パネル支持構造
【課題】ビルや住宅等の建物の壁面に太陽電池モジュールを設けるにあたって、建築物の外側に足場等を設けることなく、修理、交換等も容易であるパネル支持構造。
【解決手段】取り付け溝を前面に有したパネル支持体14を格子状に組み、格子状に組まれたパネル支持体14の一部に、第1太陽電池パネルより大きい1以上の開口部17を備え、取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の第1太陽電池パネルを、パネル支持体14の背面であって建物の内部から、パネル支持体14の開口部17を通過させて、パネル支持体4の格子面に沿って移動させ、パネル支持体14の前面に取り付け支持する。
【解決手段】取り付け溝を前面に有したパネル支持体14を格子状に組み、格子状に組まれたパネル支持体14の一部に、第1太陽電池パネルより大きい1以上の開口部17を備え、取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の第1太陽電池パネルを、パネル支持体14の背面であって建物の内部から、パネル支持体14の開口部17を通過させて、パネル支持体4の格子面に沿って移動させ、パネル支持体14の前面に取り付け支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば太陽電池パネルをビルや住宅等の建物の壁面や屋根に取り付けるにあたって、太陽電池を支持する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型の太陽電池であるシリコン半導体を用いた太陽電池は、ビルや住宅等に取り付けて発電を行う場合、太陽電池モジュールが比較的高価であり、また、取り付けによってその発電効率が大きく変動するため、最も効率の良い屋根の上に、太陽電池モジュールを持ってくることが一般的であった。
特許文献1には、既設屋根上架台設置型の太陽電池モジュールアレイが示されている。図11に示す通り、太陽電池モジュール100を既設屋根上に金具101等を工夫して付けられている。
しかし、近年において、シリコン半導体を用いた太陽電池にも、単結晶型シリコンを用いた太陽電池のみではなく、多結晶型シリコンを用いた太陽電池や、アモルファス型のシリコン半導体を用いた太陽電池といった、安価な太陽電池が開発されており、また、シリコン半導体を使わない色素増感型太陽電池のような、更に安価な太陽電池も開発されている。
【0003】
従来においても、ビルのガラス壁面に埋め込むといった手法で、太陽電池を壁面に使用する例はあったが、低コスト化によって、その傾向はいっそう進むと考えられる。
特に、色素増感型太陽電池は、発電効率はシリコン半導体を用いた太陽電池より劣るものの、光が当たる角度が小さくても発電量が低下しないという利点がある。従って、色素増感型太陽電池等は、シリコン半導体を用いた太陽電池のように、日光の照射角度等に発電量が左右されにくく、コストも安価であるために、壁面に用いるのにより適しているといえる。
特許文献1の方法は、既設屋根のみでなく、住宅やビル壁面等にも施工可能であると考えられるが、特許文献1の方法で住宅やビル壁面に施工した場合、その美観を損ねる恐れがある。実際にビルの壁面等に太陽電池モジュールを設置している例もあるが、大抵の場合、その美観を重視して、カーテンウォール等の工法を用いて施工している場合が多い。
【0004】
特許文献2には、カーテンウォールを構成する外壁パネルの取り付け方法の一例が開示されている。
特許文献2の外壁パネル支持構造は、図12で示すように、抜け止め金具201の上部片202を梁227のフランジ228へ上面に載置した状態では、下部片204の上面と梁のフランジ228との下面との間には、隙間231が形成されており、この隙間231の範囲で支持ボルト222は上下方向に移動可能であって、この範囲で地震時のロッキング作用を行わしめるようにしている。即ち、この隙間231は、外壁パネル206のロッキング代となっている。更に、この下部片204が梁のフランジ228下側に位置していることによって、支持ボルト222が上方に抜けるのを防止している。
【0005】
下側の外壁パネル206の上端を取り付けた後に、その上部に上部側の外壁パネル218が設置されるが、前記のように、その下端裏面部の振れ止めボルト220を振れ止め金具216のスリット217へ差し込むことによって振れ止めを行う。その場合、振れ止めボルト220の軸部に形成した鍔232と頭部233とで内外方向にも移動しないよう保持している。また、この振れ止めボルト220を回転させて、インサートナット219へのねじ込み深さを調節することによって、内外の出入り調節を行うことができるようにしている。
従って、梁227の上下両側でボルトナットによって固定するのではなく、支持ボルト222を上側からねじ込むだけで取り付けることが出来るため、梁227の上部側から作業できるというメリットがある。
【0006】
また、特許文献3には、壁体に孔をあける必要が無くて壁体の製造を容易にでき、かつ構造材の構成も簡易にできて意匠性も向上できる壁体支持装置が開示されている。
特許文献3の方法によれば、図13に示すように、天井303の端部ブラケット362および最上段のブラケット320を連結する連結ロッド340と、各ブラケット320間を連結する連結ロッド340とを備える連結支持手段を設け、各ブラケット320を順次吊り上げ支持しているので、保持フレーム330を介して各ブラケット320に加わるガラスパネル305の荷重を、連結ロッド340を介して天井303側で支持することができる。
このため、サポータ306や梁304は、ガラスパネル305に加わる室内外方向の外力つまり耐風圧荷重のみを支持すればよく、その分、梁304やサポータ306を細くすることなどもできる。また、梁304等を軽量化できて構成も簡易にできるとともに、コストも低減できる。その上、梁304やサポータ306部分をスマートな意匠デザインにでき、カーテンウォールの内観や、透明なガラスパネル305を介した外観を向上できるという効果がある。
【特許文献1】特開2000−8567号公報
【特許文献2】特許第3483699号公報
【特許文献3】特許第3487762号公報
【特許文献4】特許第3246318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術1の方法を用いて、ビルや住宅等の壁面に金具を取り付け、その金具に太陽電池モジュールを設置するといった方法をとる場合、壁面と太陽電池モジュールの間には、配線用の隙間を設けなければならず、又、外見上、取付金具が露出するため、建物の美観を損ねる恐れがある。
また、従来、ビルや住宅等の壁面の施工にあたっては、建築中の建物の外側に隣接する建築物や障害物等がある場合、建物建築時にこれらの障害物を撤去可能な場合には撤去することで、撤去が出来ない場合は、施工可能なように障害物を回避して建物を建築するか、あるいは施工を断念せざるを得ない。障害物を撤去や回避できる場合でも、障害物を撤去するには、それなりの費用が発生し、撤去せずに設計変更を行って、障害物を回避する場合には、その分だけ設計の自由度が失われてしまうという問題がある。
次に、美観に配慮したカーテンウォールの施工方法である、特許文献2、特許文献3に開示されるような方法においても、万が一カーテンウォール自体が破損し、修理や交換等の必要がある場合や、太陽電池モジュール自体の修理や交換等の必要がある場合、特に、その箇所が高層部にある場合には、外部に大掛かりな足場を組んで、修理箇所の太陽電池モジュールをカーテンウォールごと取り外す必要性があるという問題がある。
また、既に壁面が出来上がっており、後から太陽電池モジュールを設置したい場合には、既設の壁を撤去して、新たに壁面に太陽電池モジュールを埋め込んだ形で施工しなおさなければならず、大掛かりな工事が必要となる問題がある。
【0008】
つまり、従来技術1乃至従来技術3の方法では、建物の壁面に設けられた太陽電池モジュールの修理、交換等をする場合には、建物の周りに足場等を設置し、大掛かりな補修工事を必要とし、建物が出来上がった後に、新たに太陽電池モジュールを追加する事が困難であるという問題がある。
本発明は、そうした問題点を解決するためになされたものであり、ビルや住宅等の壁面に太陽電池モジュールを設けるにあたって、建築物の外側に足場等を設けることなく施工が可能であり、設置後のメンテナンスを行う場合も修理、交換等が容易であるパネル支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るパネル支持構造は、次のような構成を有している。
(1)太陽電池パネルを支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記太陽電池パネルより大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記太陽電池パネルを、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とする。
