パチンコシステム
【課題】主制御基板のマイクロコンピュータが不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができるパチンコシステムを実現する。
【解決手段】主制御用ROM53には、他のパチンコ機の主制御用ROMと識別するためのIDが記憶されている。ホールコンピュータ69は各パチンコ機1が起動したときに各パチンコ機1のIDを読取り(S11)、その読取った各IDの中に登録されていないものが存在すると判定した場合は(S12:No)、その登録されていないIDを送信してきたパチンコ機の台番号を表示装置69fに表示するなどのエラー報知を行う(S14)。
【解決手段】主制御用ROM53には、他のパチンコ機の主制御用ROMと識別するためのIDが記憶されている。ホールコンピュータ69は各パチンコ機1が起動したときに各パチンコ機1のIDを読取り(S11)、その読取った各IDの中に登録されていないものが存在すると判定した場合は(S12:No)、その登録されていないIDを送信してきたパチンコ機の台番号を表示装置69fに表示するなどのエラー報知を行う(S14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技球が始動口を通過したときに大当りかハズレかを判定する主制御回路が搭載された主制御基板と、この主制御基板が開口部から収容された第1部材と、その開口部を覆う第2部材とを備えた複数のパチンコ機と、各パチンコ機と通信を行うホールコンピュータとを備えたパチンコシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図19は、従来のパチンコ機の正面説明図である。従来のパチンコ機900は、発射ハンドル901と、遊技盤902と、始動口903と、演出表示器904と、変動入賞装置905とを備える。遊技者が発射ハンドル901を操作して発射された遊技球が始動口903に入賞すると、始動口903に入賞した遊技球を検出するスイッチがオンし、パチンコ機900に内蔵されたマイクロコンピュータ(図20において符号701で示す)が、大当りかハズレかの判定(以下、大当り判定という)を行う。
【0003】
そして、演出表示器904が、複数の図柄の変動表示(スクロール表示ともいう)を開始する。たとえば、連続した異なる数字(たとえば、0〜9)を表現した図柄の配列(以下、図柄列という)を画面上の横方向3箇所の表示領域において、数字の昇順に画面の上から下へ移動するように表示する。また、機種によっては画面の右から左へ移動するように表示する。以下、これらのような図柄列の表示態様を図柄の変動表示という。
【0004】
そして、演出表示器904が図柄の変動表示を開始してから所定時間経過すると、各表示領域において図柄の変動表示が停止し、前述したマイクロコンピュータ701による判定結果に対応する図柄が各表示領域に確定表示される。たとえば、抽選結果が大当りであった場合は、「777」などの同一数字から成る大当り図柄が確定表示され、抽選結果がハズレであった場合は、「767」などのハズレ図柄が確定表示される。なお、確定表示とは、大当り判定の結果を示す図柄が確定した表示状態のことであり、図柄が再変動することのない表示状態のことである。
【0005】
演出表示器904が大当り図柄を確定表示すると大当りが発生し、変動入賞装置905が開閉部材906を開作動し、大入賞口907を開口させる。大入賞口907は、普通の入賞口よりも開口面積が大きいため、入賞が容易になる。そして、大入賞口907に規定数(たとえば、10個)の遊技球が入賞したという条件、あるいは、大入賞口907の開口時間が規定時間(たとえば、30秒)に達したという条件が満足されると、開閉部材906が閉成し、大入賞口907が閉口する。
【0006】
そして、大入賞口907の開口から閉口までを1ラウンドとし、複数のラウンド(たとえば、最大14ラウンド)が実行され、その間に遊技者は多量の賞球を獲得することができる。以下、第1ラウンドから最終ラウンドまでの遊技を大当り遊技という。また、特定の大当り図柄にて大当りが発生した場合は、この大当りに基づく大当り遊技が終了した以降の遊技状態が、大当りの発生確率の高い遊技状態に変化する。このように大当りの発生確率が低確率から高確率に変化することを確変と呼ぶ。以下、確変が発生する大当りのことを確変大当りといい、確変大当り以外の大当りのことを通常大当りという。また、確変に変化した遊技状態を確変遊技状態という。この確変遊技状態は、次の大当りが発生するまで継続する。
【0007】
図20は、図19に示す従来のパチンコ機900に設けられた主制御基板ケースの説明図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【0008】
主制御基板ケース600は、パチンコ機900の裏面に設けられている。主制御基板ケース600は、正面が開口したケース本体601と、このケース本体601の正面を覆うカバー602とを備える。ケース本体601は箱状に形成されており、カバー602は平板状に形成されている。ケース本体601には、マイクロコンピュータ701が搭載された主制御基板700が正面の開口部から収容されている。ケース本体601およびカバー602は、複数のワンウエイねじ603によって開封不能に固定されている。
【0009】
また、ケース本体601およびカバー602の境界には、それを跨ぐようにRFタグ(RFIDタグ、または、ICタグともいう)801が配置されている。さらに、RFタグ801の上には、封印シール800がケース本体601およびカバー602の境界を跨ぐように貼着されている。RFタグ801には、パチンコ機900を他のパチンコ機と識別するための固有の識別情報が記憶されている。また、RFタグ801は、カバー602を無理にこじ開けると、RFタグ801を構成するアンテナが断線し、通信不能となるように構成されている。また、封印シール800は紙製であり、そのまま剥がすと、破れ、その痕跡が残るようになっている。
【0010】
そして、パチンコ機900をパチンコホールに設置したときに、RFタグリーダを用いてRFタグ801の識別情報を読取り、その読取った識別情報が、予めRFタグリーダに登録されている識別情報と一致するか否かの検査を行う。このとき、RFタグ801のアンテナが破損していると、読取りエラーが報知されるため、カバー602が開放され、マイクロコンピュータ701が不正なものに交換されたおそれがあると推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−148596号公報(第22〜30段落、図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、封印シールが破れないように、かつ、RFタグのアンテナが断線しないように溶剤で封印シールを剥がし、主制御基板のマイクロコンピュータを不正なマイクロコンピュータに交換して大当りが発生し易いようにする不正行為が発生した。この不正行為では、RFタグが正常に機能するため、パチンコホールにおけるRFタグリーダを用いた検査では発見することができない。
【0013】
そこでこの発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、主制御基板のマイクロコンピュータが不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができるパチンコシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(請求項1に係る発明)
上記の目的を達成するため、この出願の請求項1に係る発明では、盤面上に遊技領域が形成された遊技盤(5)と、前記遊技盤に設けられた始動口(21,22)と、遊技球(P)を前記遊技領域へ発射する発射装置(4,4a〜4g)と、前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口を通過したときに大当りかハズレかを判定する主制御回路(51)が搭載された主制御基板(50)と、前記主制御基板が開口部から収容された第1部材(55)と、前記開口部を覆う第2部材(56)と、を備えた複数のパチンコ機(1)と、前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータ(69)と、を備えたパチンコシステムにおいて、前記主制御回路は、前記複数のパチンコ機に備えられた複数の主制御回路の中で他の主制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段(53)を備えており、前記ホールコンピュータは、前記複数のパチンコ機の各主制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段(69e)と、前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段(S11)と、前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段(S12)と、前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段(S14)と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0015】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明では、盤面上に遊技領域が形成された遊技盤(5)と、前記遊技盤に設けられた入賞口(17〜22)と、遊技球を前記遊技領域へ発射する発射装置(4,4a〜4g)と、前記発射装置により発射された遊技球が前記入賞口を通過したときに賞球の払出しを命令する払出制御信号を出力する主制御回路(51)が搭載された主制御基板(50)と、賞球を払出す賞球払出装置(38)と、前記主制御回路から前記主制御基板を介して送信された前記払出制御信号に基づいて前記賞球払出装置を駆動する払出制御回路(61)が搭載された払出制御基板(60)と、前記払出制御基板が開口部から収容された第1部材(55)と、前記開口部を覆う第2部材(56)と、を備えた複数のパチンコ機(1)と、前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータ(69)と、を備えたパチンコシステムにおいて、前記払出制御回路は、前記複数のパチンコ機に備えられた複数の払出御回路の中で他の払出制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段(63)を備えており、前記ホールコンピュータは、前記複数のパチンコ機の各払出制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段(69e)と、前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段(S11)と、前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段(S12)と、前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段(S14)と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0016】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明では、請求項1または請求項2に記載のパチンコシステムにおいて、前記読取手段(S11)は、前記複数のパチンコ機(1)に備えられた各パチンコ機側記憶手段(53,63)に記憶されている識別情報を各パチンコ機が起動したときに読取るという技術的手段を用いる。
【0017】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0018】
(請求項1に係る発明)
主制御基板に搭載された主制御回路を不正なものに交換すると、主制御回路のパチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報が変更されるため、ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報と一致しなくなる。このため、ホールコンピュータは、パチンコ機のパチンコ機側記憶手段から読取った識別情報がホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致しないと判定し、その判定の対象となった識別情報を送信してきたパチンコ機を特定する報知を行う。
【0019】
したがって、請求項1に係る発明によれば、主制御基板に搭載された主制御回路が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができる。
【0020】
(請求項2に係る発明)
払出制御基板に搭載された払出制御回路を不正なものに交換すると、払出制御回路のパチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報が変更されるため、ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報と一致しなくなる。このため、ホールコンピュータは、パチンコ機のパチンコ機側記憶手段から読取った識別情報がホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致しないと判定し、その判定の対象となった識別情報を送信してきたパチンコ機を特定する報知を行う。
【0021】
したがって、請求項2に係る発明によれば、払出制御基板に搭載された払出制御回路が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができる。
【0022】
(請求項3に係る発明)
ホールコンピュータは、複数のパチンコ機に備えられたパチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を各パチンコ機が起動したときに読取るため、パチンコ機をパチンコホールに設置し、試射を行った段階で、主制御回路または払出制御回路が不正なものに交換されたパチンコ機を発見することができる。
したがって、遊技者が遊技を行う前に不正を発見することができるため、パチンコホールの被害を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係るパチンコシステムを構成するパチンコ機の外観を示す正面斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の平面図である。
【図3】図1に示すパチンコ機に備えられた遊技盤の正面図である。
【図4】図3に示す遊技盤の正面斜視図である。
【図5】図3に示す遊技盤に設けられた可動役物40が下降した状態を示す正面図である。
【図6】(a)は図3示す遊技盤に設けられた第1および第2変動入賞装置の正面拡大図、(b)は図3に示す遊技盤に設けられた特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、特別図柄記憶表示装置および普通図柄記憶表示装置の正面拡大図である。
【図7】図1に示すパチンコ機の背面斜視図である。
【図8】図1に示すパチンコ機の背面における内部構造の一部を示す部分背面図である。
【図9】(a)は図8に示す主制御基板ケース57の正面図、(b)は左側面図である。
【図10】(a)は図8に示す主制御基板ケース57の正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。
【図11】(a)は図8に示す主制御基板ケース57の正面斜視図、(b)は右側面図、(c)は(a)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図、(d)は(b)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【図12】図11(a)に示す主制御基板ケース57の分解斜視図である。
【図13】(a)は封印シールの拡大図、(b)は使用状態における封印シールの拡大図である。
【図14】RFタグの拡大図である。
【図15】図1に示すパチンコ機の主な電気的構成の一部をブロックで示す説明図である。
【図16】図1に示すパチンコ機の主な電気的構成の一部をブロックで示す説明図である。
【図17】パチンコシステムの構成を示す説明図である。
【図18】ホールコンピュータが実行するID判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図19】従来のパチンコ機の外観を示す正面図である。
【図20】(a)は図19に示す従来のパチンコ機に備えられた主制御基板ケースの正面図、(b)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〈第1実施形態〉
この発明の第1実施形態について説明する。
[主要構成]
この実施形態に係るパチンコシステムを構成するパチンコ機の主要構成について図を参照して説明する。図1は、この実施形態に係るパチンコ機の外観を示す正面斜視図であり、図2は、図1に示すパチンコ機の平面図である。
【0025】
図1に示すように、この実施形態に係るパチンコシステムを構成するパチンコ機1には、外殻を構成する外枠セット8が設けられており、この外枠セット8には前枠セット2が設けられている。その前枠セット2は天板1aを備えており、その天板1aの左端前方には回動軸部材1bが設けられている。前枠セット2には透明なガラス枠セット3が、回動軸部材1bを回動軸にして開閉可能に取付けられている。
【0026】
