説明

パネル用部品

【課題】パネル部材に取り付けられる部品の点数削減を図ることのできるパネル用部品を提供する。
【解決手段】正面パネル部11の表側から加えられた押圧操作によってスイッチ素子3を操作するとともに、照明用光源4の光を受けて側面パネル部12の表側に向かって発光するパネル用部品20であって、透光性を有し、側面パネル部12に設けられて照明用光源5の光を裏側に受けることにより表側に発光する照明部60と、正面パネル部11に設けられてスイッチ素子3を押圧する操作ボタン部30と、照明部60と操作ボタン部30との間に介在するヒンジ部40とを設け、照明部60と操作ボタン部30とヒンジ部40とを互いに一体に成形して単一の部品とし、ヒンジ部40を、操作ボタン部30がスイッチ素子3を押圧しない通常位置とスイッチ素子3を押圧する押圧位置との間で移動するのを許容するように変形可能な形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル部材に設けられるパネル用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のインストゥルメントパネル等のパネル部材には、所定のスイッチ素子を操作する操作ボタン等の種々のパネル用部品が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パネル用部品として複数の操作ボタンとレンズ部材とが設けられたインストゥルメントパネルが開示されている。このインストゥルメントパネルでは、インストゥルメントパネルの一部を構成する操作パネルの上部に複数の操作ボタンが配置されており、前記操作パネルの下部に設けられた膨出部に形成された開口部内に前記レンズ部材が装着されている。そして、前記操作ボタンの操作に伴って操作パネルの裏側に配置されたスイッチ素子が操作され、前記レンズ部材の裏側に配置された照明用光源の光が前記レンズ部材の表側に発光することで車室フロアが照明されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4290518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように自動車のインストゥルメントパネル等のパネル部材に取り付けられるパネル用部品の数は増加していっており、この部品点数の増加に伴うコストの増加や取り付け作業の工数の増加が問題となっている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、パネル部材に取り付けられる部品の点数削減を図ることのできるパネル用部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、正面パネル部および当該正面パネル部に連設されてこの正面パネル部と異なる方向を向く側面パネル部を有するパネル部材に設けられて、前記正面パネル部の表側から加えられた押圧操作によって前記パネル部材の裏側に設けられたスイッチ素子を操作するとともに、前記パネル部材の裏側に設けられた照明用光源の光を受けて前記側面パネル部の表側に向かって発光するパネル用部品であって、透光性を有し、前記側面パネル部に設けられて前記照明用光源の光を裏側に受けることにより表側に発光する照明部と、前記正面パネル部に設けられて前記押圧操作を受けることで前記スイッチ素子を押圧する操作ボタン部と、前記照明部と前記操作ボタン部との間に介在するヒンジ部とを備え、前記照明部と前記操作ボタン部と前記ヒンジ部とは互いに一体に成形されて単一の部品を構成し、前記ヒンジ部は、当該ヒンジ部に接続された前記操作ボタン部が、前記スイッチ素子を押圧しない通常位置と、この操作ボタン部が押圧操作を受けて前記通常位置から後退することにより前記スイッチ素子を押圧する押圧位置との間で移動するのを許容するように変形可能な形状を有することを特徴とするパネル用部品を提供する(請求項1)。
【0008】
この装置によれば、単一のパネル用部品でスイッチ素子の操作と所定の対象物の照明との双方が可能であり、スイッチ素子を操作するための操作ボタンと、レンズ部材といった所定の対象物を照明するために照明用光源の光を受けて発光する部品とを個別に設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。このことは、コスト面および取り付け作業面で有利となる。
【0009】
