説明

パターン成膜のためのスパッタリング成膜装置

【課題】 成膜効率の高いパターン成膜を行う。
【解決手段】 本発明のある態様のスパッタリング成膜装置においては、帯状の可撓性基板7を継続的に送り、円筒状のターゲット部4と基板7との間にマスク25を配置して成膜処理を行う。マスク25の開口は、基板7の給送方向に延びるように形成されている。加えて、本発明においては、基板7の給送動作に同期化させて回転ベルト式マスク26を移動させる態様の成膜装置や、基板7の給送動作に同期化させて円筒状回転マスク36を回転させる態様のスパッタリング成膜装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン成膜を行うためのスパッタリング成膜装置に関する。さらに詳細には、本発明は、可撓性基板を連続して給送して基板上に成膜する際に、マスクによってパターニングを行うスパッタリング成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空槽にて成膜を行う成膜技術の一つとして、スパッタリング法が利用されている。とりわけ、優れた成膜速度を発揮するマグネトロンスパッタリング法が広範に利用されている。このマグネトロンスパッタリング法においては、成膜処理の際にマグネトロン放電が利用される。マグネトロン放電では、磁束により二次電子がターゲット付近に閉じ込められる。このため、イオン化されてスパッタリングに寄与する不活性ガスが多量に生じ、スパッタリング原子(成膜用材料)の量が増大される。その結果、成膜速度が増大される。なお、マグネトロン放電には磁界が必要となるため、例えば、基板に対向して配置されるターゲットまたはカソード電極の背面に永久磁石が配置される。
【0003】
上記マグネトロンスパッタリング法においては、平板形状の一組の電極を用いる平行平板マグネトロンスパッタリング法や、円筒状のターゲットを用いる円筒状マグネトロンスパッタリング法が実用化されている。このうち、円筒型マグネトロンスパッタリング法は、成膜の処理効率が高く、膜質の一様性にも優れ、ターゲット材料の利用率が高いなどの特徴を有している。
【0004】
また、成膜処理の生産性の点から、成膜に用いる基板にも種々のものが用いられている。可撓性(フレキシブル性)を有する帯状の基板、中でも長尺状または帯状の形状を有する基板を採用すれば、ロール状にして準備した基板を必要に応じて巻出して帯状の長手方向に送り、送られてくる基板を対象に何からの処理装置による処理を行い、その後必要に応じて再びロール状に巻取る、という取り扱いが可能となる。このため、帯状の可撓性基板によってロール状の基板を取り扱うこととすると生産性を大幅に高めることが可能となる。
【0005】
このような帯状の可撓性基板を対象にする成膜処理の動作態様は、間欠成膜法と連続成膜法とに大別される。これらはいずれも、ロール状の基板を巻出したりロール状に巻取ったりする工程を含んでいる。
【0006】
間欠成膜法は、成膜処理の動作(処理モード)と基板を搬送する動作(搬送モード)とを交互に実行する成膜手法である。この間欠成膜法における基板を搬送する態様をステップ搬送と呼ぶ。間欠成膜法の場合、処理モードにおいては基板の部分または領域のみを対象にして成膜処理が実行され、搬送モードにおいては一定距離(搬送ピッチ)だけ長手方向に基板が搬送される。
【0007】
それに対して連続成膜法においては、成膜処理の際にも成膜用基板は停止されない。すなわち、連続成膜法においては、一定の速度によって連続してすなわち継続的に基板を送りながら、成膜装置を通過する基板の部分または領域を対象にして、連続的に成膜処理が施される。このため、連続成膜法においては、間欠成膜法の場合のように処理モードと搬送モードとを明瞭に区別して繰りかえす動作は行われない。
【0008】
これらの間欠成膜法および連続成膜法において、スパッタリングされる膜または層が基板のある面の上に配置される場合には、当該面においてスパッタリングされる膜または層が形成される範囲を限定するパターン成膜も行われている。そのようなパターン成膜の処理は、典型的には、開口を設けた板または膜状の遮蔽用のマスクによってスパッタ原子を通過させる範囲を制限して行われる。
【0009】
図1は、上述した円筒型マグネトロンスパッタリング法による成膜処理において、上述した間欠成膜法を採用してパターン成膜を行うためのパターン成膜装置700の構成を示す構成図であり、図1(a)は構造を示す概略断面図、図1(a)は概略構成と処理動作を示す概略斜視図である。このパターン成膜装置700においては、パターン成膜を実施するために、ターゲットユニット87における円筒状放電電極83の外周面のターゲット材84と成膜用基板77との間にパターン成膜用マスク80が配置される。このパターン成膜用マスク80には、膜を形成する範囲に適合させた形状の開口80Aが設けられて、その間を遮蔽部80Sが占めている。
【0010】
図1のパターン成膜装置700を用いて間欠成膜法を採用する場合の処理モードでは、成膜用基板77を静止させてスパッタリング成膜処理が実施される。このため、成膜用基板77の被成膜面77Fのうちパターン成膜用マスク80によって遮蔽されない領域にのみ成膜が行われる。その結果、成膜用基板77の一方の面の上には目的とするパターン78b(図1(b))が形成される。処理モードにおいて目的の厚みの膜が形成されて対象にした成膜処理が完了すると、成膜動作は停止されて搬送モードに遷移する。搬送モードにおいては、図1(b)に示すように、成膜用基板77が所定の搬送ピッチPだけ送られる。これにより、パターン78bが形成された部分は成膜処理部から送出され、それと同時に次に処理対象となる部分が成膜処理部に導入される。以上のような処理モードと搬送モードとを交互に繰りかえし実行することによって、成膜用基板77のステップ搬送を利用した成膜処理が、帯状の基板の各部に対して順次施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−254790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述した間欠成膜法によるパターン成膜においては、パターン成膜用マスク80と成膜用基板77との空隙の距離の調整に困難を伴う。すなわち、パターン成膜用マスク80と成膜用基板77との隙間(ギャップG、図1(a))を大きくとりすぎると、成膜モードにおいて成膜される各パターンの外周端(エッジ)が不明瞭となってしまう。しかし、だからといって、パターン成膜用マスク80を成膜用基板77に近づけすぎたり、極端には押し付けてしまうと、成膜用基板77に傷がついたりその傷によって生じた塵が付着してしまう。
【0013】
それに加えて、パターン成膜を実行する場合にさらに成膜処理効率を高めようとして、間欠成膜法ではなく連続成膜法を採用すると、基板を移動させながら成膜することに伴う特有の問題も追加される。すなわちまず、成膜用基板を連続的に送ると、成膜用基板それ自体の被成膜面やその上に形成されている成膜パターンがパターン成膜用マスクに対して接触する可能性が生まれてしまう。これは上述の間欠成膜法の搬送モードと同様である。もちろん、それを理由に成膜用基板とパターン成膜用マスクとの間の距離を離すと、パターンの精度が悪化することも上記の間欠成膜法と同様である。特に連続成膜法においては、送られて動いている基板に成膜が行われるため、可撓性の基板が厚み方向に変位する可能性を考慮に入れてその距離を設定する必要がある。このため、連続成膜法においては、成膜用基板や成膜パターンの擦り傷や塵の生成を抑止しつつ精度の良いパターニングを行うことは困難を極める。
【0014】
