説明

パッチ処理装置、パッチ処理方法

【課題】 多次色キャリブレーション対象となるプリンタの変動に合わせたパッチデータを生成することである。
【解決手段】
入力されるプリンタ入力色空間値に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータをプリンタに出力する(S14)。そして、パッチデータに基づいて前記プリンタから出力される出力パッチの色空間値を測定する(S15)。次に、測定される出力パッチの色空間値と、前記プリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインのプリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインの測定色空間値とに基づいて前記プリンタの変動状態を調査する(S16)。そして、プリンタの変動状態に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータを生成する(S17)ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多次色キャリブレーションを行うプリンタに出力するパッチデータを処理するパッチ処理装置におけるデータ処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の多次色キャリブレーションは、多次色キャリブレーション対象とするプリンタからパッチを出力し、出力したパッチを測色機等で測定する。
【0003】
そして、測色機等で測定した測定色空間値と、ターゲットラインの測定色空間値と、多次色キャリブレーション対象プリンタにパッチを出力した時のプリンタに入力した色空間値とを元に、多次色キャリブレーションの計算を行う方法がある。
【0004】
ここで、多次色キャリブレーション対象プリンタから出力するパッチは、ターゲットラインを包括するような規則性のある格子をプリンタ入力色空間上に形成し、その格子の格子点をプリンタに出力するパッチ色として採用している。
【0005】
また、この格子の大きさは、プリンタ変動にも対応できるようにある程度の大きさを持つ格子を形成している。
【0006】
なお、下記特許文献1には、パッチの測色データに基づいてCMYK1次元の補正テーブルを生成するプリンタのキャリブレーション処理が開示されている。そして、この特許文献1には、例えばCMYK1次元の補正テーブル空間全域にわたって格子状となるパッチチャートを出力することが記載されている。
【特許文献1】特開2006−237989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のパッチ構成の場合、多次色キャリブレーション対象となるプリンタの変動が大きいとパッチの色値を測定した場合に以下のような場合がある。多次色キャリブレーション対象となるプリンタから出力したパッチの色値を測定した場合に、測定した測定値色空間上での範囲内にターゲットラインの測定色空間値が収まらない場合がある。
【0008】
ここで、プリンタ入力色空間上に形成した格子は、プリンタの変動にも対応できるような大きさで形成している。しかしながら、この格子の大きさは、プリンタの変動の度合いを推測して格子の大きさを決定している為、プリンタで想定外の変動が発生した場合に上記のように測定色空間値が収まらない現象が発生する。
【0009】
これを解消する為に、プリンタ入力色空間上で形成する格子を大きくする方法が考えられるが、プリンタ入力色空間上で形成した格子が大きくなったことで、多次色キャリブレーションの計算精度が低下するという課題が発生する。
【0010】
また、多次色キャリブレーションの計算精度の低下という問題を解消する為に、形成した格子の格子点間隔を狭く配置する事によって格子点を増やし、多次色キャリブレーション対象プリンタから出力するパッチ色を増やす方法がある。
【0011】
しかしながら、上記方法ではパッチ数が増えるため、結果として、パッチに対する測定時間及びパッチ枚数の増加が考えられ、キャリブレーション作業時間が増えてしまうといった課題があった。
【0012】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、多次色キャリブレーション対象となるプリンタの変動に合わせたパッチデータを生成できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明のパッチ処理処理装置は以下に示す構成を備える。
【0014】