具体的には、本パネル用部品のうちの透光性を有する照明部が前記照明用光源の光を裏側に受けて表側に発光することで、側面パネル部の表側に向かって照明用光源の光が照射され、これにより所定の対象物が照明される。一方、操作ボタン部は、前記照明部にヒンジ部を介して一体に連結されているにも係らず、正面パネル部において押圧操作を受けることで前記ヒンジ部の変形を伴いながらこのヒンジ部側を支点にスイッチ素子を押圧しない通常位置から押圧位置に後退してスイッチ素子を押圧することができる。
【0010】
本発明において、前記ヒンジ部は、弾性変形可能であって、無変形状態では前記操作ボタン部を前記通常位置に保持する形状を有し、この無変形状態から弾性変形することにより前記操作ボタン部の前記押圧位置への移動を許容する形状を有するのが好ましい(請求項2)。
【0011】
この構成によれば、前記ヒンジ部により前記操作ボタン部を前記通常位置に保持可能であるとともにこのヒンジ部の弾性復帰力で自動的に操作ボタン部を前記押圧位置から通常位置に復帰させることができる。従って、この操作ボタン部を押圧位置から通常位置に復帰させるために別途バネ等の復帰手段を設ける必要がなく、さらなる部品点数の削減が可能となる。
【0012】
前記ヒンジ部の具体的形状としては、例えば、前記ヒンジ部は、前記操作ボタン部が受ける押圧操作の向きあるいはこの向きと反対の向きに膨出する膨出部を有し、当該膨出部が開閉する方向に弾性変形することにより前記操作ボタン部の前記押圧位置への移動を許容するものが挙げられる(請求項3)。
【0013】
この構成では、ヒンジ部の膨出部が開き側あるいは閉じ側に変形することにより操作ボタン部を通常位置から押圧位置に移動させることができるとともに、この膨出部がこの開き側あるいは閉じ側に変形した状態から通常の状態へ復帰する力により操作ボタン部を通常位置に復帰させることができる。
【0014】
また、本発明において、前記照明部につながり前記正面パネル部材と略平行に延びる支持部をさらに含み、前記支持部に沿って並ぶ複数の位置に前記操作ボタン部がそれぞれ配置されて、各操作ボタン部と前記支持部との間にそれぞれ個別に前記ヒンジ部が介在するが好ましい(請求項4)。
【0015】
この構成によれば、複数の押圧操作される操作ボタン部と照明部とが一体化されており、これら操作ボタン部を個別に設ける場合に比べてさらなる部品点数の削減が可能となる。しかも、各操作ボタン部と支持部との間にそれぞれ個別にヒンジ部が介在しており、複数の操作ボタン部を各ヒンジ部により安定して支持しつつ、これらヒンジ部が個別に変形することにより操作ボタン部を個別に前記通常位置と押圧位置との間で移動させて各操作ボタン部を個別に操作することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、単一のパネル用部品でスイッチ素子の操作と所定の対象物の照明との双方を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るパネル用部品がパネル部材に取り付けられた状態における正面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1におけるパネル用部品周辺の斜視図である。
【図4】本発明のパネル用部品の正面図である。
【図5】図4のIV−IV線における断面図である。
【図6】図4のV−V線における断面図である。
【図7】図4に示すパネル用部品の背面図である。
【図8】押圧力伝達部がスイッチ素子を押圧する動作を説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るパネル用部品の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
ここでは、本発明に係るパネル用部品20が車両のインストゥルメントパネルの一部を構成するパネル部材10に取付けられる場合について説明する。
【0020】
図1および図2は、前記パネル用部品20が前記パネル部材10に取り付けられた状態での図であり、図3はこの状態におけるパネル用部品20周辺のみを示す斜視図である。図4〜図7は、パネル用部品20単体での図面である。
【0021】
