バッテリーパック、バッテリーチャージャ及び電子機器
【課題】サスペンド処理時にデータを確実に保存することができるバッテリーパックを提供することを目的とする。
【解決手段】電子機器本体に対して着脱可能に装着されるバッテリーパック3であって、電子機器本体の係止部に対して係合可能な第一被係止部41を有し、電子機器本体2に対するロックの切り替えを行うロックスイッチ4と、電子機器本体の電源回路のオンオフ制御スイッチに対して係合可能な係合部52を有し、電子機器本体の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチ5と、が備えられており、ロックスイッチ4には、電源オン位置の電源スイッチ5に対して係止されてロックスイッチ4のロック解除動作を規制する第二被係止部42が設けられている。
【解決手段】電子機器本体に対して着脱可能に装着されるバッテリーパック3であって、電子機器本体の係止部に対して係合可能な第一被係止部41を有し、電子機器本体2に対するロックの切り替えを行うロックスイッチ4と、電子機器本体の電源回路のオンオフ制御スイッチに対して係合可能な係合部52を有し、電子機器本体の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチ5と、が備えられており、ロックスイッチ4には、電源オン位置の電源スイッチ5に対して係止されてロックスイッチ4のロック解除動作を規制する第二被係止部42が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック、及びそのバッテリーパックを充填するためのバッテリーチャージャ及び前記バッテリーパックを備える電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば居酒屋やレストランなどにおいて、従業員や利用客が注文入力用の端末機を操作してオーダーを入力するオーダーエントリーシステムが導入されている。上記した端末機の電源には、端末機本体に対して着脱可能に装着された充電式のバッテリーパックが用いられるのが一般的である。バッテリーパックは、端末機本体から取り外してバッテリーチャージャに挿入することで充電することができ、充電完了後は、バッテリーチャージャから抜いて端末機本体に装着して注文入力端末機を使用する。このようなバッテリーパックを備える端末機には、バッテリーパックと端末機本体とをロックするロック機構が備えられており、このロック機構により、端末機本体に装着されたバッテリーパックの離脱が規制(ロック)されたり許容(ロック解除)されたりする。
【0003】
上記したロック機構を操作するロックスイッチとしては、従来、バネ部材を介して弾性支持されたプッシュスイッチが知られている。このプッシュスイッチは、バネ部材による付勢力によってロック位置に保持されている。このようなプッシュスイッチを有するバッテリーパックでは、プッシュスイッチを押し下げ操作することでロックが解除され、端末機本体から離脱可能となる。
【0004】
また、上記したプッシュスイッチ以外のロックスイッチとしては、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、ロック位置とロック解除位置との間でスライド可能なスライドスイッチが知られている。このスライドスイッチでは、ロック位置に配置されることで、端末機本体に装着されたバッテリーパックの離脱が規制され、ロック解除位置までスライドさせることで、端末機本体に装着されたバッテリーパックの離脱が許容される。
また、従来、上記したスライドスイッチの切替操作によって端末機本体の電源回路をオンオフ制御するスライドスイッチも提案されている。このスライドスイッチを有する端末機では、スライドスイッチがロック位置にあるときには電源回路がオンになっており、端末機の操作可能な状態となる。そして、スライドスイッチをロック解除位置にスライドさせると、電源回路がオフ制御されると同時にサスペンド処理(電源オフ処理)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−32623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電源回路をオンオフ制御する従来のスライドスイッチを使用する技術では、スライドスイッチをロック解除位置にスライドさせることで、電源回路をオフ制御してサスペンド処理が開始すると共にロックが解除されてバッテリーパックが外れるため、サスペンド処理を行うことができる時間が短いという問題がある。したがって、例えば1秒以上のデータ保存時間が必要な大容量の端末機では、データ保存が完了する前にバッテリーパックが外れるおそれがあり、データが破損する等の不具合が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、サスペンド処理時にデータを確実に保存することができるバッテリーパック及び電子機器を提供することを目的とし、さらに、そのバッテリーパックに適したバッテリーチャージャを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバッテリーパックは、電子機器本体に対して着脱可能に装着されるバッテリーパックであって、前記電子機器本体の係止部に対して係合可能な第一被係止部を有し、前記電子機器本体に対するロックの切り替えを行うロックスイッチと、前記電子機器本体の電源回路のオンオフ制御スイッチに対して係合可能な係合部を有し、前記電子機器本体の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチと、が備えられており、前記ロックスイッチには、電源オン位置の前記電源スイッチに対して係止されて前記ロックスイッチのロック解除動作を規制する第二被係止部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、バッテリーパックが電子機器本体に装着され、ロックスイッチの第一被係止部が電子機器本体の係止部に係合されることで、バッテリーパックが電子機器本体に対してロックされてバッテリーパックの離脱が規制される。そして、電源スイッチを電源オン位置にすると、電子機器本体の電源回路がオンになる。このとき、ロックスイッチの第二被係止部が電源スイッチに係止されるので、ロックスイッチのロック解除動作が規制される。また、電源スイッチを電源オフ位置にすると、電子機器本体の電源回路がオフになる。このとき、電源スイッチがロックスイッチの第二被係止部から外れるので、ロックスイッチのロック解除動作が許容される。したがって、バッテリーパックを電子機器本体から離脱させる際には、まず、電源スイッチを電源オフ位置にし、その後、ロックスイッチのロック解除操作を行うことで、バッテリーパックの電子機器本体に対するロックが解除され、バッテリーパックが離脱可能となる。
【0010】
また、本発明に係るバッテリーパックは、前記ロックスイッチが、第一バネ部材によって弾性支持されたプッシュスイッチであり、前記電源スイッチが、前記ロックスイッチを係止して該ロックスイッチのロック解除動作を規制する電源オン位置と前記ロックスイッチから外れて該ロックスイッチのロック解除動作を許容する電源オフ位置との間でスライド可能なスライドスイッチであり、前記電源スイッチが、前記ロックスイッチの押下方向に弾性変形可能な第二バネ部材を介して支持されていることが好ましい。
【0011】
これにより、バッテリーパックを電子機器本体に装着する際、電源スイッチ(スライドスイッチ)が電源オン位置にあってロックスイッチ(プッシュスイッチ)の第二被係止部が電源スイッチに係止されていても、第二バネ部材が弾性変形することで電源スイッチと共にロックスイッチが押下され、そのロックスイッチの第一被係止部が電子機器本体の係止部に係合される。つまり、電源スイッチが電源オン位置にあってもバッテリーパックを電子機器本体に装着できることを特徴としている。
【0012】
本発明に係るバッテリーチャージャは、前記したバッテリーパックを充電するバッテリーチャージャであって、前記バッテリーパックが挿入可能なスロット収容部が備えられ、該スロット収容部の内壁面には、前記バッテリーパックの挿入操作に伴い電源オフ位置の前記電源スイッチに係合して当該電源スイッチを電源オン位置まで案内するスイッチガイド部が突設されていることを特徴としている。
【0013】
このような特徴により、バッテリーチャージャのスロット収容部にバッテリーパックを挿入したときに電源スイッチが電源オフ位置にあると、その電源スイッチにスイッチガイド部が係合し、そのスイッチガイド部によって電源スイッチが押されて電源オン位置にスライドする。これにより、バッテリーチャージャのスロット収容部から抜き出されたバッテリーパックの電源スイッチは、常に電源オン位置に配置される。
【0014】
本発明に係る電子機器は、上記したバッテリーパックと、該バッテリーパックが装着されるバッテリー装着部を有する電子機器本体と、を備えることを特徴としている。