(2)(1)に記載されたパネル支持構造において、前記太陽電池パネルの背面に有した前記取り付け部材が、前記パネル支持体の前記取り付け溝と移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載したパネル支持構造において、前記パネル支持体が溝付アルミフレームであって、前記アルミフレームの溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで前記太陽電池パネルが、前記パネル支持体に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、前記パネル支持体の一部に設けられた前記開口部に、前記開口部を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池パネルを有することが可能な取り付け部材を、前記パネル支持体に対して、前記パネル支持体の背面から取り付けることが可能であることを特徴とする。
(5)パネル状部材を支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記パネル状部材より大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記パネル状部材を、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とする。
【0010】
上記構成を有するパネル支持構造の作用効果について説明する。
本発明のパネル支持構造においては、
(1)太陽電池パネルを支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記太陽電池パネルより大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記太陽電池パネルを、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とするので、たとえ、隣接する建物や障害物等があることにより建物の外側に足場を組む事が出来ない場合でも、外側に足場を必要とせず、建物の内側から太陽電池モジュールの施工が可能である。また、格子状に組まれたパネル支持体に開口部を設けることによって建物の内側からのアクセスが可能であるので、メンテナンスも容易になるという優れた効果を奏する。
(2)(1)に記載されたパネル支持構造において、前記太陽電池パネルの背面に有した前記取り付け部材が、前記パネル支持体の前記取り付け溝と移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴とするので、太陽電池パネルの設置や、修理、交換時において、作業性が向上するという優れた効果を奏する。
(3)(1)または(2)に記載したパネル支持構造において、前記パネル支持体が溝付アルミフレームであって、前記アルミフレームの溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで前記太陽電池パネルが、前記パネル支持体に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴とするので、専用パネル支持体を作ることなく安価に太陽電池パネル用のパネル支持体を施工する事が可能である。
【0011】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、前記パネル支持体の一部に設けられた前記開口部に、前記開口部を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池パネルを有することが可能な取り付け部材を、前記パネル支持体に対して、前記パネル支持体の背面から取り付けることが可能であることを特徴とするので、格子状のパネル支持体の前面に太陽電池パネルを必要な位置に配置することが可能であり、必要なときに建物の中であって、パネル支持体の裏側から開口部を塞ぐ部材をはずす事が可能となるという優れた効果を奏する。
(5)パネル状部材を支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記パネル状部材より大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記パネル状部材を、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とするので、パネル状部材を建物内部から容易に取り外すことが可能であり、建築物が出来上がった後にパネル状部材を垂直に支持するように施工することも容易になるという優れた効果を奏する。なお、前記パネル支持部材は、前記太陽電池パネルに限らない。このように本発明のパネル支持構造によれば、太陽電池パネルの施工のみならず、その他一般的なパネル部材、例えば、外部へのディスプレイといった目的にも使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るパネル支持構造について、具体化した形態をあげ、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のパネル支持構造の前面から見た立体図であり、図2は第1実施形態のパネル支持構造の背面から見た立体図であり、図3は図2のX方向からみた上面平面図である。
図1、図2、及び図3に示される一定の大きさを持った長方形の第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bは、パネル支持体14の前面に取り付けられ、ガラス等の透光性のある素材で出来た建築内壁面10と、パネル支持体14の間に設けられている。
第1太陽電池パネル13aは、1枚の太陽電池モジュール12と2つの取り付け部材18aからなり、太陽電池モジュール12の背面には取り付け部材18aが設けられ、パネル支持体14に取り付けられるようになっている。
また、第2太陽電池パネル13bは、1枚の太陽電池モジュール12と2つの支持部材19からなり、太陽電池モジュール12の背面に支持部材19が設けられ、パネル支持体14に取り付けられるようになっている。
また、太陽電池モジュール12には、太陽電池の表面保護材としてガラスやプラスチックといった透光性の高い素材が用いられており、その裏面に取り付け部材18aが設けられている。第1実施形態では、色素増感型の太陽電池を採用している。
【0013】
また、第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bは、幅A、高さB、厚みCの大きさで、建築内壁面10とパネル支持体14の隙間Dの間に設置され、複数枚が一定の隙間を持って並べられる。なお、第1太陽電池パネル13aの背面に取り付けられる取り付け部材18aは、太陽電池モジュール12の幅Aと等しいか、若しくはそれより短く、第2太陽電池パネル13bの背面に取り付けられる支持部材19は、図2のL2を通過できる長さ、すなわちL2より短い。加えて支持部材19は、その左側に存在する第1太陽電池パネル13aと右側に存在する第1太陽電池パネル13aとの間の間隔よりも長い。これにより支持部材19が第1太陽電池パネル13a間の隙間を通過して外側に転落しないようになっている。
パネル支持体14は、縦部材15と横部材16等から構成されている。縦部材15と横部材16は図示しないブラケットやボルト、又は溶接等にて頑丈に固定されており、パネル全ての重量を十分支えうる強度を持つ構造体である。また、縦部材15の間隔について、L1、L2、L3、L4とすると、L1、L3、L4は同じかそれに近い値であり、なおかつ、太陽電池モジュール12の幅Aよりも狭く設定されており、一方L2は開口部17として設けられるために太陽電池モジュール12の幅Aよりも広い。
この開口部17に、第2太陽電池パネル13bを備える支持部材19がはまるように、開口部17の両側の縦部材15には突起部21が設けられている。また、突起部21は第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bの通過を妨げないようになっている。また、支持部材19は2本の横部材と1枚の太陽電池モジュール12からなり、4箇所の突起部21によってパネル支持体14に保持され、図示しないボルト等によって取り外し可能なように固定される。
【0014】
図4には、太陽電池モジュール12の背面に取り付けられる取り付け部材18aと、パネル支持体14の前面にある取り付け溝18bの断面図が示されている。取り付け部材18aと取り付け溝18bはお互いにかみ合うような断面形状をしており、横方向にスライド可能である。その形状は(a)図、(b)図に示しているが、太陽電池モジュール12を保持するのに必要な強度があり、お互いにかみ合わせる事ができ、スライド可能で、任意の位置で固定できればどのような形態でもかまわない。図4ではいずれも取り付け部材18aと取り付け溝18bが相似形であるが、機能を満足すれば相似形である必要もない。
