説明

バルブ装置

【課題】 小さな加圧力でも弁を確実に閉じることができ、漏洩の少ないバルブ装置を提供すること。
【解決手段】 可動軸21が下方に移動した遮断状態では、環状リブ6eが流入路12を形成する第1の貫通孔11の開口端に周囲に当接してこれを塞ぐ。可動軸21の先部と弁体6の挿入部6a内の内部底面6fとの間に空洞部Cしたことから、環状リブ6eは十分に弾性変形することが可能となり、第1の貫通孔11の開口端を確実に閉じることが可能となる。よって、漏洩の少ないバルブ装置とすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を開閉するバルブ装置に係わり、特に小さな加圧力でも確実に弁を遮断できるようにしたバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバルブ装置では、可動軸を軸線方向に変位させるアクチュエータが設けられ、この可動軸の先端に可撓性に優れたシリコンゴムなどからなる弁体が取り付けられている。
【0003】
このバルブ装置では、アクチュエータが駆動され、可動軸が軸線方向に沿って変位されると、先端に設けられた弁体が弁座に接触する。このとき、弁体が弁座に設けられた流出路を塞ぐため、流入路と流出路との間を遮断できるようになっている。
【特許文献1】特開2007−16935号公報(第11頁、図7−図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたバルブ装置では、可動軸の先端が弁体の中心の中心底部に密着する構成である。
【0005】
しかし、前記中心底部の板厚寸法は薄いため、弁体が弁座に接触し遮断状態となったときには、弁体自身は変形することができず、あるいは変形できたとしても極わずかであるため、弁体の有する弾性力を有効に利用することができず、結果として漏洩の少ない遮断状態を保つことが困難であった。
【0006】
また流路内の圧が高い場合において流体の漏洩を防止するには、遮断状態において大きな加圧力で弁座を加圧することが必要である。
【0007】
しかし、特許文献1に記載のものでは、弁体の中心底部が平坦面で形成されており、中心底部に対して流体からの圧力が同じ方向に作用してしまうために加圧力を高めることが困難であった。しかも、必要以上に大きな加圧力で加圧すると、遮断状態から開放状態に切り換えたときに、弁体側の中心底部が弁座に張り付いてしまって開放状態への切り替えが不十分になるという問題があった。さらには大きな加圧力を発生させるアクチュエータが必要となるため、バルブ装置が大型化しやすいという問題もあった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、弁体自身の有する弾性を有効利用することよって、小さな加圧力でも高い遮断状態を保つことが可能なバルブ装置を提供することを目的としている。
【0009】
また本発明は、遮断状態と開放状態との切り替えを確実に行えるようにしたバルブ装置を提供することを目的としている。
【0010】
さらに本発明は、アクチュエータの小型化に適したバルブ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、流路を形成する貫通孔の開口端に対し進退自在に対向配置された可動軸と、前記可動軸を前記貫通孔の開口端に接近および離間する軸線方向に沿って移動させる駆動機構と、前記可動軸の先端に設けられ、前記貫通孔の開口端に当接したときに弾性変形して前記貫通孔を閉鎖する弁体と、を備えたバルブ装置において、
前記弁体は、前記可動軸の先端を保持する有底の挿入部を有しており、前記挿入部に挿入された前記可動軸の先端と前記挿入部内の底面との間に空洞部が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明では、弁体自身が有する弾性力と、空洞部によって形成される弾性力とを発生させることができる。このため、弁体と貫通孔の開口端との間を確実に閉じることが可能となる。
【0013】
上記において、前記挿入部の外部底面には、断面凸状の環状リブが周設されているものが好ましい。
【0014】
さらには、前記環状リブの側面が、外部底面側の基端部から先端に向かうほど細くなるテーパ状で形成されているものが好ましい。
【0015】
上記手段では、弁体の外部底面に対して垂直方向に沿って作用する流体側の圧力を軽減することができる。このため、従来に比較して小さな加圧力で確実に弁を閉じることが可能となる。
【0016】
