説明

バリウム−フリー及び鉛−フリーのX線不透過性ガラス及びその使用

【課題】特に歯科用ガラスとして及び光学ガラスとして適し、比較的低い屈折率nを有するジルコニウム含有でBaO−フリー及びPbO−フリーのX線不透過性ガラスを提供する。
【解決手段】BaO−フリー及びPbO−フリーのX線不透過性ガラスは、SiO−B−Al−RO−RO−La−ZrO系であり、酸化物基準の質量%表示で、SiO 48〜56%、B 3〜8%、Al 0.5〜4%、LiO 0〜5%、NaO 1〜4%、KO 2〜7%、CsO 10〜16%、CaO 5〜9%、MgO 0〜5%、ZrO 0.5〜13%、La 5〜12%、SnO 0〜4%、Σアルカリ金属酸化物 16〜21%、CsO+La+SnO ≧19%を含有し、1.54〜1.58の屈折率n及び少なくとも500%のアルミニウム等価厚を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリウム−フリー及び鉛−フリーのX線不透過性ガラス及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
塑性の歯科用組成物は、歯科分野において歯の修復のためにますます使用されている。これらの塑性の歯科用組成物は、通常、有機樹脂の母材と種々の無機フィラーとからなる。無機フィラーは、主に、ガラス粉末、(ガラス)セラミックス、石英又は他の結晶性物質(例えばYbF)、ゾル−ゲル材料あるいはアエロジル(Aerosil:登録商標)からなり、また、それらは充填剤として樹脂組成物に添加される。
【0003】
歯科用樹脂組成物の使用は、アマルガムの可能性のある有害な副作用を回避し、かつ改善された審美的な印象を達成するようにするものである。選択された歯科用樹脂組成物に応じて、それらは、歯の様々な修復手段のために、例えば、歯充填物のために、また、歯冠、ブリッジ及びインレー、オンレーなどの部品をしっかり留めるためにも使用することができる。
【0004】
充填材料自体は、硬化の間に樹脂母材の重合によって生ずる収縮を最小限にするようにするためのものである。例えば、歯壁と充填物との間に強い接着があると、過度の重合収縮により歯壁の破壊につながることがある。接着が不充分な場合、過度の重合収縮は歯壁と充填物との間の周辺隙間を形成する結果となることがあり、これは二次カリエスを促進することができる。さらに、幾つかの物理的、化学的要求が充填物に課される。
【0005】
できるだけ微細な粉末を形成するように充填材料を処理することが可能でなければならない。粉末がより微細であるほど、充填物の外観はより均質になる。同時に、充填物の艶出特性は改善され、これは、攻撃され得る表面積の減少に加えて、摩滅に対する改善された抵抗、従って充填物の耐久性がより長く続くことを可能にする。粉末が成功裡に処理されることを可能にするためには、粉末が凝集しないことも望まれる。この望ましくない影響は、特にゾル−ゲル法によって製造された充填材料で生じる。
【0006】
さらに、充填物が機能処理されたシランでコーティングされた場合、歯科用組成物の処方を促進し、機械的性質を改善するので有利である。ここで、特にフィラー粒子の表面は、少なくとも部分的に、機能処理されたシランで覆われる。
【0007】
さらに、歯科用樹脂組成物のその全体の、従ってまたフィラーの、屈折率及び色は、できるだけ天然の歯材料とよく調和すべきであり、それにより、可能な限りまわりの健康な歯材料と判別できないようにする。できるだけ小さく粉砕されたフィラーの粒度は、この審美的な評価基準にも役割を果たす。
【0008】
また、歯の修復処置が温度変化に充分に耐えることができるようにするためには、その使用範囲、即ち通常−30℃〜+70℃の間での歯科用樹脂組成物の熱膨張が天然の歯材料のそれと調和することも重要である。温度変化によって引き起こされた過度に高いストレスは、歯科用樹脂組成物と周囲の歯材料との間に隙間の形成を生じさせることもでき、これは二次カリエスのための好適な攻撃ポイントを形成し得ることになる。一般に、できるだけ低い熱膨張係数を有するフィラーが、樹脂母材の高い熱膨張を補償するために使用される。
【0009】
酸、アルカリ及び水に対するフィラーの良好な耐薬品性、及び例えば噛むことにより生じる動作中の負荷下での良好な機械的安定性も、歯の修復手段にとっての長期の耐用年数に寄与することができる。
【0010】
さらに、患者の治療については、X線像で歯の修復手段を見ることができることは絶対必要である。樹脂母材自体はX線像において一般に不可視であるので、フィラーは必要なX線吸収をもたらさねばならない。X線照射の充分な吸収をもたらすこのタイプのフィラーは、X線不透過性と評される。フィラーの構成成分、例えばガラスの幾つかの成分、又は付加物質は、一般にX線不透過性の原因となる。これらのような追加物質もX線不透過剤として知られている。標準的なX線不透過剤はYbFであり、結晶の粉砕形態で添加することができる。
【0011】
DIN ISO 4049によれば、歯科用ガラス又は材料のX線不透過性は、アルミニウムのX線吸収に関連してアルミニウム等価厚(Aluminium equivalent thickness:ALET)として評価される。ALETは、テストされる材料の2mm厚サンプルと同じ吸収を示すアルミニウム・サンプルの厚さである。従って、200%のALETは、厚さ2mmの平坦な平行表面を有する小さなガラス・プレートが、4mm厚の小さなアルミニウム・プレートと同じX線減衰を生じることを意味する。同様に、500%のALETは、厚さ2mmの平坦な平行表面を有する小さなガラス・プレートが、10mm厚の小さなアルミニウム・プレートと同じX線減衰を生じることを意味する。
