説明

バッテリモジュール、及び前記バッテリモジュールの製造方法

【課題】ポッティング化合物内に封止されたセルタブ(cell tab)を有するバッテリセルにおいて、ポッティング化合物がバッテリモジュール内に漏れ、バッテリ部又はバッテリポーチに好ましくなく接触したり、バッテリ部間の冷却通路を好ましくなく埋めたリしないバッテリモジュールを提供する。
【解決手段】バッテリモジュール10は、バッテリ部から延在する電気端子を有するバッテリセルを含み、電気端子を開口を通じて収容するための開口を有する相互接続基板と、エラストマ層を通じて延在している開口を有するエラストマ層とをさらに含む。エラストマ層は相互接続基板に近接して配置され、これにより、電気端子は相互接続基板の開口を通じて延在し、且つエラストマ層の開口を通じてさらに延在する。エラストマ層上に配置されるポッティング化合物110をさらに含み、この層はポッティング化合物がバッテリ部に接触することを妨げる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
バッテリモジュールは、ポッティング化合物内に封止されたセルタブ(cell tab)を有するバッテリセルによって設計されてきた。本明細書における発明者は、上述のバッテリモジュールによる欠点が、ポッティング化合物がバッテリのセルタブの周囲に適用されている際に、ポッティング化合物がバッテリモジュール内に漏れ、バッテリ部又はバッテリポーチに好ましくなく接触する場合があることであると認識した。また、ポッティング化合物は、バッテリ部間の冷却通路を好ましくなく埋める場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
例示的な一実施形態によるバッテリモジュールが提供される。バッテリモジュールは、バッテリ部から延在する電気端子を有する複数のバッテリセルを含んでいる。バッテリモジュールは、相互接続基板であって、この相互接続基板を通じて延在している複数の開口を有し、電気端子をこれら複数の開口を通じて収容するための相互接続基板をさらに含んでいる。バッテリモジュールは、エラストマ層であって、このエラストマ層を通じて延在している複数の開口を有するエラストマ層をさらに含む。エラストマ層は、相互接続基板に近接して配置され、これにより、電気端子は相互接続基板の複数の開口を通じて延在し、エラストマ層の複数の開口を通じてさらに延在している。バッテリモジュールは、エラストマ層上に配置されたポッティング化合物をさらに含み、これにより、エラストマ層は、ポッティング化合物がバッテリ部に接触することを防ぐ。
【0003】
別の例示的な実施形態による、バッテリモジュールを製造する方法が提供される。方法は、複数のバッテリセルを複数のフレーム部材内に配置するステップを含む。複数のバッテリセルは、バッテリ部から延在する電気端子を有する。電気端子は、フレーム部材中の開口を通じて延在する。方法は、相互接続基板を複数のバッテリセルに近接して配置するステップをさらに含み、これにより、相互接続基板を通じて延在する複数の開口は、電気端子を、これら開口を通じて収容する。方法は、エラストマ層を相互接続基板に近接して配置するステップをさらに含み、これにより、電気端子は相互接続基板の複数の開口を通じて延在し、エラストマ層の複数の開口を通じてさらに延在する。方法は、ポッティング化合物をエラストマ層及び電気端子上に配置するステップをさらに含み、これにより、エラストマ層はポッティング化合物がバッテリ部に接触することを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】例示的な一実施形態によるバッテリモジュールの概略図である。
【図2】図1のバッテリモジュールの分解図である。
【図3】図1のバッテリモジュールの一部の概略図である。
【図4】図1のバッテリモジュールの一部の別の概略図である。
【図5】図1のバッテリモジュールの側面図である。
【図6】図5のバッテリモジュールの、線6−6に沿った断面図である。
【図7】図3のバッテリモジュールの拡大断面図である。
【図8】図3のバッテリモジュールの別の拡大断面図である。
【図9】図1のバッテリモジュール内において利用される相互接続キャリア及び相互接続基板の分解図である。
【図10】図1のバッテリモジュール内において利用される相互接続キャリアの断面図である。
【図11】図1のバッテリモジュール内において利用される相互接続キャリアの別の断面図である。
【図12】図7のバッテリモジュールにおいて利用される相互接続キャリア及び相互接続基板の別の概略図である。
【図13】例示的な一実施形態による図1のバッテリモジュールにおいて利用されるエラストマ層の概略図である。
