パルストレインの解析
パルストレイン内の候補となる瞬間を選択する。かかる瞬間の各々について、その瞬間の前後両方において均一なインターバルでパルスが発生するかを判定する。発生していれば、関連するパルスを、特定のグループに属するものとして分類する。候補となる瞬間に対するパルスの到着時刻から繰り返しインターバルを算出し、重み付け角度平均を取ることにより、パルス間のインターバルが正確に計算される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、特定の周期的または規則的なパターンを表す電磁パルスなどのイベントを解析および分類するための方法および装置に関し、特に、様々な無線測位サービスと同じ周波数帯域を共有する無線通信またはセンサネットワークにおいて発生し得る無線周波数パルスのバーストがない時間インターバルの予測に適用可能であるが、それに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
[従来技術の説明]
多くの事例において、注目対象の現象を表す観測信号には、未知数の異なるソースにより産生された複数のインターリーブされたパルストレイン(またはバースト)が含まれることがある。各観測パルストレインを、そのトレインを発する対応するソースに割り当てる必要があることがよくある。一般に、かかる関連付け手順は、異なるソースが、異なるパラメータ(パルスの振幅、パルスの形状および持続時間、ならびにパルス間のインターバル等)を有するパルストレインを産生する、という仮定に基づいている。電磁環境において、パルスの分類および関連付けは、観測された到着方向、キャリアの周波数および偏波、パルス内変調の種類などを含む他の特性に基づくこともある。
【0003】
「パルスデインターリービング」と一般に呼ばれる上記のパルス関連付けには、地震探査、コンピュータ通信、ニューラルパルスネットワーク、電波天文学(例えば、パルサの検索)などを含む様々な分野における多くの周知の用途がある。最近では、初歩的な形態のパルスデインターリービングを、新興分野であるインテリジェント(または「コグニティブ」)無線通信システムに適用する試みがなされてきた。
【0004】
インテリジェント無線の概念は、適切な規制当局によりその全体が様々な商用および軍用のユーザに割り当てられているスペクトル帯域の(空間、時間、または周波数における)遊休部分を、適応的に利用することに基づいている。スペクトルの適応的な利用により、様々な広帯域通信サービスおよびマルチメディアサービス、ならびに監視アプリケーションをサポートする周波数スペクトルへの高まる需要が、少なくとも部分的に満たされることが期待される。
【0005】
スペクトルの利用を最適化するためにインテリジェントシステムが用いる一般的なアプローチは:
−周囲の電磁環境を感知して、スペクトル機会を識別するステップと;
−遊休スペクトルセグメントを好適に用いて、意図する動作(感知または情報送信等)を行うステップと;
−主たるまたは優先度が高いユーザが出現する前に、スペクトルセグメントを空けるステップと;を含む。
【0006】
用いるアプローチに関わらず、インテリジェントシステムは、周囲の電磁環境を認識することと、自動的に反応する能力との両方を発揮する必要がある。
【0007】
5GHz周波数帯域(5GHzと6GHzとの間の周波数)において開発中のインテリジェント無線システムの一例には、各種の国際標準(電気電子学会(IEEE)および欧州電気通信標準化機構(ETSI)により策定されたもの等)に従って動作するように編成されたワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の類がある。WLANがこのセグメントのスペクトルを利用できるようにした結果、主たるシステム、とりわけ5GHz帯域において動作するライセンスを受けたレーダと、このスペクトルを共有する必要が生じている。
【0008】
レーダシステムとWLANワイヤレス装置との両方が同じ周波数帯域において動作することを許容されているため、WLAN業界は、相互干渉を排除するために周波数調整を行う必要を回避すべく、動的周波数選択(DFS)のメカニズムを策定した。従って、特定のチャネル上でレーダ信号の存在が検出されると、WLAN装置は、自動的に他のチャネルに切り換えることで、レーダ信号との干渉を回避しなければならない。
【0009】
国土防衛の支援におけるレーダの役割の拡張の結果、それらを配備する場所は、過去のものとは異なっている。よって、レーダおよび他のセンサネットワークは、同じ地理的領域において動作することが必要であり、同じ周波数帯域を共有することが有益である。ネットワーク構成において動作するレーダおよび他のセンサにより、重要インフラ(電力網および発電所、ガスおよびオイルのパイプライン、ならびに給水システムを含む)の連続的監視の改良が提供される。
【0010】
他の重要な用途には、音響センサや他のセンサを用いる浮遊ブイのネットワークにより、注目対象の高速ボートおよび他の水上艦を検出および位置特定することが可能な沿岸警備隊または沿岸監視の用途がある。それらのセンサは、無線通信リンクを介して情報を交換する必要があり、固定や機上の監視レーダと同じ周波数帯域を共有することが有益である。
【0011】
既存の規制基準が提供するレーダの検出および回避のためのガイドラインは単純なものであるが、複合電磁信号を傍受および解析してレーダ信号のパラメータを決定するための具体的な方法は与えられていない。
【0012】
通信ネットワークにおけるレーダパルスの検出および回避に関する従来技術の例は、下記の特許および特許出願公開において提示されている:
1.欧州特許出願公開第1505772号明細書、Kruys他、2005年2月9日
2.米国特許第6831589号明細書、Shearer III、2004年12月14日
3.米国特許出願公開第2004/0156336号明細書、McFarland他、2004年8月12日
4.米国特許出願公開第2004/0151137号明細書、McFarland他、2004年8月5日
5.米国特許第6697013号明細書、McFarland他、2004年2月24日(国際公開第03/050560号パンフレット、2003年6月19日)
6.米国特許出願公開第2004/0033789号明細書、Tsien、2004年2月19日
7.米国特許出願公開第2003/0214430号明細書、Husted他、2003年11月20日
8.米国特許出願公開第2003/0206130号明細書、Husted他、2003年11月6日
9.米国特許出願公開第2002/0155811号明細書、Prismantas他、2002年10月24日
10.国際公開第02/082844A3号パンフレット、Zimmermann他、2002年10月17日(欧州特許出願公開第1248477号明細書、2002年10月9日)
上記のリストは網羅的であることを意図したものではないが、引用文献において開示されている手法および実施形態は、WLAN装置およびレーダシステムの共存に関する最新の従来技術を表すものと思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術による手法のいずれにも、同じ周波数帯域において動作する複数のレーダにより発信されたインターリーブされたレーダパルスバーストの特性を決定する能力はない。特に、観測された複合パルスストリームにおいて、いくつかのレーダパルスが欠落しており、いくつかの「誤った」パルス(例えば、雑音により生成されたもの)が出現している場合において、そのような能力はない。そのため、インターリーブされたパルスバーストのパラメータ(各バースト内でのパルス間のインターバル、バースト持続時間、バースト繰り返し周波数、および異なるレーダシステムから発せられたバースト間の時間シフト等)を決定するためのロバストな手法を提供することが望ましい。
【0014】
ほとんどの場合、監視レーダは、連続的なパルス送信ではなく、間欠的にパルスのバーストを(任意の特定の方向に)発信する。よって、送信に用いられる周波数帯域は、バーストとバーストの間では遊休状態のままである。このため、間欠的送信を行う複数の監視レーダが、感知または情報送信に広帯域信号または超広帯域(UWB)信号を用いる他のRF装置と同じ周波数帯域において動作する際に、改善されたスペクトル利用を提供する、適応的方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[発明の要約]
本発明の態様は、付帯の請求項において述べる。
【0016】
本発明のさらなる独立態様によれば、パルスの、1つ以上の別々のグループを発見する試行が行われる。各グループのパルスは、それらが、恐らくは共通のソースからの、まとまった組(coherent set)を形成することを示すパルス間インターバルを有する。各試行には、パルスの1つを候補のパルスとして選択するステップが含まれる。選択されたパルスに対して均一なパルス繰り返しインターバルで到着するパルスを位置合わせする(すなわち、それらのパルスを表す値を合成する)ように、他のパルスの到着時刻を処理する。(選択された候補のパルスの到着時刻を参照して他のパルスの到着時刻を処理するため、本明細書では候補のパルスを「ピボット」パルスとも呼ぶ。)十分な数のパルスが位置合わせされれば、これらのパルスおよび選択された候補のパルスがまとまったグループを形成するものと仮定する。
【0017】
処理は、好ましくは、選択された候補のパルスの前に到着したパルスおよび後に到着したパルスの両方を考慮する。これにより、統計的により正確な結果を得ることが可能になる。
【0018】
好ましくは、受信信号におけるパルスを、低振幅パルスと高振幅パルスとに分割する。後者は、雑音の影響であるよりは有効なパルスである可能性が高い。高振幅パルスのみを候補のパルスとして用いることにより、処理が著しく速められる。
【0019】
本発明のさらなる独立態様(上記の独立態様と組み合わせて用いるのが好ましいが、別々に、当該技術において公知のものを含む異なるパルスグループ化編成とともに用いることも可能である)によれば、パルスのグループのパルス繰り返しインターバルを、パルス到着時刻を測定することにより決定される概算のパルス繰り返しインターバルの角度平均を決定することにより計算する。特に、測定されたパルス繰り返しインターバルを、π以下の角度範囲にわたって線形に分布する角度付きベクトルに変換する。範囲の端点は、所定の最小および最大の予想されるパルス繰り返しインターバルに対応する。平均化は、ベクトル和の角度を決定することにより果たされ、この角度は、実際のパルス繰り返しインターバルの正確な推定値を表す。
【0020】
好ましくは、測定されたパルス間のインターバルは、各パルスの到着時刻と中間のパルス(好ましくは中央のパルス)の到着時刻との間のインターバルである。適切な場合は、この測定されたインターバルを到着時刻間のインターバルの数で除算して、概算のパルス繰り返しインターバルを得る。本発明の2つの上記態様を組み合わせる編成において、中間のパルスは、上述の候補のパルスであってもよい。
【0021】
好ましくは、中央のパルスからより離れたパルスの到着時刻の影響を相対的に大きくして、重み付け角度平均を導出する。従って、測定されたインターバルが大きい(丸め誤差の影響はそれに比例して小さい)ほど、影響が大きい。
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明を実施する編成を例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】センサ群S1、S2、...、SK、複数の監視レーダR1、R2、...、RL、情報融合センタIFC、およびレーダ信号解析器RSAを備える安全システムの例である。
【図2】本発明に従って動作するように編成されたレーダ信号解析器RSAのブロック図である。
【図3】図3aは、3シーケンスのパルスバーストの例を示す。図3bは、部分的に重なったパルスバーストを含む複合信号のセグメントを示す。図3cは、2値の送信許可信号を示す。
【図4】本発明による2つの判定閾値と比較した時間変化信号包絡線の例を示す。
【図5】本発明に従って候補のパルス繰り返しインターバルを予備決定するために用いる方法を説明する図である。
【図6】本発明に従って単位半円の円周上にイベント5連体(event quintuple)をマッピングする例である。
【図7】最も不調和なイベント5連体を示す。
【図8】図2の解析器の繰り返しインターバル推定器のブロック図である。
【図9】ヒストグラムを産生するとともにバースト当たりパルス数を決定するため、複数の時間フレーム内で発生するイベントに対して本発明に従って行われる動作を概略的に示す。
【図10】本発明の変形例による候補のパルス繰り返しインターバルを予備決定するために用いる方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、注目対象の領域にわたり分散させた好適なセンサ群(a constellation of suitable sensors)S1、S2、...、SKと、情報融合センタIFCとを備える安全監視システムの例を示す。センサ群には、パッシブセンサもしくはアクティブセンサ、またはそれらの組み合わせを利用することができる。さらに、センサ群を形成するセンサは、異種のもの(例えば、音響センサ、赤外センサ、または電磁的センサ)であってもよい。
【0025】
広帯域レーダ信号解析器RSAも、センサ群により利用される。
【0026】
各センサおよび情報融合センタの間での高データレート情報交換に利用可能な広帯域通信チャネルが設けられるものと仮定する。また、センサ群の近傍において、広帯域通信チャネルを形成する周波数帯域と一致する周波数帯域(の少なくとも一部)を送信に利用する監視レーダR1、R2、...、RLが動作しているものと仮定する。
【0027】
