定値とが等しくなるとブレーキ組立体を始動させることを特徴とする請求項10記載の制御システム。
【請求項12】
前記ホイストシステムは、ドローワークスシステムを有していることを特徴とする請求項9記載の制御システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのバック・リーミングパラメータは、掘管の吊上げ速度、掘管のドリルビットに作用する引張り力、掘管に加えられる掘削トルク、掘削泥水流量、掘削泥水圧力、および掘削泥水内の泥水スクリーンの地層掘削条件からなる群から選択される少なくとも1つのバック・リーミングパラメータからなることを特徴とする請求項9記載の制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−514189(P2006−514189A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518503(P2005−518503)
【出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/004751
【国際公開番号】WO2004/074623
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(501427814)ヴァーコ アイ/ピー インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】