説明

バラ物荷役車両

【課題】荷役位置の変更を容易に行えて、埠頭のような固定設備の設置に規制がある場所においても容易に採用できるバラ物荷役車両を提供する。
【解決手段】下部に走行車輪装置20,27を設けた車体10は門型枠状に形成されている。車体10の上部に、吐き出し口33を下向きとしてホッパー装置30を設け、車体10の上部にクレーン装置50を設けた。クレーン装置50は、昇降自在なグラブバケット58を有するとともに、グラブバケット58を車体10の側外方とホッパー装置30の上方との間で移動自在に構成した。車体10内で吐き出し口33の下方に運搬用車両1を対向自在に構成した。クレーン装置を装備したバラ物荷役車両の移動は簡単かつ安定して行うことができて、荷役位置の変更を容易に行うことができ、運搬用車両への積み付けを簡単かつ容易に行うことができ、埠頭のような固定設備の設置に規制がある場所においても容易に採用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば土砂、穀物などのバラ物を、貨物船から陸上げしたのちトラックなどの運搬用車両に積み付けるのに使用されるバラ物荷役車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンプトラックの荷台に土砂を積み込むものとして、次のような構成が提供されている。すなわち、床部分に形成された開口の周囲に支持枠組体が設置され、この支持枠組体の上部にレールに沿って走行する走行体が設けられるとともに、ワイヤ使用の走行用装置が設けられている。走行体側にはクラムシェルバケットが昇降自在に設けられるとともに、ワイヤ使用の昇降用装置が設けられている。上部にホッパーが設けられたホッパー支持体は、ダンプトラックが通過可能な大きさでほぼ下向コの字状に形成され、その下部には、車輪と接地部材とが設けられている。
【0003】
このような従来構成によると、クラムシェルバケットの昇降動と、走行体を介しての走行動とにより、土砂をホッパーに投入し得る。そして、ホッパー支持体の下方にダンプトラックの荷台を位置させた状態でホッパーのゲートを開動させることで、土砂を荷台に積み込み得る(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−257758号公報(第3−4頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来構成によると、楊土機構、すなわち支持枠組体が据え付け固定形式であることから、楊土位置の変更は容易に行えない。また、埠頭のような固定設備の設置に規制がある場所においては容易に採用できない。
【0005】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、荷役位置の変更を容易に行えて、埠頭のような固定設備の設置に規制がある場所においても容易に採用し得るバラ物荷役車両を提供することを目的としたものである。
【0006】
また請求項2記載の発明は、貨物船のバラ物を陸上げしたのち運搬用車両に積み付ける作業と、陸上のバラ物を貨物船に積み付ける作業とを使い分けし得るバラ物荷役車両を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のバラ物荷役車両は、下部に走行車輪装置が設けられた車体は門型枠状に形成され、この車体の上部に、吐き出し口を下向きとしてホッパー装置が設けられ、前記車体の上部にはクレーン装置が設けられ、このクレーン装置は、昇降自在なグラブバケットを有するとともに、このグラブバケットを車体の側外方とホッパー装置の上方との間で移動自在に構成され、前記車体内で吐き出し口の下方に運搬用車両を対向自在に構成されていることを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項1の発明によると、バラ物荷役車両の前後走行はクレーン装置を一体として行え、この走行によって、たとえば、接岸されている貨物船の側方でかつ目的とする位置にバラ物荷役車両を停止し得る。この停止は、クレーン装置の遊端部分を貨物船における船倉の上方として行われる。この状態で、クレーン装置によって、船倉内のバラ物を陸上げしてホッパー装置に投入し得る。
【0009】
