説明

パンタグラフの損傷および摩耗を監視するシステム

パンタグラフの状態を評価するためのシステムが、パンタグラフの一または複数のイメージを、当該パンタグラフが設けられている機関車が正常なサービスに従事している間に取得する線路側のパンタグラフ監視ステーションと、監視サイトで取得された一または複数のイメージを解析し、パンタグラフの状態を判断するステーション管理システムと、システムを制御し、解析結果をユーザに提示するユーザインターフェイスとを備えている。ユーザが線路側の監視ステーションおよびステーション管理システムを遠隔の位置から制御するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の発明は機関車のパンタグラフに関するものである。具体的には、本発明は、自動的にパンタグラフの損傷および摩耗を監視するシステムに関するものである。しかしながら、本発明の技術範囲は必ずしもそれに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの電気列車ではパンタグラフを用いて架空線から列車に電気が伝えられる。現代の高速電気列車のパンタグラフは炭素集電装置を備えている。通常、これらの炭素集電装置は、炭素ブロック支持体と、架空線に接触する炭素ブロックとを有している。炭素ブロックは、とりわけ、架空線の摩耗を最小限に抑えるように機能する。炭素ブロックに関する主要な問題は、炭素ブロックが割れやすいということである。電気区分装置の配列の狂い、過剰なアーク放電および持続する摩擦のすべてが炭素ブロックに重要な損傷をもたらす可能性を有している。検出されずに修理がされなければ、このような損傷は、パンタグラフにディワイヤメント(dewirement)および/または損傷を通常もたらすため、列車を動作不能とする恐れがある。パンタグラフへの損傷を検出するために、鉄道オペレータが定期的に手動で検査を行なうのが一般的である。このプロセスには、検査される列車のサービス拠点への再配置、架空線の電気的絶縁および列車の上側へのアクセスが必要となる。このような検査工程に関連する労務費および動作不能時間が望ましくないのは明白なことである。パンタグラフの手動による測定を回避するために複数のシステムが開発されている。英国特許第GB1374972号明細書および英国特許出願公開第GB2107662号明細書には、パンタグラフ集電装置の空洞内にチューブを挿入するパンタグラフ損傷測定システムが開示されている。パンタグラフが十分な損傷を受けた場合、これらのチューブが破裂してシステムの圧力が降下する。この降下が検出され、システムが自動的にパンタグラフを下げさせることにより、パンタグラフおよび/または架空線へさらなる損傷が防止されるようになっている。欧州特許出願公開第EP−A−0269307号明細書、西独国実用新案出願公開第DE−U−8803377.5号明細書および欧州特許出願公開第EP−A−0525595号明細書には、パンタグラフ集電装置の摩耗面の近傍に光ファイバが埋め込まれているシステムが開示されている。これらのファイバ内では光学信号が送信されており、あるファイバに損傷が生じた場合、そのファイバの光学信号が消えることにより、パンタグラフの損傷および/または摩耗が指摘されるようになっている。Engineering Integrity、第19巻、2006年3月、p.12−17に記載の他のアプローチでは、パンタグラフの炭素集電装置の摩耗を自動的に検出するためのレーザ支援イメージ処理技術が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のシステムがパンタグラフの損傷および/または摩耗を監視するのに有効であるものの、これらのシステムは費用が高くつくという欠点がある。Engineering Integrity、第19巻、2006年3月、p.12−17に記載のシステムでは、機関車を指定の監視ステーションへ移動させなければならないので、正常なサービスから外されることになるというさらなる欠点を有している。さらに、このシステムは、機関車が監視ステーションにおいて毎時12キロメートル(kph)未満で走行している場合にしか測定の正確さを保証することができない。
【0004】