多次色キャリブレーションを実行するためのパッチを生成してプリンタに出力するパッチ処理装置であって、入力されるプリンタ入力色空間値に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータをプリンタに出力するパッチ出力手段と、前記パッチデータに基づいて前記プリンタから出力される出力パッチの色空間値を測定する測色手段と、前記測色手段により測定される出力パッチの色空間値と、前記プリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインのプリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインの測定色空間値とに基づいて前記プリンタの変動状態を調査する調査手段と、前記調査手段による前記プリンタの変動状態に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータを生成する生成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多次色キャリブレーション対象となるプリンタの変動に合わせたパッチデータを生成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態を示すキャリブレーション装置の構成を説明するブロック図である。本例は、多次色キャリブレーション用のパッチを動的に生成するキャリブレーション装置の例である。
【0018】
図1において、1は情報処理装置で、CPU、RAM、ROM等のハードウエア、キーボード、マウス等の入力デバイス、表示装置等の出力デバイスを備える。また、プリンタ6とのインタフェースや、測色機7とのインタフェースを備える。
【0019】
2はパッチ出力部で、多次色キャリブレーション対象となるプリンタ6から多次色キャリブレーション用のパッチデータを自動的に生成する。ここで、生成されるパッチデータは、プリンタ6に出力されて、出力パッチ13として出力される。ここで、プリンタ6は、色材としてY/M/C/Kの各色材を重ね合わせたカラー印刷あるいは、ブラックでの単色印刷が可能に構成されている。
【0020】
また、プリンタ6は、再現される色画像は、様々な環境変動(湿度、温度を含む)要因で色再現性が変化してしまう。このため、プリンタ6から出力される出力パッチ13を測色機7で測定して、後述する多次色キャリブレーションが実行される。
【0021】
3は出力パッチ測定部で、測色機7から出力される出力パッチ13に対する濃度画像データを取得する。出力パッチ測定部3は、出力パッチ13に対する濃度画像データに基づいて測定色空間値11を作成する。
【0022】
4はプリンタ変動調査部で、多次色キャリブレーション用のパッチを動的に生成するために、プリンタ変動状態を調査する。この場合、プリンタ変動調査部4は、出力パッチ測定部3が作成した測定色空間値11と、プリンタ入力色空間値8と、ターゲットとなるプリンタ入力色空間値9と、ターゲット測定色空間値10とを取得してプリンタ変動状態を調査する。ここで、ターゲットとなるプリンタ入力色空間値9は、図3に示す低濃度部21及び中濃度部22のプリンタ変動の影響が大きい範囲内に含まれる値である。
【0023】
5は動的パッチ生成部で、色空間で特定されるパッチを生成する。
【0024】
8はプリンタ入力色空間値で、多次色キャリブレーション用のパッチを動的に生成する為のパッチをパッチ出力部2又はプリンタ変動調査部4に入力する。プリンタ入力色空間値8は、ROMやその他のメモリに記憶されていてもよいし、プリンタドライバ等を介して入力されるものであってもよい。
【0025】
なお、本実施形態では、キャリブレーション装置が1つのPCで構成される場合を示すが、サーバ装置を介在させて、プリンタ変動調査処理と、動的パッチ生成処理とをサーバとPCで処理するシステムで構成してもよい。
【0026】
このように構成されたキャリブレーション装置において、プリンタ変動に適切な多次色キャリブレーション用のパッチを生成する処理について以下説明する。
【0027】
図2は、本実施形態を示すキャリブレーション装置における第1のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、S14〜S17は各ステップを示す。各ステップは、PC1のCPUがROMや、外部記憶装置から制御プログラムをRAMにロードして実行することで実現される。
【0028】
まず、S14で、パッチ出力部2は、多次色キャリブレーション用のパッチを生成する為に、現在の多次色キャリブレーション対象プリンタの変動がどの程度発生しているかを調査する為のパッチをプリンタ6に出力する。
【0029】
このプリンタ6の変動を調査する為のパッチは、プリンタ変動の影響が大きい範囲に限定して選択されたパッチである。
【0030】
このパッチ構成は、プリンタ入力色空間上でプリンタ変動の影響が大きいと考えられる範囲、ここでは低濃度部と中濃度部分に影響が大きいと考える。
【0031】
そして、この2つの範囲を分割し、この分割した範囲の両端に、図3に示すように、例えば9点ずつ等間隔にプリンタ入力色空間上に図3の低濃度部21及び中濃度部22のように配置し、規則性のある格子を作成する。
【0032】
図3は、図1に示したパッチ出力部2で出力されるパッチ構成を説明する図である。本例は、プリンタ入力色空間をCMY空間としたパッチ例である。
【0033】
図3において、21はCMY空間の低濃度部、22はCMY空間の中濃度部であり、それぞれの範囲に規則性のある格子を生成し、生成した格子の格子点をプリンタ6から出力するパッチ色とする例である。ここで、CMY空間23は、(0,0,0)〜(255,255,255)で特定される色空間である。
