説明

バーチャージャ

【課題】簡易な構成で、バー材の移載に伴う騒音を解消すると共に、先入先出しすることのできる機構を備えたバーチャージャを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するためのバーチャージャ10は、加熱コイル14を備える加熱部12と、前記バー材を加熱部12へ供給する搬送ローラ22と搬送ローラ22へ供給するバー材をストックするバーラック24を有する供給部20とを備え、供給部20には、搬送ローラ22を介して加熱部12より返送されたバー材を冷却する冷却テーブル30が設けられ、バーラック24と搬送ローラ22、および冷却テーブル30間を移動する走行台車42と、前記バー材を吊り上げるフック48とを有する移載機構40を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャージャに係り、特に誘導加熱により被加熱部材であるバーを加熱するバーチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
バーチャージャは、図12に示すように、長尺物であるバー材の長手方向に沿って配置された複数の加熱コイル2を有する加熱部3と、加熱するバー材をストックするバーラック4を有する供給部6を備える(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このような基本構成を備えるバーチャージャ1では、バー材をストックするバーラック4から搬送ローラ7へと載置する。載置は、キッカー8と呼ばれるレバーにより行われる。搬送ローラ7へとバー材を移載し、加熱部3に配置された加熱コイル2内へとバー材を送り出すことで長尺なバー材を加熱する。
【0003】
ところで、このような構成のバーチャージャ1では、加熱部3の排出側に配置された加工装置等に不具合が生じた場合にはバー材の排出が停止される。排出が停止されたバー材は、加熱部3において過剰に加熱されたり、加熱部位に偏りが生じてしまうため、搬送ローラ7を逆回転させて加熱部3から供給部6側へと返送される。返送されたバー材は、一端常温まで冷却された後に再度加熱されるため、リジェクトテーブル5へと移載される。
【0004】
返送後の搬送ローラ7からリジェクトテーブル5への移載は、キッカー9と呼ばれるレバーにより、搬送ローラ7から持ち上げられ、バーラック4と反対側に設けられたリジェクトテーブル5へ転がされることにより成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−132168号公報
【特許文献2】特開平8−187543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成を有するバーチャージャでは、バーラックから搬送ローラへのキッカーによる移載時に発生するバー材落下衝撃音、同様に、搬送ローラからキッカーによるリジェクトテーブルへの移載衝撃音など、キッカー機構により発生する騒音が問題となっている。
【0007】
また、冷却材の再投入には、冷却時間を長くできるFIFO(First−in First−out:先入、先出し)機能が必要とされるが、実現できていない。
そこで本発明では、簡易な構成で、バー材の移載に伴う衝撃音を解消すると共に材料傷を防止し、さらに先入先出しすることのできる機構を備えたバーチャージャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、本発明に係るバーチャージャは、加熱コイルを備える加熱部と、前記バー材を前記加熱部へ供給する搬送ローラと前記搬送ローラへ供給するバー材をストックするバーラックを有する供給部とを備えるバーチャージャであって、前記供給部には、前記搬送ローラを介して前記加熱部より返送されたバー材を冷却する冷却テーブルが設けられ、前記バーラックと前記搬送ローラ、および前記冷却テーブル間を移動する移動手段と、前記バー材を吊り上げる吊り上げ手段とを有する移載機構を備えたことを特徴とするバーチャージャ。
【0009】
また、上記のような特徴を有するバーチャージャにおいて前記移動手段は、前記供給部を前記バー材の配置方向に沿って跨ぐ梁と、前記梁を支持する一対の走行台車を備え、前記吊り上げ手段は、前記梁を昇降させる昇降手段と、前記梁の長手方向に沿って設けられた複数のフックとより成るようにすることができる。
【0010】
また、上記のような特徴を有するバーチャージャにおいて前記移動手段は、前記供給部を前記バー材の配置方向に沿って跨ぐ梁と、前記梁を支持する一対の走行台車を備え、前記吊り上げ手段は、前記梁を昇降させる昇降手段と、前記梁の長手方向に沿って設けられた複数の開閉爪とより成るようにすることもできる。
このような特徴を有することによれば、配置されるバー材の間隔が狭い場合であっても、バー材の挟持、吊り上げを行うことが可能となる。
【0011】
また、上記のような特徴を有するバーチャージャにおいて前記冷却テーブルには、冷却対象とするバー材の位置決めを行うための凹部を設けるようにすると良い。