本発明の目的は、パンタグラフを備えた機関車が正常なサービスに従事している間にパンタグラフの状態を自動的に監視するコスト効率の良いシステムを提供することにある。本発明は、上述の1以上の欠点または問題を克服するもしくは改善するまたは少なくとも消費者に有用な選択肢を提供することをさらに目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の実施形態によれば、パンタグラフの状態を評価するためのシステムであって、パンタグラフの少なくとも1つのイメージを、当該パンタグラフを有した機関車が正常なサービスに従事している際に取り込む線路側パンタグラフ監視ステーションと、監視ステーションで取り込まれた少なくとも1つのイメージを解析し、パンタグラフの状態を判断するステーション管理システムと、ユーザインターフェイスとを備えているシステムが提供されている。
【0006】
本発明の第二の実施形態によれば、パンタグラフの状態を判断するための方法であって、監視ステーションにおいて機関車の有無を検出するステップと、監視ステーションにおいてパンタグラフの有無を検出するステップと、監視ステーションにおいて機関車およびパンタグラフを同時に検出したとき、イメージキャプチャデバイスを駆動させることにより、パンタグラフのイメージを取り込むステップと、パンタグラフのイメージを解析してパンタグラフが損傷しているか否かおよび/または構成部品である炭素集電装置が摩耗しているか否かを判断するステップと、解析の結果をエンドユーザに報告するステップとを有している方法が開示されている。
【0007】
上述の第一の実施形態によれば、監視ステーションはデータ転送手段と、機関車が監視サイト内に入るときに当該機関車を検出するための少なくとも1つの線路側に取り付けられたセンサ(「機関車センサ」)と、監視サイトにおいてパンタグラフの位置を検出するための少なくとも1つの線路側に取り付けられたセンサ(「パンタグラフセンサ」)と、監視サイトでパンタグラフの少なくとも1つのイメージを取り込む少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスと、これらのセンサから入力を受信し、監視サイトにおいてパンタグラフの少なくとも1つのイメージを取り込むように少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスに命じるセンサインターフェイスとを有している。
【0008】
データ転送手段は、センサ、センサインターフェイス、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスおよびステーション管理システムの間の通信を促進する。データ転送手段は、同軸ケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブル、無線接続または必要なタスクを実行できる他のいかなる手段であってもよい。
【0009】
イメージキャプチャデバイスには高解像度ビデオカメラが好適である。しかしながら、必要なタスクを行なうことができる他の画像化装置を利用することもできる。好ましい実施形態では、監視ステーションは2つの高解像度ビデオカメラを有しており、第一のカメラは、少なくとも1つの炭素集電装置を有しているパンタグラフのプロフィールのイメージを取り込むように配置されており、第二のカメラは、少なくとも1つのパンタグラフホーンを有しているパンタグラフのイメージを取り込むように配置されている。好ましくは、第一カメラは、監視サイトにおいてパンタグラフに対して下方かつある傾斜角度で(「側面位置」に)配置されている。好ましくは、第二のカメラは、監視サイトにおいてパンタグラフの上方に(「上方位置」に)配置されている。通常、第一のイメージキャプチャデバイスはバックスクリーンをさらに有している。バックスクリーンは白色であることが好ましい。いうまでもなく、第一のカメラが駆動されると、取り込まれるイメージがバックスクリーンを背景にしたパンタグラフのプロフィールであるように、バックスクリーンがイメージキャプチャデバイスの焦点よりも後側にかつデバイスの視野内に取り付けられる。また、バックスクリーンが照らされるようになっていることが好ましい。いうまでもなく、日中では、自然採光で通常十分であるが、夜間作業では、バックスクリーンを照らすための照明の利用が必要となる。