このような特徴により、電源スイッチを電源オフ位置にした後、ロックスイッチのロック解除操作を行うことで、バッテリーパックが電子機器本体から離脱可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバッテリーパック及び電子機器によれば、バッテリーパックを電子機器本体から離脱させる際、電源スイッチを電源オフ位置にした後、ロックスイッチのロック解除操作を行うので、電源回路をオフ制御してサスペンド処理が開始してからバッテリーパックのロックが解除されてバッテリーパックが電子機器本体から外れるまでの時間が長くなり、サスペンド処理時にデータ保存を行うだけの十分な時間が確保される。したがって、データ保存が完了する前にバッテリーパックが外される不具合を防止することができ、サスペンド処理時のデータ保存を確実に実施することができる。
【0016】
また、本発明に係るバッテリーチャージャによれば、バッテリーチャージャのスロット収容部から抜き出されたバッテリーパックの電源スイッチを常に電源オン位置に配置させることができる。そして、電源スイッチが電源オン位置に配置されたバッテリーパックは、そのまま電子機器本体に装着させることができるので、バッテリーパックを電子機器本体に装着させた後、電源スイッチの切替作業を行うことなく電子機器を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の見開き状態の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の裏面側の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーパックの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーパックの平面図である。
【図5】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーパックの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の裏面側の破断図である。
【図7】図6に示すA−A間の断面図である。
【図8】図6に示すB−B間の断面図である。
【図9】図6に示すC−C間の断面図である。
【図10】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の裏面側の破断図である。
【図11】図10に示すA−A間の断面図である。
【図12】図10に示すB−B間の断面図である。
【図13】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーチャージャの斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーチャージャの正面側の側面図である。
【図15】図14に示すA−A間の断面図である。
【図16】図14に示すA−A間の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るバッテリーパック、バッテリーチャージャ及び電子機器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0019】
[電子機器]
まず、本発明に係る電子機器の実施の形態について説明する。
図1に示すハンディターミナル1は、本発明に係る電子機器の一例であり、例えば居酒屋やレストラン等の飲食店舗内に設置される注文データ管理システムを構成する注文入力端末として機能するものである。従業員は、このハンディターミナル1を各自携帯しており、注文を受けた際にハンディターミナル1に注文データを入力し、この入力した注文データを例えば注文データ管理システムを構成する無線制御部に向けて無線送信等することが可能とされている。
【0020】
このハンディターミナル1は、図2に示すように平面視長方形状に形成された薄型端末機であり、端末機本体2(電子機器本体)と、端末機本体2に対して電力供給を行うバッテリーパック3と、が備えられている。
【0021】
図1に示すように、端末機本体2は、表面側にタッチパネル式の表示部24が設けられた本体部20と、その本体部20にヒンジ部22を介して連結された蓋部21と、を備えている。蓋部21の内面には、複数の入力ボタン25が並設されている。
上記した構成のハンディターミナル1は、不使用時には蓋部21を閉じて折り畳むことができるので携帯性に優れており、使用時には本体部20に対して蓋部21を例えば180度程度見開くことができるので入力操作性に優れている。
【0022】
また、図2に示すように、端末機本体2の本体部20の裏面には、上記したバッテリーパック3が装着されたバッテリー装着部23が形成されている。このバッテリー装着部23は、本体部20の裏面に形成された窪み部であり、このバッテリー装着部23に装着されたバッテリーパック3の外装面と本体部20の裏面とは面一に形成されている。なお、バッテリー装着部23の一方側(Y2方向)の部分は、バッテリーパック3が挿入できるように開かれており、バッテリー装着部23の内周面は、平面視略コ字状に形成されている。このバッテリーパック3は、端末機本体2の一方側から本体部20の裏面に沿った方向にスライドしてバッテリー装着部23に挿入されており、また、当該スライド挿入方向(図2に示すY1方向)の反対方向(図2に示すY2方向)に向かってスライドさせることでバッテリー装着部23から離脱可能となっている。
【0023】
[バッテリーパック]
次に、本発明に係るバッテリーパックの実施の形態について説明する。
図3に示すバッテリーパック3は、上記した図2に示す端末機本体2に対して着脱可能に装着される充電式バッテリーパックである。このバッテリーパック3のスライド挿入方向(Y1方向)の先端部分の側端面には、当該側端面において開口された凹状の端子収容部35が間隔をあけて2つ配設されており、これら一対の端子収容部35,35の内側に接続端子36,36がそれぞれ配設されている。
【0024】
また、バッテリーパック3には、図3、図4に示すように、押下操作するプッシュスイッチ4と、スライド操作するスライドスイッチ5と、が備えられている。これら2つのスイッチ4、5は、上記した一対の接続端子36,36の間に配設されている。すなわち、プッシュスイッチ4及びスライドスイッチ5は、バッテリーパック3のスライド挿入方向(Y1方向)の先端部分において、バッテリーパック3のスライド方向(Y1−Y2方向)に直交する方向(X1−X2方向)に並べて配設されている。
なお、以下、説明の便宜上、バッテリーパック3のスライド挿入方向(Y1方向)を「前」とし、その反対方向(Y2方向)を「後」とする。また、バッテリーパック3の外装面方向(Z1方向)を「上」とし、その反対方向(Z2方向)を「下」とする。さらに、前後方向に直交する平面方向(X1−X2方向)を「幅方向」とする。
【0025】
図5〜図8に示すように、プッシュスイッチ4は、バッテリーパック3の端末機本体2に対するロックの切り替えを行うロックスイッチであり、端末機本体2の係止部26に対して係合可能な鉤状の爪部41(第一被係止部)を有している。詳しく説明すると、プッシュスイッチ4は、後述する押圧面40aを押圧して押下操作することで端末機本体2に対するロックを解除するスイッチであり、コイルスプリング43(第一バネ部材)によって弾性支持されてロック位置(爪部41の先端部44が係止部26に係止された位置)に保持されている。
【0026】
プッシュスイッチ4の概略構成としては、上下方向(Z1−Z2方向)に延在する筒状のボタン部40と、ボタン部40の下端部から前方側に向けて突出した爪部41と、ボタン部40の下端部からスライドスイッチ5側(X2方向)に向けて突出したフランジ部42(第二被係止部)と、が備えられている。
【0027】
ボタン部40は、上端面に押圧面40aが形成された平面視長方円形状の有頂筒部であり、バッテリーパック3の上側(外装面側)のカバー30に形成されたスイッチ開口31に下降可能に挿通されている。
爪部41は、先端部44が上向きに屈曲した断面視略L字状の凸リブフックであり、この爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に対して前方側から係止されており、それにより、バッテリーパック3の後方側へのスライド動作が規制されている。また、爪部41の先端部44には、爪部41の前端面から後方側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜面45が形成されている。また、図8に示すように、上記した端末機本体2の係止部26には、当該係止部26の後方側の壁面から前方側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜面28が形成されている。
【0028】
フランジ部42は、平板状の凸部であり、後述する電源オン位置のスライドスイッチ5(フレーム部50の上面)に対して上方側から係止されており、それにより、プッシュスイッチ4のロック解除動作(押し下げ動作)が規制されている。
また、前記したコイルスプリング43は、上下方向に弾性変形するバネ部材であり、ボタン部40とバッテリーパック3の下側(内面側)のカバー33との間に介装されている。
【0029】
図5〜図7、図9に示すように、スライドスイッチ5は、端末機本体2の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチであり、端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27に対して係合可能な突起部52(係合部)を有している。詳しく説明すると、スライドスイッチ5は、端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27に係合して電源回路をオン制御する電源オン位置と、前記オンオフ制御スイッチ27から外れて電源回路をオフ制御する電源オフ位置と、の間でスライド可能なスイッチであり、幅方向にスライド可能となっている。