そしてなにより、連続成膜法を採用すると、例えば図1に示したようなパターン成膜用マスク80を利用しても、パターン成膜用マスク80のパターンが形成されず、隣り合ったパターン同士がつながってしまうという問題に対処しなくてはならない。この点は、成膜処理中にパターン成膜用マスクに対して基板が移動する連続成膜法にとって任意のパターンによってパターン成膜を行うことが不可能であるため、パターン形状の選択の障害ともなり得る。
【0015】
ここで、特許文献1(特開2007−254790号公報)には、円筒形状のマグネトロン型回転カソードターゲットと、外周面に所定のパターンで形成された開口を有するマグネトロン型スパッタ装置が開示されている。このマグネトロン型スパッタ装置においては、ターゲットの外周を取り囲むように、ターゲットと離間して設置された円筒形状のマスク部材とが備えられており、薄膜形成用基材の表面に所定のパターンを有する薄膜が成膜される。しかし、そこで提案されるマグネトロン型スパッタ装置においては、基板とマスクとを互いに接触させながら成膜処理が行われるため、基板には傷が発生しやすく、パーティクルが付着しやすいという問題がある。
【0016】
本発明は上述した問題の少なくともいずれかを解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、可撓性基板を連続してまたは継続的に送りながら基板上にスパッタリング成膜する際に、パターン成膜を適切に行うための手法を提供する。このような処理を実現するために本願の発明者が提案する対応策には、大別すると、マスクを固定または静止させておいて成膜処理を行う手法と、マスクを基板とともに送りながら成膜処理を行う手法とがある。
【0018】
まず、発明者は、基板を送りながら成膜する場合は、マスクを固定しまたは静止させてパターン成膜を行っても必ずしもすべての条件においてパターン精度が悪化するともいえないことに気付いた。条件によっては、良好なパターン精度を得ることも可能である。そこで、その条件を詳細に検討したところ、発明者は、特に、基板が送られる方向と固定されているマスクのパターンとの関係を規定することが有用であるとの知見を得るに至った。
【0019】
すなわち、本発明のある態様においては、帯状の可撓性の基板を長手方向に継続的に送るための基板給送機構と、円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて該円筒の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に該軸を向けて前記基板の被成膜面との間に空隙を設けて配置される円筒状のターゲット部と、一方の面と他方の面とによるある厚みをなし、該一方の面を前記基板の前記被成膜面に向け、該他方の面を前記ターゲット部の前記原料層に向けて前記空隙を仕切るように静止して配置され、前記一方の面と前記他方の面とを通じる開口が前記基板の給送方向に延びるように形成されている板状または膜状のマスクとを備えるスパッタリング成膜装置が提供される。これに代えて、マスクが、一方の面と他方の面とによるある厚みをなし、該一方の面を前記基板の前記被成膜面に向け、該他方の面を前記ターゲット部の前記原料層に向けて前記空隙を仕切るように静止して配置され、前記一方の面と前記他方の面とを通じる開口が複数形成されており、該開口それぞれの間の遮蔽部が前記基板の給送方向に延びるように形成されている板状または膜状のマスクとするスパッタリング成膜装置も提供される。
【0020】
次に、発明者は、以上のようなマスクを用いることよって形成されるパターンは、任意のパターンのものとすることはできないことに着目した。つまり、上述の態様においては、固定されたまたは静止しているマスクを用いるために、形成しうるパターンが基板の送られる方向に沿って延びるパターンに限定されてしまう。そこで発明者は形成されるパターン形状に対する制限を緩和する手法をさらに探索した。その結果、そのパターン形状に対する制限は、マスクを基板とともに送りながら成膜処理を行うことによって一層緩和され、より多様なパターン形状を作製することが可能となるとの結論に至った。
【0021】
すなわち、本発明の他の態様としては、本発明のある態様においては、帯状の可撓性の基板を長手方向に継続的に送るための基板給送機構と、円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて該円筒の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に該軸を向けて前記基板の被成膜面との間に空隙を設けて配置される円筒状のターゲット部と、一方の面と他方の面とによるある厚みをなし、該一方の面を前記基板の前記被成膜面に向け、該他方の面を前記ターゲット部の前記原料層に向けて前記空隙を通るように移動可能に設けられ、前記一方の面と前記他方の面とを通じる開口が複数形成されている膜状のマスクと、前記空隙の少なくとも一部において前記基板に対する相対的な位置を保ちながら該マスクの膜を送るマスク移動機構とを備えるスパッタリング成膜装置が提供される。
【0022】
本発明のさらに他の態様としては、静止されないマスクとして他の態様のマスクを採用する構成も提供される。すなわち、本発明のある態様においては、帯状の可撓性の基板を長手方向に継続的に送るための基板給送機構と、第1の円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて該第1の円筒の軸である第1の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に該第1の軸を向けて前記基板の被成膜面との間に空隙を設けて配置される円筒状のターゲット部と、第2の円筒の壁に開口が設けられている円筒状のマスクであって、該第2の円筒の軸である第2の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に平行に該第2の軸を向け、内部に前記ターゲット部が配置されて前記第2の円筒の壁の少なくとも一部が前記空隙を通るように配置されている円筒状のマスクと、送られている前記基板に対する相対的な位置を、前記空隙の前記少なくとも一部において保たせながら、前記円筒状のマスクを前記第2の軸の周りに回転させるためのマスク回転駆動機構とを備えるスパッタリング成膜装置が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明のいくつかの実施形態における円筒状マグネトロンスパッタリング法を用いたスパッタリング成膜装置によれば、基板を連続してまたは継続的に送りながら成膜する円筒状マグネトロンスパッタリング法によってパターン成膜が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の間欠成膜法におけるパターン成膜装置の構成を示す概略構成図であり、図1(a)は構造を示す概略断面図、図1(b)は概略構成と処理動作を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のある実施形態の連続成膜装置の構成を示す概略構成図であり、図2(a)は概略構成を示す概略断面図であり、図2(b)は概略構成と処理動作とを示す概略斜視図である。
【図3】本発明の円筒状マグネトロンスパッタリング装置において用いるターゲットユニットの構成を示す概略構成図であり、図3(a)は概略断面図であり、図3(b)は概略平面図である。
【図4】本発明のある実施形態における連続成膜装置の構成を示す概略構成図であり、図4(a)は概略断面図であり、図4(b)は概略構成と処理動作とを示す概略斜視図である。
【図5】本発明のある実施形態における連続成膜装置において用いる回転ベルト式マスクを示す概略斜視図(図5(a))、マスク部および成膜パターンを示す平面図(図5(b))である。
【図6】本発明のある実施形態における連続成膜装置の構成を示す概略断面図であり、ある変形例(図6(a))と別の変形例(図6(b))である。