ガラス枠セット3の内側には、遊技盤(図3において符号5で示す)が設けられており、前枠セット2の前面右下方には、遊技盤5へ遊技球を発射する発射装置を操作する発射ハンドル4aが取付けられている。発射ハンドル4aには、遊技球の発射強度を調節するための発射レバー4bが発射ハンドル4aに対して回動自在に装着されている。
【0027】
遊技盤5の下方には、パチンコ機1の内部から払出された賞球や貸球を収容する上受け皿6が設けられており、上受け皿6には、貸球の払出しを行うために遊技者が操作する球貸操作部6aが設けられている。上受け皿6の下方には、上受け皿6の収容可能数を超えて流下した遊技球を収容する下受け皿7が設けられている。下受け皿7には、下受け皿7に収容されている遊技球を下受け皿7の外部へ排出するために遊技者が操作する球抜きレバー7aが設けられている。
【0028】
前枠セット2には、払出すべき遊技球が無いことを報知する球切れLED13と、遊技球の払出しの異常を報知する払出異常LED14とが設けられている。また、前枠セット2には、効果音を発生する右スピーカ10と、左スピーカ11と、下スピーカ12とが設けられている。また、上受け皿6には、遊技者が演出内容を選択するために操作する演出ボタン9が設けられている。
【0029】
図2に示すように、パチンコ機1の背面上方には、遊技球を貯留するための球タンク80が設けられている。パチンコ機1が設置されている島の上方には各パチンコ機に遊技球を供給する遊技球供給流路が配置されており、その遊技球供給経路から遊技球が球タンク80に供給される。また、パチンコ機1の背面は、カバー90によって覆われている。
【0030】
[遊技盤の主要構成]
次に、パチンコ機1に備えられた遊技盤の主要構成について図を参照して説明する。
図3は図1に示すパチンコ機に備えられた遊技盤の正面図であり、図4は図3に示す遊技盤の正面斜視図である。図5は図3に示す遊技盤に設けられた可動役物40が下降した状態を示す正面図である。図6(a)は図3示す遊技盤に設けられた第1および第2変動入賞装置の正面拡大図、(b)は図3に示す遊技盤に設けられた特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、特別図柄記憶表示装置および普通図柄記憶表示装置の正面拡大図である。
【0031】
遊技盤5の盤面には、遊技球が流下する遊技領域が形成されており、遊技球の流下経路は、遊技盤5の盤面に打ち込まれた多数の遊技釘29によって規制されている。遊技盤5の盤面の周囲には、発射ソレノイド(図15において符号4fで示す)などの発射装置によって発射された遊技球を遊技領域に案内するためのレールセット15が設けられている。
【0032】
遊技盤5の中央には、センター飾り16が設けられている。このセンター飾り16は、図4に示すように盤面から前方へ突出する立体形状に形成されており、遊技領域の中央領域を占有している。センター飾り16には、演出図柄を変動表示したり、各種の演出画像を表示する演出表示器30が設けられている。この実施形態では、演出表示器30は、液晶表示装置により構成されている。なお、LEDをドットマトリクス状に配置した表示器、7セグメントLED、有機ELパネルなどを演出表示器30として用いることもできる。
【0033】
センター飾り16の左外面には、遊技球がセンター飾り16の内部に流入可能な流入口16bが開口形成されている。図5に示すように、センター飾り16の内部には、流入口16bから流入した遊技球を案内するための案内通路16eが設けられている。センター飾り16の左内面には、案内通路16eによって案内された遊技球を流出させるための流出口16cが開口形成されている。
【0034】
センター飾り16の下部には、流出口16cから流出した遊技球が転動するためのステージ16dが設けられている。流出口16cから流出した遊技球は、ステージ16dの上を流下経路R2にて流下し、流下経路R3〜R5のいずれかに沿って流下する。ステージ16dの直下であって、流下経路R3に沿った箇所には、第1始動口21が設けられている。ステージ16dの上方には、流出口16cから流出した遊技球以外の遊技球がステージ16dに落下しないようにするための防護部材16fが設けられている。センター飾り16の上面には、案内部16aが形成されており、案内部16aに乗った遊技球は、流下経路R1に沿って、センター飾り16の右方に形成された右寄り遊技領域へ案内される。
【0035】
盤面の左側には、レールセット15の内周に沿って左サイド飾り36が設けられている。左サイド飾り36とセンター飾り16との間には、遊技球が流下する左寄り遊技領域が形成されている。その左寄り遊技領域には、遊技球の流下経路を変化させる風車35が回転自在に設けられている。
【0036】
左サイド飾り36には、左袖上入賞口17と、左袖入賞口18と、左下入賞口19とが設けられている。盤面の右側には、右サイド飾り37が設けられており、その右サイド飾り37には、右肩入賞口20が設けられている。右寄り遊技領域のセンター飾り16には、普通電動役物27が設けられている。普通電動役物27は、翼形状の開閉翼片27cを備えている。開閉翼片27cは、その基部が回動可能に軸支されており、その基部の回動によって先端を外方(図中では右方)へ開いたり内方(図中では左方)へ閉じたりする。
【0037】
開閉翼片27cが外方へ開くと、その開いた開閉翼片27cとセンター飾り16との間に第2始動口22が形成される。図3は、開閉翼片27cが外方へ開き、第2始動口22が形成された状態を示す。遊技盤5の下方には、どこにも入賞などしなかった遊技球を回収するためのアウト口26が開口形成されている。
【0038】
演出表示器30の上方であってセンター飾り16の中央には、LEDによって装飾された可動役物40が設けられている。図5に示すように、可動役物40の両端は、支持部材40a,40aによって支持されている。図5に示すように、可動役物40は、所定の演出タイミングになると演出表示器30の前面に自然落下し、図3に示すように、モータ(図16において右リフトモータ40dおよび左リフトモータ40fで示す)などの昇降装置によって上昇して落下前の原点に復帰する。
【0039】
また、可動役物40は、モータ(図16において家紋モータ40bで示す)およびカム機構(図示せず)などの駆動装置によって振動する。図5に示すように、可動役物40の背面には、LEDによって装飾された可動役物43が設けられている。可動役物43は、モータ(図16において万華鏡モータ43aで示す)などの駆動装置によって回転し、可動役物40が落下すると出現する。また、センター飾り16の両側には、可動役物41,42が設けられている。可動役物41,42は、それぞれモータ(図16において左竜モータ41aおよび右竜モータ42aで示す)などの駆動装置によって作動する。
【0040】
また、図4に示すように、センター飾り16の下部であって、演出表示器30の前面下部には、箱状の収納部材46が設けられている。この収納部材46の内部には、図5に示す可動役物44,45が収納されている。可動役物44,45は、それぞれモータ(図16において扉左モータ44aおよび扉右モータ45aで示す)などの駆動装置によって左右方向へ移動する。可動役物44,45は、合体したときに一つの意匠を構成する。
【0041】
収納部材46の正面および背面は、透光性材料によって形成されており、遊技者が可動役物44,45の状態を視認できるようになっている。また、相互に離反した可動役物44,45間に形成された空間の奥には、LEDにより装飾された装飾部材(図示省略)が設けられており、可動役物44,45が相互に離反したときに装飾部材の各LEDが点灯または点滅するようになっている。
【0042】
この実施形態では、可動役物40は、家紋を模した形状に形成されており、可動役物40を装飾しているLEDが点灯することによって家紋が浮き出るように構成されている。また、可動役物43は万華鏡を模した形状に形成されており、可動役物43を装飾しているLEDが点灯または点滅することにより、あたかも万華鏡を覗いているように見える演出を行う。また、可動役物41,42は、それぞれ竜の頭を模した形状に形成されており、前述した駆動装置によって竜が口を開閉する。
【0043】
図5は、可動役物41,42が作動し、一対の竜がそれぞれ口を開けた状態を示す。また、可動役物41,42の内部には、それぞれLED41c,42cが設けられており、そのLEDが点灯することにより、あたかも竜が火を吹くように見える演出を行う。また、可動役物44,45は、それぞれ扉形状に形成されており、各前面には竜の一部がそれぞれ描かれている。そして、可動役物44,45が合体すると、竜が完成するようになっている。
【0044】
上述した各可動役物40〜45は、遊技中の所定のタイミングで動作して演出効果を高める。また、各可動役物40〜45は、動作することにより、大当りの発生の予告、大当りの発生の示唆、演出表示器30が大当り発生の確率が高い演出画像を表示することの予告など、各種の予告を行う。
【0045】
図3において第1始動口21と右肩入賞口20との間(図中において符号Bで示す破線で囲まれた領域)には、図6(a)に示すように、第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25が上下に重ねて設けられている。第1変動入賞装置24は、横長板状の第1開閉部材24dを備えており、この第1開閉部材24dは、ソレノイド(図15において第1大入賞口ソレノイド24bで示す)などの駆動装置によって開閉する。第1開閉部材24dが開放すると、第1大入賞口24aが開口する。
【0046】
第2変動入賞装置25は、横長板状の第2開閉部材25dを備えており、この第2開閉部材25dは、ソレノイド(図15において第2大入賞口ソレノイド25bで示す)などの駆動装置によって開閉する。第2開閉部材25dが開放すると、第2大入賞口25aが開口する。図6(a)は、第1大入賞口24aおよび第2大入賞口25aがそれぞれ開口した状態を示す。第1大入賞口24aおよび第2大入賞口25aは、大当りが発生したときに開口する。この実施形態では、第1開閉部材24dおよび第2開閉部材25dは、それぞれ横長の板状に形成されており、両側の下端を軸にして前後に開閉するように構成されている。
【0047】
図3において左サイド飾り36の左袖上入賞口17の左側(図中において符号Aで示す破線で囲まれた領域)には、図6(b)に示すように、特別図柄表示装置31と、普通図柄表示装置33と、特別図柄保留数表示装置32および普通図柄保留数表示装置34とが設けられている。
この実施形態では、特別図柄表示装置31、普通図柄表示装置33、特別図柄保留数表示装置32および普通図柄保留数表示装置34は、それぞれLEDにより構成されているが、液晶表示装置などにより構成することもできる。
【0048】
特別図柄表示装置31は複数(たとえば、図6(b)に示すように7個)のLEDにより構成されており、それらのLEDは、遊技球が第1始動口21または第2始動口22に入賞すると所定の点滅パターンで点滅する。それらのLEDが点灯したときの発光色および消灯したときのLEDの地の色が特別図柄を構成し、LEDが点滅している状態が、特別図柄が変動表示している状態である。
【0049】
特別図柄表示装置31は、各LEDをランダムに点滅させ、その点滅が停止したときに点灯しているLEDおよび消灯しているLEDの組合せが特定の組合せであるときに大当りが発生し、その組合せの種類によって大当りの種類が異なる。大当りの種類は、大当り遊技において実行可能な最大ラウンド数、通常大当り、確変大当りおよび時短のうちの2つ以上を組み合わせて構成されている。また、大当りの種類によって第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25のどちらかが動作して大当り遊技が行われる。
ここで、時短とは、特別図柄が変動表示を開始してから変動表示を終了するまでに要する時間が短縮され、かつ、普通図柄が変動表示を開始してから変動表示を終了するまでに要する時間が短縮された遊技状態をいう。
【0050】
特別図柄表示装置31が特別図柄を変動表示しているときに遊技球が始動口21または始動口22に入賞したときは、その入賞に基づく特別図柄の変動表示は直ぐに実行されず、一旦保留される。その保留数は、特別図柄保留数表示装置32によって表示される。この実施形態では、特別図柄保留数表示装置32は4個のLEDによって構成されており、そのLEDの点灯数によって特別図柄保留数を表示する。つまり、この実施形態では、特別図柄保留数は最大4個である。
【0051】
演出表示器30は、特別図柄表示装置31の演出効果を高める目的で設けられている。つまり、特別図柄表示装置31は、複数のLEDによって構成されており、LEDの点滅のみでは演出効果が乏しいため、演出表示器30が演出図柄を変動表示したり、演出用の動画などの演出画像を表示したりすることによって演出効果を高めている。なお、演出図柄とは、LEDによって表示される特別図柄に代わって表示する演出用の図柄のことであり、複数の識別情報を表現した図柄である。たとえば、0〜9の数字を表現した図柄であり、演出表示器30は、図柄列を数字の昇順に表示する。また、演出表示器30は、動画および静止画像により構成された演出画像を単独で、あるいは、演出図柄と共に表示する。
【0052】
演出表示器30は、特別図柄表示装置31が特別図柄の変動表示を開始すると同時に演出画像および演出図柄の表示を開始する。また、演出表示器30は、特別図柄表示装置31が特別図柄の変動表示を終了すると同時に演出画像および演出図柄の表示を終了し、特別図柄表示装置31が確定表示した大当り図柄またはハズレ図柄に対応する演出図柄を確定表示する。
【0053】
普通図柄表示装置33は、複数(たとえば、図6(b)に示すように2個)のLEDにより構成されており、各LEDが点灯したときの発光色および消灯したときのLEDの地の色が普通図柄を構成する。また、普通図柄表示装置33がLEDを点滅させている状態が、普通図柄が変動表示している状態であり、変動表示が終了したときに点灯および消灯しているLEDの組合せによって普通図柄の当りまたはハズレが報知される。当りの普通図柄が確定表示されると、普通電動役物27の開閉翼片27cの開放時間が長くなり、普通電動役物27への入賞が容易になる。つまり、単位時間当りに特別図柄が変動表示を開始する回数が多くなり、大当りが発生する確率が高くなる。
【0054】
遊技球がゲート23を通過すると、普通図柄表示装置33が普通図柄の変動表示を開始する。そして、普通図柄表示装置33が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート23を通過したときは、その通過による普通図柄の変動表示が保留され、その保留数は普通図柄保留数表示装置34により表示される。この実施形態では、普通図柄保留数表示装置34は、4個のLEDによって構成されており、そのLEDの点灯数によって保留数を表示する。つまり、この実施形態では、普通図柄保留数は最大4個である。
【0055】
[背面の構造]
次に、パチンコ機1の背面の構造について図を参照して説明する。
図7は、パチンコ機1の背面斜視図であり、図8は、パチンコ機1の背面における内部構造の一部を示す部分背面図である。
【0056】
パチンコ機1の背面に設けられたカバー90の内部には、主制御基板(図10(c)において符号50で示す)が収容された主制御基板ケース57などが設けられている。カバー90の下方には、発射制御基板4が収容された発射制御基板ケース4hと、払出制御基板(図23において符号60で示す)が収容された払出制御基板ケース65とが設けられている。主制御基板ケース57の右方には、賞球を払出す賞球払出装置38が設けられている。また、パチンコ機1の背面には、パチンコ機1にAC24Vを供給するための電源プラグ82が接続されている。
【0057】
[主制御基板ケースの構造]
次に、この出願に係る発明の特徴である主制御基板ケース57の構造について図を参照して説明する。
図9(a)は図8に示す主制御基板ケースの正面図、(b)は左側面図である。図10(a)は図8に示す主制御基板ケースの正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。図11(a)は図8に示す主制御基板ケースの正面斜視図、(b)は右側面図、(c)は(a)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図、(d)は(b)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。図12は図11(a)に示す主制御基板ケースの分解斜視図である。
【0058】
主制御基板ケース57は、ケース本体55およびカバー56を備える。ケース本体55には主制御基板50が収容されている。この実施形態では、ケース本体55は背面が開口した箱状に形成されており、カバー56は、ケース本体55の背面を覆う形状に形成されており、カバー56の表面56aは平面に形成されている。ケース本体55の裏面55bが主制御基板50の表面(基板面)に対向し、カバー56の裏面56bが主制御基板50の裏面に対向している。ケース本体55およびカバー56は、透明の樹脂製であり、収容された主制御基板50を外部から視認できるように構成されている。主制御基板50は、ケース本体55の開口した背面から収容されている。
【0059】
ケース本体55の表面55aには、主制御基板50の基板面に搭載されたコネクタ50aの頭部を露出させるための窓55kと、主制御基板50から発生した熱を放熱するための放熱孔55mとが開口形成されている。また、表面55aには、カバー56を開封した者の氏名および開封した年月日を記入するための記入部55nと、パチンコ機1の機種名を表示するための表示部55pとが形成されている。
【0060】
