説明

パルプおよび製紙加工における微生物の増殖抑制

水性スラリーを伴うパルプや紙加工ラインのような水システムにおける抗微生物効果を有する組成物。その組成物は、塩素源、尿素、および10以上のpH、典型的にはpH11をもたらすに十分な濃度のアルカリを具える遊離塩素発生殺生剤である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
次亜塩素酸ナトリウムのような酸化剤が、通常は、紙製造システムにおける微生物増殖を抑制するために用いられている。紙パルプ、それは湿潤したセルロースとその他の材料を大量に含み、細菌、かび、および多くの微生物の増殖にとって豊富な好機を提供しており、このため遊離塩素を発生する殺生物剤(biocide)がその処理システムに、望ましくは添加されている。
【0002】
塩素のような酸化剤は、十分な微生物抑制をもたらす、一方で、それらは、蛍光増白剤、染料およびパルプに添加する同様なものに対して悪影響をもっている。また、パルプ中に放出される塩素は、加工機械装置に近接する金属構成材の腐食を引き起こす。この悪影響は、ハロゲン安定化剤の使用により減少させることができる。特許文献1において、Sweenyらは、種々の有機ハロゲン安定化剤を開示しているが、その加工プロセスの効果は過度に低く、安定化された塩素の種類の収率が過度に低いものであった。
【特許文献1】米国特許第5,565,109号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明により、次亜塩素酸ナトリウムまたはカルシウムのような遊離ハロゲン源の安定化剤として、尿素およびその誘導体に関する改良が提供されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
処理システムへ安定化したハロゲン(特に、塩素)を提供するために、10以上のpHでの反応収率は、有意に改善されることがわかった。次亜塩素酸ナトリウムのような遊離塩素発生殺生物剤に対して働く尿素の安定化作用のために、染料や蛍光増白剤のような前記紙加工やパルプのウエットエンドへの他の添加剤に対する塩素の好ましくない影響を最少に、または影響を排除しつつ、微生物抑制の改良が提供され得ることを見いだした。また、少い量の塩素発生剤の添加が望まれるが、安定化した剤形(form)とその結果もたらされるより穏やかな塩素の放出のため、プランクトン様微生物や固着性の細菌のような微生物の減少の向上をもつ、より大きな抗微生物効果をもたらしている。加工装置の金属部品に対して腐食効果は本発明の遊離塩素発生材料に対して提供された安定化により減少する。
【0005】
本発明により、パルプや紙加工のような工業用水システムのための、抗微生物効果をもつ組成物を提供する。その組成物は、塩素源;尿素および10以上のpHをもたらすに十分な濃度のアルカリを含んでいる。典型的には、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含むが、他のアルカリ性材料も用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
尿素は、一般には、式CHOである。
【0007】
典型的には、本組成物中に存在する尿素の量は、塩素(Clとして)の尿素に対するモル比が、2:1〜1:2の範囲にするのに十分であり、また、ある態様では1.5:1〜1:1.5の範囲に、また、典型的には、実質的に2つの材料が等モル量を、にするのに十分である。
【0008】
上述の構成成分は、溶液または水中での分散液を含み、紙パルプのような処理システムに適用することができ、例えば、塩素源を含む遊離塩素発生殺生物剤の1〜100ppm、尿素の0.2〜60ppm、アルカリの1〜100ppmの濃度であり、特に、前記水酸化アルカリは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等である。
【0009】
ある態様では、上述した3成分を含む抗微生物性組成物は、少なくとも、約11または12のpHである。
【0010】
尿素は、市販により購入利用できる濃度または剤形であれば、いかなるものでもよい。使用するアルカリは、有効性に加えて価格という理由から、代表的には水酸化ナトリウムである。
【0011】
さらに、本発明においては、紙パルプ製造システムのような紙加工水システムにおける殺生物剤使用のための塩素を安定化する方法を提供する。その加工プロセスは、次のステップを含む:
