説明

パターン形成方法

【課題】 離型力が小さいパターン方法を提供すること。
【解決手段】 表面に凹部および/または凸部を有するモールドに硬化性組成物を接触させた状態で該硬化性組成物を硬化させ、前記モールドと前記硬化性組成物とを剥離して前記硬化性組成物の凹部および/または凸部を有するパターンを得るパターン形成方法であって、(i)前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物との間に且つそれぞれに接触するように、ガス発生剤を有するガス発生領域を設ける工程、(ii)前記(i)工程で設けられた前記ガス発生領域からガスを発生させる工程、(iii)前記(ii)工程と同時またはその後に、前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物とを剥離する工程、を有することを特徴とするパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパターン形成方法に関し、具体的には光ナノインプリントによるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ナノインプリント方法は、基板上の樹脂薄膜に表面が凹凸を有している型を押し当て樹脂薄膜を硬化させ、樹脂薄膜に凹凸形状に基づく凹凸形状を転写する方法である。この型は例えばスタンパあるいはモールドと呼ばれる。
【0003】
光ナノインプリント方法においては、モールド(型)を硬化物(樹脂薄膜)とが密着してしまい、互いを離すための力、すなわち離型力を大きく有する。離型力が高いと硬化物が有するパターンに割れ等の欠陥が生じたり、硬化物を有する基板が載置されているステージから浮き上がって位置合わせ精度が低下する場合がある。このため、離型力を低くすることが重要な課題であった。
【0004】
特許文献1には、ナノインプリントリソグラフィ用硬化組成物に気体発生剤を含ませることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、インプリント方法であって加熱および加圧/減圧のうちの少なくとも1つ以上の環境下でガスを発生させる(段落0118)光硬化性樹脂を用いることが開示されている。ここで開示する圧力を使用する方法は、高圧雰囲気中において、光硬化性樹脂にモールドを接触させ、その後、モールドを介して光硬化性樹脂に光を照射することにより、光硬化性樹脂を硬化させる。その後、雰囲気を高圧雰囲気から減圧雰囲気に変え、その結果、光硬化性樹脂中に溶解されたガスが気化し、光硬化性樹脂とモールドとの界面にガスが溜まる。この界面に溜まったガス(アウトガス)によって、光硬化性樹脂とモールドとの間の密着力を弱めて離型を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−262980号公報
【特許文献2】特開2010−103464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の気体発生剤は光又は熱によってガスを発生させるものであり、組成物が有する重合性モノマーを光で硬化させる際に気体発生剤がガスを発生させてしまう。その結果組成物の硬化中に泡が生じてしまい転写欠陥につながる。
【0008】
特許文献2の方法は、加圧および減圧により光硬化性樹脂内にガスを発生させる機構であるため、その両者を行うためのチャンバの使用は避けられず、また時間と手間のかかる工程にならざるを得なかった。
【0009】
従って本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、離型力が小さいパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係るパターン形成方法は、表面に凹部および/または凸部を有するモールドに硬化性組成物を接触させた状態で該硬化性組成物を硬化させ、前記モールドと前記硬化性組成物とを剥離して前記硬化性組成物の凹部および/または凸部を有するパターンを得るパターン形成方法であって、(i)前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物との間に且つそれぞれに接触するように、ガス発生剤を有するガス発生領域を設ける工程、(ii)前記(i)工程で設けられた前記ガス発生領域からガスを発生させる工程、(iii)前記(ii)工程と同時またはその後に、前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物とを剥離する工程、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、モールドと硬化性組成物との間に設けられたガス発生領域から選択的にガスが発生するので、離型力が小さいパターン形成方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】光ナノインプリント方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0014】
なお、本発明でいう光ナノインプリント方法は、好ましくは、1nm〜10mmのサイズのパターン形成のことと定義し、より好ましくは、およそ10nm〜100μmのサイズのパターン形成のことと定義する。
【0015】
(パターン形成方法)
