説明

パッド付きインストルメントパネル本体の成形方法

【課題】ウレタン原料の流れが乱れず、品質の良いパッド付きインストルメントパネル本体を得る。
【解決手段】下型103に表皮9を、上型105に基材3をそれぞれセットする。原料注入口203を有するマスキングプレート201を表皮9と基材3との間に配置した型閉め状態で、基材3のスピーカ取付部15をマスキングプレート201で覆ってスピーカ取付部15の外周縁部をシールするとともに、原料注入口203をスピーカ取付部15の装着孔17と連通させ、かつマスキングプレート201と表皮9との間に隙間を有するようにスペーサ205を介在させて基材3及びマスキングプレート201と表皮9との間にキャビティCを形成する。原料注入口203からキャビティCにウレタン原料Rを注入して発泡硬化させることにより、基材3及びマスキングプレート201と表皮9との間にウレタン発泡層11を一体に形成する。スピーカ取付部15に対応するパッド7を切断してパッド7及びマスキングプレート201を取り除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表皮とウレタン発泡層とからなるパッドが基材上に一体に積層されたパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法に関し、特に、成形時におけるウレタン原料の流れ対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用インストルメントパネルの主体をなすインストルメントパネル本体として、表皮とウレタン発泡層とからなるパッドが基材上に一体に積層されたパッド付きインストルメントパネル本体がある。このインストルメントパネル本体には、特許文献1に開示されているように、複数箇所に部品取付部が形成されている。これら部品取付部は、周囲を上記パッドで囲まれた基材露出部分で形成されている。
【0003】
この部品取付部の外周縁部には、成形時にウレタン原料が部品取付部に浸入しないように先端先鋭の環状突条が一体に突設されていて、成形時に型閉め状態で上記突条を表皮に圧接させることで、上記部品取付部の外周縁部のシール性を確保するようになっている。そして、成形後に、上記部品取付部に対応するパッドを切断して当該パッドを取り除き、周囲をパッドで囲まれた基材露出部分からなる部品取付部を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−156163号公報(段落0018欄、段落0019欄、図2、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1のインストルメントパネル本体を成形する成形型では、部品取付部に対応するキャビティ箇所から大きく離れた位置に注入ノズルが設けられていて、該注入ノズルから成形型のキャビティにウレタン原料を注入するようになっているため、注入されたウレタン原料は上記部品取付部に邪魔されて直進せず、該部品取付部を取り囲むように迂回して流れ、その結果、部品取付部の下流側でウレタン原料の流れが乱れて成形性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウレタン原料がキャビティで乱れないようにしてパッド付きインストルメントパネル本体の品質を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、この発明は、ウレタン原料を部品取付部から注入するようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、この発明は、表皮と基材との間に型閉め状態でウレタン原料を注入して、上記表皮と該表皮裏面側のウレタン発泡層とからなるパッドが、上記基材上に上記ウレタン発泡層を基材側に向けて一体に積層され、装着孔を有する部品取付部が周囲を上記パッドで囲まれた基材露出部分で形成されたパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、下型に上記表皮を、上型に上記基材をそれぞれセットし、次いで、原料注入口を有するマスキングプレートを上記表皮と上記基材との間に配置した型閉め状態で、上記基材の部品取付部を上記マスキングプレートで覆って当該部品取付部の外周縁部をシールするとともに、上記原料注入口を上記部品取付部の装着孔と連通させ、かつ上記マスキングプレートと上記表皮との間に隙間を有するように隙間保持手段を介在させて基材及びマスキングプレートと表皮との間にキャビティを形成し、その後、上記原料注入口から上記キャビティにウレタン原料を注入して発泡硬化させることにより、基材及びマスキングプレートと表皮との間にウレタン発泡層を一体に形成し、しかる後、上記部品取付部に対応するパッドを切断して当該パッド及びマスキングプレートを取り除くことを