【図7】本発明のある実施形態における連続成膜装置の構成のうち、成膜用基板の給送と回転ベルト式マスクの移動とを担う機構部分の構成(部分のみ)を示す概略断面図および概略斜視図であり、ある変形例(図7(a))と別の変形例(図7(b))である。
【図8】本発明のある実施形態における連続成膜装置の構成を示す概略構成図であり、図8(a)は概略断面図であり、図8(b)は概略構成と処理動作とを示す概略斜視図である。
【図9】本発明のある実施形態における連続成膜装置の構成のうち、円筒状回転マスクとの構成を示す概略斜視図であり、ある変形例(図9(a))と別の変形例(図9(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の説明に際し特に言及がない限り、全図にわたり共通する部分または要素には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。
【0026】
本発明の各実施形態においては、成膜される基板は、図1に関連して上述した間欠成膜法とは異なり、成膜処理の際、連続してまたは継続的に送られる。すなわち、基板は成膜処理中には給送され続けている。以下、まず、第1実施形態としてマスクを静止させて成膜処理を行う実施形態を説明する。次いで、第2実施形態および第3実施形態として、マスクを静止させずに成膜処理を行う実施形態を説明する。以下の各実施形態の説明において、円筒状マグネトロンスパッタリング法のための連続成膜装置として動作しうるように、説明および図示によって明示された以外の公知の要素が適宜付加されるものがある。各実施形態の特徴を明確にするために、そのような要素の説明および図示は適宜省略されている。
【0027】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態として、円筒状マグネトロンスパッタリング法による成膜処理において、可撓性基板を連続して送りながらパターン成膜を実施するための実施形態を以下説明する。本実施形態においては、基板を給送する成膜処理の際にマスクは静止させたままにされる。
【0028】
図2は、本実施形態のマグネトロンスパッタリングを用いる連続成膜装置100の構成を示す概略構成図である。より詳細には、図2(a)は概略構成を示す概略断面図であり、図2(b)は概略構成と処理動作とを示す概略斜視図である。連続成膜装置100は、円筒状マグネトロンスパッタリング法においてマスクを固定させて連続成膜法を採用する際に用いられる。本実施形態において用いる成膜用基板7は、可撓性を有する膜状またはシート状の基板である。この成膜用基板7の材質としては、例えば、ポリイミドフィルムなどの各種の樹脂基板やステンレス薄板などの金属板などを用いることができる。
【0029】
連続成膜装置100における成膜される基板(成膜用基板7)の給送は、未処理の成膜用基板7を基板巻き出しコア19から送り、処理後の成膜用基板7を基板巻取りコア23に巻取って行われる。ここで、基板巻き出しコア19は、基板給送機構1の一部として基板巻き出し室18の中に配置されている。一方の基板巻取りコア23も、基板給送機構1の一部として基板巻取り室22に配置されている。
【0030】
より具体的には、基板給送機構1は、巻出し側の基板給送機構1Aと巻取り側の基板給送機構1Bとによって構成されている。基板給送機構1Aおよび1Bにおいては、基板巻き出しコア19および基板巻取りコア23に、それぞれ、巻出し側の基板給送用駆動機2Aおよび巻取り側の基板給送用駆動機2Bが連結されている。すなわち、巻出し側の基板給送用駆動機2Aによって基板巻き出しコア19を回転駆動して成膜用基板7を送り出す。そうして送られてきた成膜用基板7を、巻取り側の基板給送用駆動機2Bによって回転駆動されている基板巻取りコア23に巻き取る。この際の基板給送用駆動機2Aおよび2Bの回転速度によって成膜用基板7の移動速度が制御される。ここで、給送に伴って基板巻き出しコア19および基板巻取りコア23における成膜用基板7が巻かれる周面の直径が変化する等の種々の要因によって成膜用基板7の速度が変動する可能性がある。このため、成膜用基板7に接触していて成膜用基板7の給送とともに連れ回りする速度検知用のロールまたはローラー(図示しない)も設けられ、それによって検知された速度が一定となるように基板給送用駆動機2Aおよび2Bの回転速度が制御されるように構成することも好ましい。なお、これらの基板給送用駆動機2Aおよび2Bとしては、例えばサーボモーターなどを採用することができる。
【0031】
成膜用基板7の給送の際に制御されるのは速度ばかりではない。基板巻き出し室18および基板巻取り室21に配置された基板給送ロール20付近には、図示されない基板張力センサや基板位置センサなどが検出機構として備えられており、成膜用基板7の張力や制御ならびに幅方向の位置も制御される。つまり、連続成膜装置100の基板巻き出し室18および基板巻取り室22には、基板給送ロール20が適宜配置されている。この基板給送ロール20は、可撓性の成膜用基板7の長手方向に加える張力を制御し、さらに、成膜用基板7の幅方向の位置を制御している。こうして、成膜用基板7は、基板の給送の障害となる皺の発生が抑制され、蛇行も生じないようにして給送される。以上のような基板給送機構1によって送られて、成膜用基板7はスパッタ成膜室21を通過してゆく。
【0032】
次に、成膜処理のために連続成膜装置100に装備される各要素について説明する。スパッタ成膜室21においては、成膜用基板7の成膜処理対象の面(被成膜面7F)は、図2(a)において紙面上の下方に向き、図2(b)において紙面上手前に向いた面である。円筒状マグネトロンスパッタリング法によるパターン成膜を行うために、連続成膜装置100には、ターゲットユニット17とヒーター9とパターン成膜用マスク25とがスパッタ成膜室21の内部に配置されている。なお、真空槽において放電ガス(Arなどの不活性ガス)や成膜プロセスガス(0、Nなどの反応性ガス)を満たした状態を維持して成膜を実施するため、基板巻き出し室18および基板巻取り室22にガスが流出しないようにスパッタ成膜室21にはガスゲート24が装備される。
【0033】
このガスゲート24を通過するように配置される成膜用基板7を、継続的に送り続けながら被成膜面7Fにパターン成膜が施される。この成膜処理の際には、成膜用基板7を送る方向に延びるパターン、すなわち、図2(a)および(b)において紙面上の左右方向に延びるパターンとして、成膜パターン8cが形成される。その詳細については後述する。
【0034】
この成膜処理には、ターゲットユニット17が利用される。図3は、本実施形態の円筒状マグネトロンスパッタリング法による成膜法において用いられるターゲットユニット17の構成を示す概略構成図である。より詳細には、図3(a)は概略断面図であり、図3(b)は概略平面図である。ターゲットユニット17は、円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて円筒の軸の周りに回転可能にされている円筒状ターゲット部4を有しており、その内部に、マグネットユニット設置用筒材12が配置され、さらにその内筒の内部にマグネットユニット11が配置されている。このうち、円筒状ターゲット部4は円筒状放電電極13、原料層としてのターゲット材14を有している。それ以外にも、ターゲットユニット17には、冷却水15、円筒状ターゲット部回転機構16が含まれている。
【0035】
円筒状ターゲット部4は、円筒状放電電極13の円筒の外周面にスパッタリングのための成膜用材料(原料)がある厚みの層をなすようにターゲット材14が形成されていて円筒の軸の周りに回転可能にされている。具体的には、成膜用材料であるターゲット材14は、例えば溶射などにより円筒状放電電極13(バッキングパイプ)に接合されている。
【0036】