すなわちグラブバケットを、上昇させた状態で側外方へと移動させて船倉の上方に位置させる。そして、開動させたグラブバケットを下降させてバラ物に上方から突入状としたのち、グラブバケットを閉動させてバラ物を抱え込み状とする。次いでグラブバケットを、上昇させたのち他側へ向けて移動させてホッパー装置の上方に位置させる。この状態で、グラブバケットを開動させることによってバラ物を落下させてホッパー装置に投入し得る。このような投入作業を繰り返して行うことで、船倉内のバラ物をホッパー装置に所定量投入(陸上げ)し得る。
【0010】
そして車体の走行や運搬用車両の走行などによって、門型枠状の車体内に位置させた運搬用車両をホッパー装置の吐き出し口に下方から対向させる。次いで吐き出し口を開放させることによって、ホッパー装置内のバラ物は吐き出し口を通って落下し、以て運搬用車両に積み付け得る。所定の量を積み付けたときに吐き出し口を閉塞させ、その後に運搬用車両を前進走行させて車体内から退出させる。
【0011】
上述のような積み付け作業を終えたのち、上述と同様にしてバラ物荷役車両を走行させ、同じ貨物船の側方でかつ目的とする位置に、または別の貨物船の側方でかつ目的とする位置に停止させることで、クレーン装置によって、船倉内のバラ物を陸上げしてホッパー装置に投入し得る。
【0012】
また本発明の請求項2記載のバラ物荷役車両は、上記した請求項1記載の構成において、クレーン装置は、グラブバケットが車体の両側外方とホッパー装置の上方との間で移動自在として構成されていることを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項2の発明によると、たとえば、陸上の所定箇所に山積み状とされたバラ物と、貨物船との間でかつ目的とする位置にバラ物荷役車両を停止させる。この状態でグラブバケットを、上昇させた状態で他側外方へと移動させてバラ物の上方に位置させる。そして、開動させたグラブバケットを下降させてバラ物に上方から突入状としたのち、グラブバケットを閉動させてバラ物を抱え込み状とする。次いでグラブバケットを、上昇させたのち一側外方へと移動させて船倉の上方に位置させる。この状態で、グラブバケットを開動させることによって、バラ物を落下させて船倉内に投入し得る。このような投入作業を繰り返して行うことで、所期の船積み作業を行える。
【0014】
そして本発明の請求項3記載のバラ物荷役車両は、上記した請求項1または2記載の構成において、クレーン装置の操作が、遠隔操作により行われるように構成されていることを特徴としたものである。
【0015】
したがって請求項3の発明によると、好適な場所からの遠隔操作によりクレーン装置を操作し得る。
さらに本発明の請求項4記載のバラ物荷役車両は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、門型枠状に形成される車体は、その側部に前後方向ビームを有し、この前後方向ビームに運転席が設けられていることを特徴としたものである。
【0016】
したがって請求項4の発明によると、車体の補強を兼ねる前後方向ビームを利用して運転席を設け得る。
しかも本発明の請求項5記載のバラ物荷役車両は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成において、門型枠状の車体は、その4隅下部に走行車輪装置が設けられるとともに、自走操作用の運転席が設けられ、車体側には、運搬用車両の運転席から操作可能なホッパー操作装置が設けられていることを特徴としたものである。
【0017】
したがって請求項5の発明によると、車体の自走をバラ物荷役車両の運転席において操作し得、そしてホッパー装置からの供給、供給停止を、運搬用車両の運転席から操作し得る。
【0018】
また本発明の請求項6記載のバラ物荷役車両は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、車体の4隅下部に走行車輪装置が設けられ、これら走行車輪装置は、前後の一方における左右一対が駆動・換向形式であるとともに、他方における左右一対が遊動形式であり、配線により車体側の制御手段に接続された操作体により、自走と換向とを制御可能に構成されていることを特徴としたものである。
【0019】