なお、第1太陽電池パネル13aのパネル支持体14に対する固定について、第1太陽電池パネル13aは、パネル支持体14に対し、取り付け部材18aと取り付け溝18bを介して取り付けられており、横方向に移動が可能である。また、所定の位置に設置した後に、特に指定はしないが第1太陽電池パネル13aはパネル支持体14に対して動かないように固定可能な方法を有し、かつ、繰り返し着脱が可能であるものとする。例えば蝶ボルト等で固定する方法などが考えられる。
【0015】
次に、それぞれの取り付け方法について説明を行う。図5乃至図8には、パネル支持体14に対して第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bのとりつり方法について示されている。
図5は、第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bの取り付けられていない状態のパネル支持体14の斜視図である。
図6は、パネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した上面図である。
図5の状態のパネル支持体14に、図6に示すように、パネル支持体14の背面から開口部17を通過させて13aを、パネル支持体14の前面に出し、第1太陽電池パネル13aの背面に備えられた取り付け部材18aと、パネル支持体14の前面に備えられた取り付け溝18bをかみ合わせ、横方向にスライドさせて任意の位置に移動させる。この時、取り付け部材18aと取り付け溝18bがかみ合っているので、図6の図面左右方向、即ち水平方向にのみ移動可能である。
また、任意の位置に移動させた後、図示しない方法で、固定が可能である。例えば、取り付け部材18a又は取り付け溝18bに穴を開けてボルトで固定しても構わないし、取り付け部材18aに蝶ボルト等の締め込む構造を持つ金具が備えられていて、蝶ボルトを締め込むことによって、パネル支持体14に対して移動不可能に固定されても構わない。当然、蝶ボルトを緩める事で再度移動が可能となり、繰り返し任意の位置で固定することが可能である。
【0016】
図7は、パネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した斜視図である。
図8は、パネル支持体14の開口部17を、第2太陽電池パネル13bで塞いでいる様子を示した斜視図である。
上述の手順でパネル支持体14に、第1太陽電池パネル13aを並べていき、図7のように少し隙間をもって、第1太陽電池パネル13aがほぼ同一間隔でパネル支持体14前面に並ぶ状態にする。
そして、第1太陽電池パネル13aが設置し終わった後に、図8に示すように第2太陽電池パネル13bをパネル支持体14の背面から設置する。第2太陽電池パネル13bは、支持部材19が突起部21によってパネル支持体14に保持され、図示しないボルト等で固定される。もちろん、固定する方法はパネル支持体14対して取り外し可能に固定されれば良いので、ボルト等に限らない。
こうして、太陽電池モジュール12がパネル支持体14の前面であって、建築内壁面10の背面に建物外側に向かって16枚並べられ、垂直に保持されることになる。その後、必要な配線等を施せばよい。なお、第1太陽電池パネル13a同士や、第2太陽電池パネル13bとの間には若干の隙間が設けられているが、この隙間は、太陽電池モジュール12が同じ間隔で並ぶようにするためのもので、必要が無ければ特に設けなくてもかまわない。また、建築内壁面10が垂直でなく、若干角度を持っている場合には、パネル支持体14を建築内壁面10に対応させて、角度をつけて設けることを妨げない。
【0017】
また、太陽電池モジュール12等の保守が必要である場合や、交換が必要である場合には、取り付け時と逆の手順で行えばよい。
例えば図1に示す、下から2段目であって最も左の太陽電池モジュール12を有する第1太陽電池パネル13aを外す場合、太陽電池に繋がる必要な配線等を取り外した後に、下から2段目の第2太陽電池パネル13bをボルト等の固定手段を解除して外して開口部17をつくり、下から2段目であって左から2列目の第1太陽電池パネル13aの固定手段を解除して、スライドさせ、開口部17を通過させて外し、目的の第1太陽電池パネル13aの固定手段を解除して、スライドさせ、開口部17を通過させて外す。
以上の手順で、第1太陽電池パネル13aの取り外しか完了し、交換、修理を行って、復元すればよい。他のパネルについてもほぼ同様の手順で取り外しが可能であり、非常に容易に作業を行う事ができる。必要に応じて取り外し時に使用する取手になるものを設けても良い。
このように構成されることで太陽電池モジュール12がパネル支持体14の前面であって、建築内壁面10の背面に配置でき、建物の中から容易に施工が可能であり、修理、交換時にも、大掛かりな足場を組むような作業を伴う工事を行わずとも、取り外しが容易になるという優れた効果を奏する。
(第2実施形態)
【0018】
なお、最後にパネル支持体14の開口部17を塞ぐ第2太陽電池パネル13bについては、図9及び図10に示すような形態も考えられる。
図9は、第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の斜視図である。
図10は、第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の上面図である。
第3太陽電池パネル13cは、1枚の太陽電池モジュール12と4つのブラケット20を有し、パネル支持体14の縦部材15にネジ止め可能なように、ブラケット20には図示しないボルト穴等を有している。なお、このブラケット20は、パネル支持体14に対して固定する機能を有していればいいので、その固定手段はボルト穴に限らない。
第1実施例と同様に、第1太陽電池パネル13aをパネル支持体14に配置した後に、開口部17を第3太陽電池パネル13cで塞いでゆく。上から見ると、図10のように配置される。
第2太陽電池パネル13b、第3太陽電池パネル13cは、基本的に開口部17を塞ぐためだけのものであって、太陽電池モジュール12を有していればいいので、支持部材19やブラケット20は、設計変更の範囲内で、どのような形状でも構わない。
以上のような、単純な構造の第2太陽電池パネル13bや第3太陽電池パネル13cによって開口部17が塞がれているので、メンテナンス時に取り外しが容易であり、また、取り付けも同様に容易である。また、建物外部から見た場合には、太陽電池モジュール12が同じ間隔で、第1太陽電池パネル13aと第3太陽電池パネル13cの差が無く並べられることになり、美観にも優れる。
(第3実施形態)
【0019】
なお、パネル支持体14は、第1太陽電池パネル13a、第2太陽電池パネル13b、第3太陽電池パネル13cのような太陽電池モジュール12を有するものだけでなく、太陽電池モジュール12を有さないパネル状部材22にも適用可能である。
従って、建築内壁面10にパネル状部材22を設けたい場合、建築内壁面10とパネル支持体14の隙間Dにパネル状部材22を一様に並べたい場合にも同様の効果を発揮し、安価に施工可能であり、メンテナンス等も容易となる。例えば、パネル状部材22に絵画の一部をプリントして配置し、組み合わせることによって1枚の絵画となるような構成にして、建築物の外部にディスプレイしたり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなどの薄型ディスプレイパネル(FDP)をパネル状部材22として同様に配置したりする用途にも利用可能である。
これらの場合においても、パネル状部材22が建物の内側から容易に交換可能であるという点でメリットが大きい。
(第4実施形態)
【0020】
また、パネル支持体14は、専用のフレームにより構成される必要は無く、例えば市販のアルミフレーム23によって構成しても構わない。
アルミフレーム23には、溝が設けられ、付属のナットで任意の位置にボルトで固定することが可能であるので、利便性が高く、見た目も美しく仕上がる。
パネル支持体14のサイズにもよるが、アルミフレーム23で構成したほうが安価に製作できる場合もある。
もちろん、パネル支持体14の材質に鉄やアルミを用いた構造体として、溶接して構成することも妨げない。
【0021】
上述したように、本実施例によるパネル支持構造によれば、以下の優れた効果を奏する。
(1)太陽電池モジュール12を支持するパネル支持構造において、取り付け溝18bを前面に有し格子状に組まれたパネル支持体14と、格子状に組まれたパネル支持体14の一部に、第1太陽電池パネル13aより大きい1以上の開口部17を備え、取り付け溝18bに取り付けるための取り付け部材18aを背面に有した四角形の第1太陽電池パネル13aを、パネル支持体14の背面であって建物の内部から、パネル支持体14の開口部17を通過させて、パネル支持体4の格子面に沿って移動させ、パネル支持体14の前面に取り付け支持することを特徴とするので、たとえ隣接する建物や障害物等があることにより建物の外側に足場を組む事が出来ない場合でも、太陽電池モジュールの施工が可能であり、格子状に組まれたパネル支持体14に開口部17を設けることによって建物の内側からのアクセスが可能であるので、メンテナンスも容易になるという優れた効果を奏する。
