説明

パターン化された構造ドメインを含む化学機械平坦化パッド

本開示の一側面は、第1ドメインと第2連続ドメインを含む化学機械平坦化パッドに関
する。第1ドメインは、第2連続ドメイン内に規則的に離間された個々の要素を含む。本パッドは、第2ドメイン内で規則的に離間される複数の開口部を第1ドメインのためにパッドの第2連続ドメイン内に形成し、且つ第1ドメインを第2連続ドメイン内の複数の開口部内に形成することにより、形成されてもよい。さらに、研磨スラリーで基板を研磨する際に本パッドを使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年1月27日に出願された米国仮出願第61/147,551号の出願日の利益を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
[分野]
本発明は、半導体ウエハ、並びに未処理の基板シリコンウエハ、CRT、フラットパネルディスプレイ画面及び光学ガラス等の他の表面の化学機械平坦化(CMP)に有用な研磨パッドに関する。詳細には、このCMPパッドは、変化する硬度などの様々な特性を示す1つ以上のドメインを含んでもよい。
[背景]
化学機械平坦化とは、ウエハ又は他の基板を研磨して比較的高い平坦性を達成するための工程として理解することができる。ウエハは、化学機械平坦化(CMP)パッドに対して、相互に近接して、圧力下で、及び/又はウエハとパッド間に塗布される研磨剤含有スラリーの連続的又は断続的な流れを伴って、移動し得る。比較的硬い研磨剤(典型的にはダイアモンド)粒子を含む表面を有するコンディショナーディスクを使用することにより、パッド表面を削ってパッド表面粗度を同一に維持し、一貫した研磨を達成し得る。半導体ウエハ研磨では、比較的大規模な集積回路(VLSI)及び極超大規模集積回路(ULSI)の出現により、半導体基板内の比較的小さなドメインにさらに多くのデバイスを詰め込むようになり、密詰めを可能にするために必要となる高解像度リソグラフィ工程においてさらに高度の平坦性を必要とするようになった。さらに、銅などの比較的軟質の金属、金属合金又はセラミックスはその比較的低い抵抗力及び/又はその他の特性のために配線として使用されることが増えているため、CMPパッドがスクラッチ欠陥を引き起こすことなく比較的高い研磨平坦性を達成できることが高性能半導体の製造において重要となり得る。比較的高い研磨平坦性を実現するには、比較的硬質の及び/又は固いパッド表面を用いて被研磨基板表面に対する局所弾力性を低減する必要があり得る。しかし、比較的硬質の及び/又は固いパッド表面は同一の基板表面上のスクラッチ欠陥の原因にもなり得るため、被研磨基板の生産収率が低下しやすい。
[概要]
本開示の一側面は、化学機械平坦化パッドに関する。本パッドは、第1ドメインと第2連続ドメインを含んでもよい。第1ドメインは、第2連続ドメイン内に規則的に離間された個々の要素を含んでもよい。一実施例において、第1ドメインは第1硬度H1を示し、
第2ドメインは第2硬度H2を示してもよい。H1とH2とでは、H1はH2より大きい。
【0002】
本開示の別の側面は、化学機械平坦化パッドの形成方法に関する。本方法は、第1ドメインのための複数の開口部をパッドの第2連続ドメイン内に形成することを含む。この場合、開口部は、第2ドメイン内に規則的に離間されてもよい。また、本方法は、第2連続ドメインの複数の開口部内に第1ドメインを形成することを含んでもよい。
【0003】
本開示のさらなる側面は、化学機械平坦化パッドの使用方法に関する。本方法は、基板を研磨スラリー及び化学機械平坦化パッドを用いて研磨することを含んでもよい。化学機械平坦化パッドは、第1ドメイン及び第2連続ドメインを含んでもよい。この場合、第1ドメインは、第2連続ドメイン内に規則的に離間された個々の要素を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の上述の特徴やその他の特徴、及びこれらの特徴を達成する方法は、本明細書中に記載された実施形態についての以下の記載を添付の図面とともに参照することによって、より明白になり理解が深まり得る。
【図1】CMPパッドの一実施例を示している。
【図2】CMPパッドの一実施例の別の変形例を示している。