また、円筒状ターゲット部4内部に配置されるマグネットユニット11は、スパッタ用マグネット(中央)11bとスパッタ用マグネット(両端)11cとを有している。スパッタ用マグネット11bおよび11cは、それぞれの磁極の一端が、マグネット用ヨーク11aに向けて配置され、他端がマグネットユニット設置用筒材12の内周面に向いている。マグネットユニット設置用筒材12と円筒状放電電極13との配置を見ると、両者の円筒の軸は互いに平行な二つの直線からなる対をなすように配置されている。このとき、マグネットユニット設置用筒材12の円筒の軸は、円筒状放電電極13の円筒の軸よりも成膜用基板7に近づけられている。これにより、マグネットユニット設置用筒材12が内側から円筒状放電電極13に近づく部分が円筒状放電電極13が成膜用基板7に近づく部分になるようにされている。この部分には、スパッタ用マグネット11bおよび11cの端から延びる磁束が通っている。こうして、円筒状放電電極13の外周面のターゲット材14と成膜用基板7との間の空隙に磁界パターン40が生成されている。
【0037】
なお、スパッタ用マグネット(中央)11bとスパッタ用マグネット(両端)11cの磁極は互いに逆転されていて、マグネットによる磁界パターン40を形成するようにされている。マグネット用ヨーク11aの役割は、スパッタ用マグネット11bおよび11cを保持するとともに、それらのマグネットを含む磁気回路の一部となって磁界パターン40の形成を助けることである。さらに、マグネットユニット11は、マグネットユニット設置用筒材12の円筒内の形状に適合するようにされている(図3(a))。すなわち、スパッタ用マグネット(両端)11cは、スパッタ用マグネット(中央)11bよりも短く作製されている。
【0038】
次に、円筒状ターゲット部4の配置について説明する。円筒状ターゲット部4の向きは、図2(a)の紙面の前後に軸が向く向きである。つまり、円筒状ターゲット部4の軸は、成膜用基板7の幅方向を向いている。また、円筒状ターゲット部4の位置は、成膜用基板7と対向するように間に空隙(ギャップ)Gをおく位置である。
【0039】
連続成膜装置100においては、マグネトロンスパッタリングを実施するために、ここに述べた以外にも公知の真空技術が用いられる。つまり、真空または減圧槽である成膜室21(図2(a))の内部が放電ガス(Arなどの不活性ガス)や成膜プロセスガス(0、Nなどの反応性ガス)によって満たされている。円筒状放電電極13およびターゲット材14には、スパッタ放電用電源5(DC電源またはRF電源、図3(a))が円筒状ターゲット部回転機構16を介して接続され、所定の電圧を印加することによって放電が励起される。
【0040】
成膜処理を行うことにより、円筒状ターゲット部4すなわち円筒状放電電極13およびターゲット材14は高温となる。これは成膜の放電現象のためである。この熱による影響を防止するため、円筒状放電電極13の内部であってマグネットユニット設置用筒材12の周囲の空間には冷却水15が満たされて、冷却のために循環されている。冷却水15によって円筒状マグネトロンスパッタ用マグネットユニット11が濡れないように、マグネットユニット設置用筒材12は気密性のある密閉容器となっている。
【0041】
連続成膜装置100においては、ヒーター9が配置される。その位置は、円筒状ターゲット部4からみて成膜用基板7の背面である。ヒーター9により適切に加熱されながらスパッタリング成膜が施されることにより、成膜用基板7において形成される成膜パターン8cの膜厚の均一性は高められ、その膜の付着力も強化される。
【0042】
次に、円筒状ターゲット部4を回転駆動するための機構について説明する。図3(b)は、本実施形態において用いられるターゲットユニット17の概略の構成を示す概略平面図である。図3(b)には、本実施形態の円筒状マグネトロンスパッタリング法において用いられる円筒状ターゲット部4のための回転機構16が示されている。回転機構16は、土台部16a、駆動用モーター16b、回転テーブル16c、タイミングプーリー16d、およびタイミングベルト16eにより構成される。土台部16aに設置されている駆動用モーター16bは、タイミングプーリー16dを回転させ、そのタイミングプーリー16dが、タイミングベルト16eを介して回転テーブル16cを回転駆動する。この回転テーブル16cには、回転テーブル16cの回転中心に軸を合わせるようにして円筒状放電電極13が設置されている。したがって、円筒状ターゲット部回転機構16を用いることによって円筒状放電電極13およびターゲット材14を回転させることが可能となる。このようにして円筒状放電電極13およびターゲット材14を回転させることにより、一定箇所だけのターゲット材だけが消費されてしてしまうことを防止することが可能となる。
【0043】
なお、円筒状放電電極13およびターゲット材14が回転駆動されるのに対し、円筒状マグネトロンスパッタ用マグネットユニット11およびマグネットユニット設置用筒材12は回転せず、常に同じ向きを向くようにされている。また、回転テーブル16cと円筒状放電電極13の嵌め合い部は、冷却水15が漏れないようなシール構造とされている。こうして、上述したように円筒状放電電極13の内部に冷却水15を導入しても漏れないようにされている。
【0044】
次に、再び図2に基づいてパターン成膜用マスク25について説明する。パターン成膜用マスク25は一方の面と他方の面とによるある厚みをなしている。その厚みは、図2(a)においては、紙面上の上方に位置する面と下方に位置する面との距離となる。パターン成膜用マスク25の向きは、一方の面を成膜用基板7の被成膜面7Fに向け、他方の面を円筒状ターゲット部4のターゲット材14(原料層)に向けるようにされている。パターン成膜用マスク25は、概して板状または膜状の形状を有している。
【0045】
パターン成膜用マスク25の位置は、円筒状放電電極13の外周面のターゲット材14と成膜用基板7との間の空隙を仕切るような位置となる。ここで、パターン成膜用マスク25には、一方の面と他方の面とを通じて通路をなす開口25Aが形成されている。この開口25Aは複数形成されていて、それらの間には、マスクまたはシールドとなる遮蔽部25Sが設けられている。開口25Aの形状は、パターン成膜用マスク25の面において、成膜用基板7の給送方向に延びるように形成されている。パターン成膜用マスク25は、そのマスクの遮蔽部25Sによってスパッタ原子がターゲットから成膜用基板7に到達することを妨げる。マスクの開口25Aにはそのような遮蔽の効果はない。
【0046】
本実施形態において、パターン成膜用マスク25は、連続成膜装置100に対して静止している。このような静止した配置を実現するために、図示しない固定具または保持具によってパターン成膜用マスク25が支持されている。そして、パターン成膜用マスク25は、図2(a)に示すように、成膜用基板7の被成膜面7Fから離間して配置される。このパターン成膜用マスク25と被成膜面7Fとの間の距離すなわちギャップGを決定するためには、パターン成膜用マスク25が成膜用基板7の被成膜面7Fや成膜された成膜パターン8cに接触する可能性を十分に小さくできること、および、成膜されるパターンの外周端が不明瞭とならないことが少なくとも考慮される。そのギャップGの値を具体的に示すと、例えば0.5mm±0.2mm程度となるようにすることが好ましい。
【0047】
