バンク形成方法、カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法
【課題】 フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性を向上させる。
【解決手段】 所定の基板上に現像液を浸透する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、上記犠牲層上にフォトレジストからなるバンク層を形成するバンク層形成工程と、上記バンク層をマスクを介して露光する露光工程と、上記露光工程後の上記バンク層を現像液によって現像する現像工程とを有する。
【解決手段】 所定の基板上に現像液を浸透する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、上記犠牲層上にフォトレジストからなるバンク層を形成するバンク層形成工程と、上記バンク層をマスクを介して露光する露光工程と、上記露光工程後の上記バンク層を現像液によって現像する現像工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンク形成方法、カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラーフィルタ基板の着色層、有機EL装置の有機機能層及び微細な配線パターン等を液滴吐出法を用いて形成する方法が提案されている。
この液滴吐出法によれば、材料を必要な箇所に必要なだけ配置することができるため、材料使用量の削減や形成時間の短縮化を図ることができる。
【0003】
このような液滴吐出法では、液状の材料、あるいは、材料を液体に含有させた液状体を吐出するため、材料を基板上に配置する場合には、液滴吐出法によって吐出した液体が流れ出さないよう、基板上に予めバンクと呼ばれるバンクを形成し、このバンク間に液体を吐出配置している。そして、バンク間に配置された液体が乾燥あるいは焼成されることによって、最終的に、バンク間に着色層、有機機能層あるいは配線パターンが形成される。
【0004】
ところで、液滴吐出法において液体を所定領域、すなわちバンク間に配置する際には、バンク間において液滴吐出法によって吐出された液体を濡れ広がらせる必要がある。ここで、液体が濡れ広がらない場合には、液体の液滴の膜厚等にムラが生じ、均一な機能を発揮することができなくなる。また、バンク間から液体が食み出した場合には、混色等の不良原因となる場合もある。
そこで、例えば、プラズマ処理によって、バンク間の親液性を高めたり(特許文献1)、バンクに撥液性を与えたりすることによって、液体が確実にバンク間においてのみ濡れ広がらせる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−372921号公報
【特許文献2】特開2003−172817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状においては、上述のような技術を用いても、液体を確実にバンク間においてのみ濡れ広がらせることが困難である。
これは、バンクを形成する際に用いられるフォトリソグラフィー法の現像工程に問題があるものと考えられる。より詳細には、現像工程において用いられる現像液がバンク層の厚み方向に浸透しにくいために、結果として現像部の基板面にレジスト残渣を生じたり、形成されるバンクの断面形状がバンク上面から基板面に向けて幅の広がったテーパー状となるためと考えられる。すなわち、フォトリソグラフィー法における現像性が悪いことが原因と考えられる。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のバンク形成方法は、所定の基板上に現像液を浸透する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、上記犠牲層上にレジストからなるバンク層を形成するバンク層形成工程と、上記バンク層をマスクを介して露光する露光工程と、上記露光工程後の上記バンク層を現像液によって現像する現像工程とを有することを特徴とする。
【0008】
このような特徴を有する本発明のバンク形成方法によれば、犠牲層形成工程において現像液を浸透する犠牲層が基板上に形成され、バンク層形成工程において、レジストからなるバンク層が犠牲層上に形成され、露光工程においてバンク層がマスクを介して露光され、現像工程において露光工程後のバンク層が現像液によって現像される。
ここで、本発明のバンク形成方法においては、バンク層と基板との間に犠牲層が形成されているため、現像工程において、基板面にまで達した現像液が犠牲層に浸透し、基板側からバンク層を現像する。このため、基板面にレジスト残渣を生じることがなく、バンクの断面形状がテーパー状になることも抑止することができ、エッジの立ったバンクを形成することができる。
したがって、本発明のバンク形成方法によれば、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性を向上させることが可能となる。
【0009】
また、本発明のバンク形成方法において、具体的には、上記犠牲層が、酸化物からなる微粒子によって形成されているという構成を採用することができる。上記酸化物からなる微粒子は、ケイ素、亜鉛、スズ、ストロンチウム、タングステン、チタン、ビスマス、及び鉄から選択される1種以上の物質の酸化物であるという構成を採用することができる。
また、上記犠牲層は、酸化物を含んでなる微粒子とが少なくとも1種以上混合されて形成されているという構成を採用することもできる。
【0010】
また、本発明のバンク形成方法においては、上記バンク層と上記犠牲層との間に第2のバンク層を形成する工程を有するという構成を採用することができる。
このような構成を採用することによって、現像工程において、第2のバンク層も現像されるため、2層バンクを形成することができる。
【0011】
次に、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする。
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする。
また、本発明の配線パターン形成方法においては、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明のカラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法及び配線パターンの形成方法においては、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されるため、現像性がよく、エッジの立ったバンクが形成される。
したがって、バンク間に均一な機能を発揮する機能層(カラーフィルタ基板の製造方法においてはカラーフィルタ、有機EL装置の製造方法においては有機機能層、配線パターンの形成方法においては配線層)が形成されたカラーフィルタ基板、有機機能層、配線パターンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るバンク形成方法、カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法の一実施形態について説明する。
なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
(バンク形成方法)
図1は、本実施形態のバンク形成方法によって形成されたバンク1を備える基板Pの断面を模式的に示した図である。
この図に示すように、基板Pは、その上面P1にバンク1が形成された構成を有しており、基板Pの上面P1とバンク1との間には犠牲層2が形成されている。なお、基板Pとしては、特に限定されるものではないが、例えば、絶縁性を有する透明基板、半透明基板、不透明基板等の種々の基板を用いることができる。また、犠牲層2は、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像液を浸透する機能を有しており、本実施形態においては、チタンの酸化物である二酸化チタンによって形成されている。
そして、図に示すように、本実施形態のバンク形成方法によって形成されたバンク1は、そのエッジ11が立ったものとなっており、現像性が良い状態において形成されている。
【0015】
次に、本実施形態のバンク形成方法について説明する。
【0016】
まず、図2に示すように、基板Pの上面P1側に、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像液を浸透する犠牲層2を形成する(犠牲層形成工程)。
具体的には、二酸化チタン微粒子を溶媒に分散させ、この溶液を基板P上に配置した後、溶媒を揮発あるいは蒸発させることによって、犠牲層2が形成される。
【0017】
続いて、図3に示すように、犠牲層2が形成された基板P上にフォトレジスト(感光性樹脂)からなるバンク層10を形成する(バンク層形成工程)。
具体的には、スピンコート法等の所定の方法によって、フォトレジスト材料を基板P上に配置することによって、バンク層10が形成される。
【0018】
そして、図4に示すように、マスクMを介してレジストによって形成されたバンク層10を露光したのち、現像液によって現像する。
ここで、本実施形態のバンク形成方法においては、犠牲層形成工程において、バンク層10と基板Pの上面P1との間に犠牲層2が形成されている。この犠牲層2は、上述のように現像液が浸透するものである。このため、図5に示すように、基板Pの上面P1にまで達した現像液Xが犠牲層2に浸透し、基板P側からバンク層10を現像する。この結果、バンク層10が厚み方向に沿ってエッチングされる。したがって、図1に示すように、バンク1の断面形状がテーパー状になることを抑止することができ、エッジの立ったバンクを形成することができる。また、犠牲層2として透明な二酸化チタン微粒子を採用しているため、犠牲層2が基板Pの上面P1に残っていても、そのまま利用することが可能である。
このように、本実施形態のバンク形成方法によれば、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性を向上させることが可能となる。
【0019】
なお、バンク1が撥液性を有する材料によって形成されていない場合には、必要に応じてバンク1をCF4プラズマ等によって撥液化する撥液化工程を行っても良い。この撥液化工程を行うことによって、撥液性を有するバンク1を形成することができる。このとき、基板Pの上面P1にレジスト残渣が存在すると、バンク1同様に撥液化するため、基板Pの上面P1の濡れ広がり性が悪くなる。しかし、犠牲層2が基板Pの上面P1に残っていた場合は、犠牲層2として二酸化チタン微粒子を採用しているため、CF4プラズマ等によって撥液化することがなく濡れ広がり性は悪くならない。
また、バンク1,1間に露出した基板Pの上面P1の親液性をO2プラズマによるアッシング処理等によって高める処理を行っても良い。これによって、バンク1,1間に液体材料を配置した場合の液体材料の濡れ拡がり性を高めることができる。
【0020】
図6は、2層バンク3,4が形成された基板Pの断面を模式的に示した図である。
この図に示すように、本実施形態のバンク形成方法によれば、図6に示すような2層バンク3,4を形成する場合であっても、そのエッジ31,41を立ったものとすることができる。
【0021】
具体的には、このような2層バンク3,4を形成する場合には、図7に示すように、基板Pの上面P1側に犠牲層2、バンク層30、バンク層40を配置する。なお、バンク層40は、フォトレジストによって形成されているが、バンク層30は、必ずしもフォトレジストから構成される必要はない。
続いて、マスクを介してバンク層40を露光し、その後、現像液によって現像する。ここで、本実施形態のバンク形成方法においては、バンク層30と基板Pの上面P1との間に犠牲層2が形成されている。このため、基板Pの上面P1にまで達した現像液が犠牲層2に浸透し、基板P側からバンク層30を現像する。この結果、バンク層30,40が厚み方向に沿ってエッチングされる。したがって、図6に示すように、バンク3,4の断面形状が逆テーパー状になることを抑止することができ、エッジの立ったバンクを形成することができる。
【0022】
(カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法)
次に、上記実施形態のバンク形成方法を用いたカラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法について説明する。なお、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法においては、上記実施形態のバンク形成方法によって形成されたバンク間に液体材料を液滴吐出法によって吐出配置する点において共通している。このため、まず、液体材料を液滴吐出法によって吐出配置する液滴吐出装置について説明する。
【0023】
(液滴吐出装置)
図8は、液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド100と、X軸方向駆動軸6と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0024】
液滴吐出ヘッド100は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド100の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド100の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した着色材を含むインクが吐出される。
【0025】
図9は液滴吐出ヘッド100をノズル面側(基板Pとの対向面側)から見た図である。図9に示すように、液滴吐出ヘッド100は、複数のヘッド部21と、これらヘッド部21を搭載したキャリッジ部22とを備えている。ヘッド部21のノズル面24には液状材料の液滴を吐出する複数の吐出ノズル110が設けられている。ヘッド部21(ノズル面24)のそれぞれは平面視矩形状であって、吐出ノズル110は、ヘッド部21の長手方向である略Y軸方向に沿って一定間隔で列状に、且つヘッド部21の幅方向である略X軸方向に間隔をあけて2列でノズル面24のそれぞれに複数(例えば、1列180ノズル、合計360ノズル)設けられている。また、ヘッド部21は、吐出ノズル110を基板側に向けるとともに、Y軸に対して所定角度傾いた状態で略Y軸方向に沿って列状に、且つX軸方向に所定間隔をあけて2列に配置された状態でキャリッジ部22に複数(図9では1列6個、合計12個)位置決めされて支持されている。
