説明

パターン描画方法、パターン描画装置およびマスク製造方法

【課題】半導体製造用マスクの評価を簡便且つ正確に行うことができ、また、精度劣化の原因を効率的に把握できる、パターン描画方法、パターン描画装置およびマスク製造方法を提供する。
【解決手段】環境要素となる、温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、ビームドリフトおよびビーム電流密度の内少なくとも1つを測定しながら試料上にビームを照射して、パターンを描画する。このパターンには、主パターンと、主パターンの領域外に描画される第1の副パターンおよび第2の副パターンとがあり、第1の副パターンを描画する第1の描画工程の後に、主パターンを描画する第2の描画工程を行う。主パターンの描画工程では、環境要素の変化量によって主パターンの描画を停止し、第1の副パターンの近傍の所定位置に第2の副パターンを描画した後、主パターンの描画に戻る工程を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン描画方法、パターン描画装置およびマスク製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化および大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅は益々狭くなっている。半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスクまたはレチクルを指す。以下では、マスクと総称する。)を用い、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。こうした微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細パターンを描画可能な電子ビーム描画装置が用いられる。また、レーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発も試みられている。尚、電子ビーム描画装置は、ウェハに直接パターン回路を描画する場合にも用いられる。
【0003】
電子ビーム装置の一例として、可変成型ステージ連続移動電子ビーム描画装置がある。電子ビーム描画装置は、ステージに載置されたマスクに描画するパターンを主偏向で偏向可能な幅の複数のストライプに分割するとともに、各ストライプを多数のサブフィールドに分割し、ステージをストライプの幅方向に直交する方向に移動させつつ、電子ビームを主偏向により各サブフィールドに位置決めし、副偏向によりサブフィールドの所定位置に電子ビームをショットして図形を描画するように構成されている。
【0004】
半導体用マスク製造でのパターン描画では、パターンの微細化、複雑化により、数時間以上の時間を要することは稀でなく、また、描画パターンの精度の要求が厳しくなっている。描画装置でのパターン描画位置精度、パターン寸法精度等のパターン描画精度は、描画装置の温度変動、気圧変動、磁場変動等の外部環境要素、および装置内での荷電粒子のチャージアップ状態の変化、電流密度変動等の内部環境要素(以下、外部環境要素および内部環境要素を合わせて環境要素と称する)の影響を受け劣化をする。そのため、描画装置では、環境要素の安定化、環境要素の変動に応じた描画装置での描画位置補正、照射量補正等の描画補正を行い、描画精度の維持および向上をはかっている。
【0005】
また、マスク製造では、描画、パターン形成されたマスクの精度評価を行い、パターン精度が所定の出荷規格に合格していることを確認して出荷を行うが、マスクの検査の一部であるパターン位置精度、パターン寸法精度評価では、各製品毎に事前に指定した複数のパターンの位置精度、寸法の精度評価を行うことで、当該マスクの良否判定を行っているのが通例である。また、その評価にも、高精度評価装置を用い、長時間を要している。長時間をかけた測定の結果、不良品と判定される場合もある。
【0006】
そこで、製品パターンである主パターンを描画する前後に、主パターン領域外に一対の副パターンを描画し、両副パターン相互の位置関係を検出することで、パターンの良否の一部を簡便に評価する方法が開示されている(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭61−11461号公報
【特許文献2】特公昭59−124127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、基板をステージに載置した後、基板の四隅に位置する副パターン形成領域に第1の副パターンを順次描画する。次いで、主パターンを描画し、その後、第1の副パターンと対をなす第2の副パターンを、副パターン形成領域に重ね合わせて順次描画する。現像およびエッチング処理を行った後、形成された第1および第2の副パターン相互の位置ずれを測定することにより、主パターンの精度を類推する。
【0009】
特許文献2には、パターンを複数のフィールドに分割して描画をする方法において、所定のフィールド毎に第2の副パターンの描画を行い、主パターン描画での途中でも、精度評価を可能とする技術が開示されている。
【0010】