【0010】
センサは、いかなる適切なセンサであってもよく、光学センサであってもよいし、超音波センサであってもよいし、または、マイクロ波センサであってもよいが、赤外線センサであることが好ましい。好ましい実施形態では、監視ステーションは、監視サイトにおいてパンタグラフの位置を検出するための2つのセンサを有しており、第一のセンサ(「上方位置センサ」)が、パンタグラフが上方位置イメージキャプチャデバイスの視野内にあるポイントを識別するように位置決めされており、第二のセンサ(「側面位置センサ」)が、パンタグラフが側面位置イメージキャプチャデバイスの視野内にあるポイントを識別するように位置決めされている。好ましくは、センサは、パンタグラフがセンサによって検出されるとイメージキャプチャデバイスが駆動されるよう、イメージキャプチャデバイスと通信するようになっている。当業者にとって明らかなように、パンタグラフ監視システムをセンサなしで具象化されてもよい。いうまでもなく、このような実施形態では、イメージの取り込みおよび解析が監視サイトに機関車が存在してもしなくとも実行されるので、プロセッサの時間が非効率的に用いられることになる。
【0011】
好ましくは、監視ステーションは、監視サイトにおいて機関車識別詳細を取り込むために少なくとも1つの線路側に取り付けられたセンサ(「機関車識別センサ」)をさらに有する。通常、機関車識別センサは自動車両識別(AVI)タグデコーダである。AVIタグデコーダは、監視サイトで機関車の車両識別番号に関する情報を取得する。AVIタグデコーダから、無関係なタグ情報をフィルタリングするために後に用いられうる機関車のタイプの如き他の情報も取得することができる。いうまでもなく、デコードされた車両識別番号を用いてリレーショナルデータベースを検索することにより、監視サイトにおいて機関車に関するさらなる情報が取得されてもよい。
【0012】
好ましくは、センサインターフェイスは回路の形態を有しており、当該回路は、機関車が監視サイトにあることを示す第一の線路側センサ(「機関車センサ」)からの入力を受信するステップと、パンタグラフが監視サイトにあることを示す第二の線路側センサ(「パンタグラフセンサ」)からの入力を受信するステップと、これらの線路側センサから受信されたこれらの入力のバウンス(ノイズ)を除去し、成形するステップと、機関車センサの入力およびパンタグラフセンサからの入力が同時に受信されるとき、パンタグラフのイメージを取得する命令をイメージキャプチャデバイスに与えるステップとを実行する。
【0013】
好ましくは、センサインターフェイスである回路が、機関車センサからの入力およびパンタグラフセンサからの入力を同時に受信したとき、監視サイトにおいて機関車の詳細を取得する命令を少なくとも1つの機関車識別センサに与えるステップをさらに有している。
【0014】
上述のステップは、パンタグラフセンサから出てくる単一入力を受信するとセンサインターフェイスである回路により実行されるプロセスの説明である。いうまでもなく、上述のステップは、1以上のパンタグラフセンサから出てくる1以上のセンサ入力に対して繰り返えされてもよい。いうまでもなく、イメージキャプチャデバイスへ命令を伝える前にセンサインターフェイスにより機関車センサからの入力およびパンタグラフセンサからの入力を同時に受信することは、パンタグラフセンサにより検出されうる鳥および昆虫の如き対象物からの誤ったトリガーを回避するために必要なことである。
【0015】
好ましくは、ステーション管理システムは、コンピュータと、コンピュータ上で実行されるプログラムとを備えており、このプログラムは、データ入力手段からユーザ入力を受信するタスクと、センサインターフェイスから少なくとも1つの命令を受信し、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスに監視サイトにおいてパンタグラフの少なくとも1つのイメージを取り込ませるタスクと、AVIタグリーダから機関車の詳細を受信し、これらの詳細を監視サイトにおけるパンタグラフの少なくとも1つのイメージに割り当てるタスクと、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスにより取り込まれた少なくとも1つのイメージを、損傷および/または摩耗の兆候の有無を調べるために解析するタスクと、解析の結果を出力手段に提供するタスクとのうちの一または複数を実行する。