このような特徴を有することによれば、バー材の転がりを抑制し、バー材間に所定の間隔を維持させることができる。
【0012】
また、上記のような特徴を有するバーチャージャでは、前記冷却テーブルにおけるバー材配置面を傾斜させても良い。
このような特徴を有することによれば、冷却テーブルの設置スペースを削減することができる。
【0013】
さらに、上記のような特徴を有するバーチャージャにおいて前記吊り上げ手段は、前記開閉爪を吊り上げ対象とするバー材の長手方向と交差する方向へ回動させる回動手段を備え、バー材配置面に凹部を設けた前記冷却テーブルを垂直配置し、前記凹部に対して前記バー材を前記バー材配置面と直交する方向から配置する構成とすることができる。
このような特徴を有することによれば、バー材の吊り上げ、配置の自由度が増し、冷却テーブルの配置スペースを極端に削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような特徴を有するバーチャージャによれば、簡易な構成で、バー材の移載に伴う衝撃音を解消すると共に材料傷を防止し、さらに先入先出しすることのできる機構を備えたバーチャージャとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】発明に係るバーチャージャの基本形態を示す図である。
【図2】供給部および移載機構の斜視図である。
【図3】移載機構の詳細を示す図である。
【図4】バーラックから搬送ローラへのバー材の移載シーケンスを示す図である。
【図5】搬送ローラから冷却テーブルへのバー材の移載シーケンスを示す図である。
【図6】冷却テーブルから搬送ローラへのバー材の移載シーケンスを示す図である。
【図7】第1の変形例における昇降梁とバー材吊り上げ手段の構成を示す図である。
【図8】第1の変形例を採用することによる冷却テーブルの省スペース化の例を示す図である。
【図9】冷却テーブルを傾斜配置する場合の例を示す図である。
【図10】第2の変形例における昇降梁とバー材吊り上げ手段の構成を示す図である。
【図11】冷却テーブルを垂直配置する場合の例を示す図である。
【図12】従来のバーチャージャの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のバーチャージャに係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1〜図6を参照して、本発明のバーチャージャに係る基本形態について説明する。なお、図1において、図1(A)はバーチャージャの平面構成を示すブロック図であり、図1(B)はバーチャージャの正面構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態に係るバーチャージャ10は、加熱部12と供給部20、および移載機構40を基本として構成される。加熱部12は、被加熱部材であるバー材の送り方向に沿って設けられた複数の加熱コイル14と、隣り合う加熱コイル14間に設けられた搬送ローラ16とを有する。加熱コイル14は、誘導加熱コイルであり、図示しない電源部に接続され、電力が投入されることにより、電磁誘導の作用によりバー材を加熱する。
【0018】
搬送ローラ16は、ローラ面が凹状に形成されており、加熱部12に送り込まれたバー材の支持と搬送を成す。なお、加熱部12に設けられた搬送ローラ16によるバー材の搬送方向は、加熱部12からの排出方向と、供給部20への返送方向のいずれかである。
【0019】
供給部20は斜視図を図2に示すように、搬送ローラ22とバーラック24、および冷却テーブル30を有する。搬送ローラ22は、上述した搬送ローラ16と同様に、ローラ面が凹状に形成されており、バー材の支持と搬送を成す。搬送ローラ22は、バー材の長手方向に沿って複数、直線上に設けられ、搬送ローラ22の配置方向延長線上に加熱部12が備えられる。
【0020】
バーラック24は、バー材をストックする役割を担い、鋼板26から突出した複数の支持梁28により、バー材を多点支持する構成としている。支持梁28は、配置されるバー材の長手方向と直交する方向に延設されており、水平部28aと傾斜部28bを有し、傾斜部28bの終端にはストッパ29が備えられる。このような構成とすることにより、水平部28aから傾斜部28bへ移行されたバー材は、重力により傾斜部28bを転がり、ストッパ29の手前に順次供給されることとなる。
【0021】
冷却テーブル30は、配置されるバー材の長手方向と直交する方向に延設された複数の支持梁32から成る。支持梁32は、バー材配置面が水平となるように配置され、バー材配置面には複数の凹部32a(図5、図6参照)が設けられている。隣り合う凹部32a間には、詳細を後述するフック48(図5、図6参照)を挿入可能な間隔が設けられる。また、並列配置される支持梁32毎に設けられる凹部32aは、バー材の長手方向に沿って直線上に設けられる。このような構成とすることにより、冷却対象とするバー材を、定められた間隔で配置することができる。また、図示しないが、冷却テーブル30の下に送風手段を設け、バー材を強制的に冷却する構成としても良い。このような構成とした場合には、配置したバー材間に間隙を設けるようにすることで、冷却効率を高める効果も奏する。