また、監視レーダR1、R2、...、RLの各々は、360度の探知範囲を提供する回転アンテナを用いるものと仮定する。その結果、センサ群は、レーダのアンテナがセンサ群の位置を直接指しているときにのみ、レーダパルス送信の影響を受ける。その位置では、各動作レーダが、センサ群に向けて送られる周期的パルスバーストにより自らの存在を明らかにする。
【0028】
各パルスバーストの持続時間は、アンテナの回転速度およびアンテナビームの角度幅により決定される。各バーストにおいて生じるレーダパルスの数は、バースト持続時間とレーダにより用いられるパルス繰り返し周波数とに依存する。異なる特性を有するいくつかのレーダが同時に動作しているときは、センサ群は、インターリーブされたパルスバーストと、部分的または完全に重なったバースト内で発生するインターリーブされたパルスとを含む複合パルス信号を受信する。
【0029】
本発明に従って構成された広帯域レーダ信号解析器RSAは、以下の機能および動作を行う:
−所定の検出閾値を超えるパルスの検出。各検出パルスは、「有効な」レーダパルスであるか、またはいずれの動作レーダにも関係しない雑音もしくは干渉により産生されたものである。
−検出パルスの到着時刻(TOA)の登録された値(registered value)により決定されるイベントの複合ストリームを解析して、周期的パルスバーストの数、各バーストの周期、およびその持続時間を決定する。
−レーダパルスのバーストがない時間インターバルの予測。予測されたインターバルを用いて、センサ群により利用されるセンサおよび情報融合センタIFCの間で高データレート情報交換が行われる。
−送信許可時間インターバルを示す好適な信号の生成。かかる信号を情報融合センタIFCに送り、センサ群内での情報送信を調整することができる。
【0030】
図2は、本発明に従って動作するように編成されたレーダ信号解析器(RSA)のブロック図である。解析器は、広帯域受信機(WBR)に接続された全方向性アンテナ(ODA)を備え、広帯域受信機には包絡線検出器(EDR)が続いている。解析器は、また、比較器(CMR)、イベント記述子生成器(EDG)、イベント記述子フィルタ(EDF)、イベント記述子バッファ(EDB)、繰り返しインターバル推定器(RIE)、および送信許可信号CTを産生する演算/制御ユニット(ACU)を備え、これらのすべては、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装することが可能である。
【0031】
レーダ信号解析器RSAは、その動作中、広帯域雑音を傍受しているか、または、広帯域受信機(WBR)によりカバーされる広周波数帯域内で動作しているかもしれない未知数のレーダ発信器により産生された複数のパルスバーストを傍受しているものと仮定する。各間欠的レーダ送信のパラメータ(パルス持続時間、パルスピークパワー、バースト持続時間(BD)、バースト繰り返しインターバル(BRI)、およびバースト内でのパルス繰り返しインターバル(PRI)等)は、先験的には未知であるものと仮定する。
【0032】
図3aは、3つのレーダ発信器によりそれぞれ産生されたパルスバーストの3つのシーケンスの例を示す。各シーケンスは、自らのバースト繰り返しインターバル(BRI)、バースト内パルス繰り返しインターバル(PRI)、およびバースト持続時間(BD)により特徴付けられる。レーダ信号解析器RSAは、それらのパルスバーストの加法的合成である複合信号を傍受している。
【0033】
図3bは、部分的に重なったパルスバーストを含む複合信号のセグメントを示し、図3cは、演算/制御ユニットACUにより産生された所望の2値の送信許可信号CTの例を示す。
【0034】
包絡線検出器EDRにより供給される複合信号包絡線EVのレベルは、比較器CMRにおいて、2つの好適に選定された所定の閾値、すなわち低閾値DDおよび高閾値PPと比較される。ある時点で、包絡線EVが低閾値DDを超えた場合は、パルス検出が宣言される。包絡線EVが高閾値PPも超えた場合は、観測信号が雑音スパイクでなく「有効な」レーダパルスを表す可能性がさらに高い。以下で説明するように、より高い確度で検出されたパルスは、パルスバーストおよびそれぞれのパラメータを効率的に決定するために重要な役割を果たす。
【0035】
図4は、レーダ信号解析器RSAが傍受した信号の時間変化包絡線EVの例を示す。本例において、包絡線は、3つの時点Tk1、Tk2、およびTk3において低閾値DDと交差している。これらの時点の各々は、イベントの到着時刻TOA(これは閾値DDと交差した時点に等しい)を決定している。図示のように、包絡線EVは、Tk1において低閾値DDと交差した直後に、高閾値PPとも交差している。かかる場合を表すすべてのイベントは、他のイベント(包絡線が低閾値DDのみと交差し、所定の時間インターバルの間、高閾値PPを下回り続ける状況に対応する)から区別される。
【0036】
以下では、低閾値DDおよび高閾値PPを、それぞれ「イベント検出」閾値および「ピボット判定」閾値と呼ぶ。よって、各「ピボットイベント」は、包絡線が、Tkで検出閾値DDと交差し、時間インターバル[Tk,(Tk+δ)]内でピボット判定閾値PPと交差する状況を表す。ここで、δは所定の値(例えば、δ=0.2μs)を有する。
【0037】
イベント検出閾値DDの値は、雑音のみに起因する正交差(upcrossings)の回数を許容可能なレベルに保つように選択される。例えば、中心周波数f0および矩形周波数特性|f−f0|<ΔF/2の帯域通過フィルタにガウス雑音を通過させる場合、フィルタの出力で得られる雑音信号の包絡線には、平均で、持続時間Tの時間インターバル内でN+回のレベルλの正交差が産生される。ここで、
【数1】
であり、σΕは包絡線の平方二乗平均である。
【0038】
例えば、ΔF=10MHzおよびλ=3.5σΕであれば、平均で、持続時間100msのインターバルにおいて17回の正交差が登録される。しかし、交差レベルλをλ=3σΕに低下させると、100msのインターバルにおいて観測される正交差の平均回数は380に増加する。
【0039】
ピボット判定閾値PPの値は、PP=gDDとして表現することが可能で、ここで定数g>1を経験的に、または理論的解析から決定することが可能である。
【0040】
図2の比較器CMRの2つの2値出力XLおよびXHは、それぞれイベント検出閾値DDおよびピボット判定閾値PPの交差を表す。イベント記述子生成器EDGは、比較器CMRの出力(XL、XH)を、演算/制御ユニットACUにより供給される「時間タグ」TTと組み合わせる。演算/制御ユニットACUは、この目的のため、好適に選定された周波数を有するクロック回路を備える。イベント記述子生成器EDGにより産生されたイベント記述子EDは、Lビットが検出されたイベントの時間タグTT(すなわち、到着時刻Tk)を表し、単一の追加ビットがピボットイベントを特定する2進ワードの形態を有する。
【0041】
イベント記述子フィルタEDFの主要な仕事は、イベント記述子生成器EDGにより供給されているイベント記述子EDのストリームがパルスバーストを構成するか否かを決定することである。そのため、イベント記述子フィルタEDFは、以下の2つの基準を適用する:
A.連続性基準:連続するイベントの間の時間インターバルは、所定の容認最大値IM未満でなければならない。すなわち、
Tk+1−Tk<IM
B.完全性基準:基準Aを満たす連続するイベントの数CPは、所定の許容最小値MNよりも大きくなければならない。すなわち、
CP>MN
【0042】
また、連続性基準Aは、欠落している単一パルスを考慮に入れることもできる。例えば、最大パルス繰り返しインターバルPRIが5msに等しく、単一パルスが欠落しているかもしれない場合、IMの選択値は、10msよりもわずかに大きいものになる。
【0043】
完全性基準Bに関して、MNの最小値は、単一のパルスバーストにおいて発生することが予想される最小パルス数から、許容される欠落パルスの総数を減じたものに等しいものになる。例えば、8つのパルスのみがバースト内で発生することが予想され、合計で3つのパルスの欠落が許容される場合、MNの選択値は4(すなわち、CP>4)となる。
【0044】
検討中のイベント記述子EDのストリームが有効なパルスバーストを構成するものであるか、またはいくつかの重なったパルスバーストを構成するものであると宣言するためには、上記の両方の基準が満たされなければならない。
【0045】
イベント記述子フィルタEDFは、Tk+1−Tk<IMである限り、イベント記述子EDをイベント記述子バッファEDBに連続的に転送する。Tk+1−Tk≧IMとなり次第、またはバッファEDBが満たされ次第、転送は終了する。バッファが満たされた状況は、例えば、固定レーダに加え、撮像機能を実行する機上システムが、注目対象の領域を照射する場合に発生し得る。
【0046】
イベント記述子バッファEDBは、CP<MNである場合に、入力CLを介してクリアされる。そうでない場合は、バースト全体、またはバーストの組み合わせが、イベント記述子バッファEDBに格納されている。かかる場合、データ利用可能信号DAがイベント記述子フィルタEDFから演算/制御ユニットACUに送られる。
【0047】
データ利用可能信号DAの受信により、バッファEDBに格納されたイベント記述子のシーケンスの解析処理が開始される。解析は、演算/制御ユニットACUおよび繰り返しインターバル推定器RIEにより行われ、これらは、バッファEDBに格納されたイベント記述子に対して共同で動作する。
【0048】
イベント記述子の解析には、繰り返し行われる3つの基本的な動作が含まれる:
1.候補のパルス繰り返しインターバルPRIの決定
2.仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの高精度推定
3.仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの検証、および解析中のバーストにおける発生パルス数の決定
【0049】
それらの3つの動作の実施に成功すれば、ポジティブに識別されているパルスバーストを構成するイベント記述子がバッファEDBから除去される(バッファ「間引き」)。次いで、十分な数のイベント記述子がバッファEDBに残っていれば、これら3つの動作のシーケンスが繰り返される。
【0050】
以下では、上記の3つの基本的な動作についてより詳細に説明する。
【0051】
候補のパルス繰り返しインターバルPRIの決定
候補のPRIの予備決定は、イベントパターンの時間領域解析に基づく。好ましくは、用いられるイベントパターンは、少数のイベント(例えば、3または5個)を含む。以下では、かかるイベントパターンを、それぞれイベント3連体(event triple)およびイベント5連体(event quintuple)と呼ぶ。
【0052】
用いられるイベントパターンの特定の形態に関わらず、まず、好適なピボットイベントを記述子バッファEDBに格納されたイベントから選択する。「良好な」候補のピボットイベントは、格納されたイベントのストリームの中程で見付けられる、と仮定するのが合理的である。
【0053】
さらに、イベントパターンの特定の形態に関わらず、候補のパルス繰り返しインターバルPRIの探索は、PRIの最小の予想される値D(例えば、D=PRImin=200μs)から開始する。
【0054】
イベント5連体
選択された候補のピボットイベントの到着時刻(TOA)をT*と示す。イベントの4つのグループを以下のように定義する。
レベル1後続者(level-one successors)は、到着時刻Tm+が次の条件を満たすすべてのイベントである。
D<Tm+−T*<pD,p>1,m=1,2,...,M
レベル2後続者(level-two successors)は、到着時刻Tn++が次の条件を満たすすべてのイベントである。
2D<Tn++−T*<2pD,p>1,n=1,2,...,N
レベル1先行者(level-one predecessors)は、到着時刻Tj-が次の条件を満たすすべてのイベントである。
D<T*−Tj-<pD,p>1,j=1,2,...,J
レベル2先行者(level-two predecessors)は、到着時刻Ti--が次の条件を満たすすべてのイベントである。
2D<T*−Ti--<2pD,p>1,i=1,2,...,I
【0055】
従って、レベル2のパルスを定義する範囲の上限値および下限値は、レベル1のパルスを定義するために用いられる限界値の2倍である。好ましくは、上記の条件において、パラメータpの値は、1.5にわずかに満たない値を取る。
【0056】
選択されたピボットイベントと、1つのレベル1後続者と、1つのレベル2後続者と、1つのレベル1先行者と、1つのレベル2先行者とにより、一意なイベント5連体が形成されることに留意されたい。このように形成されたすべてのイベント5連体の中に、D<PRI<pDであるPRIを有するパルスバーストのセグメントを表す1つの5連体(プライミング5連体(priming quintuple)と呼ぶ)が存在し得る。
【0057】
図5は、1つのピボットイベントと4つのイベントセット(レベル1後続者、レベル2後続者、レベル1先行者、レベル2先行者を含む)から、候補のパルス繰り返しインターバルPRIを予備決定するために用いる方法を示す図である。
【0058】
本発明の好適な実施形態では、レベル1およびレベル2のイベントを含む4つの時間インターバルを、以下の規則に従って、持続時間(p−1)Dを有する単一の時間インターバルに落とし込む。
1.レベル1後続者を含むインターバルは、変更しない。
2.レベル2後続者を含むインターバルは、好適にシフトおよびスケーリングする。
3.レベル1先行者を含むインターバルの持続時間は、変更しない;ただし、ピボットイベントからの距離の絶対値(大きさ)のみを用いる(時間反転)。
4.レベル2先行者を含むインターバルの持続時間は、好適にスケーリングする;ピボット要素からの距離の絶対値は、好適にシフトおよびスケーリングする(時間反転後にスケーリング)。
【0059】
