説明

バンドギャップ基準電圧回路および温度曲率補正された基準電圧の生成方法

第1カレントミラー回路(10)は、PTAT電流(12ないし15)を第1および第2トランジスタ(Q1ないしQ4)に供給し、演算増幅器(A1)は、第1トランジスタスタック(8)の第1トランジスタ(Q2)のエミッタの電圧を抵抗(R1)と同じレベルに維持すると共に、第1カレントミラー回路(10)からPTAT電流を引き込む。主抵抗(R1)を通じて発生された補正PTAT電圧(dVbe)は、副抵抗(R3)でスケーリングされ、第1トランジスタ(Q1)の未補正ベース・エミッタ電圧CTATと合算される。CTAT補正電流はPTAT電流(13)と合算され、そして、主抵抗(R1)を通じて発生される補正PTAT電圧(dVbe)が第1トランジスタ(Q1)の未補正ベース・エミッタ電圧CTATのTlnT温度曲率と相補的なTlnT曲率を有するように、第2トランジスタ(Q3)のエミッタに印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定的なTlnT温度曲率が補正された基準電圧を発生させるための、好ましくはCMOSプロセス製造に適したバンドギャップ基準電圧回路に関し、また、本発明は、トランジスタのベース・エミッタ間に発生されるタイプの未補正TlnT温度曲率CTAT電圧と相補的な温度曲率を有するPTAT電圧を発生させるための、好ましくはCMOSプロセス製造に適したPTAT電圧発生回路に関する。また、本発明は、基準電圧およびPTAT電圧のような電圧を発生させるための方法に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの電子回路は、安定的なDC電圧、特に温度に対して安定的な電圧を必要とする。温度に対して適度に安定的なDC基準電圧を発生させるためのバンドギャップ基準電圧回路が知られている。このようなバンドギャップ基準電圧回路は、実質的に一定のベース・エミッタ電圧を発生させるバイポーラトランジスタの特性を利用しており、シリコンで製造される場合には、ベース・エミッタ電圧が0.5ボルトないし0.8ボルトの範囲で発生されるというシリコンの特性を利用している。しかしながら、トランジスタのベース・エミッタによって発生される電圧は、負の温度係数を有し、換言すると、電圧は、絶対温度に対して相補的である(CTAT; Complementary To Absolute Temperature)。既知のバンドギャップ基準電圧回路においては、一対のトランジスタが異なる電流密度で作動され、且つこれら二つのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した電圧を発生させるために配置される。この差分電圧は、正の温度係数を有し、換言すると、電圧は、絶対温度に比例する(PTAT; Proportional To Absolute Temperature)。ベース・エミッタ電圧における差分によって供給されるPTAT電圧は適切にスケーリングされ、そして上記トランジスタの一つのCTAT電圧と合算されて、基準電圧を発生させる。しかしながら、トランジスタのCTATベース・エミッタ電圧の温度との線形関係のみならず、CTATベース・エミッタ電圧は、温度曲率(temperature curvature)と称される非線形温度関係も呈する。温度に対するCTAT電圧のこの非線形関係は、一般に、項K.TlnTで表され、ここで、Kは定数であり、Tは度ケルビン(°K)での絶対温度である。従って、適度な温度範囲にわたって全く安定的な基準電圧を発生させるためには、CTATベース・エミッタ電圧のTlnT温度曲率も補正されなければならない。
【0003】
トランジスタのベース・エミッタのCTAT電圧のTlnT非線形性を補正するために種々の試みがなされてきた。Audyの米国特許明細書第5352973号は、TlnT温度曲率が補正されたバンドギャップ基準電圧回路を開示している。このAudyのバンドギャップ基準電圧回路は、ブローコー(Brokaw)バンドギャップ基準電圧セルと補正セル(correction cell)を備える。ブローコーセルは、第1および第2バイポーラトランジスタを備え、これらトランジスタは、これら二つのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるために配置される。上記PTAT電圧差は第1抵抗を通じて発生される。上記第1および第2トランジスタは、PTATコレクタ電流で作動され、そして上記二つのトランジスタのコレクタは、演算増幅器によって共通電圧に保持される。
【0004】
上記補正セルは、TlnT曲率項を補正し、そして第3トランジスタを備え、この第3トランジスタは、この第3トランジスタとブローコーセルの第2トランジスタとのベース・エミッタ電圧における差分に比例した第2抵抗を通じて電圧を発生させるためにバンドギャップセルの第2トランジスタのうちの一つと協調動作する。演算増幅器は、第3トランジスタのコレクタ電流が実質的に温度に鈍感な一定値になるまで第3トランジスタのエミッタを駆動する。従って、このことは、第2抵抗を通じて発生される差分電圧に、ベース・エミッタCTAT電圧のTlnT曲率に相補的なTlnT曲率を持たせる。ブローコーセルの第1抵抗とコレクションセルの第2抵抗を流れる電流は、CTATベース・エミッタ電圧に対して相補的なTlnT曲率を有する対応電圧を発生させるためのブローコーセルに組み込まれた第3抵抗において合算される。この第3抵抗を通じて発生された電圧は、バンドギャップセルの第2トランジスタのCTATベース・エミッタ電圧と合算されて、温度に対して安定的で且つTlnT曲率が補正された基準電圧を供給する。
【0005】
しかしながら、Audyのバンドギャップ回路により発生された基準電圧は、TlnT曲率が補正され、従って比較的広い範囲で温度的に安定しているが、残念ながら、このAudyのバンドギャップ回路は、CMOSプロセスでの簡単な実施には適していない。さらに、Audyの回路は、第3抵抗を通じてTlnT曲率を有するPTAT電圧を発生させるためにCTATベース・エミッタ電圧に対して相補的なTlnT曲率を有する第2抵抗を流れる電流と第1抵抗を流れるPTAT電流とを利用する。
【0006】
Nguyenの米国特許明細書第5424628号は、米国特許明細書第5352973号におけるAudyの回路と同様に配置された一対のバイポーラトランジスタから成るバンドギャップセルを備え、上記二つのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるためのバンドギャップ基準電圧回路を開示し、上記PTAT電圧は、バンドギャップセルのトランジスタのうちの一つのCTATベース・エミッタ電圧と合算される。このNguyenのバンドギャップ基準電圧回路は、補正電流信号を供給するための追加的な回路を備え、この補正電流信号は、電流二乗回路(current squaring circuit)によって発生され、そして上記バンドギャップセルの二つのトランジスタのコレクタ電流値が等しくならないように、上記二つのトランジスタのうちの一つのコレクタに注入される。この補正電流は、基準電圧のCTATベース・エミッタ電圧を供給するためのトランジスタに注入され、そして上記二つのトランジスタ間のコレクタ電流差がCTATベース・エミッタ電圧のTlnT曲率の除去を可能としていると言える。しかしながら、このNguyenのバンドギャップ基準電圧回路の実施に必要とされる回路は比較的複雑であり、その上、それはCMOSプロセスに適していない。
【0007】
Rincon-moraの米国特許明細書第6157245号は、一対のトランジスタから成るバンドギャップセルを備えたバンドギャップ基準電圧回路を開示し、この一対のトランジスタは、これらトランジスタのベース・エミッタ電圧の差分に比例したPTAT電圧を発生させるために配置され、そしてこの電圧はPTAT電流を発生させるために使用され、このPTAT電流は、二つの抵抗を備えた抵抗分割回路のうちの一つの抵抗に印加され、この抵抗を通じて基準電圧が発生される。また、Rincon-moraのバンドギャップ基準電圧回路は、対数の動作温度依存電流を発生させる補償回路を備え、この対数の動作温度依存電流は、電圧分割回路の第2抵抗を通じて対数温度依存補正電流(logarithmic temperature dependent correcting voltage)を発生させるために該第2抵抗に印加される。上記第1および第2抵抗を通じた電圧は合算されて基準電圧を供給し、この基準電圧は、温度的に安定的であり、且つTlnT曲率が補正されたものとなる。Rincon-moraのバンドギャップ基準電圧回路は、比較的複雑であり、しかもCMOSプロセスにおける実施には容易には適さない。
【0008】
Nagarajの米国特許明細書第5512817号は、一対のバイポーラトランジスタから成るバンドギャップセルを備えたバンドギャップ基準電圧回路を開示し、これらトランジスタは、これらトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるために配置されている。このPTAT差分電圧は、第1抵抗を通じて発生され、そして第1抵抗上で発生されたこのPTAT差分電圧は、カレントミラー回路を介して第2抵抗上でスケーリングされる。第2抵抗上のスケーリングされた電圧は、バンドギャップ基準電圧を供給するためにバンドギャップセルのトランジスタのうちの一つのCTATベース・エミッタ電圧と合算される。このNagarajのバンドギャップ基準電圧回路によって発生された基準電圧は如何なるTlnT曲率補正も含まない。
【0009】
Sundbyの米国特許明細書第5325045号は、バイポーラトランジスタの二つのスタックが配置されたバンドギャップセルを備えたバンドギャップ基準電圧回路が開示され、これら二つのトランジスタは、上記各スタックのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるためのものである。上記PTAT電圧差は、抵抗分割回路の3つの抵抗のうちの一つを通じて発生される。上記抵抗分割回路の3つの抵抗は負の温度係数を有する抵抗であり、上記抵抗分割回路の他の二つの抵抗を通じて発生される電圧はPTAT電圧と合算される。3つの全ての抵抗を通じて発生される電圧は、温度曲率が補正された基準電圧を発生させるための別個のバイポーラトランジスタのCTATベース・エミッタ電圧と合算される。Sundbyの回路では、TlnT温度曲率補正は、負の温度係数を有する抵抗を用いて達成される。しかしながら、Sundbyのバンドギャップ基準電圧回路のTlnT温度曲率補償は、とりわけ正確ではなく、高温度係数を有する抵抗の使用は望ましくない。
【0010】
Yumの米国特許明細書第5053640号は、基準電圧を確立するためのバンドギャップセルと、バンドギャップ基準電圧の非線形温度依存性を補償するための補償回路とを備えた基準電圧回路を開示する。バンドギャップセルは、二つのトランジスタを備え、これら二つのトランジスタは、これら二つのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した補正PTAT電圧を発生させるために配置される。補正PTAT電圧は、抵抗分割回路のうちの一つの抵抗を通じて発生され、そして抵抗分割回路における補償抵抗を通じて発生される補償電圧と合算される。補償回路は、温度曲率を補償するための所定の温度しきい値に応じて変えられる補償抵抗を流れる電流を切り換えるためのスイッチ回路を備える。しかしながら、この補償回路は所定の温度しきい値に応じて補償抵抗を流れる電流を次第に変えるので、この回路によって提供される温度曲率補正は、比較的不正確であり、しかも回路が比較的複雑になる。
【0011】