次いで、上記の構成を備える連続成膜装置100によって行われる成膜処理について説明する。連続成膜装置100においては、図3(a)に示したように、ターゲット材14と成膜用基板7の被成膜面7Fとの間に空隙が生じるように、ターゲットユニット17が配置される。そして、その空隙には、放電現象の際に磁界パターン40に沿った放射状の放電パターン6が生成される。円筒状放電電極13の円筒の内部にマグネットユニット11が配置されているのは、この磁界パターン40を生成して成膜効率を高めるためである。そして、放電パターン6の影響の及ぶ領域に位置するターゲット材14の部分では、スパッタリングが生じる。ターゲット材14の表面からスパッタリングガスによってたたき出されたスパッタ原子(成膜用材料)は、その放電パターン6の部分から広がって成膜用基板7に堆積してゆく。こうして成膜パターン8cが形成される。この際、マスク25を通して成膜が行われている。そしてこのような処理状態が継続されながらも、成膜用基板7は給送されて動いている状態も継続されている。成膜が進行しつつ成膜用基板7の給送も行われるため、成膜用基板7には、開口25Aに応じ膜が成長する部分と、遮蔽部25Sに応じ膜が成長しない部分とが形成される。このため、成膜用基板7の被成膜面7Fに形成された成膜パターン8cは、成膜用基板7の給送方向に延びる形状、すなわち、図2(a)および(b)において紙面上の左右方向に延びる形状となる。
【0048】
このように、本発明の第1の実施形態の連続成膜装置100においては、継続的に送られる基板に対して固定式マスク25の開口を通して成膜が行われる。このため、成膜用基板を静止させることなく連続処理によってパターン形成を実施することが可能となって、処理効率の改善された成膜処理が実現される。
【0049】
<第2実施形態>
第1実施形態の連続成膜装置100を用いると、成膜用基板7の給送方向に延びる形状のパターンや成膜用基板7の幅方向に分割されたパターンを形成することができる。しかし、成膜用基板7の給送方向に分割されたパターンは、連続成膜装置100として述べた構成のみでは形成することができない。そこで、本発明の第2実施形態として、成膜用基板7の給送方向に分割されたパターンを含む任意のパターンを形成するための実施形態を以下説明する。
【0050】
図4および図5を参照して、本発明においてマスクを膜状または帯状にして送る円筒状ターゲットを用いるマグネトロンスパッタリング法におけるパターン成膜の連続成膜装置の実施形態(第2実施形態)について説明する。図4(a)は、第2実施形態に用いる連続成膜装置200の概略の構成を示す断面図である。図4(a)に示したように第2実施形態におけるマスク26は膜状にされていて帯状の形状に形成されている。そして、マスク26は、全体としては輪をなすようにもされている。マスクの膜は、その輪をなす帯の延びる向きに送られる。このようなマスクの構成を、以下、回転ベルト式マスク26と記す。
【0051】
まず、図4(a)に示した回転ベルト式マスク26について説明する。この回転ベルト式マスク26は、成膜用基板7に向く一方の面と、円筒状ターゲット部4に向くもう一方の面とを有していて、回転ベルト式マスク26の膜には、その一方の面と他方の面とを通じる通路をなす開口26Aが形成されている。ここで、回転ベルト式マスク26には開口26Aが、一般には、複数形成されている。
【0052】
連続成膜装置200には、マスク移動機構3が備えられている。このマスク移動機構3によって、回転ベルト式マスク26それ自体の移動の速度は、成膜用基板7の給送の速度に合わせるようにされる。これにより、回転ベルト式マスク26は、円筒状ターゲット部4と成膜用基板7との空隙の少なくとも一部において、成膜用基板7に対する相対的な位置が保たれて移動される。このマスク移動機構3の動作、すなわち、回転ベルト式マスク26を成膜用基板7の給送の進度に合わせて移動させる動作を、本出願においては、同期させて移動させる動作とも呼ぶ。このような同期させて移動させる動作を実現するために、回転ベルト式マスク26の帯は、回転ベルト式マスク移動用ロール27によって送って移動される。
【0053】
図5は、円筒状ターゲット部4と回転ベルト式マスクを示す概略斜視図(図5(a))、ならびにマスク部および成膜パターンを示す平面図(図5(b))である。図5(a)に示すように、回転ベルト式マスク26は、円筒状ターゲット部4を取り囲む輪をなしている。さらに詳細に見ると、回転ベルト式マスク26は、円筒状ターゲット部4の外周を取り囲むベルト部26aとマスク部26bとからなる。このマスク部26bはベルト部26aに対して着脱可能に取り付けられている。
【0054】
回転ベルト式マスク26に用いるマスク部26bのマスクパターンは、成膜の目的に合わせて変更することも可能である。例えば、図5(b)に示すマスク部26cのように、成膜用基板の給送方向と直交する幅方向に延びるパターン(幅方向パターン)の開口26Aを設けることができる。これ以外にも、図5(b)のマスク部26dのように、給送方向と直交する幅方向に延びながら分割されているパターン(幅方向分割パターン)の開口26Aを採用することも可能である。このように、第2実施形態においては第1実施形態とは異なり、成膜用基板7の給送方向と同―方向の成膜パターン以外にも、給送方向と直交するような成膜パターンに対しても適用することが可能となる。
【0055】
マスク部26bの着脱が可能であることは、マスクを交換して様々なパターン形状に対応したパターン成膜が可能となるばかりではなく、別の利点にもつながる。すなわち、予備マスクを用意すれば、清掃作業やメンテナンス作業のために装置を停止させる時間を短縮することが可能となって、生産性が向上する。スパッタリングによる成膜処理を行うと必要となるターゲット材の清掃やマスクのメンテナンスの際にも、使用済のマスクを予備マスクへと交換するだけですぐに成膜を再開することが可能となるためである。
【0056】
回転ベルト式マスク移動用ロール27は、回転ベルト式マスク26を移動させるために用いられる。この回転ベルト式マスク移動用ロール27には、サーボモーターなどの移動用駆動機(図示しない)が連結されている。こうして回転ベルト式マスク26の移動速度を制御することが可能となる。
【0057】
図4(b)に、回転ベルト式マスク26を適用した円筒状マグネトロンスパッタリング法のパターン成膜の連続成膜装置200の概略構成と処理動作とを概略斜視図により示す。この連続成膜装置200においては、回転ベルト式マスク26にはマスク部26d(図5(b))が装着されている。このような連続成膜装置200では、成膜用基板7の給送の速度に同期させて移動させる動作によって回転ベルト式マスク26を回転移動させながら、連続的に成膜が実施される。これにより、成膜用基板7を停止させることなく、成膜パターン8eを形成することが可能となる。
【0058】
本実施形態の連続成膜装置200においては、回転ベルト式マスク26と成膜用基板7との空隙の距離すなわちギャップGが調整される。その値は、例えば、パターン成膜用マスク26と成膜用基板7の間の間隔を0.5mm±0.2mm程度にすることが好ましい。この隙間は、大き過ぎるとパターン成膜の外周端(エッジ)がかすれてパターンが不明瞭となってしまい、逆に小さ過ぎると、回転ベルト式マスク26が成膜用基板7に押し付けられかねず、成膜用基板7に傷が生じたり塵が付着したりする原因となる。
【0059】
以上述べたように、同期させて移動させる動作によって成膜パターン8dや、成膜パターン8eを形成することが可能となる。なお、成膜パターン8dは、成膜用基板7の幅方向に延び長手方向に分割されたパターンであり、成膜パターン8eは、成膜用基板7の幅方向にも長手方向にも分割されたパターンである。
【0060】
<第2実施形態の変形例:給送中の成膜用基板とマスクの位置合わせ>
形成されるパターンをより明瞭なものとするためには、成膜用基板7と回転ベルト式マスク26との動作をより正確に一致させることが好ましい。つまり、実際に連続成膜装置を用いて成膜処理を行う場合には、成膜用基板7はスパッタリング成膜時の熱膨張により伸びて位置ずれなどが生じる可能性がある。形成するパターンの精度によっては、成膜用基板7と回転ベルト式マスク26の各駆動機の互いの速度を単に一致させるだけでは不十分となる。
【0061】