また弁体が貫通孔の周囲に張り付きにくくなるため、遮断状態と開放状態との切り替えを確実且つスムーズに行うことができる。
【0017】
例えば、前記弁体は、軸線方向に延びる軸部と、この軸部と直交する外周方向に広がるフランジ部と、前記フランジ部の外周側に環状に形成された支持部とが一体形成されたものであり、前記挿入部が前記軸部に形成されているとして構成できる。
また、前記弁体がシリコンゴムで形成されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバルブ装置では、小さな加圧力でも確実に弁を閉じることができる。
また遮断状態と開放状態との切り替えを確実且つスムーズに行うことができる。
さらには、バルブ装置全体の大きさを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の実施の形態を示すバルブ装置の断面図、図2はバルブ装置の弁体を示す斜視断面図、図3および図4はバルブ装置の動作状態を示しており、図3は開放状態を示す拡大断面図、図4は遮断状態を示す拡大断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に示すバルブ装置1は、弁本体2と電磁アクチュエータ(駆動機構)3とを有して構成される。バルブ装置1は、図示上側が電磁アクチュエータ3の配置される駆動側DSとされ、下側に流路を供えた流体側FSとされている。また、弁本体2は、図示左側が流体の供給側SSとされ、右側が流体の吐出側ESとされている。したがって、この実施の形態では、流体が図示左側の供給側SSから右側の吐出側ESに向かって流れる。
【0021】
図1に示すように、弁本体2は、ボディ4と上蓋5とを有し、これらの間に弁体6が挟持されている。また、電磁アクチュエータ3は、上蓋5の駆動側DSに取り着けられている。
【0022】
ボディ4は、非磁性体、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの樹脂の成型品として形成されている。このボディ4の駆動側DSに位置する上面の中央部には弁室7が一体に凹設されている。そして、この弁室7の図示上方の開口端は、弁体6の下面によって閉塞されている。なお、弁室7の形状としては、平面矩形状、円形状などの各種の形状から選択することができる。
【0023】
ボディ4の中央部には左右一対のノズル8,9が一体に突設されている。これらの左右一対のノズル8,9は、左方の供給側SSに配置された一方が流体の供給に用いる供給ノズル8Aであり、右方に示す吐出側ESに配置された他方が流体の吐出に用いる吐出ノズル9Aである。
【0024】
一方の供給ノズル8Aの供給側内孔8aは、ボディ4の中央部に向かって水平に延出されている。供給側内孔8aのボディ4の中央側には第1の内端部8bが設けられている。この第1の内端部8bには、弁室7の底面7aに向かって垂直に延在する第1の貫通孔11が形成されている。なお、第1の貫通孔11は弁室7の底面7aのほぼ中心部に形成されている。前記供給側内孔8aと前記第1の貫通孔11とによって、本実施形態における弁室7に流体を流入させるための流入路12が形成されている。
【0025】
他方の吐出ノズル9Aの吐出側内孔9aも、ボディ4の中央部に向かって水平に延出されている。吐出側内孔9aのボディ4の中央部側に位置する第2の内端部9bには、弁室7の底面の左端部から下方に向かって垂直に延在する第2の貫通孔14の下端部が接続されている。そして、吐出側内孔9aと第2の貫通孔14とによって、本実施形態における弁室7から流体を流出させるための流出路15が形成されている。
【0026】
図2に示すように、本実施の形態に示す弁体6は、独楽形状(円盤の中心に軸を設けた形状)として形成されている。弁体6の中心には軸部6Aが設けられ、この軸部6Aの長手方向(軸線方向(Z方向)ともいう)の中間には軸部6Aから外周方向に向かって広がるフランジ部6Bが設けられている、そして、このフランジ部6Bの先端には環状(ドーナツ状態)に形成された支持部6Cが設けられている。軸部6A、フランジ部6Bおよび支持部6Cは、シリコンゴムなどの弾性体で一体的に形成されている。なお、弁室7の開口端に弁体6を設ける際、ボディ4と上蓋5と間に支持部6Cが強固に挟持される。このため、この弁体6によって流体が弁室7から駆動側DSに流出する漏洩を防止することができる。
【0027】