【0016】
好ましくは、このプログラムは、バックスクリーンの照明を制御するタスクと、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスの露出および利得を校正するタスクと、パンタグラフのイメージの解析を調整する入力をユーザから受信するタスクと、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスの露出時間およびビデオ利得を自動的に調節するタスクとのうちの少なくとも1つをさらに実行する。
【0017】
このプログラムが多重スレッドプログラムであってもいい。
【0018】
いうまでもなく、機関車が監視サイトで検出され、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスがパンタグラフの適切なイメージを取り込むに十分な光がないとことを検出したとき、プログラムは自動的にバックスクリーンの照明を始動させるようになっている。あるいは、バックスクリーンが永続的に照らされるようになっていてもよい。好ましくは、バックスクリーンは均一に照らされる。当業者にとって明らかなように、取り込まれたイメージ間で整合性を担保することが必要である。露光時間が過剰に長いと、高速に走行する列車にモーションブラーが生じる恐れがあり、利得値が高いと、イメージのノイズが過剰になる恐れがある。さらに、いうまでもなく、照明源が50HzACの主電源により駆動されたとき、100Hzの電力波変動の如き予測可能な光度変動を示す場合、連続するイメージ間の照明の差を最大限にするフレーム速度を用いるようにデバイスを設定することが有利である。このことにより、続けて1を超える暗いイメージを取り込む可能性が最小限に抑えられることになる。
【0019】
好ましくは、パンタグラフのイメージが側面位置デバイスにより取り込まれたとき、損傷および/または摩耗を判断するための解析は、側面位置イメージキャプチャデバイスからデバイスの視野のイメージを表わす入力を受信するステップと、入力イメージ内のパンタグラフのイメージを既知のパンタグラフタイプを表わす予め定められたモデルとマッチングさせるステップと、合致した予め定められたモデルを用いて入力イメージ内のパンタグラフの座標を計算するステップと、直前のステップで計算された座標を用いて入力イメージからパンタグラフのうちの1つの領域の少なくとも1つのイメージを抽出するステップと、パンタグラフの領域の少なくとも1つのイメージを解析してパンタグラフが損傷しているか否かおよび/または少なくとも1つの炭素集電装置が摩耗しているか否かを判断するステップとを有している。
【0020】
好ましくは、入力イメージ内のパンタグラフは、T字形バーパンタグラフ構造またはY字形バーパンタグラフ構造を表わす予め定められたモデルとマッチングされる。名前から分かるように、T字形バーパンタグラフ構造はT字形状を有しており、Y字形バーパンタグラフ構造はY字形状を有している。
【0021】
パンタグラフのイメージが側面位置イメージキャプチャデバイスにより取り込まれるとき、少なくとも1つの炭素集電装置のプロフィールを表わす領域の少なくとも1つのイメージが入力イメージから抽出される。いうまでもなく、Y字形バーパンタグラフは2つの炭素集電装置を有している。好ましくは、入力イメージがY字形バーパンタグラフ構造を表わすモデルとマッチングされるとき、2つの炭素集電装置のプロフィールのイメージが入力イメージから抽出される。通常、T字形バーパンタグラフを表わすモデルとマッチングされた入力イメージからは1つの炭素集電装置のプロフィールのイメージしか抽出されない。当業者にとって明らかなように、遠い集電装置のプロフィールがパンタグラフの水平棒により不明瞭にされるので、入力イメージから1つのイメージしか抽出することができない。
【0022】
少なくとも1つの炭素集電装置のプロフィールを表わす領域のイメージが側面位置イメージキャプチャデバイスにより取り込まれる場合、好ましくは、摩耗解析は、炭素ブロック支持体の下側縁部を表わす表面輪郭と炭素集ブロック支持体の上側縁部を表わす表面輪郭との間の距離を求めるステップと、直前のステップで測定された距離が、最小許容距離を下回っている領域を特定するステップとを有している。