図9および図10に示すように、ケース本体55の左側面55dの下端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に取付けるための回動軸部材55iが左方に突出形成されている。また、カバー56の右側面56cの下端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に回動可能に取付けるための回動軸部材56iが右方に突出形成されている。図12に示すように、カバー56の平面56eには、内側下向きに屈曲したケース本体受け部56gが形成されており、底面56fには、内側上向きに屈曲したケース本体受け部56hが形成されている。カバー56の左側面56dは開口形成されている。左側面56dであって裏面56bの左端には、係止片56d1が突出形成されている。係止片56d1は、ケース本体55の左側面55dに形成された係止孔(図示省略)に係止される。
【0061】
ケース本体55の平面55eの左端には、右端が開口したカバー受け部55gが形成されており、底面55fの左端には、右端が開口したカバー受け部55hが形成されている。カバー56は、その開口した左側面56dから、ケース本体55の右側面55cへ挿入され、ケース本体55の平面55eがカバー56のケース本体受け部56gによって保持され、ケース本体55の底面55fがカバー56のケース本体受け部56hによって保持される。また、カバー56の平面56eの左端に位置するケース本体受け部56gは、ケース本体55のカバー受け部55gの右側面から挿入されて保持され、カバー56の底面56fの左端に位置するケース本体受け部56hは、ケース本体55のカバー受け部55fの右側面から挿入されて保持される。
【0062】
図12に示すように、ケース本体55の右側面55cには、ケース本体側カシメ部55j,55jが右方へ突出形成されており、各ケース本体側カシメ部55jには、係止片55j1がそれぞれ右方へ突出形成されている。また、ケース本体側カシメ部55j,55j間には、皿ネジ59bを挿通するためのネジ挿通部55tが形成されている。カバー56の右側面56cには、カバー側カシメ部56j,56jが右方へ突出形成されており、各カバー側カシメ部56jには、ケース本体側カシメ部55jの係止片55j1を係止するための係止孔56j1がそれぞれ形成されている。また、カバー側カシメ部56j,56j間には、皿ネジ59bを挿入するためのネジ挿入部56tが形成されている。また、各カバー側カシメ部56jの表面には、カシメピン58を挿入するための挿入孔がそれぞれ開口形成されている。
【0063】
カバー56の右側面56cの上端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に係止するための係止片56kが右方へ突出形成されており、左側面56dの上端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に係止するための係止片56kが左方へ突出形成されている。また、カバー56の右側面56cには、ケース本体55の右側面55cに形成された係止片55s,55sを係止するための係止孔56m,56mが開口形成されている。
【0064】
主制御基板ケース57には、上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bが備えられている。上コネクタカバー57aには、主制御基板50の表面55aにおいて平面55e寄りに設けられたコネクタ50aの頭部を露出させるための開口部57a1と、ケース本体55の左上角部のボス55rを嵌合するためのボス嵌合孔57a2と、タッピングネジ59aを挿通するためのネジ挿通孔57a3とが形成されている。下コネクタカバー57bには、主制御基板50の表面55aにおいて底面55f寄りに設けられたコネクタ50aの頭部を露出させるための開口部57b1と、ケース本体55の左下角部のボス55rを嵌合するためのボス嵌合孔57b2とが形成されている。
【0065】
各開口部57a1,57b1は、露出させるコネクタ50aの外周と接触する大きさに形成されている。これにより、上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bは、ケース本体55の窓55kから露出したコネクタ50aと、窓55kとの間に隙間が形成されない。つまり、上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bは、主制御基板ケース57の外部からコネクタ50aの周囲に形成された隙間を通して金属線などを挿入し、主制御基板50の回路に細工を施す不正行為を防止する役割を果たしている。
【0066】
ケース本体55の左端上下の角部および右端下の角部には、主制御基板50をケース本体55の裏面55bに固定するためのボス55rが形成されている。各ボス55rは、ケース本体55の裏面にも突出しており、ボス55rと対応する主制御基板50の角部に形成されたボス挿通孔に嵌合される。また、ケース本体55の右端上の角部には、ケース本体55、主制御基板50およびカバー56を一体的に固定するためのタッピングネジ59aを挿通するネジ挿通孔55yが貫通形成されている。カバー56の右端上の角部には、タッピングネジ59aを挿通するネジ挿通孔56pが形成されている。
【0067】
主制御基板ケース57は、封印シール100を保護するためのシールカバー57cを備える。図12に示すように、シールカバー57cは、板状に形成されたシールカバー本体57c1と、このシールカバー本体57c1に形成された係止片57c2とを備える。シールカバー本体57c1は、ケース本体55の左側面55dに貼着された封印シール100の表面を覆う大きさに形成されている。ケース本体55の左側面55dの正面寄りには、シールカバー57cを取付けるためのシールカバー取付け部57dが形成されている。シールカバー取付け部57dには、シールカバー57cの係止片57c2を係止するための係止孔57d1が形成されている。
【0068】
[主制御基板ケースの封印構造]
次に、主制御基板ケース57の封印構造について図を参照して説明する。
図13(a)は封印シールの拡大図、(b)は使用状態における封印シールの拡大図である。図14はRFタグの拡大図である。
【0069】
図9に示したように、ケース本体55およびカバー56の左側面には、ケース本体55およびカバー56の境界に跨って封印シール100が貼着されている。図13(a)に示すように、封印シール100は、矩形に形成されており、その裏面には、接着層から成る接着面100aが形成されている。この実施形態では、封印シール100は紙製であり、接着面100aの接着力は、封印シール100を剥がそうとすると容易に破れる程度の接着力である。
【0070】
封印シール100の接着面100aには、RFタグ200が貼着されている。この実施形態では、RFタグ200は帯状に形成されている。RFタグ200は、RFタグリーダ(RFタグ情報読取り装置)と通信を行うためのアンテナ201と、パチンコ機1を他のパチンコ機と識別するための固有の識別情報が記憶されたICチップ202とを備える。アンテナ201は、導電性の金属により膜状に形成されており、複数の切り込み203が形成されている。各切り込み203は、アンテナ201の長手方向と直交する方向に長手方向の端部に形成されている。
【0071】
各切り込み203は、アンテナ201の長手方向の端部から、封印シールの接着面100aにかけて形成されている。つまり、アンテナ201は、封印シール100を剥がしたときに、その剥がした位置に近い切り込み203から容易に破断するように構成されている。このように、封印シール100を剥がすとアンテナ201が破断してRFタグ200が機能しなくなり、RFタグリーダを用いてRFタグ200を読取る際に読取りエラーとなる。これにより、RFタグ200のアンテナ201が破断している、つまり、封印シール100が剥がされ、主制御基板50に不正行為が行われていると推定することができる。
【0072】
ICチップ202は、パチンコ機1の固有の識別情報が記憶された記憶部(図示省略)と、この記憶部に記憶されている識別情報を読出すための制御回路(図示省略)と、RFタグリーダと通信を行い、制御回路により読出された識別情報をRFタグリーダへ送信するための通信回路(図示省略)とを備える。この実施形態では、RFタグ200は、バッテリを持たない受動型のRFタグである。
【0073】
[主制御基板ケースの組付け方法]
主制御基板50の基板面に配置された各コネクタ50aに上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bを被せ、主制御基板50をケース本体55の開口した背面から収容する。このとき、ケース本体55の左上角部のボス55rを上コネクタカバー57aのボス嵌合孔57a2および主制御基板50の左上角部のボス嵌合孔(図示省略)に嵌合する。また、ケース本体左下角部のボス55rを下コネクタカバー57bのボス嵌合孔57b2および主制御基板50の左下角部のボス嵌合孔(図示省略)に嵌合する。また、ケース本体右下角部のボス55rを主制御基板50の右下角部のボス嵌合孔(図示省略)に嵌合する。
【0074】
また、ケース本体55の左側面55dの裏面に取付けられた端子55qを主制御基板50に設けられたコネクタ50bに接続する。そして、ケース本体55の右側面55cからカバー56の左側面56dを挿入して左方へスライドさせ、ケース本体55の右側面55cに形成された各係止片55sをカバー56の右側面56cに形成された各係止孔56mに係止する。
【0075】
このとき、各ケース本体側カシメ部55jの各係止片55jが各カバー側カシメ部56jの各係止孔56j1に係止される。そして、タッピングネジ59aをケース本体55のネジ挿通孔55y、上コネクタカバー57aのネジ挿通孔57a3およびカバー56のネジ挿通孔56pねじ込み、ケース本体55にカバー56を固定する。また、皿ネジ59bをケース本体55のネジ挿通部55tに挿通し、さらに、カバー56のネジ挿通部56tにねじ込む。さらに、カシメピン58,58に接着剤を塗布し、その各カシメピン58の先端に形成された係止片58bをカバー側カシメ部56j,56jに挿入する。
【0076】
これにより、係止片58bが、カバー側カシメ部56jの係止孔56j1に係止されたケース本体側カシメ部55jの係止片55j1を挟持し、さらに、各係止片58bがカバー側カシメ部56jの内部に係止される。また、各カバー側カシメ部56jのうち、カシメピン58の挿入口は、カシメピン58の基部58aによってそれぞれ閉塞される。
【0077】
次に、封印シール100を主制御基板ケース57に貼着する。封印シール100は、封印シール100およびRFタグ200がケース本体55の左側面55dおよびカバー56の表面56aを跨ぐように主制御基板ケース57の左側面に貼着する。そして、シールカバー57c1をケース本体55の取付け部57dに取付け、シールカバー57c1によって封印シール100の表面を保護する。
【0078】
[パチンコ機の主な電気的構成]
次に、パチンコ機1の主な電気的構成についてそれをブロックで示す図15および図16を参照して説明する。
【0079】
図15に示すように、主制御基板50には、主制御用MPU(マイクロプロセッサーユニット)51が搭載されている。主制御用MPU51はICチップであり、主制御基板50の基板面に取付けられた半導体ソケットに対して着脱可能に接続されている。主制御用MPU51は、主制御用CPU52と、主制御用ROM53と、主制御用RAM54とを備える。主制御用CPU52は、大当り判定、主制御用MPU51の識別情報の送信、大当り図柄の抽選、大当りの種類の抽選、ハズレ図柄の抽選、特別図柄変動時間(演出図柄変動時間)の抽選、入賞の検出、ゲート通過の検出、普通図柄の当り判定、賞球の払出命令など、遊技における重要な処理を実行する。
【0080】
主制御用ROM53には、主制御用CPU52が上記の各処理を実行するためのコンピュータプログラム、各制御基板へ送信する制御コマンド、大当り判定を行う際に参照する大当り値などが読出し可能に格納されている。また、主制御用ROM53には、このパチンコ機1の主制御用MPU51を他のパチンコ機の主制御用MPUと識別するための識別情報が記憶されている。主制御用RAM54は、主制御用CPU52が上記のコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、主制御用RAM54は、主制御用CPU52が上記のコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。
【0081】
また、主制御基板50には、第1始動口21に入賞した遊技球を検出する第1始動口スイッチ21aと、第2始動口22に入賞した遊技球を検出する第2始動口スイッチ22aとが電気的に接続されている。また、主制御基板50には、図柄表示基板84が電気的に接続されている。図柄表示基板84には、特別図柄表示装置31と、特別図柄保留数表示装置32と、普通図柄表示装置33と、普通図柄保留数表示装置34とが搭載されている。また、主制御基板50には、払出制御基板60と、外部端子板85と、セキュリティ中継端子板89とが電気的に接続されている。
【0082】
セキュリティ中継端子板89には、不正行為において使用される誘導磁界を検出するための誘導磁界センサ91と、不正行為において使用される磁気を検出するための第1磁気センサ92と、第2磁気センサ93とが電気的に接続されている。
【0083】
払出制御基板60には、下受け皿7が遊技球で満杯になった状態を検出するための下皿満杯スイッチ7bと、扉開放中継端子板86とが電気的に接続されている。扉中継端子板86には、ガラス枠セット3が開放された状態を検出するための扉開放スイッチ87と、外枠セット8が開放された状態を検出するための外枠開放スイッチ88とが電気的に接続されている。また、払出制御基板60には、払出中継端子板83が電気的に接続されており、払出中継端子板83には、遊技球を上受け皿6へ払出す部材を駆動するための払出モータ38cと、この払出モータ38cによって払出された遊技球を検出するための前部払出センサ38a,後部払出センサ38bと、払出モータ38cによって払出す遊技球が切れていることを検出する前部球切れスイッチ38d,後部球切れスイッチ38eとが電気的に接続されている。
【0084】
払出制御基板60には、払出制御用MPU61が搭載されており、その払出制御用MPU61は、払出制御用CPU62と、払出制御用ROM63と、払出制御用RAM64とを備える。払出制御用CPU62は、主制御用MPU51から送信される払出制御コマンドに従って払出モータ38cを制御し、賞球の払出しを制御する。また、払出制御用CPU62は、前部払出センサ38aおよび後部払出センサ38bからそれぞれ出力される信号の変化を検出し、払出された賞球数を計数する。
【0085】
払出制御用ROM63には、払出制御用CPU62が実行するコンピュータプログラムなどが読出し可能に格納されている。払出制御用RAM64は、払出制御用CPU62が上記のコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、払出制御用RAM64は、払出制御用CPU62が上記のコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。また、払出制御基板60には、プリペイドカードなどのプリペイド媒体の残り度数を表示する度数表示基板97が遊技球等貸出装置接続端子板96を介して電気的に接続されている。
【0086】
さらに、発射制御基板4には、遊技球を発射する発射装置を駆動する発射ソレノイド4fと、遊技球を発射位置へ供給する球供給装置を駆動する球送りソレノイド4gと、発射レバー4bの回動量に応じて発射装置4の発射強度を調節するための発射強度電子ボリューム4cと、遊技者が発射レバー4bに触れたことを検出して発射装置4を駆動させるためのタッチスイッチ4dと、発射レバー4bの回動によってオンまたはオフし、発射ソレノイド4fを駆動する発射スイッチ4eとが電気的に接続されている。
【0087】
主制御基板50には、盤面中継端子板37が電気的に接続されており、その盤面中継端子板37には、左袖上入賞口17に入賞した遊技球を検出するための左袖上入賞口スイッチ17aと、左袖入賞口18に入賞した遊技球を検出するための左袖入賞口スイッチ18aと、左下入賞口19に入賞した遊技球を検出するための左下入賞口スイッチ19aと、右肩入賞口20に入賞した遊技球を検出するための右肩入賞口スイッチ20aと、第1大入賞口24aに入賞した遊技球を検出するための第1大入賞口スイッチ24cと、ゲート23を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ23aと、第2大入賞口25aに入賞した遊技球を検出するための第2大入賞口スイッチ25cと、第1変動入賞装置24を駆動するための第1大入賞口ソレノイド24bと、普通電動役物27を駆動するための普通電動役物ソレノイド27bと、第2変動入賞装置25を駆動するための第2大入賞口ソレノイド25bとが電気的に接続されている。
【0088】
また、パチンコ機1には、主電源(AC/24V)95に接続された電源基板94が備えられており、電源基板94は、主電源95から供給される電源を主制御基板50と、払出制御基板60と、遊技球等貸出装置接続端子板96とに供給する。
【0089】
図16に示すように、パチンコ機1には、演出制御基板400が設けられており、その演出制御基板400には、画像音声制御基板70と、盤面演出中継端子板82と、盤面LED中継端子板81と、補助演出駆動基板500と、演出電源基板98とが電気的に接続されている。演出制御基板400には、演出制御用CPU402を備えた演出制御用MPU401が搭載されている。演出制御用CPU402は、主制御基板50(図15)から送信された演出制御信号を受信し、その受信した演出制御信号を対応する基板に振り分ける処理などを行う。
【0090】