【0034】
このパッチ色をプリンタ6で出力してパッチをプリントする。
【0035】
次に、S15で、測色機7が出力パッチ13を測定して得られる測色データを出力パッチ測定部3に出力する。そして、出力パッチ測定部3は、測色した側色データから測定色空間値11を生成する。次に、プリンタ変動調査部4では、計算を行う際に必要な情報として、プリンタ入力色空間値8と、出力パッチ測定部3が取得する測定色空間値11と、プリンタ入力色空間値9と、ターゲットラインの測定色空間値10と取得する。
【0036】
次に、S16で、プリンタ変動調査部4は、これらの取得した情報を元に多次色キャリブレーション対象プリンタの変動がどの程度発生しているのかを調査する。
【0037】
本実施形態では、プリンタ入力色空間値9が図3に示すプリンタ変動の影響が大きい範囲内に含まれるターゲットラインを用いるとなっている。
【0038】
しかしながら、本実施形態では、範囲内に含まれている全てのターゲットラインのプリンタ入力色空間値及び、測定色空間値を全てのターゲットラインを用いない。本実施形態では、範囲内に含まれている全てのターゲットラインのプリンタ入力色空間値及び、測定色空間値の何点か抽出した点を用いてその範囲内でプリンタ変動がどの程度発生しているのかを調査する。
【0039】
また、プリンタ変動調査部4では、多次色キャリブレーション対象のプリンタ6の変動を調べる為の計算方法は以下の通りである。
【0040】
一例を示すと、多次色キャリブレーション対象プリンタからパッチを出力し測色機7で測定された値を元に、図3に示した低濃度部21の範囲内である1つのCMY値に対する測定値を図4に示す演算式に基づく線形補間によって求める。
【0041】
そして、プリンタ変動調査部4は、図4に示す演算式で線形補間された測定値と、図3に示す低濃度部21の範囲内にある1つのターゲットの測定値との色差を図5に示す演算式に基づいて求める。
【0042】
そして、プリンタ変動調査部4は、同様の処理を、図3に示す低濃度部21の範囲内全てのCMY値に対して行い、色差が最も小さい点のCMY値を採用する。
【0043】
このようにして採用した点が、図6に示すようにある1つのターゲットの値がプリンタ変動によって影響を受け、求められたCMY値の地点まで変動していることが分かる。
【0044】
図6は、本実施形態を示すキャリブレーション装置における多次元キャリブレーション対象プリンタの変動の影響を調べた結果の一例を示す図である。本例は、CYM空間として、3次元色空間に対応させて変動状態を示した例である。
【0045】
図6において、31はプリンタ変動の影響が大きい低濃度部の範囲である。32はプリンタ変動の影響が大きい中濃度部の範囲である。33はプリンタ入力色空間である。34は変動した点であり、上述した演算処理で採用された点に対応する。本例は、色空間領域として特定される濃度部内(低濃度部31、中濃度部32を含む)に、変動した点34が収まる状態を示している。
【0046】
次に、S17で、動的パッチ生成部5は、プリンタ変動を調べた結果から多次色キャリブレーション用のパッチを動的に生成する処理を行い、本処理を終了する。
【0047】
以下、S17の具体的な処理について説明する。
【0048】
図7は、本実施形態を示すキャリブレーション装置における第2のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。本例は、図2に示したS17におけるパッチ生成処理の詳細手順に対応する。
【0049】
なお、S61〜S68は各ステップを示す。各ステップは、PC1のCPUがROMや、外部記憶装置から制御プログラムをRAMにロードして実行することで実現される。
【0050】
まず、S61で、動的パッチ生成部5は、基準ラインを求める為の点を探索する処理を行う。なお、基準ラインを求める為の点を探索する処理については、図8において詳述する。
【0051】
このようにして、基準ラインを求める為の点を探索した後、S62で、S63で四角錐の形状の格子を形成するための他の2点を探索する。
【0052】
つまり、S63において、動的にパッチを生成する為にプリンタ入力色空間上に四角錐の形状の格子を形成する処理を行うが、この四角錐を形成する為には、S61で求めた基準ラインを求める為の点を求めた2点では四角錐は形成できないからである。
【0053】
つまり、四角錐の辺は4つあるので、基準ラインは4本必要になるので、基準ラインを求める為の点は4点必要になる。従って、S61で求めた2点から新たに基準ラインを求める為の2点を求めなければならない。その2点を求める処理がS62の処理である。
【0054】
具体的には、S61で求めた基準ラインを求める為の2点を直線で結び、直線の中点を元に同じ長さの垂線を引く。その垂線の両端の点も動的にパッチを生成する為の基準ラインを求める為の点とする。
【0055】
ここで基準ラインを求める為の4点を導いたが、この4点を元に四角形を形成することが出来るが、この四角形はプリンタ変動を調べる範囲領域と平行になるようにする。
【0056】