上述のように、特許文献1および2では、主パターンを描画する前後あるいは事前に設定した所定箇所で主パターン描画中に描画精度評価用の副パターンを描画し、プロセス後の副パターンの計測を行い、主パターンの描画精度の推定評価を行えることが開示されている。しかし、第2の副パターンの描画が実施された時点が、描画装置精度劣化の最大値となっている時点を含むとは限らず、また、描画精度劣化が確認できたとしても、その描画精度劣化の要因分析のためには十分とは言えないという課題があった。
【0011】
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、マスクの良否判定を効率的かつ正確に行うことができ、また、精度劣化の原因を効率的に把握することのできるパターン描画方法、パターン描画装置およびマスク製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、環境要素となる、温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、ビームドリフトおよびビーム電流密度の内少なくとも1つを測定しながら試料上にビームを照射して、所定のパターンを描画するパターン描画方法であって、
前記パターンには、主パターンと、前記主パターンの領域外に描画される第1の副パターンおよび第2の副パターンとがあり、
前記第1の副パターンを描画する第1の描画工程の後に、前記主パターンを描画する第2の描画工程を行い、
前記第2の描画工程では、前記環境要素の変化量が所定の閾値を超えることによって前記主パターンの描画を停止し、前記第1の副パターンの近傍の所定位置に前記第2の副パターンを描画した後、前記主パターンの描画に戻る工程が繰り返されることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第1の態様は、前記主パターンの描画を停止後に、前記第2の副パターンの近傍に前記第2の副パターン描画の識別を行う第3の副パターンを描画する工程を有し、前記第3の副パターンは、文字パターン、一次元バーコードパターンおよび二次元バーコードパターンの内の少なくとも1つからなることが好ましい。
【0014】
本発明の第1の態様において、前記第2の副パターンの描画は、前記環境要素の変化量の少なくとも1つに対応して描画条件を変更する描画補正の実行の前に行い、さらにこの描画補正の実行後にも実施することが好ましい。
【0015】
本発明の第2の態様は、環境要素となる、温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、ビームドリフトおよびビーム電流密度の内少なくとも1つを測定しながら試料上にビームを照射して、主パターンと、前記主パターンの領域外に描画される第1の副パターンおよび第2の副パターンを描画するパターン描画装置であって、
前記主パターン、前記第1の副パターンおよび前記第2の副パターンの描画を制御する描画制御部と、
前記主パターン、前記第1の副パターンおよび前記第2の副パターンの描画履歴を記憶する描画履歴記憶部と、
前記環境要素を測定する環境要素測定部と、
前記環境要素測定部で測定した結果から変化量を算出し、前記第2の副パターンの描画を実施するか否かの判定および描画のタイミングを有する描画スケジュールを策定する判定部とを具備し、
前記描画制御部は、前記描画スケジュールと前記描画履歴に基づき、前記主パターンと前記第2の副パターンの描画を制御することを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第3の態様は、環境要素となる、温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、ビームドリフトおよびビーム電流密度の内の少なくとも1つを測定しながら試料上に描画装置を用いビームを照射して、パターンを描画する描画工程と、描画された前記パターンの評価を行う評価工程とを含むマスク製造方法であって、
前記パターンには、主パターンと、前記主パターンの領域外に描画される第1の副パターンおよび第2の副パターンとがあり、
前記第1の副パターンを描画する第1の描画工程の後に前記主パターンを描画する第2の描画工程を行い、
前記第2の描画工程では、前記環境要素の変化量が所定の閾値を超えることによって前記主パターンの描画を停止し、前記第1の副パターンの近傍の所定位置に前記第2の副パターンを描画した後、前記主パターンの描画に戻る工程を繰り返してパターンを形成し、
前記評価工程では、前記第1の副パターンおよび前記第2の副パターンの位置および寸法の少なくとも一方を測定し、この測定結果に基づき前記主パターンの評価を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、描画精度劣化要因である描画室温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、装置温度、ビームドリフト、ビーム電流密度等の環境要素が管理限界等の基準値を超え、描画精度が悪化した時点で、第2の副パターンの描画を行うことが可能となり、主パターン内での精度劣化状況を、副パターン描画領域に描画された副パターンの計測で評価が可能となる。