【0026】
ここで、液滴吐出ヘッド100は、この液滴吐出ヘッド100のY軸方向に対する取り付け角度を調整可能な角度調整機構(不図示)を備えている。この角度調整機構により、液滴吐出ヘッド100はY軸方向に対する角度θを可変とする。角度調整機構を駆動することにより、吐出ノズル110のそれぞれをY軸方向に並んで配置したり、吐出ノズル110の並び方向のY軸に対する角度を調整でき、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0027】
図8に戻り、X軸方向駆動軸6には、X軸方向駆動モータ61が接続されている。X軸方向駆動モータ61はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸6を回転させる。X軸方向駆動軸6が回転すると、液滴吐出ヘッド100はX軸方向に移動する。
【0028】
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ51を備えている。Y軸方向駆動モータ51はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0029】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド100における液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ61に液滴吐出ヘッド100のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ51にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0030】
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド100をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
【0031】
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0032】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド100と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド100の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。
【0033】
図10は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図10において、液体材料を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。
なお、液滴吐出方式としては、液体材料を加熱し発生した泡(バブル)により液体材料を吐出させるバブル(サーマル)方式でも採用可能であるが、ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0034】
(カラーフィルタ基板の製造方法)
続いて、上記実施形態のバンク形成方法及び上述の液滴吐出装置を用いたカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
【0035】
まず、図11に示すように、透明の基板742の一方の面に対し、上記実施形態のバンク形成方法によってバンク706(ブラックマトリクス)を形成する。なお、このバンク706を形成する際には、光透過性のない樹脂(好ましくは黒色樹脂)をバンク形成材料としてもちいる。
【0036】
次に、図12に示すように、上述した液滴吐出装置からRの液滴790R(液体材料)を吐出し、これをバンク706,706間に着弾させる。次いで、液状体の仮焼成を行い、図13に示すようなR着色層703Rとする。そして、以上の工程を、R、G、Bの各色について繰り返し、図14に示すように、着色層703G,703Bを順次形成する。着色層703R,703G,703Bを全て形成した後、着色層703R,703G,703Bを一括して焼成する。
ここで、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においては、上記実施形態のバンク形成方法によってバンク706を形成している。このため、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性が向上されており、バンク706,706間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク706となっている。したがって、膜厚の均一な着色層703が形成される。
【0037】
次に、基板742を平坦化し、かつ着色層703R,703G,703Bを保護するため、図15に示すように各着色層703R,703G,703Bやバンク706を覆うオーバーコート膜(保護膜)704を形成する。この保護膜704の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、リッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層703R,703G,703Bの場合と同様に液滴吐出プロセスを用いることもできる。
そして、以上の工程によって、カラーフィルタ基板が製造される。
【0038】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態のバンク形成方法を用いているため、現像工程の現像性が向上されており、エッジの立ったバンク706が形成される。このため、ムラがなく平坦且つ均一な厚さの着色層を得ることができる。
【0039】
(有機EL装置の製造方法)
続いて、上記実施形態のバンク形成方法及び上述の液滴吐出装置を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置の製造方法について説明する。
【0040】
まず、図16に示すように、スイッチング素子810が透明画素電極820毎に形成された基板801を用意する。そして、バンク806,806間に透明画素電極820が露出するように、上記実施形態のバンク形成方法によって、図17に示すように、バンク806を形成する。
【0041】
続いて、有機機能層材料を液滴吐出装置によって、図18に示すように、バンク806,806間、すなわち透明画素電極820上に配置し、その後、焼成することによって、有機機能層830を形成する。なお、フルカラー表示可能な有機EL装置を製造する場合には、図19に示すように、赤色光を発光する有機機能層830Rと、緑色光を発光する有機機能層830Gと、青色光を発光する有機機能層830Bとを形成する。