前記パネル部材10は、正面パネル部11と、この正面パネル部11と異なる方向を向く下面パネル部(側面パネル部)12とを有している。本実施形態では、車両に取り付けられた状態で、前記正面パネル11は車幅方向および上下方向に広がる形状を有し、前記下面パネル部12はこの正面パネル11の下端部から正面パネル11の裏側に向かって延びる形状を有している。以下、正面パネル11の表裏方向を前後方向といい、正面パネル11の表側に向かう方向を前方、裏側に向かう方向を後方という。また、車幅方向を左右方向といい、図1における右側を単に右側といい図1における左側を単に左側という。
【0022】
前記正面パネル11の下部の左右中央部分には、前記下面パネル12に近接する位置に、前後方向に貫通する操作ボタン用孔11aが形成されている。また、前記下面パネル12には、前記操作ボタン用孔11aの左右中央部分の下方となる位置に、上下方向に貫通するレンズ用孔12aが形成されている。
【0023】
前記パネル用部品20は、複数の操作ボタン部30と、レンズ部(照明部)60と、このレンズ部60につながる支持部50と、この支持部50と前記複数の操作ボタン部30との間にそれぞれ介在する複数のヒンジ部40とを有している。これら複数の操作ボタン部30と複数のヒンジ部40と支持部50とレンズ部60とは、互いに一体に成形されており単一のパネル用部品20を構成している。
【0024】
このパネル用部品20は、前記3つの操作ボタン30が左右に並んだ状態で前記正面パネル部11の操作ボタン用孔11a内に配置され、かつ、前記レンズ部60が前記下面パネル部12の開口部12a内に配置された状態で前記パネル部材10に組みつけられる。
【0025】
前記パネル部材10より詳細には前記正面パネル11の後方には、回路基板2が正面パネル11と平行に配置されている。この回路基板2には、エアコン等の所定の操作対象に信号を出力するスイッチ素子3と照明用光源としてのLED4とが実装されている。本実施形態では、3つの操作ボタン部30にそれぞれ対応して2つずつ合計6つのスイッチ素子3が実装されている。また、前記LED4は、車室フロアを照明するとともに操作ボタン部30を照明するためのものであり、各操作ボタン部30に対応して3つのLED4が左右に並んだ状態で実装されている。
【0026】
前記レンズ部60は、透光性を有し、前記回路基板2に実装されたLED4の光を裏側に受けることにより表側に発光することで車室フロアを照明する部分である。このレンズ部60は、前記下面パネル部12に沿って延びる長方形断面の板状を有している。このレンズ部60は、前記下面パネル部12の開口部12a内に装着された状態で、前記回路基板2に実装されたLED4の光をその上面に受けてその下面において発光する。すなわち、前記LED4の光はこのレンズ部60を介して前記下面パネル部12の下方に透過し、これにより、下面パネル部12の下方の車室フロアが照明される。
【0027】
本実施形態では、前記操作ボタン部30に対応して設けられた3つのLED4のうちの左右中央に設けられたLED4の光がレンズ部60に照射されるよう構成されており、1つのLED4が操作ボタン部30の照明と車室フロアの照明とを兼ねている。
【0028】
前記レンズ部60につながる前記支持部50は、前記下面パネル部11と略平行に延びる板状を有している。この支持部50は、左右に連続して延びるヒンジ部側接続部52と、このヒンジ部側接続部52から後方に延びる3つの延出部54とを有している。
【0029】
前記ヒンジ部側接続部52は、後述するように複数の前記ヒンジ部40が接続される部分であり、前記各延出部54の左右外側の位置からそれぞれヒンジ部40が後方に延びている。
【0030】
前記各延出部54は、左右に互いに離間した状態で各操作ボタン部30の下方にそれぞれ配置されている。前記3つの延出部54のうち左右中央に設けられて左右中央に設けられた操作ボタン部30の下方に位置する延出部54bには、その後端から下方に向けてレンズ部側接続部54dが延びている。前記レンズ部60は、このレンズ部側接続部54dにつながっており、このレンズ部側接続部54dの下端から後方に延びている。
【0031】
前記3つの延出部54のうち左右両端の延出部54a、54cは、それぞれその後端が前記回路基板2と当接するように延びている。これらの当接により、支持部50ひいてはパネル用部品10は回路基板2に対して所定の位置に保持される。
【0032】
前記操作ボタン部30は、車両の乗員等による押圧操作を受けてそれぞれ対応する前記スイッチ素子30を押圧する部分である。本実施形態では、3つの操作ボタン部30が設けられている。これら操作ボタン部30は、前記支持部50の上方に左右に並んだ状態で前記正面パネル部11の操作ボタン用孔11a内に配置される。