【0012】
使用中の歯科用樹脂組成物は、通常、カートリッジから窪み(キャビティ)へ導入され、次に窪み内で型取られるので、硬化されていない状態ではしばしばチキソトロピーであると考えられている。これは、圧力が付加されるとその粘度が減少するが、圧力の作用がないときには寸法的に安定していることを意味する。
【0013】
歯科用樹脂組成物の中でも、歯科用セメントと複合材とは区別をする必要もある。例えばガラス・アイオノマー・セメントとしても知られている歯科用セメントの場合には、フィラーの有機母材との化学反応が歯科用組成物の硬化をもたらし、従って、歯科用組成物の硬化特性及び従ってそれらの作業性はフィラーの反応性によって影響を受ける。これは、例えば紫外光の作用下で、ラジカル表面硬化によって先行され得る硬化プロセスをしばしば含む。これと対照的に、充填複合材とも言われる複合材は、できるだけ化学的に不活性なフィラーを含んでいる。何故なら、それらの硬化特性は樹脂母材自体の構成成分によって決定され、フィラーの化学反応はしばしばこれにとって破壊的であるためである。
【0014】
ガラスはそれらの様々な組成のために広範囲の特性を有する材料のクラスを代表しているので、それらはしばしば歯科用樹脂組成物のためにフィラーとして使用される。純粋な形態で又は材料混合物の成分として、歯科用材料としての他の適用は、例えばインレー、オンレー、歯冠及びブリッジ用の化粧材、人工歯用の材料、あるいは補綴、防腐及び/又は予防の歯科処置用の他の材料のために可能である。歯科用材料として使用されているこのタイプのガラスは、一般に歯科用ガラス(デンタル・ガラス)と呼ばれている。
【0015】
前述した歯科用ガラスの特性に加えて、歯科用ガラスは、健康に有害なものとして分類されているバリウム酸化物(BaO)を含有しないこと、及び毒性の酸化鉛(PbO)を含有しないことが望ましい。
【0016】
さらに、歯科用ガラスの成分には酸化ジルコニウム(ZrO)が望ましい。ZrOは歯科及び光学の技術分野で広く使用されている材料である。ZrOは容易に生体適合性であり、温度変動への感受性がないことによって識別される。それは、歯冠、ブリッジ、インレー、取り付け作業及びインプラントの形態での多くの歯科用途に使用される。
【0017】
従って、歯科用ガラスは、特に高品質のガラスを表わしている。このタイプのガラスはまた、光学用途、特にガラスのX線不透過性から利益が得られる用途に使用することができる。X線不透過性は、ガラスがX線スペクトルの領域で電磁線を吸収することを意味するので、対応するガラスは同時にX線のためのフィルタとして作用する。感受性のある電子部品はX線によって損傷され得る。例えば、電子イメージセンサーの場合には、X線量の透過がセンサーの対応する領域を損傷するかもしれないし、あるいは例えばイメージ妨害及び/又は外乱画素として感知することができる望ましくないセンサー信号を生じるかもしれない。従って、特定の適用については、電子部品を入射電磁線のスペクトルからろ過して除くために対応するガラスを使用することにより、X線照射から電子部品を保護することが必要か、あるいは少なくとも有利である。
【0018】
多数の歯科用ガラス及び同様の光学的ポジションあるいは比較可能な化学組成を有する他の光学ガラスが先行技術に記述されているが、これらのガラスは、生産及び/又は適用において相当な不利益を示す。特に、多くのガラスは、比較的高い含有量のフッ化物及び/又はLiOを有し、これらは(最初の)溶解操作中に非常に容易に蒸発し、正確にガラス組成を設定することを困難にしている。
【0019】
ドイツ特許DE 60315684 T2(特許文献1)には、エポキシ系用及びその製造のためのガラスフィラー材料について記載されている。所望の粒子は、0.1μm〜20μmの粒子サイズを持っており、異なるアルカリ金属濃度を有する内部領域及び外部領域を含み、使用期間中、内層のアルカリ金属イオンは外層へ移行しない。溶解されたガラスが微粉砕された後、有機酸又は無機酸を加えることにより外層の減損が次の工程で起こり、有機酸又は無機酸は引き続いて再び洗浄される。本発明によれば、このようにして製造されたガラス粉末は、1.49〜1.55の屈折率(n)を持っている。アルカリ金属イオンが浸出できるようにするために、溶融ガラスは低い耐薬品性を持たなければならない。
【0020】
特開昭62−12633号公報(特許文献2)には、勾配のある屈折率を有する製品のためのイオン交換可能なガラスについて記載されている。しかしながら、本発明に係るガラスとは対照的に、記述されたガラスは高いZnO含有量を持たなければならない。そのようなガラス系は、充分に高いX線不透過性を持たないであろう。
【0021】
米国特許出願公開US 2003/050173A1(特許文献3)には、比較的高い熱膨張係数を有する干渉フィルター用のガラス基板について記載されている。この適合された熱膨張係数は、SiOは高々66モル%に制限されることを意味している。SiOは、網状構造形成剤としての役割をし、膨張係数の低下を引き起こす。しかしながら、低いSiO含有量を有するガラスは、一般に低い耐薬品性を有し、このことが、それらは何故、例えば歯科用ガラスとして使用することができないかということである。