ここで、本実施形態の有機EL装置の製造方法においては、上記実施形態のバンク形成方法によってバンク806を形成している。このため、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性が向上されており、バンク806,806間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク806となっている。したがって、膜厚の均一な有機機能層830が形成される。
【0042】
そして、図20に示すように、有機機能層830及びバンク806を覆う陰極840を形成し、その後封止することによって有機EL装置が製造される。
【0043】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態のバンク形成方法を用いているため、現像工程の現像性が向上されており、バンク806,806間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク806が形成される。このため、ムラがなく平坦且つ均一な厚さの有機機能層を得ることができる。
【0044】
(配線パターンの形成方法)
続いて、上記実施形態のバンク形成方法及び上述の液滴吐出装置を用いた配線パターンの形成方法について説明する。
【0045】
まず、図21に示すように、絶縁性の基板901の一方の面に対し、上記実施形態のバンク形成方法によって、バンク906を形成する。なお、本実施形態においては、バンク906,906間が配線パターンの形状に沿った形で形成される。
そして、上述した液滴吐出装置によって、図22に示すように、配線パターン材料920をバンク906,906間に吐出配置し、その後、焼成することによって、図23に示すように、配線パターン910が得られる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態のバンク形成方法を用いているため、現像工程の現像性が向上されており、バンク906,906間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク906が形成される。このため、ムラがなく平坦且つ均一な厚さの配線パターンを得ることができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係るバンク形成方法、カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態においては、犠牲層2がチタンの酸化物である二酸化チタン微粒子によって形成されているものとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、犠牲層が酸化物を含んでなる微粒子が少なくとも1種以上混合されて形成されているという構成を採用することができる。なお、この酸化物としては、ケイ素、亜鉛、スズ、ストロンチウム、タングステン、チタン、ビスマス、及び鉄から選択される1種以上の物質の酸化物である。例えば、シリカ、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビヒマス、あるいは酸化鉄等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態であるバンク形成方法によってバンクが形成された基板の断面を模式的に示した図である。
【図2】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図3】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図4】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図8】液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図9】液滴吐出ヘッドをノズル面側から見た図である。
【図10】ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図12】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図13】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図14】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図15】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図16】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図17】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図18】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図19】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図20】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図21】本発明の一実施形態である配線パターンの形成方法を説明するための説明図である。
【図22】本発明の一実施形態である配線パターンの形成方法を説明するための説明図である。
【図23】本発明の一実施形態である配線パターンの形成方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1……バンク、10……バンク層、2……犠牲層、P……基板、M……マスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンク形成方法、カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラーフィルタ基板の着色層、有機EL装置の有機機能層及び微細な配線パターン等を液滴吐出法を用いて形成する方法が提案されている。
この液滴吐出法によれば、材料を必要な箇所に必要なだけ配置することができるため、材料使用量の削減や形成時間の短縮化を図ることができる。
【0003】
このような液滴吐出法では、液状の材料、あるいは、材料を液体に含有させた液状体を吐出するため、材料を基板上に配置する場合には、液滴吐出法によって吐出した液体が流れ出さないよう、基板上に予めバンクと呼ばれるバンクを形成し、このバンク間に液体を吐出配置している。そして、バンク間に配置された液体が乾燥あるいは焼成されることによって、最終的に、バンク間に着色層、有機機能層あるいは配線パターンが形成される。
【0004】
ところで、液滴吐出法において液体を所定領域、すなわちバンク間に配置する際には、バンク間において液滴吐出法によって吐出された液体を濡れ広がらせる必要がある。ここで、液体が濡れ広がらない場合には、液体の液滴の膜厚等にムラが生じ、均一な機能を発揮することができなくなる。また、バンク間から液体が食み出した場合には、混色等の不良原因となる場合もある。
そこで、例えば、プラズマ処理によって、バンク間の親液性を高めたり(特許文献1)、バンクに撥液性を与えたりすることによって、液体が確実にバンク間においてのみ濡れ広がらせる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−372921号公報