【図3】CMPパッドのさらに別の変形例を示している。
【図4】CMPパッド形成用ダイカット布の一実施例を示している。
【図5】本明細書中に記載のCMPパッドの使用方法の一実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[詳細な説明]
本開示は、様々なCMP性能要件を少なくとも部分的に又は実質的に満たす又は上回る、化学機械平坦化(CMP)パッドに関する。さらに、本開示は、半導体ウエハの製造において比較的高度な平坦性及び低いスクラッチ欠陥率が特に重要となる半導体ウエハ基板の化学機械平坦化(CMP)に特に有用となる研磨パッドの製品設計、作成方法及び使用に関する。さらに、本開示は、異なる組成物、構造及び/又は特性を有する2つ以上のセグメント又はドメインを同一のパッド内に含むことを特徴とし得る化学機械平坦化パッドに関する。各ドメインは、CMPの1つ以上の要件を少なくとも部分的に満たすように設計してもよい。さらに、ドメインの少なくとも1つは、選択された規則的に繰り返すタイプの幾何学的パターン中に存在する個々の要素、例えば連続ドメイン内の規則的に繰り返す個々のドメイン、を含み得る。規則的に繰り返す個々のドメインを含む場合、個々のドメインの形状は、正方形、長方形、円形、六角形、楕円形、四面体等であってもよい。かかる個々のドメインをパッド内に形成するには、繊維基板内をダイカットし、ダイカットした部分に選択したポリマー樹脂を充填してもよい。ポリマー樹脂は非ダイカット部分にも侵入し得り、その結果、記載のように最終的には選択された繊維ドメイン内にポリマー樹脂ドメインの繰り返しパターンが提供され、これにより任意の研磨作業を最適化する。
【0006】
本明細書中において、いくつかの実施例の一定のドメインの規則的に離間又は繰り返される要素は、各ドメインの任意の地点間の距離が等しい、(例えばパッドの選択された部分をダイカットして取り除くことにより)パッド内に物理的に取り入れられる形体(features)であると理解することができる。任意の地点は、中心点、端点、頂点等であってもよい。いくつかの実施例において、この等間隔はパッドの1つ以上の寸法で示されてもよい。例えば、あるドメイン内の長手方向に離間した各要素は、当該ドメイン上の任意の地点間を第1等間隔で離間してもよい。あるドメイン内の円周方向(緯度の方向)に離間した各要素は、当該ドメイン上の任意の地点間を第2等間隔で離間してもよい。他の実施例において、各ドメイン要素は、1つ以上の軸を中心として(軸の周囲に)半径方向に等しく離間してもよい。同様に、半径方向の離間は、中心点、端点及び頂点等の各ドメイン上の任意の地点と当該軸との間であってもよい。さらに、当該軸を中心としたドメイン要素の角度離間は、中心点、端点、頂点等の各ドメインの任意の地点を起点としてもよい。さらに、かかる規則的に離間された幾何学的形状を有する要素は、パッド全体に存在してもよいし、パッドの選択された部分に配置されてもよい。パッドの選択された部分は、パッドの厚みの一部を貫通し、且つ/又はパッド表面の一領域に提供される。
【0007】
各ドメイン要素上の任意の地点間の長手方向距離は、全数値及び増分を含む0.127mm〜127mmであってもよい。さらに、各ドメイン要素上の任意の地点間の横方向距離は、全数値及び増分を含む0.127mm〜127mmであってもよい。さらに、各ドメイン要素上の任意の地点間の距離は、全数値及び増分を含む0.127mm〜127mm、又は、半径方向に離間する場合に全数値及び増分を含む1°〜180°であってもよい。
【0008】
図1に示すように、CMPパッド100のいくつかの実施例は、少なくとも2つのドメインを含んでもよい。第1ドメイン102は、第2ドメイン104内に規則的に分布する。図示のように、第1ドメインはパッド表面全体にわたって長手方向及び円周方向(緯度
方向)の両方に規則的に離間してもよいことが理解できよう。任意の地点は、第1ドメインの角の1つ又は第1ドメインの端辺の1つであってもよい。いくつかの実施例において、規則正しい離間は長手方向又は円周方向(緯度方向)のいずれかであってもよいことが理解できよう。
【0009】
第1ドメイン102は、硬度H1を示す硬質の高分子物質の含有量が比較的高い比較的