【0022】
特開2007−290899号公報(特許文献4)には、低いSiO含有量を有し、不可避的にAlF又はLaFのようなフッ化物を含有する技術的な放射線シールドガラスについて記載されている。しかしながら、ガラスの溶解中、フッ化物は容易に蒸発する傾向があり、これはガラス組成を正確に設定することを困難にしており、不均質性につながっている。
【0023】
米国特許第5,975,999号(特許文献5)及び米国特許第5,827,790号(特許文献6)は、なかんずく歯科用陶材のために使用されるガラス状セラミック組成物に関する。CaOとLiOは、それぞれ少なくとも0.5質量%及び0.1質量%の量で存在しなければならない。ZrO、SnO及びTiOよりなる群からの2つの主要な追加成分に加えて、その中の少なくとも0.5質量%のCaO含有量は必須と思われる。これらの成分は、増大した屈折率n及びほんの部分的なX線不透過性をもたらす。これらの2つの文献において、ガラスはまた少なくとも10質量%のBを含有しなければならない。少なくとも5質量%又は少なくとも10質量%のアルカリ金属含有量と組み合わされた高いB含有量は、ガラスの耐薬品性は受け入れられないほど毀損され、従ってこれらのガラスは歯科用ガラスに適さないという作用を有する。
【0024】
複合材におけるフィラーとしての使用のための化学的に不活性な歯科用ガラスは、ドイツ特許出願公開DE 198 49 388A1(特許文献7)のサブジェクト・マターを形成している。そこに提案されたガラスは、著しい含有量のZnOとFを有さねばならない。これらは、樹脂母材との反応をもたらすことができ、これはまたそれらの重合特性に作用することができる。さらに、記述されたガラスが充分なX線不透過剤及びFを含有することができるように、SiO含有量は20〜45質量%に制限される。
【0025】
国際公開WO 2005/060921A1(特許文献8)には、歯科用複合材に適するように特に意図されるガラスフィラーについて記載されている。しかしながら、このガラスフィラーはほんの0.05〜4モル%のアルカリ金属酸化物を含有しなければならない。金属酸化物の組合せにおいて、特にZrOとの組合せにおいて、この低いアルカリ金属酸化物含有量は、歯科用ガラスをより凝離し易くする。凝離した領域は、ティンダル効果に似て、通過する光を散乱するための中心として作用し、これは、歯科用ガラスの光学特性にとって不利な結果を有し、また、凝離した歯科用ガラスで製造された歯科用樹脂複合材の美観は、従って比較的高い要求を満たすことができない。
【0026】
ヨーロッパ特許EP 0885606 B1(特許文献9)には、歯科用材料のための充填材料として役立つアルカリ金属ケイ酸塩ガラスが記載されている。0.2〜10質量%の制限されたB含有量は、高いSiO含有量を有するガラスを溶解することを困難にしており、これは、上記ガラスを製造することを高価で非経済的にしている。さらに、ガラスはフッ素を含まなければならない。しかしながら、ガラスの溶解中、フッ化物は容易に蒸発する傾向があり、これは、ガラス組成を正確に設定することを困難にしており、不均質性につながる。さらに、ガラスにX線不透過性を付与する成分CaOの含有量は、少なくとも500%のALETを有する所要のX線不透過性を達成するためには0.5〜3質量%と低すぎる。ガラスのX線不透過性を保証するさらに他の成分は存在しない。
【0027】
ドイツ特許出願公開DE 4443173A1(特許文献10)は、高いジルコニウム含有量を有するガラスからなり、12質量%を超えるZrO含有量を有し、また他の酸化物を含んでいる。これらのようなフィラーは、特に過度に迅速で制御できない硬化が生じ得る最近のエポキシ樹脂に基づいた歯科用組成物にとって反応的すぎる。この量の酸化ジルコニウムは、失透し易くなる傾向がある。これは、恐らく核形成及び引き続いての結晶化を伴う相凝離を引き起こす。ZrOに加えて、上記文献に記載されたガラスは、(本発明に係るガラスにおけるように)少なくとも500%のALETを有する高いX線不透過性を実現することができるさらに他の成分を含んでいない。30質量%のZrOの最大量であっても、この少なくとも500%のX線不透過性はこのガラス系では達成されない。
【0028】
先行技術で言及されたガラスに共通の特徴は、それらが高い屈折率nを有するか、低い耐候性を有するか、及び/又はX線不透過性ではないかのいずれかであり、それに加えて、製造することがしばしば困難であるか高価であり、あるいは環境及び/又は健康に有害な成分を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】ドイツ特許DE 60315684 T2
【特許文献2】特開昭62−12633号公報
【特許文献3】米国特許出願公開US 2003/050173A1
【特許文献4】特開2007−290899号公報
【特許文献5】米国特許第5,975,999号
【特許文献6】米国特許第5,827,790号
【特許文献7】ドイツ特許出願公開DE 198 49 388A1
【特許文献8】国際公開WO 2005/060921A1
【特許文献9】ヨーロッパ特許EP 0885606 B1