【0023】
少なくとも1つの炭素集電装置のプロフィールを表わす領域のイメージが側面位置イメージキャプチャデバイスにより取り込まれる場合、損傷解析は、好ましくは、イメージの下側と炭素集電装置の上側縁部を表わす表面輪郭との間の領域が鉛直線で満たされる「レインフォール」パターンを作成するステップと、炭素ブロックの上側縁部を表わす表面輪郭上に一定の半径を有した円を用いて閉鎖領域を作成するステップと、閉鎖領域からレインフォールパターンを引くことにより損傷領域を特定するステップとを有している。
【0024】
好ましくは、パンタグラフのイメージが上方位置デバイスにより取り込まれる場合、損傷を判断する解析は、イメージキャプチャデバイスからデバイスの視野のイメージを表わす入力を受信するステップと、入力イメージ内のパンタグラフのイメージを既知のパンタグラフタイプを表わす予め定められたモデルとマッチングさせるステップと、合致したモデルを用いて入力イメージ内のパンタグラフの座標を計算するステップと、直前のステップで特定されたホーンを特定のホーン設計を表わす予め定められたモデルと比較することにより損傷したパンタグラフホーンを特定するステップとを有している。
【0025】
いうまでもなく、パンタグラフホーンは、V字形、Y字形または、中央の脚部(prong)としての長い真っ直ぐなバーとそれを取り囲む短い湾曲した脚部とからなる3本脚設計の形状を有することができる。いうまでもなく、Y字形バーパンタグラフがV字型またはY字型のホーンを通常有しており、T字形バーパンタグラフが中央の脚部としての長い真っ直ぐなバーとそれを取り囲む短い湾曲した脚部とからなるホーンを通常有している。
【0026】
コンピュータはプロセッサまたはマイクロプロセッサーを有している。コンピュータは、スタンドアロン形式であってもよいしまたはポータブル形式であってもよい。好ましくは、コンピュータは一または複数のコンピュータネットワークに接続されている。コンピュータネットワークは、ローカルエリアネットワークであってもよいし、無線ローカルエリアネットワークであってもよいし、ワイドエリアネットワークであってもよいし、または、インターネットであってもよい。
【0027】
出力手段は、コンピュータモニターの如き画像表示装置、コンピュータハードディスクの如き格納デバイス、リレーショナルデータベース、ネットワークデバイスまたは紙の如き物理的出力手段のうちの一または複数を有していてもよい。出力手段は、ステーション管理コンピュータから遠隔の位置にあるコンピュータ上で実行されるデータベースにデータを転送するための電子データ転送手段をさらに有していてもよい。たとえば、解析結果が、コンピュータハードディスク上のイメージファイルおよびテキストファイルに書き込まれてもよいし、電子メールおよび/またはSMSを通じて送信されてもよいし、または、マイクロソフトSQLサーバの2005エクスプレスエディションSP2の如き中央データベースサーバに書き込まれてもよい。解析結果は、ステーション管理コンピュータまたは遠隔の位置のコンピュータに格納されてもよい。
【0028】
ユーザインターフェイスはデータ入力手段と電子表示手段とを有している。データ入力手段は、キーボードと、キーストロークデバイスまたは音声データ入力デバイスとを有しうる。ユーザにより入力されたデータは、ステーション管理システムにより実行されるタスクを制御してもよいし、または、エンドユーザが解析の結果を閲覧する方法を調整してもよい。
【0029】
表示手段は、コンピュータ表示ウィンドウの如き電子表示デバイスでありうる。表示手段は、コンピュータウィンドウ上に表示されるGUI(GUI)であってもよい。このGUIを、ステーション管理コンピュータまたはステーション管理コンピュータと通信するコンピュータ上のプログラムアプリケーションとして実行することができる。好ましくは、このGUIは、ステーション管理システムへのインターフェイスとして機能し、また、解析結果をもたらすリレーショナルデータベースを提供するようになっている。また、GUIは、エンドユーザが解析結果を閲覧する方法を調整しうる。GUIは、ウィンドウズ(登録商標)ベースのアプリケーションであってもよいし、または、ウェブベースのアプリケーションであってもよい。好ましくは、GUIは、データ入力手段から入力を受信するようになっている。