前記加工水システムの流れのある時点に遊離塩素源(次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウム等)を混合しながら添加し;加工水プロセスの流れのある時点に尿素またはその誘導体を混合しながら添加し;そして、加工水システムの流れのある時点でアルカリを混合しながら添加し、これにより塩素源と尿素とアルカリの混合を引き起こすが、ここで、添加されるアルカリの量は、少なくとも、尿素と遊離塩素源との混合している領域内でpH10以上を達成するのに十分な量である。
【0012】
このように遊離塩素源は安定化されている、しかし、塩素が抑制された状態で放出される態様では、上述したような利益を達成し得る:すなわち、少量の遊離塩素源である必要性、蛍光増白剤や染料のような紙加工プロセスへの添加剤のより良い機能性、前記紙加工プロセスラインの金属構成材の蒸気相による少ない腐食効果等である。
【0013】
前記塩素源、前記尿素、および前記アルカリが、前記紙加工システムの流れにおけるある時点で全て添加することができ、それらは、同時または間隔をおいて、しかし、典型的にはお互いに隣接して、または全てが予め混合されて、添加されることができる。もし、望む場合は、前記塩素源と前記アルカリは予め混合して、前記紙加工システムの流れに一緒に添加されることができ、前記尿素は別に同一の位置または隣接する位置のいずれかでこの紙加工システムの流れに添加することができる。
【0014】
別の態様では、前記塩素源、前記尿素、および前記アルカリは、全て別々に前記紙加工システムの流れに添加することができ、典型的には、その流れに同時にまたは接近した間隔をもつ時点で添加され得る。
【0015】
また、用いることのできる他の態様は、1つの溶液で前記塩素源を添加し、別の溶液で前記尿素と前記アルカリを添加することを含んでいる。
【0016】
別の態様は、1対の溶液を添加するものである:すなわち、前記塩素源にある量の前記アルカリをプラスしたものを含む1つの溶液、および、前記尿素と残りの前記アルカリを含む他の溶液である。
【0017】
前記塩素源、前記尿素、および前記アルカリは、前記処理システムに添加する前に予め混合することができる。その結果得られた安定化した生成物は、相当の期間貯蔵することができ、次いで、所望のときに前記処理システムに添加できる。
【0018】
遊離塩素発生殺生物剤は、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌレート、トリクロロイソシアヌレート、ジクロロヒダントイン、および/または、塩素分子(Cl)、のような適切な材料であればいかなるものも含むことができる。
【0019】
前記塩素源は、市販により購入できる、塩素(Clに基づき)として、おおよそ5〜15重量%を有する次亜塩素酸ナトリウムの水溶液であり、それに、好ましくは尿素と反応後に少なくともpH11、また、ある態様においては少なくともpH12をもたらすのに十分量の水酸化ナトリウムをプラスされるものを含むことができる。
【0020】
前記尿素は、その溶液を使用する温度でその溶液中の尿素の溶解限度である約20%以内の濃度の尿素の水溶液を含むことができる。
【0021】
すでに述べたように、前記塩素源と前記尿素は、典型的には、塩素をClとして計算した場合に、2:1〜1:2のモル比で存在し、典型的には2成分が実質的に当モルの関係で存在する。
【0022】
ある態様では、30重量パーセントの前記尿素溶液が、2重量パーセントの水酸化ナトリウム溶液を含む12.5重量パーセントの次亜塩素酸ナトリウム溶液に、Clの、尿素(窒素としての比)の窒素に対するモル比が、1:2であるように混合され得る。これは、尿素溶液に対する等モル塩素に相当する。その得られた安定化された塩素溶液は、前記加工ラインに単独で、または、混合した溶液として添加されることができる。
【0023】
上述したように、各成分のこの混合物は、前記処理システムに添加することができ、そのシステム中で混合され、前述したような添加物の分解を減少または分解させることなく、有意な抗菌効果、および、他の利点を提供することができる。
【0024】
本発明の別の態様では、紙は、紙加工システムへ本発明の組成物の添加を含む紙加工システムから生産される。
【0025】
本発明の別の態様では、本発明の組成物は、1またはそれ以上の蛍光増白剤と併用して用いることができる。さらに、別の態様では、前記蛍光増白剤は、本発明の組成物の添加前または添加後において添加される。