Carvajalの米国特許明細書第4939442号は、バンドギャップセルを備えたバンドギャップ基準電圧回路を開示し、このバンドギャップセルは、このバンドギャップセルの二つのバイポーラトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるためのものである。上記PTAT差分電圧は、基準電圧を供給するための別個のトランジスタのCTATベース・エミッタ電圧と合算される。しかしながら、上記二つのトランジスタのCTAT電圧とPTAT電圧差は、CTATベース・エミッタ電圧の温度曲率を補償するための二つの補償抵抗を通じて発生される電圧と合算される。上記補償抵抗のうちの一方は、高い温度で補償するための補償電流を入力する一方、他方の補償抵抗は、低い温度で補償するための補償電流を入力する。上記高い温度および低い温度での電流を発生させるための回路が備えられる。しかしながら、曲率補正回路によって提供される温度曲率補正は、精度が制限され、しかもTlnT曲率を適切に補償しない。さらに、Carvajalの回路は、CMOSプロセスによる実施に容易には適さない。
【0012】
Nelsonの米国特許明細書第4603291号は、一対のバイポーラトランジスタから成るバンドギャップセルを備えたバンドギャップ基準電圧回路を開示し、これら二つのトランジスタは、第1抵抗を通じて上記二つのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるために配置されている。補正回路は、TlnTの形式の補正電流を発生させ、この補正電流は、バンドギャップセルの基準電圧からTlnT曲率を排除するためにバンドギャップセルのトランジスタのうちの一つのコレクタに加えられる。しかしながら、Nelsonの回路は、比較的複雑であり、しかもCMOSプロセスにおける実施には容易には適さない。
【0013】
MacQuiggの米国特許明細書第6218822号は、一対のバイポーラトランジスタから成るバンドギャップセルを備え、これら二つのトランジスタは、これら二つのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるために配置されている。このPTAT電圧は、上記トランジスタのうちの一つCTATベース・エミッタ電圧と合算されて基準電圧を発生させる。n型LDD(lightly doped drain)拡散抵抗のように、バンドギャップセルの基準電圧とは反対の曲率特性を有する非線形抵抗が、基準電圧の温度曲率を補正するために備えられる。非線形抵抗をトリミングするための条件が作られる。曲率補正がもっぱら非線形抵抗に依存しているので、この回路の基準電圧の温度安定性は制限される。
【0014】
Lewisの米国特許明細書第4808908号は、一対のバイポーラトランジスタから成るバンドギャップセルを備えたバンドギャップ基準電圧回路を開示し、これら二つのトランジスタは、これら二つのトランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるために配置される。このPTAT差分電圧は、トランジスタのCTATベース・エミッタ電圧と合算されて基準電圧を発生させる。補償電圧は、補償抵抗を通じて発生され、温度の関数としてバンドギャップセル出力の一次および二次導関数を補正するためにPTAT差分電圧およびCTATベース・エミッタ電圧と合算される。このLewisの回路は、CMOSプロセスにおける実施には容易には適さず、しかも、TlnT温度曲率補正が制限される。
【0015】
従って、既存のバンドギャップ基準電圧回路の問題を克服するバンドギャップ基準電圧回路に対する要請が存在し、好ましくは、それはCMOSプロセスでの実施に容易に適し、且つ、適度な温度範囲にわたってTlnT曲率について補正されると共に比較的温度的に安定した電圧を提供する。また、CTATベース・エミッタトランジスタ電圧と相補的なPTAT電圧を発生させるためのPTAT電圧発生回路に対する要請も存在し、好ましくは、それはCMOSプロセスにおける実施に容易に適する。
【特許文献1】米国特許明細書第5352973号
【特許文献2】米国特許明細書第5424628号
【特許文献3】米国特許明細書第6157245号
【特許文献4】米国特許明細書第5512817号
【特許文献5】米国特許明細書第5325045号
【特許文献6】米国特許明細書第5053640号
【特許文献7】米国特許明細書第4939442号
【特許文献8】米国特許明細書第4603291号
【特許文献9】米国特許明細書第6218822号
【特許文献10】米国特許明細書第4808908号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、このようなバンドギャップ基準電圧回路およびPTAT電圧発生回路を提供することを目的とし、また、本発明は、PTAT電圧およびバンドギャップ基準電圧を発生させるための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、TlnT温度曲率補正を有する温度的に安定な基準電圧を供給するためのバンドギャップ基準電圧回路が提供され、該バンドギャップ基準電圧回路は、PTAT電流がそれぞれ供給された少なくとも一つの第1トランジスタと少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作可能な電流密度よりも低い電流密度で動作可能であると共に、前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した補正PTAT電圧を発生させて未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合させて前記基準電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作し、CTAT補正電流は、前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記補正PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共に前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給され、これにより、前記補正PTAT電圧が前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合されると、前記発生された基準電圧が温度的に安定であり且つTlnT温度曲率が補正される。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記PTAT電流に対する前記CTAT補正電流の比は、前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積の比に応じて選択される。
【0019】
好ましくは、主抵抗が備えられ、該主抵抗は、前記第1及び第2トランジスタの前記ベース・エミッタ電圧における差分に対応する前記補正PTAT電圧が該主抵抗を通じて発生されるように、前記第1及び第2トランジスタと協調動作する。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記少なくとも一つの第1トランジスタは、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間に接続され、前記第2電圧レベルは前記第1電圧レベルとは異なり、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間に前記主抵抗と直列に接続される。
【0021】
好ましくは、前記主抵抗が接続された前記第2トランジスタに供給される前記PTAT電流は、前記主抵抗を介して前記第2トランジスタに供給される。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記第1及び第2トランジスタのコレクタは、共通電圧レベルに保持され、前記PTAT電流は、前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタのエミッタに供給され、且つ、好ましくは、前記共通電圧レベルは、前記第2電圧レベルと同一である。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記主抵抗は、前記第1電圧レベルと前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つのエミッタとの間に接続される。
【0024】
本発明の他の実施形態において、副抵抗が備えられ、前記補正PTAT電圧は、前記副抵抗を通して前記主抵抗から反射され、前記副抵抗は、前記トランジスタと協調動作し、その前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧は、前記補正PTAT電圧を前記トランジスタの前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧と合算して前記基準電圧を発生させるために前記補正PTAT電圧と結合される。
【0025】
好ましくは、前記補正PTAT電圧は、前記主抵抗から前記副抵抗にスケーリングされる。
【0026】
本発明の一実施形態において、その前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧が前記補正電圧と結合されるべき前記トランジスタは、前記少なくとも一つの第1トランジスタのうちの一つである。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記CTAT補正電流は、前記主抵抗から前記副抵抗への前記補正PTAT電圧の利得に応じて選択される。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記回路は、一つの第1トランジスタと一つの第2トランジスタとを備え、前記第1及び第2トランジスタのベースは前記第2電圧レベルに保持される。
【0029】
或いは、複数の第1トランジスタは、前記第1トランジスタのベース・エミッタ電圧が合算されて第1トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第1トランジスタスタックに配置されて備えられ、且つ、複数の第2トランジスタは、該第2トランジスタのベース・エミッタ電圧の和が合算されて第2トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第2トランジスタスタックに配置され、前記第2トランジスタスタックにおける第2トランジスタの数は、前記第1トランジスタスタックにおける第1トランジスタの数に対応し、前記第1及び第2トランジスタにはPTAT電流がそれぞれ供給される。
【0030】
本発明の一実施形態において、各第1トランジスタのベースは、前記第1トランジスタスタックにおける次に低い第1トランジスタのエミッタに接続され、各第2トランジスタのベースは、前記第2トランジスタスタックにおける次に低い第2トランジスタのエミッタに接続される。
【0031】
本発明の他の実施形態において、前記主抵抗は、前記第2トランジスタスタックにおける最高位の第2トランジスタと前記第1電圧レベルとの間に接続される。
【0032】
本発明の更なる実施形態において、前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタスタックの最低位の第2トランジスタに供給される。
【0033】
本発明の他の実施形態において、前記各第1及び第2トランジスタスタックの前記最低位の第1及び第2トランジスタのベースは、前記第2電圧レベルに接続される。
【0034】
本発明の更なる実施形態において、その未補正ベース・エミッタCTAT電圧が前記補正PTAT電圧と結合されるべき前記トランジスタは、前記第1トランジスタスタックの前記最低位の第1トランジスタである。
【0035】