硬質のセグメントを含んでもよい。第1ドメインの硬度は、ロックウェルRスケールで全数値及び増分を含む90〜150であってもよい。第1ドメインは、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びポリスルホン等のポリマー材料を含んでもよい。いくつかの実施例において、規則的に分布した第1ドメイン要素の最大線寸法(例えば直径)は、パッドの最大線寸法(例えば直径)の長さの0.1〜50%であってもよい。例えば、被研磨形体(features)の大きさにより、不連続のドメインの個々のパッド表面内の表面積は、0.1mm2刻みで全数値及び増分を含む0.1mm2〜625mm2であってもよい。全体としては、複数の第1ドメイン要素(及びさらに分散され
たドメイン又はさらに分布されたドメイン)は、任意のパッドの0.1〜90容量%を占めてもよい。さらに、個々のドメイン要素のそれぞれは、パッドの0.1〜90容量%を占めてもよい。個々のドメイン要素の大きさはそれぞれ異なってもよいことが理解できよう。例えば、個々の離散したドメイン要素は、1mm2の第1表面積「x」を有する複数
の規則的に分布したドメイン要素、及び、2mm2の表面積「y」を有する複数の規則的
に分布したドメイン要素(即ち、「x」及び「y」の値は同じではない)等、複数の規則的に分布したドメイン要素を含んでもよい。
【0010】
第2ドメイン104は、硬度H2を示す比較的均質で軟質の高分子物質を含んでもよい
。H1とH2とでは、H2はH1よりも小さい。このような高分子物質としては、比較的軟質のポリウレタン、ポリイソブチルジエン、イソプレン、ポリアミド及びポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。第2ドメインの硬度は、ロックウェルRスケールで40〜110の範囲内の全数値及び増分を含む、ロックウェルRスケールで110以下、又はショアA(Shore A)硬度計(durometer)スケールで20〜95の範囲内の全数値及び増分を含む、ショアA硬度計スケールで95未満であってもよい。図1では、第2ドメインは、上述の繰り返すタイプの規則的に分散した第1ドメインのための連続ドメインと見なされることが理解できる。
【0011】
いくつかの実施例において、第2ドメインは、一般的に上述された物質等の高分子物質を含んでもよい。他の実施例において、第2ドメインは、不織布、織布又は編布等の繊維状成分を含んでもよい。さらなる実施例において、第2ドメインは、(比較的硬質の高分子物質及び比較的軟質の高分子物質の1つ以上を含む)上記に列挙したような高分子物質と不織布、織布又は編布等の繊維状成分との混合物を含んでもよい。布は、水性又は溶媒ベースの媒体に溶解する又は溶解しない個々の繊維を含んでもよい。繊維としては、例えば、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、マレイン酸、アルギン酸、多糖類、ポリサイクロデキストリン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、レーヨン、ポリイミド、ポリフェニルサルファイドなど、並びにこれらの塩類、これらのコポリマー誘導体及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
また、変化する硬度又は研磨特性を有する追加のドメイン等の追加のドメインについてもCMPパッド内に存在し得ることが理解されよう。追加のドメインはさらなる繰り返し要素を含み得り、そのため2つ以上の繰り返し要素が研磨パッド内に存在し得る。例えば、全数値及び増分を含む1〜20の異なる繰り返しパターンを含み得る。
【0013】
また、規則的に離間されたドメインの比重は、母材(matrix)とは異なってもよい。例えば、図1を参照すると、規則的に離間された第1ドメイン102は全数値及び増
分を含む1.0〜2.0の第1比重SG1を示し、第2連続ドメイン104は全数値及び
増分を含む0.75〜1.5の第2比重SG2を示してもよい。この場合、SG1はSG2
と等しくない。各ドメインは、その組成により、硬度及び/又は比重の様々な組み合わせを示し得ることが理解できよう。例えば、あるドメインがポリマーマトリックスに埋め込まれた繊維を含む場合、そのドメインの比重はポリマー単独の場合よりも低くなり得る。