これにより、ピボットイベントを除くすべてのイベントが単一のインターバル内に配置され、そのインターバルの端点は、想定される候補のPRIの最小値および最大値を表す。イベントの複合ストリームが解析されたものにおいて、上記のインターバルからのある値を有するPRIだけ隔てられたイベントが存在していれば、正確なTOA測定が行われかつ欠落しているイベントがない理想的な場合には、そのインターバルにおいて同じ位置を占めるイベントが正確に4つあることになる。よって、対応するPRIの高精度な推定値が、図5bに示すような好適に構成されたヒストグラムにおける顕著なピークの位置から得られよう。
【0060】
単一のレベル1イベントが欠落している場合も、かかるイベントセットをさらなる処理に用いることが可能である。
【0061】
実際の場合、ヒストグラムにおいて観測されるピークは、以下の要因により低減され、平坦化される:
−時間量子化効果(すなわち、時間タグを表すビットは有限数である)
−傍受されたパルスの有限の立ち上がり時間
−雑音による到着時刻TOAの時間変動
【0062】
このため、実際には、ピーク位置は、注目対象のPRIの概算の推定値を提供するのみである。しかし、ヒストグラムを用いて、4つの特定のレベル1およびレベル2のイベントを識別することが可能で、それらを既に選択済みのピボットイベントとともに用いて、さらなる処理に要求されるプライミング5連体を構成する。よって、ヒストグラムを好適に解析することで、プライミング5連体に属するレベル1およびレベル2のイベントの4つの基礎となる到着時刻T0--、T0-、T0+、およびT0++が決定される。
【0063】
ヒストグラムがプライミング5連体を識別できなければ、バッファEDBに格納されたピボットのイベント記述子から新たなピボットイベントを選択し、上記の動作を繰り返す。すべての潜在的なピボットを用いたら、バッファEDBに格納された他のイベント記述子の中から候補のピボットを選択することが可能である。このアプローチでも容認可能なプライミング5連体を提供できなければ、PRI値の次の範囲、すなわちpD<PRI<p2Dについて探索を繰り返す。例えば、注目対象の範囲全体において、PRImin=200μsかつPRImax=4msであるとき、p=1.46に対して、PRI値のかかる範囲は、8つのパス(eight passes)でカバーされる。(代替的な実施形態では、容認可能なパルスグループが見付けられたかどうかに関わらず、後続のPRI値の範囲について探索を繰り返す。)最高の範囲からではなく最低の範囲から開始することで、パルス繰り返しインターバルの第2次またはより高次の高調波に到着するパルスのみをグループに割り当ててしまうことが回避される、という利点が得られる。
【0064】
仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの高精度推定
仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIについての情報は、5つのTOA値(すなわち、プライミング5連体を形成するピボットイベントのTOA値および他の4つのイベントのTOA値)に含まれる。それらの値は、次いで、繰り返しインターバル推定器RIEのブロックにより、仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの値をより高精度に決定するために利用される。
【0065】
イベント5連体の場合、レベル1およびレベル2のイベントを表す4つの点が、すべて、単位半円(0,π)の円周上にマッピングされる。単位半円は、その中心がイベントの1つ、好ましくはピボットイベントをシンボリックに表し、その角度域が範囲PRImax−PRImin=Δを表すものである。(これらの点は、代わりに、他の任意の弧上にマッピングすることもできるが、範囲Δを表す角度域は、π以下とすべきである。)マッピングの結果、(ピボットパルスに対して決定された)パルスインターバルが、単位ベクトルの角度により表される。
【0066】
検討中のイベント5連体は、ピボットイベント、レベル2先行者、レベル1先行者、レベル1後続者、およびレベル2後続者の到着時刻TOAの値、すなわち、それぞれT*、T0--、T0-、T0+、およびT0++により表されるものと仮定する。次いで、単位半円上における各イベントの角度位置を、次式から決定することが可能である:
レベル2およびレベル1の先行者
【数2】
レベル1およびレベル2の後続者
【数3】
【0067】
図6は、単位半円の円周上にイベント5連体をマッピングする例である。半円(0,π)上の点は、ピボットイベントを始点とする単位ベクトルの終点を表す。各イベントの角度位置は、それぞれのパルスの到着時刻とピボットパルスの到着時刻との間のパルス間インターバルを測定することにより決定される概算のパルス繰り返しインターバルに対して、線形に関係している。
【0068】
次に、最も可能性の高いパルス繰り返しインターバルPRImを、次式のように計算される重み付け角度平均とする:
【数4】
式中、
【数5】
はベクトルの和の角度であり、また、
【数6】
【数7】
が成立し、式中、w1およびw2は所定の重み係数である。w1=w2=1であれば、PRImは、各単位ベクトルの和の角度から導出される。しかし、好ましくはw1<w2であり、その場合、PRImは、レベル2イベントを用いて測定されたインターバルを表すベクトルの長さが、比w2/w1において、レベル1イベントを用いて測定されたインターバルを表すベクトルの長さよりも大きくなるように調整されたベクトルの和の角度から導出される。この重み付けを行う理由は、狭い間隔のイベントのタイミングの測定に基づいてインターバルを計算する場合に、丸め誤差によりそれらの計算が不正確なものになってしまうからである。好ましくは、レベル2およびレベル1の重みの比(w2/w1)は、2〜4の値を呈する。
【0069】
加えて、上記のPRI推定値の確度の測定値VPRIを、測定されたインターバルのばらつき(dispersion)から決定することが可能で、例えば、次式のように計算することが可能である:
【数8】
PRIの高品質な推定値については、測定値VPRIは、1に非常に近い値を呈する。例えば、次式が成立する場合:
【数9】
レベル1およびレベル2のイベントは、単一の点により表され、VPRIの値は1に等しい。しかし、「最も不調和なイベント」(図7に示すもの等)については、VPRIの値は0に等しい。
【0070】
PRI推定値の確度の測定値VPRIの低い値を独立に用いて、既に選択済のイベント5連体を却下することができる。かかる場合、他の5連体の探索を繰り返す。他方、測定値VPRIが所定の閾値を超える場合、イベントのグループのさらなる処理を後述のように行う。さらなる処理には、同じグループに属する他のイベントを位置特定することと、残りのパルスを他のグループに分類する目的での検討から、受信したパルストレインからのグループのイベントを排除することとが含まれる。
【0071】
図8は、繰り返しインターバル推定器RIEのブロック図である。ブロックRIEは、データセレクタDSR、ピボットレジスタPTRおよびイベントレジスタETR、合算/スケーリング回路SSR、ルックアップテーブルTSC、重みレジスタEWR、2つの同一の乗算器M、3つのアキュムレータACC、ACS、およびACW、ならびにピタゴラスプロセッサPYTを備える。
【0072】
演算/制御ユニットACUは、イベント5連体を選択し、対応する記述子のバッファEDBからRIEブロックへのポートSDを介する転送を制御する。また、イベントのレベルおよびタイプ(ピボットか否か)は、ユニットACUの出力ELを介して、データセレクタDSR、合算/スケーリング回路SSR、および重みレジスタEWRへ送られる。その結果、ピボット記述子(すなわち、そのTOA)PTはレジスタPTRに格納され、イベント記述子ETはレジスタETRに格納される。それらのレジスタの出力TPおよびTEは、合算/スケーリング回路SSRに接続されている。合算/スケーリング回路SSRは、その出力DTにおいて以下を産生する:
−レベル1イベントについては、ピボットTOAとイベントTOAとの間の差の絶対値
−レベル2イベントについては、ピボットTOAとイベントTOAとの間の差の絶対値の半分
【0073】
値DTは、ルックアップテーブルTSCに格納された正弦関数および余弦関数の要求される値を得るために用いられる、好適な構造のアドレスである。要求される値C2およびS2は、適切な重みEWとともに2つの同一の乗算器Mにより用いられ、2つのアキュムレータACCおよびACSへの入力データを産生する。重みEWは、重みレジスタEWRにより供給される。重みレジスタEWRは、イベントレベルに関する情報ELを演算/制御ユニットACUから受信する。イベント重みEWは、また、重みアキュムレータACWによっても用いられる。すべてのアキュムレータは、演算/制御ユニットACUにより供給される信号RSにより同時にリセットされる。
【0074】
完全なイベント5連体を処理している(かつ重みの和が既知である)ときには、アキュムレータACWは冗長なものであるが、イベント5連体から単一のレベル1イベントが欠落しているときには、単純な形態のアキュムレータACWが必要とされる。同様に、レーダ信号解析器RSAの動作中、イベント5連体をイベント3連体で置換するときは、重みの和は異なるものとなる。
【0075】
アキュムレータACCおよびACSの出力SCおよびSSは、ピタゴラスプロセッサに接続されている。ピタゴラスプロセッサは、その組み合わせ出力EI/ECにおいて、推定されたパルス繰り返しインターバルPRImの値とその推定値に関連付けられた確度測定値VPRIとの両方を産生する。両方の値PRImおよびVPRIは、さらなる処理のため演算/制御ユニットACUにより利用される。
【0076】
仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの検証、およびバースト当たりパルス数の決定
RIEブロックにより供給される推定値PRImは、演算/制御ユニットACUにより、この特定PRIにより特徴付けられるバースト内で発生するパルスの数を決定するために利用される。この目的のため、単純なインパルステンプレート(impulse template)を用いて、複数の連続フレーム、および各フレーム内でのイベントの相対位置を決定する。
【0077】
図9は、演算/制御ユニットACUにより行われる動作を概略的に示す。ユニットACUは、受信信号を所定長の時間フレームに分割することにより動作を行う。各時間フレーム内で発生するイベントを合成して、ヒストグラムを産生する。ヒストグラムから、イベントカウント、すなわちバースト当たりパルス数を決定することが可能である。イベント統合に用いられる初期のフレームは、プライミング5連体(または3連体)からのイベントを含むものとする。そして、他のフレーム(先行するものと後続のものとの両方)について検討するとともに、得られたヒストグラムをパルスの連続性について監視する。例えば、2つの連続するフレームが特定のパルス繰り返しインターバルのパルスについてイベントカウントを増加させない場合、それぞれのバーストが終了したとの決定を行ってもよい。
【0078】
このように、ACUは、受信トレインにおける他のパルスのどれが識別されたグループに属するかを判定することが可能で、次いで、そのグループにおけるパルスを、システムが他のグループの識別を試みるときに検討対象から排除することが可能である。
【0079】
上記の方法は、同じPRIを有する2つ(またはそれ以上)のインターリーブされたバーストを、開始時刻がシフトしていても識別する能力を有することを指摘しておく。
【0080】
レーダパルスバーストがない時間インターバルの予測
演算/制御ユニットACUは、その動作の結果、情報を格納することとなり、その情報から、傍受されたレーダ送信の各々について、以下のパラメータを推測することが可能である:
1.パルス繰り返しインターバルPRI
2.バースト当たりパルス数
3.バースト持続時間
4.バースト到着時刻
5.バーストとバーストの間のインターバルの持続時間
【0081】
上記の情報は、演算/制御ユニットACUが、当業者により直ちに理解される手法を用いてレーダパルスバーストがない時間インターバルを予測するために十分である。このように、ACUは、これらの時間インターバルを表す送信許可信号CTを提供することが可能である。また、好適な予測手順を、傍受したパルス信号の連続的監視と組み合わせることで、予測品質を向上させ、新たな発信器が出現する場合も適時に反応することができる。
【0082】
送信許可信号CTは、無線送信機により、無線送信機からの送信タイミングを制御するために用いられる。図1の情報融合センタIFCおよびセンサにより形成される通信システムにおいて、信号はセンタIFCに送られ、センタIFCは、それに応答して、センタIFCからセンサへと、およびセンサからセンタIFCへと、情報を送信するタイミングを制御する。
【0083】
また、上で説明した手法は、欧州特許出願第05256575.1号(2005年10月24日出願)および国際出願第PCT/GB2006/003942号(2006年10月23日出願)においても記載および請求されている。上で説明した手法に行うことができる具体的な変形の例を以下で説明する。
【0084】
上述の実施形態では、候補のパルスの選択後に、プライミング5連体(すなわち、実質的に等しいパルス繰り返しインターバルを有する5つのパルスであり、候補のパルスは中央のパルスとする)を位置特定する処理を行うように編成されている。示したように、5つのパルスを位置特定する代わりに、3つのパルスで構成される組を位置特定することが可能である。加えて、(i)この処理は、候補のパルスが中央にあるものとしてパルスシーケンスを位置特定するように試みる必要はなく、また、(ii)この処理は、奇数個のパルスを含むシーケンスを位置特定する必要もない。例えば、用途によっては、4つのパルスを含むグループを解析することが有用であるかもしれない。従って、図5および6に関連して上で説明した処理を、可能性のあるレベル2後続者またはレベル2先行者を無視するように変更することで、プライミング4連体を形成する4つのパルスのグループを求め、それらのパルスに基づいて最も可能性の高いパルス繰り返しインターバルを計算することが可能である。