本発明に係るパターン形成方法は、表面に凹部および/または凸部を有するモールドに硬化性組成物を接触させた状態で該硬化性組成物を硬化させ、前記モールドと前記硬化性組成物とを剥離して前記硬化性組成物の凹部および/または凸部を有するパターンを得るパターン形成方法であって、
(i)前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物との間に且つそれぞれに接触するように、ガスを発生するガス発生剤を有するガス発生領域を設ける工程、
(ii)前記(i)工程で設けられた前記ガス発生領域からガスを発生させる工程、
(iii)前記(ii)工程と同時またはその後に、前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物とを剥離する工程、を有している。また、(ii)の工程において前記硬化性組成物からガスは発生しないが、ガス発生領域からガスが発生するようにガス発生領域が設けられている。
【0016】
以下に、本発明のパターン形成方法の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
本実施形態に係るパターン形成方法は、図1に示すように、被加工基板上に硬化性組成物からなる被形状転写層を配置する工程(塗布工程)(図1(1))と、モールドの表面に前記ガス発生領域を配置するために、モールドにガス発生剤を塗布する工程(モールド表面処理工程)(図1(2))と、硬化性組成物(被形状転写層)にモールドを接触させる工程(モールド接触工程)(図1(3))と、モールドを接触させたままモールドを介して被形状転写層を露光する工程(光照射工程)(図1(4))と、モールドを接触させたまま被形状転写層に圧力を加える工程(加圧工程)(図1(5))と、形状転写層からモールドを剥離する工程(離型工程)(図1(6))と、を有している。
【0018】
すなわち、上記図1の塗布工程から光照射工程までの各工程を経ることで、(i)モールドと硬化性組成物の硬化物との間に且つそれぞれに接触するように、ガスを発生するガス発生剤を有するガス発生領域が層として設けられる。その後、加圧工程(5)を行うことで、ガス発生領域からガスを発生させている。そして、ガス発生領域を硬化性組成物の硬化物とは別の領域として配置することで、加圧工程において硬化性組成物からガスは発生しないが、ガス発生領域からガスが発生するように構成することができ、該ガス発生領域のみから離型に有用なガスが発生し、離型工程時の離型力を低減させることができる。
【0019】
これにより転写欠陥が少なく、且つ離型力の低いパターン形成方法を実現することができる。
【0020】
特に、ガス発生剤が、圧力を受けてガスを発生するガス発生剤であり、(ii)工程は、ガス発生領域に圧力を付与する工程であることが好ましい。
【0021】
また、ガス発生剤が、圧力を受けて連鎖反応でガスを発生するガス発生剤であると良い。
【0022】
また、上述のように、被加工基板上に前記硬化性組成物を配置する工程と、被加工基板上の前記硬化性組成物を前記モールドに接触させる工程と、前記モールドに硬化性組成物を接触させた状態で光を照射して前記硬化性組成物を硬化させる工程と、を更に有しており、前記接触させる工程の前に、前記モールドの表面に前記ガス発生領域が予め配置されていることが好ましい。
【0023】
また、圧力を付与する工程は、接触させる工程よりも被加工基板とモールドとを近づける工程であるとよい。
【0024】
また、モールドにガス発生領域を配置する工程が、ガス発生剤をモールドの表面に共有結合または水素結合により結合させる工程であるとよい。
【0025】
なお、離型工程の後に、被形状転写層の凹部に残った膜をエッチングにより取り除き、パターン凹部において被加工基板表面を露出させる、残膜除去工程(図1(7))を更に含む方法が好ましい。
【0026】
次に本実施形態に係るパターン形成方法の各工程を説明する。
【0027】
(硬化性組成物を配置する工程(図1(1)))
硬化性組成物を配置する工程として本実施形態では塗布工程を挙げる。被加工基板上に硬化性組成物を塗布する。被加工基板としては、シリコンウエハを挙げることができる。その他、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の材料で出来た半導体デバイス用基板であってもよい。
【0028】
被加工基板はその表面が処理されていても良い。処理により硬化性組成物との密着性を高めることができる。塗布方法としては、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等を挙げることができる。なお、被形状転写層の膜厚は、使用する用途によっても異なるが、例えば、0.01〜100.0μmである。
【0029】
(モールド表面処理工程(図1(2)))
モールド表面処理工程では、本発明の感圧ガス発生剤をモールド表面に塗布する。感圧ガス発生剤の塗布方法は、モールド表面に塗布できれば特に限定されないが、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等を用いることができる。
【0030】
感圧ガス発生剤の膜厚は、使用する感圧ガス発生剤の種類によっても異なるが、例えば、0.001〜100.0μmが好ましく、0.01μm〜10μmがより好ましい。膜厚が0.001μmより薄いと、感圧ガス発生剤から発生するガスが少なくなり、離型力の低減効果が得られない。膜厚が100μmより厚いと、モールドの凹凸パターンに硬化性組成物を充填出来ず、精度良くパターンの凹凸を転写できない恐れがある。