前記軸部6Aには、図示Z1側の上端からZ2方向の下端に向かって凹設された挿入部6aが形成されている。挿入部6aの中間部には、挿入部6aの直径よりも僅かに大きな直径からなる掛止部6bが形成されている。また軸部6Aの下面側となる挿入部6Aの底部(外部底面6d)の中心から外周側となる位置には、断面凸状からなる環状リブ6eが一体で周設されている。このような形状を有する弁体6は、後述する可動軸21の変位に対して柔軟な弾性変形が付与される。
【0028】
環状リブ6eの少なくとも外側の側面は、基端側となる外部底面6dからZ2側の先端に向かうほどに細くなる傾斜面(テーパ状)からなるテーパ部6e1で形成されている。そして、環状リブ6eの先端部分の直径は、第1の貫通孔11の直径よりも大きい。このため、環状リブ6eの先端が第1の貫通孔11の開口端に当接したときには、環状リブ6eの内側に第1の貫通孔11の開口端が収まる。すなわち、第1の貫通孔11の開口端の周囲を環状リブ6eで包囲することが可能となっている。
【0029】
上蓋5は、ボディ4と同様に、非磁性体、例えば、PPSなどの樹脂の成型品によって形成されている。上蓋5は円盤状の取付部5Aと、この取付部5Aの駆動側DSに位置する上面に対して垂直となる方向に延びる保持本体5Bとが一体に形成されている。保持本体5Bは長手方向の中央が両端よりも細く絞られた円環状の摺動基準部5aが設けられている。摺動基準部5aの内側は、可動軸21が軸線方向に移動する際の基準となる基準面を形成している。上蓋5は、取付部5Aの装着穴に挿入された取付ねじによって、ボディ4の上に取り付けられる(図示せず)。
【0030】
電磁アクチュエータ3は、弁本体2の弁体6の先端に設けられた環状リブ6eを、弁室7の底部7aに形成された第1の貫通孔11の開口端に対して接離させるものである。すなわち、図3に示す流路の開放状態と、図4に示す流路の遮断状態とを選択的に切り換えるためのものである。
【0031】
図1に示すように、電磁アクチュエータ3は、磁性体、例えば、磁気吸着性の高い純鉄などの加工品によって形成された可動軸(プランジャ)21を有している。可動軸21は円柱状からなる軸本体21aを有している。この軸本体21aの下端および上端には、軸本体21aの外径より細い径寸法で形成された作動部22および案内軸23が共に一体に形成されている。なお、作動軸22および案内軸23の周囲には、防振ゴムなどの緩衝材により形成された円環状のクッション38,39がそれぞれ装着されている。
【0032】
下端側に設けられた作動部22の長手方向の中央部には、作動部22よりも太く、且つ軸本体21aよりも細い径寸法からなる掛止部22aが形成されている。作動部22は前記弁体6の挿入部6aに挿入されるが、このとき挿入部6a内に形成された掛止部6bと作動部22に形成された掛止部22aとが互いに掛止し合う。これにより、挿入部6aからの作動部22の抜け止めが防止される。
【0033】
また本発明では、前記挿入部6aの深さ寸法は、前記作動部22の長さ寸法よりも若干深めに設定されている。このため、作動部22を前記弁体6の挿入部6aに挿入した状態では、可動軸21の先端である作動部22の先部と挿入部6aの上側となる内部底面6fとの間に所定の隙間余裕δからなる空洞部Cが形成されている(図3参照)。
【0034】
図1に示すように、軸本体21aの作動部22の近傍と、軸方向のほぼ中央部分には、ほぼ円環状の摺動部25,25が形成されている。これらの摺動部25,25の外径は、作動部22の外径と同等もしくは若干大きく形成されている。摺動部25,25の直径は、前記保持本体5Bの摺動基準部5aの直径と同じか、または僅かに細く形成されている。軸本体21aは、前記摺動部25,25が摺動基準部5aの内接しており、この摺動基準部5aにガイドされて軸線方向に移動する。
【0035】
また図1に示すように、上端側に設けられた案内軸23は、保持本体5Bの上端に固定されたケース蓋31の中心の形成されたガイド穴31aに挿通されている。このガイド穴31aは可動軸21が前記摺動基準部5aの内側を基準として軸線方向(Z方向)に沿って移動する際の直線性を補助する機能を有している。
【0036】
前記可動軸21の外側、より具体的には保持本体5Bの外側の位置には、磁性体によって形成されたヨーク32が設けられる。このヨーク32は、磁気回路を構成する為に配置されたものである。コイル33は、保持本体5Bの摺動基準部5aの外側とヨーク32との間に設けられる。
【0037】
保持本体5Bの上下の位置には、大径筒状部5C、5Dが一体に形成されている。この大径筒状部5C,5Dには、リング状の永久磁石41,42が設けられている。永久磁石41,42の両面には、磁性材料で形成されたヨーク43、44がそれぞれ固定されている。これらのヨーク43,44は、磁性体、例えば、磁束を通過させやすい純鉄などの加工品によって、全体としてほぼ環状に形成されている。