そこで、本実施形態においては、移動している成膜用基板7と回転ベルト式マスク26とをより精密に同期させるすなわち位置合わせするために種々変形することができる。そのための変形例を変形例1〜3として説明する。
【0062】
[変形例1:基板給送用駆動機とパターン成膜用マスク移動用駆動機の同一化]
図6を参照して、本実施形態の変形例1として、基板給送用駆動機とパターン成膜用マスク移動用駆動機とを同一化する実施形態について説明する。図6(a)に、本実施形態の変形例1として、回転ベルト式マスクを用いる連続成膜装置220の構成を示す。連続成膜装置220においては、基板の給送とパターン成膜用マスクの移動は、機械的に同一化される。この機械的な同一化はマスク移動機構38と基板給送機構1とを組み合わせて実施される。具体的には、マスク移動機構38は、基板巻き出しコア19と回転ベルト式マスク移動用ロール27との両者を、単一の駆動機である回転駆動用モーター28によって駆動して行われる。ここで、成膜用基板7の給送は基板巻き出しコア19の回転駆動によって制御され、同様に、マスク移動機構38においては回転ベルト式マスク26の回転移動は、回転ベルト式マスク移動用ロール27の回転駆動によって制御される。図6(a)に示したように、基板巻き出しコア19と回転ベルト式マスク移動用ロール27とが、タイミングベルト29を用いて互いの回転速度の比率が一定となるように維持される。なお、この構成を変更して回転駆動用モーター28が駆動する対象を基板巻き出しコア19ではなく基板給送ロール20とすることも好ましい。基板巻き出しコア19にロール状に巻かれた成膜用基板7のロールの直径が変化しても基板給送ロール20による速度の制御には影響がないためである。また、回転駆動用モーター28によって移動される成膜用基板7と回転ベルト式マスク26との速度は、成膜処理が行われる位置において一致するようにされている。すなわち、上述の回転速度の比率は、成膜用基板7が熱膨張や張力によって伸びる場合には、その伸びが反映された比率とされる。以上のようにして、単一の駆動機である回転駆動用モーター28によって駆動される成膜用基板7と回転ベルト式マスク26との移動が機械的に同一化される。
【0063】
なお、図6(a)に示した連続成膜装置220とは異なり、回転駆動用モーターによって巻取り用コア23を駆動する構成を採用することも可能である。この場合であっても、回転駆動用モーターによって駆動される成膜用基板7と回転ベルト式マスク26との移動の機械的な同一化を実現することに特段支障は生じない。
【0064】
[変形例2:基板給送とパターン成膜用マスク移動のフィードバック制御]
再び図6を参照して、本実施形態の変形例2として、パターン成膜用マスクの移動動作にフィードバック制御を適用する実施形態について説明する。図6(b)は、連続成膜装置240の構成を示す概略構成図である。本実施形態の変形例2においては、位置決め用マーカー30が設けられている成膜用基板7aと、位置決め用マーカー31が設けられている回転ベルト式マスク26Mとを用いる。この構成の連続成膜装置240においては、これらの位置決め用マーカー30および31が利用されることによって、回転ベルト式マスク26Mの移動動作にフィードバック制御が適用されて、回転ベルト式マスク26Mと成膜用基板7aとが位置合わせされながら送られる。このパターン成膜用マスク26Mの制御はマスク移動機構39によって行われる。これにより、成膜用基板7aと回転ベルト式マスク26Mとに相対的な位置ずれが生じることが防止される。ちなみに、このような位置ずれを生じさせうる原因としては、例えば、成膜用基板7aが伸びたりすることや、成膜用基板7aと基板給送ロール20との間にすべりが生じたりすることなどが挙げられる。
【0065】
このような制御を伴って回転ベルト式マスク26Mを送って移動させるために、マスク移動機構39においては、回転ベルト式マスク26Mのための駆動機(図示しない)の回転動作が制御される。この制御は、典型的には、回転ベルト式マスク26Mの位置決め用マーカー31が成膜用基板7aの位置決め用マーカー30と揃うように、その駆動機の回転速度および回転位相を制御することによって実行される。
【0066】
こうして、マスク移動機構39においては、成膜用基板7aの給送に同期させるように回転ベルト式マスク26Mの移動がフィードバック制御される。このフィードバック制御により、回転ベルト式マスク26Mは、成膜用基板7aに対する位置ずれが所定の範囲内となるように保って移動される。つまり、回転ベルト式マスク26Mは成膜用基板7aに対して位置決めされた状態を保って移動されるのである。
【0067】
なお、本実施形態とは逆に、成膜用基板7aを移動している回転ベルト式マスク26Mに対して位置合わせすることも考えられる。しかし、その制御処理は非常に複雑となる。というのは、この連続成膜装置240においては、成膜用基板7aの給送を安定させる目的の下、蛇行したり皺を生じさせたりしないように張力制御および基板端部位置の位置制御が成膜用基板7aを対象として別途行われるためである。これらの張力制御および位置制御が施されて成膜用基板7aの給送を行っているところにさらに制御を追加するような複雑な制御は、上述した本実施形態の連続成膜装置240においては必要ない。連続成膜装置240においては、回転ベルト式マスク26Mの移動を成膜用基板7aの給送に合わせるように制御を行うためである。
【0068】
また、回転ベルト式マスク26Mの移動速度の制御のために連続成膜装置240には、図示しないセンサ(光電センサなど)と、そのセンサの出力を受けて回転ベルト式マスク26Mを駆動するための駆動機を制御するための制御器(図示しない)とが設けられる。そのセンサの出力を受ける制御器は、位置決め用マーカーを検出して双方の位置を割出し、位置決め用マーカー30と位置決め用マーカー31が一致するように駆動機を制御する。
【0069】
[変形例3:成膜用基板と回転ベルト式マスクの固定化]
図7を参照して、本実施形態の変形例3として、成膜用基板と回転ベルト式マスクとを互いに固定化する実施形態について説明する。図7(a)には、連続成膜装置260において成膜用基板7bの給送と回転ベルト式マスク26Hの移動とを担う機構部分のうちの関連する部分のみが示されている。また、連続成膜装置260の他の構成は、連続成膜装置200(図4(a))と同様である。
【0070】
この連続成膜装置260に用いる成膜用基板7bには、成膜用基板用スプロケット孔32が設けられている。同様に、連続成膜装置260に用いる回転ベルト式マスク26Hにも回転ベルト式マスク用スプロケット孔33が設けられている。これらのスプロケット孔32および33を用いて成膜用基板7bと回転ベルト式マスク26Hとを駆動するため、連続成膜装置260にはスプロケット駆動用ロール34が設けられている。
【0071】
連続成膜装置260においては、スプロケット駆動用ロール34の歯が成膜用基板用スプロケット孔32と回転ベルト式マスク用スプロケット孔33とを通った状態を保って、成膜用基板7bの給送と回転ベルト式マスク26Hの移動が継続され、その状態において成膜処理が行われる。したがって、給送される成膜用基板7bと移動する回転ベルト式マスク26Hとが互いに対して固定化されており、その固定化された状態で成膜処理が行われる。
【0072】
また、変形例3のさらなるバリエーションとして、成膜用基板の給送と回転ベルト式マスクの移動とを他の構成によって固定化する実施形態について説明する。図7(b)は、連続成膜装置260(図6(b))と同様に、連続成膜装置280において成膜用基板7aの給送と回転ベルト式マスク26Mの移動とを担う機構部分のうちの関連する部分のみを示している。なお、連続成膜装置280の他の構成は連続成膜装置200(図4(a))と同様である。
【0073】