また、環境要素変動に応じて、描画条件を変更する描画補正が実施される場合には、描画補正前および補正後で、第2の副パターンを描画することで、描画精度が、補正描画による描画精度の改善状況も含めて、副パターン描画領域で、正確かつ効率的に測定できる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、第1および第2の副パターンの計測および評価から得られる情報は、環境要素が基準値を超える等、悪化した状況での描画精度であり、主パターンの描画中の精度劣化が予測される条件下での精度評価用のパターンが、副パターン領域に集積して形成され、製品の精度の計測および評価の高精度化、効率化が実現できる。
また、収集されたデータは、描画補正方法の改善にも有用なデータとなり、描画装置でのパターン描画精度改善に有効な情報を提供する。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、マスクの良否判定に対する適切な情報が効率的かつ正確に提供され、また、マスク製造ライン管理情報としても有効であり、効率的なマスク製造ラインの構築に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態における電子ビーム描画装置の構成図である。
【図2】電子ビームによる描画方法の説明図である。
【図3】本実施の形態による電子ビーム描画方法の説明図である。
【図4】(a)〜(d)は、本実施の形態による電子ビーム描画方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、パターン描画装置の一例として、電子ビームを用いた構成で説明する。但し、ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いた描画装置でも光ビームであるレーザビーム描画装置でも構わない。また、電子ビーム装置の一例として、可変成形方式ステージ連続移動型の描画装置について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態を説明するための電子ビーム描画装置の構成図である。
【0023】
図1において、電子ビーム描画装置は、描画装置全体を制御する制御計算機19、描画データを記録する記憶装置21、制御計算機19に接続され、制御計算機19の指示で、描画部110を制御し、描画を実行する描画制御部30を有している。描画部110は、ステージ3を駆動するステージ駆動回路4、ビームを偏向する偏向回路25、ビームをオン/オフするブランキング回路24、電子ビームを所定の形状に成型し、所定位置にショットをする電子ビーム光学系10を有しており、描画制御部30からの指示で、描画を実行する。
【0024】
図1の電子ビーム描画装置による描画は、次のようにして行われる。
【0025】
まず、試料室1内のステージ3上にマスク基板2を載置する。次いで、ステージ3の位置検出を位置回路5により行い、制御計算機19からの信号に基づいて、ステージ駆動回路4によりステージ3を描画可能な位置まで移動させる。
【0026】
マスク基板2は、例えば、石英等のマスク基板上に、遮光膜としてのクロム(Cr)膜が形成され、さらにこの上にレジスト膜が形成されたものである。
【0027】
本実施の形態では、レジスト膜に対して電子ビームで描画を行う。ステージ3は、ステージ駆動回路4によりX方向(紙面における左右方向)とY方向(紙面における垂直方向)に駆動される。ステージ3の移動位置は、レーザ測長計等を用いた位置回路5により測定される。
【0028】
試料室1の上方には、ビーム照射手段としての電子ビーム光学系10が設置されている。この電子ビーム光学系10は、電子銃6、各種レンズ7、8、9、11、12、ブランキング用偏向器13、成形偏向器14、ビーム位置決め用の主偏向器15、副偏向器16、および、2個のビーム成形用のアパーチャ17、18等から構成されている。
【0029】
図2は、電子ビームによる描画方法の説明図である。この図に示すように、マスク基板2上に描画されるパターン51は、短冊状のフレーム領域52に分割されている。電子ビームによる描画は、ステージ3が一方向(例えば、X方向)に連続移動しながら、フレーム領域52毎に行われる。フレーム領域52は、さらに副偏向領域53に分割されており、副偏向領域内のパターンは、さらにショット図形54に分解されており、成型偏向器14および成形アパーチャでショット図形に対応して成形された電子ビームを、副偏向領域53内にショットを行い描画する。尚、フレーム領域52は、主偏向器15の偏向幅で決まる短冊状の描画領域であり、副偏向領域53は、副偏向器16の偏向幅で決まる描画領域である。
【0030】
副偏向領域の基準位置の位置決めは、主偏向器15で行われ、副偏向領域53内でのショット位置移動は、副偏向器16によって行われる。すなわち、主偏向器15によって、電子ビームが所定の副偏向領域53に位置決めされ、副偏向器16によって、副偏向領域53内での電子ビームのショット図形54の描画位置が決められる。なお、電子ビームの各ショット図形は、成形偏向器14とビーム成形用のアパーチャ17、18によって、電子ビームを所定の形状と寸法に成形して生成される。
【0031】
次いで、ステージ3を一方向に連続移動させながら、副偏向領域53内を描画し、1つの副偏向領域53の描画が終了したら、次の副偏向領域53を描画する。フレーム領域52内の全ての副偏向領域53の描画が終了したら、ステージ3を連続移動させる方向と直交する方向(例えば、Y方向)にステップ移動させる。その後、同様の処理を繰り返して、フレーム領域52を順次描画して行く。