好ましくは、前記CTAT補正電流は、前記補正PTAT電圧が結合される前記トランジスタの前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧から引き出される。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記CTAT補正電流を調整するための第1較正回路が備えられる。
【0037】
本発明の他の実施形態において、前記副抵抗を通じて発生される前記補正PTAT電圧を調整するために前記副抵抗を介して供給される前記PTAT電流を調整するための第2較正回路が備えられる。
【0038】
本発明の更なる実施形態において、前記第2較正回路は、前記抵抗に供給される前記PTAT電流を調整するために備えられ、その前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧は前記補正PTAT電圧と結合される。
【0039】
本発明の一実施形態において、前記回路はCMOSで実施される。
【0040】
加えて、本発明は、トランジスタのベース・エミッタCTAT電圧の未補正TlnT温度曲率と相補的な曲率を有するPTAT電圧を発生させるためのPTAT電圧発生回路を提供し、前記PTAT電圧発生回路は、PTAT電流がそれぞれ供給された少なくとも一つの第1トランジスタと少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作可能な電流密度よりも低い電流密度で動作可能であると共に、前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作し、CTAT補正電流は、未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共に前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給される。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記PTAT電流に対する前記CTAT電流の比は、前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積の比に応じて選択される。
【0042】
好ましくは、主抵抗が備えられ、該主抵抗は、前記第1及び第2トランジスタの前記ベース・エミッタ電圧における差分に対応する前記PTAT電圧が該主抵抗を通じて発生されるように、前記第1及び第2トランジスタと協調動作する。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記少なくとも一つの第1トランジスタは、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間に接続され、前記第2電圧レベルは前記第1電圧レベルと異なり、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間に前記主抵抗と直列に接続される。
【0044】
好ましくは、前記主抵抗が接続された前記第2トランジスタに供給される前記PTAT電流は、前記主抵抗を介して前記第2トランジスタに供給される。
【0045】
有利には、前記第1及び第2トランジスタのコレクタは共通電圧レベルに保持され、前記PTAT電流は前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は前記第2トランジスタのエミッタに供給される。好ましくは、前記共通電圧レベルは前記第2電圧レベルと同一である。
【0046】
本発明の一実施形態において、複数の第1トランジスタが、該第1トランジスタのベース・エミッタ電圧が合算されて第1トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第1トランジスタスタックに配置されて備えられ、各第1トランジスタのベースが、前記第1トランジスタスタックにおける次に低い第1トランジスタのエミッタに接続され、複数の第2トランジスタが、該第2トランジスタのベース・エミッタ電圧の和が合算されて第2トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第2トランジスタスタックに配置され、各第2トランジスタのベースが、前記第2トランジスタスタックにおける次に低い第2トランジスタのエミッタに接続され、前記第2トランジスタスタックにおける第2トランジスタの数が前記第1トランジスタスタックにおける第1トランジスタの数に対応し、前記第1及び第2トランジスタにはPTAT電流がそれぞれ供給される。
【0047】
本発明の他の実施形態において、前記主抵抗は、前記第2トランジスタスタックにおける最高位の第2トランジスタと前記第1電圧レベルとの間に接続され、前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタスタックの最低位の第2トランジスタに供給され、前記各第1及び第2トランジスタスタックの前記最低位の第1及び第2トランジスタのベースは前記第2電圧レベルに接続される。
【0048】
更に、本発明は、TlnT温度曲率補正を有する温度的に安定なバンドギャップ基準電圧を発生させるための方法を提供し、該方法は、
少なくとも一つの第1トランジスタと該少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作する少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した補正PTAT電圧を発生させるためのステップと、
前記少なくとも一つの第1トランジスタと前記少なくとも一つの第2トランジスタとにPTAT電流をそれぞれ供給するステップと、
前記補正PTAT電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作される電流密度よりも低い電流密度で前記少なくとも一つの第2トランジスタを動作させるステップと、
前記基準電圧を発生させるために前記補正PTAT電圧を未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合するステップとを含み、
該方法は、更に、
CTAT補正電流を、前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記補正PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共に前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給し、これにより、前記補正PTAT電圧が前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合されると、前記発生された基準電圧が温度的に安定であり且つTlnT温度曲率が補正されるステップを含む。
【0049】
本発明の一実施形態において、前記PTAT電流は、前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタのエミッタに供給される。
【0050】
本発明の他の実施形態において、前記PTAT電流に対する前記CTAT補正電流の比は、前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積の比に応じて選択される。
【0051】
また、本発明は、トランジスタのベース・エミッタCTAT電圧の未補正TlnT温度曲率と相補的な曲率を有するPTAT電圧を発生させるための方法であって、該方法は、
少なくとも一つの第1トランジスタと該少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作する少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記第1トランジスタ及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるためのステップと、
前記少なくとも一つの第1トランジスタと前記少なくとも一つの第2トランジスタとにPTAT電流をそれぞれ供給するステップと、
前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した前記PTAT電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作される電流密度よりも低い電流密度で前記少なくとも一つの第2トランジスタを動作させるステップとを含み、
該方法は、更に、
前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共にCTAT補正電流を前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給するステップを含む。
【0052】
本発明の一実施形態において、前記PTAT電流は前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は前記第2トランジスタのエミッタに供給される。
【0053】
本発明の他の実施形態において、前記PTAT電流に対する前記CTAT補正電流の比は、前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積の比に応じて選択される。
【発明の効果】
【0054】
本発明の利点は多い。本バンドギャップ基準電圧は、TlnT温度曲率について補正された温度的に安定な基準電圧を供給し、この基準電圧は、比較的広い範囲、特に−40℃ないし+120℃の温度範囲にわたって安定的である。実際、上記基準電圧は実に広い温度範囲にわたって安定的であると考えられる。更に、本発明によるバンドギャップ基準電圧回路は、比較的複雑でない回路であり、且つ比較的低いダイ面積要件を有するCMOSプロセスで簡単かつ容易に実施できる。この利点は、この回路が、上記第1及び第2トランジスタのコレクタを、グランドまたは他の適切な共通電圧レベルで有り得る同一電圧レベルに結合させて構成できるという事実によって達成されている。、本発明によるバンドギャップ基準電圧回路によって発生されたPTAT電圧は、正の温度係数を有するのみならず、トランジスタのCTATベース・エミッタ電圧のTlnT曲率と相補的であるTlnT形式の曲率を有し、従って、上記バンドギャップ基準電圧回路によって発生されたPTAT電圧は、温度的に安定なTlnT温度曲率補正された基準電圧を発生させるために、トランジスタのベース・エミッタCTAT電圧の負の温度係数のTlnT温度曲率を補正するのに理想的に適している。CTAT補正電流が第1トランジスタのうちの一つのベース・エミッタCTAT電圧から引き出されるという事実は、この回路の温度安定性および簡素性(simplicity)をもたらす。
【0055】
上記バンドギャップ基準電圧回路の簡素性と上記基準電圧の温度安定性は、主として、トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と該トランジスタベース・エミッタCTAT電圧のTlnT温度曲率成分とについての補正が同一のバンドギャップセルにおいて補正されるという事実によって達成される。換言すれば、補正PTAT電圧と、上記トランジスタベース・エミッタTlnT温度曲率成分と相補的であるTlnT曲率成分との両方とも、同一のバンドギャップセルにおいて発生される。補正電圧成分、換言すれば補正PTAT電圧と、相補的TlnT温度曲率補正との両方が、バンドギャップセルにおいて発生され、そしてバンドギャップセルにおける主抵抗を通して発生される。そして、上記主抵抗を通して同時に発生される相補的TlnT温度曲率補正を有する上記補正PTAT電圧は即座に反射(reflect)され、そして、必要に応じて未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と合算するために副抵抗にスケーリングされる。
【0056】