【0085】
図5を参照して上で述べたように、ヒストグラムにおけるピークは、時間量子化効果や、到着時刻測定値における雑音を原因とする変動などの要因の影響を受けることがある。また、ピークは、パルスをそれらの公称位置(nominal positions)から故意に変位(ある種類のパルストレインにおいて生じる)させることによっても影響を受ける。これらの要因のいずれの1つまたはいずれの組み合わせにも対処するため、本発明の変形例によれば、候補のパルスに対する各パルスの到着時刻を決定する代わりに、パルスの相対的な到着時刻の平均値を決定する。これは、好ましくは、好適に選択されたスパンの移動窓を用い、窓内に入るイベントをカウントすることにより果たされる。
【0086】
図10は、この手法の例を概略的に説明する。この変形手法を用いる実施形態は、候補のパルス繰り返しインターバルを予備決定する方法が、図5でなく図10を参照して説明するものであることを除き、上記の実施形態と同一である。図10aは、図5aと同様に、適切なシフトおよびスケーリング操作後のパルスイベントの測定された到着時刻を表す。各イベントには、そのイベントの時刻と候補のパルスの到着時刻との間の絶対誤差を表す値(必要に応じ、所定のインターバルPRImin〜PRImax内に配置されるように整数で除算する)が関連付けられている。図10aには、また、移動窓のスパンも示している。窓を漸次(窓幅未満の量だけ)シフトし、その各位置で窓内のイベントをカウントする。図10bは、その結果、すなわち、移動窓をシフトさせながら窓内で観測されたイベントの数を示す。図10は、パルスタイミングが故意にずらされたパルス4連体を検出するための例に関する。故に、合成されたストリームに一致するイベントはない。しかし、所定のスパンの窓を時間的にシフトさせると、ある窓位置において3つのイベントのクラスタが窓内で観測される。これにより、4連体の検出が宣言され、窓の対応する中央位置から平均PRIが決定される。
【0087】
図10bは、イベントカウントピークをイベントクラスタの真の位置に対して窓スパンの半分だけシフトさせた状態を示す。これは、図がイベント数を窓の前縁の関数として示すためである。単一の窓を用いる代わりに、2つの逆方向に伝播する窓(1つはPRIminから開始し、1つはPRImaxから開始する)を用いることも可能である。
【0088】
また、図9を参照して説明した手法も、1つ以上の移動窓を用いるように対応する方法で変形することができる。
【0089】
上記の実施形態において、パルスのグループは、選定された候補のパルスの到着時刻に対するそれらの到着時刻により選択される。状況によっては、観測されたパルスの到着時刻の代わりに、ある候補となる瞬間を参照点として選択することが望ましいかもしれない。換言すれば、候補のパルスとして、実際の(観測された)パルスの代わりに、仮想の(観測不能な)パルスを用いることが可能である。これは、例えば、ずらされたパルスを有する短いパルスバーストの解析において有益であり得る。候補となる瞬間は、例えば、観測されたパルスの到着時刻(例えば、2つの到着時刻の間の中間点)によって選択してもよく、好ましくは、グループを形成する候補として考えられるパルスの到着時刻の範囲の中央であるか、またはその付近である。代替として、各々が直前の候補となる瞬間から所定の時間インターバルだけ隔てられた異なる候補である瞬間を、繰り返し選択するための反復的処理であってもよい。観測パルスの到着時刻の代わりに候補となる瞬間を用いる以外は、先に説明した実施形態に関して上で述べたものとまったく同じ動作であってもよい。
【0090】
以上から、観測されたパルスの到着時刻と一致しない選択された候補となる瞬間を、候補のパルスの到着時刻の代わりに用いることで、(i)パルスをグループに類別し、および/または(ii)概算の繰り返しインターバルを決定し、次いで、それらを用いて平均グループパルス繰り返しインターバルを計算することが可能である、ということが理解されよう。
【0091】
本発明の好適な実施形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提示したものである。網羅的であることや、本発明を開示したとおりの形態に限定することを意図するものではない。上記の説明に鑑み、多くの改変、修正、および変更を行うことで、当業者が、考慮される特定の用途に適した様々な実施形態において本発明を利用することが可能になる、ということは明白である。
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、特定の周期的または規則的なパターンを表す電磁パルスなどのイベントを解析および分類するための方法および装置に関し、特に、様々な無線測位サービスと同じ周波数帯域を共有する無線通信またはセンサネットワークにおいて発生し得る無線周波数パルスのバーストがない時間インターバルの予測に適用可能であるが、それに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
[従来技術の説明]
多くの事例において、注目対象の現象を表す観測信号には、未知数の異なるソースにより産生された複数のインターリーブされたパルストレイン(またはバースト)が含まれることがある。各観測パルストレインを、そのトレインを発する対応するソースに割り当てる必要があることがよくある。一般に、かかる関連付け手順は、異なるソースが、異なるパラメータ(パルスの振幅、パルスの形状および持続時間、ならびにパルス間のインターバル等)を有するパルストレインを産生する、という仮定に基づいている。電磁環境において、パルスの分類および関連付けは、観測された到着方向、キャリアの周波数および偏波、パルス内変調の種類などを含む他の特性に基づくこともある。
【0003】
「パルスデインターリービング」と一般に呼ばれる上記のパルス関連付けには、地震探査、コンピュータ通信、ニューラルパルスネットワーク、電波天文学(例えば、パルサの検索)などを含む様々な分野における多くの周知の用途がある。最近では、初歩的な形態のパルスデインターリービングを、新興分野であるインテリジェント(または「コグニティブ」)無線通信システムに適用する試みがなされてきた。
【0004】
インテリジェント無線の概念は、適切な規制当局によりその全体が様々な商用および軍用のユーザに割り当てられているスペクトル帯域の(空間、時間、または周波数における)遊休部分を、適応的に利用することに基づいている。スペクトルの適応的な利用により、様々な広帯域通信サービスおよびマルチメディアサービス、ならびに監視アプリケーションをサポートする周波数スペクトルへの高まる需要が、少なくとも部分的に満たされることが期待される。
【0005】
スペクトルの利用を最適化するためにインテリジェントシステムが用いる一般的なアプローチは:
−周囲の電磁環境を感知して、スペクトル機会を識別するステップと;
−遊休スペクトルセグメントを好適に用いて、意図する動作(感知または情報送信等)を行うステップと;
−主たるまたは優先度が高いユーザが出現する前に、スペクトルセグメントを空けるステップと;を含む。
【0006】
用いるアプローチに関わらず、インテリジェントシステムは、周囲の電磁環境を認識することと、自動的に反応する能力との両方を発揮する必要がある。
【0007】
5GHz周波数帯域(5GHzと6GHzとの間の周波数)において開発中のインテリジェント無線システムの一例には、各種の国際標準(電気電子学会(IEEE)および欧州電気通信標準化機構(ETSI)により策定されたもの等)に従って動作するように編成されたワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の類がある。WLANがこのセグメントのスペクトルを利用できるようにした結果、主たるシステム、とりわけ5GHz帯域において動作するライセンスを受けたレーダと、このスペクトルを共有する必要が生じている。
【0008】
レーダシステムとWLANワイヤレス装置との両方が同じ周波数帯域において動作することを許容されているため、WLAN業界は、相互干渉を排除するために周波数調整を行う必要を回避すべく、動的周波数選択(DFS)のメカニズムを策定した。従って、特定のチャネル上でレーダ信号の存在が検出されると、WLAN装置は、自動的に他のチャネルに切り換えることで、レーダ信号との干渉を回避しなければならない。
【0009】
国土防衛の支援におけるレーダの役割の拡張の結果、それらを配備する場所は、過去のものとは異なっている。よって、レーダおよび他のセンサネットワークは、同じ地理的領域において動作することが必要であり、同じ周波数帯域を共有することが有益である。ネットワーク構成において動作するレーダおよび他のセンサにより、重要インフラ(電力網および発電所、ガスおよびオイルのパイプライン、ならびに給水システムを含む)の連続的監視の改良が提供される。
【0010】
他の重要な用途には、音響センサや他のセンサを用いる浮遊ブイのネットワークにより、注目対象の高速ボートおよび他の水上艦を検出および位置特定することが可能な沿岸警備隊または沿岸監視の用途がある。それらのセンサは、無線通信リンクを介して情報を交換する必要があり、固定や機上の監視レーダと同じ周波数帯域を共有することが有益である。
【0011】
既存の規制基準が提供するレーダの検出および回避のためのガイドラインは単純なものであるが、複合電磁信号を傍受および解析してレーダ信号のパラメータを決定するための具体的な方法は与えられていない。
【0012】
通信ネットワークにおけるレーダパルスの検出および回避に関する従来技術の例は、下記の特許および特許出願公開において提示されている:
1.欧州特許出願公開第1505772号明細書、Kruys他、2005年2月9日
2.米国特許第6831589号明細書、Shearer III、2004年12月14日
3.米国特許出願公開第2004/0156336号明細書、McFarland他、2004年8月12日
4.米国特許出願公開第2004/0151137号明細書、McFarland他、2004年8月5日
5.米国特許第6697013号明細書、McFarland他、2004年2月24日(国際公開第03/050560号パンフレット、2003年6月19日)
6.米国特許出願公開第2004/0033789号明細書、Tsien、2004年2月19日
7.米国特許出願公開第2003/0214430号明細書、Husted他、2003年11月20日
8.米国特許出願公開第2003/0206130号明細書、Husted他、2003年11月6日
9.米国特許出願公開第2002/0155811号明細書、Prismantas他、2002年10月24日
10.国際公開第02/082844A3号パンフレット、Zimmermann他、2002年10月17日(欧州特許出願公開第1248477号明細書、2002年10月9日)
上記のリストは網羅的であることを意図したものではないが、引用文献において開示されている手法および実施形態は、WLAN装置およびレーダシステムの共存に関する最新の従来技術を表すものと思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術による手法のいずれにも、同じ周波数帯域において動作する複数のレーダにより発信されたインターリーブされたレーダパルスバーストの特性を決定する能力はない。特に、観測された複合パルスストリームにおいて、いくつかのレーダパルスが欠落しており、いくつかの「誤った」パルス(例えば、雑音により生成されたもの)が出現している場合において、そのような能力はない。そのため、インターリーブされたパルスバーストのパラメータ(各バースト内でのパルス間のインターバル、バースト持続時間、バースト繰り返し周波数、および異なるレーダシステムから発せられたバースト間の時間シフト等)を決定するためのロバストな手法を提供することが望ましい。
【0014】
ほとんどの場合、監視レーダは、連続的なパルス送信ではなく、間欠的にパルスのバーストを(任意の特定の方向に)発信する。よって、送信に用いられる周波数帯域は、バーストとバーストの間では遊休状態のままである。このため、間欠的送信を行う複数の監視レーダが、感知または情報送信に広帯域信号または超広帯域(UWB)信号を用いる他のRF装置と同じ周波数帯域において動作する際に、改善されたスペクトル利用を提供する、適応的方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[発明の要約]
本発明の態様は、付帯の請求項において述べる。
【0016】
本発明のさらなる独立態様によれば、パルスの、1つ以上の別々のグループを発見する試行が行われる。各グループのパルスは、それらが、恐らくは共通のソースからの、まとまった組(coherent set)を形成することを示すパルス間インターバルを有する。各試行には、パルスの1つを候補のパルスとして選択するステップが含まれる。選択されたパルスに対して均一なパルス繰り返しインターバルで到着するパルスを位置合わせする(すなわち、それらのパルスを表す値を合成する)ように、他のパルスの到着時刻を処理する。(選択された候補のパルスの到着時刻を参照して他のパルスの到着時刻を処理するため、本明細書では候補のパルスを「ピボット」パルスとも呼ぶ。)十分な数のパルスが位置合わせされれば、これらのパルスおよび選択された候補のパルスがまとまったグループを形成するものと仮定する。
【0017】
処理は、好ましくは、選択された候補のパルスの前に到着したパルスおよび後に到着したパルスの両方を考慮する。これにより、統計的により正確な結果を得ることが可能になる。
【0018】
好ましくは、受信信号におけるパルスを、低振幅パルスと高振幅パルスとに分割する。後者は、雑音の影響であるよりは有効なパルスである可能性が高い。高振幅パルスのみを候補のパルスとして用いることにより、処理が著しく速められる。