【0032】
上記のようにして、マスク2の全てのフレーム領域52の描画を終えた後は、新たなマスクに交換し、上記と同様の方法による描画を繰り返す。
【0033】
主パターン、第1および第2の副パターン等の描画用パターンデータは、描画装置用に所定の形式でフォーマットされたデータとして準備され、制御計算機19に接続した記憶装置21に格納されている。パターンデータは、描画前に、制御計算機19によりフレーム単位、副偏向領域単位に分割され、さらに、ショット位置、形状およびサイズの情報を有したショットデータに分割され、描画制御部30に送信される。描画制御部30は、所望精度の描画を実行するための、各ショットに対するショット時間、ショット位置等の補正計算を行い、X方向に移動しているステージ位置情報等も考慮して、ショットデータに従って、偏向回路25およびブランキング回路24を介して、ブランキング用偏向器13、成形偏向器14、主偏向器15、副偏向器16を制御し、所定の位置に所定の時間ショットを行い、副偏向領域毎に、フレーム領域の描画を完了する。フレーム領域の描画が完了後、ステージ3をY方向にフレーム幅相当移動し、次のフレームの描画を同様に実行することを続けて、主パターン全領域の描画を完了する。
【0034】
副パターンの描画もパターンデータが異なり、描画指定位置が異なること以外は基本的に同様である。但し、副パターンは主パターンとは独立に設計でき、主パターンとは独立して、共通に使用できることから、上記データ分割処理の途中工程でのデータを別領域に保管しておき、そのデータを用いて副パターンを描画することで描画処理の効率を図ることも可能である。
【0035】
描画制御部30は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0036】
また、本実施例では、偏向器は主および副の2段偏向器を用いた例で説明を行ったが、3段以上の多段偏向器あるいは1段の偏向器により偏向を行うものであってもよい。
【0037】
また、電子ビーム描画装置では、描画精度に影響を与える、描画中の描画室温度、気圧、振動、磁場または供給電圧、および装置本体の複数箇所の温度などの装置自体の状況変化、電子ビームの軸の変動(ビームドリフト)、ビーム電流密度の変化は、許容範囲内に収めるための安定化が図られている。
【0038】
描画精度に影響を与える、描画中の描画室温度、気圧、振動、磁場または供給電圧の変化などの外部環境要素の変化を検知するための外部環境要素測定部61、および装置本体の複数箇所の温度などの装置自体の状況変化、電子ビームの軸の変動(ビームドリフト)、ビーム電流密度の変化などを検知する内部環境要素測定部62を有している。
【0039】
これらの外部環境要素および内部環境要素は、許容範囲内に収めるための安定化が図られている。しかし、環境要素は、許容範囲を超える場合も発生する。
【0040】
また、外部環境要素測定部61と内部環境要素測定部62で検知された変化に基づき、描画中にショット位置、ショット時間正等の補正を加え、環境要素変化による描画のズレ(精度の劣化)を補正する描画補正を行う場合がある。
【0041】
そこで、本実施の形態では、マスク2にLSIパターンなどの主パターンを描画する前に、主パターン描画領域外に設けられた副パターン描画領域1020に、第1の副パターンを描画する。第1の副パターンは、電子ビーム描画装置の初期状態を反映するものである。
【0042】
副パターン描画領域は、1箇所に限らず、必要に応じて、マスク内の複数箇所に設けることが可能である。このことで、マスク内での描画位置依存の描画精度の確認が可能となる。
【0043】
例えば、図3に示すように、主パターン描画領域101の外側に複数の第1の副パターン102を描画する。第1の副パターン102は、例えば、矩形の枠形状のパターン(図4の102a〜102e)とすることができるが、X、Yのラインアンドスペースパターンとすることもできる。
【0044】
次に、主パターン描画領域101に主パターンを描画する。このとき、外部環境要素、内部環境要素を測定し、その変化量を評価する。そして、例えば、変化量が所定の閾値を超えた場合、第2の副パターンを描画する。第2の副パターンは、先に描画した第1の副パターンと比較して描画精度を評価するためのパターンである。
【0045】
後述するが、第2の副パターンの描画は、例えば変化量が閾値を超えた直後に限定されず、測定する対象環境要素により、第2の副パターンの描画のスケジュールを決めることが好ましい。
【0046】
第2の副パターンの描画を行う契機となる変化量について詳述する。
【0047】
(1)描画補正を行う環境要素の変化量
描画補正としては、例えば、ドリフト補正および電流密度照射量補正の内少なくとも一方とすることができる。
【0048】
ビームドリフト補正では、各描画パターンに定められた所定の時間間隔で、ビームドリフト量の測定を行い、補正量および補正を行うタイミングを決定し、ショット位置の補正を実行することで、描画全体でのビームドリフトによるパターン位置精度の劣化を抑える。補正方法としては、ドリフト量を一度に補正すると、補正前後での描画位置の変動が不連続となるため、次のドリフト測定までの間で、複数回に分けて補正を行う方式等様々な方式が行われている。また、ドリフト量が所定の基準値より小さい場合は、補正を行わないこともある。