【0026】
以下の実施例は、例証目的にのみ設けたものであり、本出願の請求項に記載された本発明を定義しようとするものではない。
【0027】
実施例1
本発明者等は、5.0mlのNaOCl(水中で3%Clとして)を5.0mlの尿素と水酸化ナトリウムの水溶液(5%NaOH中に0.5M尿素)に混合した。これにより、表1に示すように尿素に対する塩素のモル比1:1が得られた。塩素の尿素に対する2:1のモル比を達成するために、本発明者等は、5.0mlのNaOCl(水中で3%Clとして)を5mlの尿素を水酸化ナトリウムの水溶液(5%NaOH中に0.25M尿素)に混合した。残存ハロゲンはDPD試薬を用いて測定し、そして、その試薬と混合して3分後に記録した。結果は表1に概略している。
表 1

【0028】
尿素の存在下では、副反応が、全体として「総ハロゲン」を減少させるが、しかし、pHが上昇するにつれて収率は上昇する。また、残存している活性クロロウレアは、より有効な抗微生物剤であり、ハロゲンは、紙加工のような多量の有機汚染の存在下ではより長期で安定な抗微生物効果を有する。これは、総ハロゲン量(遊離と結合型)の収率と遊離ハロゲンの収率を改善するものである。
【0029】
実施例1は、塩素と尿素の間の安定化反応におけるアルカリ添加の利点を示しているが、ここで、収率は、対照のNaOClに対する総ハロゲンの相対的な量である。高収率のため、このような試験条件下では、所望の抗微生物効果を達成するためにはハロゲン量が少ないことが必要である。さらなる実施例は、少ない量のハロゲンを用いる利点には、低価格であること、染料に対する攻撃が少ないこと、および加工装置の腐食が少ないことを含むことを示している。収率の増加および改良された抗微生物活性についての利点が実施例2に示されている。
【0030】
実施例2
塩素と尿素の間の安定化混合物のpHを上昇させるための水酸化ナトリウムの添加は、得られる溶液の抗微生物効果を劇的に上昇させるを示した。2つの異なるハロゲン溶液がつくられた。本発明者らは、5.0mlのNaOCl(水中Clとして3%)を5.0mlの尿素(0.25M)水溶液に混合した。これにより、表2に示すように、pH5.6で塩素の尿素に対するモル比2:1が得られた。次に、5.0mlのNaOCl(水中Clとして3%)を、5.0mlの尿素(0.25M)と水酸化ナトリウム水溶液(5%NaOH中に0.25M尿素)に混合した。これにより、表2に示すように、pH13.3で塩素の尿素に対するモル比2:1が得られた。紙加工水は、米国ミッドウエスタンにある上質のコート紙の製造工場から集めた(pH5.9)。ハロゲン溶液は総塩素量で2.5ppmの量を紙加工水に添加した。紙加工水サンプル中の殺菌剤の濃度を、加工水サンプルに対する自然細菌に対する各ハロゲン溶液の効果を測定するため、0.5、4,および24時間後に測定した。その結果は、表2に概略している。
【0031】
NaOClを尿素に混合させるときに、pHを上昇させるための水酸化ナトリウムの添加は、塩素を安定化することにより、収量を有意に増加させた(得られた溶液の総塩素量として測定)。高いpHでの増加したこの収量は、紙加工水への総塩素量が2.5ppmを適用するには、少ないハロゲン量の溶液が必要であるが、アルカリを添加していない溶液ではより多いClを必要としている、これは塩素はより高いpHで安定であるからである。例えば、低いpHでは、431ppmの塩素溶液が、2.5ppmの塩素適用量のためには必要であるが、一方、高いpHでは、ほんの245ppmの塩素溶液が、2.5ppmの塩素適用量のために必要とするにすぎなかった(表2)。
【0032】
総塩素量の多いことに加えて、NaOClと尿素を含む高いpHの溶液は、低いpHでのNaOClと尿素の溶液に比べて、より有効な殺菌効果であった。この試験で、4時間の時点では、同量の塩素処理における細菌量の減少は、NaOClと尿素溶液の高いpHでの使用では、低いpHに比べて10000万倍以上大きかった。この試験で、24時間の時点では、同量の塩素処理における細菌量の減少は、高いpHのNaOClと尿素溶液を使用すると、低いpH溶液に比べて1000倍以上大きかった。
【0033】
高い収量と殺菌効果の大きな改善の示した組合わせは、尿素とNaOClの反応へ水酸化ナトリウムのようなアルカリ源の添加を塩素安定化プロセスに大変好ましい改良をもたらした。
表 2

【0034】