【0019】
本発明のさらなる独立態様(上記の独立態様と組み合わせて用いるのが好ましいが、別々に、当該技術において公知のものを含む異なるパルスグループ化編成とともに用いることも可能である)によれば、パルスのグループのパルス繰り返しインターバルを、パルス到着時刻を測定することにより決定される概算のパルス繰り返しインターバルの角度平均を決定することにより計算する。特に、測定されたパルス繰り返しインターバルを、π以下の角度範囲にわたって線形に分布する角度付きベクトルに変換する。範囲の端点は、所定の最小および最大の予想されるパルス繰り返しインターバルに対応する。平均化は、ベクトル和の角度を決定することにより果たされ、この角度は、実際のパルス繰り返しインターバルの正確な推定値を表す。
【0020】
好ましくは、測定されたパルス間のインターバルは、各パルスの到着時刻と中間のパルス(好ましくは中央のパルス)の到着時刻との間のインターバルである。適切な場合は、この測定されたインターバルを到着時刻間のインターバルの数で除算して、概算のパルス繰り返しインターバルを得る。本発明の2つの上記態様を組み合わせる編成において、中間のパルスは、上述の候補のパルスであってもよい。
【0021】
好ましくは、中央のパルスからより離れたパルスの到着時刻の影響を相対的に大きくして、重み付け角度平均を導出する。従って、測定されたインターバルが大きい(丸め誤差の影響はそれに比例して小さい)ほど、影響が大きい。
【0022】
以下、添付の図面を参照して、本発明を実施する編成を例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】センサ群S1、S2、...、SK、複数の監視レーダR1、R2、...、RL、情報融合センタIFC、およびレーダ信号解析器RSAを備える安全システムの例である。
【図2】本発明に従って動作するように編成されたレーダ信号解析器RSAのブロック図である。
【図3】図3aは、3シーケンスのパルスバーストの例を示す。図3bは、部分的に重なったパルスバーストを含む複合信号のセグメントを示す。図3cは、2値の送信許可信号を示す。
【図4】本発明による2つの判定閾値と比較した時間変化信号包絡線の例を示す。
【図5】本発明に従って候補のパルス繰り返しインターバルを予備決定するために用いる方法を説明する図である。
【図6】本発明に従って単位半円の円周上にイベント5連体(event quintuple)をマッピングする例である。
【図7】最も不調和なイベント5連体を示す。
【図8】図2の解析器の繰り返しインターバル推定器のブロック図である。
【図9】ヒストグラムを産生するとともにバースト当たりパルス数を決定するため、複数の時間フレーム内で発生するイベントに対して本発明に従って行われる動作を概略的に示す。
【図10】本発明の変形例による候補のパルス繰り返しインターバルを予備決定するために用いる方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、注目対象の領域にわたり分散させた好適なセンサ群(a constellation of suitable sensors)S1、S2、...、SKと、情報融合センタIFCとを備える安全監視システムの例を示す。センサ群には、パッシブセンサもしくはアクティブセンサ、またはそれらの組み合わせを利用することができる。さらに、センサ群を形成するセンサは、異種のもの(例えば、音響センサ、赤外センサ、または電磁的センサ)であってもよい。
【0025】
広帯域レーダ信号解析器RSAも、センサ群により利用される。
【0026】
各センサおよび情報融合センタの間での高データレート情報交換に利用可能な広帯域通信チャネルが設けられるものと仮定する。また、センサ群の近傍において、広帯域通信チャネルを形成する周波数帯域と一致する周波数帯域(の少なくとも一部)を送信に利用する監視レーダR1、R2、...、RLが動作しているものと仮定する。
【0027】
また、監視レーダR1、R2、...、RLの各々は、360度の探知範囲を提供する回転アンテナを用いるものと仮定する。その結果、センサ群は、レーダのアンテナがセンサ群の位置を直接指しているときにのみ、レーダパルス送信の影響を受ける。その位置では、各動作レーダが、センサ群に向けて送られる周期的パルスバーストにより自らの存在を明らかにする。
【0028】
各パルスバーストの持続時間は、アンテナの回転速度およびアンテナビームの角度幅により決定される。各バーストにおいて生じるレーダパルスの数は、バースト持続時間とレーダにより用いられるパルス繰り返し周波数とに依存する。異なる特性を有するいくつかのレーダが同時に動作しているときは、センサ群は、インターリーブされたパルスバーストと、部分的または完全に重なったバースト内で発生するインターリーブされたパルスとを含む複合パルス信号を受信する。
【0029】
本発明に従って構成された広帯域レーダ信号解析器RSAは、以下の機能および動作を行う:
−所定の検出閾値を超えるパルスの検出。各検出パルスは、「有効な」レーダパルスであるか、またはいずれの動作レーダにも関係しない雑音もしくは干渉により産生されたものである。
−検出パルスの到着時刻(TOA)の登録された値(registered value)により決定されるイベントの複合ストリームを解析して、周期的パルスバーストの数、各バーストの周期、およびその持続時間を決定する。
−レーダパルスのバーストがない時間インターバルの予測。予測されたインターバルを用いて、センサ群により利用されるセンサおよび情報融合センタIFCの間で高データレート情報交換が行われる。
−送信許可時間インターバルを示す好適な信号の生成。かかる信号を情報融合センタIFCに送り、センサ群内での情報送信を調整することができる。
【0030】
図2は、本発明に従って動作するように編成されたレーダ信号解析器(RSA)のブロック図である。解析器は、広帯域受信機(WBR)に接続された全方向性アンテナ(ODA)を備え、広帯域受信機には包絡線検出器(EDR)が続いている。解析器は、また、比較器(CMR)、イベント記述子生成器(EDG)、イベント記述子フィルタ(EDF)、イベント記述子バッファ(EDB)、繰り返しインターバル推定器(RIE)、および送信許可信号CTを産生する演算/制御ユニット(ACU)を備え、これらのすべては、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装することが可能である。
【0031】
レーダ信号解析器RSAは、その動作中、広帯域雑音を傍受しているか、または、広帯域受信機(WBR)によりカバーされる広周波数帯域内で動作しているかもしれない未知数のレーダ発信器により産生された複数のパルスバーストを傍受しているものと仮定する。各間欠的レーダ送信のパラメータ(パルス持続時間、パルスピークパワー、バースト持続時間(BD)、バースト繰り返しインターバル(BRI)、およびバースト内でのパルス繰り返しインターバル(PRI)等)は、先験的には未知であるものと仮定する。
【0032】
図3aは、3つのレーダ発信器によりそれぞれ産生されたパルスバーストの3つのシーケンスの例を示す。各シーケンスは、自らのバースト繰り返しインターバル(BRI)、バースト内パルス繰り返しインターバル(PRI)、およびバースト持続時間(BD)により特徴付けられる。レーダ信号解析器RSAは、それらのパルスバーストの加法的合成である複合信号を傍受している。
【0033】
図3bは、部分的に重なったパルスバーストを含む複合信号のセグメントを示し、図3cは、演算/制御ユニットACUにより産生された所望の2値の送信許可信号CTの例を示す。
【0034】
包絡線検出器EDRにより供給される複合信号包絡線EVのレベルは、比較器CMRにおいて、2つの好適に選定された所定の閾値、すなわち低閾値DDおよび高閾値PPと比較される。ある時点で、包絡線EVが低閾値DDを超えた場合は、パルス検出が宣言される。包絡線EVが高閾値PPも超えた場合は、観測信号が雑音スパイクでなく「有効な」レーダパルスを表す可能性がさらに高い。以下で説明するように、より高い確度で検出されたパルスは、パルスバーストおよびそれぞれのパラメータを効率的に決定するために重要な役割を果たす。
【0035】
図4は、レーダ信号解析器RSAが傍受した信号の時間変化包絡線EVの例を示す。本例において、包絡線は、3つの時点Tk1、Tk2、およびTk3において低閾値DDと交差している。これらの時点の各々は、イベントの到着時刻TOA(これは閾値DDと交差した時点に等しい)を決定している。図示のように、包絡線EVは、Tk1において低閾値DDと交差した直後に、高閾値PPとも交差している。かかる場合を表すすべてのイベントは、他のイベント(包絡線が低閾値DDのみと交差し、所定の時間インターバルの間、高閾値PPを下回り続ける状況に対応する)から区別される。
【0036】
以下では、低閾値DDおよび高閾値PPを、それぞれ「イベント検出」閾値および「ピボット判定」閾値と呼ぶ。よって、各「ピボットイベント」は、包絡線が、Tkで検出閾値DDと交差し、時間インターバル[Tk,(Tk+δ)]内でピボット判定閾値PPと交差する状況を表す。ここで、δは所定の値(例えば、δ=0.2μs)を有する。
【0037】
イベント検出閾値DDの値は、雑音のみに起因する正交差(upcrossings)の回数を許容可能なレベルに保つように選択される。例えば、中心周波数f0および矩形周波数特性|f−f0|<ΔF/2の帯域通過フィルタにガウス雑音を通過させる場合、フィルタの出力で得られる雑音信号の包絡線には、平均で、持続時間Tの時間インターバル内でN+回のレベルλの正交差が産生される。ここで、
【数1】
であり、σΕは包絡線の平方二乗平均である。
【0038】
例えば、ΔF=10MHzおよびλ=3.5σΕであれば、平均で、持続時間100msのインターバルにおいて17回の正交差が登録される。しかし、交差レベルλをλ=3σΕに低下させると、100msのインターバルにおいて観測される正交差の平均回数は380に増加する。
【0039】
ピボット判定閾値PPの値は、PP=gDDとして表現することが可能で、ここで定数g>1を経験的に、または理論的解析から決定することが可能である。
【0040】
図2の比較器CMRの2つの2値出力XLおよびXHは、それぞれイベント検出閾値DDおよびピボット判定閾値PPの交差を表す。イベント記述子生成器EDGは、比較器CMRの出力(XL、XH)を、演算/制御ユニットACUにより供給される「時間タグ」TTと組み合わせる。演算/制御ユニットACUは、この目的のため、好適に選定された周波数を有するクロック回路を備える。イベント記述子生成器EDGにより産生されたイベント記述子EDは、Lビットが検出されたイベントの時間タグTT(すなわち、到着時刻Tk)を表し、単一の追加ビットがピボットイベントを特定する2進ワードの形態を有する。
【0041】
イベント記述子フィルタEDFの主要な仕事は、イベント記述子生成器EDGにより供給されているイベント記述子EDのストリームがパルスバーストを構成するか否かを決定することである。そのため、イベント記述子フィルタEDFは、以下の2つの基準を適用する:
A.連続性基準:連続するイベントの間の時間インターバルは、所定の容認最大値IM未満でなければならない。すなわち、
Tk+1−Tk<IM
B.完全性基準:基準Aを満たす連続するイベントの数CPは、所定の許容最小値MNよりも大きくなければならない。すなわち、
CP>MN
【0042】
また、連続性基準Aは、欠落している単一パルスを考慮に入れることもできる。例えば、最大パルス繰り返しインターバルPRIが5msに等しく、単一パルスが欠落しているかもしれない場合、IMの選択値は、10msよりもわずかに大きいものになる。
【0043】
完全性基準Bに関して、MNの最小値は、単一のパルスバーストにおいて発生することが予想される最小パルス数から、許容される欠落パルスの総数を減じたものに等しいものになる。例えば、8つのパルスのみがバースト内で発生することが予想され、合計で3つのパルスの欠落が許容される場合、MNの選択値は4(すなわち、CP>4)となる。
【0044】
検討中のイベント記述子EDのストリームが有効なパルスバーストを構成するものであるか、またはいくつかの重なったパルスバーストを構成するものであると宣言するためには、上記の両方の基準が満たされなければならない。
【0045】
イベント記述子フィルタEDFは、Tk+1−Tk<IMである限り、イベント記述子EDをイベント記述子バッファEDBに連続的に転送する。Tk+1−Tk≧IMとなり次第、またはバッファEDBが満たされ次第、転送は終了する。バッファが満たされた状況は、例えば、固定レーダに加え、撮像機能を実行する機上システムが、注目対象の領域を照射する場合に発生し得る。
【0046】
イベント記述子バッファEDBは、CP<MNである場合に、入力CLを介してクリアされる。そうでない場合は、バースト全体、またはバーストの組み合わせが、イベント記述子バッファEDBに格納されている。かかる場合、データ利用可能信号DAがイベント記述子フィルタEDFから演算/制御ユニットACUに送られる。
【0047】
データ利用可能信号DAの受信により、バッファEDBに格納されたイベント記述子のシーケンスの解析処理が開始される。解析は、演算/制御ユニットACUおよび繰り返しインターバル推定器RIEにより行われ、これらは、バッファEDBに格納されたイベント記述子に対して共同で動作する。
【0048】
イベント記述子の解析には、繰り返し行われる3つの基本的な動作が含まれる:
1.候補のパルス繰り返しインターバルPRIの決定
2.仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの高精度推定
3.仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの検証、および解析中のバーストにおける発生パルス数の決定