次に、S63で、S61、S62で求めた4点からプリンタ入力色空間上に四角錐を形成する。
【0057】
以下、図8に示す色空間座標を参照して、形成される四角錐について説明する。
【0058】
図8は、本実施形態を示すキャリブレーション装置におけるパッチを生成するために形成される四角錐を説明する図である。本例は、多次色キャリブレーション対象となるプリンタ6の変動に合わせたパッチを生成する為にプリンタ入力色空間上に形成した四角錐の例である。
【0059】
図8において、102−1〜102−4は基準点で、S61と、S62に示した基準ラインを決定する為のそれぞれの点で、4つの基準点102−1〜102−4と原点と結びプリンタ入力色空間内(色空間領域内)に四角錐101を形成する。
【0060】
そして、図9に示すように形成した四角錐101のある1辺に等間隔に所定数、例えば点111−1〜111−7の7点(格子点)を配置し、これを形成した四角錐101の各辺に対して実施する事によって規則性のある格子を形成する。
【0061】
次に、S64で、動的パッチ生成部5は、S63で形成した格子の中に、プリンタ変動がどの程度発生しているかを調査し求めた全点が含まれているかどうかを判断する。
【0062】
ここで、動的パッチ生成部5がプリンタ変動がどの程度発生しているかを調査し求めた全点が含まれていないと判断した場合は、S66へ進む。
【0063】
そして、S66で、動的パッチ生成部5は、プリンタ変動範囲数分の変動調査を行っているかどうかを判断する。ここで、動的パッチ生成部5は、プリンタ変動範囲数分の変動調査を行っていないと判断した場合は、S67で、動的パッチ生成部5は、プリンタ調査範囲を変更して、S61へ戻り、同様の処理を繰り返す。
【0064】
一方、S66で、動的パッチ生成部5がプリンタ変動範囲数分の変動調査を行っていると判断した場合、すなわち、全ての範囲内で調査を実施し、プリンタ変動調査点が作成した四角錐の中に収まらないと判断した場合は、S68へ進む。
【0065】
そして、S68で、図3の低濃度部21及び中濃度部22の範囲を、図9に示すように、領域133のように広げて大きくした範囲の部分に、新たにパッチ点132を生成する。
【0066】
その後、新たにパッチ点を生成した点のみをプリンタ6からチャート出力し、測色機7で測定する。
【0067】
その後、新たに測定したパッチ点132と、既存のパッチ点131の測定値を用いてプリンタ変動を調査し、動的にパッチを生成する処理を実施する。
【0068】
一方、S64で、動的パッチ生成部5が作成した四角錐の格子の中に、プリンタ変動がどの程度発生しているかを調査し求めた全点が含まれていると判断した場合は、S65へ進む。
【0069】
そして、S65で、動的パッチ生成部5は、図10に示す等間隔に配置した点111−1〜111−7を多次色キャリブレーション対象プリンタから出力するパッチ色とし、プリンタ変動に合わせたパッチを自動的に生成して、本処理を終了する。
【0070】
図11は、本実施形態を示すキャリブレーション装置における第3のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。本例は、図7に示したS61における基準ラインを求めるための点を探索するための処理の詳細例である。
【0071】
なお、S71〜S76は各ステップを示す。各ステップは、PC1のCPUがROMや、外部記憶装置から制御プログラムをRAMにロードして実行することで実現される。
【0072】
まず、S71で、動的パッチ生成部5は、プリンタ変動を調査した範囲の中央に面を作成し2つの領域を作成する。具体的には、図12に示すように、プリンタ変動調査範囲82があり、プリンタ変動調査範囲82の中央に面81を作成して1つの範囲の中に2つの領域82−1、82−2を作成する。
【0073】
次に、S72で、動的パッチ生成部5は、プリンタ変動調査範囲82内で全点探索を終了しているかどうかを判断する。ここで、動的パッチ生成部5がプリンタ変動調査範囲82内で全点探索を終了していないと判断した場合は、S73へ進む。
【0074】
そして、S73で、動的パッチ生成部5は、プリンタ変動調査した点と作成した面との距離を求める。ここでは、図13に示すように、プリンタ変動を調べた結果の点34があり、プリンタ変動を調べた結果の点34を面に向かって、垂直に線91を引き、面81と接した点を点92とした場合、動的パッチ生成部5は、点34と点92との2点間の距離を求める。
【0075】
次に、S74で、動的パッチ生成部5は、プリンタ変動を調べた点が、分割した範囲の1つの領域に収まっているかどうかを判断する。ここで、動的パッチ生成部5がプリンタ変動を調べた点が、分割した範囲の1つの領域に収まっていると判断した場合、すなわち、図12に示すように、S71で分割した領域のある一方に集中していると判断した場合は、S75へ進む。
【0076】
そして、S75で、動的パッチ生成部5は、一番距離が大きい点と小さい点を基準ラインとして、本処理を終了する。
【0077】
一方、動的パッチ生成部5がS71で分割した領域のある一方に集中していないと判断した場合は、S76で、動的パッチ生成部5は、分割したそれぞれの領域で距離が一番大きい点を基準ラインとして、本処理を終了する。