【特許文献10】ドイツ特許出願公開DE 4443173A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明の目的は、1.54〜1.58の比較的低い屈折率nを有するバリウム−フリー及び鉛−フリーのX線不透過性ガラスを提供することにある。ガラスは歯科用ガラスとして及び光学ガラスとして適し、また製造するのに低コストであるべきであるが、それにも拘わらず、高品質を有し、身体によって許容されるべきであり、受動的で活性な歯保護に適しているべきであり、また加工性、周囲の樹脂母材の硬化挙動及び長期間の安定性と強度に関して優れた特性を有するべきである。それに加えて、さらに本発明の目的は、本発明に係るガラスが非常に耐候性に優れることを確実にすることである。
【0031】
本発明に係るガラスのベース母材は、さらに最適の色軌跡を許容し、従って歯の色及び/又は光学適用の場合には通過する電磁線のスペクトルへの適応を許容するために、例えばFe、AgO、CuOなどの着色性成分も含有するべきでない。さらに、ガラスは、散乱をもたらしたり同様に色印象を変える二次ガラス相及び/又は着色性粒子を含有するべきでない。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記目的を達成するために、本発明によれば、酸化物基準の質量%表示で以下の成分:
SiO 48〜56%、
3〜8%、
Al 0.5〜4%、
LiO 0〜5%、
NaO 1〜4%、
O 2〜7%、
CsO 10〜16%、
CaO 5〜9%、
MgO 0〜5%、
ZrO 0.5〜13%、
La 5〜12%、
SnO 0〜4%、
Σアルカリ金属酸化物 16〜21%、
CsO+La+SnO ≧19%
を含有し、1.54〜1.58の屈折率n及び少なくとも500%のアルミニウム等価厚を有するBaO−フリー及びPbO−フリーのX線不透過性ガラスが提供される。さらに本発明によれば、それらのガラス粉末、歯科用ガラス、特に歯修復用複合材のフィラーとしての使用や、歯科用組成物におけるX線不透過剤や、光学要素としての使用、電子部品、ディスプレイ技術、光電池、OLED、生化学用途などのためのカバーガラス及び/又は基板ガラスとしての使用、ランプガラス、PVDプロセスにおけるターゲット材料、ガラスファイバーのコアガラス及び/又はクラッドガラスとしての使用など、種々の分野における用途も提供される。好ましい実施態様及び用途は、従属請求項に示されている。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るガラスは、1.54〜1.58の屈折率nを有する。従って、この屈折率範囲において利用可能な歯科用樹脂及び/又はエポキシ樹脂に非常によく調和し、その結果、自然な外観に関して歯科用ガラス/樹脂複合材に課される審美的な要求を効果的に満たす。
【0034】
本発明に係るガラスは、健康に有害なバリウム及び鉛あるいは他の物質を用いることなく、所望のX線吸収に関してバリウム及び/又は鉛含有歯科用ガラスの特性を達成する。X線吸収、従ってX線不透過性は、主としてCsO及び/又はLa及び/又はSnO含量によって達成され;これらは、組み合わせて19質量%以上の割合で本発明に係るガラス中に存在する。CsO、La及びSnOのいずれも、健康に無害なものと見なされる。
【0035】
本発明に係るガラスは、少なくとも500%のアルミニウム等価厚(ALET)を有する。このことは、本発明に係るガラスで作成され、平坦な平行の表面及び2mmの厚さを有する小さなガラス・プレートは、10mmの厚さを有する小さなアルミニウム・プレートと同じX線減衰を生じるということを意味する。
本発明の他の効果は、以下の説明からさらに明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ベースとして、本発明に係るガラスは、ガラス形成成分として、48〜56質量%の割合でSiOを含有する。これより高いSiO含量は、不利なことに高い溶融温度になり易く、またX線不透過性を達成することができない。
本発明に係るガラスの好ましい実施態様は、SiO含量が49〜55質量%、特に好ましくは50〜54.5質量%の量である。48質量%の下限よりも低くなると、失透に向かう傾向が低下する。
【0037】
本発明に係るガラスはまた、0.5質量%以上、13質量%以下の割合でZrOを含有しなければならない。このジルコニウム含量は機械的性質を改善し、特にこの場合、引張強度及び圧縮強度を改善し、またガラスの脆性を低減する。さらにこの成分は、ガラスのX線不透過性の調和をもたらす。
ZrO含量は、好ましくは1〜12質量%、特に好ましくは1〜11質量%である。
【0038】
さらに、本発明者らは、ZrOはケイ酸塩ガラスに難溶性であり、従って凝離が容易に生じ得るので、SiO含量とZrO含量の比率が4を越え、あるいは少なくとも4に等しいように維持されるべきであることを認識した。凝離した領域は、チンダル効果と同様に、通過する光を散乱する中心として作用する。歯科用ガラスの場合には、これらの散乱中心は審美的な印象を害し、従って、凝離したガラスは歯科用への適用には受け入れられない。一方、光学ガラスでは、散乱中心は、一般に送信に対する悪影響を有し、従って、凝離したガラスは殆どの光学的適用においても不適当である。
【0039】
本発明に係るガラスはまた、0.5〜4質量%の範囲のAlを含有しなければならない。他のものの中で、Alは良好な耐薬品性を提供する。しかしながら、ガラスを溶融困難にするような割合まで、特に熱間加工範囲において、ガラスの粘度が増大することを回避するためには、Al含量は約4質量%を超過すべきではない。また、4質量%よりも高い含量は、ZrO含有ガラスの溶融には不利である。