【0014】
上述のように、化学機械平坦化パッド内の規則的に離間されたドメインの数及び構成は、多様であり得る。例えば、図2は、上記実施形態の別の変形例であるCMPパッド200を示している。この場合、第1ドメイン202は、長方形要素で形成され、中心軸を中心とした(中心軸を囲むような)パターンで第2ドメイン204と連続して分布してもよい。さらに、異なる構成を有する第3ドメイン206及び/又は第4ドメイン208は、第2ドメインと連続して、中心軸を中心としたパターンで分布してもよい。第3ドメイン206は軸を中心とした繰り返し要素を形成する2つの形体(features)206a及び206bを含むことが理解できよう。図示のように、1組の規則的に離間されたドメインはそれぞれ、軸(即ち、本実施例では研磨パッドの中心点)からの半径方向距離が異なる。さらに、1組の規則的に離間されたドメインはそれぞれ、軸を中心とした角距離が等しいことが図示されているが、1組の規則的に離間されたドメインはそれぞれ、軸を中心とした角距離が異なってもよいことが理解できよう。また、様々なドメインを(図示のように)隔離させたり、又は結合させたりしてもよいことも理解できよう。図3は、さらに別の変形例であるCMPパッド300を示している。この場合、第1ドメイン302は、パッドの中心点から外周部に延びる相互接続された半径方向の要素を含み、第2ドメイン304は、例えば、ポリウレタンと可溶性繊維との混合物を含み、パッドの残りの部分のパッド連続体を覆ってもよい。
【0015】
このように、異なる一組の組成物、特性及び/又はCMP性能を有する様々な規則的に繰り返す各ドメインを任意のパッドに取り込んでもよいことが理解できよう。さらに、規則的に離間されることは変わらないが、パッド全体にわたる物理的形状、寸法、位置、及び方向性については数多くの変形例が存在し得る。さらに、本明細書中に例示したCMPパッドは比較的円形であるが、いくつかの実施例においてはCMPパッド自体は様々な幾何学的形状を示してもよいことが理解できよう。従って、CMPパッドは、異なる設計形体を有する複数の規則的に離間されたドメインを組み込むことができれば、上述のCMP性能要件の少なくとも一部又は全てを満たすか、あるいはは、上述のCMP性能要件を超えることさえ可能となり得る。
【0016】
CMPパッドの変形例のいくつかの実施例は、ショアDスケールで30〜90の硬度を有するポリウレタンの第1ドメインを含んでもよい。第1ドメインは、第2ドメイン内に分散された、個々の不連続の正方形として、パッド内に存在してもよい。第2ドメインは、第1ドメインで使用されたものと同じポリウレタンに埋め込まれた水溶性繊維からなる不織布の混合物を含んでもよい。他の変形例において、CMPパッドは、比重が1.25のポリウレタンの第1ドメイン及びポリウレタン中に繊維が埋め込まれた比重が0.8の第2ドメインを含んでもよい。さらなる実施例において、CMPパッドは、ショアD硬度計スケールで50の硬度及び1.25の比重を示すポリウレタンの第1ドメインと、ショアD硬度計スケールで75の硬度及び0.25の比重を示す第2ドメインと、ショアD硬度計スケールで75の硬度及び0.8の比重を示すポリウレタン中に繊維が埋め込まれた第3ドメインを含んでもよい。
【0017】
本明細書中で考察されるCMPパッドは、テンプレートを使って不織布に第1ドメインの規則正しい要素の開口部又は凹部をダイカットすることにより形成され、布全体にわたる相対的統一性及び正方形の穴の分布を達成してもよい。凹部とは、パッドの厚みを完全に貫通しない空隙を意味するものとして理解することができる。開口部は第2ドメイン内
に規則的に離間され、第1ドメインの規則的に離間された個々の要素を提供し得ることが理解できよう。図4は、ダイカット工程によって形成された多数の開口部又は凹部412を含むダイカット布410の実施例を示している。様々な規則的に離間されたドメインを提供する際に考察される様々な幾何学的構成を形成するために、ダイカット工程のほかにも同様の工程を利用してもよいことが理解できよう。このような工程として、レーザー切断、ブレード切断、ウォータージェット切断等が挙げられる。