【0049】
内部環境要素測定部62で、ビーム位置が測定され、測定結果は、制御計算機19内の判定部71に送信され、判定部71で、過去の測定値との比較で変化量(ビームドリフト)が計算され、例えば、ビームドリフトが予め定めた閾値を超えると、制御計算機19に、第2の副パターン描画実施の信号を送信する。制御計算機19は、描画中のフレーム終了後に、第2の副パターンを実行するために必要な情報を描画制御部30に送信し、描画制御部30は、ステージ駆動回路4、偏向回路25、ブランキング回路24を制御し、第2の副パターンの描画を所定位置に描画し、第2の副パターン描画終了後、主パターンの描画を継続する。
【0050】
尚、描画履歴記憶部81は、第1の副パターン、主パターン、および第2の副パターンの描画履歴情報を記録する。描画制御部30は、描画履歴記憶部のデータを参照し、複数の各第2の副パターン描画を、対応する第1の副パターン位置に描画をし、また主パターンの描画を所定の位置より継続する。
【0051】
また、判定部は、制御計算機内に存在するとしたが、計算機外に存在してもよく、また、判定部は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0052】
第1および第2の副パターンの描画の例として、図4(a)に、第1の副パターンとして、複数の矩形の枠形状のパターン102a〜102eが描画された状態を模式的に示している。
【0053】
また、図4(b)は、1回目の第2の副パターン103aが描画された状態、図4(c)、(d)は、それぞれ、さらに2回目の第2の副パターン103b、3回目の第2の副パターン103cの描画が行われ、パターン形成した状態を模式的に図示している。
【0054】
この場合、例えば、第1および第2の副パターンそれぞれの中心位置は、一致させてあり、第1の副パターンの中心位置と第2の副パターンの中心位置を、マスクパターン形成後に、座標測定器で測定することで、第2の副パターンを描画した時点および第1の主パターン描画開始時点に相当する第1の副パターン描画時点からの描画位置変動の評価が可能となる。
【0055】
第1の副パターンおよび第2の副パターンの位置評価以外に、第1および第2の副パターンのパターン寸法の測定を行い、比較することで、寸法精度の比較も可能である。寸法評価のためには、第1の副パターンと第2の副パターンには、同じ寸法のパターン部分を有していることが好ましい。また、図4(d)で、例えば102bと103bの間のX方向、Y方向それぞれ2箇所の寸法を測定することで、102bと103bの相対的はズレ量(中心位置のズレ量)を求めることができる。
【0056】
尚、第1と第2の位置関係は、上記では、同一の中心位置を有しているとしたが、それに限らない。第1の副パターンと第2の副パターンの位置関係の設計値と、実測値とから位置変動の評価が可能である。
【0057】
また、第1および第2の副パターンの形状は、上記に限定したものではなく、主パターンとは独立して、測定に適した形状に任意に設計することが可能である。また、第1の副パターン102の数や形状や位置は、計測の精度向上、測定の自動化も含めて、効率化・高制度化を図るために、任意に決めることができる。このことも、主パターンの領域外に副パターン領域を設け描画する利点の一つである。
【0058】
(2)閾値を超える外部環境要素などの変化
例えば、図1の外部環境要素測定部61で、温度、気圧、振動、磁場および供給電圧の少なくとも1つが測定される。測定結果は、制御計算機19内の判定部71に送信され、判定部71で、過去の測定値との比較で変化量が計算され、例えば、ドリフトの変化量が予め定めた閾値を超えると、制御計算機19に、第2の副パターン描画実施の信号を送信する。制御計算機19は、描画中のフレーム終了後に、第2の副パターンを実行するために必要な情報を描画制御部30に送信し、描画制御部30は、ステージ駆動回路4、偏向回路25、ブランキング回路24を制御し、第2の副パターンを所定位置に描画し、第2の副パターン描画終了後、主パターンの描画を継続する。
【0059】
本実施例では、描画室温度が、閾値を超えた時点で、第2の副パターンを描画する。しかし、描画室温後と描画精度との関係は、描画室温度の影響が、描画装置および描画精度に影響するには、時間遅れがあり、その時間遅れを考慮して例えば20分後に、第2の副パターンの描画を行うことが好ましい。また、時間遅れをより明確に確認するためには、閾値を超えた時点で、先ず第2の副パターンを描画し、更に、例えば20分後に、次の第2の副パターンの描画を行うようにしても良く、対象環境要素、環境要素変化量等に基づき、判定部71は、第2の副パターン描画をどのタイミングで行うかの描画スケジュールの決定も行う。
【0060】
次に、第2の副パターンを描画位置、描画のスケジューリングについて、具体例を挙げて説明する。例えば、主パターンの描画中に、閾値を超える変化量が複数回検知されたとする。この場合における描画方法を図4を用いて模式的に説明する。尚、この場合の変化量は、(1)および(2)に記載したうちのいずれか1種類の変化量であってもよく、2種類以上の異なる変化量であってもよい。
【0061】
図4(a)は、第1の副パターンを表している。主パターンの描画中に、例えば、ビームドリフト変動が閾値を超え、第2副のパターンの描画が実行される場合、図4(a)の第1の副パターン102aの中央部に第2の副パターンが描画されるようにする。
