バンドパスフィルタ
【課題】低損失で急峻な減衰特性を有する小型のバンドパスフィルタを提供する。
【解決手段】バンドパスフィルタは、第1のフィルタ1と第2のフィルタ2と第3のフィルタ3とインダクタ4,5とを有する。第1のフィルタ1は、2端子対SAW共振子11からなる。第2のフィルタ2は、1端子対SAW共振子21とインダクタ22とからなる。第3のフィルタ3は、1端子対SAW共振子31とインダクタ32とからなる。
【解決手段】バンドパスフィルタは、第1のフィルタ1と第2のフィルタ2と第3のフィルタ3とインダクタ4,5とを有する。第1のフィルタ1は、2端子対SAW共振子11からなる。第2のフィルタ2は、1端子対SAW共振子21とインダクタ22とからなる。第3のフィルタ3は、1端子対SAW共振子31とインダクタ32とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンドパスフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の高機能化が進み、音声通信及びデータ通信の機能に加えて、FM放送やTV放送を受信するチューナの搭載が進みつつある。TV放送では、携帯端末向けにUHF帯(470MHzから770MHz)を用いた地上波デジタルTV放送のサービスが開始され、デジタル方式の特徴を生かした高度なエラー訂正機能により、従来のアナログTVに比べて安定で高画質な映像や音声を楽しむことができる。
【0003】
TV放送受信用チューナ付き携帯電話機では、携帯電話機の送信信号がTV放送の受信信号に影響を与えないようにすることが重要である。その理由は、音声通信及びデータ通信用のアンテナから送信された電力の大きな送信信号がTV放送の受信回路に回りこみ、混信を生じる可能性があるからである。このような混信を防ぐため、UHF帯の信号を通過させ、音声通信及びデータ通信用の送信帯域の信号を抑圧するローパスフィルタが、チューナ側の回路に搭載される。
【0004】
ただし、地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機では、VHF帯(およそ0から300MHz)のアナログ放送が地上波デジタル放送の妨害波となり、受信品質に劣化が生じるため、VHF帯も減衰させる必要があるが、ローパスフィルタではVHF帯を減衰させることはできない。したがって、地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機では、音声通信及びデータ通信用の送信帯域の信号を抑圧すると共にVHF帯の信号を抑圧するバンドパスフィルタをチューナ側の回路に搭載する必要がある。
【0005】
このようなバンドパスフィルタ特性を実現するものとして、積層LCバンドパスフィルタが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。積層LCフィルタは、薄いセラミック層上に導体パターンを形成し、これらを複数積層することにより、インダクタやコンデンサを形成し、所定の接続を行ったフィルタである。図15に積層LCバンドパスフィルタの一般的な回路図を示し、図16に積層LCバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す。図15において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子、L10,L11,L12,L13,L14はインダクタ、C10,C11,C12,C13,C14はコンデンサである。図16に示すように、積層LCバンドパスフィルタでは、UHF帯が通過域となり、UHF帯を除く帯域が減衰域となっている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−148958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の積層LCバンドパスフィルタでは、減衰極が1.3GHzとなっているため、携帯電話機の送信帯域(800MHzから900MHz)の減衰量が9dB程度と不十分であるという問題点があった。地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機では、UHF帯(470MHzから770MHz)と携帯電話機の送信帯域が近接しているため、低損失かつ急峻なロールオフ特性が要求される。
【0008】
また、従来の積層LCバンドパスフィルタでは、段数を増やすことで、減衰極をより通過帯域近傍に近づけ、より大きな減衰量を得ることが可能であるが、段数を増やすと、インダクタに含まれる直列抵抗の影響により、通過帯域の損失も増大し、必要な通過帯域挿入損失を得ることが難しくなるという問題点があった。さらに、従来の積層LCバンドパスフィルタでは、素子数が増加すると、フィルタの外形が大きくなるという問題点があった。携帯電話機に搭載するフィルタは小型であることが望ましく、大きなフィルタは携帯電話機には不向きである。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、低損失で急峻な減衰特性を有する小型のバンドパスフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバンドパスフィルタは、第1のフィルタと、この第1のフィルタに並列に接続された第2のフィルタと、前記第1、第2のフィルタと信号入力端子との間に挿入された第3のフィルタと、前記信号入力端子と接地との間に挿入された第1のインダクタと、前記第3のフィルタの出力端子と接地との間に挿入された第2のインダクタとを有し、前記第1のフィルタは、第1の端子が前記第3のフィルタに接続され、第2の端子が信号出力端子に接続され、第3の端子と第4の端子が接地された第1の2端子対SAW共振子からなり、前記第2のフィルタは、第1の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第1の端子に接続され、第2の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第2の端子に接続された第1の1端子対SAW共振子と、この第1の1端子対SAW共振子に並列に接続された第3のインダクタとからなり、前記第3のフィルタは、第1の端子が前記信号入力端子に接続され、第2の端子が前記第1、第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の1端子対SAW共振子と、この第2の1端子対SAW共振子に並列に接続された第4のインダクタとからなるものである。
また、本発明のバンドパスフィルタの1構成例は、さらに、前記第1の2端子対SAW共振子の第3の端子と接地との間に挿入された第5のインダクタと、前記第1の2端子対SAW共振子の第4の端子と接地との間に挿入された第6のインダクタとを有するものである。
また、本発明のバンドパスフィルタの1構成例は、前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第4のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されるものである。