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記マスキングプレートは、平板材からなり、上記部品取付部の外周縁部には、環状棚部が平面に形成され、該環状棚部には、型閉め状態で上記マスキングプレートの外周縁部と接する環状シール部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、上記環状シール部は、先端先鋭の突条からなることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第1〜3の発明のいずれか1つの発明において、上記マスキングプレートは、型閉め状態で上記隙間保持手段により上記部品取付部の外周縁部に押し付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、ウレタン原料が部品取付部からキャビティに注入されるため、ウレタン原料の流れが上記部品取付部に邪魔されず、ウレタン原料はキャビティの隅々に乱れることなくスムーズに直進して成形性に悪影響を及ぼすことがなく、品質の優れたパッド付きインストルメントパネル本体が得られる。
【0014】
また、マスキングプレートを表皮と基材との間に配置して部品取付部の外周縁部を上記マスキングプレートでシールしているため、マスキングテープ等で基材露出部分を覆う必要がなく、容易に部品取付部が形成される。
【0015】
第2の発明によれば、部品取付部の外周縁部の環状棚部に形成された環状シール部と接するマスキングプレートが平板材からなるため、安価なマスキングプレートで対応することができる。
【0016】
第3の発明によれば、型閉め状態で先端先鋭の突条の先端がマスキングプレートの外周縁部に線接触状態で当接するため、ウレタン原料のシールが確実になる。
【0017】
第4の発明によれば、型閉め力が隙間保持手段に作用し、マスキングプレートが上記隙間保持手段により部品取付部の外周縁部に押し付けられるため、ウレタン原料のシールがさらに確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】パッド付きインストルメントパネル本体の斜視図である。
【図2】実施形態1に係る成形方法において、ウレタン原料をキャビティに注入する前の型閉め状態の成形型全体を示す断面図である。
【図3】実施形態1において、基材のスピーカ取付部にマスキングプレートを対応させた状態の図1のA−A線に対応する断面図である。
【図4】実施形態1において、マスキングプレートが取り付けられた基材を上型にセットした状態を示す図1のA−A線に対応する断面図である。
【図5】実施形態1において、成形型のキャビティにウレタン原料を注入している状態を示す図1のA−A線に対応する断面図である。
【図6】実施形態1において、成形されたパッド付きインストルメントパネル本体をカット治具にセットした状態を示す図1のA−A線に対応する断面図である。
【図7】実施形態1において、パッド付きインストルメントパネル本体のスピーカ取付部に対応するパッドを取り除いた状態を示す図1のA−A線に対応する断面図である。
【図8】(a)は実施形態1のマスキングプレートを表側から見た斜視図、(b)は実施形態1のマスキングプレートを裏側から見た斜視図である。
【図9】実施形態2の図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
図1は車両用インストルメントパネルの主体をなすインストルメントパネル本体1を示し、この発明の実施形態1に係る成形方法を説明する前に、上記インストルメントパネル本体1の構成を説明する。このインストルメントパネル本体1は、図7に示すように、インストルメントパネル本体1のベースとなる樹脂製基材3を備えている。この基材3は、例えば、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ノリル樹脂等からなる。
【0021】
上記インストルメントパネル本体1の車体前端側は、上記基材3が露出した単層構造であり、当該単層領域には、車幅方向に延びる細長いフロントデフロスターエア吹出口5が形成されている。
【0022】
上記フロントデフロスターエア吹出口5よりも車体後方側領域には、厚肉の樹脂製パッド7が一体に形成されている。このパッド7は、例えば、ポリ塩化ビニルやTPU(サーモプラスチックウレタン)、TPO(サーモプラスチックオレフィン)等の表皮9と、該表皮9裏面側のウレタン発泡層11とからなり、上記基材3上に上記ウレタン発泡層11を基材3側に向けて一体に積層されている。
【0023】