従って、本発明に係るガラスは、好ましくは1〜4質量%、特に好ましくは1〜3.5質量%のAlを含有する。
【0040】
は、3〜8質量%の範囲で本発明に係るガラス中に存在する。Bは融剤として供される。溶融温度を低下させることに加えて、Bの使用は、同時に本発明に係るガラスの結晶化安定性を改善する。約8質量%よりも高い含量は、この系においては、良好な耐薬品性を害することを回避するためには推奨されない。4〜8質量%、特に好ましくは4〜7.5質量%のBを使用することが好ましい。
【0041】
一方ではガラスの溶解をより容易にするために、本発明に係るガラス中に存在するアルカリ金属酸化物の合計量は、少なくとも16質量%から高々21質量%までである。
しかしながら、アルカリ金属酸化物は、ガラスの耐薬品性を低減し得る。アルカリ金属酸化物の合計含量は、好ましくは17〜20質量%、特に好ましくは17〜19質量%である。
本発明によれば、ガラス中のアルカリ金属酸化物の含量は、個々には、LiOは0〜5質量%、NaOは1〜4質量%、KOは2〜7質量%、CsOは10〜16質量%である。
【0042】
Oは、SiO及びZrO含有ガラスの改善された溶融に特定の割合まで寄与することができる。本発明に係るガラスは、好ましくは2〜6質量%のKO、特に好ましくは2〜5質量%のKOを含有する。
【0043】
LiO含量は、好ましくは0〜4質量%、特に好ましくは0〜3質量%、さらに特に好ましくは本発明に係るガラスはLiOを含有しない。
本発明に係るガラスは、好ましくはCeO及びTiOも含有しない。
【0044】
CsOも溶融特性における改善に寄与するが、同時にX線不透過性を増大させ、かつ屈折率を調節するのに供される。本発明に係るガラスは、CsOを好ましくは11〜15質量%、特に好ましくは11〜14質量%含有する。アルカリ金属Csは、アルカリ金属Li、Na、K及びRbに比べてガラス母材中でより不動性である。従って、上記アルカリ金属よりも、沈降する割合がより少なく、従って耐薬品性を毀損する割合がより少なくなる。
【0045】
既に述べたように、CsO+La+SnO≧19質量%の条件が満たされることが必要である。好ましくは20質量%以上、特に好ましくは21質量%以上である。
【0046】
本発明に係るガラスは、CaOとMgOからなる群から選ばれるアルカリ土類金属を含有している。CaO含有量は、5〜9質量%、好ましくは6〜8質量%である。MgOは任意であり、0〜5質量%、好ましくは0〜4質量%、特に好ましくは0〜3質量%の量で存在してもよい。尚、ZnOは任意であるが、含有しないことが好ましく、あるいは含有しても5質量%未満であることが好ましい。
【0047】
本発明に係るガラスは、La自体を5〜12質量%含有することができる。前述したように、Laは、おそらくはCsO及び/又はZrO及び/又はSnOと一緒に、ガラスのX線不透過性を提供する。
La含量は、好ましくは6〜11質量%、特に好ましくは7〜10質量%である。
【0048】
まさにCsO及びLaと同様に、SnOは、少なくとも500%のALETを有する高いX線不透過性が達成されることに寄与している。この成分は、CsO及び/又はLaと同じ程度に屈折率を増大させないという付加的な利点を有する。従って、SnOはまた、同時に高いX線不透過性で1.54〜1.58の低い屈折率に設定するように供する。従って、それは0〜4質量%の量でガラス中に存在できる。それは、好ましくは0.1〜3質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%の量で本発明に係るガラス中に存在する。
【0049】
高いX線不透過性及びそれに応じてアルミニウム等価厚の特に高い値を達成するために、本発明に係るガラスの好ましい実施態様では、ガラス中に存在するCsO及び/又はLa及び/又はSnOの合計量は、19〜31質量%、好ましくは20〜28質量%、特に好ましくは21〜26質量%である。
【0050】
本発明に係るガラスは、WO及び/又はNb及び/又はHfO及び/又はTa及び/又はSc及び/又はYを、個々にあるいは所望の組合せで各々の場合に0〜3質量%の量でさらに含有することができる。
【0051】
前述したように、本発明に係るガラスは、環境に有害であり、また健康に有害な成分BaO及び例えばPbOを含有しない。環境に有害であり及び/又は健康に有害な他の物質の添加も、好ましくは回避される。特に、本発明に係る好適なガラスはまた、BaO及びSrOも健康に関係のある幾つかの適用状況においては受け入れられないので含有しない。ガラスは、同様に、好ましくはフッ化物を含有しない。何故ならば、これらは耐薬品性を低下させ、及び/又は周囲領域において樹脂との望ましくない反応をもたらし得るからである。
【0052】
さらに本発明の好適な実施態様においては、本発明に係るガラスはまた、好ましくは特許請求の範囲及び/又は本明細書に記載されていない他の成分は含有しない。即ち、そのような実施態様によれば、ガラスは本質的に記載された成分から成る。ここで、「本質的に・・・成る」という表現は、他の成分は高々不純物としては存在し得るが、個々の成分としてガラス組成物に故意に加えられていないことを意味する。「・・・フリー」という表現も同様である。
【0053】
しかしながら、本発明はまた、さらに他のガラスのためのベースとしての本発明に係るガラスの使用も提供し、前記した本発明に係るガラスにさらに他の成分を5質量%まで加えることができる。そのような場合、本発明によれば、ガラスは、少なくとも95質量%程度までが前記したガラスから成る。