具体的には、本発明による回路の簡素性は、TlnT温度曲率補正電圧と共に補正PTAT電圧が、単一の抵抗、即ちバンドギャップセルにおける主抵抗を通して同時に発生されるという事実により達成される。このことは、バンドギャップセルの相当な簡素化をもたらし、更には、プロセス変動に対するバンドギャップセルの感度を最小化する。
【0057】
本発明の更なる利点は、バンドギャップ電圧回路が較正中に調整(trim)する際の容易性に関する。補正PTAT電圧のTlnT曲率成分はPTAT電圧と共に主抵抗を通して発生されるので、TlnT温度曲率成分の調整(trimming)は、PTAT電流と合算されて第2トランジスタのエミッタに供給されるCTAT補正電流の比率(proportion)を調整することにより即座に容易に達成される。換言すれば、TlnT曲率成分の調整は、所望のTlnT曲率成分が達成されるまで、第2トランジスタに供給されるPTAT電流に対するCTAT補正電流の比率を変えることにより実行される。従って、CTAT補正電流を調整するための第1較正回路は、簡単な電流DACとして迅速かつ容易に備えられ得る。TlnT温度曲率成分を調整するこの方法は、従来のバンドギャップ基準電圧回路において要求される調整方法よりも極めて簡単である。概して、従来のバンドギャップ基準電圧回路では、TlnT温度曲率の調整は、TlnT温度曲率が発生されるところの抵抗を調整することが必要とされる。このことは、TlnT温度曲率補正電圧が発生されるところの抵抗回路を備えることを必要とし、且つ、TlnT温度曲率補正電圧が適切に補正されるまで、抵抗回路の抵抗を該抵抗回路の中または外に選択的に切り替えるための設備が必要とされる。
【0058】
本発明およびその利点は、添付の図面を参照して、以下に説明される本明細書のいくつかの好ましい実施形態から更に明確に理解され、その実施形態は単なる一例として与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
最初に、図1を参照すると、TlnT温度曲率補正(TlnT tenperature curvature correction)を有する温度的に安定なDC基準電圧出力を供給するための本発明によるバンドギャップ基準電圧回路(bandgap voltage reference circuit)が図示され、参照番号1によって概略的に示されている。基準電圧回路1は、CMOSプロセスによってシリコンチップ上に集積回路として実施されている。基準電圧回路1は、電源レール(supply rail)2に電源電圧(supply voltage)Vddが供給されており、基準電圧回路1はグランド3で接地されている。温度的に安定なTlnT温度曲率補正された基準電圧(the temperature stable TlnT temperature curvature corrected voltage reference)は、出力端子5とグランド3との間に発生される。
【0060】
基準電圧回路1はバンドギャップセル(bandgap cell)7を備え、このバンドギャップセル7は、二つのスタックドトランジスタ、即ち二つの第1トランジスタQ1,Q2から成る第1トランジスタスタック(first transistor stack)8と、二つのスタックドトランジスタ(stacked transistor)、即ち二つの第2トランジスタQ3,Q4から成る第2トランジスタスタック(second transistor stack)9とを備える。第1トランジスタスタック8および第2トランジスタスタック9は、第1トランジスタスタック8及び第2トランジスタスタック9のベース・エミッタ電圧ΔVbeにおける差分に比例した補正PTAT電圧を発生させるように構成される。換言すれば、補正PTAT電圧ΔVbeは、第2トランジスタQ3,Q4のベース・エミッタ電圧の和(sum)、および第1トランジスタQ1,Q2のベース・エミッタ電圧の和における電圧差に比例する。補正PTAT電圧ΔVbeは、主抵抗(primary resistor)R1を通して発生され、副抵抗(secondary resistor)R3上にスケーリングされる。副抵抗R3を通して発生された上記スケーリングされた補正PTAT電圧は、出力端子5とグランド3との間に基準電圧を提供するために、第1トランジスタスタック8の第1トランジスタQ1のベース・エミッタCTAT電圧と合算される。
【0061】
第1トランジスタQ1,Q2及び第2トランジスタQ3,Q4のコレクタは、グランドに接続される。第1トランジスタスタック8および第2トランジスタスタック9における最低位(lowermost)の第1および第2トランジスタ、即ちトランジスタQ1およびQ3のベースもまたグランドに接続される。第1トランジスタスタック8および第2トランジスタスタック9における最高位(topmost)の第1トランジスタQ2および第2トランジスタQ4のベースは、各トランジスタスタック8および9の対応する第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ3のエミッタに接続される。主抵抗R1は、第2トランジスタスタック9における最高位の第2トランジスタQ4のエミッタと、ハイインピーダンスの演算増幅器A1の反転入力との間に接続される。第1トランジスタスタック8における最高位の第1トランジスタQ2のエミッタは、演算増幅器A1の非反転入力に接続される。演算増幅器A1は、その反転入力および非反転入力上の電圧を共通の第1電圧レベルに駆動するために、第1カレントミラー回路10のMOSFET MP1から、その出力を通じて値Iの電流I1を引き込む。演算増幅器A1によって引き込まれた電流は実質的にPTAT電流であり、従って第1カレントミラー回路10によって供給される電流は、同様に実質的にPTAT電流である。
【0062】
第2トランジスタスタック9の最高位の第2トランジスタQ4のエミッタには、主抵抗R1を介して第1カレントミラー回路10のMOSFET MP2から値IのPTAT電流I2が供給される。第2トランジスタスタック9の最低位の第2トランジスタQ3のエミッタには、第1カレントミラー回路10のMOSFET MP3を介して値IのPTAT電流I3が供給される。第1トランジスタスタック8の最高位の第1トランジスタQ2のエミッタには、第1カレントミラー回路10のMOSFET MP4により値nのPTAT電流I4が供給される。第1トランジスタスタック8の最低位の第1トランジスタQ1のエミッタには、副抵抗R3上に主抵抗R1を通じて発生される補正PTAT電圧ΔVbeをスケーリングするために、第1カレントミラー回路10のMOSFET MP5により値(n−1)・IのPTAT電流I5が供給される。また、第1トランジスタスタック8の最低位の第1トランジスタQ1のエミッタには、以下に説明される目的のために、第1カレントミラー回路10のMOSFET MP6を介して値Iの電流I6が供給される。従って、最低位の第1トランジスタQ1のエミッタに供給される電流の合計はn・Iである。
【0063】
第1トランジスタQ1,Q2および第2トランジスタQ3,Q4に供給されるPTAT電流の値と、第1トランジスタQ1,Q2および第2トランジスタQ3,Q4のエミッタ面積は、主抵抗R1を通して補正PTAT電圧ΔVbeを発生させるために、第1トランジスタQ1,Q2が動作する電流密度よりも第2トランジスタQ3,Q4が動作する電流密度が小さくなるように選択される。第1トランジスタスタック8の第1トランジスタQ1,Q2のエミッタ面積は同等(similar)であり、それぞれ単位面積とする。第2トランジスタスタック9の最低位の第2トランジスタQ3のエミッタ面積は、第1トランジスタスタック8の最低位の第1トランジスタQ1のエミッタ面積よりも大きく、本発明のこの実施形態では、最低位の第1トランジスタQ1のエミッタ面積のn倍の面積である。第2トランジスタスタック9の最高位の第2トランジスタQ4のエミッタ面積は、第1トランジスタスタック8の最高位の第1トランジスタQ2のエミッタ面積よりも大きく、本発明のこの実施形態では、最高位の第1トランジスタQ2のエミッタ面積のn倍の面積であり、従って最低位の第1トランジスタQ1のエミッタ面積のn倍の面積でもある。
【0064】
CTAT電流発生回路12は、ライン14上に値IcrのCTAT補正電流I7を供給し、この電流は、以下に説明されるように、最低位の第1トランジスタQ1のベース・エミッタCTAT電圧のTlnT温度曲率成分と相補的(complementary)であるTlnT温度曲率成分を有する主抵抗R1を通じて発生された補正PTAT電圧ΔVbeを提供するために、PTAT電流I3と合算されて第2トランジスタスタック9の最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに供給される。CTAT電流発生回路12は抵抗R2を備え、この抵抗を通じて、第1トランジスタスタック8の最低位の第1トランジスタQ1のベース・エミッタCTAT電圧がダイオード接続されたMOSFET MN1とMOSFET MN2とを介して反射される。抵抗R2を通じたベース・エミッタCTAT電圧は、第2カレントミラー回路15のMOSFET MP8を介して値IcrのCTAT電流I8を抵抗R2に引き込ませる。抵抗R2によって引き込まれた値Icrの電流I8は、MOSFET MP7によって第2カレントミラー回路15においてミラーリングされ、MOSFET MP7は、値IcrのCTAT補正電流をライン14上に供給する。
【0065】
主抵抗R1を通じて発生される補正PTAT電圧ΔVbeのTlnT温度曲率成分を発生させるために最低位の第2トランジスタQ3に供給されるPTAT電流I3の値Iに対するCTAT補正電流I7の値Icrの比は、補正PTAT電圧が主抵抗R1から副抵抗R3に反射される利得係数(gain factor)の関数であり、また、以下にσとして説明される飽和電流温度指数(saturation current temperature exponent)の関数でもある。拡散シリコン接合(diffused silicon junction)についての飽和電流温度指数の値は、一般には約4である。従って、例えば、もし副抵抗R3を通じて発生されるスケーリングされた補正PTAT電圧が、主抵抗R1を通じて発生される補正PTAT電圧から2の利得係数だけスケールアップ(scaled up)され、且つもし飽和電流温度指数が4であれば、最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに供給される電流は温度的に独立であるはずである。換言すれば、PTAT電流の値IとCTAT補正電流の値Icrとの和は、温度にかかわりなく一定であるはずである。これは、最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに供給されるPTAT電流の値Iに対するCTAT補正電流の値Icrの比を1にすることにより達成される。換言すれば、CTAT補正電流の値Icrは、最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに供給されるPTAT電流の値Ifと等しく設定されるべきである。これは、MOSFET MP7,MP8が適切な面積になるように選択することにより達成される。他方、もし、飽和電流温度指数が4よりも大きければ、適切なTlnT温度曲率成分を有する主抵抗R1を通じて発生される補正PTAT電圧を提供するために、CTAT補正電流の値Icrは、最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに供給されるPTAT電流I3の値Iよりも大きくなるべきである。飽和電流温度指数の値が大きくなる程、主抵抗R1から副抵抗R3への補正PTAT電圧の所定の利得係数について必要とされるCTAT補正電流の値Icrが大きくなる。
【0066】
ここで、バンドギャップ基準電圧回路1の動作の背景にある理論を説明する。
絶対温度T°ケルビンでのバイポーラトランジスタのベース・エミッタ電圧の公知の数式は次のようである。
【0067】
【数1】