また、本発明のバンドパスフィルタの1構成例は、前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第6のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1のフィルタと、第1のフィルタに並列に接続された第2のフィルタと、第1、第2のフィルタと信号入力端子との間に挿入された第3のフィルタと、信号入力端子と接地との間に挿入された第1のインダクタと、第3のフィルタの出力端子と接地との間に挿入された第2のインダクタとを設け、第1のフィルタを第1の2端子対SAW共振子から構成し、第2のフィルタを第1の1端子対SAW共振子と第3のインダクタとから構成し、第3のフィルタを第2の1端子対SAW共振子と第4のインダクタとから構成することにより、従来の積層LCフィルタに比べて、高周波側の減衰域(例えば携帯電話機の送信帯域)と低周波側の減衰域(例えばVHF帯)について非常に急峻な減衰特性と大きな減衰量を得ることができる。また、本発明では、SAW共振子を用いるため、フィルタを小型化できる。さらに、本発明では、積層LCフィルタのように所望の減衰量を得るために段数を増やす必要がないので、通過帯域の挿入損失が増大することがなく、外形が大型化することもない。その結果、本発明では、低損失で急峻な減衰特性を有する小型のバンドパスフィルタを実現することができる。
【0012】
また、本発明では、第1の2端子対SAW共振子の第3の端子と接地との間に挿入された第5のインダクタと、第1の2端子対SAW共振子の第4の端子と接地との間に挿入された第6のインダクタとを設けることにより、上記の高周波側の減衰域とは別に、より高周波領域に広帯域で減衰量の大きい減衰域をデバイスサイズの大幅な増大を招くことなく形成することが可能になる。
【0013】
また、本発明では、第1の2端子対SAW共振子と第1、第2の1端子対SAW共振子とを圧電基板上に形成し、この圧電基板と第1乃至第4のインダクタとをパッケージ内に搭載することにより、バンドパスフィルタの特性のばらつきを抑え、所望の特性を容易に得ることができる。
【0014】
また、本発明では、第1の2端子対SAW共振子と第1、第2の1端子対SAW共振子とを圧電基板上に形成し、この圧電基板と第1乃至第6のインダクタとをパッケージ内に搭載することにより、バンドパスフィルタの特性のばらつきを抑え、所望の特性を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図である。図1のバンドパスフィルタは、第1のフィルタ1と、第2のフィルタ2と、第3のフィルタ3と、インダクタ4,5とから構成されている。図1において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子である。
【0016】
図2に、第1のフィルタ1の平面図を示す。第1のフィルタ1は、2端子対SAW(Surface Acoustic Wave )共振子11からなる。2端子対SAW共振子11は、圧電基板上に送信用IDT(interdigital transducer :すだれ状電極)110と受信用IDT111とを形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器112,113を配置したものである。周知のように、IDTは、金属からなる櫛状の対向する2つの電極部を有し、各電極部は、対向する電極部に向かって交互に突出した複数の電極指を有している。
【0017】
図1、図2において、12は2端子対SAW共振子11の第1の端子(フィルタ1の入力端子)、14は2端子対SAW共振子11の第2の端子(フィルタ1の出力端子)、13は2端子対SAW共振子11の第3の端子、15は2端子対SAW共振子11の第4の端子である。第3の端子13と第4の端子15は接地されている。
【0018】
第1のフィルタ1は、2つの反射器112,113間に生じる定在波の周波数とIDT110,111の共振周波数とが一致するときに、入力端子12と出力端子14間に信号が伝送される狭帯域通過フィルタとして動作する。第1のフィルタ1の通過特性の1例を図3に示す。
【0019】
図4に、第3のフィルタ3の平面図を示す。第3のフィルタ3は、1端子対SAW共振子31と、1端子対SAW共振子31に並列に接続されたインダクタ32とからなる。1端子対SAW共振子31は、圧電基板上に1つのIDT310を形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器311,312を配置したものである。インダクタ32は、圧電基板を内蔵するセラミックパッケージ内に搭載される。図1、図4において、33は1端子対SAW共振子31の第1の端子(IDT310の入力端子)、34は1端子対SAW共振子31の第2の端子(IDT310の出力端子)、35はインダクタ32の第1の端子、36はインダクタ32の第2の端子である。
【0020】
第3のフィルタ3の通過特性の1例を図5に示す。第3のフィルタ3は、2つの減衰極を有する帯域通過フィルタの特性を示す。ただし、図5では、約0.9GHzの低周波側の減衰極のみ記載し、1GHz超の位置にある高周波側の減衰極については省略している。第1のフィルタ1と第3のフィルタ3とを直列に接続し、第1のフィルタ1の通過域(0.9〜1GHz)を第3のフィルタ3の2つの減衰極の間に設定すると、図6に示すように第1のフィルタ1の通過域の両側の約0.9GHzと1GHzの位置に第3のフィルタ3の減衰極が生じ、通過域近傍の減衰量が改善されていることが分かる。
【0021】
フィルタ1,3を直列に接続したフィルタ(以下、直列フィルタ1,3と呼ぶ)と似た構成が、特開昭56−47116号公報に開示されている。特開昭56−47116号公報に開示されたフィルタでは、弾性表面波素子としてトランスバーサルフィルタが使用され、圧電共振子としてセラミック共振子が使用されている。これに対して、本実施の形態の直列フィルタ1,3では、トランスバーサルフィルタの代わりに2端子対SAW共振子11を使用し、また圧電共振子の代わりに1端子対SAW共振子31を使用しており、これらを同一の圧電基板上に形成している点が特開昭56−47116号公報のフィルタと異なる。
【0022】
次に、本実施の形態では、直列フィルタ1,3において、第1のフィルタ1に並列に第2のフィルタ2を接続することにより、非常に急峻な減衰特性を有するローパスフィルタを実現している。図7に、第2のフィルタ2の平面図を示す。第2のフィルタ2は、1端子対SAW共振子21と、1端子対SAW共振子21に並列に接続されたインダクタ22とからなる。1端子対SAW共振子21は、圧電基板上に1つのIDT210を形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器211,212を配置したものである。インダクタ22は、圧電基板を内蔵するセラミックパッケージ内に搭載される。図1、図7において、23は1端子対SAW共振子21の第1の端子(IDT210の入力端子)、24は1端子対SAW共振子21の第2の端子(IDT210の出力端子)、25はインダクタ22の第1の端子、26はインダクタ22の第2の端子である。
【0023】
さらに、本実施の形態では、第3のフィルタ3の入力端子(信号入力端子IN)と接地との間にインダクタ4を挿入すると共に、第3のフィルタ3の出力端子と接地との間にインダクタ5を挿入することにより、VHF帯(およそ0から300MHz)に減衰域を有するバンドパスフィルタを実現することができる。
【0024】
図8に、図1のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す。図1の構成によれば、DC(直流)から400MHzの帯域に減衰域Aが形成され、400MHzから770MHzの帯域に低損失な通過域Bが形成され、900MHz付近に40dB以上の減衰域Cが形成されていることが分かる。
【0025】
図9は、本実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図である。図9において、100はアルミナ等からなるセラミックパッケージ、101はLiTaO3 等からなる圧電基板上にAlCu等の電極材料を用いて2端子対SAW共振子11と1端子対SAW共振子21,31とを形成したSAW素子チップである。
【0026】