【0054】
本発明に係るガラスはすべて、非常に良好な耐薬品性で注目され、これは樹脂母材と協同して高度の非反応性になり、従って歯科用組成物全体の非常に長期間の耐用年数に帰着する。
【0055】
言うまでもなく、この目的に慣用の酸化物を加えることによりガラスの色外観を適合させることも可能である。ガラスに色を付与するのに適している酸化物は当業者に知られており;例としてはCuO及びCoOを挙げることができ、それらはこの目的のためには好ましくは0〜0.1質量%の量で加えることができる。
【0056】
本発明はまた、本発明に係るガラスで作られているガラス粉末を含む。ガラス粉末は、例えばドイツ特許DE 41 00 604C1に記載されているように公知のプロセスによって製造される。本発明に係るガラス粉末は、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、とりわけ好ましくは0.1〜5μmの平均粒度を有する。0.1μmの平均粒度が下限として達成でき、勿論、これより小さな平均粒度も同様に本発明に包含される。上述のガラス粉末は、一般に、フィラー及び/又は歯科用ガラスとして本発明に係るガラスの使用のための出発材料として供することができる。
【0057】
好適な実施態様においては、ガラス粉末の表面は従来の方法を用いてシラン化される。シラン化は、塑性の歯科用組成物の樹脂母材への無機フィラーの結合が改善されることを可能にする。
【0058】
前述したように、本発明に係るガラスは、歯科用ガラスとして好適に使用することができる。好ましくは、歯の修復のための複合材におけるフィラーとして、特に好ましくは実質的に化学的に不活性なフィラーを必要とするエポキシ樹脂に基づく複合材用のフィラーとして用いられる。歯科用組成物中のX線不透過剤として使用される本発明に係るガラスについてもまた、本発明の範囲内にある。ガラスは、例えばYbFのような高価な結晶性のX線不透過剤と置き換えるのに適している。
【0059】
従って、本発明に係るガラスは、歯科用樹脂を含有する歯科用ガラス/樹脂複合材の製造のために好適に使用される。ここで、歯科用樹脂は、好ましくはアクリレート、メタクリレート、2,2−ビス[4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビス−GMA)、ウレタンメタクリレート、アルカンジオールジメタクリレート又はシアノアクリレートに基づく紫外線硬化性樹脂である。
【0060】
同様に、本発明に係るガラスは、塑性の歯科用組成物におけるX線不透過剤として使用することが可能であり、またそのために提供される。
【0061】
本発明はまた、本発明に係るガラスを含んでいる光学要素としての本発明に係るガラスの使用も含む。光学要素は、すべての対象物、特に光学適用のために使用することができる構成部品であると理解されるべきである。これらは、それらの中を光が通過する構成部品であり得る。そのような構成部品の例は、カバーガラス及び/又はレンズ要素であるが、例えば鏡、ガラス・ファイバーのような他の構成部品の担体でもある。
【0062】
カバーガラスは電子部品を保護するために好適に使用される。言うまでもなく、これらはさらにオプトエレクトロニクス構成部品も含む。カバーガラスは、通常、平坦な平行の表面を有するガラス・プレートの形態であり、好ましくは、例えば光などの電磁線がカバーガラスを通り抜けて電子部品と相互作用するのを許しながら周囲環境の作用から電子部品を保護するように、電子部品の上に取り付けられる。そのようなカバーガラスの例は、光学キャップ内にある電子イメージセンサーの保護のための要素、ウエハー・レベル・パッケージにおけるカバー・ウエハー、光電池のためのカバーガラス及び有機的な電子構成部品用の保護ガラスである。カバーガラスについてのさらに他の用途は、当業者にとって周知である。さらに、例えばカバーガラスが、好ましくはレンズの形態をしているかもしれない、少なくとも光学構造を有する領域に設けられる場合、光学機能をカバーガラスに一体化させることも可能である。マイクロレンズと共に設けられるカバーガラスは、通常、ディジタル・カメラのイメージセンサー用のカバーガラスとして使用され、マイクロレンズは、通常、イメージセンサーに斜方向に当たる光を個々のセンサー要素(ピクセル)上に集める。言うまでもなく、電子部品が基板ガラスに埋設され及び/又はそれに適用された電子部品用の基板ガラスとして、本発明に係るガラスを使用することも可能である。
【0063】
その光学特性のために、本発明に係るガラスは光学用途のために使用することもできる。実質的に化学的に不活性であるために、例えばシリコンをベースとする光電池及び有機的な光電池をカバーする光電池における基板ガラス及び/又はカバーガラスとしての適用、及び/又は薄膜光電池モジュールのキャリアー材料としての適用に適している。本発明に係るガラスのX線吸収は、なかんずく、地球の大気の外側では特に強いX線にさらされ得るので、宇宙旅行における光電池モジュールを用いるときに特に有利である。
【0064】
その特性のために、本発明に係るガラスは、さらに、好ましくはOLEDs(有機発光ダイオード類)のためのカバーガラス及び/又は基板ガラスとして用いることができる。
【0065】
本発明に係るガラスは、生化学用途、特に分子篩プロセス用のカバーガラス及び/又は基板ガラスとしての使用にも適している。