【図14】別の例示的な実施形態による図1のバッテリモジュールを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1〜図4を参照すると、例示的な一実施形態によるエラストマ層100を有するバッテリモジュール10が提供されている。バッテリモジュール10は、複数のバッテリセル20、複数のフレーム部材50、相互接続キャリア80、相互接続基板90、エラストマ層100、及びポッティング化合物110を含んでいる。
【0006】
図5〜図8を参照すると、複数のバッテリセル20は、それぞれが作動電圧を発生させるように構成されている。例示的な一実施形態においては、バッテリセル20のそれぞれは、ポーチタイプのリチウムイオンバッテリセルである。当然のことながら、当業者には既知である別のタイプのバッテリセルを利用することができる。また、例示的な一実施形態においては、複数のバッテリセル20は、互いに電気的に直列に連結されている。代替的な一実施形態においては、複数のバッテリセル20は、互いに電気的に並列に連結することができる。複数のバッテリセル20のそれぞれは、バッテリ部130から延在している電気端子132、134を有するバッテリ部130を含む。例示的な一実施形態においては、バッテリ部130は、バッテリセルの能動素子を含むポーチである。
【0007】
図1及び図6を参照すると、複数のフレーム部材50が設けられ、複数のバッテリセル20を単一の組立体に共に連結する。とりわけ、複数のフレーム部材50は共に連結され、これら複数のフレーム部材50間にバッテリセル20を保持する。例示的な一実施形態においては、複数のフレーム部材50はプラスチックから構成される。
【0008】
図2、及び図9〜図12を参照すると、相互接続キャリア80は、複数のフレーム部材50の頂部に連結されるとともに相互接続基板90をこの相互接続キャリア80の中に保持するように構成されている。相互接続キャリア80は、ベース部230と、このベース部230に連結された周辺側壁232、234、236、238とを含んでいる。ベース部230は、このベース部230を通じて延在する複数の開口250を有している。相互接続キャリア80は、複数のバッテリセル20と相互接続基板90との間に配置され、これによりバッテリセル20からの電気端子(例えば電気端子132、134)が、相互接続キャリア80の複数の開口250を通じて延在する。例示的な一実施形態においては、相互接続キャリア80はプラスチックから構成される。
【0009】
相互接続基板90は、複数のバッテリセル20からの電気端子を電気的に連結するために設けられている。相互接続基板90は、回路基板280と、複数の相互接続部材382と、第一及び第二の電気コネクタ386、388と、第一及び第二の電気ポスト(electrical post)392、393とを含んでいる。回路基板280は、この回路基板280を通じて延在する複数の開口390であって、複数のバッテリセル20からの電気端子をこの複数の開口390を通じて収容するための複数の開口390を有している。とりわけ、複数のバッテリセル20からの電気端子は、相互接続キャリア80の複数の開口250を通じて延在し、回路基板280内の複数の開口390を通じてさらに延在する。複数の相互接続部材382のそれぞれは、複数の開口390の開口それぞれに近接して、回路基板280に連結されている。相互接続部材382は、電気伝導性の金属又は合金から構成されている。複数の相互接続部材382のそれぞれは、複数のバッテリセル20の電気端子それぞれに溶接されている。第一の電気コネクタ386及び第二の電気コネクタ388は、回路基板280に連結され、且つ複数の相互接続部材382に電気的に連結されている。第一の電気ポスト392及び第二の電気ポスト393は、これら第一の電気ポスト392及び第二の電気ポスト393に近接して配置された相互接続部材それぞれに電気的に連結されている。
【0010】
図2、図4、図9、及び図13を参照すると、エラストマ層100は、ポッティング化合物110が複数のバッテリセル20のバッテリ部又はポーチに接触することを防ぐように構成されている。また、エラストマ層100は、ポッティング化合物110がバッテリセル20間の空冷通路を埋めることを防ぐ。エラストマ層100は、平坦部398と、この平坦部398に連結されたフランジ部399とを有している。平坦部398は、この平坦部398を通じて延在している複数の開口400を含み、これら開口400は、バッテリセル20の電気端子がこの開口400を通じて延在することを可能とするのに十分なサイズを有し、これにより、平坦部398の、開口400に近接した部分は、電気端子の外表面に対してシールする。エラストマ層100は、相互接続基板90に近接して周辺側壁232、234、236、238の間に配置され、これにより、複数のバッテリセル20からの電気端子は、相互接続基板90の複数の開口390を通じて延在し、エラストマ層100の複数の開口400を通じてさらに延在する。エラストマ層100の周辺側は、相互接続キャリア80の周辺壁232、234、236、238に対してシールする。
【0011】