【0018】
その後、下型(雌型)の空洞内に布を配置してもよい。それから、ポリマー又はポリマー前駆体を下型に加えてもよい。例えば、未反応ポリウレタンプレポリマーと硬化剤の混合物を布上に分注してもよい。それから、上型(雄型)を下型の空洞内に押し下げて前記混合物を押圧し、布の隙間及び/又はダイカットされた領域を埋めてもよい。その後、熱及び/又は圧力を適用してポリマーの流れ、あるいは埋め込まれた布とプレポリマーとの反応及び/又は凝固を生じさせ、パッドを平坦化する。その後、凝固したパッドをオーブンで硬化及びアニールする。従って、このような手順により、ダイカットした領域内に取り入れられるポリマー又はポリマー前駆体の大半(例えば75重量%以上)がダイカット領域内に留まり、残りは選択したパッドの第2ドメイン内に拡散し得ることを指摘することが重要である。さらに、このような手順により、かかる拡散は、選択されたパッドの上部、例えば、任意のパッドの厚みの上部50%以内などにのみ生じ得る。
【0019】
いくつかの実施例において、第2の又は連続したドメインの様々な幾何学的構成を形成するため、布と同様の特性を有するポリマー等の比較的軟質のポリマー(例えば、発泡材又はシート材料)をダイカットしたり、あるいはレーザー切断、ウォータージェット、ホットナイフ(hot knife)、ワイヤ等の他の工程により切断したりしてもよい。その後、
第1ドメインの比較的硬質のポリマーを第2ドメインの比較的軟質のポリマーにオーバーモールド(over molded)又はモールド(molded)してもよい。いくつかの実施例において、オーバーモールドは、第2ドメイン上に第1ドメインを形成する組成物を射出モールドすることによって実施してもよい。
【0020】
さらに、比較的硬質のポリマーは、被研磨基板と比べて比較的固いため、被研磨基板に対する表面の適合性(compliant)は低い。このため、比較的硬質のポリマー等の規則的に離間されたドメインが正方形又は幾何学的形体(features)であれば、高度の平坦性が重要又は不可欠である形体(features)の研磨において有利であり得る。第2ドメインの可溶性繊維又は比較的軟質のポリマーは、CMPの前又はCMP中に、溶解されるか、あるいはパッドから削られ且つ/又は除去され得る。除去された繊維又は比較的軟質のポリマーは、第2ドメイン内に空隙のネットワーク又は細孔のネットワークを創出し得る。このような空隙と硬質のドメインの規則正しいパターンとを組み合わせることにより、より効率的なCMP研磨を提供し得る。
【0021】
また、研磨パッドは空隙又は細孔を含んでもよい。細孔が存在することでパッドの微小局所内の研磨剤スラリーの移動が促進され、研磨剤粒子と被研磨ウエハ表面との間の接触が拡大及び制御されるため、任意のパッド内の第2ドメイン内に空隙又は細孔が存在することは、比較的高い研磨率及び低いスクラッチ欠陥率を実現する要因となり得る。空隙又は細孔は、研磨剤粒子及び研磨副産物の比較的大きな凝集物の微小貯蔵所として機能し得るため、ウエハ表面の比較的硬質の接触及びスクラッチングを防止する。空隙又は細孔の最大線寸法は、10nm〜200μmの範囲内の全数値及び増分を含む、10nm〜100μm超、10nm〜100nm、1μm〜100μm等であってもよい。さらに、いくつかの実施例において、空隙又は細孔の断面積は、全数値及び増分を含む1nm2〜10
0nm2であってもよい。
【0022】
また、ウエハ等の被研磨基板内の非統一性は、研磨中のウエハトラック(軌道)に対す
るドメインの配置、空間的方位及び/又は分布から利点が得られる。即ち、基板の比較的低速の研磨領域は比較的軟質の材料を含むドメインに優先的に曝され、基板の比較的高速の研磨領域は第1ドメインの比較的硬質の材料に優先的に曝され得る。様々なCMP応用に適した数多くのドメイン設計の組み合わせが存在し得るため、特化したパッドは、固有の特徴的な物理的化学的特性、大きさ、形状、空間的方位、他のドメインに対する面積比及び分布を有する様々なドメインを有し得る。
【0023】
また、本明細書中では、図5に示すように、基板表面の化学機械平坦化(CMP)用研磨パッドの使用方法の実施例が考察されている。基板は、金属、金属合金、セラミックス又はガラス等の比較的軟質の材料を含む、マイクロ電子デバイス及び半導体ウエハを含んでもよい。詳細には、被研磨材料は、ASTM E18−07で測定したロックウェル(Rc)B硬度が0〜100の範囲の全数値及び増分を含む100未満である第3硬度H3