【0068】
ここで、Vbe(T)は、T°ケルビンでのバイポーラトランジスタについての温度依存のベース・エミッタ電圧である。
G0は、シリコンについて約1.205Vを仮定した場合のバンドギャップエネルギー電圧である。
Tは、度ケルビンでの動作絶対温度である。
は、度ケルビンでの基準温度(通常、動作温度範囲の中間点)である。
be0は、基準温度Tでのバイポーラトランジスタのベース・エミッタ電圧である。
kは、ボルツマン定数である。
qは、電子の電荷量である。
σは、飽和電流温度指数(SPICE TM 回路シミュレーションプログラムではXTIと称され、拡散シリコン接合については約4の値を有する)である。
は、バイポーラトランジスタのコレクタ電流である。
c0は、基準温度Tでのバイポーラトランジスタのコレクタ電流である。
【0069】
数式(1)における最初の2つの項は、温度の増加に伴うベース・エミッタ電圧の線形減少を示す。この数式における最後の2つの項は、ベース・エミッタ電圧の非線形項であり、電圧の未補正温度曲率成分として知られる。
第1トランジスタQ1,Q2および第2トランジスタQ4は、次のように、PTAT電流でバイアスされる。
【0070】
【数2】

【0071】
従って、温度T°ケルビンでの第1トランジスタQ1,Q2および第2トランジスタQ4のベース・エミッタ電圧は、次の3つの数式で与えられる。
最低位の第1トランジスタQ1については次の式である。
【0072】
【数3】

【0073】
最高位の第1トランジスタQ2については次の式である。
【0074】
【数4】

【0075】
最高位の第2トランジスタQ4については次の式である。
【0076】
【数5】

【0077】
最低位の第2トランジスタQ3は、異なる電流、即ち値IのPTAT電流I3に値IcrのCTAT電流I7をプラスしたものでバイアスされる。従って、第3トランジスタQ3については次のようになる。
【0078】
【数6】

【0079】
ここで、nは、最低位の第2トランジスタQ3のエミッタ電流の負温度指数(negative temperature exponent)である。従って、温度的に独立な一定電流についてはn=0であり、PTAT電流についてはn=−1である。
【0080】
よって、数式(6)による電流で最低位の第2トランジスタQ3がバイアスされた状態では、温度T°ケルビンでの最低位の第2トランジスタQ3のベース・エミッタ電圧は、次のようになる。
【0081】
【数7】

【0082】
従って、基準温度Tでの第1トランジスタQ1,Q2および第2トランジスタQ3,Q4のベース・エミッタ電圧は次のようになる。
最低位の第1トランジスタQ1については次の式である。
【0083】
【数8】

【0084】
最高位の第1トランジスタQ2については次の式である。
【0085】
【数9】

【0086】
最高位の第2トランジスタQ4については次の式である。
【0087】
【数10】

【0088】
最低位の第2トランジスタQ3については次の式である。
【0089】
【数11】

【0090】
ここで、Iは、第1トランジスタQ1,Q2および第2トランジスタQ3,Q4の飽和電流であり、エミッタ面積に比例し、且つ、温度およびプロセスに強く依存する。Iは、第1カレントミラー回路において発生されるPTAT電流であり、nおよびnは、図1におけるPTAT電流Iについてのスケーリング値であり、nおよびnは、図1を参照して上述した第1トランジスタQ1,Q2のエミッタ面積にそれぞれ対する第2トランジスタQ3,Q4のエミッタ面積の比率である。
【0091】
数式(8),(9),(10),(11)において、エミッタおよびコレクタ電流は同一であり、且つ飽和電流Iはエミッタ面積に比例すると仮定できる。
従って、主抵抗R1を通じて発生される電圧ΔVbeは次の数式で与えられる。
【0092】
【数12】

【0093】
数式(3)ないし(7)および(8)ないし(11)から、数式(12)は次のようになる。
【0094】
【数13】

【0095】
数式(13)は次のように書き直すことができる。
【0096】
【数14】

【0097】
第1トランジスタQ1,Q2が、それぞれ単位エミッタ面積を有すると仮定すると、次のようになる。
sQ1=IsQ2=I
最低位の第2トランジスタQ3は、最低位の第1トランジスタQ1のエミッタ面積よりもn倍大きなエミッタ面積を有するので、最低位の第2トランジスタQ3についての飽和電流は次のようになる。
sQ3=n
最高位の第2トランジスタQ4についての飽和電流は次のようになる。
sQ4=n
【0098】
最低位の第1トランジスタQ1についてのコレクタ電流は次のようになる。
c1=(n−1)I+I=n
最高位の第1トランジスタQ2についてのコレクタ電流は次のようになる。
c2=n
最低位の第2トランジスタQ3は、I(PTAT)のコレクタ電流にCTAT補正電流Icrをプラスしたものを有し、CTAT補正電流Icr=Vbe1/Rであり、ここで、Rは抵抗R2の抵抗値である。
最高位の第2トランジスタQ4のコレクタ電流はIc4=Iである。
【0099】
出力端子5とグランド3との間にバンドギャップ基準電圧回路1により発生される基準電圧Vrefは、最低位の第1トランジスタQ1のベース・エミッタ電圧に抵抗R3を通じた電圧降下をプラスしたものに等しく、それは次の数式で与えられる。
【0100】
【数15】

【0101】
ここで、RおよびRは、それぞれ、主抵抗R1および副抵抗R3の抵抗値である。
数式(15)は次のように書き直すことができる。
【0102】
【数16】

【0103】
ここで、
【0104】
【数17】

【0105】
且つ
【0106】
【数18】

【0107】
基準電圧Vrefが温度に対して独立であるために、AおよびBの値はゼロでなければならない。
【0108】
AおよびBの値をゼロに設定するための多くのオプションが存在する。一つのオプションは、温度的に独立な一定電流を最低位の第2トランジスタQ3に強制的に供給することである。室温で互いに等しくなるように第2トランジスタQ3のエミッタにそれぞれ供給されるCTAT補正電流の値IcrおよびPTAT電流の値Iを選択することにより、第2トランジスタQ3のエミッタ電流は一定であり且つ温度的に独立である。第2トランジスタQ3のエミッタ電流がそのように選択されると、基準温度(reference temperature)での第2トランジスタQ3のエミッタ電流の数式は次のようになる。
【0109】
【数19】