【0031】
感圧ガス発生剤のガス発生量は、使用する感圧ガス発生剤の分子量や圧力への反応の程度によっても異なるため特に限定しないが、例えば、感圧ガス発生剤としてアジド化合物をモールド表面に塗布すると、後述の加圧行程において、感圧ガス発生剤のおよそ2〜50倍の体積となる窒素ガスが発生し、光ナノインプリント用硬化性組成物とモールドの界面に窒素ガスが充填され、光ナノインプリント用硬化性組成物からモールドを引き離す圧力が発生する。光ナノインプリント用硬化性組成物からモールドを引き離す圧力が、光ナノインプリント用硬化性組成物とモールドを引き離す力となり、離型力が低減する。
【0032】
光ナノインプリント用硬化性組成物からモールドを引き離す圧力は特に限定されないが、上記感圧ガス発生剤の塗布する膜厚の範囲内において、種々光ナノインプリント用硬化性組成物とモールドを引き離すのに要する力に応じて光ナノインプリント用硬化性組成物からモールドを引き離す圧力となるガス発生量に調節するのが好ましい。
【0033】
(モールド接触工程(図1(3)))
モールドを硬化性組成物に接触させる工程として、本実施形態ではモールド接触工程を挙げる。型としてモールドの表面に形成された凹凸(微細パターン)中に硬化性組成物が充填される。
【0034】
モールドは、光透過性の材料で構成される必要がある。具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等を挙げることができる。
【0035】
ガス発生剤は、モールド接触工程ではガスを発生せず、モールド接触工程より高い圧力を加えた後述の加圧工程でガスを発生するものが好ましい。そのため、モールド接触工程の際の圧力は特に限定されないが、モールド接触工程時の圧力は0.1MPa〜20MPaの範囲にあることが好ましいが、より低いことが好ましい。モールド接触工程時の圧力が大きいと、本発明の感圧ガス発生剤のガスが発生しない圧力の下限値を高くする必要がある。
【0036】
ガス発生剤は、モールド接触工程において硬化性組成物からなる被形状転写層に溶け出してもよく、溶け出す割合によって前述のモールド表面処理工程において塗布するガス発生剤の膜厚を厚くすることが好ましい。ガス発生剤がモールド接触工程において硬化性組成物からなる被形状転写層に溶け出さない場合は、前述のモールド表面処理工程において塗布するガス発生剤の膜厚を薄くすることができ、モールドの凹凸パターンを精度良く転写できるためより好ましい。
【0037】
モールド接触工程の時間は特に限定されないが、通常、1〜600秒であり、1〜300秒であることが好ましく、1〜180秒であることがより好ましく、1〜120秒であることが特に好ましい。接触する時間が短いと、レジストの充填が十分に行われない恐れがあり、接触する時間が長いと、光インプリント工程のスループットが低くなる。
【0038】
モールド接触工程は、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガスなど、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。好ましい圧力は0.0001気圧から10気圧である。酸素や水分による光硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気下や不活性ガス雰囲気下が好ましい。
【0039】
(光照射工程(図1(4)))
光照射工程の実施形態は、モールドを接触させたまま被形状転写層を露光する工程である。モールド接触工程によってモールド表面に形成された凹凸中に充填された硬化性組成物が硬化する。
【0040】
照射する光は特に限定されず、用いる硬化性組成物の感度波長に応じて選択されるが、150から400nm程度の波長の紫外光や、X線、電子線などを適宜選択して使用することが好ましい。光重合開始剤(B)として紫外光に感度を有する多種多様な感光性化合物が容易に入手可能であることから、紫外光が特に好ましい。紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザなどが挙げられ、超高圧水銀灯が特に好ましい。これら放射線は1つまたは複数で使用できる。また、光照射は被形状転写層の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。
【0041】
また、モールドを光透過性の材料で構成することでモールドを介して露光することが可能となり好ましいが、基材が透明であれば基材側から露光する構成でも良い。
【0042】
使用するガス発生剤と光の波長の関係によっては、硬化性組成物を硬化する際に若干のガスを発生することがある。硬化性組成物の硬化物の硬化不良など、機械的特性が低下しない程度のガス発生に止めることが好ましく、ガス発生剤からガスが実質的に発生しない光の波長を選択するのがより好ましい。
【0043】
また、被形状転写層が熱硬化性を有する場合には、加熱硬化を更に行ってもよい。熱硬化を行う場合、加熱雰囲気及び加熱温度等は特に限定されないが、例えば、不活性雰囲気下又は減圧下で、40〜200℃で加熱することができる。加熱は、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を用いて行うことができる。