【0038】
上下の永久磁石41,42は軸方向に互いに逆向きに着磁されており、その磁極は可動軸21の移動方向であるZ方向に沿って並設されている。例えば、上側の永久磁石41は上端部側がS極に、下端部側がN極に着磁されているときには、下側の永久磁石42は上端部側がN極に着磁され、下端部側がS極に着磁される。そして、可動軸21は、このような環状の永久磁石41,42およびこれらの両端面に固定された環状のヨーク43、44の中心部をZ方向に貫くように配設されている。この状態では、軸本体21aの上部側の外面と永久磁石41の内面とが対向し、軸本体21aの下部側の外面と永久磁石42の内面とが対向する。
【0039】
したがって、永久磁石41,42の磁力によって、可動軸21をそのいずれかの移動方向に吸引、すなわち、可動軸21は、図1の下方に示す突出する方向(Z1方向)または図1の上方である引き込む方向(Z2方向)に磁気吸着されて保持される。
【0040】
なお、上部側に位置する永久磁石41の上面に固定されたヨーク43の上端面は、保持本体5Bの上部に設けられたケース蓋31の下端面に当接している。下部側に位置する永久磁石42に上面に固定されたヨーク44の下端面は、環状に形成された磁石固定部材39の上面に当接している。そして、磁石固定部材39の下面は弁体6の外周側に設けられた支持部6Cの内面と接する位置において、フランジ部6Bの上面に当接している。
【0041】
図3に示すように、流路が開放状態にあり、可動軸21が上方(Z1方向)に移動すると、可動軸21の上端側に設けられたクッション38がケース蓋31の下面に当接し、可動軸21の上方への移動位置を規制する。同時に、磁石固定部材39はフランジ部6Bの外周側の上面を押え付け、クッション38と同様に可動軸21の上方への移動位置を規制する。このとき、クッション38は、可動軸21の上端面が、ケース蓋31に接触したときの衝撃を吸収する。
【0042】
本実施形態のバルブ装置1では、コイル33に供給する電流の方向を切り換えることで、可動軸21の上端部の極性をS極、N極、S極、N極・・・の順に 切り換えることができ、同時に可動軸21の下端部の極性を上端部の極性の切り換えと同期させてN極、S極、N極、S極・・・の順に切り換えることができるようになっている。つまり、電磁アクチュエータ3は電磁石として作用し、供給する電流の方向に応じて可動軸21を、その軸方向に沿って下方への突出する方向(Z2方向)および上方への引き込む方向(Z1方向)の両方向に往復移動させることができる。そして、移動後の位置では、電流を遮断しても永久磁石41,42の磁気吸引力によって、可動部21をその位置に保持することが可能となる。
【0043】
次に、上記構成からなるバルブ装置の電磁弁としての動作について説明する。
電磁アクチュエータ3のコイル33に対し、一方向の電流を与えると、可動軸21が上方(Z1方向)に移動させられ、流路は図3に示すような開放状態に設定させられる。この開放状態では、弁体6の先端である環状リブ6eが、弁室7の底面から上方に離れ、第1の貫通孔11の開口端が開放される。このため、流体は供給側SSから一方の供給ノズル8Aの供給側内孔8aおよび第1の貫通孔11を介して弁室7に供給される。続いて、流体は、弁室7から第2の貫通孔14および他方の吐出ノズル9Aの吐出側内孔9aを介して吐出側ESに吐出される。
【0044】
次に、電磁アクチュエータ3のコイル33に与える電流の向きを切り換えると、図4に示すように可動軸21が下方(Z2方向)に移動させられ、流路は遮断状態に切り換えられる。この遮断状態では、弁体6の先端である環状リブ6eが、弁室7の底面に設けられた第1の貫通孔11の周囲に当接し、第1の貫通孔11の開口端を閉鎖する。
【0045】
このとき、前記可動軸21の下方向の端部と弁体6の内部底面6fとの間には空洞部Cが介在するため、可動軸21からの加圧力は空洞部Cを介して弁体6の先端の環状リブ6eに伝達される。このとき、空洞部Cはエアクッション的な役割を果たす。このため、環状リブ6eは弁体6自身が有する弾性力に前記空洞部Cによる弾性力が加わった状態で第1の貫通孔11の開口端の周囲を弾性的に加圧する。これにより、弁体6の環状リブ6eは十分に弾性変形することが可能となり、第1の貫通孔11の開口端を確実に閉じることが可能となる。よって、漏洩の少ない遮断状態を保つことが可能となる。
【0046】