【0110】
Bの値は、次のようにゼロに設定することができる。
最低位の第2トランジスタQ3のエミッタ電流は一定であるから、数式(6)の第2トランジスタQ3のエミッタ電流の負温度指数nはゼロに等しい。
従って、Bをゼロに等しくし、且つnをゼロに等しくすると、数式(18)は次のようになる。
【0111】
【数20】

【0112】
数式(20)の左辺の項はPTAT利得を表す。この数式は、補正PTAT電圧の利得が最低位の第1トランジスタQ1のベース・エミッタ電圧の曲率電圧(K.T/q*log(T/T0))係数に等しくならなければならないことを示している。
【0113】
拡散シリコン接合σが4に等しければ、3の利得が必要とされる。これは、抵抗比R/Rおよび電流比nを適切にスケーリングすることにより準備される。もし主抵抗R1および副抵抗R3が等しい抵抗値に選択されると、電流比nが4に等しくなり得る。あるいは、副抵抗R3は、主抵抗R1の抵抗値の2倍に等しい抵抗値になるように選択されることができ、そして電流比nは5/2に等しく設定されることができる。
【0114】
数式(17)のAの値がゼロに等しくなるという条件を満たすために、主抵抗R1を通じて発生されるΔVbeの値を与えるためには、次のことが要求される。
もし、
【0115】
【数21】

【0116】
であれば、数式(17)よりn・n=81であり、従ってn=n=9である。
【0117】
従って、室温で互いに等しくなるように第2トランジスタQ3にそれぞれ供給されるCTAT補正電流の値IcrおよびPTAT電流の値Iを選択することにより、且つ、主抵抗R1および副抵抗R3が互いに等しい抵抗値になるように選択することにより、電流比nが4に等しく、電流比nが電流比nに等しく、面積の比nおよびnが互いに等しく且つ9に等しく、基準電圧Vrefが最低位の第1トランジスタQ1のバンドギャップ電圧VG0に等しくなり、従って温度的に独立になる。あるいは、もし副抵抗R3が主抵抗R1の抵抗値の2倍に等しい抵抗値となるように選択されれば、もし電流比nが5/2に等しく設定され、且つ残りの変数が上述のように設定されれば、バンドギャップ基準電圧回路1の基準電圧Vrefは、最低位の第1トランジスタQ1のバンドギャップ電圧VG0に等しくなる。
【0118】
AおよびBの値をゼロに設定するための別のオプションは、エミッタに強制的に供給される電流が主にCTAT電流であるように最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに供給されるPTAT電流に対するCTAT補正電流の比を選択することである。エミッタ電流の傾き(slope)が負になるように主なCTAT電流をトランジスタのエミッタに強制的に供給することによりベース・エミッタ温度曲率電圧が強調されることが知られている。従って、もしCTAT補正電流が最低位の第2トランジスタQ3のエミッタにおいて十分に支配的であれば、ベース・エミッタ温度曲率電圧は、補正PTAT電圧についての利得と曲率電圧係数とが2に等しいレベルで強調される。従って、数式(18)からのBの値がゼロに等しいことを保証するために、Bをゼロに等しいとした数式(18)は次のように書き直すことができる。
【0119】
【数22】

【0120】
もし、n=n=3であり、且つ他の値が数式(21)に従えば、数式(6)の最低位の第2トランジスタQ3のエミッタ電流の負温度指数nは0.5に等しい。したがって、最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに強制的に供給されるべき電流は、一定電流とCTAT電流との間の中間であるべきであり、従って次の数式が保持される。
【0121】
【数23】