【特許文献2】特開2003−172817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状においては、上述のような技術を用いても、液体を確実にバンク間においてのみ濡れ広がらせることが困難である。
これは、バンクを形成する際に用いられるフォトリソグラフィー法の現像工程に問題があるものと考えられる。より詳細には、現像工程において用いられる現像液がバンク層の厚み方向に浸透しにくいために、結果として現像部の基板面にレジスト残渣を生じたり、形成されるバンクの断面形状がバンク上面から基板面に向けて幅の広がったテーパー状となるためと考えられる。すなわち、フォトリソグラフィー法における現像性が悪いことが原因と考えられる。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のバンク形成方法は、所定の基板上に現像液を浸透する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、上記犠牲層上にレジストからなるバンク層を形成するバンク層形成工程と、上記バンク層をマスクを介して露光する露光工程と、上記露光工程後の上記バンク層を現像液によって現像する現像工程とを有することを特徴とする。
【0008】
このような特徴を有する本発明のバンク形成方法によれば、犠牲層形成工程において現像液を浸透する犠牲層が基板上に形成され、バンク層形成工程において、レジストからなるバンク層が犠牲層上に形成され、露光工程においてバンク層がマスクを介して露光され、現像工程において露光工程後のバンク層が現像液によって現像される。
ここで、本発明のバンク形成方法においては、バンク層と基板との間に犠牲層が形成されているため、現像工程において、基板面にまで達した現像液が犠牲層に浸透し、基板側からバンク層を現像する。このため、基板面にレジスト残渣を生じることがなく、バンクの断面形状がテーパー状になることも抑止することができ、エッジの立ったバンクを形成することができる。
したがって、本発明のバンク形成方法によれば、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性を向上させることが可能となる。
【0009】
また、本発明のバンク形成方法において、具体的には、上記犠牲層が、酸化物からなる微粒子によって形成されているという構成を採用することができる。上記酸化物からなる微粒子は、ケイ素、亜鉛、スズ、ストロンチウム、タングステン、チタン、ビスマス、及び鉄から選択される1種以上の物質の酸化物であるという構成を採用することができる。
また、上記犠牲層は、酸化物を含んでなる微粒子とが少なくとも1種以上混合されて形成されているという構成を採用することもできる。
【0010】
また、本発明のバンク形成方法においては、上記バンク層と上記犠牲層との間に第2のバンク層を形成する工程を有するという構成を採用することができる。
このような構成を採用することによって、現像工程において、第2のバンク層も現像されるため、2層バンクを形成することができる。
【0011】
次に、本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする。
また、本発明の有機EL装置の製造方法においては、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする。
また、本発明の配線パターン形成方法においては、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする。
【0012】
このような特徴を有する本発明のカラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法及び配線パターンの形成方法においては、本発明のバンク形成方法によってバンクが形成されるため、現像性がよく、エッジの立ったバンクが形成される。
したがって、バンク間に均一な機能を発揮する機能層(カラーフィルタ基板の製造方法においてはカラーフィルタ、有機EL装置の製造方法においては有機機能層、配線パターンの形成方法においては配線層)が形成されたカラーフィルタ基板、有機機能層、配線パターンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るバンク形成方法、カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法の一実施形態について説明する。
なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
(バンク形成方法)
図1は、本実施形態のバンク形成方法によって形成されたバンク1を備える基板Pの断面を模式的に示した図である。
この図に示すように、基板Pは、その上面P1にバンク1が形成された構成を有しており、基板Pの上面P1とバンク1との間には犠牲層2が形成されている。なお、基板Pとしては、特に限定されるものではないが、例えば、絶縁性を有する透明基板、半透明基板、不透明基板等の種々の基板を用いることができる。また、犠牲層2は、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像液を浸透する機能を有しており、本実施形態においては、チタンの酸化物である二酸化チタンによって形成されている。
そして、図に示すように、本実施形態のバンク形成方法によって形成されたバンク1は、そのエッジ11が立ったものとなっており、現像性が良い状態において形成されている。
【0015】
次に、本実施形態のバンク形成方法について説明する。
【0016】
まず、図2に示すように、基板Pの上面P1側に、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像液を浸透する犠牲層2を形成する(犠牲層形成工程)。
具体的には、二酸化チタン微粒子を溶媒に分散させ、この溶液を基板P上に配置した後、溶媒を揮発あるいは蒸発させることによって、犠牲層2が形成される。
【0017】
続いて、図3に示すように、犠牲層2が形成された基板P上にフォトレジスト(感光性樹脂)からなるバンク層10を形成する(バンク層形成工程)。
具体的には、スピンコート法等の所定の方法によって、フォトレジスト材料を基板P上に配置することによって、バンク層10が形成される。
【0018】
そして、図4に示すように、マスクMを介してレジストによって形成されたバンク層10を露光したのち、現像液によって現像する。
ここで、本実施形態のバンク形成方法においては、犠牲層形成工程において、バンク層10と基板Pの上面P1との間に犠牲層2が形成されている。この犠牲層2は、上述のように現像液が浸透するものである。このため、図5に示すように、基板Pの上面P1にまで達した現像液Xが犠牲層2に浸透し、基板P側からバンク層10を現像する。この結果、バンク層10が厚み方向に沿ってエッチングされる。したがって、図1に示すように、バンク1の断面形状がテーパー状になることを抑止することができ、エッジの立ったバンクを形成することができる。また、犠牲層2として透明な二酸化チタン微粒子を採用しているため、犠牲層2が基板Pの上面P1に残っていても、そのまま利用することが可能である。