また、上記インストルメントパネル本体1のパッド7領域の車幅方向両端側には、円形のサイドベントエア吹出口13が、車幅方向中程には、部品取付部の一例として矩形のスピーカ取付部15がそれぞれ形成されている。このスピーカ取付部15は、周囲を上記パッド7で囲まれた基材露出部分で形成され、中央に円形の装着孔17を有し、該装着孔17に部品としてのスピーカ(図示せず)が装着されて、スピーカグリル19で施蓋されるようになっている。上記スピーカ取付部15の装着孔17周りには、4つの係合孔21が形成され、一方、上記スピーカグリル19には、上記各係合孔21に挿入されてその周縁に係合する4つの係合爪23(図1で2つのみ表れる)が一体に突設され、これら係合爪23を上記各係合孔21周縁に係合させることで、スピーカグリル19がスピーカ取付部15から脱落しないようになっている。
【0024】
次に、実施形態1に係る成形方法により、上述の如く構成させたインストルメントパネル本体1を成形する要領について説明するが、成形にあたり、図2に示すような成形型101と、図8に示すようなマスキングプレート201とを用意する。
【0025】
上記成形型101は、固定型である下型103と、該下型103の上方に昇降可能に配置された可動型である上型105とを備え、上記下型103には、モータ107の駆動により水平方向にスライドするスライド型109が配置され、上記上型105には、図示しない注入機に接続された注入ノズル111が配置されている。
【0026】
上記マスキングプレート201は、表面及び裏面の全体がフッ素樹脂のコートにより離型処理された金属製の矩形平板材からなり、中央には上記スピーカ取付部15の装着孔17と連通し、かつ上記注入ノズル111に接続される円形の原料注入口203が形成されている。
【0027】
上記マスキングプレート201表面の四辺中央に対応する箇所には、図8(a)に示すように、楕円形(流線形)のスペーサ205が1つずつ長手方向を内外に向けてネジ207(図8(b)参照)により固定されて突設されている。このスペーサ205は、成形時に上記マスキングプレート201と表皮9との間に隙間Sを有するように介在させて、基材3及びマスキングプレート201と表皮9との間にキャビティCを形成する隙間保持手段である(図5参照)。
【0028】
また、上記マスキングプレート201裏面の四隅に対応する箇所には、図8(b)に示すように、出没自在なボールブランジャ209を側面先端側に有する直方体形状の基材取付具211が1つずつネジ207(図8(a)参照)により固定されて突設されている。この基材取付具211は、基材3の係合孔21に挿入されてボールブランジャ209を係合孔21周縁に係合させることで、マスキングプレート201を基材3に取り付けるようにしている。
【0029】
なお、成形に先立ち、基材3及び表皮9をインストルメントパネル本体1の形状に合わせて予め所定形状に成形しておく。
【0030】
上記基材3のスピーカ取付部15は、周壁が段差を有するように階段状に形成された凹所底壁で構成され、該スピーカ取付部15の外周縁部には、環状棚部27が上記底壁上方に接近した平面に形成され、該環状棚部27には、型閉め状態で上記マスキングプレート201の外周縁部と接する環状シール部としての先端先鋭の突条29が一体に突設され、上記スピーカ取付部15を上記マスキングプレート201で覆って当該スピーカ取付部15の外周縁部を上記突条29でシールするようになっている。
【0031】
<インストルメントパネル本体1の成形方法>
以下に括弧書で付した番号は成形工程の順番を示す。
(1) 図2に示すように、成形型101の下型103のセット面103aに表皮9を裏向きに載置し、前進状態のスライド型109で上記表皮9を上記セット面103aに位置決めしてセットする。
【0032】
一方、図3に示すように、マスキングプレート201を基材3のスピーカ取付部15に対応させ、4つの基材取付具211を上記基材3の4つの係合孔21に挿入して各々のボールブランジャ209を各係合孔21周縁にそれぞれ係合させて、マスキングプレート201をスピーカ取付部15に取り付ける。これにより、上記スピーカ取付部15が上記マスキングプレート201で覆われて当該スピーカ取付部15の外周縁部がスピーカ取付部15の突条29に当接する。このマスキングプレート201が取り付けられた基材3を、図2及び図4に示すように、上型105のセット面105aに図示しない係止具で保持してセットし、原料注入口203を上記スピーカ取付部15の装着孔17と連通させるとともに、注入ノズル111の先端を上記原料注入口203周縁に当接させて接続し、当該接続箇所をシール材(図示せず)でシールする。
(2) 上記上型105を図2で斜め右下に下降させて成形型101を型閉めする(図2参照)。この下降途中で上記スライド型109を図2左側に後退させて上型105との干渉を回避する。これにより、上記マスキングプレート201のスペーサ205が上記表皮9に当接して、マスキングプレート201と表皮9との間にスペーサ205が介在され、マスキングプレート201と表皮9との間に隙間Sが形成されて、基材3及びマスキングプレート201と表皮9との間にキャビティCが形成される(図5参照)。また、この型閉め状態で上記マスキングプレート201の外周縁部が上記スペーサ205により上記スピーカ取付部15外周縁部の突条29に押し付けられて、基材3とマスキングプレート201との境目がシールされる。