【0044】
(加圧工程(図1(5)))
加圧工程は、モールドに塗布されたガス発生剤に前述のモールド接触工程よりも大きい圧力を加える工程である。モールド接触工程より大きな圧力を加えることにより、ガス発生剤からガスが発生し、ガスはその体積を広げようとするので、光硬化性樹脂とモールドとの間の密着力は弱められ、後述の剥離工程において離型力が低減する。
【0045】
モールド接触工程よりも大きい圧力を加える方法は、特に限定されない。例えば、接触させる工程よりも被加工基板とモールドとを近づける、具体的には被加工基板をモールド側に移動させることによってガス発生剤に圧力を加えてもよく、あるいはモールドを被加工基板側に移動させることによってガス発生剤に圧力を加えても良い。また、被加工基板をモールド側に移動させ、かつモールドを被加工基板側に移動させても良い。
【0046】
圧力を加える時間は特に限定しないが、光インプリント工程の時間短縮を考えれば、より短い時間でモールド接触工程よりも大きい圧力を加えることが好ましい。
【0047】
圧力の上限については特に限定しないが、被形状転写層すなわち硬化性組成物の硬化物が形状を保持できる圧力であることが好ましい。例えば、圧力は20MPa〜100MPaの範囲にあることが好ましい。
【0048】
圧力を加える回数は特に限定しないが、モールドまたは被加工基板のいずれかまたは両方を複数回移動させることによって圧力を加えても良い。
【0049】
(離型工程(図1(6)))
離型工程は、被形状転写層からモールドを剥離する工程である。離型工程によって、モールド上に形成された微細パターンの反転パターンが、硬化性組成物の硬化物のパターンとして得られる。
【0050】
剥離方法は特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。即ち、例えば、被加工基板を固定してモールドを被加工基板から遠ざかるように移動させて剥離してもよく、モールドを固定して被加工基板をモールドから遠ざかるように移動させて剥離してもよく、これらの両方を逆方向へ引っ張って剥離してもよい。
【0051】
(残膜除去工程(図1(7)))
残膜除去工程は、被形状転写層の凹部に残った凸部より薄い膜をエッチングにより取り除き、パターン凹部において被加工基板表面を露出させる工程である。
【0052】
エッチング方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば、ドライエッチングを行うことで形成することができる。ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、ドライエッチング時のソースガスは、被エッチ膜の元素組成によって適宜選択されるが、O、CO、CO等の酸素原子を含むガス、He、N、Ar等の不活性ガス、Cl、BCl等の塩素系ガス、H、NHのガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。
【0053】
(基板加工工程(図1(7))
被加工基板表面の露出は、加工前の表面の露出だけでなく、さらにエッチングなどを行い凹部を形成することも含まれる。
【0054】
露出工程で得られたパターンは、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の層間絶縁膜用膜、半導体素子製造時におけるレジスト膜等として利用することができる。
【0055】
具体的には、図1(6)で示すように、露出工程で露出した部分に対して、エッチングまたはイオン注入等を行うことにより、硬化性組成物のパターンに基づく回路構造を被加工基板に形成する。これにより、半導体素子などの回路基板を製造することができる。最終的には、加工された基板から硬化性組成物のパターンを除去しても良いが、素子を構成する部材として残す構成も好ましい。
【0056】
本形態において、モールドのパターンの凹部の断面が矩形状であると良い。これにより、パターン形状は断面が矩形状である凸部を有することができる。これにより、エッチングにより形成されるパターンの断面形状も矩形することができるようになり、精度良く配線パターン等を形成することができる。
【0057】
また、表面に凹凸のパターンを有する光学素子として利用することもできる。すなわち、基材と、該基材上に配置された硬化性組成物の硬化物と、を有する物品として提供することができる。
【0058】
以下に本発明のパターン形成方法において、使用できるガス発生剤および硬化性組成物について、詳細に述べる。
【0059】
(ガス発生剤について)
本発明において使用するガス発生剤は、所望の圧力を与えることによって、二酸化炭素、窒素、酸素、水素などのガスが発生する化合物である。
【0060】
特に、圧力により分解されて、その分解が連鎖的におこり爆発的に窒素が発生するガス発生剤であることが好ましい。
【0061】
圧力により分解されるガス発生剤は、圧力による体積変化が隣のユニットに影響するので、ユニット以外への瞬間的な連鎖反応が伝達され、短い時間でガスが発生することができる。
【0062】
これに対して、光による分解は連鎖反応がなく、1ユニットずつに光hνエネルギーが必要となり、すなわちガス発生時間がかかる。
【0063】
すなわち、主に光によってガスが発生する引用文献1のナフトキノンアジド化合物のようなガス発生剤よりも、連鎖的な爆発が生じるガス発生剤を用いることで、短時間かつ簡便に離型力低減効果を得ることができる。