102〜106はセラミックパッケージ100上に形成された配線であり、102はパッケージの信号入力端子INと1端子対SAW共振子31の第1の端子33とインダクタ32の第1の端子35とインダクタ4の第1の端子とを接続する信号入力用配線、103はパッケージの信号出力端子OUTと2端子対SAW共振子11の第2の端子14と1端子対SAW共振子21の第2の端子24とインダクタ22の第2の端子26とを接続する信号出力用配線、104は2端子対SAW共振子11の第1の端子12と1端子対SAW共振子21の第1の端子23と1端子対SAW共振子31の第2の端子34とインダクタ22の第1の端子25とインダクタ32の第2の端子36とインダクタ5の第1の端子とを接続する配線、105はパッケージの接地端子とインダクタ4,5の第2の端子とを接続するGND配線、106はパッケージの接地端子と2端子対SAW共振子11の第3の端子13及び第4の端子15とを接続するGND配線である。
【0027】
SAW素子チップ101は、下面に形成されたパッドと配線102〜104,106に形成されたパッドとの間を金ボールを介して接続するフリップチップボンディングにより、セラミックパッケージ100上に搭載される。
インダクタ4,5,22,32は、チップインダクタを用いて構成すればよく、ワイヤやパッケージの配線を用いて形成しても良い。インダクタ4,5,22,32の値としては、およそ5nHから40nHが望ましい。これらのインダクタ4,5,22,32は、導電性ペーストを用いてパッケージの配線と接続される。
【0028】
次に、本実施の形態のバンドパスフィルタの設計法の概略について説明する。第1のフィルタ1の素子の値と第2のフィルタ2の素子の値を適宜設定すると、図8の減衰域Cが形成され、この減衰域Cより低い帯域が通過域Bとなり、減衰域Cより高い帯域が通過域Dとなる。所望の通過域Bと減衰域Cを得るためには、まず第1のフィルタ1のIDT110,111の共振波長λ1と第2のフィルタ2のIDT210の共振波長λ2を調整して、減衰域Cが所望の周波数範囲になるように設定する。第1のフィルタ1のIDT110,111の共振波長λ1は、減衰域Cの高域側の端部周波数の決定に影響を与える。共振波長λ1とλ2は、λ2<λ1の関係を満たすことが好ましい。その理由は、λ2>λ1とすると、減衰極が分離して、減衰域Cの減衰量が劣化するからである。
【0029】
第2のフィルタ2のIDT210の共振波長λ2を変化させると、通過域Bの高域側の端部周波数が変化するため、インダクタ22の値を調整して、通過域Bの高域側の端部周波数が所望の値になるように設定する。この操作により、減衰域Cの周波数範囲が変化するため、波長λ2を調整する。このようなインダクタ22の調整と第2のフィルタ2のIDT210の共振波長λ2の調整とを、所望の特性を満たすまで繰り返す。
【0030】
第1のフィルタ1及び第2のフィルタ2のIDT110,111,210の電極指の交差幅と電極指の対数は、通過域Bのインピーダンスと減衰域Cの広さに影響を与える。減衰域Cが所望の周波数範囲となり、通過域Bが所望の特性インピーダンス(通常50Ω)となるように、IDT110,111,210の電極指の交差幅と電極指の対数を適切に設定する。以上の調整は、手動で行うことも可能であるが、適切な誤差関数を定めて、コンピュータにより最適な組み合わせを探索するようにすると良い。
【0031】
なお、以上の設計方法の説明では、第1のフィルタ1のIDT110の共振波長とIDT111の共振波長を同一の値としたが、異なる値に設定しても良い。IDT110とIDT111の共振波長を異なる値にすると、減衰域Cを広帯域にすることができる。また、第1のフィルタ1のIDT110とIDT111間の距離を調整すると、減衰域Cを更に広帯域にすることができる。この調整は、IDT110とIDT111間の距離を通常0.5λとするところを0.7λから0.9λ付近にすると良い。
【0032】
第3のフィルタ3は、図5のような通過特性を有している。そこで、第1のフィルタ1に第2のフィルタ2を並列に接続したフィルタの通過域Bと、第3のフィルタ3の通過域Bとが一致し、かつ第1のフィルタ1に第2のフィルタ2を並列に接続したフィルタの減衰域Cと、第3のフィルタ3の減衰域Cとが一致するようにして、これらを図1に示したように従属接続すれば、減衰域Cの減衰量がより増大し好ましい。
【0033】
さらに、本実施の形態では、インダクタ4,5を設けることにより、VHF帯に減衰域Aを形成することができる。VHF帯が減衰する理由は以下のとおりである。SAW共振子の共振周波数f=V/λ(IDTの共振波長λと圧電基板の弾性表面波表面波速度Vで決まる周波数)から離れた周波数領域では、SAW共振子のIDTは等価的にキャパシタと見なすことができる。本実施の形態では、SAW共振子11,21,31の共振周波数が図8に示した通過域Bの高域側の端部周波数近傍に設定されている。したがって、SAW共振子11,21,31のIDT110,111,210,310は、この端部周波数以外では等価的にキャパシタと見なすことができる。通過域Bの高域側の端部周波数よりも低周波の領域における図1の等価回路を図10に示す。
【0034】
キャパシタは、そのインピーダンス特性から低周波領域では、信号を通過させない。一方、インダクタは、DCを含む低周波領域で信号を通過させる。図10より明らかなように、信号入力端子INに入力された信号のほとんどは、インダクタ4,5を通して接地に流れるため、信号出力端子OUTにはほとんど信号が伝達されない。したがって、減衰域Aが所望の周波数範囲になるようにインダクタ4,5の値を設定することにより、VHF帯に減衰域Aを設けることが可能となる。なお、400MHz以上の高い周波数領域では、インダクタ4,5には信号が流れなくなるため、フィルタの通過域Bを劣化させることはない。
【0035】
以上のように、本実施の形態によれば、第1のフィルタ1と第2のフィルタ2と第3のフィルタ3とを設けることにより、従来の積層LCフィルタに比べて、携帯電話機の送信帯域(減衰域C)について非常に急峻な減衰特性と大きな減衰量を得ることができ、携帯電話機の送信帯域の信号を効果的に抑圧することができる。また、本実施の形態では、インダクタ4,5を設けることにより、従来の積層LCフィルタに比べて、VHF帯(減衰域A)について急峻な減衰特性と大きな減衰量を得ることができ、VHF帯のアナログTV信号などを効果的に抑圧することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、SAW共振子を用いるため、フィルタを小型化できる。さらに、本実施の形態では、積層LCフィルタのように所望の減衰量を得るために段数を増やす必要がないので、通過帯域の挿入損失が増大することがなく、外形が大型化することもない。その結果、本実施の形態では、低損失で急峻な減衰特性を有する小型のバンドパスフィルタを実現することができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図11は、本発明の第2の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態のバンドパスフィルタは、第1の実施の形態のバンドパスフィルタにおいて、2端子対SAW共振子11の第3の端子13と接地との間にインダクタ6を挿入し、2端子対SAW共振子11の第4の端子15と接地との間にインダクタ7を挿入したものである。
【0038】
図12に、本実施の形態のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す。本実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、より減衰量の大きい減衰域Eを形成することが可能になる。
【0039】