実施例3
次亜塩素酸ナトリウムへの尿素の添加は、驚くべきことに、紙製造機械に解決しがたい堆積物の原因であることで知られている糸状菌の抑制を増強させる。2つの殺菌溶液を試験した、それらは、NaOClを含むもの、および、NaOClと尿素を1:1のモル比で含むものであった。安定化していないNaOCl溶液は、水中にClとして3%であった。安定化した塩素溶液を調製するために、5.0mlのNaOCl(Clとして3%)を、5mlの尿素と水酸化ナトリウム(5%NaOH中に0.5M尿素)水溶液に混合した。これにより、表3に示すように塩素の尿素に対するモル比1:1を得た。安定化した塩素の場合においては、前記NaOClと尿素は、約1x10の試験分離株の糸状菌を接種した緩衝液(pH7.2)に添加する前に、予め混合した。この評価試験で用いた試験分離株は、スパエロチルス ナタンス(Spaerotilus natans)(ATCC1529)であった。平均殺生物濃度は、試験分離糸状菌の100%殺菌に要する総塩素(Cl)を試験塩素濃度(ppm)として認定した。結果は表3に概略している。
表 3

尿素は、糸状菌に対するNaOClの殺菌活性を有意に増強した。NaOCl単独使用のときに5ppmのハロゲンに比較紙得る糸状菌の抑制を、十分な接触時間をもって尿素が存在するときは、1ppmのハロゲンがもたらした。
【0035】
実施例4
この実施例は、NaOClの殺菌効果が、紙加工水サンプル中に添加される前に尿素と混合したときに、増強されることを示している。安定化していない漂白液は、水中のClとして3%であった。安定化した塩素溶液を調製するために、5.0mlのNaOCl(水中でClとして3%)を、尿素と水酸化ナトリウムの5.0ml水溶液(5%NaOH中で0.5M尿素)に混合した。これにより、表3に示すように、塩素の尿素に対するモル比1:1を得た。次いで、5.0mlのNaOCl(水中でClとして3%)液を、尿素と水酸化ナトリウムの5.0ml水溶液(5%NaOH中で0.25M尿素)に混合した。これにより、塩素の尿素に対するのモル比2:1が得られた。
【0036】
紙加工水は、米国ノザンウエスタンにある印刷および筆記用砕木ざら紙を製造している工場から集めた(pH7.9)。サンプルはハロゲンで処理し、1および4時間後にプレートに播いた。4時間後のサンプリングにつづいて、加工水は、未処理加工水の1%(容積/容積)で処理し、サンプルは、再度24時間後にプレートに播いた。その結果は表4に概略している。
表 4

【0037】
尿素は、NaOClに対する1:1のモル比で、この試験では加工水サンプル中の天然の細菌に対し、多量の塩素を要求する提供されたサンプルにおいても、NaOClの殺菌活性を有意に増強した。NaOClと尿素の1:1のモル比での混合は、NaOCl単独、および、NaOClと尿素の2:1のモル比での混合に比べて、未処理加工水での接種に続く抗微生物効果の持続性を改善した。
【0038】
実施例5
有効な殺菌濃度で、尿素は、NaOClの蛍光増白剤との適合性を、NaOCl単独に比較して改善した。8.4mlのNaOCl(水中でCl6.3%として)を1.5mlの尿素と水酸化ナトリウムの水溶液(20%NaOH中2.5M尿素)に混合した。これにより、表5に示すように、塩素の尿素に対するモル比2:1の液を得た。次に、7.3mlのNaOCl(水中でCl6.3%として)を2.7mlの尿素と水酸化ナトリウムの水溶液(20%NaOH中2.5M尿素)に混合した。これにより、表5に示すように、塩素の尿素に対するモル比1:1の液を得た。
【0039】
蛍光染料Leucophor APの吸光度(350nm)を緩衝液中で、ハロゲンとの接触の有無において60分後に測定した。結果の概略を表5に示す。
表 5

【0040】
蛍光増白剤との適合性の改善は、大変有用である。それは、仮に必要であれば、微生物の抑制を改善するためより高濃度のClの量を許容され、一方では、他の性能をもつ添加剤への本来の影響を減少させるという理由による。NaOClと尿素の1:1のモル比での混合は、その結果得られる安定化した塩素と適合性を、2:1モル比での混合に比べて、有意に改善した。
【0041】
実施例6