【0062】
図4(b)は、第1の副パターン102aの位置に第2の副パターン103aが描画された状態を表している。
【0063】
描画制御としては、第1の副パターン102aと第2の副パターン103aは同じ中央位置に描画をしているが、ビームドリフトにより、ビーム軸が変動したことにより、実際の描画では、第1の副パターンと第2の副パターンの中央位置にズレが生じていることが分かる。
【0064】
第2の副パターン103aを描画した後は、主パターンの描画に戻る。
【0065】
次に、主パターンの描画中に、再び、ビームドリフトが閾値を超えた場合、主パターンの描画を停止したとする。この場合、図4(a)の第1の副パターン102bの中央部に第2の副パターン103bが描画される。
【0066】
図4(c)は、第1の副パターン102bの中央位置に第2の副パターン103bが描画された状態を表している。
【0067】
第2の副パターン103bを描画した後は、主パターンの描画に戻る。その後また、主パターンの描画中に、外部環境要素で測定された気圧の変化量が閾値を超えたとする。判定部71で、第2の副パターン描画実行が決定されると、上記と同様に、図4(a)の第1の副パターン102cの近傍の所定位置に第2の副パターンが描画される。
【0068】
図4(d)は、第1の副パターン102cの近傍の所定位置に第2の副パターン103cが描画された状態を表している。
【0069】
第2の副パターン103cを描画した後は、主パターンの描画に戻る。以降も、外部環境要素測定部61、および内部環境要素測定部62での測定結果が閾値を超え、判定部が第2の副パターンの描画を決定した場合、同様に主パターンの描画を中断して第2の副パターンを描画する。あるいは、上記の(1)および(2)に記載したうちのいずれかの変化量が閾値を超え、判定部が第2の副パターン描画の実行を決定した場合にも、主パターンの描画を中断して第2の副パターンを描画する。
【0070】
上記では、第2の副パターン描画の追加を中心に説明したが、どの位置に第2の副パターンを描画するかは、描画制御部が制御する。
【0071】
描画履歴記憶部81は、第1の副パターン、主パターン、および第2の副パターンの描画履歴情報を記憶しており、描画制御部30が描画履歴記憶部の第1の副パターンの位置情報、第2の副パターンをどこまで描画済みであるか等の情報を用い、どの位置に第2の副パターンを描画するかを決定し、第2の副パターンの描画を実行し、さらに、第2の副パターン描画終了後に、主パターンの描画を継続する制御を行う。
【0072】
尚、判定部71が第2の副パターン描画のスケジューリングを行う。第2の副パターン描画は、環境要素変化が閾値を超えた直後に限らず、詳細は後述するが、対象環境要素、判定状況に基づき適宜設定することできる。
【0073】
また、本実施の形態においては、第2の副パターンを描画する際、その近傍の所定位置に、その第2の副パターンを描画する際の電子ビームの描画位置や時刻などの情報を表す文字、記号パターンを描画することで、製品マスクの検査工程での検査の際の第2のパターンが描画された状況の把握をすることが可能となり、好ましい。また、文字・記号パターン描画の代わりに、例えば、二次元バーコードであるQRコード(登録商標)または一次元バーコードなどを用いることができる。一次元バーコードあるいは二次元バーコード描画を行うためには、描画時刻、環境要素測定値等の情報を文字列として入力することで描画装置用のバーコードパターンを生成するバーコードパターン部(図示せず)を描画装置内に有し、生成されたバーコードパターンを第2の副パターンの近傍例えば下部に第2の副パターンと同時に描画する。なお、バーコードパターン等の描画は、第2の副パターンと同時でなく、例えば主パターンの描画終了後に行ってもこの目的は達成できるので描画は、当該第2の副パターン描画時以降であれば、いつでも構わない。
【0074】
次に、描画補正を伴う描画方法について、ドリフト補正描画を例にとり説明する。
【0075】
ビームドリフトとは、電子鏡筒への電荷の蓄積等でビーム軌道に影響し、ビーム照射位置に変動が発生する現象である。このビームドリフトが、電子ビーム描画でのパターン描画中に発生すると、主に描画位置精度の劣化の原因となる。そのため、描画途中で、ビームドリフト量を測定、ドリフト量相当の位置補正を副偏向器で描画制御部から行い、ビーム照射位置の補正を行い、描画精度の向上を図る描画方法である。ビームドリフト量測定は、描画を一時中断し、ステージ上の描画位置計測用マークを用いて行うのが一般的である。補正のアルゴリズムは精度を確保し、なおかつ描画パターンの位置変動がより連続性を確保するために、補正実施を測定間隔中に複数回実施することも行われている。
【0076】
ここでは、測定したビーム位置変動量が所定の閾値を超えると、その状況下で第2の副パターンの描画を行う。このことで、ドリフト補正前すなわちビームドリフトが基準値を超えた状態での描画精度劣化状況を第2の副パターンの描画で、マスク上に記録することが可能でとなり、第1および第2の副パターンを評価することで、この状況下での描画精度劣化を定量的に、効率的に評価することができるようになる。
【0077】