【0049】
それらの3つの動作の実施に成功すれば、ポジティブに識別されているパルスバーストを構成するイベント記述子がバッファEDBから除去される(バッファ「間引き」)。次いで、十分な数のイベント記述子がバッファEDBに残っていれば、これら3つの動作のシーケンスが繰り返される。
【0050】
以下では、上記の3つの基本的な動作についてより詳細に説明する。
【0051】
候補のパルス繰り返しインターバルPRIの決定
候補のPRIの予備決定は、イベントパターンの時間領域解析に基づく。好ましくは、用いられるイベントパターンは、少数のイベント(例えば、3または5個)を含む。以下では、かかるイベントパターンを、それぞれイベント3連体(event triple)およびイベント5連体(event quintuple)と呼ぶ。
【0052】
用いられるイベントパターンの特定の形態に関わらず、まず、好適なピボットイベントを記述子バッファEDBに格納されたイベントから選択する。「良好な」候補のピボットイベントは、格納されたイベントのストリームの中程で見付けられる、と仮定するのが合理的である。
【0053】
さらに、イベントパターンの特定の形態に関わらず、候補のパルス繰り返しインターバルPRIの探索は、PRIの最小の予想される値D(例えば、D=PRImin=200μs)から開始する。
【0054】
イベント5連体
選択された候補のピボットイベントの到着時刻(TOA)をT*と示す。イベントの4つのグループを以下のように定義する。
レベル1後続者(level-one successors)は、到着時刻Tm+が次の条件を満たすすべてのイベントである。
D<Tm+−T*<pD,p>1,m=1,2,...,M
レベル2後続者(level-two successors)は、到着時刻Tn++が次の条件を満たすすべてのイベントである。
2D<Tn++−T*<2pD,p>1,n=1,2,...,N
レベル1先行者(level-one predecessors)は、到着時刻Tj-が次の条件を満たすすべてのイベントである。
D<T*−Tj-<pD,p>1,j=1,2,...,J
レベル2先行者(level-two predecessors)は、到着時刻Ti--が次の条件を満たすすべてのイベントである。
2D<T*−Ti--<2pD,p>1,i=1,2,...,I
【0055】
従って、レベル2のパルスを定義する範囲の上限値および下限値は、レベル1のパルスを定義するために用いられる限界値の2倍である。好ましくは、上記の条件において、パラメータpの値は、1.5にわずかに満たない値を取る。
【0056】
選択されたピボットイベントと、1つのレベル1後続者と、1つのレベル2後続者と、1つのレベル1先行者と、1つのレベル2先行者とにより、一意なイベント5連体が形成されることに留意されたい。このように形成されたすべてのイベント5連体の中に、D<PRI<pDであるPRIを有するパルスバーストのセグメントを表す1つの5連体(プライミング5連体(priming quintuple)と呼ぶ)が存在し得る。
【0057】
図5は、1つのピボットイベントと4つのイベントセット(レベル1後続者、レベル2後続者、レベル1先行者、レベル2先行者を含む)から、候補のパルス繰り返しインターバルPRIを予備決定するために用いる方法を示す図である。
【0058】
本発明の好適な実施形態では、レベル1およびレベル2のイベントを含む4つの時間インターバルを、以下の規則に従って、持続時間(p−1)Dを有する単一の時間インターバルに落とし込む。
1.レベル1後続者を含むインターバルは、変更しない。
2.レベル2後続者を含むインターバルは、好適にシフトおよびスケーリングする。
3.レベル1先行者を含むインターバルの持続時間は、変更しない;ただし、ピボットイベントからの距離の絶対値(大きさ)のみを用いる(時間反転)。
4.レベル2先行者を含むインターバルの持続時間は、好適にスケーリングする;ピボット要素からの距離の絶対値は、好適にシフトおよびスケーリングする(時間反転後にスケーリング)。
【0059】
これにより、ピボットイベントを除くすべてのイベントが単一のインターバル内に配置され、そのインターバルの端点は、想定される候補のPRIの最小値および最大値を表す。イベントの複合ストリームが解析されたものにおいて、上記のインターバルからのある値を有するPRIだけ隔てられたイベントが存在していれば、正確なTOA測定が行われかつ欠落しているイベントがない理想的な場合には、そのインターバルにおいて同じ位置を占めるイベントが正確に4つあることになる。よって、対応するPRIの高精度な推定値が、図5bに示すような好適に構成されたヒストグラムにおける顕著なピークの位置から得られよう。
【0060】
単一のレベル1イベントが欠落している場合も、かかるイベントセットをさらなる処理に用いることが可能である。
【0061】
実際の場合、ヒストグラムにおいて観測されるピークは、以下の要因により低減され、平坦化される:
−時間量子化効果(すなわち、時間タグを表すビットは有限数である)
−傍受されたパルスの有限の立ち上がり時間
−雑音による到着時刻TOAの時間変動
【0062】
このため、実際には、ピーク位置は、注目対象のPRIの概算の推定値を提供するのみである。しかし、ヒストグラムを用いて、4つの特定のレベル1およびレベル2のイベントを識別することが可能で、それらを既に選択済みのピボットイベントとともに用いて、さらなる処理に要求されるプライミング5連体を構成する。よって、ヒストグラムを好適に解析することで、プライミング5連体に属するレベル1およびレベル2のイベントの4つの基礎となる到着時刻T0--、T0-、T0+、およびT0++が決定される。
【0063】
ヒストグラムがプライミング5連体を識別できなければ、バッファEDBに格納されたピボットのイベント記述子から新たなピボットイベントを選択し、上記の動作を繰り返す。すべての潜在的なピボットを用いたら、バッファEDBに格納された他のイベント記述子の中から候補のピボットを選択することが可能である。このアプローチでも容認可能なプライミング5連体を提供できなければ、PRI値の次の範囲、すなわちpD<PRI<p2Dについて探索を繰り返す。例えば、注目対象の範囲全体において、PRImin=200μsかつPRImax=4msであるとき、p=1.46に対して、PRI値のかかる範囲は、8つのパス(eight passes)でカバーされる。(代替的な実施形態では、容認可能なパルスグループが見付けられたかどうかに関わらず、後続のPRI値の範囲について探索を繰り返す。)最高の範囲からではなく最低の範囲から開始することで、パルス繰り返しインターバルの第2次またはより高次の高調波に到着するパルスのみをグループに割り当ててしまうことが回避される、という利点が得られる。
【0064】
仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの高精度推定
仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIについての情報は、5つのTOA値(すなわち、プライミング5連体を形成するピボットイベントのTOA値および他の4つのイベントのTOA値)に含まれる。それらの値は、次いで、繰り返しインターバル推定器RIEのブロックにより、仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの値をより高精度に決定するために利用される。
【0065】
イベント5連体の場合、レベル1およびレベル2のイベントを表す4つの点が、すべて、単位半円(0,π)の円周上にマッピングされる。単位半円は、その中心がイベントの1つ、好ましくはピボットイベントをシンボリックに表し、その角度域が範囲PRImax−PRImin=Δを表すものである。(これらの点は、代わりに、他の任意の弧上にマッピングすることもできるが、範囲Δを表す角度域は、π以下とすべきである。)マッピングの結果、(ピボットパルスに対して決定された)パルスインターバルが、単位ベクトルの角度により表される。
【0066】
検討中のイベント5連体は、ピボットイベント、レベル2先行者、レベル1先行者、レベル1後続者、およびレベル2後続者の到着時刻TOAの値、すなわち、それぞれT*、T0--、T0-、T0+、およびT0++により表されるものと仮定する。次いで、単位半円上における各イベントの角度位置を、次式から決定することが可能である:
レベル2およびレベル1の先行者
【数2】
レベル1およびレベル2の後続者
【数3】
【0067】
図6は、単位半円の円周上にイベント5連体をマッピングする例である。半円(0,π)上の点は、ピボットイベントを始点とする単位ベクトルの終点を表す。各イベントの角度位置は、それぞれのパルスの到着時刻とピボットパルスの到着時刻との間のパルス間インターバルを測定することにより決定される概算のパルス繰り返しインターバルに対して、線形に関係している。
【0068】
次に、最も可能性の高いパルス繰り返しインターバルPRImを、次式のように計算される重み付け角度平均とする:
【数4】
式中、
【数5】
はベクトルの和の角度であり、また、
【数6】
【数7】
が成立し、式中、w1およびw2は所定の重み係数である。w1=w2=1であれば、PRImは、各単位ベクトルの和の角度から導出される。しかし、好ましくはw1<w2であり、その場合、PRImは、レベル2イベントを用いて測定されたインターバルを表すベクトルの長さが、比w2/w1において、レベル1イベントを用いて測定されたインターバルを表すベクトルの長さよりも大きくなるように調整されたベクトルの和の角度から導出される。この重み付けを行う理由は、狭い間隔のイベントのタイミングの測定に基づいてインターバルを計算する場合に、丸め誤差によりそれらの計算が不正確なものになってしまうからである。好ましくは、レベル2およびレベル1の重みの比(w2/w1)は、2〜4の値を呈する。
【0069】
加えて、上記のPRI推定値の確度の測定値VPRIを、測定されたインターバルのばらつき(dispersion)から決定することが可能で、例えば、次式のように計算することが可能である:
【数8】
PRIの高品質な推定値については、測定値VPRIは、1に非常に近い値を呈する。例えば、次式が成立する場合:
【数9】
レベル1およびレベル2のイベントは、単一の点により表され、VPRIの値は1に等しい。しかし、「最も不調和なイベント」(図7に示すもの等)については、VPRIの値は0に等しい。
【0070】
PRI推定値の確度の測定値VPRIの低い値を独立に用いて、既に選択済のイベント5連体を却下することができる。かかる場合、他の5連体の探索を繰り返す。他方、測定値VPRIが所定の閾値を超える場合、イベントのグループのさらなる処理を後述のように行う。さらなる処理には、同じグループに属する他のイベントを位置特定することと、残りのパルスを他のグループに分類する目的での検討から、受信したパルストレインからのグループのイベントを排除することとが含まれる。
【0071】
図8は、繰り返しインターバル推定器RIEのブロック図である。ブロックRIEは、データセレクタDSR、ピボットレジスタPTRおよびイベントレジスタETR、合算/スケーリング回路SSR、ルックアップテーブルTSC、重みレジスタEWR、2つの同一の乗算器M、3つのアキュムレータACC、ACS、およびACW、ならびにピタゴラスプロセッサPYTを備える。
【0072】
演算/制御ユニットACUは、イベント5連体を選択し、対応する記述子のバッファEDBからRIEブロックへのポートSDを介する転送を制御する。また、イベントのレベルおよびタイプ(ピボットか否か)は、ユニットACUの出力ELを介して、データセレクタDSR、合算/スケーリング回路SSR、および重みレジスタEWRへ送られる。その結果、ピボット記述子(すなわち、そのTOA)PTはレジスタPTRに格納され、イベント記述子ETはレジスタETRに格納される。それらのレジスタの出力TPおよびTEは、合算/スケーリング回路SSRに接続されている。合算/スケーリング回路SSRは、その出力DTにおいて以下を産生する:
−レベル1イベントについては、ピボットTOAとイベントTOAとの間の差の絶対値
−レベル2イベントについては、ピボットTOAとイベントTOAとの間の差の絶対値の半分
【0073】
値DTは、ルックアップテーブルTSCに格納された正弦関数および余弦関数の要求される値を得るために用いられる、好適な構造のアドレスである。要求される値C2およびS2は、適切な重みEWとともに2つの同一の乗算器Mにより用いられ、2つのアキュムレータACCおよびACSへの入力データを産生する。重みEWは、重みレジスタEWRにより供給される。重みレジスタEWRは、イベントレベルに関する情報ELを演算/制御ユニットACUから受信する。イベント重みEWは、また、重みアキュムレータACWによっても用いられる。すべてのアキュムレータは、演算/制御ユニットACUにより供給される信号RSにより同時にリセットされる。
【0074】
完全なイベント5連体を処理している(かつ重みの和が既知である)ときには、アキュムレータACWは冗長なものであるが、イベント5連体から単一のレベル1イベントが欠落しているときには、単純な形態のアキュムレータACWが必要とされる。同様に、レーダ信号解析器RSAの動作中、イベント5連体をイベント3連体で置換するときは、重みの和は異なるものとなる。
【0075】
アキュムレータACCおよびACSの出力SCおよびSSは、ピタゴラスプロセッサに接続されている。ピタゴラスプロセッサは、その組み合わせ出力EI/ECにおいて、推定されたパルス繰り返しインターバルPRImの値とその推定値に関連付けられた確度測定値VPRIとの両方を産生する。両方の値PRImおよびVPRIは、さらなる処理のため演算/制御ユニットACUにより利用される。
【0076】
仮定されたパルス繰り返しインターバルPRIの検証、およびバースト当たりパルス数の決定