画像音声制御基板70には、液晶中継端子板30aを介して演出表示器30が電気的に接続されている。また、画像音声制御基板70には、盤面演出中継端子板82が電気的に接続されており、その盤面中継端子板82には、枠部演出中継端子板83を介して右スピーカ10と、左スピーカ11と、下スピーカ12とが電気的に接続されている。また、枠部演出中継端子板83には、枠部LED駆動基板66を介して照光付演出スイッチ9aが電気的に接続されている。照光付演出スイッチ9aは、演出ボタン9を押圧操作したときにオンし、演出ボタン9に内蔵されているLEDを点灯させるスイッチである。
【0091】
画像音声制御基板70には、画像音声制御用MPU71が搭載されている。画像音声制御用MPU71は、画像音声制御用CPU72と、画像音声制御用ROM73と、画像音声制御用RAM74とを備える。画像音声制御用CPU72は、主制御基板50から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って演出表示器30を制御し、演出制御信号に対応する画像を演出表示器30に表示させる。また、画像音声制御用CPU72は、主制御基板50から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って各スピーカ10〜12を駆動し、演出制御信号に対応する効果音を各スピーカ10〜12から出力させる。
【0092】
画像音声制御用ROM73には、画像音声制御用CPU72が実行するコンピュータプログラムが読出し可能に格納されている。また、画像音声制御用ROM73には、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行するときに参照する各種のテーブルが読出し可能に格納されている。
また、画像音声制御用ROM73には、特別図柄、普通図柄および演出図柄などの変動パターンを決定するためのテーブルが格納されている。また、画像音声制御用ROM73には、パチンコ機1に設けられた演出用のLEDの点灯パターンを決定するためのテーブル、効果音や音楽の種類を決定するためのテーブルなど、演出に必要なテーブルやデータなどが格納されている。
【0093】
画像音声制御用RAM74は、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、画像音声制御用RAM74は、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。
【0094】
補助演出駆動基板500には、補助演出上中継端子板99と、補助演出右中継端子板68と、補助演出下中継端子板98とが電気的に接続されている。補助演出上中継端子板99には、可動役物43を回転させる万華鏡モータ43aと、可動役物43が原点に復帰したことを検出する万華鏡原点センサ43bと、可動役物42を駆動する右竜モータ42aと、可動役物42が原点に復帰したことを検出する右竜原点センサ42bと、可動役物41を駆動する左竜モータ41aと、可動役物41が原点に復帰したことを検出する左竜原点センサ41bとが電気的に接続されている。
【0095】
補助演出右中継端子板68には、可動役物40を振動させる家紋モータ40bと、可動役物40bの位置を検出する家紋位置確認センサ40cと、可動役物40を上昇させる右リフト(図示省略)を駆動する右リフトモータ40dと、右リフトが原点に復帰したことを検出する右リフト原点センサ40eとが電気的に接続されている。
補助演出下中継端子板98には、可動役物40を上昇させる左リフト(図示省略)を駆動する左リフトモータ40fと、左リフトが原点に復帰したことを検出する左リフト原点センサ40gと、可動役物45を移動させる扉右モータ45aと、可動役物45が原点に復帰したことを検出する扉右原点センサ45bと、可動役物44を移動させる扉左モータ44aと、可動役物44が原点に復帰したことを検出する扉左原点センサ44bとが電気的に接続されている。
【0096】
補助演出駆動基板500には、補助演出制御用MPU501が搭載されている。補助演出制御用MPU501は、補助演出制御用CPU502と、補助演出制御用ROM503と、補助演出制御用RAM504とを備える。補助演出制御用CPU502は、主制御基板50から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って可動役物40〜45の動作を制御する。補助演出制御用ROM503には、補助演出制御用CPU502が実行するコンピュータプログラムが読出し可能に格納されている。また、補助演出制御用ROM503には、補助演出制御用CPU502がコンピュータプログラムを実行するときに参照する各種のテーブル(たとえば、可動役物40〜45の動作パターン)が読出し可能に格納されている。
【0097】
補助演出制御用RAM504は、補助演出制御用CPU502がコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、補助演出制御用RAM504は、補助演出制御用CPU502がコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。
【0098】
演出電源基板98は、電源基板94(図15)から供給される電源を演出電源基板98と電気的に接続された各基板へ分配する。盤面LED中継端子板81には、遊技盤5に設けられた装飾用の各LEDが搭載されている。
【0099】
[パチンコシステムの構成]
次に、パチンコシステムの構成について、それをブロックで示す図17を参照して説明する。
【0100】
パチンコホールに配置された複数のパチンコ機1が、それぞれ通信回線L1を介してホールコンピュータ69と通信可能に接続されている。たとえば、ホールコンピュータ69は、パチンコホールの管理室などに配置されている。
ホールコンピュータ69には、コンピュータ69aと、外部記憶装置69eと、表示装置69fと、入力装置69gと、通信制御回路69hとが備えられている。
【0101】
コンピュータ69aには、CPU69bと、ROM69cと、RAM69dとが備えられている。通信制御装置69hは、各パチンコ機1から送信された主制御用MPU51のID(識別情報)を受信し、コンピュータ69aにより処理可能な信号に変換するなどの処理を行う。外部記憶装置69eは、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置であり、各パチンコ機1の正規のID(製造時のID)が書換え可能に記憶されている。
【0102】
表示装置69fは、たとえば、液晶ディスプレイであり、コンピュータ69aの処理結果を表示する。表示装置69fは、エラーの発生したパチンコ機を特定する表示を行う。たとえば、表示装置69fは、パチンコホールに設置されている総てのパチンコ機の台番号を画面に表示し、エラーの発生したパチンコ機の台番号を点滅させたり、あるいは、エラーの発生したパチンコ機の台番号の表示色を変化させたりする。
【0103】
入力装置69gは、コンピュータ69aにコマンドやデータなどを入力してコンピュータ69aに所定の処理を実行させるためのものであり、たとえば、キーボードおよびポインティングディバイス(たとえば、マウスなど)などである。
CPU69bは、通信制御回路69hを介して各パチンコ機1から読取ったIDが、外部記憶装置69eに予め記憶されている正規のIDと一致するか否かの判定処理を行う。つまり、受信されたIDが、不正なIDか否かの判定処理を行う。
【0104】
CPU69bは、上記の判定処理において、受信したIDが外部記憶装置69eに予め記憶されている正規のIDと一致しないと判定した場合に、その判定の対象となったIDを送信してきたパチンコ機を特定する表示を表示装置69fにて行う。ROM69cは、CPU69bが上記の判定処理などを実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。RAM69dはCPU69bの処理結果などを一時的に記憶する。
【0105】
[ID判定処理]
次に、ホールコンピュータ69のCPU69bが実行するID判定処理の内容についてそれを示す図18のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明では、CPU69bが実行する処理ステップをSと略す。この実施形態におけるID判定処理は、パチンコ機1をパチンコホールに設置して試射を行うときなど、パチンコ機1が起動したときに実行される。
【0106】
ホールコンピュータ69のCPU69bは、各パチンコ機1が起動したか否かを判定し(S10)、起動したと判定すると(S10:Yes)、各パチンコ機1の主制御用ROM53に記憶されているIDを読取る(S11)。続いて、その読取った各IDが予め外部記憶装置69eに記憶されている正規のIDのいずれかと一致するか否か、つまり、外部記憶装置69eに登録されていないIDが存在するか否かを判定する(S12)。ここで、登録されていないIDが存在すると判定した場合は(S12:No)、登録されていないIDが存在することを報知するエラー報知を行う(S14)。このエラー報知は、前述したように表示装置69fにパチンコ機の台番号を表示することにより行うことができる。
【0107】
このように、主制御用MPU51が不正なものに交換されていると、パチンコ機1が起動したときにホールコンピュータ69においてエラー報知が行われ、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1の台番号が表示される。
したがって、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1を容易に発見することができる。また、パチンコ機1をパチンコホールに設置した最初の起動時に発見することができるため、不正行為によるパチンコホールの被害を最小限に抑えることができる。
【0108】
[第1実施形態の効果]
(1)上述したように、第1実施形態のパチンコシステムを使用すれば、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1を容易に発見することができる。
(2)しかも、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1を、パチンコ機1をパチンコホールに設置して試射を行った段階で発見することができる。
したがって、遊技者が遊技を行う前に不正を発見することができるため、パチンコホールの被害を未然に防ぐことができる。
【0109】
〈第2実施形態〉
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
従来、払出制御用MPU61を交換し、規定数よりも多くの賞球が払出されるようにする不正行為が行われ、パチンコホールが損害を被っていた。そこで、この第2実施形態のパチンコシステムは、そのような不正行為によるパチンコホールの損害が発生しないようにすることを目的としており、払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができることを特徴としている。
【0110】
払出制御基板60が収容された払出制御基板ケース65(図7)も主制御基板ケース57と同様にケース本体およびカバーから構成されている。そして、払出制御用MPU61は、払出制御基板60の基板面に取付けられた半導体ソケットに対して着脱可能に接続されている。また、払出制御用ROM53には、このパチンコ機1の払出制御用MPU61を他のパチンコ機の払出制御用MPUと識別するための識別情報が記憶されている。
【0111】
ホールコンピュータ69のCPU69bは、各パチンコ機1が起動したときに各パチンコ機1の払出制御用ROM63に記憶されているIDを読込み、その読込んだ各IDの中に予め外部記憶装置69eに登録されていないIDが存在すると判定した場合は、登録されていない不正なIDが存在することを報知するエラー報知を行う。このエラー報知は、登録されていないIDが記憶されているパチンコ機の台番号を表示装置69fに表示することにより行うことができる。
【0112】
[第2実施形態の効果]
(1)上述したように、第2実施形態のパチンコシステムを使用すれば、払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機1を容易に発見することができる。
(2)しかも、払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機1を、パチンコ機1をパチンコホールに設置して試射を行った段階で発見することができる。
したがって、遊技者が遊技を行う前に不正を発見することができるため、パチンコホールの被害を未然に防ぐことができる。
【0113】
〈他の実施形態〉
(1)各パチンコ機1が起動したときにホールコンピュータ69が各パチンコ機1の主制御用MPU51および払出制御用MPU61の各IDを読取り、少なくとも一方のIDが登録されていないIDであった場合にホールコンピュータ69においてエラー報知を行うように構成することもできる。この構成を用いれば、主制御用MPU51および払出制御用MPU61の少なくとも一方が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができる。
【0114】
(2)ホールコンピュータ69が、パチンコ機1から読取ったIDが、予め登録されているIDではないと判定した場合に、その判定の対象となったIDを送信してきたパチンコ機へホールコンピュータ69からエラー報知信号を送信し、そのパチンコ機においてエラー報知を行うように構成することもできる。たとえば、そのパチンコ機の演出表示器30にエラー表示を行ったり、パチンコ機に設けられた特定のLEDを点灯または点滅させたりしてエラー報知を行う。この構成を用いれば、主制御用MPU51または払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機を、ホールコンピュータが設置された場所へ行かなくても容易に発見することができる。
【符号の説明】
【0115】
1・・パチンコ機、4・・発射制御基板(発射装置)、5・・遊技盤、
21・・第1始動口(始動口)、22・・第2始動口(始動口)、
30・・演出表示器、50・・主制御基板、51・・主制御用MPU(主制御回路)、
53・・主制御用ROM(パチンコ機側記憶手段)、
55・・ケース本体(第1部材)、56・・カバー(第2部材)、
57・・主制御基板ケース、60・・払出制御基板、
61・・払出制御用MPU(払出制御回路)、
63・・払出制御用ROM(パチンコ機側記憶手段)、69・・ホールコンピュータ、
69e・・外部記憶装置(ホールコンピュータ側記憶手段)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技球が始動口を通過したときに大当りかハズレかを判定する主制御回路が搭載された主制御基板と、この主制御基板が開口部から収容された第1部材と、その開口部を覆う第2部材とを備えた複数のパチンコ機と、各パチンコ機と通信を行うホールコンピュータとを備えたパチンコシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図19は、従来のパチンコ機の正面説明図である。従来のパチンコ機900は、発射ハンドル901と、遊技盤902と、始動口903と、演出表示器904と、変動入賞装置905とを備える。遊技者が発射ハンドル901を操作して発射された遊技球が始動口903に入賞すると、始動口903に入賞した遊技球を検出するスイッチがオンし、パチンコ機900に内蔵されたマイクロコンピュータ(図20において符号701で示す)が、大当りかハズレかの判定(以下、大当り判定という)を行う。
【0003】
そして、演出表示器904が、複数の図柄の変動表示(スクロール表示ともいう)を開始する。たとえば、連続した異なる数字(たとえば、0〜9)を表現した図柄の配列(以下、図柄列という)を画面上の横方向3箇所の表示領域において、数字の昇順に画面の上から下へ移動するように表示する。また、機種によっては画面の右から左へ移動するように表示する。以下、これらのような図柄列の表示態様を図柄の変動表示という。
【0004】
そして、演出表示器904が図柄の変動表示を開始してから所定時間経過すると、各表示領域において図柄の変動表示が停止し、前述したマイクロコンピュータ701による判定結果に対応する図柄が各表示領域に確定表示される。たとえば、抽選結果が大当りであった場合は、「777」などの同一数字から成る大当り図柄が確定表示され、抽選結果がハズレであった場合は、「767」などのハズレ図柄が確定表示される。なお、確定表示とは、大当り判定の結果を示す図柄が確定した表示状態のことであり、図柄が再変動することのない表示状態のことである。
【0005】
演出表示器904が大当り図柄を確定表示すると大当りが発生し、変動入賞装置905が開閉部材906を開作動し、大入賞口907を開口させる。大入賞口907は、普通の入賞口よりも開口面積が大きいため、入賞が容易になる。そして、大入賞口907に規定数(たとえば、10個)の遊技球が入賞したという条件、あるいは、大入賞口907の開口時間が規定時間(たとえば、30秒)に達したという条件が満足されると、開閉部材906が閉成し、大入賞口907が閉口する。
【0006】
そして、大入賞口907の開口から閉口までを1ラウンドとし、複数のラウンド(たとえば、最大14ラウンド)が実行され、その間に遊技者は多量の賞球を獲得することができる。以下、第1ラウンドから最終ラウンドまでの遊技を大当り遊技という。また、特定の大当り図柄にて大当りが発生した場合は、この大当りに基づく大当り遊技が終了した以降の遊技状態が、大当りの発生確率の高い遊技状態に変化する。このように大当りの発生確率が低確率から高確率に変化することを確変と呼ぶ。以下、確変が発生する大当りのことを確変大当りといい、確変大当り以外の大当りのことを通常大当りという。また、確変に変化した遊技状態を確変遊技状態という。この確変遊技状態は、次の大当りが発生するまで継続する。