したがって請求項6の発明によると、前後の一方における走行車輪装置を駆動・換向させることで、車体の前後の自走、ならびに前後の換向走行を行える。そして操作体の操作によって、車外、すなわち地上側において自走と換向とを制御し得る。
【0020】
そして本発明の請求項7記載のバラ物荷役車両は、上記した請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成において、車体側にアウトリガが設けられていることを特徴としたものである。
【0021】
したがって請求項7の発明によると、目的とする場所に停止させたのち、アウトリガを操作して着地させることで、バラ物荷役車両の停止姿勢を安定化させ得るとともに、ホッパー装置内に投入したバラ物の重量が走行車輪装置に作用しないことになる。
【発明の効果】
【0022】
上記した本発明の請求項1によると、バラ物荷役車両の前後走行はクレーン装置を一体として行うことができ、この走行によって、たとえば、接岸されている貨物船の側方でかつ目的とする位置に、つまりクレーン装置の遊端部分を貨物船における船倉の上方としてバラ物荷役車両を停止できる。この状態で、クレーン装置によって、船倉内のバラ物を陸上げしてホッパー装置に投入できる。
【0023】
すなわちグラブバケットを、上昇させた状態で側外方へと移動させて船倉の上方に位置させ、そして、開動させたグラブバケットを下降させてバラ物に上方から突入状としたのち閉動させることで、バラ物を抱え込み状にできる。次いでグラブバケットを、上昇させたのち他側へ向けて移動させてホッパー装置の上方に位置させた状態で、開動させることによってバラ物を落下させてホッパー装置に投入できる。このような投入作業を繰り返して行うことで、船倉内のバラ物をホッパー装置に所定量投入(陸上げ)できる。
【0024】
そして、車体の走行や運搬用車両の走行などによって、門型枠状の車体内に位置させた運搬用車両をホッパー装置の吐き出し口に下方から対向させることで、吐き出し口の開放によって、ホッパー装置内のバラ物を吐き出し口を通して落下でき、以て運搬用車両に積み付けることができる。
【0025】
このような積み付け作業を終えたのち、上述と同様にしてバラ物荷役車両を走行させ、同じ貨物船の側方でかつ目的とする位置に、または別の貨物船の側方でかつ目的とする位置に停止させることで、クレーン装置によって、船倉内のバラ物を陸上げしてホッパー装置に投入できる。
【0026】
このように、クレーン装置を装備したバラ物荷役車両の移動は簡単かつ安定して行うことができて、荷役位置の変更を容易に行うことができ、しかも運搬用車両への積み付けを簡単かつ容易に行うことができ、以て埠頭のような固定設備の設置に規制がある場所においても容易に採用できる。
【0027】
また上記した本発明の請求項2によると、たとえば、陸上の所定箇所に山積み状とされたバラ物と、貨物船との間でかつ目的とする位置にバラ物荷役車両を停止させた状態で、グラブバケットを、上昇させた状態で他側外方へと移動させてバラ物の上方に位置させ、そして、開動させたグラブバケットを下降させてバラ物に上方から突入状としたのち閉動させることで、バラ物を抱え込み状にできる。次いでグラブバケットを、上昇させたのち一側外方へと移動させて船倉の上方に位置させた状態で、開動させることによってバラ物を落下させて船倉内に投入できる。このような投入作業を繰り返して行うことで、所期の船積み作業を行うことができる。このように、クレーン装置を装備したバラ物荷役車両によって、貨物船のバラ物を陸上げしたのち運搬用車両に積み付ける作業と、陸上のバラ物を貨物船に積み付ける作業とを使い分けて行うことができる。
【0028】
そして上記した本発明の請求項3によると、好適な場所からの遠隔操作によりクレーン装置を操作することができる。
さらに上記した本発明の請求項4によると、車体の補強を兼ねる前後方向ビームを利用して、把握(目視)や操作に好適な位置に運転席を設けることができる。
【0029】
しかも上記した本発明の請求項5によると、車体の自走をバラ物荷役車両の運転席において操作でき、そしてホッパー装置からの供給、供給停止を、運搬用車両の運転席から的確にかつ容易に操作できる。
【0030】