このように、本実施形態のバンク形成方法によれば、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性を向上させることが可能となる。
【0019】
なお、バンク1が撥液性を有する材料によって形成されていない場合には、必要に応じてバンク1をCF4プラズマ等によって撥液化する撥液化工程を行っても良い。この撥液化工程を行うことによって、撥液性を有するバンク1を形成することができる。このとき、基板Pの上面P1にレジスト残渣が存在すると、バンク1同様に撥液化するため、基板Pの上面P1の濡れ広がり性が悪くなる。しかし、犠牲層2が基板Pの上面P1に残っていた場合は、犠牲層2として二酸化チタン微粒子を採用しているため、CF4プラズマ等によって撥液化することがなく濡れ広がり性は悪くならない。
また、バンク1,1間に露出した基板Pの上面P1の親液性をO2プラズマによるアッシング処理等によって高める処理を行っても良い。これによって、バンク1,1間に液体材料を配置した場合の液体材料の濡れ拡がり性を高めることができる。
【0020】
図6は、2層バンク3,4が形成された基板Pの断面を模式的に示した図である。
この図に示すように、本実施形態のバンク形成方法によれば、図6に示すような2層バンク3,4を形成する場合であっても、そのエッジ31,41を立ったものとすることができる。
【0021】
具体的には、このような2層バンク3,4を形成する場合には、図7に示すように、基板Pの上面P1側に犠牲層2、バンク層30、バンク層40を配置する。なお、バンク層40は、フォトレジストによって形成されているが、バンク層30は、必ずしもフォトレジストから構成される必要はない。
続いて、マスクを介してバンク層40を露光し、その後、現像液によって現像する。ここで、本実施形態のバンク形成方法においては、バンク層30と基板Pの上面P1との間に犠牲層2が形成されている。このため、基板Pの上面P1にまで達した現像液が犠牲層2に浸透し、基板P側からバンク層30を現像する。この結果、バンク層30,40が厚み方向に沿ってエッチングされる。したがって、図6に示すように、バンク3,4の断面形状が逆テーパー状になることを抑止することができ、エッジの立ったバンクを形成することができる。
【0022】
(カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法)
次に、上記実施形態のバンク形成方法を用いたカラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法について説明する。なお、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法においては、上記実施形態のバンク形成方法によって形成されたバンク間に液体材料を液滴吐出法によって吐出配置する点において共通している。このため、まず、液体材料を液滴吐出法によって吐出配置する液滴吐出装置について説明する。
【0023】
(液滴吐出装置)
図8は、液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド100と、X軸方向駆動軸6と、Y軸方向ガイド軸5と、制御装置CONTと、ステージ7と、クリーニング機構8と、基台9と、ヒータ15とを備えている。
ステージ7は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0024】
液滴吐出ヘッド100は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド100の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド100の吐出ノズルからは、ステージ7に支持されている基板Pに対して、上述した着色材を含むインクが吐出される。
【0025】
図9は液滴吐出ヘッド100をノズル面側(基板Pとの対向面側)から見た図である。図9に示すように、液滴吐出ヘッド100は、複数のヘッド部21と、これらヘッド部21を搭載したキャリッジ部22とを備えている。ヘッド部21のノズル面24には液状材料の液滴を吐出する複数の吐出ノズル110が設けられている。ヘッド部21(ノズル面24)のそれぞれは平面視矩形状であって、吐出ノズル110は、ヘッド部21の長手方向である略Y軸方向に沿って一定間隔で列状に、且つヘッド部21の幅方向である略X軸方向に間隔をあけて2列でノズル面24のそれぞれに複数(例えば、1列180ノズル、合計360ノズル)設けられている。また、ヘッド部21は、吐出ノズル110を基板側に向けるとともに、Y軸に対して所定角度傾いた状態で略Y軸方向に沿って列状に、且つX軸方向に所定間隔をあけて2列に配置された状態でキャリッジ部22に複数(図9では1列6個、合計12個)位置決めされて支持されている。
【0026】
ここで、液滴吐出ヘッド100は、この液滴吐出ヘッド100のY軸方向に対する取り付け角度を調整可能な角度調整機構(不図示)を備えている。この角度調整機構により、液滴吐出ヘッド100はY軸方向に対する角度θを可変とする。角度調整機構を駆動することにより、吐出ノズル110のそれぞれをY軸方向に並んで配置したり、吐出ノズル110の並び方向のY軸に対する角度を調整でき、ノズル間のピッチを調節することが出来る。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節することが出来るようにしてもよい。
【0027】
図8に戻り、X軸方向駆動軸6には、X軸方向駆動モータ61が接続されている。X軸方向駆動モータ61はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸6を回転させる。X軸方向駆動軸6が回転すると、液滴吐出ヘッド100はX軸方向に移動する。
【0028】
Y軸方向ガイド軸5は、基台9に対して動かないように固定されている。ステージ7は、Y軸方向駆動モータ51を備えている。Y軸方向駆動モータ51はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ7をY軸方向に移動する。
【0029】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド100における液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ61に液滴吐出ヘッド100のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ51にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0030】
クリーニング機構8は、液滴吐出ヘッド100をクリーニングするものである。クリーニング機構8には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸5に沿って移動する。クリーニング機構8の移動も制御装置CONTにより制御される。
【0031】