(3) 上記表皮9と上記基材3及びマスキングプレート201との間のキャビティCに注入ノズル111及び原料注入口203からウレタン原料Rを注入する(図5参照)。注入されたウレタン原料Rは原料注入口203から放射状に広がっていくが、スペーサ205が楕円形状(流線形状)であるため、ウレタン原料Rは流れが阻害されずにスムーズにキャビティCの隅々にまで充填される。その後、ウレタン原料Rを発泡硬化させることにより、基材3及びマスキングプレート201と表皮9との間にウレタン発泡層11が一体に形成されたインストルメントパネル本体1を得る(図6参照)。
(4) 上型105を上昇させて成形型101を型開きし、上記インストルメントパネル本体1を脱型する。脱型したインストルメントパネル本体1を成形時と逆向きにして、つまり表皮9を上向きにしてカット治具301にセットし(図6参照)、プレート303下面にトリム刃305を有するトリム治具307を下降させて、上記トリム刃305で上記インストルメントパネル本体1のスピーカ取付部15に対応するパッド7を切断した後、当該パッド7及びマスキングプレート201を取り除く(図7参照)。図7では、さらに、パッド7からマスキングプレート201を取り外した状態を示し、マスキングプレート201を再使用する。
【0033】
これにより、上記表皮9と該表皮9裏面側のウレタン発泡層11とからなるパッド7が、上記基材3上に上記ウレタン発泡層11を基材3側に向けて一体に積層され、装着孔17を有するスピーカ取付部15が周囲を上記パッド7で囲まれた基材露出部分で形成されたパッド付きインストルメントパネル本体1となる。
【0034】
このように、ウレタン原料Rをインストルメントパネル本体1の車幅方向中程にあるスピーカ取付部15からキャビティCに注入しているので、ウレタン原料Rの流れを上記スピーカ取付部15に邪魔されることのないようにでき、ウレタン原料RをキャビティCの隅々に乱れることなくスムーズに直進させて成形性に悪影響を及ぼすことがなく、品質の優れたパッド付きインストルメントパネル本体1を成形することができる。
【0035】
また、マスキングプレート201を表皮9と基材3との間に配置してスピーカ取付部15の外周縁部を上記マスキングプレート201でシールしているので、基材露出部分をマスキングテープ等で覆わずに済み、スピーカ取付部15を容易に形成することができる。
【0036】
さらに、スピーカ取付部15の外周縁部の環状棚部27に形成された突条29と接するマスキングプレート201を平板材で構成しているので、安価なマスキングプレート201で対応することができる。
【0037】
さらにまた、型閉め状態で先端先鋭の突条29先端をマスキングプレート201の外周縁部に線接触状態で当接させているので、ウレタン原料Rのシールを確実に行うことができる。
【0038】
さらに、型閉め力をスペーサ205に作用させることで、マスキングプレート201をスピーカ取付部15の外周縁部に押し付けているので、ウレタン原料のシールをさらに確実に行うことができる。
【0039】
(実施形態2)
図9は実施形態2の図5相当図である。この実施形態2では、成形時にマスキングプレート201を型開き状態で下型103にセットされた表皮9上に載置するようにしている点が実施形態1と異なっている。この違いにより、マスキングプレート201には、実施形態1で突設した基材取付具211はなく、スペーサ205のみが突設されている。このスペーサ205は実施形態1のスペーサ205よりも若干長く設定されていて、その先端が下型103に形成した型側凹部113に係合してマスキングプレート201を位置決めしている。当然、表皮9にも上記型側凹部113に対応して表皮9表面側に凹む表皮側凹部9aが形成されていて、該表皮側凹部を上記型側凸部に嵌めて表皮9を下型103のセット面103aにセットし、上記スペーサ205先端は上記表皮側凹部9aを介して型側凹部113に係合することになる。そのほかは、実施形態1と同様の要領にてインストルメントパネル本体1が成形される。
【0040】
したがって、この実施形態2では、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。なお、量産性を考慮すると、基材3を上型105にセットする前に、予めマスキングプレート201を基材3に取り付ける実施形態1の方が、下型103にセットされた表皮9にマスキングプレート201を載置する実施形態2よりも好ましい。
【0041】