【0064】
また、ガス発生剤に圧力を与えることは、モールドを接触工程よりさらに押すという簡便なプロセスで実現できるので、光硬化工程との分離も容易となる。すなわち、パターン形成方法で使用する光硬化組成物として好ましいものである。
【0065】
圧力により分解されて、その分解が連鎖的におこり爆発的に窒素が発生するガス発生剤は、例えば、アジド化合物である。アジド化合物は圧力を加えると分解し、一旦分解が始まると連鎖反応を起こし、爆発的に窒素ガスを放出する。このような化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー等のアジド基を有するポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。発生するガスは重合性モノマー等の硬化性組成物が有する成分が劣化しないようにするために窒素であることが好ましい。
【0066】
本発明に用いる感圧ガス発生剤は、モールド表面と共有結合または水素結合を形成してもよい。
【0067】
(硬化組成物について)
本発明において使用する硬化性組成物は、重合性モノマー(A)、重合開始剤(B)を有する。
【0068】
以下に構成(A)(B)について説明する。
【0069】
(重合性モノマー(A))
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性モノマーまたはカチオン重合性モノマーが挙げられる。以下の本実施形態においては、光を受けることで重合する光硬化性組成物について詳細に説明するが、熱により重合する熱硬化性組成物などの光以外の刺激を受けて重合する硬化性組成物であってもよい。
【0070】
本実施形態では、ラジカル重合性モノマーはアクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ以上有する化合物が好ましい。
【0071】
アクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフェニル(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
これら単官能(メタ)アクリル化合物は例えば以下の製品から入手できる:
アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H (以上、日本化薬製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
アクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
多官能(メタ)アクリル化合物は例えば以下の製品から入手できる:
ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート #195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート 4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製)、アロニックス M208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子製)
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
これらラジカル重合性モノマーは、単独で又は2種類以上を用いることができる。なお、上記において、(メタ)アクリレートとはアクリレート及び/またはメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を意味し、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。
【0076】
(重合性モノマー(A)−カチオン重合性成分)
次に重合性モノマー(A)のうちの、カチオン重合性モノマーとしてはビニルエーテル基、エポキシ基またはオキセタニル基を1つ以上有する化合物が好ましい。
【0077】
ビニルエーテル基を1つ有する化合物としては、例えば、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
ビニルエーテル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
エポキシ基を1つ有する化合物としては、例えば、
フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
エポキシ基を2つ以上有する化合物としては、例えば、
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
オキセタニル基を1つ有する化合物としては、例えば、
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
オキセタニル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、
3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