(2)(1)に記載されたパネル支持構造において、第1太陽電池パネル13aの背面に有した取り付け部材18aが、パネル支持体14の取り付け溝18bと移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴とするので、第1太陽電池パネル13aの設置や、修理、交換時において、作業性が向上するという優れた効果を奏する。
(3)(1)または(2)に記載したパネル支持構造において、パネル支持体14が溝のアルミフレーム23であって、アルミフレーム23の溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで第1太陽電池パネル13aが、パネル支持体14に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴とするので、専用のパネル支持体14を作ることなく安価に太陽電池パネル用のパネル支持体14を施工する事が可能である。
【0022】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、パネル支持体14の一部に設けられた開口部17に、開口部17を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池モジュール12を有することが可能な支持部材19を、パネル支持体14に対して、パネル支持体14の背面から取り付けることが可能であることを特徴とするので、格子状のパネル支持体14の前面に第1太陽電池パネル13aを必要な位置に配置することが可能であり、必要なときに建物の中であって、パネル支持体14の裏側から開口部17を塞ぐ部材をはずす事が可能となるという優れた効果を奏する。
(5)パネル状部材22を支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体14と、格子状に組まれたパネル支持体14の一部に、パネル状部材22より大きい1以上の開口部17を備え、取り付け溝18bに取り付けるための取り付け部材18aを背面に有した四角形のパネル状部材22を、パネル支持体14の背面であって建物の内部から、パネル支持体14の開口部17を通過させて、パネル支持体4の格子面に沿って移動させ、パネル支持体14の前面に取り付け支持することを特徴とするので、パネル状部材22を建物内部から容易に取り外すことが可能であり、建築物が出来上がった後にパネル状部材22を支持するように施工することも容易になるという優れた効果を奏する。なお、前記パネル支持部材は、前記太陽電池パネルに限らない。このように本発明のパネル支持構造によれば、太陽電池パネルの施工のみならず、その他一般的なパネル部材、例えば、外部へのディスプレイやFDPの支持といった目的にも使用が可能である。
【0023】
以上、本発明のパネル支持構造における実施の形態を例示したが、この実施の形態に限られる事なく発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形する事を妨げない。
例えば、第1太陽電池パネル13a、又は第2太陽電池パネル13b、又は第3太陽電池パネル13c、又はパネル状部材22等を垂直に、又は垂直に近い状態で建物の外周部若しくは内部からアクセスしうる屋根等に保持するに当たって、16枚を4行4列に並べているが、並べる枚数を模式的に示したに過ぎないので、枚数の増減はもとより、全て同じ大きさのものを並べる必要も無い。使用の用途によっては、1枚だけ別の機能を有するパネルを配置するのを妨げないし、個々のパネルの大きさが違っても問題は無い。
また、太陽電池に関しても、色素増感型の太陽電池に限定するものでもない。当然、シリコン半導体を用いた太陽電池を垂直に、又は垂直に近い状態で建物の外周部若しくは内部からアクセスしうる屋根等に保持するためにパネル支持体14を使用しても良いし、他の方式のものを採用する事を妨げない。
【0024】
さらに、第1実施形態ではパネル支持構造の前面に透光性のある建築用壁面10を設けているが、パネル指示構造自身が壁面を構成するような形態をとっても良い。この際、太陽電池パネル間の隙間は、別部材にて埋めることによって、建物内部と外部を遮断するようにしている。
また、パネル支持体14に関して、L1、L2、L3、L4の長さに関しても、L2の寸法が、太陽電池モジュール12の幅Aより広ければL1、L3、L4の大きさは特に問題としないし、縦部材15が増減する場合や、縦部材15の間隔が設計によって変更になっても問題ない。
その他、材質、材料、数量の変更も、発明の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態のパネル支持構造の前面から見た立体図である。
【図2】第1実施形態のパネル支持構造の背面から見た立体図である。
【図3】第1実施形態の図2のX方向からみた上面平面図である。
【図4】第1実施形態の太陽電池モジュール12の背面に取り付けられる取り付け部材18aと、パネル支持体14の前面にある取り付け溝18bの断面図である。
【図5】第1実施形態の第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bの取り付けられていない状態のパネル支持体14の斜視図である。
【図6】第1実施形態のパネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した上面図である。
【図7】第1実施形態のパネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した斜視図である。
【図8】第1実施形態のパネル支持体14の開口部17を、第2太陽電池パネル13bで塞いでいる様子を示した斜視図である。
【図9】第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の斜視図である。
【図10】第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の上面図である。
【図11】特許文献1の、既設屋根上架台設置型の太陽電池モジュールアレイの模式図である。
【図12】特許文献2の、外壁パネル構造の側面断面図である。
【図13】特許文献3の、カーテンウォールの天井及び床部分を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 建築内壁面
12 太陽電池
13a 第1太陽電池パネル
13b 第2太陽電池パネル
13c 第3太陽電池パネル
14 パネル支持体
15 縦部材
16 横部材
17 開口部
18a 取り付け部材
18b 取り付け溝
19 支持部材
21 突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば太陽電池パネルをビルや住宅等の建物の壁面や屋根に取り付けるにあたって、太陽電池を支持する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型の太陽電池であるシリコン半導体を用いた太陽電池は、ビルや住宅等に取り付けて発電を行う場合、太陽電池モジュールが比較的高価であり、また、取り付けによってその発電効率が大きく変動するため、最も効率の良い屋根の上に、太陽電池モジュールを持ってくることが一般的であった。
特許文献1には、既設屋根上架台設置型の太陽電池モジュールアレイが示されている。図11に示す通り、太陽電池モジュール100を既設屋根上に金具101等を工夫して付けられている。
しかし、近年において、シリコン半導体を用いた太陽電池にも、単結晶型シリコンを用いた太陽電池のみではなく、多結晶型シリコンを用いた太陽電池や、アモルファス型のシリコン半導体を用いた太陽電池といった、安価な太陽電池が開発されており、また、シリコン半導体を使わない色素増感型太陽電池のような、更に安価な太陽電池も開発されている。
【0003】
従来においても、ビルのガラス壁面に埋め込むといった手法で、太陽電池を壁面に使用する例はあったが、低コスト化によって、その傾向はいっそう進むと考えられる。
特に、色素増感型太陽電池は、発電効率はシリコン半導体を用いた太陽電池より劣るものの、光が当たる角度が小さくても発電量が低下しないという利点がある。従って、色素増感型太陽電池等は、シリコン半導体を用いた太陽電池のように、日光の照射角度等に発電量が左右されにくく、コストも安価であるために、壁面に用いるのにより適しているといえる。
特許文献1の方法は、既設屋根のみでなく、住宅やビル壁面等にも施工可能であると考えられるが、特許文献1の方法で住宅やビル壁面に施工した場合、その美観を損ねる恐れがある。実際にビルの壁面等に太陽電池モジュールを設置している例もあるが、大抵の場合、その美観を重視して、カーテンウォール等の工法を用いて施工している場合が多い。