【0030】
スライドスイッチ5の概略構成としては、下面が開口した箱状のフレーム部50と、フレーム部50の上面に立設されたツマミ部51と、フレーム部50の前面に突設された突起部52と、が備えられている。
【0031】
フレーム部50は、幅方向に長い長方形状に形成されており、バッテリーパック3のカバー30,33の内側に幅方向移動可能に収容されている。
ツマミ部51は、上下方向に延在する略円筒状のピンであり、フレーム部50の長手方向(X1−X2方向)の中央部分に配設されていると共にバッテリーパック3の上側のカバー30に形成されたスイッチ開口32に挿通されている。このスイッチ開口32は、幅方向(X1−X2方向)に長い長孔であり、ツマミ部51の幅方向移動を許容する。なお、上記した2つのスイッチ開口31,32は、カバー30に形成された窪み部34の内側にそれぞれ形成されている。
【0032】
突起部52は、フレーム部50の前面の長手方向中央部分から前方側に向かって突出した凸部であり、前後方向に対して傾斜した傾斜面53を有している。具体的に説明すると、突起部52は、平面視略直角三角形状に形成されている。この突起部52の先端部は、スライドスイッチ5がプッシュスイッチ4側(X1方向)に寄せて配置された状態において、端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27に当接して当該オンオフ制御スイッチ27を前方側に押圧しており、それにより、端末機本体2の電源回路がオンになっている。すなわち、上記したスライドスイッチ5は、プッシュスイッチ4側(X1方向)の位置が電源オン位置であり、プッシュスイッチ4側の反対側(X2方向)の位置が電源オフ位置(図10に示す)である。
【0033】
なお、上記したオンオフ制御スイッチ27は、図9に示すように、前後方向に移動可能なシャフト27aと、そのシャフト27aを後方側に向けて付勢するコイルスプリング27bと、シャフト27aの前端面に当接した回転可能なレバー27cと、を備えている。上記した突起部52は、シャフト27aの凸曲面(球面)状の後端面に当接されており、これにより、上記したコイルスプリング27bによる付勢力に抵抗してシャフト27aが前方側に押し出され、そのシャフト27aによってレバー27cが押されて電源回路がオンとなっている。一方、図10に示すように、上記した突起部52がシャフト27aの後端部から外れると、上記したコイルスプリング27bによる付勢力によってシャフト27aが後方側に移動し、そのシャフト27aの移動によってレバー27cが回動して電源回路がオフとなる。
【0034】
また、図5、図7に示すように、上記したスライドスイッチ5は、プッシュスイッチ4の押下方向(上下方向)に弾性変形可能な板バネ54(第二バネ部材)を介して支持されている。この板バネ54は、台形状(への字形状)の板ばねであり、フレーム部50とバッテリーパック3の下側のカバー33との間に介装されている。この板バネ54は、スライドスイッチ5のスライド移動に伴いカバー33の表面上を摺動しながらスライド可能となっている。また、板バネ54は、上記したプッシュスイッチ4のコイルスプリング43よりも硬いバネであり、板バネ54のばね定数は、コイルスプリング43のばね定数よりも大きい。
【0035】
上記した構成のバッテリーパック3は、図8に示すように、端末機本体2のバッテリー装着部23に装着された状態では、プッシュスイッチ4の爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に係止され、バッテリーパック3が端末機本体2に対してロックされる。これにより、バッテリーパック3が端末機本体2から離脱することが規制される。また、スライドスイッチ5が電源オン位置にあると、図6、図9に示すように、突起部52の先端部が端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27を前方側に押圧し、端末機本体2の電源回路がオンになる。このとき、図7に示すように、プッシュスイッチ4のフランジ部42がスライドスイッチ5のフレーム部50の上面に係止され、プッシュスイッチ4の下方への移動が規制されるので、プッシュスイッチ4のボタン部40を押してもプッシュスイッチ4が下がらず、ロック解除動作(押し下げ動作)が行われない。
【0036】
次に、上記したバッテリーパック3を端末機本体2から離脱させる方法について説明する。
まず、図10に示すように、スライドスイッチ5を電源オン位置から電源オフ位置にスライドさせる。これにより、突起部52の先端部が端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27から外れて端末機本体2の電源回路がオフになる。また、このとき、図11に示すように、スライドスイッチ5がプッシュスイッチ4から離れる方向に移動し、スライドスイッチ5のフレーム部50がプッシュスイッチ4のフランジ部42から外れるので、プッシュスイッチ4が押し下げ可能となる。
【0037】
次に、プッシュスイッチ4のボタン部40(押圧面40a)を押圧してコイルスプリング43の付勢力に抵抗してプッシュスイッチ4を押し下げつつ、バッテリーパック3を後方側にスライドさせる。上述したようにプッシュスイッチ4を押し下げると、図12に示すように、爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26から外れてバッテリーパック3の端末機本体2に対するロックが解除される。これにより、バッテリーパック3が後方側にスライド可能となる。そして、上述したようにロックが解除された状態で、バッテリーパック3を後方側にスライドさせることで、バッテリーパック3が端末機本体2のバッテリー装着部23の外に引き出されて端末機本体2から取り外される。
【0038】
また、上記したバッテリーパック3を端末機本体2に装着する方法について説明する。
まず、図2に示すように、端末機本体2のバッテリー装着部23の後方側(Y2方向)から前方側(Y1方向)に向かってバッテリーパック3をスライド挿入する。そして、プッシュスイッチ4の爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に当接したところで、バッテリーパック3を前方側に押し込む。このとき、爪部41の先端部44に形成された傾斜面45が係止部26に形成された傾斜面28上を摺動することで、プッシュスイッチ4が下がって爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26を乗り越える。これにより、爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に係止され、バッテリーパック3が端末機本体2に対してロックされる。
【0039】
また、上述したバッテリーパック3のスライド挿入の際に、図10に示すようにスライドスイッチ5が電源オフ位置にある場合には、当該スライドスイッチ5を電源オフ位置から電源オン位置にスライドさせる。このとき、突起部52の傾斜面53がオンオフ制御スイッチ27のシャフト27aの凸曲面状の後端面上を摺動することで、突起部52の傾斜面53によってシャフト27aの後端面が押圧され、シャフト27aが前方側に移動する。これにより、このシャフト27aの前端面によってレバー27cが押圧されて回動し、電源回路がオンとなる。また、スライドスイッチ5が電源オン位置までスライドすることで、スライドスイッチ5のフレーム部50の端部がプッシュスイッチ4のフランジ部42の下方に入り込み、このフレーム部50の上面にフランジ部42が係止される。これにより、プッシュスイッチ4の押し下げ動作が規制される。
【0040】
また、上述したバッテリーパック3のスライド挿入の際に、図6に示すようにスライドスイッチ5が電源オン位置にある場合には、フレーム部50の上面にフランジ部42が係止されているが、バッテリーパック3が前方側に押し込まれて爪部41の傾斜面45が係止部26の傾斜面28上を摺動するとき、スライドスイッチ5を支持する板バネ54が弾性変形してスライドスイッチ5の位置が下がることで、スライドスイッチ5と共にプッシュスイッチ4が下がって爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26を乗り越える。これにより、爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に係止され、バッテリーパック3が端末機本体2に対してロックされる。
【0041】
上記したバッテリーパック3によれば、バッテリーパック3を端末機本体2から離脱させる際、スライドスイッチ5を電源オフ位置にした後、プッシュスイッチ4のロック解除操作を行うので、電源回路をオフ制御してサスペンド処理が開始してからバッテリーパック3のロックが解除されてバッテリーパック3が端末機本体2から外れるまでの時間が長くなり、サスペンド処理時にデータ保存を行うだけの十分な時間が確保される。したがって、データ保存が完了する前にバッテリーパック3が外される不具合を防止することができ、サスペンド処理時のデータ保存を確実に実施することができる。