エラストマ層100は、このエラストマ層100を通じて延在する開口410、412、414、416をさらに含んでいる。開口410、412は、第一の電気端子386及び第二の電気端子388を、これら開口410、412を通じてそれぞれ収容するように構成されている。開口414、416は、電気ポスト392、393を、これら開口414、416を通じてそれぞれ収容するように構成されている。例示的な一実施形態においては、エラストマ層100はゴム化合物から構成されている。代替的な一実施形態においては、エラストマ層100は、当業者には既知である任意のエラストマ材料から構成することができる。例示的な一実施形態においては、エラストマ層100の厚さは2mmである。当然のことながら、代替的な実施形態においては、エラストマ層100の厚さは2mmを上回るか、又は2mmを下回っていてもよい。ポッティング化合物110はエラストマ層100の上に配置され、これにより、エラストマ層100は、ポッティング化合物110が複数のバッテリセル20のバッテリ部又はポーチに接触することを防ぐ。
【0012】
図1、図3、図6、及び図14を参照すると、別の例示的な実施形態によるバッテリモジュール10の製造方法のフローチャートがここで説明されている。
【0013】
ステップ500において、作業者は複数のバッテリセル20を複数のフレーム部材50内に配置する。複数のバッテリセル20は、これらバッテリセル20のバッテリ部から延在する電気端子を有している。電気端子は、フレーム部材50内の開口を通じて延在している。
【0014】
ステップ502において、作業者は相互接続基板90を相互接続キャリア80内に配置する。相互接続基板90は、複数の相互接続部材382と、相互接続基板90上に配置され且つこれら相互接続部材382に連結されている第一の電気コネクタ386及び第二の電気コネクタ388とを有している。相互接続基板90は、この相互接続基板90を通じて延在している複数の開口390を有し、これら複数の開口390は、相互接続キャリア80を通じて延在している複数の開口250と位置合わせされている。
【0015】
ステップ504において、作業者は、相互接続キャリア80及び相互接続基板90を複数のバッテリセル20に近接して配置し、これにより、電気端子は、相互接続キャリア80の複数の開口250と相互接続基板90の複数の開口とを通じて延在する。
【0016】
ステップ506において、作業者は、電気端子を相互接続基板90上の相互接続部材382に、溶接機520を利用して溶接する。
【0017】
ステップ508において、作業者は、エラストマ層100を相互接続基板90に近接して配置し、これにより、電気端子はエラストマ層100の複数の開口400を通じてさらに延在し、且つ第一の電気コネクタ386及び第二の電気コネクタ388は、エラストマ層100の第一の開口410及び第二の開口412をそれぞれ通じて延在する。
【0018】
ステップ510において、作業者は、ポッティング化合物110を相互接続キャリア80内においてエラストマ層100及び電気端子上に配置し、これにより、ポッティング化合物110は電気端子を覆い、エラストマ層100はポッティング化合物110が複数のバッテリセル20のバッテリ部に接触することを防ぐ。
【0019】
バッテリモジュール10、及びバッテリモジュール10の製造方法は、別のバッテリモジュール及び方法を超える実質的な利点を提供する。とりわけ、バッテリモジュール10及び方法は、エラストマ部材100を利用して、ポッティング化合物がバッテリセルのバッテリ部又はポーチに接触することを防ぐ、という技術的な効果を提供する。
【0020】
特許請求された発明は、限られた数の実施形態のみに関連して詳細に記載されたが、本発明がこのような開示された実施形態に限定されないことは、容易に理解されるべきである。むしろ、特許請求された発明は、前述されていないが本発明の精神及び技術的範囲に相応する、幾つもの変形形態、代替形態、置換形態又は均等な構成を組み込むように変形させることができる。加えて、特許請求された発明の様々な実施形態が記載されたが、本発明の態様は、記載された実施形態の幾つかのみを含む場合があることが理解されるべきである。従って、特許請求された発明は、前述の記載によって限定されると見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0021】
10 バッテリモジュール
20 バッテリセル
50 フレーム部材
80 相互接続キャリア
90 相互接続基板
100 エラストマ層
110 ポッティング化合物
130 バッテリ部
132 電気端子
134 電気端子
230 ベース部
232、234、236、238 周辺側壁
250、390、400、410、412、414、416 開口
280 回路基板
382 相互接続部材
386 第一の電気コネクタ
388 第二の電気コネクタ
392 第一の電気ポスト
393 第二の電気ポスト
398 平坦部