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0032】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド100と基板Pを支持するステージ7とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド100の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。
【0033】
図10は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
図10において、液体材料を収容する液体室21に隣接してピエゾ素子22が設置されている。液体室21には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系23を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子22は駆動回路24に接続されており、この駆動回路24を介してピエゾ素子22に電圧を印加し、ピエゾ素子22を変形させることにより、液体室21が変形し、ノズル25から液体材料が吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子22の歪み速度が制御される。
なお、液滴吐出方式としては、液体材料を加熱し発生した泡(バブル)により液体材料を吐出させるバブル(サーマル)方式でも採用可能であるが、ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0034】
(カラーフィルタ基板の製造方法)
続いて、上記実施形態のバンク形成方法及び上述の液滴吐出装置を用いたカラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
【0035】
まず、図11に示すように、透明の基板742の一方の面に対し、上記実施形態のバンク形成方法によってバンク706(ブラックマトリクス)を形成する。なお、このバンク706を形成する際には、光透過性のない樹脂(好ましくは黒色樹脂)をバンク形成材料としてもちいる。
【0036】
次に、図12に示すように、上述した液滴吐出装置からRの液滴790R(液体材料)を吐出し、これをバンク706,706間に着弾させる。次いで、液状体の仮焼成を行い、図13に示すようなR着色層703Rとする。そして、以上の工程を、R、G、Bの各色について繰り返し、図14に示すように、着色層703G,703Bを順次形成する。着色層703R,703G,703Bを全て形成した後、着色層703R,703G,703Bを一括して焼成する。
ここで、本実施形態のカラーフィルタ基板の製造方法においては、上記実施形態のバンク形成方法によってバンク706を形成している。このため、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性が向上されており、バンク706,706間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク706となっている。したがって、膜厚の均一な着色層703が形成される。
【0037】
次に、基板742を平坦化し、かつ着色層703R,703G,703Bを保護するため、図15に示すように各着色層703R,703G,703Bやバンク706を覆うオーバーコート膜(保護膜)704を形成する。この保護膜704の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、リッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層703R,703G,703Bの場合と同様に液滴吐出プロセスを用いることもできる。
そして、以上の工程によって、カラーフィルタ基板が製造される。
【0038】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態のバンク形成方法を用いているため、現像工程の現像性が向上されており、エッジの立ったバンク706が形成される。このため、ムラがなく平坦且つ均一な厚さの着色層を得ることができる。
【0039】
(有機EL装置の製造方法)
続いて、上記実施形態のバンク形成方法及び上述の液滴吐出装置を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置の製造方法について説明する。
【0040】
まず、図16に示すように、スイッチング素子810が透明画素電極820毎に形成された基板801を用意する。そして、バンク806,806間に透明画素電極820が露出するように、上記実施形態のバンク形成方法によって、図17に示すように、バンク806を形成する。
【0041】
続いて、有機機能層材料を液滴吐出装置によって、図18に示すように、バンク806,806間、すなわち透明画素電極820上に配置し、その後、焼成することによって、有機機能層830を形成する。なお、フルカラー表示可能な有機EL装置を製造する場合には、図19に示すように、赤色光を発光する有機機能層830Rと、緑色光を発光する有機機能層830Gと、青色光を発光する有機機能層830Bとを形成する。
ここで、本実施形態の有機EL装置の製造方法においては、上記実施形態のバンク形成方法によってバンク806を形成している。このため、フォトリソグラフィー法の現像工程における現像性が向上されており、バンク806,806間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク806となっている。したがって、膜厚の均一な有機機能層830が形成される。
【0042】
そして、図20に示すように、有機機能層830及びバンク806を覆う陰極840を形成し、その後封止することによって有機EL装置が製造される。
【0043】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態のバンク形成方法を用いているため、現像工程の現像性が向上されており、バンク806,806間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク806が形成される。このため、ムラがなく平坦且つ均一な厚さの有機機能層を得ることができる。
【0044】
(配線パターンの形成方法)
続いて、上記実施形態のバンク形成方法及び上述の液滴吐出装置を用いた配線パターンの形成方法について説明する。
【0045】
まず、図21に示すように、絶縁性の基板901の一方の面に対し、上記実施形態のバンク形成方法によって、バンク906を形成する。なお、本実施形態においては、バンク906,906間が配線パターンの形状に沿った形で形成される。