この連続成膜装置280に用いる成膜用基板7aには、図6(b)に示した連続成膜装置240に用いた成膜処理の場合と同様に位置決め用マーカー30が形成されている。同様に、回転ベルト式マスク26Mにも、位置決め用マーカー31が形成されている。連続成膜装置280においては、このような成膜用基板7aと回転ベルト式マスク26Mとが、変形例2に示した位置決め用マーカー(図6(b))によって互いに位置合わせされる。この際、連続成膜装置280は、ニップロール35によって成膜用基板7aと回転ベルト式マスク26Mとを挟み込みながら給送および移動させる。なお、ニップロール35は、成膜用基板7aと回転ベルト式マスク26Mを挟んで双方を同時に給送および移動させるため、空転したりして位置ズレしないように、ゴムローラなどにより構成する。
【0074】
こうして、連続成膜装置280においては、成膜用基板7aの給送と回転ベルト式マスク26の移動とが同期化され、そのように同期化された状態によって成膜処理が行われる。
【0075】
以上に示した本発明の第2実施形態においては、変形例に示したものも含めて、パターン成膜用マスクが、継続的に送られている成膜用基板に同期して移動される。このため、成膜用基板を静止させることなく連続処理によってパターン形成を実施することが可能となって、処理効率の改善された成膜処理が実現される。さらに、第1実施形態に示した場合とは異なり、成膜用基板に形成されるパターンは、基板の給送方向に延びるパターンに制限されることはない。
【0076】
<第3実施形態>
次に、図8および図9を参照して、円管状の回転マスクを適用した本発明の実施形態について説明する。図8(a)は、円筒状回転マスクを適用した円筒状マグネトロンスパッタリング法におけるパターン成膜の連続成膜装置300の構成を示す概略断面図である。この連続成膜装置300は、第2実施形態のパターン成膜装置200(図4)の回転ベルト式マスク26に代えて円筒状回転マスク36を用いるように構成されている。この円筒状回転マスク36は、成膜用基板7の給送の速度に同期させて回転駆動される。
【0077】
まず、円筒状回転マスク36の構成について説明する。図9に、連続成膜装置300に用いる円筒状回転マスク36の構成を示す概略斜視図を示す。連続成膜装置300において、円筒状回転マスク36は、円筒状ターゲット部4のなす円筒(第1の円筒)とは異なる第2の円筒をなしており、その円筒の壁に開口36Aが設けられた円筒状のマスクとなっている。
【0078】
円筒状回転マスク36の配置は、第2の円筒の軸の周りに回転可能にされている。その軸は、成膜用基板7の幅方向に平行に向いている。円筒状回転マスク36は、円筒状ターゲット部4の周囲を取り囲むように配置される。したがって、円筒状回転マスク36は、内部に円筒状ターゲット部4が配置され、また、第2の円筒の壁の少なくとも一部が、成膜用基板7と円筒状ターゲット部4の間の空隙を通るように配置されている。なお、任意選択として、円筒状回転マスク36の円筒の軸つまり回転軸は、円筒状ターゲット部4のなす円筒の軸と一の直線を共有するように形成されて、円筒状回転マスク36と円筒状ターゲット部4とが互いに同軸になるようにされていても良い。この円筒状回転マスク36はリング部36aとマスク部36bとにより構成されている。ここで、マスク部36bはリング部36aから着脱可能な構造とする。
【0079】
さらに、円筒状回転マスク36は他の構成とすることも本実施形態に含まれる。例えば、図9(b)に示したように、成膜用基板の給送方向に平行するような接線方向を与えるような遮蔽部を追加するマスク部36cを採用することによって、成膜用基板の幅方向に分割されたパターンの成膜を行うような構成も、本実施形態に含まれる。
【0080】
なお、円筒状回転マスク36はマスクの着脱が可能である。このため、予備マスクを用意すれば、使用済のマスクを予備マスクへと交換することによってメンテナンス後に成膜を再開するまでの時間が短縮される。これにより、連続成膜装置300においては、生産性を向上させることが可能となる。
【0081】
本実施形態において、円筒状回転マスク36は、図8(a)に示すように、成膜用基板7の被成膜面7FからギャップGだけ離間して配置される。このギャップGは、円筒状回転マスク36が成膜用基板7の被成膜面7Fや成膜された成膜パターン8dに接触する可能性が十分に小さくなり、成膜されるパターンの外周端が不明瞭とならない程度の値にされる。具体的には、その値は0.5mm±0.2mm程度となるようにすることが好ましい。
【0082】
本実施形態の連続成膜装置300は、種々の変形を行うことも好ましい。例えば、円筒状回転マスク36にサーボモーターなどの回転用駆動機を連結し、円筒状回転マスク36の回転速度を制御可能とすることが好ましい。このように構成すれば、円筒状回転マスク36の周速を成膜用基板7の速度に一致させることが可能となって、形成されるパターンが明瞭なものとなる。
【0083】
次に本実施形態における成膜処理の動作について説明する。図8(b)に、円筒状回転マスク36を適用した円筒状マグネトロンスパッタリング法におけるパターン成膜の連続成膜装置300を斜視図により示す。ここで、円筒状回転マスク36にはマスク部36c(図9(b))が装着されている。連続成膜装置300を用いて実行される成膜処理において、成膜用基板7の給送速度と円筒状回転マスク36の周速とを同期させる手法は、第2実施形態として示した連続成膜装置200等の手法と同様である。すなわち、連続成膜装置200に準じて、円筒状回転マサーボモーター転駆動するために用いる機構にサーボモーターなどの制御可能な駆動機(図示しない)を連結する。このような構成を採用することにより、円筒状回転マスク36は、単に回転駆動されるだけではなく、その周速が制御される。
【0084】
<第3実施形態:変形例1>
本実施形態も、好ましい変形例として、第2実施形態の変形例と類似の変形を行うことができる。具体的には、成膜用基板7の給送と、円筒状回転マスク36を回転駆動とを単一の駆動機によって駆動することが好ましい。このような変形によって、成膜用基板7の給送の動作と円筒状回転マスク36の回転動作とを容易に同一化することが可能となる。さらには、円筒状回転マスク36を互いに固定化するための機構を用いることも好ましい。このためには、スプロケットを用いたり、ニップロールを用いたりする構成を取ることにより、好ましい成膜態様を実施するための成膜装置を構成することが可能となる。
【0085】
以上に示した本発明の第3実施形態の連続成膜装置においては、円筒状回転マスクが、継続的に給送されている成膜用基板に同期して回転駆動される。このため、成膜用基板を静止させることなく連続処理によってパターン形成を実施することが可能となって、処理効率の改善された成膜処理が実現される。さらに、第2実施形態と同様に、成膜用基板に形成されるパターンは、基板の給送方向に延びるパターンに制限されることはない。
【0086】
以上、本発明のいくつかの実施形態を具体的に説明した。上述の各実施形態は、発明を説明するために記載されたものであり、本出願の発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものである。さらには、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、成膜処理速度が速い円筒状ターゲットを用いる円筒状マグネトロンスパッタリング法を用いたスパッタリング成膜装置において、基板を停止することなく、パターン成膜を実施することが可能となる。これにより、例えば薄膜型太陽電池の電極の形成工程を高い生産効率によって行うことが可能となり、その太陽電池を用いる電力機器または電気機器の普及または高性能化に大きく貢献する。
【符号の説明】
【0088】
100、200、220、240、260、280、300 連続成膜装置
1 基板給送機構
1A 巻出し側の基板給送機構