これらカチオン重合性モノマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記において、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものである。また、水添とはベンゼン環などのC=C二重結合に対して水素原子を付加させることである。
【0084】
(重合開始剤(B))
重合開始剤(B)は、重合性モノマー(A)がラジカル重合性モノマーの場合は光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線などの放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤であり、重合性モノマー(A)がカチオン重合性モノマーの場合は光により酸を発生する重合開始剤である。
【0085】
ラジカル発生剤は、として挙げられる化合物は、例えば、
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−又はp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等のような置換されていてもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;
ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパノン−1−オンなどの芳香族ケトン誘導体;
2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;
ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾインなどのベンゾイン誘導体;
ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;
9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体;
N−フェニルグリシンなどのN−フェニルグリシン誘導体;
アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン誘導体:
キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド
などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0086】
ラジカル発生剤は例えば以下の製品から入手できる:Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173(以上、チバ・ジャパン製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
光により酸を発生する重合開始剤として用いられる化合物としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。本実施形態ではオニウム塩化合物を用いることが好ましい。
【0088】
オニウム塩化合物としては、例えば、
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。オニウム塩化合物の具体例としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムピレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムピレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。スルホン化合物の具体例としては、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−トリスフェナシルスルホンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。スルホン酸エステル化合物の具体例としては、α−メチロールベンゾインパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネート、α−メチロールベンゾイン2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニル)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、(シクロヘキシルスルホニル)(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
光により酸を発生する重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0094】
重合開始剤(B)は、本発明の重合性モノマー(A)の全量に対して、0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.1重量%以上7重量%以下である。0.01質量%未満であると、硬化速度が低下して反応効率が低くなることがある。一方、10重量%を超えると、硬化性組成物の硬化物の機械的特性の点で劣ることがある。
【0095】
(その他添加成分)
本発明の硬化性組成物は、上述の重合性モノマ(A)、光重合開始剤(B)の他に、所望の離型力を損なわない範囲で、増感剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマ成分等その他の添加成分を含んでいてもよい。