【0122】
この例では、n・n=5502であり、従って、n=n=74である。
上述のことから、補正PTAT電圧の必要な利得が主として主抵抗R1の抵抗値に対する副抵抗R3の抵抗値の比および電流比nから得られる事により、第2トランジスタQ3,Q4に必要とされるトランジスタ面積が比較的小さいので、一定の温度的に独立な電流を最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに強制的に供給するオプションが、集積回路チップのシリコン面積が重要な要素である場合に好ましいオプションであることが明らかになるであろう。主にCTAT補正電流を最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに強制的に供給するオプションは、第2トランジスタQ3,Q4に利用可能なシリコン面積が重要でない場合に好ましいオプションであろう。CTAT補正電流を最低位の第2トランジスタQ3に強制的に供給する後者のオプションは、第1および第2カレントミラー回路および演算増幅器A1のオフセットの影響を受けにくい。
【0123】
図2を参照すると、温度的に安定なTlnT曲率補正されたDC基準電圧を発生させるための、概略的に参照番号20によって示されたバンドギャップ基準電圧回路が図示されている。このバンドギャップ基準電圧回路20は、実質的に前記バンドギャップ基準電圧回路1と同様であり、同様の構成要素は同一の参照番号によって示されている。基準電圧回路20と基準電圧回路1との間の主な相違点は、第1較正回路21および第2較正回路22が、基準電圧回路20を較正するために備えられていることである。第1較正回路21は、CTAT補正電流I7の値Icrを微調整するために、最低位の第2トランジスタQ3のエミッタにライン14を介して供給される上記CTAT補正電流I7を較正するために備えられる。第1較正回路21は、CTAT較正電流ΔIcrを出力する第1プログラマブル電流デジタル/アナログ変換器(DAC)23を備え、CTAT較正電流ΔIcrは、ライン14を介して最低位の第2トランジスタQ3のエミッタに供給されるCTAT補正電流I7と合算される。CTAT較正電流ΔIcrは、MOSFET MP9を介して第2カレントミラー回路15から得られるCTAT電流I9から導き出される。CTAT較正電流ΔIcrの値は、第1電流DAC 23を適切にプログラムすることにより選択可能になっている。
【0124】
第2較正回路22は、第2プログラマブル電流DAC 24を備え、この第2プログラマブル電流DAC 24には、MOSFET MP10を介して第1カレントミラー回路10から得られるPTAT電流I10が供給される。第2DAC 24は、副抵抗R3を通じて発生されるスケーリングされた補正PTAT電圧の比較的粗い調整と、最低位の第1トランジスタQ1のベース・エミッタCTAT電圧の微調整とを提供する。第2DAC 24は、副抵抗R3を通じて発生される補正PTAT電圧を調整するために、副抵抗R3を介して較正電流ΔIpcを供給し引き込む(source and sink)。較正電流ΔIpcの値とその方向は、第2DAC 24を適切にプログラムすることにより選択可能であり、これにより、副抵抗R3を通じて発生される補正PTAT電圧の上方調整および下方調整を可能にする。第2DAC 24が較正電流ΔIpcを供給し引き込むので、較正電流ΔIpcは、最低位の第1トランジスタQ1のエミッタ電流に何ら影響を及ぼさない。また、第2DAC 24は、最低位の第1トランジスタQ1のベース・エミッタCTAT電圧を微調整するために、最低位の第1トランジスタQ1に供給するための較正電流ΔIpfを供給することがプログラム可能となっている。
最終テスト(final test)と実装(packaging)中に第1DAC 23および第2DAC 24をプログラムするための不揮発性メモリ(図示なし)が備えられる。
【0125】
図3および図4を参照すると、図3は、図2のバンドギャップ基準電圧回路20のコンピュータシミュレーション上で実行されたシミュレーションテスト結果を示し、図4は、図2のバンドギャップ基準電圧回路20のCMOS実施上で実行されたテスト結果を示す。図3は、−42℃ないし+85℃の温度範囲にわたる温度に対してプロットされたバンドギャップ基準電圧回路のミリボルトでの3つの電圧波形を示す。波形Aは、図に示すように、出力端子5とグランド6との間に発生される基準電圧Vrefを示し、−42℃ないし+85℃の全温度範囲にわたって実質的に一定である。波形Bは、最低位の第1トランジスタQ1の未補正ベース・エミッタCTAT電圧を示し、一方、波形Cは副抵抗R3を通じて発生されるスケーリングされた補正PTAT電圧を示す。副抵抗R3を通じて発生された補正PTAT電圧は、最低位の第1トランジスタQ1の未補正ベース・エミッタCTAT電圧のTlnT温度曲率と相補的であるTlnT温度曲率を有している。
【0126】
図4は、−40℃ないし+120℃の温度範囲にわたる拡大スケールでの直線一定電圧(straight line constant voltage)からのバンドギャップ基準電圧回路20の基準電圧Vrefの偏差(deviation)のプロットを示す。電圧は、度摂氏での温度に対するミリボルトでプロットされている。図に示すように、直線一定電圧からの最大の正の偏差(maximum positive deviation)は100℃で起こり、0.034ミリボルトよりも大きくなく、一方、最大の負の偏差は0℃で起こり、ほんの0.018ミリボルトである。
【0127】
従って、出力端子5とグランド3との間に出力される基準電圧Vrefは実質的に一定を維持し、且つ、−40℃ないし+120℃の広い温度範囲にわたって実質的に温度的に独立(temperature independent)である。
【0128】
図5を参照すると、本発明の他の実施形態によるバンドギャップ基準電圧回路を示し、参照番号40で概略的に示されている。バンドギャップ基準電圧回路40は、実質的に図1のバンドギャップ基準電圧回路と同様であり、同様の構成要素は同一の参照番号によって示されている。バンドギャップ基準電圧回路40と回路1との間の主な相違点は、主抵抗R1を通じて差電圧ΔVbeを発生させるための第1および第2トランジスタの第1および第2スタックから成るバンドギャップセル7に代えて、バンドギャップセル7が、ただ一つの第1バイポーラトランジスタQ1と、ただ一つの第2バイポーラトランジスタQ3とを備えることである。第2トランジスタQ3のエミッタ面積は、図1のバンドギャップ基準電圧回路を参照して説明したように、第1トランジスタQ1のエミッタ面積のn倍である。第2トランジスタQ3のエミッタには、主抵抗R1を介して値IのPTAT電流I2が供給される。CTAT補正電流Icrは、ライン14を介して第2トランジスタQ3のエミッタに供給される。第1トランジスタQ1には、副抵抗R3を介して値(n−1)・IのPTAT電流I5が供給される。基準電圧は、端子5とグランド3との間に発生される。トランジスタQ2,Q4がバンドギャップ基準電圧回路40から省かれたので、PTAT電流I3,I4は必要とされず、従ってMOSFET MP3,MP4が第1カレントミラー10から省かれている。
【0129】
それ以外は、図5のバンドギャップ基準電圧回路40は図1のものと同様であり、主抵抗R1を通じて発生されるPTAT差電圧ΔVbeは、第1および第2トランジスタQ1,Q3のベース・エミッタ電圧における差分に比例し、且つ副抵抗R3上にスケーリングされる。
【0130】
図1を参照して述べられたバンドギャップ基準電圧回路が、二つのトランジスタからそれぞれ構成される第1および第2トランジスタスタックを備えるものとして説明されたが、第1および第2トランジスタスタックが2以上のトランジスタを備えてもよいことが構想される。ただし、各トランジスタスタックにおけるトランジスタの数は同じ(similar)である。
【0131】
また、必要なエミッタ面積を獲得するために、第1および第2トランジスタスタックにおける各トランジスタは複数のトランジスタによって提供されてもよいことが理解されるであろう。例えば、第1トランジスタは、それぞれ、単位エミッタ面積の各単一トランジスタとして提供されてもよく、一方、第2トランジスタスタックにおける対応トランジスタは、それぞれ、多数のトランジスタとして提供されてもよく、単位エミッタ面積のそれぞれは合算して適切なエミッタ面積になる。
【0132】
PTATおよびCTAT電流は、カレントミラー回路から得られるものとして説明されたが、このようなPTATおよびCTAT電流を発生させるための他の如何なる適切な手段も、本発明の範囲を逸脱することなく使用できる。
また、演算増幅器の他に第1電圧レベルを発生させるための他の手段が使用できることも理解される。
【0133】
或る場合には、主抵抗は、第2トランジスタスタックの最高位の第2トランジスタのエミッタと演算増幅器の反転入力との間に接続される以外に、第2トランジスタスタックにおける位置に備えられてもよいことが構想される。例えば、或る場合には、主抵抗は、任意の二つのスタックされた第2トランジスタ間に配置されてもよいことが構想される。
【0134】
CTAT補正電流が、第2トランジスタスタックの最低位の第2トランジスタのエミッタに供給されるものとして説明されたが、必ずしもCTAT補正電流が最低位の第2トランジスタに供給される必要はなく、このCTAT補正電流が、第2トランジスタスタックの第2トランジスタのうちの任意の一つのエミッタに供給されてもよいことが理解されるであろう。実際に、或る場合には、CTAT補正電流が第2トランジスタスタックの第2トランジスタのうちの一つよりも多くのエミッタに供給されてもよいことが構想される。
【0135】
主抵抗R1を通じて発生される相補的なTlnT温度曲率補正を有する補正PTAT電圧が、副抵抗R3上に反射されるものとして説明されたが、或る場合において、主抵抗から副抵抗に補正PTAT電圧をスケーリングすることが必ずしも必要でないことは当業者には即座に明白であろう。副抵抗を通じて発生される補正PTAT電圧の値は、主抵抗を通じて発生される値と同じであってもよい。また、相補的なTlnT温度曲率補正を有する補正PTAT電圧は、第1トランジスタスタックにおけるトランジスタのうちの一つのほかに、任意のトランジスタの未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合されてもよいことが理解される。例えば、相補的なTlnT温度曲率補正を有する補正PTAT電圧は、バンドギャップセルの外部のトランジスタの未補正ベース・エミッタCTAT電圧と結合されてもよい。いずれの場合においても、副抵抗は、このようなトランジスタの未補正ベース・エミッタCTAT電圧と、TlnT温度曲率補正を有する補正PTAT電圧との合算を容易化するように構成されることが構想される。
【0136】
第1および第2トランジスタスタックの第1および第2トランジスタは、それらのコレクタが共通電圧レベルに保持されるものとして説明されたが、或る場合において、これは必ずしも必要ではないことが構想される。しかしながら、第1および第2トランジスタスタックの第1および第2トランジスタのコレクタを共通電圧レベルに保持することにより、本発明によるバンドギャップ基準電圧回路は、とりわけCMOSプロセスでの製造に適する。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】温度的に安定なTlnT温度曲率補正された基準電圧を発生させるための本発明によるバンドギャップ基準電圧回路の回路図である。
【図2】温度的に安定なTlnT温度曲率補正された基準電圧を発生されるための本発明の他の実施形態によるバンドギャップ基準電圧回路の回路図である。
【図3】図2のバンドギャップ基準電圧回路のシミュレーション上で実行されるテストの結果得られる波形を示す図である。
【図4】図2の回路のCMOS実施上で実行されるテストの結果得られる波形を示す図である。
【図5】温度的に安定なTlnT温度曲率補正された基準電圧を発生させるための本発明の他の実施形態によるバンドギャップ基準電圧回路の回路図である。
【符号の説明】
【0138】
1,20,40 バンドギャップ基準電圧回路
7 バンドギャップセル
8 第1トランジスタスタック
9 第2トランジスタスタック
10 第1カレントミラー回路
12 CTAT電流発生回路
15 第2カレントミラー回路
21 第1較正回路
22 第2較正回路
23 第1プログラマブル電流デジタル/アナログ変換器
24 第2プログラマブル電流デジタル/アナログ変換器
A1 演算増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TlnT温度曲率補正を有する温度的に安定な基準電圧を供給するためのバンドギャップ基準電圧回路であって、PTAT電流がそれぞれ供給された少なくとも一つの第1トランジスタと少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作可能な電流密度よりも低い電流密度で動作可能であると共に、前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した補正PTAT電圧を発生させて未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合させて前記基準電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作し、CTAT補正電流は、前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記補正PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共に前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給され、これにより、前記補正PTAT電圧が前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合されると、前記発生された基準電圧が温度的に安定であり且つTlnT温度曲率が補正されるバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項2】
前記PTAT電流に対する前記CTAT補正電流の比は、前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積の比に応じて選択される請求項1記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項3】
主抵抗が備えられ、該主抵抗は、前記第1及び第2トランジスタの前記ベース・エミッタ電圧における差分に対応する前記補正PTAT電圧が該主抵抗を通じて発生されるように、前記第1及び第2トランジスタと協調動作する請求項1記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項4】
前記少なくとも一つの第1トランジスタは、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間に接続され、前記第2電圧レベルは前記第1電圧レベルとは異なり、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間に前記主抵抗と直列に接続される請求項3記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項5】
前記主抵抗が接続された前記第2トランジスタに供給される前記PTAT電流は、前記主抵抗を介して前記第2トランジスタに供給される請求項3記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項6】