図13は、本実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図であり、図9と同一の構成には同一の符号を付してある。図13において、107は2端子対SAW共振子11の第3の端子13とインダクタ6の第1の端子とを接続する配線、108は2端子対SAW共振子11の第4の端子15とインダクタ7の第1の端子とを接続する配線、109はパッケージの接地端子とインダクタ6,7の第2の端子とを接続するGND配線である。インダクタ6,7は、チップインダクタを用いて構成すればよく、ワイヤやパッケージの配線を用いて形成しても良い。これらのインダクタ6,7は、導電性ペーストを用いてパッケージの配線と接続される。
【0040】
第1の実施の形態に比べて減衰域Eの減衰量が大きくなる理由は以下のとおりである。第1の実施の形態で説明したとおり、SAW共振子11,21,31のIDT110,111,210,310は、通過域Bの高域側の端部周波数以外では等価的にキャパシタと見なすことができる。通過域Bの高域側の端部周波数よりも高周波の領域における図11の等価回路を図14に示す。
【0041】
図14の等価回路によれば、2端子対SAW共振子11の一方の静電容量とインダクタ6がLC直列共振回路を構成すると共に、2端子対SAW共振子11の他方の静電容量とインダクタ7がLC直列共振回路を構成している。したがって、これらのLC直列共振回路の共振周波数が所望の周波数になるようにインダクタ6,7の値を設定することにより、所望の周波数付近に減衰極を形成することができ、減衰域Eの減衰量を効果的に増大させることができる。図12によると、図8に示した第1の実施の形態のバンドパスフィルタの特性に比べて、2GHz付近の減衰量が大幅に増大していることが分かる。また、本実施の形態では、LC直列共振回路が2つあるため、それぞれの共振周波数を若干ずらすことにより、帯域の広い減衰域Eを形成することができる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態では、インダクタ6,7を設けることにより、広帯域で減衰量の大きい減衰域Eを形成することが可能になる。近年、800MHz帯と2GHz帯をそれぞれ音声通信とデータ通信に割り当てたデュアルタイプの携帯電話機が登場しているが、本実施の形態によれば、800MHz帯の減衰域Cだけでなく、2GHz帯の減衰域Eについても十分な減衰量を得ることができるので、このようなデュアルタイプの携帯電話機にTV放送受信用チューナを設ける場合に、携帯電話機の送信信号がチューナ回路に回り込むことのないように携帯電話機の送信信号を十分に減衰させることができ、十分な妨害波除去機能を果たすことができる。
【0043】
なお、本実施の形態において、使用する圧電基板やカット角は、種々変更可能である。特に電気機械結合係数は、フィルタの急峻性に寄与する。電極材料も、AlCuに限らず種々の合金、多層膜、高配向膜を用いてよく、表面にSiO2 等の保護膜を形成してもよい。
【0044】
また、本実施の形態のバンドパスフィルタは、他の構成のフィルタと組み合わせてもよく、分波器用のフィルタの一部または全部を構成してもよい。また、第1のフィルタ1の2端子対SAW共振子11は、対称構成でなくてもよく、IDT110と111の間で共振波長λや電極指の対数などを変えてもよい。また、IDT110と111間の距離も要求特性に応じて変更してよい。また、第1のフィルタ1と第2のフィルタ2の組み合わせを複数段直列に接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機のチューナ回路に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における第1のフィルタの平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における第1のフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における第3のフィルタの平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における第3のフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態において第1のフィルタと第3のフィルタとを直列に接続したフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における第2のフィルタの平面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態のバンドパスフィルタの等価回路図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態のバンドパスフィルタの等価回路図である。
【図15】従来の積層LCバンドパスフィルタの回路図である。
【図16】図15の積層LCバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1…第1のフィルタ、2…第2のフィルタ、3…第3のフィルタ、4,5,6,7,22,32…インダクタ、11…2端子対SAW共振子、21,31…1端子対SAW共振子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンドパスフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の高機能化が進み、音声通信及びデータ通信の機能に加えて、FM放送やTV放送を受信するチューナの搭載が進みつつある。TV放送では、携帯端末向けにUHF帯(470MHzから770MHz)を用いた地上波デジタルTV放送のサービスが開始され、デジタル方式の特徴を生かした高度なエラー訂正機能により、従来のアナログTVに比べて安定で高画質な映像や音声を楽しむことができる。
【0003】
TV放送受信用チューナ付き携帯電話機では、携帯電話機の送信信号がTV放送の受信信号に影響を与えないようにすることが重要である。その理由は、音声通信及びデータ通信用のアンテナから送信された電力の大きな送信信号がTV放送の受信回路に回りこみ、混信を生じる可能性があるからである。このような混信を防ぐため、UHF帯の信号を通過させ、音声通信及びデータ通信用の送信帯域の信号を抑圧するローパスフィルタが、チューナ側の回路に搭載される。
【0004】
ただし、地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機では、VHF帯(およそ0から300MHz)のアナログ放送が地上波デジタル放送の妨害波となり、受信品質に劣化が生じるため、VHF帯も減衰させる必要があるが、ローパスフィルタではVHF帯を減衰させることはできない。したがって、地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機では、音声通信及びデータ通信用の送信帯域の信号を抑圧すると共にVHF帯の信号を抑圧するバンドパスフィルタをチューナ側の回路に搭載する必要がある。
【0005】
このようなバンドパスフィルタ特性を実現するものとして、積層LCバンドパスフィルタが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。積層LCフィルタは、薄いセラミック層上に導体パターンを形成し、これらを複数積層することにより、インダクタやコンデンサを形成し、所定の接続を行ったフィルタである。図15に積層LCバンドパスフィルタの一般的な回路図を示し、図16に積層LCバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す。図15において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子、L10,L11,L12,L13,L14はインダクタ、C10,C11,C12,C13,C14はコンデンサである。図16に示すように、積層LCバンドパスフィルタでは、UHF帯が通過域となり、UHF帯を除く帯域が減衰域となっている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−148958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の積層LCバンドパスフィルタでは、減衰極が1.3GHzとなっているため、携帯電話機の送信帯域(800MHzから900MHz)の減衰量が9dB程度と不十分であるという問題点があった。地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機では、UHF帯(470MHzから770MHz)と携帯電話機の送信帯域が近接しているため、低損失かつ急峻なロールオフ特性が要求される。