【0096】
これらのうち増感材は、重合反応促進や反応転化率の向上を目的添加してもよいものである。増感材は例えば水素供与体や増感色素である。
【0097】
水素供与体は、重合開始剤(B)から発生した開始ラジカルや、重合生長末端のラジカルと反応し、より反応性が高いラジカルを発生する化合物である。重合開始剤(B)が光ラジカル発生剤である場合に添加することが好ましい。
【0098】
水素供与体の具体例としては、
N−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシンなどのアミン化合物、
2−メルカプト−N−フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステルなどのメルカプト化合物、
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
増感色素は、特定の波長の光を吸収することにより励起され、重合開始剤(B)へ作用する化合物である。ここでいう相互とは、励起状態の増感色素から重合開始剤(B)へのエネルギー移動や電子移動などである。
【0100】
増感色素の具体例としては、
アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、
アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素、
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0102】
硬化性組成物における増感剤は、重合性モノマー(A)の全量に対して0〜20重量%であることが好ましく、0.1〜5.0重量%であることが好ましく、0.2〜2.0重量%であることがさらに好ましい。増感剤の含量を0.1重量%以上とすることにより、増感剤の効果をより効果的に発現することができる。また、増感剤の含量を5.0重量%以下とすることにより、重合性モノマーの光により硬化した物の分子量が十分に高く、また、溶解不良や保存安定性の劣化を抑えることができる。
【0103】
(硬化性組成物の配合時の温度)
硬化性組成物の混合・溶解は、0℃〜100℃の範囲で行えばよい。
【0104】
(硬化性組成物の粘度)
硬化性組成物の粘度は、溶剤を除く成分の混合物において23℃で1〜100cPであることが好ましい。より好ましくは5〜50cP、さらに好ましくは6〜20cPである。粘度が100cPより高いと、後述するモールド接触工程において、モールド上の微細パターン凹部への組成物の充填に長時間が必要となったり、充填不良によるパターン欠陥が生じたりする。粘度が1cPより低いと、後述する塗布工程において塗りムラを生じたり、後述するモールド接触工程において、モールド端部から組成物が流れ出したりする恐れがある。
【0105】
(硬化性組成物の表面張力)
硬化性組成物の表面張力は、溶剤を除く成分の23℃において5〜70mN/mであることが好ましい。より好ましくは7〜35mN/m、さらに好ましくは10〜32mN/mである。
【0106】
表面張力が5mN/mより低いと、後述する型接触工程において、型表面上の凹凸への組成物の充填に長時間が必要となる。表面張力が70mN/mより高いと、表面平滑性が低い。
【0107】
(硬化性組成物に混入しているパーティクル)
硬化性組成物は、混入したパーティクルによる重合性モノマー(A)の硬化物が有する凹凸における欠陥発生を防止するため、前記各成分を混合した後、例えば、孔径0.001μm〜5.0μmのフィルタで濾過することが好ましい。濾過は、多段階で行ったり、多数回繰り返すことがさらに好ましい。また、濾過した液を再濾過することもできる。濾過に使用するフィルタの材質は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂などのものが使用できるが、特に限定されるものではない。
【0108】
(硬化性組成物に混入している金属不純物)
半導体集積回路を製造するための硬化性組成物においては、製品の動作を阻害しないようにするため、硬化性組成物中の金属不純物の混入を極力避けることが好ましい。このため、硬化性組成物における金属不純物の濃度としては、10ppm以下が好ましく、100ppb以下にすることがさらに好ましい。
【0109】
以下に、実施形態を用いてより詳細に説明する。
【0110】
(実施形態1)
被加工基板1として、シリコンウエハを用いる。図1(1)に示すように、被加工基板上に光硬化性樹脂が塗布される。光硬化性組成物は、重合性モノマーとして1,6−へキサンジオールジアクリレートを100重量部、重合開始剤として2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体を3重量部含むものである。
【0111】
図1(2)に示すように、表面に凹凸のパターンを形成した石英ガラスのモールドを用意し、表面に3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを塗布し、ガス発生層を形成する。
【0112】
つづいて、図1(3)に示すようにモールドを基板側に近づけ、モールドと光硬化性組成物とを接触させる。
【0113】
接触させた状態で、図1(4)のように、波長313nmの光で照射を行い、光硬化性組成物を硬化させる。
【0114】