前記第1及び第2トランジスタのコレクタは、共通電圧レベルに保持され、前記PTAT電流は、前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタのエミッタに供給される請求項4記載のバンドギャップ基準電圧回路
【請求項7】
前記共通電圧レベルは、前記第2電圧レベルと同一である請求項6記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項8】
前記主抵抗は、前記第1電圧レベルと前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つのエミッタとの間に接続される請求項6記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項9】
副抵抗が備えられ、前記補正PTAT電圧は、前記副抵抗を通して前記主抵抗から反射され、前記副抵抗は、前記トランジスタと協調動作し、その前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧は、前記補正PTAT電圧を前記トランジスタの前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧と合算して前記基準電圧を発生させるために前記補正PTAT電圧と結合される請求項3記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項10】
前記補正PTAT電圧は、前記主抵抗から前記副抵抗にスケーリングされる請求項9記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項11】
その前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧が前記補正電圧と結合されるべき前記トランジスタは、前記少なくとも一つの第1トランジスタのうちの一つである請求項1記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項12】
前記CTAT補正電流は、前記主抵抗から前記副抵抗への前記補正PTAT電圧の利得に応じて選択される請求項9記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項13】
前記回路は、一つの第1トランジスタと一つの第2トランジスタとを備え、前記第1及び第2トランジスタのベースは前記第2電圧レベルに保持される請求項4記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項14】
複数の第1トランジスタは、前記第1トランジスタのベース・エミッタ電圧が合算されて第1トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第1トランジスタスタックに配置されて備えられ、且つ、複数の第2トランジスタは、該第2トランジスタのベース・エミッタ電圧の和が合算されて第2トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第2トランジスタスタックに配置され、前記第2トランジスタスタックにおける第2トランジスタの数は、前記第1トランジスタスタックにおける第1トランジスタの数に対応し、前記第1及び第2トランジスタにはPTAT電流がそれぞれ供給される請求項4記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項15】
各第1トランジスタのベースは、前記第1トランジスタスタックにおける次に低い第1トランジスタのエミッタに接続され、各第2トランジスタのベースは、前記第2トランジスタスタックにおける次に低い第2トランジスタのエミッタに接続される請求項14記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項16】
前記主抵抗は、前記第2トランジスタスタックにおける最高位の第2トランジスタと前記第1電圧レベルとの間に接続される請求項14記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項17】
前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタスタックの最低位の第2トランジスタに供給される請求項14記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項18】
前記各第1及び第2トランジスタスタックの前記最低位の第1及び第2トランジスタのベースは、前記第2電圧レベルに接続される請求項14記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項19】
その未補正ベース・エミッタCTAT電圧が前記補正PTAT電圧と結合されるべき前記トランジスタは、前記第1トランジスタスタックの前記最低位の第1トランジスタである請求項14記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項20】
前記CTAT補正電流は、前記補正PTAT電圧が結合される前記トランジスタの前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧から引き出される請求項1記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項21】
前記CTAT補正電流を調整するための第1較正回路が備えられた請求項1記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項22】
前記副抵抗を通じて発生される前記補正PTAT電圧を調整するために前記副抵抗を介して供給される前記PTAT電流を調整するための第2較正回路が備えられた請求項9記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項23】
前記第2較正回路は、前記抵抗に供給される前記PTAT電流を調整するために備えられ、その前記未補正ベース・エミッタCTAT電圧は前記補正PTAT電圧と結合された請求項22記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項24】
前記回路はCMOSで実施された請求項1記載のバンドギャップ基準電圧回路。
【請求項25】
トランジスタのベース・エミッタCTAT電圧の未補正TlnT温度曲率と相補的な曲率を有するPTAT電圧を発生させるためのPTAT電圧発生回路であって、PTAT電流がそれぞれ供給された少なくとも一つの第1トランジスタと少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作可能な電流密度よりも低い電流密度で動作可能であると共に、前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作し、CTAT補正電流は、未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共に前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給されるPTAT電圧発生回路。
【請求項26】
前記PTAT電流に対する前記CTAT電流の比は、前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積の比に応じて選択される請求項25記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項27】
主抵抗が備えられ、該主抵抗は、前記第1及び第2トランジスタの前記ベース・エミッタ電圧における差分に対応する前記PTAT電圧が該主抵抗を通じて発生されるように、前記第1及び第2トランジスタと協調動作する請求項25記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項28】
前記少なくとも一つの第1トランジスタは、第1電圧レベルと第2電圧レベルとの間に接続され、前記第2電圧レベルは前記第1電圧レベルと異なり、前記少なくとも一つの第2トランジスタは、前記第1電圧レベルと前記第2電圧レベルとの間に前記主抵抗と直列に接続された請求項27記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項29】
前記主抵抗が接続された前記第2トランジスタに供給される前記PTAT電流は、前記主抵抗を介して前記第2トランジスタに供給される請求項27記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項30】
前記第1及び第2トランジスタのコレクタは共通電圧レベルに保持され、前記PTAT電流は前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は前記第2トランジスタのエミッタに供給される請求項28記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項31】
前記共通電圧レベルは前記第2電圧レベルと同一である請求項30記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項32】
複数の第1トランジスタが、該第1トランジスタのベース・エミッタ電圧が合算されて第1トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第1トランジスタスタックに配置されて備えられ、各第1トランジスタのベースが、前記第1トランジスタスタックにおける次に低い第1トランジスタのエミッタに接続され、複数の第2トランジスタが、該第2トランジスタのベース・エミッタ電圧の和が合算されて第2トランジスタスタックのベース・エミッタ電圧を供給するように該第2トランジスタスタックに配置され、各第2トランジスタのベースが、前記第2トランジスタスタックにおける次に低い第2トランジスタのエミッタに接続され、前記第2トランジスタスタックにおける第2トランジスタの数が前記第1トランジスタスタックにおける第1トランジスタの数に対応し、前記第1及び第2トランジスタにはPTAT電流がそれぞれ供給される請求項28記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項33】
前記主抵抗は、前記第2トランジスタスタックにおける最高位の第2トランジスタと前記第1電圧レベルとの間に接続され、前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタスタックの最低位の第2トランジスタに供給され、前記各第1及び第2トランジスタスタックの前記最低位の第1及び第2トランジスタのベースは前記第2電圧レベルに接続された請求項32記載のPTAT電圧発生回路。
【請求項34】
TlnT温度曲率補正を有する温度的に安定なバンドギャップ基準電圧を発生させるための方法であって、
少なくとも一つの第1トランジスタと該少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作する少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した補正PTAT電圧を発生させるためのステップと、
前記少なくとも一つの第1トランジスタと前記少なくとも一つの第2トランジスタとにPTAT電流をそれぞれ供給するステップと、
前記補正PTAT電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作される電流密度よりも低い電流密度で前記少なくとも一つの第2トランジスタを動作させるステップと、
前記基準電圧を発生させるために前記補正PTAT電圧を未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合するステップとを含み、
更に、
CTAT補正電流を、前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記補正PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共に前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給し、これにより、前記補正PTAT電圧が前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧と結合されると、前記発生された基準電圧が温度的に安定であり且つTlnT温度曲率が補正されるステップを含む方法。
【請求項35】
前記PTAT電流は、前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は、前記第2トランジスタのエミッタに供給される請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記PTAT電流に対する前記CTAT補正電流の比は、前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積の比に応じて選択される請求項34記載の方法。
【請求項37】
トランジスタのベース・エミッタCTAT電圧の未補正TlnT温度曲率と相補的な曲率を有するPTAT電圧を発生させるための方法であって、
少なくとも一つの第1トランジスタと該少なくとも一つの第1トランジスタと協調動作する少なくとも一つの第2トランジスタとを備え、前記第1トランジスタ及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例したPTAT電圧を発生させるためのステップと、
前記少なくとも一つの第1トランジスタと前記少なくとも一つの第2トランジスタとにPTAT電流をそれぞれ供給するステップと、
前記第1及び第2トランジスタのベース・エミッタ電圧における差分に比例した前記PTAT電圧を発生させるために前記少なくとも一つの第1トランジスタが動作される電流密度よりも低い電流密度で前記少なくとも一つの第2トランジスタを動作させるステップとを含み、
更に、
前記未補正トランジスタベース・エミッタCTAT電圧の前記TlnT温度曲率と相補的な曲率を有する前記PTAT電圧を発生させるために前記PTAT電流と共にCTAT補正電流を前記少なくとも一つの第2トランジスタのうちの一つに供給するステップを含む方法。
【請求項38】
前記PTAT電流は前記第1及び第2トランジスタのエミッタに供給され、前記CTAT補正電流は前記第2トランジスタのエミッタに供給される請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記PTAT電流に対する前記CTAT補正電流の比は、前記少なくとも一つの第2トランジスタの面積に対する前記少なくとも一つの第1トランジスタの面積の比に応じて選択される請求項37記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−519433(P2006−519433A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502617(P2006−502617)
【出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【国際出願番号】PCT/IE2004/000025
【国際公開番号】WO2004/077192
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503062253)アナログ ディヴァイスィズ インク (23)
【Fターム(参考)】