そして、上述した液滴吐出装置によって、図22に示すように、配線パターン材料920をバンク906,906間に吐出配置し、その後、焼成することによって、図23に示すように、配線パターン910が得られる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、上記実施形態のバンク形成方法を用いているため、現像工程の現像性が向上されており、バンク906,906間にバンク形成材料の残渣がなく、エッジの立ったバンク906が形成される。このため、ムラがなく平坦且つ均一な厚さの配線パターンを得ることができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係るバンク形成方法、カラーフィルタ基板の製造方法、有機EL装置の製造方法、配線パターンの形成方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態においては、犠牲層2がチタンの酸化物である二酸化チタン微粒子によって形成されているものとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、犠牲層が酸化物を含んでなる微粒子が少なくとも1種以上混合されて形成されているという構成を採用することができる。なお、この酸化物としては、ケイ素、亜鉛、スズ、ストロンチウム、タングステン、チタン、ビスマス、及び鉄から選択される1種以上の物質の酸化物である。例えば、シリカ、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビヒマス、あるいは酸化鉄等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態であるバンク形成方法によってバンクが形成された基板の断面を模式的に示した図である。
【図2】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図3】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図4】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明の一実施形態であるバンク形成方法を説明するための説明図である。
【図8】液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図9】液滴吐出ヘッドをノズル面側から見た図である。
【図10】ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図12】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図13】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図14】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図15】本発明の一実施形態であるカラーフィルタ基板の製造方法を説明するための説明図である。
【図16】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図17】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図18】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図19】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図20】本発明の一実施形態である有機EL装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図21】本発明の一実施形態である配線パターンの形成方法を説明するための説明図である。
【図22】本発明の一実施形態である配線パターンの形成方法を説明するための説明図である。
【図23】本発明の一実施形態である配線パターンの形成方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1……バンク、10……バンク層、2……犠牲層、P……基板、M……マスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の基板上に現像液を浸透する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
前記犠牲層上にフォトレジストからなるバンク層を形成するバンク層形成工程と、
前記バンク層をマスクを介して露光する露光工程と、
前記露光工程後の前記バンク層を現像液によって現像する現像工程と
を有することを特徴とするバンク形成方法。
【請求項2】
前記犠牲層は、酸化物からなる微粒子によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のバンク形成方法。
【請求項3】
前記酸化物からなる微粒子は、ケイ素、亜鉛、スズ、ストロンチウム、タングステン、チタン、ビスマス、及び鉄から選択される1種以上の物質の酸化物であることを特徴とする請求項2記載のバンク形成方法。
【請求項4】
前記バンク層と前記犠牲層との間に第2のバンク層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のバンク形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4いずれかに記載のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4いずれかに記載のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする配線パターンの形成方法。
【請求項1】
所定の基板上に現像液を浸透する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
前記犠牲層上にフォトレジストからなるバンク層を形成するバンク層形成工程と、
前記バンク層をマスクを介して露光する露光工程と、
前記露光工程後の前記バンク層を現像液によって現像する現像工程と
を有することを特徴とするバンク形成方法。
【請求項2】
前記犠牲層は、酸化物からなる微粒子によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のバンク形成方法。
【請求項3】
前記酸化物からなる微粒子は、ケイ素、亜鉛、スズ、ストロンチウム、タングステン、チタン、ビスマス、及び鉄から選択される1種以上の物質の酸化物であることを特徴とする請求項2記載のバンク形成方法。
【請求項4】
前記バンク層と前記犠牲層との間に第2のバンク層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のバンク形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4いずれかに記載のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4いずれかに記載のバンク形成方法によってバンクが形成されることを特徴とする配線パターンの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−93670(P2007−93670A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279244(P2005−279244)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]