また上記した本発明の請求項6によると、前後の一方における走行車輪装置を駆動・換向させることで、車体の前後の自走、ならびに前後の換向走行を行うことができ、以て任意に走行できる。そして操作体の操作によって、車外、すなわち地上側において、周辺状況を十分に確認しながら自走と換向とを制御できる。
【0031】
そして上記した本発明の請求項7によると、目的とする場所に停止させたのち、アウトリガを操作して着地させることで、バラ物荷役車両の停止姿勢を安定化でき、以てホッパー装置への投入作業や、ホッパー装置から運搬用車両への積み付け作業などを好適に行うことができるとともに、ホッパー装置内に投入したバラ物の重量が走行車輪装置に作用しないことになって、これら走行車輪装置を小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、図1〜図4に基づいて説明する。
図1〜図3において、バラ物荷役車両9の車体10は門型枠状に形成され、その4隅下部にそれぞれ走行車輪装置が設けられている。ここで走行車輪装置は、駆動・換向形式で左右一対の後車輪装置20と、遊動形式で左右一対の前車輪装置27とにより構成されている。
【0033】
前記車体10は、4隅に位置される縦枠11と、左右の縦枠11の上端間に設けられる左右方向横枠12と、前後の縦枠11の上端間に設けられる前後方向横枠13と、前後の縦枠11の下部間に設けられる前後方向ビーム14と、縦枠11の上端または前後方向横枠13と前後方向ビーム14との間に傾斜状または垂直状に設けられる補強枠15などにより門型枠状に形成されている。そして車体10の上部には、平面視で矩形リング状の足場16が設けられ、この足場16の周辺には手摺17が設けられている。さらに車体10の一側部には、足場16への行き来を行うための梯子18が設けられている。
【0034】
後車輪装置20は、縦枠11の下端に縦軸心21の回りで旋回可能に連結された旋回体22と、この旋回体22と前後方向ビーム14との間に設けられた旋回用シリンダー装置23と、前記旋回体22の下部に回転自在に設けられた後車輪24、ならびに油圧式の回転駆動装置25などにより構成されている。また前車輪装置27は、縦枠11の下端に連結されたブラケット体28と、このブラケット体28の下部に遊転自在に設けられた前車輪29などにより構成されている。
【0035】
前記車体10の上部には、吐き出し口を下向きとしてホッパー装置30が設けられている。すなわちホッパー装置30は、ホッパー本体31が左右方向横枠12や前後方向横枠13に支持されて連結されており、その上端には矩形状の投入口32が形成されている。そして下端の中央部分には吐き出し口33が設けられており、この吐き出し口33は前後一対に分けられている。両吐き出し口33には観音開き状に開閉自在なゲート体34が設けられ、そしてゲート体34を開閉動させるシリンダー装置35が設けられている。
【0036】
ここで車体10の幅や高さは、左右の縦枠11間に1台のトラック(運搬用車両の一例)1が位置されるとともに、このトラック1の荷台2が両吐き出し口33に対して下方から対向されるように設定されている。なおホッパー本体31の適所にはバイブレータ(図示せず。)が設けられている。
【0037】
前述したように門型枠状に形成される車体10は、その両側部に前後方向ビーム14を有し、一側の前後方向ビーム14上で前車輪装置27の位置には運転席40が設けられている。そして両側の前後方向ビーム14の下面側で前後端部のそれぞれにはアウトリガ41が設けられ、これらアウトリガ41は昇降自在な着地体42を有する。他側部分の前後方向ビーム14の下面側には、制御手段43とエンジン(水冷式ディーゼルエンジンなど)44とが設けられ、以て運転席40で自走操作やホッパー操作や着地操作などを可能に構成されている。さらに、車体10の前部で左右方向横枠12側からはホッパー操作装置46が垂下状に設けられ、その際にホッパー操作装置46は左右方向における一側部分に位置され、そしてトラック1の運転席3から操作可能とされている。
【0038】
前記車体10の上部にはクレーン装置50が設けられ、このクレーン装置50は、昇降自在なグラブバケット58を有するとともに、このグラブバケット58は、車体10の両側外方とホッパー装置30の上方との間で移動自在として構成されている。
【0039】