【0022】
移載機構40は、詳細を図3に示すように、横行レール44と、走行台車42、昇降梁46、昇降手段50、およびフック48を基本として構成される。横行レール44は、詳細を後述する走行台車42を走行させるためのレールであり、前述したバーラック24および冷却テーブル30を、バー材の長手方向に跨ぐように、対として配置される。横行レール44の詳細な構造については特に限定するものでは無いが、例えば一例としては図2に示すように、2本の支柱間に梁部を備えた門型を成し、梁部に横行レール44を備える構成とすれば良い。
【0023】
走行台車42は、前述した横行レール44を横行させるための移動手段である。このため走行台車42は2台1対として設けられることとなり、少なくとも走行用の車輪43と、駆動用のモータ(不図示)を備えるものとする。なお、強度的な補助として対を成す走行台車間42に、補強梁60を設けるようにしても良い。
【0024】
昇降梁46は、上述したバーラック24および冷却テーブル30を、バー材の長手方向に跨ぐように配置され、前述した走行台車42によりバーラック24、搬送ローラ22、および冷却テーブル30の上部を横行する。昇降梁46は、走行台車42に対して、詳細を後述する昇降手段50を介して接続され、昇降梁46自体が昇降される構成としている。このような構成とすることにより、詳細を後述するフック48の1つ1つに昇降手段を設ける必要が無くなる。このため、コスト的、制御的な負荷を軽減することができる。また、複数のフック1つ1つを駆動させるのでは無く、走行台車42に接続された2点のみを駆動させる構成としているため、長手方向における昇降時のバランスが崩れ難い。
【0025】
昇降手段50は、油圧駆動式、空圧駆動式あるいはモータ駆動式のプランジャ等であれば良い。プランジャは、シリンダ52と、このシリンダ52に収容、あるいはシリンダ52から押出される事により全長を変化させるロッド54とを基本として構成される。このような基本構成を有するプランジャ型の昇降手段50を採用した場合、シリンダ52を走行台車42に固定し、ロッド54を昇降梁46に接続する。また、昇降ガイドとして図4に示すように、昇降梁46にフランジ部56を設け、このフランジ部56から走行台車42に向けたロッド58を突設するようにしても良い。なおロッド58は、走行台車42に設けたガイド孔(不図示)に挿通させる構成とする。このような構成とすることにより、走行台車42の移動に伴う昇降梁46の揺動を抑制することができ、バー材の振れや落下を防止することが可能となる。
【0026】
フック48は、昇降梁46に沿って複数設けられるバー材吊り上げ手段である。複数のフック48は、昇降梁46に沿って直線状に設けられ、先端部分を一定の方向に屈曲させた鉤状を成す。このような構成とすることにより、鉤状部分にバー材を載せて吊り上げることが可能となる。
【0027】
このような構成のバーチャージャ10では、バーラック24に供給されたバー材を移載機構40により搬送ローラ22へと移載し、加熱工程へと移る。また、加熱部12から返送されたバー材は、移載機構40を介して搬送ローラ22から冷却テーブル30へと移載される。
【0028】
このような一連の動作について、図4〜図5を参照して説明する。まず、図4を参照して、バーラック24から搬送ローラ22へバー材を移載する工程について説明する。
まず、第1ステップとして、昇降梁46の下部に設けられたフック48がバーラックにおけるストッパ29の手前に位置するように、走行台車42を走行させ、昇降手段50を駆動させて昇降梁46を降下させる。この時、フック48の先端をバー材よりも下側に位置させる。なお、本実施形態における説明では、フック48の先端が、図中右側に向けて屈曲されている事を前提としている。次に第2ステップとして、フック48の先端がバー材の直下位置に来るように走行台車42を走行させる。第3ステップとして、昇降手段50を駆動させて昇降梁46を上昇させることにより、バー材をフック48の先端に載せた状態で吊り上げる。第4ステップでは、フック48の先端が搬送ローラ22のローラ面と一致するように、走行台車42を走行させる。第5ステップでは、昇降手段50により昇降梁46を降下させる。この時、フック48の先端が搬送ローラ22のローラ面よりも下側に来るように昇降梁46を降下させることで、フック48に載置されたバー材が搬送ローラ22に移載されることとなる。第6ステップでは、フック48を平面視した場合において、フック48の先端がバー材に掛からない状態となる位置まで、走行台車42をバーラック24と反対側へ走行させる。第7ステップでは、昇降機構50を駆動させ、フック48の先端がバー材よりも上側となるように昇降梁46を上昇させる。最後に、第8ステップとして、走行台車42を走行させ、フック48を原点位置にまで復帰させる。このような移載工程を経ることにより、バー材の移載に伴う騒音や、傷付きを解消することができる。