【0042】
また、スライドスイッチ5は押下方向に弾性変形可能な板バネ54によって支持されているため、スライドスイッチ5を電源オン位置にしたままバッテリーパック3を端末機本体2のバッテリー装着部23に押し込んでもプッシュスイッチ4やスライドスイッチ5が破損することがなく、バッテリーパック3を端末機本体2に装着させることができる。すなわち、使用者がバッテリーパック3を端末機本体2に装着する際に、スライドスイッチ5が電源オン位置と電源オフ位置のどちらにあるかを確認したりスライドスイッチ5を切り換えたりする必要がないため、非常に利便性に優れている。また、バッテリーパック3を後述するバッテリーチャージャ100によって充電した後、ハンディターミナル1のサスペンド処理のために必要なスライドスイッチ5の位置を確認することなく、そのまま端末機本体2に装着することができる。
【0043】
[バッテリーチャージャ]
次に、本発明に係るバッテリーチャージャの実施の形態について説明する。
図13に示すバッテリーチャージャ100は、上記したバッテリーパック3を充電するための充電器である。図13、図14に示すように、このバッテリーチャージャ100には、バッテリーパック3を収容可能なスロット収容部101が複数設けられている。このスロット収容部101は、バッテリーパック3がスライド挿入される断面視矩形状のソケット(孔部)であり、このスロット収容部101の突き当たりの端壁面103(挿入口102の反対側に位置する内壁面)には、バッテリーパック3の一対の接続端子36,36に電気的に接続される接続端子105,105が設けられている。
【0044】
また、図14、図15に示すように、スロット収容部101の一方の側壁面104(挿入口102から端壁面103に亘って形成された内壁面のうち、バッテリーパック3の外装面に対向する内壁面)には、バッテリーパック3の挿入操作に伴いスライドスイッチ5に係合して当該スライドスイッチ5の切り替え動作を案内するスイッチガイド部110が突設されている。
【0045】
詳しく説明すると、スイッチガイド部110は、電源オフ位置のスライドスイッチ5に係合して当該スライドスイッチ5を電源オン位置まで案内する案内部であり、バッテリーパック3のスライド挿入方向に沿って延在する凸リブである。このスイッチガイド部110は、側壁面104の高さ方向(バッテリーパック3の幅方向に相当)の中間部分に配設されていると共に端壁面103側に寄せて配設されている。つまり、スイッチガイド部110は、側壁面104の端壁面103側の端部から挿入口102側に向かって延在している。このスイッチガイド部110の挿入口102側の端部には、電源オフ位置のスライドスイッチ5を電源オン位置に案内する傾斜面111が形成されている。この傾斜面111は、スライド挿入方向の手前側から奥側に向かって下向きに傾斜しており、電源オフ位置のスライドスイッチ5のツマミ部51に合わせた位置に形成されている。
【0046】
次に、上記した構成のバッテリーチャージャ100を用いてバッテリーパック3を充填する方法について説明する。
まず、バッテリーチャージャ100のスロット収容部101の内側にバッテリーパック3を挿入する。詳しく説明すると、バッテリーパック3は、接続端子36,36が配設された側端面を先端側にしてスロット収容部101の挿入口102から側壁面104に沿ってスライド挿入する。そして、バッテリーパック3をスロット収容部101の端壁面103まで差し込み、バッテリーパック3の接続端子36,36をバッテリーチャージャ100の接続端子105,105に接触させる。これにより、これらの接続端子36,105同士が電気的に接続され、当該接続端子36,105を介してバッテリーパック3に電気が供給される。
【0047】
上述したようにスロット収容部101にスライド挿入されるバッテリーパック3のスライドスイッチ5が電源オフ位置にあると、図16に示すように、上記したバッテリーパック3をスロット収容部101内にスライド挿入したときにスライドスイッチ5のツマミ部51にスイッチガイド部110の傾斜面111が当接する。その後、バッテリーパック3をそのままスライド挿入方向に押し込むと、ツマミ部51が前記傾斜面111上を摺動しながら下方(電源オン位置側)に向かって押される。これにより、スライドスイッチ5が電源オフ位置から電源オン位置にスライドして切り替わる。
【0048】
上記したバッテリーチャージャ100によれば、スロット収容部101から抜き出されたバッテリーパック3のスライドスイッチ5は常に電源オン位置に配置される。また、このバッテリーパック3は、上述したように、スライドスイッチ5が電源オン位置に配置されたまま端末機本体2のバッテリー装着部23に装着することができる。したがって、バッテリーチャージャ100によるバッテリーパック3の充電が完了した後、スロット収容部101から抜き出したバッテリーパック3をそのまま端末機本体2のバッテリー装着部23に装着することで、スライドスイッチ5の切り替え操作を行うことなく、直ぐにハンディターミナル1を使用することができる。
【0049】
以上、本発明に係るバッテリーパック、バッテリーチャージャ及び電子機器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、プッシュスイッチ4がコイルスプリング43によって支持され、スライドスイッチ5が板バネ54によって支持されているが、本発明は、プッシュスイッチ4やスライドスイッチ5を支持するバネ部材は適宜変更可能であり、例えばプッシュスイッチ4が板ばねによって支持されていてもよく、或いは、スライドスイッチ5がコイルスプリングによって支持されていてもよい。
【0050】
また、上記した実施の形態では、スライドスイッチ5が板バネ54によって支持されており、上下方向に変位可能となっているが、本発明は、スライドスイッチ5を支持するバネ部材を省略することも可能である。ただし、この場合、スライドスイッチ5が電源オン位置の状態でバッテリーパック3を端末機本体2に装着することができないため、バッテリーパック3を端末機本体2に装着する前にスライドスイッチ5を電源オフ位置にする必要がある。また、この場合、ロックスイッチとしてプッシュスイッチ以外のスイッチを用いることも可能であり、また、電源スイッチとしてスライドスイッチ以外のスイッチを用いることも可能である。例えば、ロックスイッチがスライドスイッチであってもよく、電源スイッチがプッシュスイッチであってもよい。
【0051】
また、上記した実施の形態では、電子機器としてハンディターミナル1を例に挙げて説明したが、本発明に係る電子機器はハンディターミナル1に限定されるものではなく、端末機本体に対して着脱可能に装着されたバッテリーパックを有する電子機器であればよく、例えば電子辞書、携帯型ゲーム機や携帯電話等でも構わない。
【0052】
また、上記した実施の形態では、複数のスロット収容部101が平行に並設されたバッテリーチャージャ100について説明しているが、本発明は、複数のスロット収容部を有するバッテリーチャージャに限定されず、スロット収容部が1つだけ形成されたバッテリーチャージャであってもよい。
【0053】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ハンディターミナル(電子機器)
2 端末機本体(電子機器本体)
3 バッテリーパック
4 プッシュスイッチ(ロックスイッチ)
5 スライドスイッチ(電源スイッチ)
23 バッテリー装着部
26 係止部
27 オンオフ制御スイッチ
41 爪部(第一被係止部)
42 フランジ部(第二被係止部)
43 コイルスプリング(第一バネ部材)
52 突起部(係合部)
54 板バネ(第二バネ部材)
100 バッテリーチャージャ
101 スロット収容部
104 側壁面(内壁面)
110 スイッチガイド部
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック、及びそのバッテリーパックを充填するためのバッテリーチャージャ及び前記バッテリーパックを備える電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば居酒屋やレストランなどにおいて、従業員や利用客が注文入力用の端末機を操作してオーダーを入力するオーダーエントリーシステムが導入されている。上記した端末機の電源には、端末機本体に対して着脱可能に装着された充電式のバッテリーパックが用いられるのが一般的である。バッテリーパックは、端末機本体から取り外してバッテリーチャージャに挿入することで充電することができ、充電完了後は、バッテリーチャージャから抜いて端末機本体に装着して注文入力端末機を使用する。このようなバッテリーパックを備える端末機には、バッテリーパックと端末機本体とをロックするロック機構が備えられており、このロック機構により、端末機本体に装着されたバッテリーパックの離脱が規制(ロック)されたり許容(ロック解除)されたりする。
【0003】
上記したロック機構を操作するロックスイッチとしては、従来、バネ部材を介して弾性支持されたプッシュスイッチが知られている。このプッシュスイッチは、バネ部材による付勢力によってロック位置に保持されている。このようなプッシュスイッチを有するバッテリーパックでは、プッシュスイッチを押し下げ操作することでロックが解除され、端末機本体から離脱可能となる。
【0004】