【0007】
図20は、図19に示す従来のパチンコ機900に設けられた主制御基板ケースの説明図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【0008】
主制御基板ケース600は、パチンコ機900の裏面に設けられている。主制御基板ケース600は、正面が開口したケース本体601と、このケース本体601の正面を覆うカバー602とを備える。ケース本体601は箱状に形成されており、カバー602は平板状に形成されている。ケース本体601には、マイクロコンピュータ701が搭載された主制御基板700が正面の開口部から収容されている。ケース本体601およびカバー602は、複数のワンウエイねじ603によって開封不能に固定されている。
【0009】
また、ケース本体601およびカバー602の境界には、それを跨ぐようにRFタグ(RFIDタグ、または、ICタグともいう)801が配置されている。さらに、RFタグ801の上には、封印シール800がケース本体601およびカバー602の境界を跨ぐように貼着されている。RFタグ801には、パチンコ機900を他のパチンコ機と識別するための固有の識別情報が記憶されている。また、RFタグ801は、カバー602を無理にこじ開けると、RFタグ801を構成するアンテナが断線し、通信不能となるように構成されている。また、封印シール800は紙製であり、そのまま剥がすと、破れ、その痕跡が残るようになっている。
【0010】
そして、パチンコ機900をパチンコホールに設置したときに、RFタグリーダを用いてRFタグ801の識別情報を読取り、その読取った識別情報が、予めRFタグリーダに登録されている識別情報と一致するか否かの検査を行う。このとき、RFタグ801のアンテナが破損していると、読取りエラーが報知されるため、カバー602が開放され、マイクロコンピュータ701が不正なものに交換されたおそれがあると推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−148596号公報(第22〜30段落、図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、封印シールが破れないように、かつ、RFタグのアンテナが断線しないように溶剤で封印シールを剥がし、主制御基板のマイクロコンピュータを不正なマイクロコンピュータに交換して大当りが発生し易いようにする不正行為が発生した。この不正行為では、RFタグが正常に機能するため、パチンコホールにおけるRFタグリーダを用いた検査では発見することができない。
【0013】
そこでこの発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、主制御基板のマイクロコンピュータが不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができるパチンコシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(請求項1に係る発明)
上記の目的を達成するため、この出願の請求項1に係る発明では、盤面上に遊技領域が形成された遊技盤(5)と、前記遊技盤に設けられた始動口(21,22)と、遊技球(P)を前記遊技領域へ発射する発射装置(4,4a〜4g)と、前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口を通過したときに大当りかハズレかを判定する主制御回路(51)が搭載された主制御基板(50)と、前記主制御基板が開口部から収容された第1部材(55)と、前記開口部を覆う第2部材(56)と、を備えた複数のパチンコ機(1)と、前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータ(69)と、を備えたパチンコシステムにおいて、前記主制御回路は、前記複数のパチンコ機に備えられた複数の主制御回路の中で他の主制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段(53)を備えており、前記ホールコンピュータは、前記複数のパチンコ機の各主制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段(69e)と、前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段(S11)と、前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段(S12)と、前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段(S14)と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0015】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明では、盤面上に遊技領域が形成された遊技盤(5)と、前記遊技盤に設けられた入賞口(17〜22)と、遊技球を前記遊技領域へ発射する発射装置(4,4a〜4g)と、前記発射装置により発射された遊技球が前記入賞口を通過したときに賞球の払出しを命令する払出制御信号を出力する主制御回路(51)が搭載された主制御基板(50)と、賞球を払出す賞球払出装置(38)と、前記主制御回路から前記主制御基板を介して送信された前記払出制御信号に基づいて前記賞球払出装置を駆動する払出制御回路(61)が搭載された払出制御基板(60)と、前記払出制御基板が開口部から収容された第1部材(55)と、前記開口部を覆う第2部材(56)と、を備えた複数のパチンコ機(1)と、前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータ(69)と、を備えたパチンコシステムにおいて、前記払出制御回路は、前記複数のパチンコ機に備えられた複数の払出御回路の中で他の払出制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段(63)を備えており、前記ホールコンピュータは、前記複数のパチンコ機の各払出制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段(69e)と、前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段(S11)と、前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段(S12)と、前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段(S14)と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0016】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明では、請求項1または請求項2に記載のパチンコシステムにおいて、前記読取手段(S11)は、前記複数のパチンコ機(1)に備えられた各パチンコ機側記憶手段(53,63)に記憶されている識別情報を各パチンコ機が起動したときに読取るという技術的手段を用いる。
【0017】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0018】
(請求項1に係る発明)
主制御基板に搭載された主制御回路を不正なものに交換すると、主制御回路のパチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報が変更されるため、ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報と一致しなくなる。このため、ホールコンピュータは、パチンコ機のパチンコ機側記憶手段から読取った識別情報がホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致しないと判定し、その判定の対象となった識別情報を送信してきたパチンコ機を特定する報知を行う。
【0019】
したがって、請求項1に係る発明によれば、主制御基板に搭載された主制御回路が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができる。
【0020】
(請求項2に係る発明)
払出制御基板に搭載された払出制御回路を不正なものに交換すると、払出制御回路のパチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報が変更されるため、ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報と一致しなくなる。このため、ホールコンピュータは、パチンコ機のパチンコ機側記憶手段から読取った識別情報がホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致しないと判定し、その判定の対象となった識別情報を送信してきたパチンコ機を特定する報知を行う。
【0021】
したがって、請求項2に係る発明によれば、払出制御基板に搭載された払出制御回路が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができる。
【0022】
(請求項3に係る発明)
ホールコンピュータは、複数のパチンコ機に備えられたパチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を各パチンコ機が起動したときに読取るため、パチンコ機をパチンコホールに設置し、試射を行った段階で、主制御回路または払出制御回路が不正なものに交換されたパチンコ機を発見することができる。
したがって、遊技者が遊技を行う前に不正を発見することができるため、パチンコホールの被害を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係るパチンコシステムを構成するパチンコ機の外観を示す正面斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の平面図である。
【図3】図1に示すパチンコ機に備えられた遊技盤の正面図である。
【図4】図3に示す遊技盤の正面斜視図である。
【図5】図3に示す遊技盤に設けられた可動役物40が下降した状態を示す正面図である。
【図6】(a)は図3示す遊技盤に設けられた第1および第2変動入賞装置の正面拡大図、(b)は図3に示す遊技盤に設けられた特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、特別図柄記憶表示装置および普通図柄記憶表示装置の正面拡大図である。
【図7】図1に示すパチンコ機の背面斜視図である。
【図8】図1に示すパチンコ機の背面における内部構造の一部を示す部分背面図である。
【図9】(a)は図8に示す主制御基板ケース57の正面図、(b)は左側面図である。
【図10】(a)は図8に示す主制御基板ケース57の正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。
【図11】(a)は図8に示す主制御基板ケース57の正面斜視図、(b)は右側面図、(c)は(a)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図、(d)は(b)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【図12】図11(a)に示す主制御基板ケース57の分解斜視図である。
【図13】(a)は封印シールの拡大図、(b)は使用状態における封印シールの拡大図である。
【図14】RFタグの拡大図である。
【図15】図1に示すパチンコ機の主な電気的構成の一部をブロックで示す説明図である。
【図16】図1に示すパチンコ機の主な電気的構成の一部をブロックで示す説明図である。
【図17】パチンコシステムの構成を示す説明図である。
【図18】ホールコンピュータが実行するID判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図19】従来のパチンコ機の外観を示す正面図である。
【図20】(a)は図19に示す従来のパチンコ機に備えられた主制御基板ケースの正面図、(b)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〈第1実施形態〉
この発明の第1実施形態について説明する。
[主要構成]
この実施形態に係るパチンコシステムを構成するパチンコ機の主要構成について図を参照して説明する。図1は、この実施形態に係るパチンコ機の外観を示す正面斜視図であり、図2は、図1に示すパチンコ機の平面図である。
【0025】
図1に示すように、この実施形態に係るパチンコシステムを構成するパチンコ機1には、外殻を構成する外枠セット8が設けられており、この外枠セット8には前枠セット2が設けられている。その前枠セット2は天板1aを備えており、その天板1aの左端前方には回動軸部材1bが設けられている。前枠セット2には透明なガラス枠セット3が、回動軸部材1bを回動軸にして開閉可能に取付けられている。
【0026】
ガラス枠セット3の内側には、遊技盤(図3において符号5で示す)が設けられており、前枠セット2の前面右下方には、遊技盤5へ遊技球を発射する発射装置を操作する発射ハンドル4aが取付けられている。発射ハンドル4aには、遊技球の発射強度を調節するための発射レバー4bが発射ハンドル4aに対して回動自在に装着されている。
【0027】
遊技盤5の下方には、パチンコ機1の内部から払出された賞球や貸球を収容する上受け皿6が設けられており、上受け皿6には、貸球の払出しを行うために遊技者が操作する球貸操作部6aが設けられている。上受け皿6の下方には、上受け皿6の収容可能数を超えて流下した遊技球を収容する下受け皿7が設けられている。下受け皿7には、下受け皿7に収容されている遊技球を下受け皿7の外部へ排出するために遊技者が操作する球抜きレバー7aが設けられている。
【0028】
前枠セット2には、払出すべき遊技球が無いことを報知する球切れLED13と、遊技球の払出しの異常を報知する払出異常LED14とが設けられている。また、前枠セット2には、効果音を発生する右スピーカ10と、左スピーカ11と、下スピーカ12とが設けられている。また、上受け皿6には、遊技者が演出内容を選択するために操作する演出ボタン9が設けられている。
【0029】
図2に示すように、パチンコ機1の背面上方には、遊技球を貯留するための球タンク80が設けられている。パチンコ機1が設置されている島の上方には各パチンコ機に遊技球を供給する遊技球供給流路が配置されており、その遊技球供給経路から遊技球が球タンク80に供給される。また、パチンコ機1の背面は、カバー90によって覆われている。
【0030】
[遊技盤の主要構成]
次に、パチンコ機1に備えられた遊技盤の主要構成について図を参照して説明する。
図3は図1に示すパチンコ機に備えられた遊技盤の正面図であり、図4は図3に示す遊技盤の正面斜視図である。図5は図3に示す遊技盤に設けられた可動役物40が下降した状態を示す正面図である。図6(a)は図3示す遊技盤に設けられた第1および第2変動入賞装置の正面拡大図、(b)は図3に示す遊技盤に設けられた特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、特別図柄記憶表示装置および普通図柄記憶表示装置の正面拡大図である。
【0031】
遊技盤5の盤面には、遊技球が流下する遊技領域が形成されており、遊技球の流下経路は、遊技盤5の盤面に打ち込まれた多数の遊技釘29によって規制されている。遊技盤5の盤面の周囲には、発射ソレノイド(図15において符号4fで示す)などの発射装置によって発射された遊技球を遊技領域に案内するためのレールセット15が設けられている。
【0032】
遊技盤5の中央には、センター飾り16が設けられている。このセンター飾り16は、図4に示すように盤面から前方へ突出する立体形状に形成されており、遊技領域の中央領域を占有している。センター飾り16には、演出図柄を変動表示したり、各種の演出画像を表示する演出表示器30が設けられている。この実施形態では、演出表示器30は、液晶表示装置により構成されている。なお、LEDをドットマトリクス状に配置した表示器、7セグメントLED、有機ELパネルなどを演出表示器30として用いることもできる。
【0033】
センター飾り16の左外面には、遊技球がセンター飾り16の内部に流入可能な流入口16bが開口形成されている。図5に示すように、センター飾り16の内部には、流入口16bから流入した遊技球を案内するための案内通路16eが設けられている。センター飾り16の左内面には、案内通路16eによって案内された遊技球を流出させるための流出口16cが開口形成されている。
【0034】
センター飾り16の下部には、流出口16cから流出した遊技球が転動するためのステージ16dが設けられている。流出口16cから流出した遊技球は、ステージ16dの上を流下経路R2にて流下し、流下経路R3〜R5のいずれかに沿って流下する。ステージ16dの直下であって、流下経路R3に沿った箇所には、第1始動口21が設けられている。ステージ16dの上方には、流出口16cから流出した遊技球以外の遊技球がステージ16dに落下しないようにするための防護部材16fが設けられている。センター飾り16の上面には、案内部16aが形成されており、案内部16aに乗った遊技球は、流下経路R1に沿って、センター飾り16の右方に形成された右寄り遊技領域へ案内される。