【0078】
上記実施形態によれば、多次色キャリブレーション対象となるプリンタの変動に合わせたパッチデータを生成することができる。
【0079】
〔第4実施形態〕
以下、図14に示すメモリマップを参照して本発明に係るキャリブレーション装置で読み取り可能なデータ処理プログラムの構成について説明する。
【0080】
図15は、本発明に係るキャリブレーション装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【0081】
なお、特に図示しないが、記憶媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバージョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0082】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記ディレクトリに管理されている。また、各種プログラムをコンピュータにインストールするためのプログラムや、インストールするプログラムが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0083】
本実施形態における図2、図7、図11に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0084】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0085】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0086】
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0087】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0088】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0089】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
【0090】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0091】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけではない。例えばそのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行う。そして、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0092】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込ませる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0093】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0094】
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態を示すキャリブレーション装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】本実施形態を示すキャリブレーション装置における第1のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したパッチ出力部で出力されるパッチ構成を説明する図である。
【図4】図1に示したプリンタ変動調査部による線形補間演算式の一例を示す図である。
【図5】図1に示したプリンタ変動調査部による色演算式の一例を示す図である。
【図6】本実施形態を示すキャリブレーション装置における多次元キャリブレーション対象プリンタの変動の影響を調べた結果の一例を示す図である。
【図7】本実施形態を示すキャリブレーション装置における第2のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態を示すキャリブレーション装置におけるパッチ生成処理を説明する図である。
【図9】本実施形態を示すキャリブレーション装置におけるパッチ生成処理を説明する図である。
【図10】本実施形態を示すキャリブレーション装置におけるパッチを生成するために形成される四角錐を説明する図である。
【図11】本実施形態を示すキャリブレーション装置における第3のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態を示すキャリブレーション装置におけるパッチ生成処理を説明する図である。
【図13】本実施形態を示すキャリブレーション装置におけるパッチ生成処理を説明する図である。
【図14】本発明に係るキャリブレーション装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【符号の説明】