また、上記したプッシュスイッチ以外のロックスイッチとしては、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、ロック位置とロック解除位置との間でスライド可能なスライドスイッチが知られている。このスライドスイッチでは、ロック位置に配置されることで、端末機本体に装着されたバッテリーパックの離脱が規制され、ロック解除位置までスライドさせることで、端末機本体に装着されたバッテリーパックの離脱が許容される。
また、従来、上記したスライドスイッチの切替操作によって端末機本体の電源回路をオンオフ制御するスライドスイッチも提案されている。このスライドスイッチを有する端末機では、スライドスイッチがロック位置にあるときには電源回路がオンになっており、端末機の操作可能な状態となる。そして、スライドスイッチをロック解除位置にスライドさせると、電源回路がオフ制御されると同時にサスペンド処理(電源オフ処理)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−32623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電源回路をオンオフ制御する従来のスライドスイッチを使用する技術では、スライドスイッチをロック解除位置にスライドさせることで、電源回路をオフ制御してサスペンド処理が開始すると共にロックが解除されてバッテリーパックが外れるため、サスペンド処理を行うことができる時間が短いという問題がある。したがって、例えば1秒以上のデータ保存時間が必要な大容量の端末機では、データ保存が完了する前にバッテリーパックが外れるおそれがあり、データが破損する等の不具合が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、サスペンド処理時にデータを確実に保存することができるバッテリーパック及び電子機器を提供することを目的とし、さらに、そのバッテリーパックに適したバッテリーチャージャを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバッテリーパックは、電子機器本体に対して着脱可能に装着されるバッテリーパックであって、前記電子機器本体の係止部に対して係合可能な第一被係止部を有し、前記電子機器本体に対するロックの切り替えを行うロックスイッチと、前記電子機器本体の電源回路のオンオフ制御スイッチに対して係合可能な係合部を有し、前記電子機器本体の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチと、が備えられており、前記ロックスイッチには、電源オン位置の前記電源スイッチに対して係止されて前記ロックスイッチのロック解除動作を規制する第二被係止部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、バッテリーパックが電子機器本体に装着され、ロックスイッチの第一被係止部が電子機器本体の係止部に係合されることで、バッテリーパックが電子機器本体に対してロックされてバッテリーパックの離脱が規制される。そして、電源スイッチを電源オン位置にすると、電子機器本体の電源回路がオンになる。このとき、ロックスイッチの第二被係止部が電源スイッチに係止されるので、ロックスイッチのロック解除動作が規制される。また、電源スイッチを電源オフ位置にすると、電子機器本体の電源回路がオフになる。このとき、電源スイッチがロックスイッチの第二被係止部から外れるので、ロックスイッチのロック解除動作が許容される。したがって、バッテリーパックを電子機器本体から離脱させる際には、まず、電源スイッチを電源オフ位置にし、その後、ロックスイッチのロック解除操作を行うことで、バッテリーパックの電子機器本体に対するロックが解除され、バッテリーパックが離脱可能となる。
【0010】
また、本発明に係るバッテリーパックは、前記ロックスイッチが、第一バネ部材によって弾性支持されたプッシュスイッチであり、前記電源スイッチが、前記ロックスイッチを係止して該ロックスイッチのロック解除動作を規制する電源オン位置と前記ロックスイッチから外れて該ロックスイッチのロック解除動作を許容する電源オフ位置との間でスライド可能なスライドスイッチであり、前記電源スイッチが、前記ロックスイッチの押下方向に弾性変形可能な第二バネ部材を介して支持されていることが好ましい。
【0011】
これにより、バッテリーパックを電子機器本体に装着する際、電源スイッチ(スライドスイッチ)が電源オン位置にあってロックスイッチ(プッシュスイッチ)の第二被係止部が電源スイッチに係止されていても、第二バネ部材が弾性変形することで電源スイッチと共にロックスイッチが押下され、そのロックスイッチの第一被係止部が電子機器本体の係止部に係合される。つまり、電源スイッチが電源オン位置にあってもバッテリーパックを電子機器本体に装着できることを特徴としている。
【0012】
本発明に係るバッテリーチャージャは、前記したバッテリーパックを充電するバッテリーチャージャであって、前記バッテリーパックが挿入可能なスロット収容部が備えられ、該スロット収容部の内壁面には、前記バッテリーパックの挿入操作に伴い電源オフ位置の前記電源スイッチに係合して当該電源スイッチを電源オン位置まで案内するスイッチガイド部が突設されていることを特徴としている。
【0013】
このような特徴により、バッテリーチャージャのスロット収容部にバッテリーパックを挿入したときに電源スイッチが電源オフ位置にあると、その電源スイッチにスイッチガイド部が係合し、そのスイッチガイド部によって電源スイッチが押されて電源オン位置にスライドする。これにより、バッテリーチャージャのスロット収容部から抜き出されたバッテリーパックの電源スイッチは、常に電源オン位置に配置される。
【0014】
本発明に係る電子機器は、上記したバッテリーパックと、該バッテリーパックが装着されるバッテリー装着部を有する電子機器本体と、を備えることを特徴としている。
このような特徴により、電源スイッチを電源オフ位置にした後、ロックスイッチのロック解除操作を行うことで、バッテリーパックが電子機器本体から離脱可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバッテリーパック及び電子機器によれば、バッテリーパックを電子機器本体から離脱させる際、電源スイッチを電源オフ位置にした後、ロックスイッチのロック解除操作を行うので、電源回路をオフ制御してサスペンド処理が開始してからバッテリーパックのロックが解除されてバッテリーパックが電子機器本体から外れるまでの時間が長くなり、サスペンド処理時にデータ保存を行うだけの十分な時間が確保される。したがって、データ保存が完了する前にバッテリーパックが外される不具合を防止することができ、サスペンド処理時のデータ保存を確実に実施することができる。
【0016】
また、本発明に係るバッテリーチャージャによれば、バッテリーチャージャのスロット収容部から抜き出されたバッテリーパックの電源スイッチを常に電源オン位置に配置させることができる。そして、電源スイッチが電源オン位置に配置されたバッテリーパックは、そのまま電子機器本体に装着させることができるので、バッテリーパックを電子機器本体に装着させた後、電源スイッチの切替作業を行うことなく電子機器を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の見開き状態の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の裏面側の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーパックの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーパックの平面図である。
【図5】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーパックの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の裏面側の破断図である。
【図7】図6に示すA−A間の断面図である。
【図8】図6に示すB−B間の断面図である。
【図9】図6に示すC−C間の断面図である。
【図10】本発明の実施の形態を説明するための電子機器(ハンディターミナル)の裏面側の破断図である。
【図11】図10に示すA−A間の断面図である。
【図12】図10に示すB−B間の断面図である。
【図13】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーチャージャの斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態を説明するためのバッテリーチャージャの正面側の側面図である。
【図15】図14に示すA−A間の断面図である。
【図16】図14に示すA−A間の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るバッテリーパック、バッテリーチャージャ及び電子機器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0019】
[電子機器]
まず、本発明に係る電子機器の実施の形態について説明する。