【0035】
盤面の左側には、レールセット15の内周に沿って左サイド飾り36が設けられている。左サイド飾り36とセンター飾り16との間には、遊技球が流下する左寄り遊技領域が形成されている。その左寄り遊技領域には、遊技球の流下経路を変化させる風車35が回転自在に設けられている。
【0036】
左サイド飾り36には、左袖上入賞口17と、左袖入賞口18と、左下入賞口19とが設けられている。盤面の右側には、右サイド飾り37が設けられており、その右サイド飾り37には、右肩入賞口20が設けられている。右寄り遊技領域のセンター飾り16には、普通電動役物27が設けられている。普通電動役物27は、翼形状の開閉翼片27cを備えている。開閉翼片27cは、その基部が回動可能に軸支されており、その基部の回動によって先端を外方(図中では右方)へ開いたり内方(図中では左方)へ閉じたりする。
【0037】
開閉翼片27cが外方へ開くと、その開いた開閉翼片27cとセンター飾り16との間に第2始動口22が形成される。図3は、開閉翼片27cが外方へ開き、第2始動口22が形成された状態を示す。遊技盤5の下方には、どこにも入賞などしなかった遊技球を回収するためのアウト口26が開口形成されている。
【0038】
演出表示器30の上方であってセンター飾り16の中央には、LEDによって装飾された可動役物40が設けられている。図5に示すように、可動役物40の両端は、支持部材40a,40aによって支持されている。図5に示すように、可動役物40は、所定の演出タイミングになると演出表示器30の前面に自然落下し、図3に示すように、モータ(図16において右リフトモータ40dおよび左リフトモータ40fで示す)などの昇降装置によって上昇して落下前の原点に復帰する。
【0039】
また、可動役物40は、モータ(図16において家紋モータ40bで示す)およびカム機構(図示せず)などの駆動装置によって振動する。図5に示すように、可動役物40の背面には、LEDによって装飾された可動役物43が設けられている。可動役物43は、モータ(図16において万華鏡モータ43aで示す)などの駆動装置によって回転し、可動役物40が落下すると出現する。また、センター飾り16の両側には、可動役物41,42が設けられている。可動役物41,42は、それぞれモータ(図16において左竜モータ41aおよび右竜モータ42aで示す)などの駆動装置によって作動する。
【0040】
また、図4に示すように、センター飾り16の下部であって、演出表示器30の前面下部には、箱状の収納部材46が設けられている。この収納部材46の内部には、図5に示す可動役物44,45が収納されている。可動役物44,45は、それぞれモータ(図16において扉左モータ44aおよび扉右モータ45aで示す)などの駆動装置によって左右方向へ移動する。可動役物44,45は、合体したときに一つの意匠を構成する。
【0041】
収納部材46の正面および背面は、透光性材料によって形成されており、遊技者が可動役物44,45の状態を視認できるようになっている。また、相互に離反した可動役物44,45間に形成された空間の奥には、LEDにより装飾された装飾部材(図示省略)が設けられており、可動役物44,45が相互に離反したときに装飾部材の各LEDが点灯または点滅するようになっている。
【0042】
この実施形態では、可動役物40は、家紋を模した形状に形成されており、可動役物40を装飾しているLEDが点灯することによって家紋が浮き出るように構成されている。また、可動役物43は万華鏡を模した形状に形成されており、可動役物43を装飾しているLEDが点灯または点滅することにより、あたかも万華鏡を覗いているように見える演出を行う。また、可動役物41,42は、それぞれ竜の頭を模した形状に形成されており、前述した駆動装置によって竜が口を開閉する。
【0043】
図5は、可動役物41,42が作動し、一対の竜がそれぞれ口を開けた状態を示す。また、可動役物41,42の内部には、それぞれLED41c,42cが設けられており、そのLEDが点灯することにより、あたかも竜が火を吹くように見える演出を行う。また、可動役物44,45は、それぞれ扉形状に形成されており、各前面には竜の一部がそれぞれ描かれている。そして、可動役物44,45が合体すると、竜が完成するようになっている。
【0044】
上述した各可動役物40〜45は、遊技中の所定のタイミングで動作して演出効果を高める。また、各可動役物40〜45は、動作することにより、大当りの発生の予告、大当りの発生の示唆、演出表示器30が大当り発生の確率が高い演出画像を表示することの予告など、各種の予告を行う。
【0045】
図3において第1始動口21と右肩入賞口20との間(図中において符号Bで示す破線で囲まれた領域)には、図6(a)に示すように、第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25が上下に重ねて設けられている。第1変動入賞装置24は、横長板状の第1開閉部材24dを備えており、この第1開閉部材24dは、ソレノイド(図15において第1大入賞口ソレノイド24bで示す)などの駆動装置によって開閉する。第1開閉部材24dが開放すると、第1大入賞口24aが開口する。
【0046】
第2変動入賞装置25は、横長板状の第2開閉部材25dを備えており、この第2開閉部材25dは、ソレノイド(図15において第2大入賞口ソレノイド25bで示す)などの駆動装置によって開閉する。第2開閉部材25dが開放すると、第2大入賞口25aが開口する。図6(a)は、第1大入賞口24aおよび第2大入賞口25aがそれぞれ開口した状態を示す。第1大入賞口24aおよび第2大入賞口25aは、大当りが発生したときに開口する。この実施形態では、第1開閉部材24dおよび第2開閉部材25dは、それぞれ横長の板状に形成されており、両側の下端を軸にして前後に開閉するように構成されている。
【0047】
図3において左サイド飾り36の左袖上入賞口17の左側(図中において符号Aで示す破線で囲まれた領域)には、図6(b)に示すように、特別図柄表示装置31と、普通図柄表示装置33と、特別図柄保留数表示装置32および普通図柄保留数表示装置34とが設けられている。
この実施形態では、特別図柄表示装置31、普通図柄表示装置33、特別図柄保留数表示装置32および普通図柄保留数表示装置34は、それぞれLEDにより構成されているが、液晶表示装置などにより構成することもできる。
【0048】
特別図柄表示装置31は複数(たとえば、図6(b)に示すように7個)のLEDにより構成されており、それらのLEDは、遊技球が第1始動口21または第2始動口22に入賞すると所定の点滅パターンで点滅する。それらのLEDが点灯したときの発光色および消灯したときのLEDの地の色が特別図柄を構成し、LEDが点滅している状態が、特別図柄が変動表示している状態である。
【0049】
特別図柄表示装置31は、各LEDをランダムに点滅させ、その点滅が停止したときに点灯しているLEDおよび消灯しているLEDの組合せが特定の組合せであるときに大当りが発生し、その組合せの種類によって大当りの種類が異なる。大当りの種類は、大当り遊技において実行可能な最大ラウンド数、通常大当り、確変大当りおよび時短のうちの2つ以上を組み合わせて構成されている。また、大当りの種類によって第1変動入賞装置24および第2変動入賞装置25のどちらかが動作して大当り遊技が行われる。
ここで、時短とは、特別図柄が変動表示を開始してから変動表示を終了するまでに要する時間が短縮され、かつ、普通図柄が変動表示を開始してから変動表示を終了するまでに要する時間が短縮された遊技状態をいう。
【0050】
特別図柄表示装置31が特別図柄を変動表示しているときに遊技球が始動口21または始動口22に入賞したときは、その入賞に基づく特別図柄の変動表示は直ぐに実行されず、一旦保留される。その保留数は、特別図柄保留数表示装置32によって表示される。この実施形態では、特別図柄保留数表示装置32は4個のLEDによって構成されており、そのLEDの点灯数によって特別図柄保留数を表示する。つまり、この実施形態では、特別図柄保留数は最大4個である。
【0051】
演出表示器30は、特別図柄表示装置31の演出効果を高める目的で設けられている。つまり、特別図柄表示装置31は、複数のLEDによって構成されており、LEDの点滅のみでは演出効果が乏しいため、演出表示器30が演出図柄を変動表示したり、演出用の動画などの演出画像を表示したりすることによって演出効果を高めている。なお、演出図柄とは、LEDによって表示される特別図柄に代わって表示する演出用の図柄のことであり、複数の識別情報を表現した図柄である。たとえば、0〜9の数字を表現した図柄であり、演出表示器30は、図柄列を数字の昇順に表示する。また、演出表示器30は、動画および静止画像により構成された演出画像を単独で、あるいは、演出図柄と共に表示する。
【0052】
演出表示器30は、特別図柄表示装置31が特別図柄の変動表示を開始すると同時に演出画像および演出図柄の表示を開始する。また、演出表示器30は、特別図柄表示装置31が特別図柄の変動表示を終了すると同時に演出画像および演出図柄の表示を終了し、特別図柄表示装置31が確定表示した大当り図柄またはハズレ図柄に対応する演出図柄を確定表示する。
【0053】
普通図柄表示装置33は、複数(たとえば、図6(b)に示すように2個)のLEDにより構成されており、各LEDが点灯したときの発光色および消灯したときのLEDの地の色が普通図柄を構成する。また、普通図柄表示装置33がLEDを点滅させている状態が、普通図柄が変動表示している状態であり、変動表示が終了したときに点灯および消灯しているLEDの組合せによって普通図柄の当りまたはハズレが報知される。当りの普通図柄が確定表示されると、普通電動役物27の開閉翼片27cの開放時間が長くなり、普通電動役物27への入賞が容易になる。つまり、単位時間当りに特別図柄が変動表示を開始する回数が多くなり、大当りが発生する確率が高くなる。
【0054】
遊技球がゲート23を通過すると、普通図柄表示装置33が普通図柄の変動表示を開始する。そして、普通図柄表示装置33が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート23を通過したときは、その通過による普通図柄の変動表示が保留され、その保留数は普通図柄保留数表示装置34により表示される。この実施形態では、普通図柄保留数表示装置34は、4個のLEDによって構成されており、そのLEDの点灯数によって保留数を表示する。つまり、この実施形態では、普通図柄保留数は最大4個である。
【0055】
[背面の構造]
次に、パチンコ機1の背面の構造について図を参照して説明する。
図7は、パチンコ機1の背面斜視図であり、図8は、パチンコ機1の背面における内部構造の一部を示す部分背面図である。
【0056】
パチンコ機1の背面に設けられたカバー90の内部には、主制御基板(図10(c)において符号50で示す)が収容された主制御基板ケース57などが設けられている。カバー90の下方には、発射制御基板4が収容された発射制御基板ケース4hと、払出制御基板(図23において符号60で示す)が収容された払出制御基板ケース65とが設けられている。主制御基板ケース57の右方には、賞球を払出す賞球払出装置38が設けられている。また、パチンコ機1の背面には、パチンコ機1にAC24Vを供給するための電源プラグ82が接続されている。
【0057】
[主制御基板ケースの構造]
次に、この出願に係る発明の特徴である主制御基板ケース57の構造について図を参照して説明する。
図9(a)は図8に示す主制御基板ケースの正面図、(b)は左側面図である。図10(a)は図8に示す主制御基板ケースの正面図、(b)は右側面図、(c)は底面図である。図11(a)は図8に示す主制御基板ケースの正面斜視図、(b)は右側面図、(c)は(a)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図、(d)は(b)において二点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。図12は図11(a)に示す主制御基板ケースの分解斜視図である。
【0058】
主制御基板ケース57は、ケース本体55およびカバー56を備える。ケース本体55には主制御基板50が収容されている。この実施形態では、ケース本体55は背面が開口した箱状に形成されており、カバー56は、ケース本体55の背面を覆う形状に形成されており、カバー56の表面56aは平面に形成されている。ケース本体55の裏面55bが主制御基板50の表面(基板面)に対向し、カバー56の裏面56bが主制御基板50の裏面に対向している。ケース本体55およびカバー56は、透明の樹脂製であり、収容された主制御基板50を外部から視認できるように構成されている。主制御基板50は、ケース本体55の開口した背面から収容されている。
【0059】
ケース本体55の表面55aには、主制御基板50の基板面に搭載されたコネクタ50aの頭部を露出させるための窓55kと、主制御基板50から発生した熱を放熱するための放熱孔55mとが開口形成されている。また、表面55aには、カバー56を開封した者の氏名および開封した年月日を記入するための記入部55nと、パチンコ機1の機種名を表示するための表示部55pとが形成されている。
【0060】
図9および図10に示すように、ケース本体55の左側面55dの下端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に取付けるための回動軸部材55iが左方に突出形成されている。また、カバー56の右側面56cの下端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に回動可能に取付けるための回動軸部材56iが右方に突出形成されている。図12に示すように、カバー56の平面56eには、内側下向きに屈曲したケース本体受け部56gが形成されており、底面56fには、内側上向きに屈曲したケース本体受け部56hが形成されている。カバー56の左側面56dは開口形成されている。左側面56dであって裏面56bの左端には、係止片56d1が突出形成されている。係止片56d1は、ケース本体55の左側面55dに形成された係止孔(図示省略)に係止される。
【0061】
ケース本体55の平面55eの左端には、右端が開口したカバー受け部55gが形成されており、底面55fの左端には、右端が開口したカバー受け部55hが形成されている。カバー56は、その開口した左側面56dから、ケース本体55の右側面55cへ挿入され、ケース本体55の平面55eがカバー56のケース本体受け部56gによって保持され、ケース本体55の底面55fがカバー56のケース本体受け部56hによって保持される。また、カバー56の平面56eの左端に位置するケース本体受け部56gは、ケース本体55のカバー受け部55gの右側面から挿入されて保持され、カバー56の底面56fの左端に位置するケース本体受け部56hは、ケース本体55のカバー受け部55fの右側面から挿入されて保持される。
【0062】
図12に示すように、ケース本体55の右側面55cには、ケース本体側カシメ部55j,55jが右方へ突出形成されており、各ケース本体側カシメ部55jには、係止片55j1がそれぞれ右方へ突出形成されている。また、ケース本体側カシメ部55j,55j間には、皿ネジ59bを挿通するためのネジ挿通部55tが形成されている。カバー56の右側面56cには、カバー側カシメ部56j,56jが右方へ突出形成されており、各カバー側カシメ部56jには、ケース本体側カシメ部55jの係止片55j1を係止するための係止孔56j1がそれぞれ形成されている。また、カバー側カシメ部56j,56j間には、皿ネジ59bを挿入するためのネジ挿入部56tが形成されている。また、各カバー側カシメ部56jの表面には、カシメピン58を挿入するための挿入孔がそれぞれ開口形成されている。
【0063】
カバー56の右側面56cの上端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に係止するための係止片56kが右方へ突出形成されており、左側面56dの上端には、主制御基板ケース57をパチンコ機1の背面の所定個所に係止するための係止片56kが左方へ突出形成されている。また、カバー56の右側面56cには、ケース本体55の右側面55cに形成された係止片55s,55sを係止するための係止孔56m,56mが開口形成されている。
【0064】
主制御基板ケース57には、上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bが備えられている。上コネクタカバー57aには、主制御基板50の表面55aにおいて平面55e寄りに設けられたコネクタ50aの頭部を露出させるための開口部57a1と、ケース本体55の左上角部のボス55rを嵌合するためのボス嵌合孔57a2と、タッピングネジ59aを挿通するためのネジ挿通孔57a3とが形成されている。下コネクタカバー57bには、主制御基板50の表面55aにおいて底面55f寄りに設けられたコネクタ50aの頭部を露出させるための開口部57b1と、ケース本体55の左下角部のボス55rを嵌合するためのボス嵌合孔57b2とが形成されている。
【0065】
各開口部57a1,57b1は、露出させるコネクタ50aの外周と接触する大きさに形成されている。これにより、上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bは、ケース本体55の窓55kから露出したコネクタ50aと、窓55kとの間に隙間が形成されない。つまり、上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bは、主制御基板ケース57の外部からコネクタ50aの周囲に形成された隙間を通して金属線などを挿入し、主制御基板50の回路に細工を施す不正行為を防止する役割を果たしている。