【0004】
特許文献2には、カーテンウォールを構成する外壁パネルの取り付け方法の一例が開示されている。
特許文献2の外壁パネル支持構造は、図12で示すように、抜け止め金具201の上部片202を梁227のフランジ228へ上面に載置した状態では、下部片204の上面と梁のフランジ228との下面との間には、隙間231が形成されており、この隙間231の範囲で支持ボルト222は上下方向に移動可能であって、この範囲で地震時のロッキング作用を行わしめるようにしている。即ち、この隙間231は、外壁パネル206のロッキング代となっている。更に、この下部片204が梁のフランジ228下側に位置していることによって、支持ボルト222が上方に抜けるのを防止している。
【0005】
下側の外壁パネル206の上端を取り付けた後に、その上部に上部側の外壁パネル218が設置されるが、前記のように、その下端裏面部の振れ止めボルト220を振れ止め金具216のスリット217へ差し込むことによって振れ止めを行う。その場合、振れ止めボルト220の軸部に形成した鍔232と頭部233とで内外方向にも移動しないよう保持している。また、この振れ止めボルト220を回転させて、インサートナット219へのねじ込み深さを調節することによって、内外の出入り調節を行うことができるようにしている。
従って、梁227の上下両側でボルトナットによって固定するのではなく、支持ボルト222を上側からねじ込むだけで取り付けることが出来るため、梁227の上部側から作業できるというメリットがある。
【0006】
また、特許文献3には、壁体に孔をあける必要が無くて壁体の製造を容易にでき、かつ構造材の構成も簡易にできて意匠性も向上できる壁体支持装置が開示されている。
特許文献3の方法によれば、図13に示すように、天井303の端部ブラケット362および最上段のブラケット320を連結する連結ロッド340と、各ブラケット320間を連結する連結ロッド340とを備える連結支持手段を設け、各ブラケット320を順次吊り上げ支持しているので、保持フレーム330を介して各ブラケット320に加わるガラスパネル305の荷重を、連結ロッド340を介して天井303側で支持することができる。
このため、サポータ306や梁304は、ガラスパネル305に加わる室内外方向の外力つまり耐風圧荷重のみを支持すればよく、その分、梁304やサポータ306を細くすることなどもできる。また、梁304等を軽量化できて構成も簡易にできるとともに、コストも低減できる。その上、梁304やサポータ306部分をスマートな意匠デザインにでき、カーテンウォールの内観や、透明なガラスパネル305を介した外観を向上できるという効果がある。
【特許文献1】特開2000−8567号公報
【特許文献2】特許第3483699号公報
【特許文献3】特許第3487762号公報
【特許文献4】特許第3246318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術1の方法を用いて、ビルや住宅等の壁面に金具を取り付け、その金具に太陽電池モジュールを設置するといった方法をとる場合、壁面と太陽電池モジュールの間には、配線用の隙間を設けなければならず、又、外見上、取付金具が露出するため、建物の美観を損ねる恐れがある。
また、従来、ビルや住宅等の壁面の施工にあたっては、建築中の建物の外側に隣接する建築物や障害物等がある場合、建物建築時にこれらの障害物を撤去可能な場合には撤去することで、撤去が出来ない場合は、施工可能なように障害物を回避して建物を建築するか、あるいは施工を断念せざるを得ない。障害物を撤去や回避できる場合でも、障害物を撤去するには、それなりの費用が発生し、撤去せずに設計変更を行って、障害物を回避する場合には、その分だけ設計の自由度が失われてしまうという問題がある。
次に、美観に配慮したカーテンウォールの施工方法である、特許文献2、特許文献3に開示されるような方法においても、万が一カーテンウォール自体が破損し、修理や交換等の必要がある場合や、太陽電池モジュール自体の修理や交換等の必要がある場合、特に、その箇所が高層部にある場合には、外部に大掛かりな足場を組んで、修理箇所の太陽電池モジュールをカーテンウォールごと取り外す必要性があるという問題がある。
また、既に壁面が出来上がっており、後から太陽電池モジュールを設置したい場合には、既設の壁を撤去して、新たに壁面に太陽電池モジュールを埋め込んだ形で施工しなおさなければならず、大掛かりな工事が必要となる問題がある。
【0008】
つまり、従来技術1乃至従来技術3の方法では、建物の壁面に設けられた太陽電池モジュールの修理、交換等をする場合には、建物の周りに足場等を設置し、大掛かりな補修工事を必要とし、建物が出来上がった後に、新たに太陽電池モジュールを追加する事が困難であるという問題がある。
本発明は、そうした問題点を解決するためになされたものであり、ビルや住宅等の壁面に太陽電池モジュールを設けるにあたって、建築物の外側に足場等を設けることなく施工が可能であり、設置後のメンテナンスを行う場合も修理、交換等が容易であるパネル支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るパネル支持構造は、次のような構成を有している。
(1)太陽電池パネルを支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記太陽電池パネルより大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記太陽電池パネルを、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とする。
(2)(1)に記載されたパネル支持構造において、前記太陽電池パネルの背面に有した前記取り付け部材が、前記パネル支持体の前記取り付け溝と移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載したパネル支持構造において、前記パネル支持体が溝付アルミフレームであって、前記アルミフレームの溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで前記太陽電池パネルが、前記パネル支持体に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、前記パネル支持体の一部に設けられた前記開口部に、前記開口部を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池パネルを有することが可能な取り付け部材を、前記パネル支持体に対して、前記パネル支持体の背面から取り付けることが可能であることを特徴とする。
(5)パネル状部材を支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記パネル状部材より大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記パネル状部材を、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とする。
【0010】
上記構成を有するパネル支持構造の作用効果について説明する。
本発明のパネル支持構造においては、
(1)太陽電池パネルを支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記太陽電池パネルより大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記太陽電池パネルを、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とするので、たとえ、隣接する建物や障害物等があることにより建物の外側に足場を組む事が出来ない場合でも、外側に足場を必要とせず、建物の内側から太陽電池モジュールの施工が可能である。また、格子状に組まれたパネル支持体に開口部を設けることによって建物の内側からのアクセスが可能であるので、メンテナンスも容易になるという優れた効果を奏する。
(2)(1)に記載されたパネル支持構造において、前記太陽電池パネルの背面に有した前記取り付け部材が、前記パネル支持体の前記取り付け溝と移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴とするので、太陽電池パネルの設置や、修理、交換時において、作業性が向上するという優れた効果を奏する。
(3)(1)または(2)に記載したパネル支持構造において、前記パネル支持体が溝付アルミフレームであって、前記アルミフレームの溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで前記太陽電池パネルが、前記パネル支持体に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴とするので、専用パネル支持体を作ることなく安価に太陽電池パネル用のパネル支持体を施工する事が可能である。