図1に示すハンディターミナル1は、本発明に係る電子機器の一例であり、例えば居酒屋やレストラン等の飲食店舗内に設置される注文データ管理システムを構成する注文入力端末として機能するものである。従業員は、このハンディターミナル1を各自携帯しており、注文を受けた際にハンディターミナル1に注文データを入力し、この入力した注文データを例えば注文データ管理システムを構成する無線制御部に向けて無線送信等することが可能とされている。
【0020】
このハンディターミナル1は、図2に示すように平面視長方形状に形成された薄型端末機であり、端末機本体2(電子機器本体)と、端末機本体2に対して電力供給を行うバッテリーパック3と、が備えられている。
【0021】
図1に示すように、端末機本体2は、表面側にタッチパネル式の表示部24が設けられた本体部20と、その本体部20にヒンジ部22を介して連結された蓋部21と、を備えている。蓋部21の内面には、複数の入力ボタン25が並設されている。
上記した構成のハンディターミナル1は、不使用時には蓋部21を閉じて折り畳むことができるので携帯性に優れており、使用時には本体部20に対して蓋部21を例えば180度程度見開くことができるので入力操作性に優れている。
【0022】
また、図2に示すように、端末機本体2の本体部20の裏面には、上記したバッテリーパック3が装着されたバッテリー装着部23が形成されている。このバッテリー装着部23は、本体部20の裏面に形成された窪み部であり、このバッテリー装着部23に装着されたバッテリーパック3の外装面と本体部20の裏面とは面一に形成されている。なお、バッテリー装着部23の一方側(Y2方向)の部分は、バッテリーパック3が挿入できるように開かれており、バッテリー装着部23の内周面は、平面視略コ字状に形成されている。このバッテリーパック3は、端末機本体2の一方側から本体部20の裏面に沿った方向にスライドしてバッテリー装着部23に挿入されており、また、当該スライド挿入方向(図2に示すY1方向)の反対方向(図2に示すY2方向)に向かってスライドさせることでバッテリー装着部23から離脱可能となっている。
【0023】
[バッテリーパック]
次に、本発明に係るバッテリーパックの実施の形態について説明する。
図3に示すバッテリーパック3は、上記した図2に示す端末機本体2に対して着脱可能に装着される充電式バッテリーパックである。このバッテリーパック3のスライド挿入方向(Y1方向)の先端部分の側端面には、当該側端面において開口された凹状の端子収容部35が間隔をあけて2つ配設されており、これら一対の端子収容部35,35の内側に接続端子36,36がそれぞれ配設されている。
【0024】
また、バッテリーパック3には、図3、図4に示すように、押下操作するプッシュスイッチ4と、スライド操作するスライドスイッチ5と、が備えられている。これら2つのスイッチ4、5は、上記した一対の接続端子36,36の間に配設されている。すなわち、プッシュスイッチ4及びスライドスイッチ5は、バッテリーパック3のスライド挿入方向(Y1方向)の先端部分において、バッテリーパック3のスライド方向(Y1−Y2方向)に直交する方向(X1−X2方向)に並べて配設されている。
なお、以下、説明の便宜上、バッテリーパック3のスライド挿入方向(Y1方向)を「前」とし、その反対方向(Y2方向)を「後」とする。また、バッテリーパック3の外装面方向(Z1方向)を「上」とし、その反対方向(Z2方向)を「下」とする。さらに、前後方向に直交する平面方向(X1−X2方向)を「幅方向」とする。
【0025】
図5〜図8に示すように、プッシュスイッチ4は、バッテリーパック3の端末機本体2に対するロックの切り替えを行うロックスイッチであり、端末機本体2の係止部26に対して係合可能な鉤状の爪部41(第一被係止部)を有している。詳しく説明すると、プッシュスイッチ4は、後述する押圧面40aを押圧して押下操作することで端末機本体2に対するロックを解除するスイッチであり、コイルスプリング43(第一バネ部材)によって弾性支持されてロック位置(爪部41の先端部44が係止部26に係止された位置)に保持されている。
【0026】
プッシュスイッチ4の概略構成としては、上下方向(Z1−Z2方向)に延在する筒状のボタン部40と、ボタン部40の下端部から前方側に向けて突出した爪部41と、ボタン部40の下端部からスライドスイッチ5側(X2方向)に向けて突出したフランジ部42(第二被係止部)と、が備えられている。
【0027】
ボタン部40は、上端面に押圧面40aが形成された平面視長方円形状の有頂筒部であり、バッテリーパック3の上側(外装面側)のカバー30に形成されたスイッチ開口31に下降可能に挿通されている。
爪部41は、先端部44が上向きに屈曲した断面視略L字状の凸リブフックであり、この爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に対して前方側から係止されており、それにより、バッテリーパック3の後方側へのスライド動作が規制されている。また、爪部41の先端部44には、爪部41の前端面から後方側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜面45が形成されている。また、図8に示すように、上記した端末機本体2の係止部26には、当該係止部26の後方側の壁面から前方側に向かって斜め上方に傾斜した傾斜面28が形成されている。
【0028】
フランジ部42は、平板状の凸部であり、後述する電源オン位置のスライドスイッチ5(フレーム部50の上面)に対して上方側から係止されており、それにより、プッシュスイッチ4のロック解除動作(押し下げ動作)が規制されている。
また、前記したコイルスプリング43は、上下方向に弾性変形するバネ部材であり、ボタン部40とバッテリーパック3の下側(内面側)のカバー33との間に介装されている。
【0029】
図5〜図7、図9に示すように、スライドスイッチ5は、端末機本体2の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチであり、端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27に対して係合可能な突起部52(係合部)を有している。詳しく説明すると、スライドスイッチ5は、端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27に係合して電源回路をオン制御する電源オン位置と、前記オンオフ制御スイッチ27から外れて電源回路をオフ制御する電源オフ位置と、の間でスライド可能なスイッチであり、幅方向にスライド可能となっている。
【0030】
スライドスイッチ5の概略構成としては、下面が開口した箱状のフレーム部50と、フレーム部50の上面に立設されたツマミ部51と、フレーム部50の前面に突設された突起部52と、が備えられている。
【0031】
フレーム部50は、幅方向に長い長方形状に形成されており、バッテリーパック3のカバー30,33の内側に幅方向移動可能に収容されている。
ツマミ部51は、上下方向に延在する略円筒状のピンであり、フレーム部50の長手方向(X1−X2方向)の中央部分に配設されていると共にバッテリーパック3の上側のカバー30に形成されたスイッチ開口32に挿通されている。このスイッチ開口32は、幅方向(X1−X2方向)に長い長孔であり、ツマミ部51の幅方向移動を許容する。なお、上記した2つのスイッチ開口31,32は、カバー30に形成された窪み部34の内側にそれぞれ形成されている。
【0032】
突起部52は、フレーム部50の前面の長手方向中央部分から前方側に向かって突出した凸部であり、前後方向に対して傾斜した傾斜面53を有している。具体的に説明すると、突起部52は、平面視略直角三角形状に形成されている。この突起部52の先端部は、スライドスイッチ5がプッシュスイッチ4側(X1方向)に寄せて配置された状態において、端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27に当接して当該オンオフ制御スイッチ27を前方側に押圧しており、それにより、端末機本体2の電源回路がオンになっている。すなわち、上記したスライドスイッチ5は、プッシュスイッチ4側(X1方向)の位置が電源オン位置であり、プッシュスイッチ4側の反対側(X2方向)の位置が電源オフ位置(図10に示す)である。
【0033】
なお、上記したオンオフ制御スイッチ27は、図9に示すように、前後方向に移動可能なシャフト27aと、そのシャフト27aを後方側に向けて付勢するコイルスプリング27bと、シャフト27aの前端面に当接した回転可能なレバー27cと、を備えている。上記した突起部52は、シャフト27aの凸曲面(球面)状の後端面に当接されており、これにより、上記したコイルスプリング27bによる付勢力に抵抗してシャフト27aが前方側に押し出され、そのシャフト27aによってレバー27cが押されて電源回路がオンとなっている。一方、図10に示すように、上記した突起部52がシャフト27aの後端部から外れると、上記したコイルスプリング27bによる付勢力によってシャフト27aが後方側に移動し、そのシャフト27aの移動によってレバー27cが回動して電源回路がオフとなる。
【0034】