【0066】
ケース本体55の左端上下の角部および右端下の角部には、主制御基板50をケース本体55の裏面55bに固定するためのボス55rが形成されている。各ボス55rは、ケース本体55の裏面にも突出しており、ボス55rと対応する主制御基板50の角部に形成されたボス挿通孔に嵌合される。また、ケース本体55の右端上の角部には、ケース本体55、主制御基板50およびカバー56を一体的に固定するためのタッピングネジ59aを挿通するネジ挿通孔55yが貫通形成されている。カバー56の右端上の角部には、タッピングネジ59aを挿通するネジ挿通孔56pが形成されている。
【0067】
主制御基板ケース57は、封印シール100を保護するためのシールカバー57cを備える。図12に示すように、シールカバー57cは、板状に形成されたシールカバー本体57c1と、このシールカバー本体57c1に形成された係止片57c2とを備える。シールカバー本体57c1は、ケース本体55の左側面55dに貼着された封印シール100の表面を覆う大きさに形成されている。ケース本体55の左側面55dの正面寄りには、シールカバー57cを取付けるためのシールカバー取付け部57dが形成されている。シールカバー取付け部57dには、シールカバー57cの係止片57c2を係止するための係止孔57d1が形成されている。
【0068】
[主制御基板ケースの封印構造]
次に、主制御基板ケース57の封印構造について図を参照して説明する。
図13(a)は封印シールの拡大図、(b)は使用状態における封印シールの拡大図である。図14はRFタグの拡大図である。
【0069】
図9に示したように、ケース本体55およびカバー56の左側面には、ケース本体55およびカバー56の境界に跨って封印シール100が貼着されている。図13(a)に示すように、封印シール100は、矩形に形成されており、その裏面には、接着層から成る接着面100aが形成されている。この実施形態では、封印シール100は紙製であり、接着面100aの接着力は、封印シール100を剥がそうとすると容易に破れる程度の接着力である。
【0070】
封印シール100の接着面100aには、RFタグ200が貼着されている。この実施形態では、RFタグ200は帯状に形成されている。RFタグ200は、RFタグリーダ(RFタグ情報読取り装置)と通信を行うためのアンテナ201と、パチンコ機1を他のパチンコ機と識別するための固有の識別情報が記憶されたICチップ202とを備える。アンテナ201は、導電性の金属により膜状に形成されており、複数の切り込み203が形成されている。各切り込み203は、アンテナ201の長手方向と直交する方向に長手方向の端部に形成されている。
【0071】
各切り込み203は、アンテナ201の長手方向の端部から、封印シールの接着面100aにかけて形成されている。つまり、アンテナ201は、封印シール100を剥がしたときに、その剥がした位置に近い切り込み203から容易に破断するように構成されている。このように、封印シール100を剥がすとアンテナ201が破断してRFタグ200が機能しなくなり、RFタグリーダを用いてRFタグ200を読取る際に読取りエラーとなる。これにより、RFタグ200のアンテナ201が破断している、つまり、封印シール100が剥がされ、主制御基板50に不正行為が行われていると推定することができる。
【0072】
ICチップ202は、パチンコ機1の固有の識別情報が記憶された記憶部(図示省略)と、この記憶部に記憶されている識別情報を読出すための制御回路(図示省略)と、RFタグリーダと通信を行い、制御回路により読出された識別情報をRFタグリーダへ送信するための通信回路(図示省略)とを備える。この実施形態では、RFタグ200は、バッテリを持たない受動型のRFタグである。
【0073】
[主制御基板ケースの組付け方法]
主制御基板50の基板面に配置された各コネクタ50aに上コネクタカバー57aおよび下コネクタカバー57bを被せ、主制御基板50をケース本体55の開口した背面から収容する。このとき、ケース本体55の左上角部のボス55rを上コネクタカバー57aのボス嵌合孔57a2および主制御基板50の左上角部のボス嵌合孔(図示省略)に嵌合する。また、ケース本体左下角部のボス55rを下コネクタカバー57bのボス嵌合孔57b2および主制御基板50の左下角部のボス嵌合孔(図示省略)に嵌合する。また、ケース本体右下角部のボス55rを主制御基板50の右下角部のボス嵌合孔(図示省略)に嵌合する。
【0074】
また、ケース本体55の左側面55dの裏面に取付けられた端子55qを主制御基板50に設けられたコネクタ50bに接続する。そして、ケース本体55の右側面55cからカバー56の左側面56dを挿入して左方へスライドさせ、ケース本体55の右側面55cに形成された各係止片55sをカバー56の右側面56cに形成された各係止孔56mに係止する。
【0075】
このとき、各ケース本体側カシメ部55jの各係止片55jが各カバー側カシメ部56jの各係止孔56j1に係止される。そして、タッピングネジ59aをケース本体55のネジ挿通孔55y、上コネクタカバー57aのネジ挿通孔57a3およびカバー56のネジ挿通孔56pねじ込み、ケース本体55にカバー56を固定する。また、皿ネジ59bをケース本体55のネジ挿通部55tに挿通し、さらに、カバー56のネジ挿通部56tにねじ込む。さらに、カシメピン58,58に接着剤を塗布し、その各カシメピン58の先端に形成された係止片58bをカバー側カシメ部56j,56jに挿入する。
【0076】
これにより、係止片58bが、カバー側カシメ部56jの係止孔56j1に係止されたケース本体側カシメ部55jの係止片55j1を挟持し、さらに、各係止片58bがカバー側カシメ部56jの内部に係止される。また、各カバー側カシメ部56jのうち、カシメピン58の挿入口は、カシメピン58の基部58aによってそれぞれ閉塞される。
【0077】
次に、封印シール100を主制御基板ケース57に貼着する。封印シール100は、封印シール100およびRFタグ200がケース本体55の左側面55dおよびカバー56の表面56aを跨ぐように主制御基板ケース57の左側面に貼着する。そして、シールカバー57c1をケース本体55の取付け部57dに取付け、シールカバー57c1によって封印シール100の表面を保護する。
【0078】
[パチンコ機の主な電気的構成]
次に、パチンコ機1の主な電気的構成についてそれをブロックで示す図15および図16を参照して説明する。
【0079】
図15に示すように、主制御基板50には、主制御用MPU(マイクロプロセッサーユニット)51が搭載されている。主制御用MPU51はICチップであり、主制御基板50の基板面に取付けられた半導体ソケットに対して着脱可能に接続されている。主制御用MPU51は、主制御用CPU52と、主制御用ROM53と、主制御用RAM54とを備える。主制御用CPU52は、大当り判定、主制御用MPU51の識別情報の送信、大当り図柄の抽選、大当りの種類の抽選、ハズレ図柄の抽選、特別図柄変動時間(演出図柄変動時間)の抽選、入賞の検出、ゲート通過の検出、普通図柄の当り判定、賞球の払出命令など、遊技における重要な処理を実行する。
【0080】
主制御用ROM53には、主制御用CPU52が上記の各処理を実行するためのコンピュータプログラム、各制御基板へ送信する制御コマンド、大当り判定を行う際に参照する大当り値などが読出し可能に格納されている。また、主制御用ROM53には、このパチンコ機1の主制御用MPU51を他のパチンコ機の主制御用MPUと識別するための識別情報が記憶されている。主制御用RAM54は、主制御用CPU52が上記のコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、主制御用RAM54は、主制御用CPU52が上記のコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。
【0081】
また、主制御基板50には、第1始動口21に入賞した遊技球を検出する第1始動口スイッチ21aと、第2始動口22に入賞した遊技球を検出する第2始動口スイッチ22aとが電気的に接続されている。また、主制御基板50には、図柄表示基板84が電気的に接続されている。図柄表示基板84には、特別図柄表示装置31と、特別図柄保留数表示装置32と、普通図柄表示装置33と、普通図柄保留数表示装置34とが搭載されている。また、主制御基板50には、払出制御基板60と、外部端子板85と、セキュリティ中継端子板89とが電気的に接続されている。
【0082】
セキュリティ中継端子板89には、不正行為において使用される誘導磁界を検出するための誘導磁界センサ91と、不正行為において使用される磁気を検出するための第1磁気センサ92と、第2磁気センサ93とが電気的に接続されている。
【0083】
払出制御基板60には、下受け皿7が遊技球で満杯になった状態を検出するための下皿満杯スイッチ7bと、扉開放中継端子板86とが電気的に接続されている。扉中継端子板86には、ガラス枠セット3が開放された状態を検出するための扉開放スイッチ87と、外枠セット8が開放された状態を検出するための外枠開放スイッチ88とが電気的に接続されている。また、払出制御基板60には、払出中継端子板83が電気的に接続されており、払出中継端子板83には、遊技球を上受け皿6へ払出す部材を駆動するための払出モータ38cと、この払出モータ38cによって払出された遊技球を検出するための前部払出センサ38a,後部払出センサ38bと、払出モータ38cによって払出す遊技球が切れていることを検出する前部球切れスイッチ38d,後部球切れスイッチ38eとが電気的に接続されている。
【0084】
払出制御基板60には、払出制御用MPU61が搭載されており、その払出制御用MPU61は、払出制御用CPU62と、払出制御用ROM63と、払出制御用RAM64とを備える。払出制御用CPU62は、主制御用MPU51から送信される払出制御コマンドに従って払出モータ38cを制御し、賞球の払出しを制御する。また、払出制御用CPU62は、前部払出センサ38aおよび後部払出センサ38bからそれぞれ出力される信号の変化を検出し、払出された賞球数を計数する。
【0085】
払出制御用ROM63には、払出制御用CPU62が実行するコンピュータプログラムなどが読出し可能に格納されている。払出制御用RAM64は、払出制御用CPU62が上記のコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、払出制御用RAM64は、払出制御用CPU62が上記のコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。また、払出制御基板60には、プリペイドカードなどのプリペイド媒体の残り度数を表示する度数表示基板97が遊技球等貸出装置接続端子板96を介して電気的に接続されている。
【0086】
さらに、発射制御基板4には、遊技球を発射する発射装置を駆動する発射ソレノイド4fと、遊技球を発射位置へ供給する球供給装置を駆動する球送りソレノイド4gと、発射レバー4bの回動量に応じて発射装置4の発射強度を調節するための発射強度電子ボリューム4cと、遊技者が発射レバー4bに触れたことを検出して発射装置4を駆動させるためのタッチスイッチ4dと、発射レバー4bの回動によってオンまたはオフし、発射ソレノイド4fを駆動する発射スイッチ4eとが電気的に接続されている。
【0087】
主制御基板50には、盤面中継端子板37が電気的に接続されており、その盤面中継端子板37には、左袖上入賞口17に入賞した遊技球を検出するための左袖上入賞口スイッチ17aと、左袖入賞口18に入賞した遊技球を検出するための左袖入賞口スイッチ18aと、左下入賞口19に入賞した遊技球を検出するための左下入賞口スイッチ19aと、右肩入賞口20に入賞した遊技球を検出するための右肩入賞口スイッチ20aと、第1大入賞口24aに入賞した遊技球を検出するための第1大入賞口スイッチ24cと、ゲート23を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ23aと、第2大入賞口25aに入賞した遊技球を検出するための第2大入賞口スイッチ25cと、第1変動入賞装置24を駆動するための第1大入賞口ソレノイド24bと、普通電動役物27を駆動するための普通電動役物ソレノイド27bと、第2変動入賞装置25を駆動するための第2大入賞口ソレノイド25bとが電気的に接続されている。
【0088】
また、パチンコ機1には、主電源(AC/24V)95に接続された電源基板94が備えられており、電源基板94は、主電源95から供給される電源を主制御基板50と、払出制御基板60と、遊技球等貸出装置接続端子板96とに供給する。
【0089】
図16に示すように、パチンコ機1には、演出制御基板400が設けられており、その演出制御基板400には、画像音声制御基板70と、盤面演出中継端子板82と、盤面LED中継端子板81と、補助演出駆動基板500と、演出電源基板98とが電気的に接続されている。演出制御基板400には、演出制御用CPU402を備えた演出制御用MPU401が搭載されている。演出制御用CPU402は、主制御基板50(図15)から送信された演出制御信号を受信し、その受信した演出制御信号を対応する基板に振り分ける処理などを行う。
【0090】
画像音声制御基板70には、液晶中継端子板30aを介して演出表示器30が電気的に接続されている。また、画像音声制御基板70には、盤面演出中継端子板82が電気的に接続されており、その盤面中継端子板82には、枠部演出中継端子板83を介して右スピーカ10と、左スピーカ11と、下スピーカ12とが電気的に接続されている。また、枠部演出中継端子板83には、枠部LED駆動基板66を介して照光付演出スイッチ9aが電気的に接続されている。照光付演出スイッチ9aは、演出ボタン9を押圧操作したときにオンし、演出ボタン9に内蔵されているLEDを点灯させるスイッチである。
【0091】
画像音声制御基板70には、画像音声制御用MPU71が搭載されている。画像音声制御用MPU71は、画像音声制御用CPU72と、画像音声制御用ROM73と、画像音声制御用RAM74とを備える。画像音声制御用CPU72は、主制御基板50から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って演出表示器30を制御し、演出制御信号に対応する画像を演出表示器30に表示させる。また、画像音声制御用CPU72は、主制御基板50から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って各スピーカ10〜12を駆動し、演出制御信号に対応する効果音を各スピーカ10〜12から出力させる。
【0092】
画像音声制御用ROM73には、画像音声制御用CPU72が実行するコンピュータプログラムが読出し可能に格納されている。また、画像音声制御用ROM73には、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行するときに参照する各種のテーブルが読出し可能に格納されている。
また、画像音声制御用ROM73には、特別図柄、普通図柄および演出図柄などの変動パターンを決定するためのテーブルが格納されている。また、画像音声制御用ROM73には、パチンコ機1に設けられた演出用のLEDの点灯パターンを決定するためのテーブル、効果音や音楽の種類を決定するためのテーブルなど、演出に必要なテーブルやデータなどが格納されている。
【0093】
画像音声制御用RAM74は、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、画像音声制御用RAM74は、画像音声制御用CPU72がコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。
【0094】
補助演出駆動基板500には、補助演出上中継端子板99と、補助演出右中継端子板68と、補助演出下中継端子板98とが電気的に接続されている。補助演出上中継端子板99には、可動役物43を回転させる万華鏡モータ43aと、可動役物43が原点に復帰したことを検出する万華鏡原点センサ43bと、可動役物42を駆動する右竜モータ42aと、可動役物42が原点に復帰したことを検出する右竜原点センサ42bと、可動役物41を駆動する左竜モータ41aと、可動役物41が原点に復帰したことを検出する左竜原点センサ41bとが電気的に接続されている。
【0095】
補助演出右中継端子板68には、可動役物40を振動させる家紋モータ40bと、可動役物40bの位置を検出する家紋位置確認センサ40cと、可動役物40を上昇させる右リフト(図示省略)を駆動する右リフトモータ40dと、右リフトが原点に復帰したことを検出する右リフト原点センサ40eとが電気的に接続されている。
補助演出下中継端子板98には、可動役物40を上昇させる左リフト(図示省略)を駆動する左リフトモータ40fと、左リフトが原点に復帰したことを検出する左リフト原点センサ40gと、可動役物45を移動させる扉右モータ45aと、可動役物45が原点に復帰したことを検出する扉右原点センサ45bと、可動役物44を移動させる扉左モータ44aと、可動役物44が原点に復帰したことを検出する扉左原点センサ44bとが電気的に接続されている。
【0096】
補助演出駆動基板500には、補助演出制御用MPU501が搭載されている。補助演出制御用MPU501は、補助演出制御用CPU502と、補助演出制御用ROM503と、補助演出制御用RAM504とを備える。補助演出制御用CPU502は、主制御基板50から演出制御基板400を介して送信された演出制御信号に従って可動役物40〜45の動作を制御する。補助演出制御用ROM503には、補助演出制御用CPU502が実行するコンピュータプログラムが読出し可能に格納されている。また、補助演出制御用ROM503には、補助演出制御用CPU502がコンピュータプログラムを実行するときに参照する各種のテーブル(たとえば、可動役物40〜45の動作パターン)が読出し可能に格納されている。