【0030】
ユーザインターフェイスを線路側監視ステーションおよびステーション管理システムから遠隔のサイトに設けることができる。好ましい実施形態では、ユーザインターフェイスとは、線路管理システムと通信し、遠隔に位置するコンピュータの表示画面のことである。とくに好ましい実施形態では、ユーザインターフェイスとは、ユーザから入力を受け取るように構成されているとともに、ステーション管理システムにより行なわれるタスクを制御するように構成されている遠隔に位置するコンピュータ上で実行され、パンタグラフの損傷・摩耗解析結果を表示するGUIのことである。
【0031】
パンタグラフを有する機関車が主線、支線またはサービス線を走行している場合のことを、正常なサービスに従事しているという。機関車がサービス拠点等に位置している場合または架空線から分離されている場合のことは、正常なサービスに従事しているとはいわない。好ましくは、機関車は、正常なサービスに従事しているとき、12kph以下の速度で走行する。さらに好ましくは、機関車は、正常なサービスに従事しているとき、12kph以上かつ80kph以下の速度で走行する。
【0032】
本発明がより容易に理解され実行に移されうるように、本発明の一または複数の好ましい実施形態が例示のみを目的とし添付の図面を参照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】パンタグラフ監視システムを示す概略図である。
【図2】駆動後、側面イメージキャプチャデバイスから得られた視界である。
【図3】駆動後、上方イメージキャプチャデバイスから得られた視界である。
【図4】センサインターフェイスのタイミング図である。
【図5】センサインターフェイスを示す概略図である。
【図6】監視サイトにおいてパンタグラフの炭素コレクタが摩耗しているか否かを解析するステーション管理プログラムのセグメントを表わすフロー図である。
【図7】監視サイトにおいてパンタグラフの構成要素であるホーンが損傷しているか否かを判断するステーション管理プログラムのセグメントを表わすフロー図である。
【図8】炭素集電装置の摩耗および損傷が検出された解析結果を示している。
【図9】パンタグラフホーンへの損傷が検出された解析結果を示している。
【図10】炭素集電装置の摩耗および損傷が検出された解析結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、監視サイトに設置された監視システム1が示されている。この監視システムは、上方位置センサ2、3と、側面位置センサ4、5と、機関車センサ6とを備えている。これらのセンサから出る信号は、パンタグラフが監視ステーションにあるとき、センサインターフェイス7によって受信される。センサインターフェイス7は、センサ信号調節器8と、インターフェイス回路9とを有している。監視ステーションに機関車が存在することを示す信号と、監視ステーションにパンタグラフが存在することを示す信号とを同時に受信すると、インターフェイス回路9は、これらの信号を2つのストリームへと分割する。第一のストリームは、監視サイトで機関車の通し番号を取得するAVIタグリーダ10、11を駆動させる。タグリーダ10、11から受信されたデータは、変換器101(たとえば、RS−422からUSBへ)によってUSBフォーマットに変換され、USBハブ102を通り、コンピュータ13上で駆動しているステーション管理システム12へと進む。ここに、データが格納される。第二のストリームは、USB変換器14へのディジタルI/Oによって処理され、システム12によって受信され、次いで、イメージキャプチャデバイス15、16の動作をトリガーする。次に、イメージキャプチャデバイス15、16によって取得されたイメージは、ステーション管理システム12によって受信され、このステーション管理システム12は、取得されたイメージを解析し、パンタグラフが損傷しているか否かおよび/または構成部品である炭素集電装置が摩耗しているか否かを評価する。パンタグラフの損傷および摩耗の解析結果への遠隔の位置からのアクセスは、コンピュータ13をコンピュータネットワークに接続する接続部17によって促進される。AVIタグリーダ10、11、センサ信号調節器8、イメージキャプチャデバイス15、16は、電源103(たとえば、24V DC)に接続されている。