【0011】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、前記パネル支持体の一部に設けられた前記開口部に、前記開口部を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池パネルを有することが可能な取り付け部材を、前記パネル支持体に対して、前記パネル支持体の背面から取り付けることが可能であることを特徴とするので、格子状のパネル支持体の前面に太陽電池パネルを必要な位置に配置することが可能であり、必要なときに建物の中であって、パネル支持体の裏側から開口部を塞ぐ部材をはずす事が可能となるという優れた効果を奏する。
(5)パネル状部材を支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記パネル状部材より大きい1以上の開口部を備え、前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記パネル状部材を、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴とするので、パネル状部材を建物内部から容易に取り外すことが可能であり、建築物が出来上がった後にパネル状部材を垂直に支持するように施工することも容易になるという優れた効果を奏する。なお、前記パネル支持部材は、前記太陽電池パネルに限らない。このように本発明のパネル支持構造によれば、太陽電池パネルの施工のみならず、その他一般的なパネル部材、例えば、外部へのディスプレイといった目的にも使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るパネル支持構造について、具体化した形態をあげ、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のパネル支持構造の前面から見た立体図であり、図2は第1実施形態のパネル支持構造の背面から見た立体図であり、図3は図2のX方向からみた上面平面図である。
図1、図2、及び図3に示される一定の大きさを持った長方形の第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bは、パネル支持体14の前面に取り付けられ、ガラス等の透光性のある素材で出来た建築内壁面10と、パネル支持体14の間に設けられている。
第1太陽電池パネル13aは、1枚の太陽電池モジュール12と2つの取り付け部材18aからなり、太陽電池モジュール12の背面には取り付け部材18aが設けられ、パネル支持体14に取り付けられるようになっている。
また、第2太陽電池パネル13bは、1枚の太陽電池モジュール12と2つの支持部材19からなり、太陽電池モジュール12の背面に支持部材19が設けられ、パネル支持体14に取り付けられるようになっている。
また、太陽電池モジュール12には、太陽電池の表面保護材としてガラスやプラスチックといった透光性の高い素材が用いられており、その裏面に取り付け部材18aが設けられている。第1実施形態では、色素増感型の太陽電池を採用している。
【0013】
また、第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bは、幅A、高さB、厚みCの大きさで、建築内壁面10とパネル支持体14の隙間Dの間に設置され、複数枚が一定の隙間を持って並べられる。なお、第1太陽電池パネル13aの背面に取り付けられる取り付け部材18aは、太陽電池モジュール12の幅Aと等しいか、若しくはそれより短く、第2太陽電池パネル13bの背面に取り付けられる支持部材19は、図2のL2を通過できる長さ、すなわちL2より短い。加えて支持部材19は、その左側に存在する第1太陽電池パネル13aと右側に存在する第1太陽電池パネル13aとの間の間隔よりも長い。これにより支持部材19が第1太陽電池パネル13a間の隙間を通過して外側に転落しないようになっている。
パネル支持体14は、縦部材15と横部材16等から構成されている。縦部材15と横部材16は図示しないブラケットやボルト、又は溶接等にて頑丈に固定されており、パネル全ての重量を十分支えうる強度を持つ構造体である。また、縦部材15の間隔について、L1、L2、L3、L4とすると、L1、L3、L4は同じかそれに近い値であり、なおかつ、太陽電池モジュール12の幅Aよりも狭く設定されており、一方L2は開口部17として設けられるために太陽電池モジュール12の幅Aよりも広い。
この開口部17に、第2太陽電池パネル13bを備える支持部材19がはまるように、開口部17の両側の縦部材15には突起部21が設けられている。また、突起部21は第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bの通過を妨げないようになっている。また、支持部材19は2本の横部材と1枚の太陽電池モジュール12からなり、4箇所の突起部21によってパネル支持体14に保持され、図示しないボルト等によって取り外し可能なように固定される。
【0014】
図4には、太陽電池モジュール12の背面に取り付けられる取り付け部材18aと、パネル支持体14の前面にある取り付け溝18bの断面図が示されている。取り付け部材18aと取り付け溝18bはお互いにかみ合うような断面形状をしており、横方向にスライド可能である。その形状は(a)図、(b)図に示しているが、太陽電池モジュール12を保持するのに必要な強度があり、お互いにかみ合わせる事ができ、スライド可能で、任意の位置で固定できればどのような形態でもかまわない。図4ではいずれも取り付け部材18aと取り付け溝18bが相似形であるが、機能を満足すれば相似形である必要もない。
なお、第1太陽電池パネル13aのパネル支持体14に対する固定について、第1太陽電池パネル13aは、パネル支持体14に対し、取り付け部材18aと取り付け溝18bを介して取り付けられており、横方向に移動が可能である。また、所定の位置に設置した後に、特に指定はしないが第1太陽電池パネル13aはパネル支持体14に対して動かないように固定可能な方法を有し、かつ、繰り返し着脱が可能であるものとする。例えば蝶ボルト等で固定する方法などが考えられる。
【0015】
次に、それぞれの取り付け方法について説明を行う。図5乃至図8には、パネル支持体14に対して第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bのとりつり方法について示されている。
図5は、第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bの取り付けられていない状態のパネル支持体14の斜視図である。
図6は、パネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した上面図である。
図5の状態のパネル支持体14に、図6に示すように、パネル支持体14の背面から開口部17を通過させて13aを、パネル支持体14の前面に出し、第1太陽電池パネル13aの背面に備えられた取り付け部材18aと、パネル支持体14の前面に備えられた取り付け溝18bをかみ合わせ、横方向にスライドさせて任意の位置に移動させる。この時、取り付け部材18aと取り付け溝18bがかみ合っているので、図6の図面左右方向、即ち水平方向にのみ移動可能である。
また、任意の位置に移動させた後、図示しない方法で、固定が可能である。例えば、取り付け部材18a又は取り付け溝18bに穴を開けてボルトで固定しても構わないし、取り付け部材18aに蝶ボルト等の締め込む構造を持つ金具が備えられていて、蝶ボルトを締め込むことによって、パネル支持体14に対して移動不可能に固定されても構わない。当然、蝶ボルトを緩める事で再度移動が可能となり、繰り返し任意の位置で固定することが可能である。
【0016】
図7は、パネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した斜視図である。
図8は、パネル支持体14の開口部17を、第2太陽電池パネル13bで塞いでいる様子を示した斜視図である。
上述の手順でパネル支持体14に、第1太陽電池パネル13aを並べていき、図7のように少し隙間をもって、第1太陽電池パネル13aがほぼ同一間隔でパネル支持体14前面に並ぶ状態にする。
そして、第1太陽電池パネル13aが設置し終わった後に、図8に示すように第2太陽電池パネル13bをパネル支持体14の背面から設置する。第2太陽電池パネル13bは、支持部材19が突起部21によってパネル支持体14に保持され、図示しないボルト等で固定される。もちろん、固定する方法はパネル支持体14対して取り外し可能に固定されれば良いので、ボルト等に限らない。