【0029】
次に、図5を参照して、搬送ローラ22から冷却テーブル30へのバー材の移載について説明する。
まず、第1ステップとして、平面視したフック48の先端が、バー材の手前(図中搬送ローラ22の左側)に来る位置まで、走行台車42を走行させる。次に第2ステップでは、昇降手段50を介して昇降梁46を降下させ、フック48の先端を搬送ローラ22のローラ面に置かれたバー材の下側に位置させる。第3ステップでは、走行台車42を走行させてフック48の先端をバー材の直下に位置させる。第4ステップでは、昇降手段50を介して昇降梁46を上昇させ、フック48の先端にバー材を載せてバー材を搬送ローラ22のローラ面から吊り上げる。第5ステップでは、走行台車42を走行させてフック48の先端を冷却テーブル30の凹部32aの直上位置に位置させる。第6ステップでは、昇降手段50により昇降梁46を降下させ、冷却テーブル30に設けられた凹部32aにバー材を載置する。第7ステップでは、走行台車42を走行させ、平面視においてフック48の先端がバー材に掛からない位置まで、昇降梁46を移動させる。第8ステップでは、昇降手段50を介して昇降梁46を引き上げる。第9ステップでは、走行台車42を走行させ、フック48を原点位置にまで復帰させる。
【0030】
なお、冷却テーブル30における凹部32aの空き情報については、センサや走行台車42の走行記録により予め検出し、空き状態となっている凹部32aに対して自動で載置を行うようにすることができる。
【0031】
次に、図6を参照して、冷却テーブルから搬送ローラへのバー材の移載について説明する。
まず、第1ステップとして、平面視したフック48の先端が、バー材の手前(図中左側)に来る位置まで、走行台車42を走行させる。次に第2ステップでは、昇降手段50を介して昇降梁46を降下させ、フック48の先端を冷却テーブル30における凹部32aの下側に位置させる。第3ステップでは、走行台車42を走行させてフック48の先端をバー材の下部に位置させる。第4ステップでは、昇降手段50を介して昇降梁46を上昇させ、フック48の先端にバー材を載せてバー材を冷却テーブルから吊り上げる。第5ステップでは、走行台車42を走行させてフック48の先端を搬送ローラ22の直上位置に位置させる。第6ステップでは、昇降手段50により昇降梁46を降下させ、搬送ローラ22のローラ面に設けられた凹部にバー材を載置する。第7ステップでは、走行台車42を走行させ、平面視においてフック48の先端がバー材に掛からない位置まで、昇降梁46を移動させる。第8ステップでは、昇降手段50を介して昇降梁46を引き上げる。第9ステップでは、走行台車42を走行させ、フック48を原点位置にまで復帰させる。
【0032】
なお、冷却テーブル30からのバー材の取り上げは、先入先出し方式で、バー材を冷却テーブル30へ載置した順に成される。このような順序でバー材が移載されることにより、冷却時間の長いバー材から順に搬送ローラ22へ移載されることとなる。
【0033】
このような移載工程を経ることにより、バー材を移載させる際に重力を利用した転がしや落下がなくなり、搬送ローラ22等に衝突した際に生ずる衝撃音を解消すると共に、材料傷も防止できる。さらに上記移載工程によれば、先入先出し方式の冷却材の提供も実現できる。また、上記のような構成のバーチャージャ10によれば、移載機構40は、横行レール44と走行台車42、昇降梁46、昇降手段50、およびフック48を基本構成とする簡素な構成で済む。このため、メンテナンス性が良く、コスト面、制御面においても過度の負担となることを避けることができる。
【0034】
次に、図7を参照して、本発明のバーチャージャの第1の変形例について説明する。なお、本変形例に係るバーチャージャの殆どの構成は、上述した基本形態に係るバーチャージャと同様である。よって、その構成を同一とする部分には図面に同一符号を付して詳細な説明は省略すると共に、全体構成については図1を援用することとし、図7には本変形例の特徴的部分のみを示すこととする。
【0035】
図7は、移載機構40における昇降梁46の断面構成を示す図である。上記基本形態においては、昇降梁46の下部にはフック48が設けられていた。これに対し、本変形例に係るバーチャージャ10では、昇降梁46の下部に一対の爪64を設ける構成としている。対を成す爪64は、基部側に備えるシリンダ62により開閉動作を可能とされている。このような特徴的構成を有することにより、爪64は、バー材を直上から挟持することが可能となる。このため、移載動作の際の回り込みを省き、短距離で迅速な移載動作が可能となる。なお、図7において、図7(A)は爪64を閉じ、バー材を吊り上げる状態を示す図であり、図7(B)は爪64を開いた状態を示す図である。
【0036】