【0008】
また、従来の積層LCバンドパスフィルタでは、段数を増やすことで、減衰極をより通過帯域近傍に近づけ、より大きな減衰量を得ることが可能であるが、段数を増やすと、インダクタに含まれる直列抵抗の影響により、通過帯域の損失も増大し、必要な通過帯域挿入損失を得ることが難しくなるという問題点があった。さらに、従来の積層LCバンドパスフィルタでは、素子数が増加すると、フィルタの外形が大きくなるという問題点があった。携帯電話機に搭載するフィルタは小型であることが望ましく、大きなフィルタは携帯電話機には不向きである。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、低損失で急峻な減衰特性を有する小型のバンドパスフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバンドパスフィルタは、第1のフィルタと、この第1のフィルタに並列に接続された第2のフィルタと、前記第1、第2のフィルタと信号入力端子との間に挿入された第3のフィルタと、前記信号入力端子と接地との間に挿入された第1のインダクタと、前記第3のフィルタの出力端子と接地との間に挿入された第2のインダクタとを有し、前記第1のフィルタは、第1の端子が前記第3のフィルタに接続され、第2の端子が信号出力端子に接続され、第3の端子と第4の端子が接地された第1の2端子対SAW共振子からなり、前記第2のフィルタは、第1の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第1の端子に接続され、第2の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第2の端子に接続された第1の1端子対SAW共振子と、この第1の1端子対SAW共振子に並列に接続された第3のインダクタとからなり、前記第3のフィルタは、第1の端子が前記信号入力端子に接続され、第2の端子が前記第1、第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の1端子対SAW共振子と、この第2の1端子対SAW共振子に並列に接続された第4のインダクタとからなるものである。
また、本発明のバンドパスフィルタの1構成例は、さらに、前記第1の2端子対SAW共振子の第3の端子と接地との間に挿入された第5のインダクタと、前記第1の2端子対SAW共振子の第4の端子と接地との間に挿入された第6のインダクタとを有するものである。
また、本発明のバンドパスフィルタの1構成例は、前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第4のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されるものである。
また、本発明のバンドパスフィルタの1構成例は、前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第6のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1のフィルタと、第1のフィルタに並列に接続された第2のフィルタと、第1、第2のフィルタと信号入力端子との間に挿入された第3のフィルタと、信号入力端子と接地との間に挿入された第1のインダクタと、第3のフィルタの出力端子と接地との間に挿入された第2のインダクタとを設け、第1のフィルタを第1の2端子対SAW共振子から構成し、第2のフィルタを第1の1端子対SAW共振子と第3のインダクタとから構成し、第3のフィルタを第2の1端子対SAW共振子と第4のインダクタとから構成することにより、従来の積層LCフィルタに比べて、高周波側の減衰域(例えば携帯電話機の送信帯域)と低周波側の減衰域(例えばVHF帯)について非常に急峻な減衰特性と大きな減衰量を得ることができる。また、本発明では、SAW共振子を用いるため、フィルタを小型化できる。さらに、本発明では、積層LCフィルタのように所望の減衰量を得るために段数を増やす必要がないので、通過帯域の挿入損失が増大することがなく、外形が大型化することもない。その結果、本発明では、低損失で急峻な減衰特性を有する小型のバンドパスフィルタを実現することができる。
【0012】
また、本発明では、第1の2端子対SAW共振子の第3の端子と接地との間に挿入された第5のインダクタと、第1の2端子対SAW共振子の第4の端子と接地との間に挿入された第6のインダクタとを設けることにより、上記の高周波側の減衰域とは別に、より高周波領域に広帯域で減衰量の大きい減衰域をデバイスサイズの大幅な増大を招くことなく形成することが可能になる。
【0013】
また、本発明では、第1の2端子対SAW共振子と第1、第2の1端子対SAW共振子とを圧電基板上に形成し、この圧電基板と第1乃至第4のインダクタとをパッケージ内に搭載することにより、バンドパスフィルタの特性のばらつきを抑え、所望の特性を容易に得ることができる。
【0014】
また、本発明では、第1の2端子対SAW共振子と第1、第2の1端子対SAW共振子とを圧電基板上に形成し、この圧電基板と第1乃至第6のインダクタとをパッケージ内に搭載することにより、バンドパスフィルタの特性のばらつきを抑え、所望の特性を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図である。図1のバンドパスフィルタは、第1のフィルタ1と、第2のフィルタ2と、第3のフィルタ3と、インダクタ4,5とから構成されている。図1において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子である。
【0016】
図2に、第1のフィルタ1の平面図を示す。第1のフィルタ1は、2端子対SAW(Surface Acoustic Wave )共振子11からなる。2端子対SAW共振子11は、圧電基板上に送信用IDT(interdigital transducer :すだれ状電極)110と受信用IDT111とを形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器112,113を配置したものである。周知のように、IDTは、金属からなる櫛状の対向する2つの電極部を有し、各電極部は、対向する電極部に向かって交互に突出した複数の電極指を有している。
【0017】
図1、図2において、12は2端子対SAW共振子11の第1の端子(フィルタ1の入力端子)、14は2端子対SAW共振子11の第2の端子(フィルタ1の出力端子)、13は2端子対SAW共振子11の第3の端子、15は2端子対SAW共振子11の第4の端子である。第3の端子13と第4の端子15は接地されている。
【0018】
第1のフィルタ1は、2つの反射器112,113間に生じる定在波の周波数とIDT110,111の共振周波数とが一致するときに、入力端子12と出力端子14間に信号が伝送される狭帯域通過フィルタとして動作する。第1のフィルタ1の通過特性の1例を図3に示す。
【0019】