RIEブロックにより供給される推定値PRImは、演算/制御ユニットACUにより、この特定PRIにより特徴付けられるバースト内で発生するパルスの数を決定するために利用される。この目的のため、単純なインパルステンプレート(impulse template)を用いて、複数の連続フレーム、および各フレーム内でのイベントの相対位置を決定する。
【0077】
図9は、演算/制御ユニットACUにより行われる動作を概略的に示す。ユニットACUは、受信信号を所定長の時間フレームに分割することにより動作を行う。各時間フレーム内で発生するイベントを合成して、ヒストグラムを産生する。ヒストグラムから、イベントカウント、すなわちバースト当たりパルス数を決定することが可能である。イベント統合に用いられる初期のフレームは、プライミング5連体(または3連体)からのイベントを含むものとする。そして、他のフレーム(先行するものと後続のものとの両方)について検討するとともに、得られたヒストグラムをパルスの連続性について監視する。例えば、2つの連続するフレームが特定のパルス繰り返しインターバルのパルスについてイベントカウントを増加させない場合、それぞれのバーストが終了したとの決定を行ってもよい。
【0078】
このように、ACUは、受信トレインにおける他のパルスのどれが識別されたグループに属するかを判定することが可能で、次いで、そのグループにおけるパルスを、システムが他のグループの識別を試みるときに検討対象から排除することが可能である。
【0079】
上記の方法は、同じPRIを有する2つ(またはそれ以上)のインターリーブされたバーストを、開始時刻がシフトしていても識別する能力を有することを指摘しておく。
【0080】
レーダパルスバーストがない時間インターバルの予測
演算/制御ユニットACUは、その動作の結果、情報を格納することとなり、その情報から、傍受されたレーダ送信の各々について、以下のパラメータを推測することが可能である:
1.パルス繰り返しインターバルPRI
2.バースト当たりパルス数
3.バースト持続時間
4.バースト到着時刻
5.バーストとバーストの間のインターバルの持続時間
【0081】
上記の情報は、演算/制御ユニットACUが、当業者により直ちに理解される手法を用いてレーダパルスバーストがない時間インターバルを予測するために十分である。このように、ACUは、これらの時間インターバルを表す送信許可信号CTを提供することが可能である。また、好適な予測手順を、傍受したパルス信号の連続的監視と組み合わせることで、予測品質を向上させ、新たな発信器が出現する場合も適時に反応することができる。
【0082】
送信許可信号CTは、無線送信機により、無線送信機からの送信タイミングを制御するために用いられる。図1の情報融合センタIFCおよびセンサにより形成される通信システムにおいて、信号はセンタIFCに送られ、センタIFCは、それに応答して、センタIFCからセンサへと、およびセンサからセンタIFCへと、情報を送信するタイミングを制御する。
【0083】
また、上で説明した手法は、欧州特許出願第05256575.1号(2005年10月24日出願)および国際出願第PCT/GB2006/003942号(2006年10月23日出願)においても記載および請求されている。上で説明した手法に行うことができる具体的な変形の例を以下で説明する。
【0084】
上述の実施形態では、候補のパルスの選択後に、プライミング5連体(すなわち、実質的に等しいパルス繰り返しインターバルを有する5つのパルスであり、候補のパルスは中央のパルスとする)を位置特定する処理を行うように編成されている。示したように、5つのパルスを位置特定する代わりに、3つのパルスで構成される組を位置特定することが可能である。加えて、(i)この処理は、候補のパルスが中央にあるものとしてパルスシーケンスを位置特定するように試みる必要はなく、また、(ii)この処理は、奇数個のパルスを含むシーケンスを位置特定する必要もない。例えば、用途によっては、4つのパルスを含むグループを解析することが有用であるかもしれない。従って、図5および6に関連して上で説明した処理を、可能性のあるレベル2後続者またはレベル2先行者を無視するように変更することで、プライミング4連体を形成する4つのパルスのグループを求め、それらのパルスに基づいて最も可能性の高いパルス繰り返しインターバルを計算することが可能である。
【0085】
図5を参照して上で述べたように、ヒストグラムにおけるピークは、時間量子化効果や、到着時刻測定値における雑音を原因とする変動などの要因の影響を受けることがある。また、ピークは、パルスをそれらの公称位置(nominal positions)から故意に変位(ある種類のパルストレインにおいて生じる)させることによっても影響を受ける。これらの要因のいずれの1つまたはいずれの組み合わせにも対処するため、本発明の変形例によれば、候補のパルスに対する各パルスの到着時刻を決定する代わりに、パルスの相対的な到着時刻の平均値を決定する。これは、好ましくは、好適に選択されたスパンの移動窓を用い、窓内に入るイベントをカウントすることにより果たされる。
【0086】
図10は、この手法の例を概略的に説明する。この変形手法を用いる実施形態は、候補のパルス繰り返しインターバルを予備決定する方法が、図5でなく図10を参照して説明するものであることを除き、上記の実施形態と同一である。図10aは、図5aと同様に、適切なシフトおよびスケーリング操作後のパルスイベントの測定された到着時刻を表す。各イベントには、そのイベントの時刻と候補のパルスの到着時刻との間の絶対誤差を表す値(必要に応じ、所定のインターバルPRImin〜PRImax内に配置されるように整数で除算する)が関連付けられている。図10aには、また、移動窓のスパンも示している。窓を漸次(窓幅未満の量だけ)シフトし、その各位置で窓内のイベントをカウントする。図10bは、その結果、すなわち、移動窓をシフトさせながら窓内で観測されたイベントの数を示す。図10は、パルスタイミングが故意にずらされたパルス4連体を検出するための例に関する。故に、合成されたストリームに一致するイベントはない。しかし、所定のスパンの窓を時間的にシフトさせると、ある窓位置において3つのイベントのクラスタが窓内で観測される。これにより、4連体の検出が宣言され、窓の対応する中央位置から平均PRIが決定される。
【0087】
図10bは、イベントカウントピークをイベントクラスタの真の位置に対して窓スパンの半分だけシフトさせた状態を示す。これは、図がイベント数を窓の前縁の関数として示すためである。単一の窓を用いる代わりに、2つの逆方向に伝播する窓(1つはPRIminから開始し、1つはPRImaxから開始する)を用いることも可能である。
【0088】
また、図9を参照して説明した手法も、1つ以上の移動窓を用いるように対応する方法で変形することができる。
【0089】
上記の実施形態において、パルスのグループは、選定された候補のパルスの到着時刻に対するそれらの到着時刻により選択される。状況によっては、観測されたパルスの到着時刻の代わりに、ある候補となる瞬間を参照点として選択することが望ましいかもしれない。換言すれば、候補のパルスとして、実際の(観測された)パルスの代わりに、仮想の(観測不能な)パルスを用いることが可能である。これは、例えば、ずらされたパルスを有する短いパルスバーストの解析において有益であり得る。候補となる瞬間は、例えば、観測されたパルスの到着時刻(例えば、2つの到着時刻の間の中間点)によって選択してもよく、好ましくは、グループを形成する候補として考えられるパルスの到着時刻の範囲の中央であるか、またはその付近である。代替として、各々が直前の候補となる瞬間から所定の時間インターバルだけ隔てられた異なる候補である瞬間を、繰り返し選択するための反復的処理であってもよい。観測パルスの到着時刻の代わりに候補となる瞬間を用いる以外は、先に説明した実施形態に関して上で述べたものとまったく同じ動作であってもよい。
【0090】
以上から、観測されたパルスの到着時刻と一致しない選択された候補となる瞬間を、候補のパルスの到着時刻の代わりに用いることで、(i)パルスをグループに類別し、および/または(ii)概算の繰り返しインターバルを決定し、次いで、それらを用いて平均グループパルス繰り返しインターバルを計算することが可能である、ということが理解されよう。
【0091】
本発明の好適な実施形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提示したものである。網羅的であることや、本発明を開示したとおりの形態に限定することを意図するものではない。上記の説明に鑑み、多くの改変、修正、および変更を行うことで、当業者が、考慮される特定の用途に適した様々な実施形態において本発明を利用することが可能になる、ということは明白である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルストレインを含む受信信号を解析する方法であって、前記パルスはそれぞれの到着時刻において発生し、
前記方法は:
(a)パルスのグループを形成するステップであって、前記グループ内のパルスが、所定の最小値および最大値により定義される範囲内で実質的に均一なパルス繰り返しインターバルを有するように、形成するステップと;
(b)平均グループパルス繰り返しインターバルを計算するステップであって:
(i)前記グループにおける複数のパルスの各々について、それぞれの概算の繰り返しインターバルを決定するステップと;
(ii)前記所定の最小値および最大値の間の前記範囲が、π以下の長さの弧により表されるように線形マッピング処理を行うことにより、各前記概算の繰り返しインターバルからベクトルを決定するステップと;
(iii)前記決定されたベクトルのベクトル和の角度を決定するステップと;
(iv)前記マッピング処理の逆を行うことで、前記ベクトル和の前記角度から前記平均グループパルス繰り返しインターバルを導出するステップと
により計算するステップと;を含む、方法。
【請求項2】
各概算の繰り返しインターバルは、そのパルスの到着時刻と共通の選択された瞬間との差から決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記グループのパルスを選択するステップを含み、
前記共通の選択された瞬間は、前記選択されたパルスの到着時刻であり、
それにより、各概算の繰り返しインターバルは、それぞれのパルスの到着時刻と前記選択されたパルスの到着時刻との差から決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記共通の選択された瞬間は、パルスの到着時刻と一致しない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記共通の選択された瞬間は、前記グループにおける前記パルスの到着時刻の前記範囲の中央であるか、またはその付近である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベクトル和の前記角度は、前記パルスのそれぞれの到着時刻と前記選択された瞬間との間のインターバルの増加に伴ってそのパルスの影響が増加する重み付け処理を用いて計算される、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記決定されたベクトルから、到着時刻間の差のばらつきを示すばらつき値を計算するステップを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記グループに分類された前記パルスを除外することにより、前記トレインから1組のパルスを導出するステップと、
その後、前記組におけるパルスを別のグループに割り当てるステップと
を含み、
前記除外ステップは、前記ばらつき値を条件として行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)は:
(I)候補となる瞬間を選択し、少なくとも、前記候補となる瞬間の前の第1の所定の時間範囲を計算し、前記候補となる瞬間の後の第2の所定の時間範囲を計算するステップと;
(II)到着時刻が前記所定の時間範囲内であるパルスについてカウント値を導出するステップであって、
前記カウント値は、それぞれの時間インターバルに各々関連付けられ、
前記カウント値は、それぞれのパルスの到着時刻と、候補となる瞬間との間の絶対差が、実質的に前記時間インターバルの整数倍に等しいようなパルスの数に各々依存する
カウント値を導出するステップと;
(III)前記カウント値の1つが所定の閾値を超える場合、前記1つのカウント値に関連するパルスを前記パルスグループに割り当てるステップと;を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記選択された瞬間は、前記候補となる瞬間である、請求項2に直接的または間接的に従属する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
パルストレインを含む受信信号を解析する方法であって、前記パルスはそれぞれの到着時刻において発生し、
前記方法は:
(I)候補となる瞬間を選択し、少なくとも、前記候補となる瞬間の前の第1の所定の時間範囲を計算し、前記候補となる瞬間の後の第2の所定の時間範囲を計算するステップと;
(II)到着時刻が前記所定の時間範囲内であるパルスについてカウント値を導出するステップであって、
前記カウント値は、それぞれの時間インターバルに各々関連付けられ、
前記カウント値は、それぞれのパルスの到着時刻と、候補となる瞬間との間の絶対差が、実質的に前記時間インターバルの整数倍に等しいようなパルスの数に各々依存する
カウント値を導出するステップと;
(III)前記カウント値の1つが所定の閾値を超える場合、前記1つのカウント値に関連付けられたパルスをパルスグループに割り当てるステップと;を含む方法。
【請求項12】