また、図5、図7に示すように、上記したスライドスイッチ5は、プッシュスイッチ4の押下方向(上下方向)に弾性変形可能な板バネ54(第二バネ部材)を介して支持されている。この板バネ54は、台形状(への字形状)の板ばねであり、フレーム部50とバッテリーパック3の下側のカバー33との間に介装されている。この板バネ54は、スライドスイッチ5のスライド移動に伴いカバー33の表面上を摺動しながらスライド可能となっている。また、板バネ54は、上記したプッシュスイッチ4のコイルスプリング43よりも硬いバネであり、板バネ54のばね定数は、コイルスプリング43のばね定数よりも大きい。
【0035】
上記した構成のバッテリーパック3は、図8に示すように、端末機本体2のバッテリー装着部23に装着された状態では、プッシュスイッチ4の爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に係止され、バッテリーパック3が端末機本体2に対してロックされる。これにより、バッテリーパック3が端末機本体2から離脱することが規制される。また、スライドスイッチ5が電源オン位置にあると、図6、図9に示すように、突起部52の先端部が端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27を前方側に押圧し、端末機本体2の電源回路がオンになる。このとき、図7に示すように、プッシュスイッチ4のフランジ部42がスライドスイッチ5のフレーム部50の上面に係止され、プッシュスイッチ4の下方への移動が規制されるので、プッシュスイッチ4のボタン部40を押してもプッシュスイッチ4が下がらず、ロック解除動作(押し下げ動作)が行われない。
【0036】
次に、上記したバッテリーパック3を端末機本体2から離脱させる方法について説明する。
まず、図10に示すように、スライドスイッチ5を電源オン位置から電源オフ位置にスライドさせる。これにより、突起部52の先端部が端末機本体2の電源回路のオンオフ制御スイッチ27から外れて端末機本体2の電源回路がオフになる。また、このとき、図11に示すように、スライドスイッチ5がプッシュスイッチ4から離れる方向に移動し、スライドスイッチ5のフレーム部50がプッシュスイッチ4のフランジ部42から外れるので、プッシュスイッチ4が押し下げ可能となる。
【0037】
次に、プッシュスイッチ4のボタン部40(押圧面40a)を押圧してコイルスプリング43の付勢力に抵抗してプッシュスイッチ4を押し下げつつ、バッテリーパック3を後方側にスライドさせる。上述したようにプッシュスイッチ4を押し下げると、図12に示すように、爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26から外れてバッテリーパック3の端末機本体2に対するロックが解除される。これにより、バッテリーパック3が後方側にスライド可能となる。そして、上述したようにロックが解除された状態で、バッテリーパック3を後方側にスライドさせることで、バッテリーパック3が端末機本体2のバッテリー装着部23の外に引き出されて端末機本体2から取り外される。
【0038】
また、上記したバッテリーパック3を端末機本体2に装着する方法について説明する。
まず、図2に示すように、端末機本体2のバッテリー装着部23の後方側(Y2方向)から前方側(Y1方向)に向かってバッテリーパック3をスライド挿入する。そして、プッシュスイッチ4の爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に当接したところで、バッテリーパック3を前方側に押し込む。このとき、爪部41の先端部44に形成された傾斜面45が係止部26に形成された傾斜面28上を摺動することで、プッシュスイッチ4が下がって爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26を乗り越える。これにより、爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に係止され、バッテリーパック3が端末機本体2に対してロックされる。
【0039】
また、上述したバッテリーパック3のスライド挿入の際に、図10に示すようにスライドスイッチ5が電源オフ位置にある場合には、当該スライドスイッチ5を電源オフ位置から電源オン位置にスライドさせる。このとき、突起部52の傾斜面53がオンオフ制御スイッチ27のシャフト27aの凸曲面状の後端面上を摺動することで、突起部52の傾斜面53によってシャフト27aの後端面が押圧され、シャフト27aが前方側に移動する。これにより、このシャフト27aの前端面によってレバー27cが押圧されて回動し、電源回路がオンとなる。また、スライドスイッチ5が電源オン位置までスライドすることで、スライドスイッチ5のフレーム部50の端部がプッシュスイッチ4のフランジ部42の下方に入り込み、このフレーム部50の上面にフランジ部42が係止される。これにより、プッシュスイッチ4の押し下げ動作が規制される。
【0040】
また、上述したバッテリーパック3のスライド挿入の際に、図6に示すようにスライドスイッチ5が電源オン位置にある場合には、フレーム部50の上面にフランジ部42が係止されているが、バッテリーパック3が前方側に押し込まれて爪部41の傾斜面45が係止部26の傾斜面28上を摺動するとき、スライドスイッチ5を支持する板バネ54が弾性変形してスライドスイッチ5の位置が下がることで、スライドスイッチ5と共にプッシュスイッチ4が下がって爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26を乗り越える。これにより、爪部41の先端部44が端末機本体2の係止部26に係止され、バッテリーパック3が端末機本体2に対してロックされる。
【0041】
上記したバッテリーパック3によれば、バッテリーパック3を端末機本体2から離脱させる際、スライドスイッチ5を電源オフ位置にした後、プッシュスイッチ4のロック解除操作を行うので、電源回路をオフ制御してサスペンド処理が開始してからバッテリーパック3のロックが解除されてバッテリーパック3が端末機本体2から外れるまでの時間が長くなり、サスペンド処理時にデータ保存を行うだけの十分な時間が確保される。したがって、データ保存が完了する前にバッテリーパック3が外される不具合を防止することができ、サスペンド処理時のデータ保存を確実に実施することができる。
【0042】
また、スライドスイッチ5は押下方向に弾性変形可能な板バネ54によって支持されているため、スライドスイッチ5を電源オン位置にしたままバッテリーパック3を端末機本体2のバッテリー装着部23に押し込んでもプッシュスイッチ4やスライドスイッチ5が破損することがなく、バッテリーパック3を端末機本体2に装着させることができる。すなわち、使用者がバッテリーパック3を端末機本体2に装着する際に、スライドスイッチ5が電源オン位置と電源オフ位置のどちらにあるかを確認したりスライドスイッチ5を切り換えたりする必要がないため、非常に利便性に優れている。また、バッテリーパック3を後述するバッテリーチャージャ100によって充電した後、ハンディターミナル1のサスペンド処理のために必要なスライドスイッチ5の位置を確認することなく、そのまま端末機本体2に装着することができる。
【0043】
[バッテリーチャージャ]
次に、本発明に係るバッテリーチャージャの実施の形態について説明する。
図13に示すバッテリーチャージャ100は、上記したバッテリーパック3を充電するための充電器である。図13、図14に示すように、このバッテリーチャージャ100には、バッテリーパック3を収容可能なスロット収容部101が複数設けられている。このスロット収容部101は、バッテリーパック3がスライド挿入される断面視矩形状のソケット(孔部)であり、このスロット収容部101の突き当たりの端壁面103(挿入口102の反対側に位置する内壁面)には、バッテリーパック3の一対の接続端子36,36に電気的に接続される接続端子105,105が設けられている。
【0044】
また、図14、図15に示すように、スロット収容部101の一方の側壁面104(挿入口102から端壁面103に亘って形成された内壁面のうち、バッテリーパック3の外装面に対向する内壁面)には、バッテリーパック3の挿入操作に伴いスライドスイッチ5に係合して当該スライドスイッチ5の切り替え動作を案内するスイッチガイド部110が突設されている。
【0045】
詳しく説明すると、スイッチガイド部110は、電源オフ位置のスライドスイッチ5に係合して当該スライドスイッチ5を電源オン位置まで案内する案内部であり、バッテリーパック3のスライド挿入方向に沿って延在する凸リブである。このスイッチガイド部110は、側壁面104の高さ方向(バッテリーパック3の幅方向に相当)の中間部分に配設されていると共に端壁面103側に寄せて配設されている。つまり、スイッチガイド部110は、側壁面104の端壁面103側の端部から挿入口102側に向かって延在している。このスイッチガイド部110の挿入口102側の端部には、電源オフ位置のスライドスイッチ5を電源オン位置に案内する傾斜面111が形成されている。この傾斜面111は、スライド挿入方向の手前側から奥側に向かって下向きに傾斜しており、電源オフ位置のスライドスイッチ5のツマミ部51に合わせた位置に形成されている。
【0046】
次に、上記した構成のバッテリーチャージャ100を用いてバッテリーパック3を充填する方法について説明する。