1B 巻取り側の基板給送機構
2A 巻出し側の基板給送用駆動機
2B 巻取り側の基板給送用駆動機
3 マスク移動機構
4 円筒状ターゲット部
5 スパッタ放電用電源(RF電源またはDC電源)
6 放電パターン
7、7a、7b、7c 成膜用基板
8b、8c、8d、8e 成膜パターン
9 ヒーター
10 パターン成膜用マスク
11 円筒状マグネトロンスパッタ用マグネットユニット
11a スパッタ用マグネット(中央)
11b スパッタ用マグネット(両端)
12 マグネットユニット設置用筒材
13 円筒状放電電極
14 スパッタリングターゲット材
15 冷却水
16 円筒状ターゲット部回転機構
16a 土台部
16b 駆動用モーター
16e 回転テーブル
16d タイミングプーリー
16e タイミングベルト
17 ターゲットユニット
18 基板巻き出し室
19 基板巻き出しコア
20 基板給送ロール
21 スパッタ成膜室
22 基板巻取り室
23 基板巻取りコア
24 ガスゲート
25 固定式マスク
26 回転ベルト式マスク
26a 回転ベルト式マスクベルト部
26b、26c、26d 回転ベルト式マスクのマスク部
27 回転ベルト式マスク移動用ロール
28 駆動用モーター
29 タイミングベルト
30 成膜用基板 位置決め用マーカー
31 回転ベルト式マスク 位置決め用マーカー
32 成膜用基板用スプロケット孔
33 回転ベルト式マスク用スプロケット孔
34 スプロケット駆動用ロール
35 ニップロール
36 円筒状回転マスク
36A 開口
36a 円筒状回転マスクリング部
36b、36c 円筒状回転マスクマスク部
38、39 マスク移動機構
40 磁界パターン
G ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の可撓性の基板を長手方向に継続的に送るための基板給送機構と、
円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて該円筒の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に該軸を向けて前記基板の被成膜面との間に空隙を設けて配置される円筒状のターゲット部と、
一方の面と他方の面とによるある厚みをなし、該一方の面を前記基板の前記被成膜面に向け、該他方の面を前記ターゲット部の前記原料層に向けて前記空隙を仕切るように静止して配置され、前記一方の面と前記他方の面とを通じる開口が前記基板の給送方向に延びるように形成されている板状または膜状のマスクと
を備える
スパッタリング成膜装置。
【請求項2】
帯状の可撓性の基板を長手方向に継続的に送るための基板給送機構と、
円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて該円筒の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に該軸を向けて前記基板の被成膜面との間に空隙を設けて配置される円筒状のターゲット部と、
一方の面と他方の面とによるある厚みをなし、該一方の面を前記基板の前記被成膜面に向け、該他方の面を前記ターゲット部の前記原料層に向けて前記空隙を仕切るように静止して配置され、前記一方の面と前記他方の面とを通じる開口が複数形成されており、該開口それぞれの間の遮蔽部が前記基板の給送方向に延びるように形成されている板状または膜状のマスクと
を備える
スパッタリング成膜装置。
【請求項3】
帯状の可撓性の基板を長手方向に継続的に送るための基板給送機構と、
円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて該円筒の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に該軸を向けて前記基板の被成膜面との間に空隙を設けて配置される円筒状のターゲット部と、
一方の面と他方の面とによるある厚みをなし、該一方の面を前記基板の前記被成膜面に向け、該他方の面を前記ターゲット部の前記原料層に向けて前記空隙を通るように移動可能に設けられ、前記一方の面と前記他方の面とを通じる開口が複数形成されている膜状のマスクと、
前記空隙の少なくとも一部において前記基板に対する相対的な位置を保ちながら該マスクの膜を送るマスク移動機構と
を備える
スパッタリング成膜装置。
【請求項4】
前記膜状のマスクが輪をなす帯状にされており、
前記マスク移動機構は、前記輪をなす帯の延びる向きに前記マスクの膜を送る機構である
請求項3に記載のスパッタリング成膜装置。
【請求項5】
前記基板給送機構と前記マスク移動機構とが単一の駆動機によって駆動される
請求項3または請求項4に記載のスパッタリング成膜装置。
【請求項6】
前記マスク移動機構がマスク移動用駆動機を有しており、
該マスク移動用駆動機の動作速度を制御するための制御部をさらに備えており、
該制御部は、送られる前記基板と送られる前記マスクとの相対的な位置が保たれるように、または、送られる前記基板と送られる前記マスクとの両者に設けられた位置合わせマーカーが互いに一致するように、フィードバック制御により前記マスク移動用駆動機の動作を制御するものである
請求項3または請求項4に記載のスパッタリング成膜装置。
【請求項7】
帯状の可撓性の基板を長手方向に継続的に送るための基板給送機構と、
第1の円筒の外周面にスパッタリングのための原料層が形成されていて該第1の円筒の軸である第1の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に該第1の軸を向けて前記基板の被成膜面との間に空隙を設けて配置される円筒状のターゲット部と、
第2の円筒の壁に開口が設けられている円筒状のマスクであって、該第2の円筒の軸である第2の軸の周りに回転可能にされており、前記基板の幅方向に平行に該第2の軸を向け、内部に前記ターゲット部が配置されて前記第2の円筒の壁の少なくとも一部が前記空隙を通るように配置されている円筒状のマスクと、
送られている前記基板に対する相対的な位置を、前記空隙の前記少なくとも一部において保たせながら、前記円筒状のマスクを前記第2の軸の周りに回転させるためのマスク回転駆動機構と
を備える
スパッタリング成膜装置。
【請求項8】
前記基板給送機構と前記マスク回転駆動機構とが単一の駆動機によって駆動される
請求項7に記載のスパッタリング成膜装置。
【請求項9】
前記基板給送機構が基板給送用駆動機を備えており、
前記マスク回転駆動機構がマスク回転用駆動機を備えており、
前記基板給送用駆動機と前記マスク回転用駆動機とのうちの少なくともいずれかまたは両方の動作速度を制御するための制御部をさらに備えており、
該制御部は、フィードバック制御により、送られる前記基板と送られる前記マスクとの相対的な位置が保たれるように、前記基板給送用駆動機と前記マスク回転用駆動機とのうちの少なくともいずれかまたは両方の動作を制御する
請求項7に記載のスパッタリング成膜装置。
【請求項10】
前記基板の少なくとも一部と前記マスクの少なくとも一部とを互いに対して固定する固定機構をさらに備える
請求項3、請求項4、請求項7のいずれか1項に記載のスパッタリング成膜装置。
【請求項11】
前記マスクが、前記基板の成膜処理されている範囲において前記被成膜面から離間して配置される
請求項1乃至請求項4、および請求項7のいずれか1項に記載のスパッタリング成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−225932(P2011−225932A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96646(P2010−96646)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】