図4に、第3のフィルタ3の平面図を示す。第3のフィルタ3は、1端子対SAW共振子31と、1端子対SAW共振子31に並列に接続されたインダクタ32とからなる。1端子対SAW共振子31は、圧電基板上に1つのIDT310を形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器311,312を配置したものである。インダクタ32は、圧電基板を内蔵するセラミックパッケージ内に搭載される。図1、図4において、33は1端子対SAW共振子31の第1の端子(IDT310の入力端子)、34は1端子対SAW共振子31の第2の端子(IDT310の出力端子)、35はインダクタ32の第1の端子、36はインダクタ32の第2の端子である。
【0020】
第3のフィルタ3の通過特性の1例を図5に示す。第3のフィルタ3は、2つの減衰極を有する帯域通過フィルタの特性を示す。ただし、図5では、約0.9GHzの低周波側の減衰極のみ記載し、1GHz超の位置にある高周波側の減衰極については省略している。第1のフィルタ1と第3のフィルタ3とを直列に接続し、第1のフィルタ1の通過域(0.9〜1GHz)を第3のフィルタ3の2つの減衰極の間に設定すると、図6に示すように第1のフィルタ1の通過域の両側の約0.9GHzと1GHzの位置に第3のフィルタ3の減衰極が生じ、通過域近傍の減衰量が改善されていることが分かる。
【0021】
フィルタ1,3を直列に接続したフィルタ(以下、直列フィルタ1,3と呼ぶ)と似た構成が、特開昭56−47116号公報に開示されている。特開昭56−47116号公報に開示されたフィルタでは、弾性表面波素子としてトランスバーサルフィルタが使用され、圧電共振子としてセラミック共振子が使用されている。これに対して、本実施の形態の直列フィルタ1,3では、トランスバーサルフィルタの代わりに2端子対SAW共振子11を使用し、また圧電共振子の代わりに1端子対SAW共振子31を使用しており、これらを同一の圧電基板上に形成している点が特開昭56−47116号公報のフィルタと異なる。
【0022】
次に、本実施の形態では、直列フィルタ1,3において、第1のフィルタ1に並列に第2のフィルタ2を接続することにより、非常に急峻な減衰特性を有するローパスフィルタを実現している。図7に、第2のフィルタ2の平面図を示す。第2のフィルタ2は、1端子対SAW共振子21と、1端子対SAW共振子21に並列に接続されたインダクタ22とからなる。1端子対SAW共振子21は、圧電基板上に1つのIDT210を形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器211,212を配置したものである。インダクタ22は、圧電基板を内蔵するセラミックパッケージ内に搭載される。図1、図7において、23は1端子対SAW共振子21の第1の端子(IDT210の入力端子)、24は1端子対SAW共振子21の第2の端子(IDT210の出力端子)、25はインダクタ22の第1の端子、26はインダクタ22の第2の端子である。
【0023】
さらに、本実施の形態では、第3のフィルタ3の入力端子(信号入力端子IN)と接地との間にインダクタ4を挿入すると共に、第3のフィルタ3の出力端子と接地との間にインダクタ5を挿入することにより、VHF帯(およそ0から300MHz)に減衰域を有するバンドパスフィルタを実現することができる。
【0024】
図8に、図1のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す。図1の構成によれば、DC(直流)から400MHzの帯域に減衰域Aが形成され、400MHzから770MHzの帯域に低損失な通過域Bが形成され、900MHz付近に40dB以上の減衰域Cが形成されていることが分かる。
【0025】
図9は、本実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図である。図9において、100はアルミナ等からなるセラミックパッケージ、101はLiTaO3 等からなる圧電基板上にAlCu等の電極材料を用いて2端子対SAW共振子11と1端子対SAW共振子21,31とを形成したSAW素子チップである。
【0026】
102〜106はセラミックパッケージ100上に形成された配線であり、102はパッケージの信号入力端子INと1端子対SAW共振子31の第1の端子33とインダクタ32の第1の端子35とインダクタ4の第1の端子とを接続する信号入力用配線、103はパッケージの信号出力端子OUTと2端子対SAW共振子11の第2の端子14と1端子対SAW共振子21の第2の端子24とインダクタ22の第2の端子26とを接続する信号出力用配線、104は2端子対SAW共振子11の第1の端子12と1端子対SAW共振子21の第1の端子23と1端子対SAW共振子31の第2の端子34とインダクタ22の第1の端子25とインダクタ32の第2の端子36とインダクタ5の第1の端子とを接続する配線、105はパッケージの接地端子とインダクタ4,5の第2の端子とを接続するGND配線、106はパッケージの接地端子と2端子対SAW共振子11の第3の端子13及び第4の端子15とを接続するGND配線である。
【0027】
SAW素子チップ101は、下面に形成されたパッドと配線102〜104,106に形成されたパッドとの間を金ボールを介して接続するフリップチップボンディングにより、セラミックパッケージ100上に搭載される。
インダクタ4,5,22,32は、チップインダクタを用いて構成すればよく、ワイヤやパッケージの配線を用いて形成しても良い。インダクタ4,5,22,32の値としては、およそ5nHから40nHが望ましい。これらのインダクタ4,5,22,32は、導電性ペーストを用いてパッケージの配線と接続される。
【0028】
次に、本実施の形態のバンドパスフィルタの設計法の概略について説明する。第1のフィルタ1の素子の値と第2のフィルタ2の素子の値を適宜設定すると、図8の減衰域Cが形成され、この減衰域Cより低い帯域が通過域Bとなり、減衰域Cより高い帯域が通過域Dとなる。所望の通過域Bと減衰域Cを得るためには、まず第1のフィルタ1のIDT110,111の共振波長λ1と第2のフィルタ2のIDT210の共振波長λ2を調整して、減衰域Cが所望の周波数範囲になるように設定する。第1のフィルタ1のIDT110,111の共振波長λ1は、減衰域Cの高域側の端部周波数の決定に影響を与える。共振波長λ1とλ2は、λ2<λ1の関係を満たすことが好ましい。その理由は、λ2>λ1とすると、減衰極が分離して、減衰域Cの減衰量が劣化するからである。
【0029】
第2のフィルタ2のIDT210の共振波長λ2を変化させると、通過域Bの高域側の端部周波数が変化するため、インダクタ22の値を調整して、通過域Bの高域側の端部周波数が所望の値になるように設定する。この操作により、減衰域Cの周波数範囲が変化するため、波長λ2を調整する。このようなインダクタ22の調整と第2のフィルタ2のIDT210の共振波長λ2の調整とを、所望の特性を満たすまで繰り返す。
【0030】
第1のフィルタ1及び第2のフィルタ2のIDT110,111,210の電極指の交差幅と電極指の対数は、通過域Bのインピーダンスと減衰域Cの広さに影響を与える。減衰域Cが所望の周波数範囲となり、通過域Bが所望の特性インピーダンス(通常50Ω)となるように、IDT110,111,210の電極指の交差幅と電極指の対数を適切に設定する。以上の調整は、手動で行うことも可能であるが、適切な誤差関数を定めて、コンピュータにより最適な組み合わせを探索するようにすると良い。
【0031】
なお、以上の設計方法の説明では、第1のフィルタ1のIDT110の共振波長とIDT111の共振波長を同一の値としたが、異なる値に設定しても良い。IDT110とIDT111の共振波長を異なる値にすると、減衰域Cを広帯域にすることができる。また、第1のフィルタ1のIDT110とIDT111間の距離を調整すると、減衰域Cを更に広帯域にすることができる。この調整は、IDT110とIDT111間の距離を通常0.5λとするところを0.7λから0.9λ付近にすると良い。