こうして、太陽電池モジュール12がパネル支持体14の前面であって、建築内壁面10の背面に建物外側に向かって16枚並べられ、垂直に保持されることになる。その後、必要な配線等を施せばよい。なお、第1太陽電池パネル13a同士や、第2太陽電池パネル13bとの間には若干の隙間が設けられているが、この隙間は、太陽電池モジュール12が同じ間隔で並ぶようにするためのもので、必要が無ければ特に設けなくてもかまわない。また、建築内壁面10が垂直でなく、若干角度を持っている場合には、パネル支持体14を建築内壁面10に対応させて、角度をつけて設けることを妨げない。
【0017】
また、太陽電池モジュール12等の保守が必要である場合や、交換が必要である場合には、取り付け時と逆の手順で行えばよい。
例えば図1に示す、下から2段目であって最も左の太陽電池モジュール12を有する第1太陽電池パネル13aを外す場合、太陽電池に繋がる必要な配線等を取り外した後に、下から2段目の第2太陽電池パネル13bをボルト等の固定手段を解除して外して開口部17をつくり、下から2段目であって左から2列目の第1太陽電池パネル13aの固定手段を解除して、スライドさせ、開口部17を通過させて外し、目的の第1太陽電池パネル13aの固定手段を解除して、スライドさせ、開口部17を通過させて外す。
以上の手順で、第1太陽電池パネル13aの取り外しか完了し、交換、修理を行って、復元すればよい。他のパネルについてもほぼ同様の手順で取り外しが可能であり、非常に容易に作業を行う事ができる。必要に応じて取り外し時に使用する取手になるものを設けても良い。
このように構成されることで太陽電池モジュール12がパネル支持体14の前面であって、建築内壁面10の背面に配置でき、建物の中から容易に施工が可能であり、修理、交換時にも、大掛かりな足場を組むような作業を伴う工事を行わずとも、取り外しが容易になるという優れた効果を奏する。
(第2実施形態)
【0018】
なお、最後にパネル支持体14の開口部17を塞ぐ第2太陽電池パネル13bについては、図9及び図10に示すような形態も考えられる。
図9は、第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の斜視図である。
図10は、第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の上面図である。
第3太陽電池パネル13cは、1枚の太陽電池モジュール12と4つのブラケット20を有し、パネル支持体14の縦部材15にネジ止め可能なように、ブラケット20には図示しないボルト穴等を有している。なお、このブラケット20は、パネル支持体14に対して固定する機能を有していればいいので、その固定手段はボルト穴に限らない。
第1実施例と同様に、第1太陽電池パネル13aをパネル支持体14に配置した後に、開口部17を第3太陽電池パネル13cで塞いでゆく。上から見ると、図10のように配置される。
第2太陽電池パネル13b、第3太陽電池パネル13cは、基本的に開口部17を塞ぐためだけのものであって、太陽電池モジュール12を有していればいいので、支持部材19やブラケット20は、設計変更の範囲内で、どのような形状でも構わない。
以上のような、単純な構造の第2太陽電池パネル13bや第3太陽電池パネル13cによって開口部17が塞がれているので、メンテナンス時に取り外しが容易であり、また、取り付けも同様に容易である。また、建物外部から見た場合には、太陽電池モジュール12が同じ間隔で、第1太陽電池パネル13aと第3太陽電池パネル13cの差が無く並べられることになり、美観にも優れる。
(第3実施形態)
【0019】
なお、パネル支持体14は、第1太陽電池パネル13a、第2太陽電池パネル13b、第3太陽電池パネル13cのような太陽電池モジュール12を有するものだけでなく、太陽電池モジュール12を有さないパネル状部材22にも適用可能である。
従って、建築内壁面10にパネル状部材22を設けたい場合、建築内壁面10とパネル支持体14の隙間Dにパネル状部材22を一様に並べたい場合にも同様の効果を発揮し、安価に施工可能であり、メンテナンス等も容易となる。例えば、パネル状部材22に絵画の一部をプリントして配置し、組み合わせることによって1枚の絵画となるような構成にして、建築物の外部にディスプレイしたり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなどの薄型ディスプレイパネル(FDP)をパネル状部材22として同様に配置したりする用途にも利用可能である。
これらの場合においても、パネル状部材22が建物の内側から容易に交換可能であるという点でメリットが大きい。
(第4実施形態)
【0020】
また、パネル支持体14は、専用のフレームにより構成される必要は無く、例えば市販のアルミフレーム23によって構成しても構わない。
アルミフレーム23には、溝が設けられ、付属のナットで任意の位置にボルトで固定することが可能であるので、利便性が高く、見た目も美しく仕上がる。
パネル支持体14のサイズにもよるが、アルミフレーム23で構成したほうが安価に製作できる場合もある。
もちろん、パネル支持体14の材質に鉄やアルミを用いた構造体として、溶接して構成することも妨げない。
【0021】
上述したように、本実施例によるパネル支持構造によれば、以下の優れた効果を奏する。
(1)太陽電池モジュール12を支持するパネル支持構造において、取り付け溝18bを前面に有し格子状に組まれたパネル支持体14と、格子状に組まれたパネル支持体14の一部に、第1太陽電池パネル13aより大きい1以上の開口部17を備え、取り付け溝18bに取り付けるための取り付け部材18aを背面に有した四角形の第1太陽電池パネル13aを、パネル支持体14の背面であって建物の内部から、パネル支持体14の開口部17を通過させて、パネル支持体4の格子面に沿って移動させ、パネル支持体14の前面に取り付け支持することを特徴とするので、たとえ隣接する建物や障害物等があることにより建物の外側に足場を組む事が出来ない場合でも、太陽電池モジュールの施工が可能であり、格子状に組まれたパネル支持体14に開口部17を設けることによって建物の内側からのアクセスが可能であるので、メンテナンスも容易になるという優れた効果を奏する。
(2)(1)に記載されたパネル支持構造において、第1太陽電池パネル13aの背面に有した取り付け部材18aが、パネル支持体14の取り付け溝18bと移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴とするので、第1太陽電池パネル13aの設置や、修理、交換時において、作業性が向上するという優れた効果を奏する。
(3)(1)または(2)に記載したパネル支持構造において、パネル支持体14が溝のアルミフレーム23であって、アルミフレーム23の溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで第1太陽電池パネル13aが、パネル支持体14に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴とするので、専用のパネル支持体14を作ることなく安価に太陽電池パネル用のパネル支持体14を施工する事が可能である。
【0022】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、パネル支持体14の一部に設けられた開口部17に、開口部17を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池モジュール12を有することが可能な支持部材19を、パネル支持体14に対して、パネル支持体14の背面から取り付けることが可能であることを特徴とするので、格子状のパネル支持体14の前面に第1太陽電池パネル13aを必要な位置に配置することが可能であり、必要なときに建物の中であって、パネル支持体14の裏側から開口部17を塞ぐ部材をはずす事が可能となるという優れた効果を奏する。
(5)パネル状部材22を支持するパネル支持構造において、取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体14と、格子状に組まれたパネル支持体14の一部に、パネル状部材22より大きい1以上の開口部17を備え、取り付け溝18bに取り付けるための取り付け部材18aを背面に有した四角形のパネル状部材22を、パネル支持体14の背面であって建物の内部から、パネル支持体14の開口部17を通過させて、パネル支持体4の格子面に沿って移動させ、パネル支持体14の前面に取り付け支持することを特徴とするので、パネル状部材22を建物内部から容易に取り外すことが可能であり、建築物が出来上がった後にパネル状部材22を支持するように施工することも容易になるという優れた効果を奏する。なお、前記パネル支持部材は、前記太陽電池パネルに限らない。このように本発明のパネル支持構造によれば、太陽電池パネルの施工のみならず、その他一般的なパネル部材、例えば、外部へのディスプレイやFDPの支持といった目的にも使用が可能である。
【0023】