なお、実施形態1,2とは異なり、下型103のセット面103aのスピーカ取付部15対応箇所に隙間保持手段としての型側凸部を形成するとともに、表皮9に上記型側凸部に対応して表皮9裏面側に凹む表皮側凹部を形成し、該表皮側凹部を上記型側凸部に被せてマスキングプレート201と表皮9との間に隙間Sを形成するようにしてもよい。また、マスキングプレート201を例えば係止凸部と係止凹部との係止作用により基材3に保持してもよい。この場合には、上記係止凸部と係止凹部とがマスキングプレート201と表皮9との間に隙間(S)を形成する隙間保持手段を構成することになる。
【0042】
また、実施形態1及び2では、成形型101よりインストルメントパネル本体1を取り出して別に用意したカット治具301にセットしてインストルメントパネル本体1のスピーカ取付部15に対応するパッド7を切断するようにしたが、トリム治具を内蔵した成形型を用いて成形型内でスピーカ取付部15に対応するパッド7を切断するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、表皮とウレタン発泡層とからなるパッドが基材上に一体に積層されたパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法について有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 インストルメントパネル本体
3 基材
7 パッド
9 表皮
11 ウレタン発泡層
15 スピーカ取付部(部品取付部)
17 装着孔
27 環状棚部
29 突条(環状シール部)
103 下型
105 上型
201 マスキングプレート
203 原料注入口
205 スペーサ(隙間保持手段)
C キャビティ
R ウレタン原料
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮(9)と基材(3)との間に型閉め状態でウレタン原料(R)を注入して、上記表皮(9)と該表皮(9)裏面側のウレタン発泡層(11)とからなるパッド(7)が、上記基材(3)上に上記ウレタン発泡層(11)を基材(3)側に向けて一体に積層され、装着孔(17)を有する部品取付部(15)が周囲を上記パッド(7)で囲まれた基材露出部分で形成されたパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法であって、
下型(103)に上記表皮(9)を、上型(105)に上記基材(3)をそれぞれセットし、
次いで、原料注入口(203)を有するマスキングプレート(201)を上記表皮(9)と上記基材(3)との間に配置した型閉め状態で、上記基材(3)の部品取付部(15)を上記マスキングプレート(201)で覆って当該部品取付部(15)の外周縁部をシールするとともに、上記原料注入口(203)を上記部品取付部(15)の装着孔(17)と連通させ、かつ上記マスキングプレート(201)と上記表皮(9)との間に隙間(S)を有するように隙間保持手段(205)を介在させて基材(3)及びマスキングプレート(201)と表皮(9)との間にキャビティ(C)を形成し、
その後、上記原料注入口(203)から上記キャビティ(C)にウレタン原料(R)を注入して発泡硬化させることにより、基材(3)及びマスキングプレート(201)と表皮(9)との間にウレタン発泡層(11)を一体に形成し、
しかる後、上記部品取付部(15)に対応するパッド(7)を切断して当該パッド(7)及びマスキングプレート(201)を取り除くことを特徴とするパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法において、
上記マスキングプレート(201)は、平板材からなり、
上記部品取付部(15)の外周縁部には、環状棚部(27)が平面に形成され、
該環状棚部(27)には、型閉め状態で上記マスキングプレート(201)の外周縁部と接する環状シール部(29)が形成されていることを特徴とするパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法。
【請求項3】
請求項2に記載のパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法において、
上記環状シール部は、先端先鋭の突条(29)からなることを特徴とするパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法において、
上記マスキングプレート(201)は、型閉め状態で上記隙間保持手段(205)により上記部品取付部(15)の外周縁部に押し付けられていることを特徴とするパッド付きインストルメントパネル本体の成形方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−929(P2013−929A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132007(P2011−132007)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】