を示してもよい。研磨パッドを適用する他の基板としては、例えば、表面のスクラッチング又は摩耗を望ましくは防止できる、光学ガラス、陰極線管、フラットパネルディスプレイ画面等が挙げられる。パッドは、本明細書中に記載のように供給されてもよい(502)。その後、パッドは、液体媒体(例えば、水媒体)等の研磨スラリーと組み合わせて使用してもよい。この場合、研磨剤粒子は存在してもよいし、存在しなくてもよい。例えば、液体媒体をパッド及び/又は研磨される基板の表面に塗布してもよい(504)。その後、パッドを基板に接近させ、当該パッドを研磨中に基板に適合させてもよい(506)。パッドを化学機械平坦化用の装置に取り付けて研磨してもよいことが理解できよう。
【0024】
CMPパッドの性能基準又は比較的望ましい要件は、以下を含むがこれに限定されない。第1基準は、例えばオングストローム/分で測定される、ウエハ表面の比較的高い研磨率又は除去率を含んでもよい。別の基準は、比較的低いウエハ内非統一性を含んでもよい。ウエハ内非統一性は、全体的なウエハ表面に対する平均厚さの割合で表される、研磨後厚さの標準偏差として測定される。さらに別の基準は、ウエハ表面の比較的高度の研磨後平坦性を含んでもよい。金属研磨の場合、平坦性は‘ディッシング’(dishing)及び‘エロージョン’(erosion)という用語で表現される。‘ディッシング’は、誘電体絶縁基板を超えて金属配線を過剰研磨することとして理解することができる。過剰な‘ディッシング’は、回路内の導電率の損失につながりかねない。‘エロージョン’は、回路が埋まってしまうほどの誘電体絶縁基板の過剰研磨の程度を意味するものとして理解することができる。過剰な‘エロージョン’は、ウエハ基板上の金属膜及び誘電体膜のリソグラフィ堆積における焦点深度を失う結果になりかねない。さらなる基準は、比較的低い欠陥率、具体的には研磨中のウエハ表面の低いスクラッチング率を含んでもよい。さらに、さらなる基準は、パッド、研磨剤スラリー及びコンディショナー(調整剤)の切替えの間の比較的長く且つ中断しない研磨サイクルを含んでもよい。任意のパッドは、上述の基準の1つ以上を示してもよいことが理解できよう。
【0025】
例示することを目的として、いくつかの方法及び実施形態を前述した。網羅的であること、又は本開示を開示された正確な工程及び/又は形態に限定することを意図するものではない。また、上記教示を踏まえて多くの変更例及び変形例が存在し得ることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ドメインと、
第2連続ドメインと、
を含む化学機械平坦化パッドであって、
前記第1ドメインは前記第2連続ドメイン内に規則的に離間された個々の要素を含む、パッド。
【請求項2】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第1ドメインは第1硬度H1を示し、且つ前記第2ドメインは第2硬度H2を示し、H1はH2より大きい、パッド。
【請求項3】
請求項2に記載の化学機械平坦化パッドであって、
1はロックウェルRスケールで80〜150の範囲内にあり、且つH2はロックウェルRスケールで40〜110の範囲内にある、パッド。
【請求項4】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第2連続ドメイン内に規則的に離間された個々の要素を含む少なくとも1つの追加のドメインをさらに含む、パッド。
【請求項5】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第1ドメインは第1比重SG1を示し、且つ前記第2ドメインは第2比重SG2を示し、SG1はSG2と等しくない、パッド。
【請求項6】
請求項1に記載の化学機械平坦化であって、
SG1は1.0〜2.0の範囲内にあり、且つSG2は0.75〜1.5の範囲内にある、パッド。