399 フランジ部
520 溶接機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ部から延在する電気端子を有する複数のバッテリセルと、
相互接続基板であって、前記相互接続基板を通じて延在している前記複数の開口を有し、前記電気端子を複数の開口を通じて収容するための相互接続基板と、
前記エラストマ層を通じて延在する複数の開口を有するエラストマ層であって、前記エラストマ層は前記相互接続基板に近接して配置され、これにより前記電気端子は前記相互接続基板の前記複数の開口を通じて延在し、前記エラストマ層の前記複数の開口を通じてさらに延在するエラストマ層と、
前記エラストマ層上に配置されたポッティング化合物であって、これにより前記エラストマ層は前記ポッティング化合物が前記バッテリ部に接触することを防ぐ、ポッティング化合物と、
を備えるバッテリモジュール。
【請求項2】
前記相互接続キャリアを通じて延在する複数の開口を有する相互接続キャリアであって、前記相互接続キャリアは前記複数のバッテリセルと前記相互接続基板との間に配置され、これにより前記電気端子は、前記相互接続キャリアの前記複数の開口を通じて延在し、前記相互接続基板の前記複数の開口を通じてさらに延在し、前記エラストマ層の前記複数の開口を通じてさらに延在する、相互接続キャリアをさらに備える請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項3】
前記相互接続キャリアは、ベース部と、前記ベース部に連結された周辺側壁とを含み、前記相互接続キャリアは前記ポッティング化合物を中に保持することを特徴とする請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項4】
前記相互接続基板は、前記相互接続基板から延在する電気コネクタをさらに含み、前記エラストマ層は、追加的な開口であって、前記電気コネクタを前記追加的な開口を通じて収容するように構成された追加的な開口を有することを特徴とする請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項5】
前記エラストマ層はゴム化合物から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項6】
前記相互接続基板上に配置された複数の相互接続部材をさらに備え、前記複数の相互接続部材は前記複数の電気端子に連結されている請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項7】
複数のバッテリセルを複数のフレーム部材内に配置するステップであって、前記複数のバッテリセルはバッテリ部から延在する電気端子を有し、前記電気端子は前記フレーム部材内の開口を通じて延在するステップと、
相互接続基板を前記複数のバッテリセルに近接して配置するステップであって、これにより、前記相互接続基板を通じて延在する複数の開口が、前記電気端子を、前記複数の開口を通じて収容するステップと、
エラストマ層を前記相互接続基板に近接して配置するステップであって、これにより、前記相互接続基板の前記複数の開口を通じて延在する前記電気端子が、前記エラストマ層の複数の開口を通じてさらに延在するステップと、
ポッティング化合物を前記エラストマ層及び前記電気端子上に配置するステップであって、これにより前記エラストマ層が、前記ポッティング化合物が前記バッテリ部に接触することを防ぐステップと、
を備える、バッテリモジュールを製造する方法。
【請求項8】
相互接続キャリアを前記相互接続基板上に配置するステップであって、これにより、前記相互接続キャリアは前記複数のバッテリセルと前記相互接続基板との間に配置されるステップにおいて、前記電気端子は、前記相互接続キャリアの前記複数の開口を通じて延在し、前記相互接続基板の前記複数の開口を通じてさらに延在し、前記エラストマ層の前記複数の開口を通じてさらに延在するステップ
をさらに備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポッティング化合物を前記エラストマ層及び前記電気端子上に配置するステップが、前記ポッティング化合物を、前記相互接続キャリアの周辺壁によって画定される領域内に配置するステップを含んでいることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記エラストマ層がゴム化合物から構成されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−243760(P2012−243760A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−87153(P2012−87153)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】