【0033】
各操作ボタン部30は、互いにほぼ同様の構造を有している。各操作ボタン部30は、有底の略角筒状であって、前記正面パネル部11と平行に延びる長方形の板状の本体部31と、この本体部31の上下左右の各縁あるいは各縁近傍から後方に延びる側壁部32a、32b、32c、32dとを有している。これら側壁部のうち本体部31の下縁から後方に延びる下側の側壁部32bには、その後端から下方に向けて延びる鍔部33がつながっている。また、各操作ボタン部30は、前記上下左右の側壁部32a、32b、32c、32dで囲まれた部分において、それぞれ前記本体部31の裏面の上端付近から後方に延びる押圧力伝達部34を有している。
【0034】
前記本体部31は前記正面パネル部11の操作ボタン用孔11a内において前方に露出しており、車両の乗員等からの押圧操作が可能なように配置されている。
【0035】
前記押圧力伝達部34は、前記本体部31の前面に加えられた押圧操作力を前記スイッチ素子3に伝達してスイッチ素子3を押圧する部分である。前記スイッチ素子3は、これら押圧力伝達部34と対向する位置に配置されている。本実施形態では、各操作ボタン部30にそれぞれ2つの押圧力伝達部34が左右に並んだ状態で設けられており、これら2つの押圧力伝達部34に対向する位置にスイッチ素子3がそれぞれ配置されている。
【0036】
前記各操作ボタン部30は、これら操作ボタン部30毎に設けられた前記ヒンジ部40を介して共通の支持部50に支持されている。そして、各操作ボタン部30は、各ヒンジ部40の弾性変形により、図8の実線で示すように前記押圧力伝達部34が前記スイッチ素子3を押圧していない通常位置と、図8の鎖線で示すようにこの通常位置から後退して前記押圧力伝達部34がスイッチ素子3を押圧する押圧位置との間で前後方向に変位することができ、前記本体部31が押圧操作されて前記押圧位置に後退することで前記押圧力伝達部34によって前記スイッチ素子3を押圧する。なお、図8では、押圧力伝達部34の動作がより明瞭になるように、断面を示す斜線等を省略している。
【0037】
なお、本実施形態では、各操作ボタン部30の本体部31の後方にそれぞれLED4が配置されており、各操作ボタン部30の本体部31は前記LED4により照明される。すなわち、各本体部31は透光性を有しており、前記LED4からの光を受けて前面に発光する。一方、前記本体部31の上端から延びる上側の側壁部32aと左右両側壁部32c,32dとは遮光性を有しており、各操作ボタン部30の本体部31の後方に配置されたLED4の光が他の操作ボタン部30側に漏洩するのが回避されている。
【0038】
前記各ヒンジ部40は、前記各操作ボタン部30のうち対応する操作ボタン部30にそれぞれつながる部分である。本実施形態では、各操作ボタン部30に対してそれぞれ2つのヒンジ部40がつながっており、各操作ボタン部30はそれぞれ2つのヒンジ部40を介して前記支持部50に連結されている。
【0039】
各ヒンジ部40は、前記各操作ボタン部30の下側の側壁部32dに設けられた前記鍔部33の後面の左右両端からそれぞれ後方に延びている。各ヒンジ部40は、前記鍔部33の後面から後方に延びつつ下方に向かって湾曲して後方に向かって膨出する膨出部41と、この膨出部41から前記鍔部33の後端と対向する位置まで前方に向かって延びる部分とを有する形状すなわち略U字状をなしている。前記膨出部41は、その湾曲度合いが変化して開閉するように弾性変形し、これにより、ヒンジ部40のうちの前記鍔部33との接続部分である一方端40aが下側の他方端40bに対して接離する方向に変位するのを可能にしている。
【0040】
各ヒンジ部40は、無変形状態において、各ヒンジ部40につながる前記操作ボタン部30を前記通常位置に保持する一方、その膨出部41が開く方向すなわち上側の端部40aが下側の端部40bから離間する方向に変形することで各操作ボタン部30を前記後退位置に後退させる。そして、各ヒンジ部40は、その復帰力により前記操作ボタン部30を前記後退位置から前記通常位置に復帰させる。
【0041】