また環状リブ6eは、外部底面6dよりも下方(Z2方向)に突出しており、環状リブ6eが第1の貫通孔11の開口端の周囲に当接すると、外部底面6dと弁室7の底面との間に僅かな隙間が形成される。このため、流体の圧力が作用する方向は、外部底面6dに対して上向き垂直な方向(Z1方向)だけではなく、周方向に広がる水平方向、すなわち環状リブ6eの内側の面にも作用させることができる。その結果、弁体6の外部底面6dに作用する流体の圧力を外周方向に分散させることができ、前記上向き垂直な方向の圧力を低減することができる。このため、従来よりも小さな加圧力でも、環状リブ6eを第1の貫通孔11の開口端の周囲に密着させて、前記第1の貫通孔11を塞ぐことができ、漏洩の少ない遮断状態を保つことが可能となる。しかも、従来に比較して加圧力を小さくすることができるため、環状リブ6eが第1の貫通孔11の周囲に張り付き難くすることができる。このため、遮断状態と開放状態との切り替えを確実に行うことが可能となる。
【0047】
このように、本願発明のバルブ装置1では大きな加圧力がなくとも弁を確実に閉じることができる。このため、電磁アクチュエータとしても小型のものを採用することができ、結果として小型化のバルブ装置とすることができる。
【0048】
なお、上記実施の形態では、空洞部Cおよび環状リブ6eが設けられ、さらに環状リブ6eの両側面をテーパ状とした構成のすべてを備える場合について説明したが本願発明はこれに限られるものではない。すなわち、多少効果は低減するものの、空洞部Cと環状リブ6eはいずれか一方のみを有する構成でもよい。また環状リブ6eを有する場合には、側面のテーパ部6e1はテーパ状で形成されているものに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態を示すバルブ装置の断面図、
【図2】バルブ装置の弁体を示す斜視断面図、
【図3】バルブ装置の動作状態として開放状態を示す拡大断面図、
【図4】バルブ装置の動作状態として遮断状態を示す拡大断面図、
【符号の説明】
【0050】
1 バルブ装置
2 弁本体
3 電磁アクチュエータ(駆動機構)
4 ボディ
5 上蓋
5a 摺動基準部
6 弁体
6A 軸部
6B フランジ部
6C 支持部
6a 挿入部
6d 外部底面
6e 環状リブ
6e1 テーパ部(環状リブの外側の側面)
7 弁室
8,9 ノズル
8a 供給側内孔
8A 供給ノズル
9A 吐出ノズル
9a 吐出側内孔
11 第1の貫通孔
14 第2の貫通孔
21 可動軸
21a 軸本体
22 作動部
23 案内軸
33 コイル
41,42 永久磁石
43,44ヨーク
C 空洞部
DS 駆動側
FS 流体側
SS 供給側
ES 吐出側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を形成する貫通孔の開口端に対し進退自在に対向配置された可動軸と、前記可動軸を前記貫通孔の開口端に接近および離間する軸線方向に沿って移動させる駆動機構と、前記可動軸の先端に設けられ、前記貫通孔の開口端に当接したときに弾性変形して前記貫通孔を閉鎖する弁体と、を備えたバルブ装置において、
前記弁体は、前記可動軸の先端を保持する有底の挿入部を有しており、前記挿入部に挿入された前記可動軸の先端と前記挿入部内の底面との間に空洞部が形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
前記挿入部の外部底面には、断面凸状の環状リブが周設されている請求項1記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記環状リブの側面が、外部底面側の基端部から先端に向かうほど細くなるテーパ状で形成されている請求項1または2記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記弁体は、軸線方向に延びる軸部と、この軸部と直交する外周方向に広がるフランジ部と、前記フランジ部の外周側に環状に形成された支持部とが一体形成されたものであり、前記挿入部が前記軸部に形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記弁体がシリコンゴムで形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−291911(P2008−291911A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137610(P2007−137610)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】