さらに、ドリフト補正実施後に、第2の副パターンを描画することが好ましい。つまり、ドリフト補正前後での描画精度が副パターンで記録されることで、補正の効果を定量的に把握でき、補正が意図した通りに実現できているかの検証、誤差分析等から、さらに改善にも有用なデータとなる。これらの、ビームドリフト発生、補正描画実行に伴う第2の副パターン描画のスケジューリングの決定も判定部71で行う。
【0078】
同様に、ビーム電流密度変化も、描画精度の劣化の原因の1つであり、主パターンの描画中に、所定の頻度でビーム電流密度の測定を行い、補正を加えることで、描画精度の確保、改善を行うものである。ビーム電流密度補正に関してもそのアルゴリズムは様々であるが、本実施例では、ビーム電流密度測定値変動が所定の管理値(閾値)を超えた場合、補正実施前に第2の評価パターンの描画を行うことで、パターンプロセス処理後の第1の副パターンと第2の副パターンの計測・評価で、管理値を超えた時点での、描画精度の劣化状況を確認できる。
【0079】
また、ビーム電流密度補正の後に、第2の副パターンを描画するように第2の副パターン描画のスケジューリングをすることで、補正直後の精度の確認が可能となり、補正機能の確認も副パターンの計測で可能となり、好ましい。
【0080】
次に、マスク製造方法の実施例として、電子ビーム描画装置を用いた半導体用マスク描画、現像、エッチング処理、マスクパターン精度評価を含むマスク製造方法の説明を行う。
【0081】
本実施の形態の半導体用マスク製造方法では、まず、半導体回路パターン(主パターン)を電子ビーム描画装置でレジスト膜を塗布したマスク基板に描画し、描画後、現像装置でレジストの現像を行い、次に現像レジストパターンをマスクとして、エッチング装置でマスク基板上のCr膜をエッチングし、Crマスクパターンを形成する。その後、マスクパターンの位置、寸法等の評価を行い、出荷規格に合格した製品が出荷される。
【0082】
本実施の形態では、描画室温度、気圧、磁場、装置温度、振動、入力電圧、ビームドリフト量、ビーム電流密度等の環境要素を測定しながら、主パターンの描画、第1の副パターンおよび第2の副パターンの描画を行う。このとき、まず、第1の副パターンの描画の後に主パターンの描画を行い、次いで、主パターンの描画中に、環境要素変化があれば、主パターンの描画を停止する。そして、第2の副パターンの描画を、第1の副パターンの近傍の所定位置に行った後、主パターンの描画を再開する。
【0083】
以上を繰り返し行って、全ての主パターンの描画を完了し終えた後は、マスク2上のレジスト膜に対して現像処理を行う。これにより得られるレジストパターンをマスクとして、クロム膜のエッチングを行い、クロム膜を所定のパターンに形成する。
【0084】
次に、検査工程において、パターニングされたクロム膜について、第1の副パターンと第2の副パターンの位置と寸法の少なくとも1つを測定し、両者の測定結果を比較する。
【0085】
図4の例では、第1の副パターン102aと第2の副パターン103a、第1の副パターン102bと第2の副パターン103b、第1の副パターン102cと第2の副パターン103cとがそれぞれ測定して比較される。
【0086】
測定および比較の方法としては、例えば、座標測定器によって各第1のおよび第2の副パターン中心座標位置を比較し、寸法測定器によって、第1および第2の副パターンのX方向寸法およびY方向寸法を測定して比較することが挙げられる。
【0087】
本実施の形態のマスク製造方法では、マスクの副パターン領域に、副パターンの描画は、環境要素変化が所定の閾値を超える等、描画精度面で悪い環境で、まとまった形で、描画される。の精度を測定していることと同じである。つまり、同時期に描画をしていることで、副パターンを描画および主パターン内で同等な精度劣化が起こることが想定されるため、副パターンの描画結果は製品マスクの良否判定の情報となる。また、副パターンでの良否判定の基準を設けることで、製品パターンとなる主パターンについて、実パターンの(詳細な)評価をする前にマスクの良否を判定することが可能である。つまり、副パターンについてその位置や寸法を測定した結果が基準を満たしていない場合には、マスクが不良であると判定できる。主パターンの位置や寸法の測定には、副パターンに比較して長時間を要するが、副パターンの評価によりマスクの良否判定ができることにより、主パターンについての測定が不要となり、マスクの製造や検査を効率的に進めることができるようになる。
【0088】
また、副パターンの評価結果は、製品パターンによる精度変動の影響を受けにくく、製造ラインの品質管理データとしても、より有効に活用でき、製造ラインとしての維持、管理、向上にも有効となる。
【0089】
第1の副パターンと第2の副パターンとの位置、寸法の比較結果、その差が許容範囲を超えていた場合には、このマスクは不良品と判断される。この方法によれば、従来行っていた主パターン全体の検査を行うことなしに、マスクの良否を判定する基準とすることができる。また、第2の副パターンを描画するトリガーとなった状況、およびその測定結果の蓄積から、環境要素変化、描画補正等と描画劣化の関係を解析することができ、外部環境要素のより良い管理方法、描画補正の改善等が実現できることも、本発明の重要な効果である。
【0090】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【0091】