すなわち、車体10の4隅上部から縦枠51が立設され、ここで縦枠51は車体10における縦枠11の真上に位置されているが、これは縦枠11と一体(一本状)に構成されたものであってもよく、この場合に左右方向横枠12や前後方向横枠13は縦枠11の中間部間に設けられる。前記縦枠51群の上端間には上部枠体(桁)52が設けられ、その際に上部枠体52は、車体10の左右側縁に対して、一側において一側外方に長尺Lで突出され、他側において他側外方に短尺lで突出されて構成されている。
【0040】
前記上部枠体52の前後方向における中央部分には、左右方向のほぼ全長に亘るレール体53が前後一対で配設され、これらレール体53に車輪54を介して支持案内されることで、左右方向に走行自在なトロリー55が設けられている。そしてトロリー55側には、このトロリー55を正逆に走行させるための走行装置56などが設けられている。前記トロリー55には、ワイヤー式の巻き上げ装置57を介してグラブバケット58が設けられ、このグラブバケット58にはグラブ開閉装置59が装備されている。
【0041】
前記上部枠体52の前部側には足場60が設けられるとともに、この足場60の周辺には手摺61が設けられ、さらに車体10側の足場16との間で行き来を行うための梯子62が設けられている。以上の51〜62などによりクレーン装置50の一例が構成される。
【0042】
このクレーン装置50によると、巻き上げ装置57によりグラブバケット58を上昇させた状態で、走行装置56によりトロリー55を正逆に走行させることによって、左右の縦枠51間の空間を利用してグラブバケット58を、車体10の両側外方とホッパー装置30の上方との間で移動し得る。なお、クレーン装置50の操作は、たとえば足場16上において遠隔操作体65を操作することにより、無線方式で行われるように構成されている。5は埠頭、6は貨物船、7は船倉を示す。
【0043】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
埠頭5におけるバラ物荷役車両9の前後走行は、運転者が運転席40内で操作することで、クレーン装置50を一体として行える。その際に、必要に応じて同様の操作を行うことにより、旋回用シリンダー装置23を伸縮動させて、旋回体22を介して後車輪24を縦軸心21の回りに旋回させることで、前後走行時の換向も行える。
【0044】
このような走行操作を行うことによって、接岸されている貨物船6の側方でかつ目的とする位置にバラ物荷役車両9を停止させる。このとき、ホッパー装置30の吐き出し口33はゲート体34により閉じられている。また停止は、上部枠体52の長尺L側を海側に突出させ、その遊端部分を貨物船6における船倉7の上方として行われる。次いで、アウトリガ41を操作し、着地体42を下降させて着地させることで、バラ物荷役車両9の停止姿勢を安定化させる。
【0045】
この状態で、運転者などが足場16上において遠隔操作体65を操作することにより、バラ物荷役車両9に装備されたクレーン装置50によって、船倉7内のバラ物Bを貨物船6から陸上げし、そして投入口32を介してホッパー本体31に投入させる。すなわち、巻き上げ装置57によりグラブバケット58を上昇させた状態で、走行装置56によりトロリー55を一側外方へと走行させ、以てグラブバケット58を船倉7の上方に位置させる。この状態で、グラブ開閉装置59により開動させているグラブバケット58を、巻き上げ装置57により下降させてバラ物Bに上方から突入状とする。次いで、グラブ開閉装置59によりグラブバケット58を閉動させ、以て図1の実線に示すように、バラ物Bを抱え込み状とする。
【0046】
そして、巻き上げ装置57によりグラブバケット58を上昇させたのち、走行装置56によりトロリー55を他側へ向けて走行させ、以て図1の仮想線に示すように、グラブバケット58をホッパー装置30の上方に位置させる。この状態で、グラブ開閉装置59によりグラブバケット58を開動させることによって、グラブバケット58内のバラ物Bを落下させ、投入口32を介してホッパー本体31に投入し得る。このような投入作業を繰り返して行うことで、船倉7内のバラ物Bをホッパー本体31に所定量投入(陸上げ)し得る。
【0047】