前記グループに含まれる候補のパルスを選択するステップを含み、前記候補となる瞬間は、前記選択された候補のパルスの到着時刻である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記候補となる瞬間は、パルスの到着時刻と一致しない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、第1および第2の振幅閾値を前記受信信号に適用するステップを含み、
パルスを第1のパルスの種類と第2のパルスの種類とに分類するために、前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも大きくなっており、
前記第2の種類のパルスは、前記第1の種類のパルスよりも大きい振幅を有し、
前記候補のパルスは、前記第2のタイプのパルスの組から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記グループに分類された前記パルスを検討対象から除外した後にステップ(I)〜(III)を繰り返すことにより、残りのパルスのいくつかを別のグループに割り当てるステップを含む、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1および第2の範囲は、
前記候補となる瞬間から第1の有限所定量だけ異なるそれぞれの最小範囲値から、
前記候補となる瞬間から第2の有限所定量だけ異なるそれぞれの最大範囲値まで
及ぶ、請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記候補となる瞬間から前記第1の有限所定量の2倍だけ異なるそれぞれの最小範囲値から、
前記候補となる瞬間から前記第2の有限所定量の2倍だけ異なるそれぞれの最大範囲値まで
及ぶ、第3および第4の範囲を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(I)〜(III)は、第1および第2の所定の時間範囲を前記候補となる瞬間から漸進させながら連続的に繰り返される、請求項9〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
各カウント値は、パルスについての前記絶対差が前記時間インターバルを含む所定の範囲を定義する窓内に存在する値の整数倍に等しい、そのようなパルスの数を表し、
前記方法は、前記窓をシフトして他の時間インターバルについてのカウント値を得るステップを含む、請求項9〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
同じグループに分類されたパルスがバーストにおいて発生することを判定するステップを含み、
前記方法は、前記バーストの持続時間およびそれらの間のインターバルを示す情報を導出するステップを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
分類されたパルスが出現しないことが予想されるインターバルを計算し、そのインターバルを表す信号を生成するステップを含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法に従って動作するように編成された装置。
【請求項23】
請求項21に記載の方法に従って動作するように編成された請求項22に記載の装置を含む送信システムであって、
電磁信号を送信するための送信手段と、
前記周期を表す信号に応答して前記送信手段の動作を可能にするための制御手段と
をさらに含む、送信システム。
【請求項1】
パルストレインを含む受信信号を解析する方法であって、前記パルスはそれぞれの到着時刻において発生し、
前記方法は:
(a)パルスのグループを形成するステップであって、前記グループ内のパルスが、所定の最小値および最大値により定義される範囲内で実質的に均一なパルス繰り返しインターバルを有するように、形成するステップと;
(b)平均グループパルス繰り返しインターバルを計算するステップであって:
(i)前記グループにおける複数のパルスの各々について、それぞれの概算の繰り返しインターバルを決定するステップと;
(ii)前記所定の最小値および最大値の間の前記範囲が、π以下の長さの弧により表されるように線形マッピング処理を行うことにより、各前記概算の繰り返しインターバルからベクトルを決定するステップと;
(iii)前記決定されたベクトルのベクトル和の角度を決定するステップと;
(iv)前記マッピング処理の逆を行うことで、前記ベクトル和の前記角度から前記平均グループパルス繰り返しインターバルを導出するステップと
により計算するステップと;を含む、方法。
【請求項2】
各概算の繰り返しインターバルは、そのパルスの到着時刻と共通の選択された瞬間との差から決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記グループのパルスを選択するステップを含み、
前記共通の選択された瞬間は、前記選択されたパルスの到着時刻であり、
それにより、各概算の繰り返しインターバルは、それぞれのパルスの到着時刻と前記選択されたパルスの到着時刻との差から決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記共通の選択された瞬間は、パルスの到着時刻と一致しない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記共通の選択された瞬間は、前記グループにおける前記パルスの到着時刻の前記範囲の中央であるか、またはその付近である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベクトル和の前記角度は、前記パルスのそれぞれの到着時刻と前記選択された瞬間との間のインターバルの増加に伴ってそのパルスの影響が増加する重み付け処理を用いて計算される、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記決定されたベクトルから、到着時刻間の差のばらつきを示すばらつき値を計算するステップを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記グループに分類された前記パルスを除外することにより、前記トレインから1組のパルスを導出するステップと、
その後、前記組におけるパルスを別のグループに割り当てるステップと
を含み、
前記除外ステップは、前記ばらつき値を条件として行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)は:
(I)候補となる瞬間を選択し、少なくとも、前記候補となる瞬間の前の第1の所定の時間範囲を計算し、前記候補となる瞬間の後の第2の所定の時間範囲を計算するステップと;
(II)到着時刻が前記所定の時間範囲内であるパルスについてカウント値を導出するステップであって、
前記カウント値は、それぞれの時間インターバルに各々関連付けられ、
前記カウント値は、それぞれのパルスの到着時刻と、候補となる瞬間との間の絶対差が、実質的に前記時間インターバルの整数倍に等しいようなパルスの数に各々依存する
カウント値を導出するステップと;
(III)前記カウント値の1つが所定の閾値を超える場合、前記1つのカウント値に関連するパルスを前記パルスグループに割り当てるステップと;を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記選択された瞬間は、前記候補となる瞬間である、請求項2に直接的または間接的に従属する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
パルストレインを含む受信信号を解析する方法であって、前記パルスはそれぞれの到着時刻において発生し、
前記方法は:
(I)候補となる瞬間を選択し、少なくとも、前記候補となる瞬間の前の第1の所定の時間範囲を計算し、前記候補となる瞬間の後の第2の所定の時間範囲を計算するステップと;
(II)到着時刻が前記所定の時間範囲内であるパルスについてカウント値を導出するステップであって、
前記カウント値は、それぞれの時間インターバルに各々関連付けられ、
前記カウント値は、それぞれのパルスの到着時刻と、候補となる瞬間との間の絶対差が、実質的に前記時間インターバルの整数倍に等しいようなパルスの数に各々依存する
カウント値を導出するステップと;
(III)前記カウント値の1つが所定の閾値を超える場合、前記1つのカウント値に関連付けられたパルスをパルスグループに割り当てるステップと;を含む方法。
【請求項12】
前記グループに含まれる候補のパルスを選択するステップを含み、前記候補となる瞬間は、前記選択された候補のパルスの到着時刻である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記候補となる瞬間は、パルスの到着時刻と一致しない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、第1および第2の振幅閾値を前記受信信号に適用するステップを含み、
パルスを第1のパルスの種類と第2のパルスの種類とに分類するために、前記第2の閾値は前記第1の閾値よりも大きくなっており、
前記第2の種類のパルスは、前記第1の種類のパルスよりも大きい振幅を有し、
前記候補のパルスは、前記第2のタイプのパルスの組から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記グループに分類された前記パルスを検討対象から除外した後にステップ(I)〜(III)を繰り返すことにより、残りのパルスのいくつかを別のグループに割り当てるステップを含む、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1および第2の範囲は、
前記候補となる瞬間から第1の有限所定量だけ異なるそれぞれの最小範囲値から、
前記候補となる瞬間から第2の有限所定量だけ異なるそれぞれの最大範囲値まで
及ぶ、請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記候補となる瞬間から前記第1の有限所定量の2倍だけ異なるそれぞれの最小範囲値から、
前記候補となる瞬間から前記第2の有限所定量の2倍だけ異なるそれぞれの最大範囲値まで
及ぶ、第3および第4の範囲を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(I)〜(III)は、第1および第2の所定の時間範囲を前記候補となる瞬間から漸進させながら連続的に繰り返される、請求項9〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
各カウント値は、パルスについての前記絶対差が前記時間インターバルを含む所定の範囲を定義する窓内に存在する値の整数倍に等しい、そのようなパルスの数を表し、
前記方法は、前記窓をシフトして他の時間インターバルについてのカウント値を得るステップを含む、請求項9〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
同じグループに分類されたパルスがバーストにおいて発生することを判定するステップを含み、
前記方法は、前記バーストの持続時間およびそれらの間のインターバルを示す情報を導出するステップを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
分類されたパルスが出現しないことが予想されるインターバルを計算し、そのインターバルを表す信号を生成するステップを含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法に従って動作するように編成された装置。
【請求項23】
請求項21に記載の方法に従って動作するように編成された請求項22に記載の装置を含む送信システムであって、
電磁信号を送信するための送信手段と、
前記周期を表す信号に応答して前記送信手段の動作を可能にするための制御手段と
をさらに含む、送信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−525315(P2010−525315A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503591(P2010−503591)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001374
【国際公開番号】WO2008/129271
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(501253316)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (77)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】20 Frederick Sanger Road, The Surrey Research Park, Guildford, Surrey GU2 5YD, Great Britain
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001374
【国際公開番号】WO2008/129271
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(501253316)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (77)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】20 Frederick Sanger Road, The Surrey Research Park, Guildford, Surrey GU2 5YD, Great Britain
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]