【0032】
第3のフィルタ3は、図5のような通過特性を有している。そこで、第1のフィルタ1に第2のフィルタ2を並列に接続したフィルタの通過域Bと、第3のフィルタ3の通過域Bとが一致し、かつ第1のフィルタ1に第2のフィルタ2を並列に接続したフィルタの減衰域Cと、第3のフィルタ3の減衰域Cとが一致するようにして、これらを図1に示したように従属接続すれば、減衰域Cの減衰量がより増大し好ましい。
【0033】
さらに、本実施の形態では、インダクタ4,5を設けることにより、VHF帯に減衰域Aを形成することができる。VHF帯が減衰する理由は以下のとおりである。SAW共振子の共振周波数f=V/λ(IDTの共振波長λと圧電基板の弾性表面波表面波速度Vで決まる周波数)から離れた周波数領域では、SAW共振子のIDTは等価的にキャパシタと見なすことができる。本実施の形態では、SAW共振子11,21,31の共振周波数が図8に示した通過域Bの高域側の端部周波数近傍に設定されている。したがって、SAW共振子11,21,31のIDT110,111,210,310は、この端部周波数以外では等価的にキャパシタと見なすことができる。通過域Bの高域側の端部周波数よりも低周波の領域における図1の等価回路を図10に示す。
【0034】
キャパシタは、そのインピーダンス特性から低周波領域では、信号を通過させない。一方、インダクタは、DCを含む低周波領域で信号を通過させる。図10より明らかなように、信号入力端子INに入力された信号のほとんどは、インダクタ4,5を通して接地に流れるため、信号出力端子OUTにはほとんど信号が伝達されない。したがって、減衰域Aが所望の周波数範囲になるようにインダクタ4,5の値を設定することにより、VHF帯に減衰域Aを設けることが可能となる。なお、400MHz以上の高い周波数領域では、インダクタ4,5には信号が流れなくなるため、フィルタの通過域Bを劣化させることはない。
【0035】
以上のように、本実施の形態によれば、第1のフィルタ1と第2のフィルタ2と第3のフィルタ3とを設けることにより、従来の積層LCフィルタに比べて、携帯電話機の送信帯域(減衰域C)について非常に急峻な減衰特性と大きな減衰量を得ることができ、携帯電話機の送信帯域の信号を効果的に抑圧することができる。また、本実施の形態では、インダクタ4,5を設けることにより、従来の積層LCフィルタに比べて、VHF帯(減衰域A)について急峻な減衰特性と大きな減衰量を得ることができ、VHF帯のアナログTV信号などを効果的に抑圧することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、SAW共振子を用いるため、フィルタを小型化できる。さらに、本実施の形態では、積層LCフィルタのように所望の減衰量を得るために段数を増やす必要がないので、通過帯域の挿入損失が増大することがなく、外形が大型化することもない。その結果、本実施の形態では、低損失で急峻な減衰特性を有する小型のバンドパスフィルタを実現することができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図11は、本発明の第2の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態のバンドパスフィルタは、第1の実施の形態のバンドパスフィルタにおいて、2端子対SAW共振子11の第3の端子13と接地との間にインダクタ6を挿入し、2端子対SAW共振子11の第4の端子15と接地との間にインダクタ7を挿入したものである。
【0038】
図12に、本実施の形態のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す。本実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、より減衰量の大きい減衰域Eを形成することが可能になる。
【0039】
図13は、本実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図であり、図9と同一の構成には同一の符号を付してある。図13において、107は2端子対SAW共振子11の第3の端子13とインダクタ6の第1の端子とを接続する配線、108は2端子対SAW共振子11の第4の端子15とインダクタ7の第1の端子とを接続する配線、109はパッケージの接地端子とインダクタ6,7の第2の端子とを接続するGND配線である。インダクタ6,7は、チップインダクタを用いて構成すればよく、ワイヤやパッケージの配線を用いて形成しても良い。これらのインダクタ6,7は、導電性ペーストを用いてパッケージの配線と接続される。
【0040】
第1の実施の形態に比べて減衰域Eの減衰量が大きくなる理由は以下のとおりである。第1の実施の形態で説明したとおり、SAW共振子11,21,31のIDT110,111,210,310は、通過域Bの高域側の端部周波数以外では等価的にキャパシタと見なすことができる。通過域Bの高域側の端部周波数よりも高周波の領域における図11の等価回路を図14に示す。
【0041】
図14の等価回路によれば、2端子対SAW共振子11の一方の静電容量とインダクタ6がLC直列共振回路を構成すると共に、2端子対SAW共振子11の他方の静電容量とインダクタ7がLC直列共振回路を構成している。したがって、これらのLC直列共振回路の共振周波数が所望の周波数になるようにインダクタ6,7の値を設定することにより、所望の周波数付近に減衰極を形成することができ、減衰域Eの減衰量を効果的に増大させることができる。図12によると、図8に示した第1の実施の形態のバンドパスフィルタの特性に比べて、2GHz付近の減衰量が大幅に増大していることが分かる。また、本実施の形態では、LC直列共振回路が2つあるため、それぞれの共振周波数を若干ずらすことにより、帯域の広い減衰域Eを形成することができる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態では、インダクタ6,7を設けることにより、広帯域で減衰量の大きい減衰域Eを形成することが可能になる。近年、800MHz帯と2GHz帯をそれぞれ音声通信とデータ通信に割り当てたデュアルタイプの携帯電話機が登場しているが、本実施の形態によれば、800MHz帯の減衰域Cだけでなく、2GHz帯の減衰域Eについても十分な減衰量を得ることができるので、このようなデュアルタイプの携帯電話機にTV放送受信用チューナを設ける場合に、携帯電話機の送信信号がチューナ回路に回り込むことのないように携帯電話機の送信信号を十分に減衰させることができ、十分な妨害波除去機能を果たすことができる。
【0043】
なお、本実施の形態において、使用する圧電基板やカット角は、種々変更可能である。特に電気機械結合係数は、フィルタの急峻性に寄与する。電極材料も、AlCuに限らず種々の合金、多層膜、高配向膜を用いてよく、表面にSiO2 等の保護膜を形成してもよい。
【0044】