【0097】
補助演出制御用RAM504は、補助演出制御用CPU502がコンピュータプログラムを実行するときに使用するワーク領域を有する。また、補助演出制御用RAM504は、補助演出制御用CPU502がコンピュータプログラムを実行することにより発生する処理結果および判定結果などを読出しおよび書換え可能に格納する。
【0098】
演出電源基板98は、電源基板94(図15)から供給される電源を演出電源基板98と電気的に接続された各基板へ分配する。盤面LED中継端子板81には、遊技盤5に設けられた装飾用の各LEDが搭載されている。
【0099】
[パチンコシステムの構成]
次に、パチンコシステムの構成について、それをブロックで示す図17を参照して説明する。
【0100】
パチンコホールに配置された複数のパチンコ機1が、それぞれ通信回線L1を介してホールコンピュータ69と通信可能に接続されている。たとえば、ホールコンピュータ69は、パチンコホールの管理室などに配置されている。
ホールコンピュータ69には、コンピュータ69aと、外部記憶装置69eと、表示装置69fと、入力装置69gと、通信制御回路69hとが備えられている。
【0101】
コンピュータ69aには、CPU69bと、ROM69cと、RAM69dとが備えられている。通信制御装置69hは、各パチンコ機1から送信された主制御用MPU51のID(識別情報)を受信し、コンピュータ69aにより処理可能な信号に変換するなどの処理を行う。外部記憶装置69eは、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置であり、各パチンコ機1の正規のID(製造時のID)が書換え可能に記憶されている。
【0102】
表示装置69fは、たとえば、液晶ディスプレイであり、コンピュータ69aの処理結果を表示する。表示装置69fは、エラーの発生したパチンコ機を特定する表示を行う。たとえば、表示装置69fは、パチンコホールに設置されている総てのパチンコ機の台番号を画面に表示し、エラーの発生したパチンコ機の台番号を点滅させたり、あるいは、エラーの発生したパチンコ機の台番号の表示色を変化させたりする。
【0103】
入力装置69gは、コンピュータ69aにコマンドやデータなどを入力してコンピュータ69aに所定の処理を実行させるためのものであり、たとえば、キーボードおよびポインティングディバイス(たとえば、マウスなど)などである。
CPU69bは、通信制御回路69hを介して各パチンコ機1から読取ったIDが、外部記憶装置69eに予め記憶されている正規のIDと一致するか否かの判定処理を行う。つまり、受信されたIDが、不正なIDか否かの判定処理を行う。
【0104】
CPU69bは、上記の判定処理において、受信したIDが外部記憶装置69eに予め記憶されている正規のIDと一致しないと判定した場合に、その判定の対象となったIDを送信してきたパチンコ機を特定する表示を表示装置69fにて行う。ROM69cは、CPU69bが上記の判定処理などを実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。RAM69dはCPU69bの処理結果などを一時的に記憶する。
【0105】
[ID判定処理]
次に、ホールコンピュータ69のCPU69bが実行するID判定処理の内容についてそれを示す図18のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明では、CPU69bが実行する処理ステップをSと略す。この実施形態におけるID判定処理は、パチンコ機1をパチンコホールに設置して試射を行うときなど、パチンコ機1が起動したときに実行される。
【0106】
ホールコンピュータ69のCPU69bは、各パチンコ機1が起動したか否かを判定し(S10)、起動したと判定すると(S10:Yes)、各パチンコ機1の主制御用ROM53に記憶されているIDを読取る(S11)。続いて、その読取った各IDが予め外部記憶装置69eに記憶されている正規のIDのいずれかと一致するか否か、つまり、外部記憶装置69eに登録されていないIDが存在するか否かを判定する(S12)。ここで、登録されていないIDが存在すると判定した場合は(S12:No)、登録されていないIDが存在することを報知するエラー報知を行う(S14)。このエラー報知は、前述したように表示装置69fにパチンコ機の台番号を表示することにより行うことができる。
【0107】
このように、主制御用MPU51が不正なものに交換されていると、パチンコ機1が起動したときにホールコンピュータ69においてエラー報知が行われ、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1の台番号が表示される。
したがって、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1を容易に発見することができる。また、パチンコ機1をパチンコホールに設置した最初の起動時に発見することができるため、不正行為によるパチンコホールの被害を最小限に抑えることができる。
【0108】
[第1実施形態の効果]
(1)上述したように、第1実施形態のパチンコシステムを使用すれば、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1を容易に発見することができる。
(2)しかも、主制御用MPU51が不正なものに交換されたパチンコ機1を、パチンコ機1をパチンコホールに設置して試射を行った段階で発見することができる。
したがって、遊技者が遊技を行う前に不正を発見することができるため、パチンコホールの被害を未然に防ぐことができる。
【0109】
〈第2実施形態〉
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
従来、払出制御用MPU61を交換し、規定数よりも多くの賞球が払出されるようにする不正行為が行われ、パチンコホールが損害を被っていた。そこで、この第2実施形態のパチンコシステムは、そのような不正行為によるパチンコホールの損害が発生しないようにすることを目的としており、払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができることを特徴としている。
【0110】
払出制御基板60が収容された払出制御基板ケース65(図7)も主制御基板ケース57と同様にケース本体およびカバーから構成されている。そして、払出制御用MPU61は、払出制御基板60の基板面に取付けられた半導体ソケットに対して着脱可能に接続されている。また、払出制御用ROM53には、このパチンコ機1の払出制御用MPU61を他のパチンコ機の払出制御用MPUと識別するための識別情報が記憶されている。
【0111】
ホールコンピュータ69のCPU69bは、各パチンコ機1が起動したときに各パチンコ機1の払出制御用ROM63に記憶されているIDを読込み、その読込んだ各IDの中に予め外部記憶装置69eに登録されていないIDが存在すると判定した場合は、登録されていない不正なIDが存在することを報知するエラー報知を行う。このエラー報知は、登録されていないIDが記憶されているパチンコ機の台番号を表示装置69fに表示することにより行うことができる。
【0112】
[第2実施形態の効果]
(1)上述したように、第2実施形態のパチンコシステムを使用すれば、払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機1を容易に発見することができる。
(2)しかも、払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機1を、パチンコ機1をパチンコホールに設置して試射を行った段階で発見することができる。
したがって、遊技者が遊技を行う前に不正を発見することができるため、パチンコホールの被害を未然に防ぐことができる。
【0113】
〈他の実施形態〉
(1)各パチンコ機1が起動したときにホールコンピュータ69が各パチンコ機1の主制御用MPU51および払出制御用MPU61の各IDを読取り、少なくとも一方のIDが登録されていないIDであった場合にホールコンピュータ69においてエラー報知を行うように構成することもできる。この構成を用いれば、主制御用MPU51および払出制御用MPU61の少なくとも一方が不正なものに交換されたパチンコ機を容易に発見することができる。
【0114】
(2)ホールコンピュータ69が、パチンコ機1から読取ったIDが、予め登録されているIDではないと判定した場合に、その判定の対象となったIDを送信してきたパチンコ機へホールコンピュータ69からエラー報知信号を送信し、そのパチンコ機においてエラー報知を行うように構成することもできる。たとえば、そのパチンコ機の演出表示器30にエラー表示を行ったり、パチンコ機に設けられた特定のLEDを点灯または点滅させたりしてエラー報知を行う。この構成を用いれば、主制御用MPU51または払出制御用MPU61が不正なものに交換されたパチンコ機を、ホールコンピュータが設置された場所へ行かなくても容易に発見することができる。
【符号の説明】
【0115】
1・・パチンコ機、4・・発射制御基板(発射装置)、5・・遊技盤、
21・・第1始動口(始動口)、22・・第2始動口(始動口)、
30・・演出表示器、50・・主制御基板、51・・主制御用MPU(主制御回路)、
53・・主制御用ROM(パチンコ機側記憶手段)、
55・・ケース本体(第1部材)、56・・カバー(第2部材)、
57・・主制御基板ケース、60・・払出制御基板、
61・・払出制御用MPU(払出制御回路)、
63・・払出制御用ROM(パチンコ機側記憶手段)、69・・ホールコンピュータ、
69e・・外部記憶装置(ホールコンピュータ側記憶手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤面上に遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技盤に設けられた始動口と、
遊技球を前記遊技領域へ発射する発射装置と、
前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口を通過したときに大当りかハズレかを判定する主制御回路が搭載された主制御基板と、
前記主制御基板が開口部から収容された第1部材と、
前記開口部を覆う第2部材と、を備えた複数のパチンコ機と、
前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータと、を備えたパチンコシステムにおいて、
前記主制御回路は、
前記複数のパチンコ機に備えられた複数の主制御回路の中で他の主制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段を備えており、
前記ホールコンピュータは、
前記複数のパチンコ機の各主制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段と、
前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段と、
前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とするパチンコシステム。
【請求項2】
盤面上に遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技盤に設けられた入賞口と、
遊技球を前記遊技領域へ発射する発射装置と、
前記発射装置により発射された遊技球が前記入賞口を通過したときに賞球の払出しを命令する払出制御信号を出力する主制御回路が搭載された主制御基板と、
賞球を払出す賞球払出装置と、
前記主制御回路から前記主制御基板を介して送信された前記払出制御信号に基づいて前記賞球払出装置を駆動する払出制御回路が搭載された払出制御基板と、
前記払出制御基板が開口部から収容された第1部材と、
前記開口部を覆う第2部材と、を備えた複数のパチンコ機と、
前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータと、を備えたパチンコシステムにおいて、
前記払出制御回路は、
前記複数のパチンコ機に備えられた複数の払出制御回路の中で他の払出制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段を備えており、
前記ホールコンピュータは、
前記複数のパチンコ機の各払出制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段と、
前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段と、
前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とするパチンコシステム。
【請求項3】
前記読取手段は、前記複数のパチンコ機に備えられた各パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を各パチンコ機が起動したときに読取ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパチンコシステム。
【請求項1】
盤面上に遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技盤に設けられた始動口と、
遊技球を前記遊技領域へ発射する発射装置と、
前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口を通過したときに大当りかハズレかを判定する主制御回路が搭載された主制御基板と、
前記主制御基板が開口部から収容された第1部材と、
前記開口部を覆う第2部材と、を備えた複数のパチンコ機と、
前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータと、を備えたパチンコシステムにおいて、
前記主制御回路は、
前記複数のパチンコ機に備えられた複数の主制御回路の中で他の主制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段を備えており、
前記ホールコンピュータは、
前記複数のパチンコ機の各主制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段と、
前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段と、
前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とするパチンコシステム。
【請求項2】
盤面上に遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技盤に設けられた入賞口と、
遊技球を前記遊技領域へ発射する発射装置と、
前記発射装置により発射された遊技球が前記入賞口を通過したときに賞球の払出しを命令する払出制御信号を出力する主制御回路が搭載された主制御基板と、
賞球を払出す賞球払出装置と、
前記主制御回路から前記主制御基板を介して送信された前記払出制御信号に基づいて前記賞球払出装置を駆動する払出制御回路が搭載された払出制御基板と、
前記払出制御基板が開口部から収容された第1部材と、
前記開口部を覆う第2部材と、を備えた複数のパチンコ機と、
前記複数のパチンコ機と通信を行うホールコンピュータと、を備えたパチンコシステムにおいて、
前記払出制御回路は、
前記複数のパチンコ機に備えられた複数の払出制御回路の中で他の払出制御回路と識別するための識別情報が記憶されたパチンコ機側記憶手段を備えており、
前記ホールコンピュータは、
前記複数のパチンコ機の各払出制御回路の識別情報が記憶されたホールコンピュータ側記憶手段と、
前記パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を読取る読取手段と、
前記読取手段により読取られた識別情報が前記ホールコンピュータ側記憶手段に記憶されている識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が否定判定した場合に、その否定判定の対象となった識別情報を前記パチンコ機側記憶手段に記憶しているパチンコ機を特定する報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とするパチンコシステム。
【請求項3】
前記読取手段は、前記複数のパチンコ機に備えられた各パチンコ機側記憶手段に記憶されている識別情報を各パチンコ機が起動したときに読取ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパチンコシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−125318(P2012−125318A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277671(P2010−277671)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(591142909)マルホン工業株式会社 (524)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(591142909)マルホン工業株式会社 (524)
【Fターム(参考)】
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