【0096】
1 PC
2 パッチ出力部
3 出力パッチ測定部
4 プリンタ変動調査部
5 動的パッチ生成部
6 プリンタ
7 測色機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次色キャリブレーションを実行するためのパッチを生成してプリンタに出力するパッチ処理装置であって、
入力されるプリンタ入力色空間値に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータをプリンタに出力するパッチ出力手段と、
前記パッチデータに基づいて前記プリンタから出力される出力パッチの色空間値を測定する測色手段と、
前記測色手段により測定される出力パッチの色空間値と、前記プリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインのプリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインの測定色空間値とに基づいて前記プリンタの変動状態を調査する調査手段と、
前記調査手段による前記プリンタの変動状態に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とするパッチ処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記プリンタの変動が大きい前記色空間上で特定される濃度部に対して、当該濃度部の空間を2つの領域に切り分ける面を形成し、形成される各領域における調査点と前記面との距離を演算して基準ラインを決定するための2点を探索する探索手段を備えることを特徴とする請求項1記載のパッチ処理装置。
【請求項3】
前記探索手段は、探索された2点に基づいて前記色空間上に格子点を決定するための他の2点を探索することを特徴とする請求項2記載のパッチ処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記探索手段により探索された4点と原点とから形成される色空間領域内に前記プリンタの変動に基づくプリンタ変動調査点が含まれているかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により色空間領域内に前記プリンタの変動に基づくプリンタ変動調査点が含まれていると判断した場合、各辺を所定数で分割される格子点をパッチ色と決定する決定手段と、
を備え、
前記生成手段は、前記格子点で決定されるパッチデータを生成することを特徴とする請求項3記載のパッチ処理装置。
【請求項5】
多次色キャリブレーションを実行するためのパッチを生成してプリンタに出力するパッチ処理装置におけるパッチ処理方法であって、
入力されるプリンタ入力色空間値に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータをプリンタに出力するパッチ出力工程と、
前記パッチデータに基づいて前記プリンタから出力される出力パッチの色空間値を測定する測色工程と、
前記測色工程により測定される出力パッチの色空間値と、前記プリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインのプリンタ入力色空間値と、色空間上で特定されるターゲットラインの測定色空間値とに基づいて前記プリンタの変動状態を調査する調査工程と、
前記調査工程による前記プリンタの変動状態に基づいて多次色キャリブレーション用のパッチデータを生成する生成工程と、
を備えることを特徴とするパッチ処理方法。
【請求項6】
前記生成工程は、前記プリンタの変動が大きい前記色空間上で特定される濃度部に対して、当該濃度部の空間を2つの領域に切り分ける面を形成し、形成される各領域における調査点と前記面との距離を演算して基準ラインを決定するための2点を探索する探索工程を備えることを特徴とする請求項5記載のパッチ処理方法。
【請求項7】
前記探索工程は、探索された2点に基づいて前記色空間上に格子点を決定するための他の2点を探索することを特徴とする請求項6記載のパッチ処理方法。
【請求項8】
前記生成工程は、前記探索工程により探索された4点と原点とから形成される色空間領域内に前記プリンタの変動に基づくプリンタ変動調査点が含まれているかどうかを判断する判断工程と、
前記判断工程により色空間領域内に前記プリンタの変動に基づくプリンタ変動調査点が含まれていると判断した場合、各辺を所定数で分割される格子点をパッチ色と決定する決定工程と、
を備え、
前記生成工程は、前記格子点で決定されるパッチデータを生成することを特徴とする請求項7記載のパッチ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−165079(P2009−165079A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3132(P2008−3132)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】