まず、バッテリーチャージャ100のスロット収容部101の内側にバッテリーパック3を挿入する。詳しく説明すると、バッテリーパック3は、接続端子36,36が配設された側端面を先端側にしてスロット収容部101の挿入口102から側壁面104に沿ってスライド挿入する。そして、バッテリーパック3をスロット収容部101の端壁面103まで差し込み、バッテリーパック3の接続端子36,36をバッテリーチャージャ100の接続端子105,105に接触させる。これにより、これらの接続端子36,105同士が電気的に接続され、当該接続端子36,105を介してバッテリーパック3に電気が供給される。
【0047】
上述したようにスロット収容部101にスライド挿入されるバッテリーパック3のスライドスイッチ5が電源オフ位置にあると、図16に示すように、上記したバッテリーパック3をスロット収容部101内にスライド挿入したときにスライドスイッチ5のツマミ部51にスイッチガイド部110の傾斜面111が当接する。その後、バッテリーパック3をそのままスライド挿入方向に押し込むと、ツマミ部51が前記傾斜面111上を摺動しながら下方(電源オン位置側)に向かって押される。これにより、スライドスイッチ5が電源オフ位置から電源オン位置にスライドして切り替わる。
【0048】
上記したバッテリーチャージャ100によれば、スロット収容部101から抜き出されたバッテリーパック3のスライドスイッチ5は常に電源オン位置に配置される。また、このバッテリーパック3は、上述したように、スライドスイッチ5が電源オン位置に配置されたまま端末機本体2のバッテリー装着部23に装着することができる。したがって、バッテリーチャージャ100によるバッテリーパック3の充電が完了した後、スロット収容部101から抜き出したバッテリーパック3をそのまま端末機本体2のバッテリー装着部23に装着することで、スライドスイッチ5の切り替え操作を行うことなく、直ぐにハンディターミナル1を使用することができる。
【0049】
以上、本発明に係るバッテリーパック、バッテリーチャージャ及び電子機器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、プッシュスイッチ4がコイルスプリング43によって支持され、スライドスイッチ5が板バネ54によって支持されているが、本発明は、プッシュスイッチ4やスライドスイッチ5を支持するバネ部材は適宜変更可能であり、例えばプッシュスイッチ4が板ばねによって支持されていてもよく、或いは、スライドスイッチ5がコイルスプリングによって支持されていてもよい。
【0050】
また、上記した実施の形態では、スライドスイッチ5が板バネ54によって支持されており、上下方向に変位可能となっているが、本発明は、スライドスイッチ5を支持するバネ部材を省略することも可能である。ただし、この場合、スライドスイッチ5が電源オン位置の状態でバッテリーパック3を端末機本体2に装着することができないため、バッテリーパック3を端末機本体2に装着する前にスライドスイッチ5を電源オフ位置にする必要がある。また、この場合、ロックスイッチとしてプッシュスイッチ以外のスイッチを用いることも可能であり、また、電源スイッチとしてスライドスイッチ以外のスイッチを用いることも可能である。例えば、ロックスイッチがスライドスイッチであってもよく、電源スイッチがプッシュスイッチであってもよい。
【0051】
また、上記した実施の形態では、電子機器としてハンディターミナル1を例に挙げて説明したが、本発明に係る電子機器はハンディターミナル1に限定されるものではなく、端末機本体に対して着脱可能に装着されたバッテリーパックを有する電子機器であればよく、例えば電子辞書、携帯型ゲーム機や携帯電話等でも構わない。
【0052】
また、上記した実施の形態では、複数のスロット収容部101が平行に並設されたバッテリーチャージャ100について説明しているが、本発明は、複数のスロット収容部を有するバッテリーチャージャに限定されず、スロット収容部が1つだけ形成されたバッテリーチャージャであってもよい。
【0053】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ハンディターミナル(電子機器)
2 端末機本体(電子機器本体)
3 バッテリーパック
4 プッシュスイッチ(ロックスイッチ)
5 スライドスイッチ(電源スイッチ)
23 バッテリー装着部
26 係止部
27 オンオフ制御スイッチ
41 爪部(第一被係止部)
42 フランジ部(第二被係止部)
43 コイルスプリング(第一バネ部材)
52 突起部(係合部)
54 板バネ(第二バネ部材)
100 バッテリーチャージャ
101 スロット収容部
104 側壁面(内壁面)
110 スイッチガイド部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体に対して着脱可能に装着されるバッテリーパックであって、
前記電子機器本体の係止部に対して係合可能な第一被係止部を有し、前記電子機器本体に対するロックの切り替えを行うロックスイッチと、
前記電子機器本体の電源回路のオンオフ制御スイッチに対して係合可能な係合部を有し、前記電子機器本体の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチと、
が備えられており、
前記ロックスイッチには、電源オン位置の前記電源スイッチに対して係止されて前記ロックスイッチのロック解除動作を規制する第二被係止部が設けられていることを特徴とするバッテリーパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリーパックにおいて、
前記ロックスイッチは、第一バネ部材によって弾性支持されたプッシュスイッチであり、
前記電源スイッチは、前記ロックスイッチを係止して該ロックスイッチのロック解除動作を規制する電源オン位置と前記ロックスイッチから外れて該ロックスイッチのロック解除動作を許容する電源オフ位置との間でスライド可能なスライドスイッチであり、
前記電源スイッチは、前記ロックスイッチの押下方向に弾性変形可能な第二バネ部材を介して支持されていることを特徴とするバッテリーパック。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリーパックを充電するバッテリーチャージャであって、
前記バッテリーパックが挿入可能なスロット収容部が備えられ、
該スロット収容部の内壁面には、前記バッテリーパックの挿入操作に伴い電源オフ位置の前記電源スイッチに係合して当該電源スイッチを電源オン位置まで案内するスイッチガイド部が突設されていることを特徴とするバッテリーチャージャ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のバッテリーパックと、該バッテリーパックが装着されるバッテリー装着部を有する電子機器本体と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
電子機器本体に対して着脱可能に装着されるバッテリーパックであって、
前記電子機器本体の係止部に対して係合可能な第一被係止部を有し、前記電子機器本体に対するロックの切り替えを行うロックスイッチと、
前記電子機器本体の電源回路のオンオフ制御スイッチに対して係合可能な係合部を有し、前記電子機器本体の電源回路のオンオフ切り替えを行う電源スイッチと、
が備えられており、
前記ロックスイッチには、電源オン位置の前記電源スイッチに対して係止されて前記ロックスイッチのロック解除動作を規制する第二被係止部が設けられていることを特徴とするバッテリーパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリーパックにおいて、
前記ロックスイッチは、第一バネ部材によって弾性支持されたプッシュスイッチであり、
前記電源スイッチは、前記ロックスイッチを係止して該ロックスイッチのロック解除動作を規制する電源オン位置と前記ロックスイッチから外れて該ロックスイッチのロック解除動作を許容する電源オフ位置との間でスライド可能なスライドスイッチであり、
前記電源スイッチは、前記ロックスイッチの押下方向に弾性変形可能な第二バネ部材を介して支持されていることを特徴とするバッテリーパック。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリーパックを充電するバッテリーチャージャであって、
前記バッテリーパックが挿入可能なスロット収容部が備えられ、
該スロット収容部の内壁面には、前記バッテリーパックの挿入操作に伴い電源オフ位置の前記電源スイッチに係合して当該電源スイッチを電源オン位置まで案内するスイッチガイド部が突設されていることを特徴とするバッテリーチャージャ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のバッテリーパックと、該バッテリーパックが装着されるバッテリー装着部を有する電子機器本体と、を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−164529(P2012−164529A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24238(P2011−24238)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】
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