以上、本発明のパネル支持構造における実施の形態を例示したが、この実施の形態に限られる事なく発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形する事を妨げない。
例えば、第1太陽電池パネル13a、又は第2太陽電池パネル13b、又は第3太陽電池パネル13c、又はパネル状部材22等を垂直に、又は垂直に近い状態で建物の外周部若しくは内部からアクセスしうる屋根等に保持するに当たって、16枚を4行4列に並べているが、並べる枚数を模式的に示したに過ぎないので、枚数の増減はもとより、全て同じ大きさのものを並べる必要も無い。使用の用途によっては、1枚だけ別の機能を有するパネルを配置するのを妨げないし、個々のパネルの大きさが違っても問題は無い。
また、太陽電池に関しても、色素増感型の太陽電池に限定するものでもない。当然、シリコン半導体を用いた太陽電池を垂直に、又は垂直に近い状態で建物の外周部若しくは内部からアクセスしうる屋根等に保持するためにパネル支持体14を使用しても良いし、他の方式のものを採用する事を妨げない。
【0024】
さらに、第1実施形態ではパネル支持構造の前面に透光性のある建築用壁面10を設けているが、パネル指示構造自身が壁面を構成するような形態をとっても良い。この際、太陽電池パネル間の隙間は、別部材にて埋めることによって、建物内部と外部を遮断するようにしている。
また、パネル支持体14に関して、L1、L2、L3、L4の長さに関しても、L2の寸法が、太陽電池モジュール12の幅Aより広ければL1、L3、L4の大きさは特に問題としないし、縦部材15が増減する場合や、縦部材15の間隔が設計によって変更になっても問題ない。
その他、材質、材料、数量の変更も、発明の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態のパネル支持構造の前面から見た立体図である。
【図2】第1実施形態のパネル支持構造の背面から見た立体図である。
【図3】第1実施形態の図2のX方向からみた上面平面図である。
【図4】第1実施形態の太陽電池モジュール12の背面に取り付けられる取り付け部材18aと、パネル支持体14の前面にある取り付け溝18bの断面図である。
【図5】第1実施形態の第1太陽電池パネル13a及び第2太陽電池パネル13bの取り付けられていない状態のパネル支持体14の斜視図である。
【図6】第1実施形態のパネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した上面図である。
【図7】第1実施形態のパネル支持体14に第1太陽電池パネル13aを取り付ける様子を示した斜視図である。
【図8】第1実施形態のパネル支持体14の開口部17を、第2太陽電池パネル13bで塞いでいる様子を示した斜視図である。
【図9】第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の斜視図である。
【図10】第2実施形態の第3太陽電池パネル13cを用いた場合のパネル支持体14の上面図である。
【図11】特許文献1の、既設屋根上架台設置型の太陽電池モジュールアレイの模式図である。
【図12】特許文献2の、外壁パネル構造の側面断面図である。
【図13】特許文献3の、カーテンウォールの天井及び床部分を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 建築内壁面
12 太陽電池
13a 第1太陽電池パネル
13b 第2太陽電池パネル
13c 第3太陽電池パネル
14 パネル支持体
15 縦部材
16 横部材
17 開口部
18a 取り付け部材
18b 取り付け溝
19 支持部材
21 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを支持するパネル支持構造において、
取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記太陽電池パネルより大きい1以上の開口部を備え、
前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記太陽電池パネルを、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴としたパネル支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載されたパネル支持構造において、
前記太陽電池パネルの背面に有した前記取り付け部材が、前記パネル支持体の前記取り付け溝と移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴としたパネル支持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したパネル支持構造において、
前記パネル支持体が溝付アルミパネル支持体であって、前記アルミフレームの溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで前記太陽電池パネルが、前記パネル支持体に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴としたパネル支持構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、
前記パネル支持体の一部に設けられた前記開口部に、前記開口部を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池パネルを有することが可能な支持部材を、前記パネル支持体に対して、前記パネル支持体の背面から取り付けることが可能であることを特徴としたパネル支持構造。
【請求項5】
パネル状部材を支持するパネル支持構造において、
取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記パネル状部材より大きい1以上の開口部を備え、
前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記パネル状部材を、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴としたパネル支持構造。
【請求項1】
太陽電池パネルを支持するパネル支持構造において、
取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記太陽電池パネルより大きい1以上の開口部を備え、
前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記太陽電池パネルを、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴としたパネル支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載されたパネル支持構造において、
前記太陽電池パネルの背面に有した前記取り付け部材が、前記パネル支持体の前記取り付け溝と移動可能に噛合うような形状をしたことを特徴としたパネル支持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したパネル支持構造において、
前記パネル支持体が溝付アルミパネル支持体であって、前記アルミフレームの溝部にナット等が挿入でき、前記ナットで前記太陽電池パネルが、前記パネル支持体に対して横方向に移動可能に取り付けられたことを特徴としたパネル支持構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載されたパネル支持構造において、
前記パネル支持体の一部に設けられた前記開口部に、前記開口部を塞ぐ部材であって、その前面に太陽電池パネルを有することが可能な支持部材を、前記パネル支持体に対して、前記パネル支持体の背面から取り付けることが可能であることを特徴としたパネル支持構造。
【請求項5】
パネル状部材を支持するパネル支持構造において、
取り付け溝を前面に有し格子状に組まれたパネル支持体と、格子状に組まれた前記パネル支持体の一部に、前記パネル状部材より大きい1以上の開口部を備え、
前記取り付け溝に取り付けるための取り付け部材を背面に有した四角形の前記パネル状部材を、前記パネル支持体の背面であって建物の内部から、前記パネル支持体の前記開口部を通過させて、前記パネル支持体の格子面に沿って移動させ、前記パネル支持体の前面に取り付け支持することを特徴としたパネル支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−144495(P2006−144495A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339398(P2004−339398)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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