このようにしてホッパー本体31内に所定量のバラ物Bを投入した後に、または投入前や投入中に、トラック1を走行させて車体10内に進入させ、空の荷台2を吐き出し口33に下方から対向させて停車させる。次いでトラック1の運転者は運転席3において、停車位置が好適であることを確認するとともに、ホッパー本体31内に所定量のバラ物Bを投入したことを確認したのち、車窓を通してホッパー操作装置46を開操作する。これによりシリンダー装置35を作動してゲート体34を開動させ、吐き出し口33を開放させる。この開放によって、ホッパー本体31内のバラ物Bは吐き出し口33を通って落下し、以て荷台2に積み付け得る。
【0048】
その際にアウトリガ41を着地させていることで、ホッパー装置30への投入作業や、ホッパー装置30からトラック1への積み付け作業などを好適に行えるとともに、ホッパー装置30内に投入したバラ物Bの重量が後車輪装置20や前車輪装置27に作用しないことになって、これら後車輪装置20や前車輪装置27を小型化し得る。
【0049】
トラック1の運転者は運転席3において、荷台2への積み付け状態を把握し、所定の量を積み付けたとき、ホッパー操作装置46を閉操作する。これによりシリンダー装置35を逆作動してゲート体34を閉動させ、吐き出し口33を閉塞させる。その後にトラック1を前進走行させて車体10内から退出させる。
【0050】
そして、荷台2が空の新たなトラック1を前進走行させて車体10内に進入させ、空の荷台2を吐き出し口33に下方から対向させて停車させる。その後に、上述と同様にしてバラ物Bの積み付け(陸上げ)を行える。このように、トラック1を順次前進走行(一方通行)させて車体10内に進入させ、車体10内から退出させながらバラ物Bの積み付けを行える。
【0051】
上述のような積み付け作業を終えたのち、アウトリガ41の着地体42を上昇させて離地させる。そして、上述と同様にしてバラ物荷役車両9を走行させ、同じ貨物船6の側方でかつ目的とする位置に、または別の貨物船6の側方でかつ目的とする位置に停止させたのち、クレーン装置50によって、船倉7内のバラ物Bを貨物船6から陸上げしてホッパー本体31に投入させる。
【0052】
以上のようにして、バラ物荷役車両9による陸上げ作業が行えるのであるが、このバラ物荷役車両9によると船積み作業も行える。すなわち図4に示すように、埠頭5上の所定箇所に山積み状とされたバラ物Bと、接岸されている貨物船6との間でかつ目的とする位置にバラ物荷役車両9を停止させる。次いで、アウトリガ41を操作し、着地体42を下降させて着地させることで、バラ物荷役車両9の停止姿勢を安定化させる。この状態で、バラ物荷役車両9に装備されたクレーン装置50によって、埠頭5上のバラ物Bを船倉7内へ積み付ける。
【0053】
すなわち、巻き上げ装置57によりグラブバケット58を上昇させた状態で、走行装置56によりトロリー55を他側外方へと走行させ、以てグラブバケット58を山積み状のバラ物Bの上方に位置させる。この状態で、グラブ開閉装置59により開動させているグラブバケット58を、巻き上げ装置57により下降させてバラ物Bに上方から突入状とする。次いで、グラブ開閉装置59によりグラブバケット58を閉動させ、以て図4実線に示すようにバラ物Bを抱え込み状とする。
【0054】
そして、巻き上げ装置57によりグラブバケット58を上昇させたのち、走行装置56によりトロリー55を一側外方へと走行させて、グラブバケット58を船倉7の上方に位置させたのち、必要に応じて巻き上げ装置57によりグラブバケット58を下降させ、以て図4仮想線に示すようにグラブバケット58を船倉7内に位置させる。この状態で、グラブ開閉装置59によりグラブバケット58を開動させることで、グラブバケット58内のバラ物Bを落下させて船倉7内に投入し得る。このような投入作業を繰り返して行うことで、所期の船積み作業を行える。
【0055】
上述した実施の形態1においては、トラック1の運転者が運転席3において、ホッパー操作装置46を開閉操作しているが、これはバラ物荷役車両9の運転者が荷台2への積み付け状態を把握(目視)しながら、運転席40内や足場16上で操作することによって、ホッパー操作装置46を無線方式で開閉操作してもよい。また、バラ物荷役車両9の運転者が足場16上において遠隔操作体65を操作することにより、無線方式でクレーン装置50を作動させているが、これはトラック1の運転者が運転席3において遠隔操作体65を操作してもよく、さらにはバラ物荷役車両9またはトラック1の運転者が埠頭5上において遠隔操作体65を操作してもよい。なお、トラック1の走行、ホッパー操作装置46の開閉操作、クレーン装置50の作動の全てを、埠頭5上における遠隔操作体65の操作により無線方式で操作してもよい。