また、本実施の形態のバンドパスフィルタは、他の構成のフィルタと組み合わせてもよく、分波器用のフィルタの一部または全部を構成してもよい。また、第1のフィルタ1の2端子対SAW共振子11は、対称構成でなくてもよく、IDT110と111の間で共振波長λや電極指の対数などを変えてもよい。また、IDT110と111間の距離も要求特性に応じて変更してよい。また、第1のフィルタ1と第2のフィルタ2の組み合わせを複数段直列に接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば地上波デジタル放送受信用チューナ付き携帯電話機のチューナ回路に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における第1のフィルタの平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における第1のフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における第3のフィルタの平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における第3のフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態において第1のフィルタと第3のフィルタとを直列に接続したフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における第2のフィルタの平面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態のバンドパスフィルタの等価回路図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態となるバンドパスフィルタの回路図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態のバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態のバンドパスフィルタの実装構造を示す平面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態のバンドパスフィルタの等価回路図である。
【図15】従来の積層LCバンドパスフィルタの回路図である。
【図16】図15の積層LCバンドパスフィルタの通過特性の1例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1…第1のフィルタ、2…第2のフィルタ、3…第3のフィルタ、4,5,6,7,22,32…インダクタ、11…2端子対SAW共振子、21,31…1端子対SAW共振子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフィルタと、この第1のフィルタに並列に接続された第2のフィルタと、前記第1、第2のフィルタと信号入力端子との間に挿入された第3のフィルタと、前記信号入力端子と接地との間に挿入された第1のインダクタと、前記第3のフィルタの出力端子と接地との間に挿入された第2のインダクタとを有し、
前記第1のフィルタは、第1の端子が前記第3のフィルタに接続され、第2の端子が信号出力端子に接続され、第3の端子と第4の端子が接地された第1の2端子対SAW共振子からなり、
前記第2のフィルタは、第1の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第1の端子に接続され、第2の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第2の端子に接続された第1の1端子対SAW共振子と、この第1の1端子対SAW共振子に並列に接続された第3のインダクタとからなり、
前記第3のフィルタは、第1の端子が前記信号入力端子に接続され、第2の端子が前記第1、第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の1端子対SAW共振子と、この第2の1端子対SAW共振子に並列に接続された第4のインダクタとからなることを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項2】
請求項1記載のバンドパスフィルタにおいて、
さらに、前記第1の2端子対SAW共振子の第3の端子と接地との間に挿入された第5のインダクタと、
前記第1の2端子対SAW共振子の第4の端子と接地との間に挿入された第6のインダクタとを有することを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項3】
請求項1記載のバンドパスフィルタにおいて、
前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第4のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されることを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項4】
請求項2記載のバンドパスフィルタにおいて、
前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第6のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されることを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項1】
第1のフィルタと、この第1のフィルタに並列に接続された第2のフィルタと、前記第1、第2のフィルタと信号入力端子との間に挿入された第3のフィルタと、前記信号入力端子と接地との間に挿入された第1のインダクタと、前記第3のフィルタの出力端子と接地との間に挿入された第2のインダクタとを有し、
前記第1のフィルタは、第1の端子が前記第3のフィルタに接続され、第2の端子が信号出力端子に接続され、第3の端子と第4の端子が接地された第1の2端子対SAW共振子からなり、
前記第2のフィルタは、第1の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第1の端子に接続され、第2の端子が前記第1の2端子対SAW共振子の第2の端子に接続された第1の1端子対SAW共振子と、この第1の1端子対SAW共振子に並列に接続された第3のインダクタとからなり、
前記第3のフィルタは、第1の端子が前記信号入力端子に接続され、第2の端子が前記第1、第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の1端子対SAW共振子と、この第2の1端子対SAW共振子に並列に接続された第4のインダクタとからなることを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項2】
請求項1記載のバンドパスフィルタにおいて、
さらに、前記第1の2端子対SAW共振子の第3の端子と接地との間に挿入された第5のインダクタと、
前記第1の2端子対SAW共振子の第4の端子と接地との間に挿入された第6のインダクタとを有することを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項3】
請求項1記載のバンドパスフィルタにおいて、
前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第4のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されることを特徴とするバンドパスフィルタ。
【請求項4】
請求項2記載のバンドパスフィルタにおいて、
前記第1の2端子対SAW共振子と前記第1、第2の1端子対SAW共振子とが、圧電基板上に形成され、前記第1乃至第6のインダクタが、前記圧電基板を内蔵するパッケージ内に搭載されることを特徴とするバンドパスフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−11151(P2008−11151A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179318(P2006−179318)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
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