【0066】
その高い熱安定性のために、本発明に係るガラスは、ランプ・ガラスとして、特にハロゲン・ランプにおける使用に適している。ランプにおける光発生メカニズムがX線を生じる場合、本発明に係るガラスの特別の利点は、環境をX線から守ることができるということである。
【0067】
さらに、本発明は、物理的なプロセスによる本発明に係るガラスの蒸発、及び蒸発したガラスの部品上への蒸着を含む。そのような物理的気相蒸着プロセス(PVDプロセス)は当業者に知られており、例えばドイツ特許DE 102 22 964B4に記載されている。ここで、本発明に係るガラスは、そのようなプロセスにおいて蒸発されるターゲットとして供される。本発明に係るガラスが蒸着してコーティングされた部品は、ガラスの耐薬品性及びそのX線吸収の両方から利益を得ることができる。
【0068】
本発明に係るガラスは、ガラスファイバーの出発材料としても使用することができる。用語「ガラスファイバー」は、すべてのタイプのガラスファイバー、特にコアだけを含むファイバー、及びコアと、その外周面に沿ってコアを好ましくは完全に囲む少なくとも1つのクラッドを有する所謂コア−クラッドファイバー、を包含する。本発明に係るガラスは、コアガラス及び/又はクラッドガラスとして使用することができる。本発明に係るガラスの組成範囲内では、ガラスの屈折率nは、本発明に係るコアガラスが本発明に係るクラッドガラスより高い屈折率を有するように設定することができ、従って、光がコア−クラッド境界面で全反射によって非常に効率的に伝達される、所謂ステップインデックス型ファイバーが得られる。
【0069】
しかしながら、その良好な耐薬品性のために、推奨される適用分野はまた、特に、複合材料の補強材として及び/又はコンクリートの補強材として及び/又はコンクリートに埋め込まれる光ファイバーとしての、本発明に係るガラスファイバーの使用である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を示して本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されないことはもとよりである。
実施例1〜4
表1に、本発明の組成範囲内の好ましい4つの例示的な実施例を示す。尚、組成に関する詳細は、すべて質量%で与えられている。
【0071】
ALET値はすべて、DIN ISO 4049に関連して決定されたが、ディジタルX線装置を用いて決定された。そのプロセスで得られたグレイ−スケール値は、イメージプロセシング・ソフトウェアによって測定され、X線吸収はそれから決定された。
【0072】
各実施例に記載されているガラスは、以下のようにして製造した:
清澄剤なしで酸化物用の原料を計量し、次いで充分に混合する。ガラスバッチはバッチ式溶解装置内で約1550℃で溶解され、次いで清澄、均質化される。ガラスは、リボンとして、あるいは他の所望の寸法で、約1600℃の温度で注入でき、また加工できる。大容量の連続装置では少なくとも約100Kだけ温度を低くすることができる。
【0073】
さらに加工するために、冷却されたガラス・リボンは、高々10μmの平均粒度を有するガラス粉末を形成するために、ドイツ特許DE 41 00 604C1から公知の方法により、粉砕された。ガラス特性は、粉末へ粉砕されなかったガラス塊に基づいて決定された。ガラスはすべて、酸、アルカリ及び水に対する優れた耐薬品性を有し;さらに、それらはできるだけ化学的に不活性である。
【0074】
表1はまた、屈折率n、20〜300℃での線熱膨張係数α(20〜300℃)及び−30〜70℃でのα(−30〜70℃)を掲載している。後者は本発明に係るガラスが歯科用ガラスとして使用される場合には特別に興味があり、何故ならば、使用中に−30〜70℃の温度範囲が起こり得るためである。
【0075】
表1には、さらにアルミニウム等価厚(ALET)、及び本発明に係る各種ガラスの耐薬品性が掲載されている。ここで、SRはISO8424による耐酸性のクラスを表わし、ARはISO10629による耐アルカリ性のクラスを表わし、また、HGBはDIN ISO719による耐加水分解性のクラスを表わしている。
【0076】
表1に列挙されたガラスはすべて、20〜300℃の範囲において8×10−6/K未満の熱膨張係数αを有する。
【0077】
表1に示されているガラスは、少なくとも、BaO及び/又はSrOを含有しているガラスのそれと同じくらい良好なX線不透過性を有する。示されている実施例においては、513〜619%のALET値が得られている。
【0078】
実施例1〜4のすべてに共通する特徴は、それらの耐薬品性は最良のSR、AR及びHGBのクラス1又は1.0に分類することができるということであり、また、これらの実施例は従って前述した用途に非常に適している。
【0079】
各実施例はまた、本発明に係るガラス系の屈折率nは、顕著な耐薬品性に悪影響を及ぼすことなく1.55内外の適切な範囲内の意図した用途に適応することができることを実証している。その結果、歯科用組成物中のフィラーとして特に有利に使用することができるが、それだけでなく、なかんずく純度やまた耐薬品性及び熱安定性について高い要求がなされる他の用途にも有利に使用することができる。さらに、低コストで大きな産業規模で製造することができる。
【0080】
先行技術と比較して、本発明に係るガラスは、屈折率と膨張係数の適応性及び絶えず非常に良好な耐薬品性を、効率的なX線吸収とリンクするという更なる利点を有する。