【0056】
上述した実施の形態1においては、荷台2への積み付け時にアウトリガ41を着地操作しているが、これは船倉7内のバラ物Bを貨物船6から陸上げしてホッパー本体31に投入させる際にもアウトリガ41を着地操作し得るものである。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を、図5に基づいて説明する。
【0057】
前述した実施の形態1と異なる点は、上部枠体52は、一側において一側外方に長尺Lで突出されているが、他側においては他側外方に突出されておらず、車体10の左側縁の位置として構成されている。
【0058】
この実施の形態2によると、クレーン装置50によって、船倉7内のバラ物Bをホッパー本体31に所定量投入(陸上げ)して、トラック1の荷台2に積み付け得る。すなわち、陸上げ専用のバラ物荷役車両9とし得る。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3を、図6に基づいて説明する。
【0059】
前述した実施の形態1と異なる点は、運転席が省略されて車体10側の制御手段43に接続された操作体(ペンダント)71が設けられた構成である。この操作体71は、5m位の配線(ケーブル)70を介して制御手段43に接続され、この操作体71は片手で持てる大きさとされ、かつ車載可能とされている。そして操作体71には、ホッパー装置30の開釦や閉釦、走行における前釦や後釦、同左釦や右釦、走行停止釦などが設けられており、以て操作体70の釦操作によって、ホッパー操作、ならびに自走と換向とを制御可能に構成されている。
【0060】
この実施の形態3によると、バラ物荷役車両9の前後走行は、バラ物荷役車両9の外(地上)において操作体71を操作することで行える。その際に、必要に応じて同様の操作を行うことにより、旋回用シリンダー装置23を伸縮動させて、旋回体22を縦軸心21の回りに旋回させることで、前後走行時の換向も行える。またバラ物荷役車両9の外で操作体71を操作することで、ホッパー操作装置46を開閉操作し得る。なおクレーン装置50の制御も操作体71を操作することで行ってもよい。
【0061】
上記した実施の形態1〜3では、運搬用車両としてトラック1が示されているが、これはバラ物Bの専用運搬車や台車などであってもよい。
上記した実施の形態1〜3では、ホッパー装置30として、左右方向で1個の吐き出し口33が設けられた形式が示されているが、これは左右一対(2個)の吐き出し口が併設された形式、2個以上の複数個の吐き出し口が設けられた形式などであってもよい。それに応じて車体10は、車体10内に2台のトラック1または2台以上で複数台のトラック1が位置されるように構成される。そして、複数の吐き出し口に対してそれぞれトラック1を対向させて積み付けを行うものであり、したがって、積み付け作業の時間のずれなどによって複数のトラック1の進入、退出、積み付け作業などは各別に自由に行われることになる。
【0062】
上記した実施の形態1〜3では、走行車輪装置として、駆動・換向形式で左右一対の後車輪装置20と、遊動形式で左右一対の前車輪装置27とからなる形式が示されているが、これは左右一対の前車輪装置、ならびに左右一対の後車輪装置の全てを換向可能とした形式、前車輪装置と後車輪装置との一方を駆動とし他方を換向とした形式などであってもよい。
【0063】
上記した実施の形態3では、配線70により車体10側の制御手段43に接続された操作体71が設けられているが、実施の形態1において、操作体71などが追加された形式などであってもよい。
【0064】
上記した実施の形態1〜3では、車体10側にアウトリガ41が設けられているが、これはアウトリガが省略された形式などであってもよい。