有効な抗微生物性の濃度では、上昇したpHでは塩素と混合したNaOClは、NaOCl単独に比べて、炭素鋼の気相腐食を減少させた。安定化させていない漂白剤溶液は、水中でClとして3%であった。安定化させた塩素溶液を調製するために、5.0mlのNaOCl(水中でCl3%として)を5.0mlの尿素と水酸化ナトリウムの水溶液(5%NaOH中0.5M尿素)に混合した。これにより、表6に示すように、塩素の尿素に対するモル比1:1の液を得た。次に、5.0mlのNaOCl(水中でCl3%として)を5.0mlの尿素と水酸化ナトリウムの水溶液(5%NaOH中0.25M尿素)に混合した。これにより、表6に示すように、塩素の尿素に対する2:1のモル比の液を得た。
表 6

【0042】
腐食率の減少は、大変有益である。これは、仮に、必要であれば、微生物の抑制を改善するために、高い濃度のCl濃度が許容され、一方では、処理システム中の、または、処理システムに近いところの金属構成材の腐食を減少させる。NaOClと尿素の1:1モル比の混合は、2:1モル比の混合に比べて、ハロゲン溶液の結果による気相腐食率を有意に低下させた。このことは、使用する設備を更に保護をしている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水システムでの抗微生物効果をもたらすための組成物であって、
塩素源を含む遊離塩素を発生する殺生物剤;
尿素;および、
10以上のpHをもたらすのに十分な濃度のアルカリ、
を具えることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記アルカリが、水酸化ナトリウム、または、水酸化カリウムを含むことを特徴とする請求項1の組成物。
【請求項3】
前記尿素が、固体または液体であることを特徴とする請求項1の組成物。
【請求項4】
その組成物中に存する尿素の量が、塩素の尿素に対するモル比2:1〜1:2(Clに基づき)の範囲をもたらすのに十分であることを特徴とする請求項1の組成物。
【請求項5】
塩素(Clとして計算された)と尿素の等モル量が前記組成物中に存することを特徴とする請求項1の組成物。
【請求項6】
pHが少なくとも約12であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記遊離塩素発生殺生物剤が、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌレ−ト、トリクロロイソシアヌレート、ジクロロヒダントイン、およびClからなる群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項8】
前記遊離塩素発生殺生物剤の量が、1〜100ppmであり、前記尿素の量が0.2〜60ppmであり、前記アルカリの量が1〜100ppmである請求項1の組成物を含む水処理システム。
【請求項9】
前記アルカリが、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである請求項8の組成物。
【請求項10】
前記組成物中に存する尿素量が、塩素の尿素に対する比として、基本的に、2:1〜1:2(Clベースで)のモル比の範囲をもたらすのに十分であることを特徴とする請求項8の組成物。
【請求項11】
塩素(Clとして計算)および尿素が前記組成物中で等モル量が存在することを特徴とする請求項10の組成物。
【請求項12】
前記遊離塩素発生殺生物剤が、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌレート、ジクロロヒダントイン、塩素分子Cl、およびその混合物からなる群から選択される請求項8の組成物。
【請求項13】
加工システム中の水処理殺生物剤として使用するための塩素を安定化する方法であって、その工程が:
その加工システムの流れのある時点で、遊離塩素源を添加して、混合し;
その加工システムの流れにおけるある時点で、尿素を添加して、混合し;そして、
その加工システムの流れにおけるある時点で、アルカリを添加して、混合し、その結果、アルカリが塩素源と尿素に混合をもたらし;
ここで、添加されるアルカリの量は、尿素またはその誘導体と混合する領域で10より大きいpHを達成するに十分な量である、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記塩素源、前記尿素および前記アルカリが相互に、同時または接近している前記加工システムの流れにおける時点で、それらのすべてが添加されることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項15】