すなわち、操作ボタン部30が押圧操作されておらずヒンジ部40につながる前記鍔部33に後方への力が加えられていない状態ではヒンジ部40は変形しておらず、このヒンジ部40につながる操作ボタン部30は前記通常位置に保持される。一方、操作ボタン部30が押圧操作されて前記鍔部33に後方への力が加えられると、ヒンジ部40はこの鍔部33から力を受けてその膨出部41が開く方向に弾性変形し、この変形に伴って操作ボタン部30は前記押圧位置に後退する。そして、前記操作ボタン部30への押圧操作が解除されて前記鍔部33への後方への力が解除されると、前記ヒンジ部40の膨出部41は閉じ方向に弾性復帰して前記操作ボタン部30を前記押圧位置から前記通常位置に復帰させる。なお、前述のように、本実施形態では各操作ボタン部30にそれぞれ2つのヒンジ部40がつながっており、各操作ボタン部30の押圧操作に伴いそれぞれ2つのヒンジ部40が同時に変形する。
【0042】
以上のように、本パネル用部品20は、前記複数の操作ボタン部30と、前記レンズ部60と、これら操作ボタン部30とレンズ部60との間に介在する複数のヒンジ部40および支持部50とが単一の部品として一体に形成されたものであって、このパネル用部品20をパネル部材10に組み付けることで、複数の操作ボタン部30とレンズ部60とを同時に組み付けることができ、組み付ける部品点数の削減を図ることができる。しかも、前記複数の操作ボタン部30の鍔部33からそれぞれ前記ヒンジ部40が湾曲しつつ延び、このヒンジ部40の操作ボタン部30側と反対の端部から前記支持部50が延び、さらに、この支持部50のレンズ部側接続部54cからレンズ部60が延びる形状を有しているため、前記ヒンジ部40を変形させつつ操作ボタン部30を前記通常位置から前記押圧位置に変位させることで前記スイッチ素子3を押圧操作することができるとともに、前記レンズ部40においてLED4の光を車室フロアに透過させることで車室フロアを照明することができる。
【0043】
この実施の形態に係るパネル用部品20では、前述のように、前記操作ボタン部30の本体部31と前記レンズ部60とは透光性を有する一方、前記操作ボタン部30の上側および左右の側壁部32a,32c,32dは遮光性を有している。このようなパネル用部品20を形成する具体的方法としては、例えば、遮光性を有する部材と透光性を有する部材との二色成形により成形する方法がある。この方法では、前記側壁部32a,32c,32d以外の部分を透光性を有する部材で構成するのが好ましい。あるいは、パネル用部品10全体を透光性を有する部材で形成した後、前記側壁部32a,32c,32dを遮光性を有する塗料で塗装する方法でもよい。
【0044】
なお、前記ヒンジ部40の具体的形状は前記に限らない。
【0045】
例えば、前記操作ボタン部30の鍔部33から前方に膨出する形状、より詳細には、鍔部33の前面から前方に延びつつ下方に向かって湾曲した後、前方に向かって延びる略U字状としてもよい。この場合には、前記操作ボタン部30が押圧操作されるのに伴い、ヒンジ部40の湾曲部分が縮径する方向に変形することで操作ボタン部30は前記押圧位置に移動する。そして、操作ボタン部への押圧操作が解除されると、このヒンジ部40の自己復帰力により操作ボタン部30は前記通常位置に復帰する。
【0046】
また、前記ヒンジ部40を前後方向に膨出する形状とせずに前記操作ボタン部30と前記支持部50とを直線状に連結する形状としてもよい。ただし、前記のようにヒンジ部40を前記操作ボタン部30側と支持部50との間で前後方向に膨出する形状とすれば、操作ボタン部30との接続部分が支持部50との接続部分に対して離間する方向に変位することで、操作ボタン部30の変位に伴う支持部50の変位量を小さく抑えてこの支持部50につながるレンズ部60への影響を小さく抑えることができる。
【0047】
また、前記ヒンジ部40は弾性変形するものに限られない。例えば、ヒンジ部40を、その中間位置で単に前後方向に折れ曲がるものとしてもよい。ただし、ヒンジ部40を弾性変形可能として、その無変形状態では前記操作ボタン部30を前記通常位置に保持する一方、弾性変形することにより操作ボタン部30を前記押圧位置に移動可能とする形状とし、このヒンジ部40の復帰力により前記操作ボタン部30の前記押圧位置から通常位置への復帰を可能とすれば、この操作ボタン部30の復帰のために別途バネ部材を設ける必要がなく、さらなる部品点数の削減が可能となる。
【0048】