【0035】
いうまでもなく、パンタグラフを有した機関車は、正常なサービスに従事しているとき、すなわち、機関車が、監視サイトを有している主線、支線またはサービス線を移動し、典型的には12kph以上かつ80kph以下の速度で移動しているとき、監視システム1によって評価される。
【0036】
コンピュータ13は、CPUによって実行可能なプログラムのインストラクションを有体的に具象化しかつマシンによって可読なデータ格納デバイスと通信する中央処理装置(CPU)を有している。これらの格納デバイスには、RAM、ROM、磁気、光ディスク、ディスクドライブなどの如き第二の格納デバイスが含まれている。これらの格納デバイスのうちの一または複数は、本発明の実施形態にかかる方法を具象化するために、CPUにより実行されるインストラクションを有している。通常、これらのインストラクションは、メモリ集積回路によりまたは遠隔サーバ装置からコンピュータネットワークを介して提供されてもよいが、光ディスクの如きインストレーションディスクから搭載されるようになっている。これらのインストラクションは、ソフトウェア製品を構成しており、実行されると、コンピュータシステム13をパンタグラフ損傷および/または摩耗検出システムとして駆動させ、かつ、とくに複数のフロー図を参照して下記に記載される方法を実行させるようになっている。
【0037】
当業者にとって明らかなように、本発明の方法から考えると、ソフトウェア製品のプログラミングは簡単である。その好ましい実施形態を記載する。下記の方法では、さまざまな変数およびデータが操作される。明らかなように、本発明の方法を実装すべくコンピュータシステムを動作中、電気信号がコンピュータシステムの伝導バスに沿って移動し、CPUの対応するレジスタの値が増加し、第二の格納デバイスおよびRAMに、データが書き込まれ、第二の格納デバイスおよびRAMからデータが検索される。したがって、ソフトウェアを実行して本発明の実施形態にかかる方法を実施すると、コンピュータシステム内に物理的な影響および変化が生じることになる。
【0038】
図2を参照すると、駆動後の側面位置イメージキャプチャデバイスから得られる視界が示されている。架空線21に接する2つの炭素集電装置19、20を有するY字形バーパンタグラフ18が示されている。また、接触した線の上方に吊されている懸垂線22も示されている。これらの集電装置は白色のバックスクリーン23を背景にして示されている。また、図2には、各炭素集電装置19、20が炭素支持体24と炭素ブロック25とを有していることをさらに明白に示されている。
【0039】
図3を参照すると、駆動後の、上方位置イメージキャプチャデバイスから得られる視界が示されている。Y字形ホーン26、27を有しているY字形バーパンタグラフが示されている。
【0040】
図4を参照すると、センサインターフェイスタイミング図が示されている。このセンサインターフェイスタイミング図には、センサインターフェイス7により受信される機関車センサ6、上方位置パンタグラフセンサ2、3および側面位置パンタグラフセンサ4,5から出力される出力信号28、29、30が示されている。明らかなように、線は時間の関数としての出力信号値を表わしている。長さが約17mである機関車が機関車センサによって検出されると、高い出力信号が相当な期間にわたってセンサインターフェイスによって受信される。センサインターフェイスが機関車センサからの高出力信号28およびパンタグラフ信号29、30を同時に受信すると、センサインターフェイス7は、ステーション管理システム11を介して指令信号31、32をイメージキャプチャデバイス15、16に向けてトリガーする。機関車センサ28からならびに上方位置パンタグラフセンサ29および側面位置パンタグラフセンサ30から高い出力信号を同時に受信すると、機関車通し番号を取得するための命令33、34がAVIタグリーダ10、11に向けてトリガーされる。
【0041】