前記塩素源と前記アルカリが予め混合され、前記加工システムの流れに添加され、また、前記尿素が、前記加工システムの流れに、別途に添加されることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項16】
前記塩素源、前記尿素、および前記アルカリが、すべて別々に前記加工システムの流れに添加されることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記塩素源が、約5〜15重量%の塩素(Clに基づく)量を有する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含み、前記尿素と混合する域において少なくともpH11をもたらすのに十分量の水酸化ナトリウムを加えたものであることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項18】
前記尿素は、その溶液が用いられる温度において、その溶液中の尿素の溶解限度である約20%以内の濃度の尿素水溶液を含むことを特徴とする請求項13の方法。
【請求項19】
使用する塩素源と尿素が、塩素をClとして計算した場合、モル比で2:1〜1:2で存在することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記塩素源が、Clとして表した場合、前記尿素の存在に対して基本的に等モルの塩素をもたらすために十分量の濃度で存在することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項21】
塩素源が、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌレート、トリクロロイソシアヌレート、ジクロロヒダントイン、および、Clからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記アルカリが、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記加工システムが、紙加工システムである請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記塩素源が、紙加工システムの流れに間欠的に添加され、前記尿素またはその誘導体および前記アルカリが、その加工システムの流れに間欠的に添加されることを特徴とする請求項23の方法。
【請求項25】
前記遊離塩素源が、前記紙加工システムの流れに、連続的に添加され、さらに、尿素またはその誘導体および前記水酸化アルカリが、連続的に添加されることを特徴とする請求項23の方法。
【請求項26】
前記遊離塩素源が、前記紙加工システムの流れに連続的に添加され、一方、前記尿素および前記アルカリが間欠的に添加されることを特徴とする請求項23の方法。
【請求項27】
前記加工システムが、紙加工システムであり、前記遊離塩素源が紙加工システムの流れにおいて間欠的に添加され、前記尿素またはその誘導体および前記アルカリが連続的に添加されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項28】
請求項1の前記組成物を紙加工システムに添加することを具える紙加工システムから生産される紙。
【請求項29】
前記紙加工システムから生産された紙における蛍光明度を改善する方法であって:前記紙加工システムに1以上の蛍光増白剤を添加し、前記紙加工システムに請求項1の組成物を添加することを特徴とする方法。
【請求項30】
前記紙加工システムから生産された紙における蛍光明度を改善する方法であって:前記紙加工システムに1以上の増白剤を添加し、前記紙加工システムに請求項1の組成物を添加し、
ここで、前記蛍光増白剤が、請求項1の組成物を添加する前または後に添加されることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2009−524673(P2009−524673A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552410(P2008−552410)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/002059
【国際公開番号】WO2007/089539
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】