このように、移載機構40に開閉式の爪64を採用することによれば、基本形態に係るバーチャージャに比べ、フック48の先端を回りこませるためのスペースを削減することができる。このため、図8に示すように、冷却テーブル30のバー材載置面に設ける凹部32aの間隔を狭め、多数配置時における少スペース化を図ることができる。
【0037】
また、本変形例のような開閉式の爪64を有する移載機構40を採用することにより、図9に示すように、冷却テーブル30のバー材載置面に傾斜を持たせた場合であっても、バー材の置き取りを容易に行うことが可能となる。このため、冷却テーブル30の平面的な設置スペースを削減することができる。
【0038】
次に、図10を参照して、本発明のバーチャージャの第2の変形例について説明する。なお、本変形例に係るバーチャージャも、その殆どの構成は、上述した基本形態に係るバーチャージャと同様である。よって、その構成を同一とする部分には図面に同一符号を付して詳細な説明は省略すると共に、全体構成については図1を援用することとし、図10には本変形例の特徴的部分のみを示すこととする。
【0039】
本変形例は、上述した第1の変形例に加え、爪64の基部、すなわちシリンダ62と昇降梁46との間に回転機構66を備えたことを特徴とする。回転機構66としては、サーボモータなどのロータリーアクチュエータであれば良い。このような構成とすることにより、開閉する爪64の角度を変化させることが可能となる。このため、バー材の移載に関する自由度を上げることができる。
【0040】
例えば、本実施例のようなバーチャージャ10であれば、図11に示すようなバー材載置面を垂直とし、水平方向に設けられた凹部32aを有する冷却テーブル30に対しても、バー材の載置が可能となる。そして、このような配置形態の冷却テーブル30を採用することによれば、冷却テーブル30の平面的な設置スペースを極端に低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
10………バーチャージャ、12………加熱部、14………加熱コイル、16………搬送ローラ、20………供給部、22………搬送ローラ、24………バーラック、26………鋼板、28………支持梁、28a………水平部、28b………傾斜部、29………ストッパ、30………冷却テーブル、32………支持梁、32a………凹部、40………移載機構、42………走行台車、44………横行レール、46………昇降梁、48………フック、50………昇降手段、52………シリンダ、54………ロッド、56………フランジ部、58………ロッド、60………補強梁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱コイルを備える加熱部と、前記バー材を前記加熱部へ供給する搬送ローラと前記搬送ローラへ供給するバー材をストックするバーラックを有する供給部とを備えるバーチャージャであって、
前記供給部には、前記搬送ローラを介して前記加熱部より返送されたバー材を冷却する冷却テーブルが設けられ、
前記バーラックと前記搬送ローラ、および前記冷却テーブル間を移動する移動手段と、前記バー材を吊り上げる吊り上げ手段とを有する移載機構を備えたことを特徴とするバーチャージャ。
【請求項2】
前記移動手段は、前記供給部を前記バー材の配置方向に沿って跨ぐ梁と、
前記梁を支持する一対の走行台車を備え、
前記吊り上げ手段は、前記梁を昇降させる昇降手段と、
前記梁の長手方向に沿って設けられた複数のフックとより成ることを特徴とする請求項1に記載のバーチャージャ。
【請求項3】
前記移動手段は、前記供給部を前記バー材の配置方向に沿って跨ぐ梁と、
前記梁を支持する一対の走行台車を備え、
前記吊り上げ手段は、前記梁を昇降させる昇降手段と、
前記梁の長手方向に沿って設けられた複数の開閉爪とより成ることを特徴とする請求項1に記載のバーチャージャ。
【請求項4】
前記冷却テーブルには、冷却対象とするバー材の位置決めを行うための凹部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバーチャージャ。
【請求項5】
前記冷却テーブルにおけるバー材配置面を傾斜させたことを特徴とする請求項4に記載のバーチャージャ。
【請求項6】
前記吊り上げ手段は、前記開閉爪を吊り上げ対象とするバー材の長手方向と交差する方向へ回動させる回動手段を備え、
バー材配置面に凹部を設けた前記冷却テーブルを垂直配置し、
前記凹部に対して前記バー材を前記バー材配置面と直交する方向から配置する構成としたことを特徴とする請求項3に記載のバーチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−96585(P2011−96585A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251409(P2009−251409)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】