例えば、上記実施の形態では電子ビームを用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、イオンビームなどの他の荷電粒子ビームを用いた場合にも適用可能である。例えば、荷電粒子ビームでない、レーザビーム描画装置、描画方法、それらによるマスク製造方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 試料室
2 マスク
3 ステージ
4 ステージ駆動回路
5 位置回路
6 電子銃
7、8、9、11、12 各種レンズ
10 電子光学系
13 ブランキング用偏向器
14 成形偏向器
15 主偏向器
16 副偏向器
17 第1のアパーチャ
18 第2のアパーチャ
19 制御計算機
21 記憶装置
24 ブランキング回路
25 偏向回路
30 描画制御部
51 描画されるパターン
52 フレーム領域
53 副偏向領域
54 ショット図形
61 外部環境要素測定部
62 内部環境要素測定部
71 判定部
81 描画履歴記憶部
101 主パターン描画領域
1020 副パターン描画領域
102a、102b、102c、102d、102e 第1の副パターン
103a、103b、103c 第2の副パターン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境要素となる、温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、ビームドリフトおよびビーム電流密度の内少なくとも1つを測定しながら試料上にビームを照射して、所定のパターンを描画するパターン描画方法であって、
前記パターンには、主パターンと、前記主パターンの領域外に描画される第1の副パターンおよび第2の副パターンとがあり、
前記第1の副パターンを描画する第1の描画工程の後に、前記主パターンを描画する第2の描画工程を行い、
前記第2の描画工程では、前記環境要素の変化量が所定の閾値を超えることによって前記主パターンの描画を停止し、前記第1の副パターンの近傍の所定位置に前記第2の副パターンを描画した後、前記主パターンの描画に戻る工程が繰り返されることを特徴とするパターン描画方法。
【請求項2】
前記主パターンの描画を停止後に、前記第2の副パターンの近傍に前記第2の副パターン描画の識別を行う第3の副パターンを描画する工程を有し、前記第3の副パターンは、文字パターン、一次元バーコードパターンおよび二次元バーコードパターンの内の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1記載のパターン描画方法。
【請求項3】
前記第2の副パターンの描画は、前記環境要素の変化量の少なくとも1つに対応して描画条件を変更する描画補正の実行の前に行い、さらにこの描画補正の実行後にも実施することを特徴とする請求項1記載のパターン描画方法。
【請求項4】
環境要素となる、温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、ビームドリフトおよびビーム電流密度の内少なくとも1つを測定しながら試料上にビームを照射して、主パターンと、前記主パターンの領域外に描画される第1の副パターンおよび第2の副パターンを描画するパターン描画装置であって、
前記主パターン、前記第1の副パターンおよび前記第2の副パターンの描画を制御する描画制御部と、
前記主パターン、前記第1の副パターンおよび前記第2の副パターンの描画履歴を記憶する描画履歴記憶部と、
前記環境要素を測定する環境要素測定部と、
前記環境要素測定部で測定した結果から変化量を算出し、前記第2の副パターンの描画を実施するか否かの判定および描画のタイミングを有する描画スケジュールを策定する判定部とを具備し、
前記描画制御部は、前記描画スケジュールと前記描画履歴に基づき、前記主パターンと前記第2の副パターンの描画を制御することを特徴とするパターン描画装置。
【請求項5】
環境要素となる、温度、磁場、気圧、振動、入力電圧、ビームドリフトおよびビーム電流密度の内の少なくとも1つを測定しながら試料上に描画装置を用いビームを照射して、パターンを描画する描画工程と、描画された前記パターンの評価を行う評価工程とを含むマスク製造方法であって、
前記パターンには、主パターンと、前記主パターンの領域外に描画される第1の副パターンおよび第2の副パターンとがあり、
前記第1の副パターンを描画する第1の描画工程の後に前記主パターンを描画する第2の描画工程を行い、
前記第2の描画工程では、前記環境要素の変化量が所定の閾値を超えることによって前記主パターンの描画を停止し、前記第1の副パターンの近傍の所定位置に前記第2の副パターンを描画した後、前記主パターンの描画に戻る工程を繰り返してパターンを形成し、
前記評価工程では、前記第1の副パターンおよび前記第2の副パターンの位置および寸法の少なくとも一方を測定し、この測定結果に基づき前記主パターンの評価を行うことを特徴とするマスク製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−16561(P2013−16561A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146800(P2011−146800)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】