その後、モールドを更に基板に近づけることで、モールドと基板との間に圧力を印加し、ガス発生領域のガス発生剤からガスを発生させる。(図1(5))
ガス発生領域で発生したガスにより、モールドと光硬化性組成物の硬化物との間の密着性は悪化し、離型力は低減されるので、図1(6)に示すような離型工程をより少ない力で行い、凹凸のパターンを基板上に形成することができる。これにより、離型させる際のパターンに割れ等の欠陥の発生や、硬化物を有する基板が載置されているステージから浮き上がって位置合わせ精度の低下を抑制できる。また、光硬化性組成物からガスは発生せず、ガス発生領域からガスが発生するようにガス発生領域を設ける。
【0115】
得られたパターンを有する被加工基材に対して、ドライエッチングを行い、光硬化性組成物の凹部に残った薄い膜を取り除く。これにより、図1(7)のように、パターン凹部において被加工基板表面を露出させる。
【0116】
露出した被加工基板表面に対して、ホウ素などのイオンを注入し、回路パターンが形成された半導体基板を製造する。
【0117】
(実施形態2)
実施形態1と異なる点は、ガス発生領域を形成する3−アジドメチル−3−メチルオキセタンをモールドの凹凸表面に塗布するのではなく、基板上の光硬化性組成物に塗布する。
【0118】
基板上の光硬化組成物を覆うように塗布された上記溶液と、モールドを接触させることで、図1(3)に示すモールドと硬化性組成物との間に且つそれぞれに接触するように、ガスを発生するガス発生剤を有するガス発生領域を設ける。
【0119】
この状態で、光硬化を行うことで配置関係は維持され、モールドと硬化性組成物の硬化物との間に且つそれぞれに接触するように、ガスを発生するガス発生剤を有するガス発生層が設けられる。
【0120】
この後の工程は、実施形態1と同様に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明により、離型力が小さいパターン形成方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹部および/または凸部を有するモールドに硬化性組成物を接触させた状態で該硬化性組成物を硬化させ、前記モールドと前記硬化性組成物とを剥離して前記硬化性組成物の凹部および/または凸部を有するパターンを得るパターン形成方法であって、
(i)前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物との間に且つそれぞれに接触するように、ガス発生剤を有するガス発生領域を設ける工程、
(ii)前記(i)工程で設けられた前記ガス発生領域からガスを発生させる工程、
(iii)前記(ii)工程と同時またはその後に、前記モールドと前記硬化性組成物の硬化物とを剥離する工程、
を有する
ことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記(ii)の工程において、前記硬化性組成物からガスは発生しないが、前記ガス発生領域からガスが発生するように前記ガス発生領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記硬化性組成物は、光を受けて硬化する光硬化性組成物である請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記ガス発生剤が、圧力を受けてガスを発生するガス発生剤であり、
前記(ii)工程は、前記ガス発生領域に圧力を付与する工程である請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記ガス発生剤が、圧力を受けて連鎖反応でガスを発生するガス発生剤である請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
被加工基板上に前記光硬化性組成物を配置する工程と、
前記被加工基板上の前記光硬化性組成物を前記モールドに接触させる工程と、
前記モールドに光硬化性組成物を接触させた状態で光を照射して前記光硬化性組成物を硬化させる工程と、
を更に有しており、
前記接触させる工程の前に、前記モールドの表面に前記ガス発生領域が予め配置されている請求項4または5のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記圧力を付与する工程は、前記接触させる工程よりも前記被加工基板と前記モールドとを近づける工程である請求項6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記モールドにガス発生層を配置する工程が、前記ガス発生剤を前記モールドの表面に共有結合または水素結合により結合させる工程である請求項6または7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のパターン形成方法により得られる前記パターン形状に基づいてエッチングまたはイオン注入を行い、前記パターン形状に基づいて被加工基板に回路構造を形成する回路基板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−115197(P2013−115197A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259272(P2011−259272)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】