さらに、本発明に係るガラスは、比較的容易に溶融し、従って低コストで製造することができる。
【0081】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準の質量%表示で以下の成分:
SiO 48〜56%、
3〜8%、
Al 0.5〜4%、
LiO 0〜5%、
NaO 1〜4%、
O 2〜7%、
CsO 10〜16%、
CaO 5〜9%、
MgO 0〜5%、
ZrO 0.5〜13%、
La 5〜12%、
SnO 0〜4%、
Σアルカリ金属酸化物 16〜21%、
CsO+La+SnO ≧19%
を含有し、1.54〜1.58の屈折率n及び少なくとも500%のアルミニウム等価厚を有するBaO−フリー及びPbO−フリーのX線不透過性ガラス。
【請求項2】
酸化物基準の質量%表示で以下の成分:
SiO 49〜55%、
4〜8%、
Al 1〜4%、
LiO 0〜4%、
NaO 1〜3%、
O 2〜6%、
CsO 11〜15%、
CaO 6〜8%、
MgO 0〜4%、
ZrO 1〜12%、
La 6〜11%、
SnO 0.1〜3%、
Σアルカリ金属酸化物 17〜20%、
CsO+La+SnO ≧20%
を含有する請求項1に記載のX線不透過性ガラス。
【請求項3】
酸化物基準の質量%表示で以下の成分:
SiO 50〜54.5%、
4〜7.5%、
Al 1〜3.5%、
LiO 0〜3%、
NaO 1〜3%、
O 2〜5%、
CsO 11〜14%、
CaO 6〜8%、
MgO 0〜3%、
ZrO 1〜11%、
La 7〜10%、
SnO 0.5〜3%、
Σアルカリ金属酸化物 17〜19%、
CsO+La+SnO ≧21%
を含有する請求項1又は2に記載のX線不透過性ガラス。
【請求項4】
酸化物基準の質量%表示でCsOとLaとSnOの合計量が19〜31%、好ましくは20〜28%、特に好ましくは21〜26%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線不透過性ガラス。
【請求項5】
SiOとZrOの含量の比が、SiO/ZrO≧4である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のX線不透過性ガラス。
【請求項6】
酸化物基準の質量%表示でさらに以下の成分:
WO 0〜3%、
Nb 0〜3%、
HfO 0〜3%、
Ta 0〜3%、
Sc 0〜3%、
0〜3%
を含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のX線不透過性ガラス。
【請求項7】
SrO及び/又はLiO及び/又はフッ化物を含有していないか、及び/又は酸化物基準でZnOを5質量%未満含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のX線不透過性ガラス。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のX線不透過性ガラスが酸化物基準で少なくとも95質量%の割合からなるX線不透過性ガラス。
【請求項9】
好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、とりわけ好ましくは0.1〜5μmの平均粒度を有し、及び/又は得られる粉末粒子の表面が好ましくはシラン化されているガラス粉末としての請求項1乃至8のいずれか一項に記載のX線不透過性ガラスの使用。
【請求項10】
歯科用ガラスとしての、特に歯修復用複合材のフィラーとしての請求項9に記載のガラス粉末の使用。
【請求項11】
歯科用樹脂、好ましくはアクリレート、メタクリレート、2,2−ビス[4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビス−GMA)、ウレタンメタクリレート、アルカンジオールジメタクリレート又はシアノアクリレートに基づく紫外線硬化性樹脂を含有する歯科用ガラス/樹脂複合材を製造するための請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガラスの使用。
【請求項12】
−塑性の歯科用組成物におけるX線不透過剤としての、及び/又は
−光学要素としての、及び/又は
−電子部品、特にセンサー用のカバーガラス及び/又は基板ガラスとしての、及び/又は
−ディスプレイ技術におけるカバーガラス及び/又は基板ガラスとしての、及び/又は
−光電池におけるカバーガラス及び/又は基板ガラスとしての、及び/又は
−OLED用のカバーガラス及び/又は基板ガラスとしての、及び/又は
−生化学用途のためのカバーガラス及び/又は基板ガラスとしての、及び/又は
−ランプガラスとしての、及び/又は
−PVDプロセスにおけるターゲット材料としての、及び/又は
−ガラスファイバーのコアガラス及び/又はクラッドガラスとしての、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガラスの使用。

【公開番号】特開2011−162435(P2011−162435A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27389(P2011−27389)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】