上記した実施の形態1〜3では、トロリー55として、このトロリー55に走行装置56が設けられた自走形式が示されているが、これは上部枠体52側にワイヤ方式の走行装置を配設した形式などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、バラ物荷役車両における陸上げ作業時の正面図である。
【図2】同バラ物荷役車両の一部切り欠き側面図である。
【図3】同バラ物荷役車両の平面図である。
【図4】同バラ物荷役車両における船積み作業時の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態2を示し、バラ物荷役車両における陸上げ作業時の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態3を示し、同バラ物荷役車両の一部切り欠き側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 トラック(運搬用車両)
2 荷台
3 運転席
5 埠頭
6 貨物船
7 船倉
9 バラ物荷役車両
10 車体
14 前後方向ビーム
20 後車輪装置(走行車輪装置)
21 縦軸心
23 旋回用シリンダー装置
24 後車輪
27 前車輪装置(走行車輪装置)
29 前車輪
30 ホッパー装置
31 ホッパー本体
32 投入口
33 吐き出し口
34 ゲート体
35 シリンダー装置
40 運転席
41 アウトリガ
43 制御手段
44 エンジン
46 ホッパー操作装置
50 クレーン装置
53 レール体
55 トロリー
56 走行装置
57 巻き上げ装置
58 グラブバケット
59 グラブ開閉装置
65 遠隔操作体
70 配線
71 操作体
L 長尺
l 短尺
B バラ物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に走行車輪装置が設けられた車体は門型枠状に形成され、この車体の上部に、吐き出し口を下向きとしてホッパー装置が設けられ、前記車体の上部にはクレーン装置が設けられ、このクレーン装置は、昇降自在なグラブバケットを有するとともに、このグラブバケットを車体の側外方とホッパー装置の上方との間で移動自在に構成され、前記車体内で吐き出し口の下方に運搬用車両を対向自在に構成されていることを特徴とするバラ物荷役車両。
【請求項2】
クレーン装置は、グラブバケットが車体の両側外方とホッパー装置の上方との間で移動自在として構成されていることを特徴とする請求項1記載のバラ物荷役車両。
【請求項3】
クレーン装置の操作が、遠隔操作により行われるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のバラ物荷役車両。
【請求項4】
門型枠状に形成される車体は、その側部に前後方向ビームを有し、この前後方向ビームに運転席が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバラ物荷役車両。
【請求項5】
門型枠状の車体は、その4隅下部に走行車輪装置が設けられるとともに、自走操作用の運転席が設けられ、車体側には、運搬用車両の運転席から操作可能なホッパー操作装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバラ物荷役車両。
【請求項6】
車体の4隅下部に走行車輪装置が設けられ、これら走行車輪装置は、前後の一方における左右一対が駆動・換向形式であるとともに、他方における左右一対が遊動形式であり、配線により車体側の制御手段に接続された操作体により、自走と換向とを制御可能に構成されていることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載のバラ物荷役車両。
【請求項7】
車体側にアウトリガが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバラ物荷役車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−151595(P2006−151595A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345055(P2004−345055)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】