【請求項7】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第1ドメインの前記要素は前記パッドの表面全体にわたって長手方向及び横方向に規則的に離間される、パッド。
【請求項8】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第1ドメインの前記要素は軸の周囲に規則的に離間される、パッド。
【請求項9】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第2ドメインは布を含む、パッド。
【請求項10】
請求項6に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記布は可溶性繊維を含む、パッド。
【請求項11】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第2連続ドメイン内に空隙をさらに含む、パッド。
【請求項12】
請求項11に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記空隙の最大線寸法は10nm〜200μmの範囲内にある、パッド。
【請求項13】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第1ドメインの前記要素は前記パッドの厚みの一部を貫通する、パッド。
【請求項14】
請求項1に記載の化学機械平坦化パッドであって、
前記第1ドメインの前記要素は前記パッドの任意の領域に位置する、パッド。
【請求項15】
化学機械平坦化パッドの形成方法であって、
前記パッドの第2連続ドメイン内に、当該第2連続ドメイン内に規則的に離間される複数の開口部を、第1ドメインのために形成することと、
前記第1ドメインを前記第2連続ドメイン内の前記複数の開口部内に形成すること、を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1ドメインのための前記複数の開口部はダイカットされる、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1ドメインを前記第2ドメインにポリマー前駆体として加え、且つ前記ポリマー前駆体を凝固することにより前記第1ドメインを形成することをさらに含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記第2ドメインはモールド内に位置し、
前記ポリマー前駆体を前記モールドに加え、且つ
熱及び/又は圧力を前記モールドに加えて前記ポリマー前駆体を凝固する、方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1ドメインを形成する組成物で前記第2ドメインをオーバーモールドすることにより前記第1ドメインを形成することをさらに含む、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、
前記第2連続ドメインは複数の隙間を有する布を含み、
ポリマー前駆体を供給することをさらに含み、
前記ポリマー前駆体は前記複数の隙間及び前記複数の開口部内に流入し、前記第1ドメインを形成する、方法。
【請求項21】
化学機械平坦化パッドの使用方法であって、
基板を研磨スラリー及び化学機械平坦化パッドで研磨することを含み、
前記化学機械平坦化パッドは第1ドメイン及び第2連続ドメインを含み、
前記第1ドメインは前記第2連続ドメイン内に規則的に離間された個々の要素を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−516247(P2012−516247A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548245(P2011−548245)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022189
【国際公開番号】WO2010/088246
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(507255732)イノパッド,インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】