また、図9に示すように、前記操作ボタン部30は1つであってもよい。ただし、複数の操作ボタン部30を支持部50を介して互いに一体に連結すれば、複数の操作ボタンを個別に設ける場合に比べてさらなる部品点数の削減が可能となる。さらに、各操作ボタン部30と支持部50との間にそれぞれ個別にヒンジ部40が介在しており、複数の操作ボタン部を各ヒンジ部40により安定して支持しつつ、これらヒンジ部40を個別に変形させて各操作ボタン部30を個別に前記通常位置と押圧位置との間で移動させることができる。すなわち、各操作ボタン部30を一体に連結しつつ各操作ボタン部30を個別に操作することができる。なお、操作ボタン部30が1つの場合には、前記実施形態のように操作ボタン部30が複数設けられて操作ボタン部30の側壁部が互いに近接している場合に比べて、操作ボタン部30の側壁部の塗装を容易に行うことができる。従って、この場合には、パネル用部品20の形成方法として透光性を有する部材でパネル用部品20全体を成形した後、前記側壁部を遮光性を有する塗料で塗装するのが好ましい。
【0049】
また、本パネル用部品10の適用は前記車両のインパネに限らない。そして、前記レンズ部50により照明する対象は前記車室フロアに限らない。
【0050】
また、前記正面パネル11と下面パネル12の向きは前記に限らず、例えば、正面パネル11を水平方向に延びるよう配置するとともに下面パネル12を鉛直方向に延びるように配置して、前記操作ボタン部30の本体部31が上下方向を向くように配置するとともにレンズ部50が水平方向を向くように配置してもよい。
【符号の説明】
【0051】
3 スイッチ素子
4 LED(照明用光源)
10 パネル部材
11 正面パネル部
12 下面パネル部(側面パネル部)
20 パネル用部品
30 操作ボタン部
40 ヒンジ部
50 支持部
60 レンズ部(照明部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面パネル部および当該正面パネル部に連設されてこの正面パネル部と異なる方向を向く側面パネル部を有するパネル部材に設けられて、前記正面パネル部の表側から加えられた押圧操作によって前記パネル部材の裏側に設けられたスイッチ素子を操作するとともに、前記パネル部材の裏側に設けられた照明用光源の光を受けて前記側面パネル部の表側に向かって発光するパネル用部品であって、
透光性を有し、前記側面パネル部に設けられて前記照明用光源の光を裏側に受けることにより表側に発光する照明部と、
前記正面パネル部に設けられて前記押圧操作を受けることで前記スイッチ素子を押圧する操作ボタン部と、
前記照明部と前記操作ボタン部との間に介在するヒンジ部とを備え、
前記照明部と前記操作ボタン部と前記ヒンジ部とは互いに一体に成形されて単一の部品を構成し、
前記ヒンジ部は、当該ヒンジ部に接続された前記操作ボタン部が、前記スイッチ素子を押圧しない通常位置と、この操作ボタン部が押圧操作を受けて前記通常位置から後退することにより前記スイッチ素子を押圧する押圧位置との間で移動するのを許容するように変形可能な形状を有することを特徴とするパネル用部品。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル用部品であって、
前記ヒンジ部は、弾性変形可能であって、無変形状態では前記操作ボタン部を前記通常位置に保持する形状を有し、この無変形状態から弾性変形することにより前記操作ボタン部の前記押圧位置への移動を許容する形状を有することを特徴とするパネル用部品。
【請求項3】
請求項2に記載のパネル用部品であって、
前記ヒンジ部は、前記操作ボタン部が受ける押圧操作の向きあるいはこの向きと反対の向きに膨出する膨出部を有し、当該膨出部が開閉する向きに弾性変形することにより前記操作ボタン部の前記押圧位置への移動を許容することを特徴とするパネル用部品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のパネル用部品であって、
前記照明部につながり前記正面パネル部材と略平行に延びる支持部をさらに含み、
前記支持部に沿って並ぶ複数の位置に前記操作ボタン部がそれぞれ配置されて、
各操作ボタン部と前記支持部との間にそれぞれ個別に前記ヒンジ部が介在することを特徴とするパネル用部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−161999(P2011−161999A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25251(P2010−25251)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】