図5を参照すると、スイッチマトリクス35と、コンピュータ13(図示せず)のシリアルポートへ接続されるUSB変換器14へのディジタルI/Oと、AVIタグリーダ9、10を制御するドライバ36、37とを有したセンサインターフェイス7の図が示されている。スイッチマトリクス35は、パンタグラフセンサ2〜5および機関車センサ6からバウンス(ノイズ)が除去されかつパルス波形を有した信号を受信する。これらのセンサから高い出力信号を同時に受信すると、スイッチマトリクスが命令38、39を供給し、これらの命令がASCII文字のストリームに変換されてシリアルポートを介してコンピュータ13へ転送される。また、スイッチマトリクス35がAVIタグリーダドライバ36、37にも命令に40、41を送信する。
【0042】
図6を参照すると、パンタグラフの炭素集電装置が摩耗しているか否かを解析するためのステーション管理プログラムのセグメントを表わすフロー図が示されている。このセグメントは以後PanCamと呼ぶこととする。高解像度ビデオカメラによって、監視サイトにおいてパンタグラフの側面視のイメージが取得される。次いで、このカメラによって取得されたイメージデータがプログラムによって解析される。プログラムは、イメージデータを変える複数のサブルーチンを呼び出す。PanCamには、MVTec Software GmbHによって販売されているHALCONマシンビジョンライブラリが用いられている。これらのサブルーチンは、通常PanCamによって次の順番で呼び出される。
【0043】
EquHistoImage()が、強度ヒストグラム内の値の分布がすべての値の間でほぼ等しくなるように、入力イメージを修正する。PanCamは、この結果を出力イメージとして用いる。その理由は、通常、この結果が人による閲覧に適した良好なコントラスト特性を有しているからである。
【0044】
Copylmage()が呼び出される。これは、入力イメージをコピーし、(カメラによって出力される元の12ビットから)8ビットにその色深度を下げる。その理由は、HALCONオペレータ(とくに、パターンマッチング)が8ビットの深度のイメージしか受け入れないからである。
【0045】
次いで、プログラムは、FindShapeModel()を呼び出し、バックボードの前もって定められたモデルとイメージとをマッチングさせる。マッチングされたモデルの座標とPanCamが予測するバックボードの位置の座標とを比較することにより、PanCamは、座標オフセットを計算し、後の処理において対象となる固定された領域の調整を行うことができる。これらの調整は、保守作業または他の変動によって引き起こされるカメラ視角の移動により必要となる場合がある。
【0046】
背景座標調整オフセットを用いて、プログラムは、MoveRegion()を呼び出し、対象となるバックボード領域を調整する。次いで、GrayHisto()が呼び出され、対象となる領域上の強度ヒストグラムが計算される。
【0047】
この時点で、目標は、バックボードからパンタグラフのプロフィール(Profile)を抽出することができるように、2ビットのセグメンテーションにおけるしきい値として用いるのに適切な強度値を検出することにある。PanCamは、サーチからヒストグラムの上端部および下端部のうちある一定のパーセンテージを除外することによりセグメンテーションに用いられる最小強度値または最大強度値の誤った選択を回避し、次いで、SmoothFunctldGauss()を呼び出し、先を切り取られたヒストグラムに対してガウス平滑化(Gaussian Smoothing)を行なう。
【0048】
GetYValueFunctld()は、平滑化されたヒストグラム内に極小値を検出し、これらの極小値を中心とする「ウィンドウ」を繰り返し拡大し、ウィンドウ高の平方に対するウィンドウ幅の比を最大限に大きくする。ここで、高さはウィンドウ内の最大ヒストグラムビンカウントであり、幅はピクセル値の範囲である。選択されるウィンドウは、先を切られたヒストグラム内のこのようなウィンドウ全てのうちの最も幅広のアスペクト比を有したものである。次いで、PanCamは、初期の8ビットのセグメンテーションしきい値として、このアスペクト比を最大化するウィンドウの中点を選択する。
【0049】
HALCONでは、ヒストグラムオペレータは、8ビットを超える色深度を有するイメージに対して自動的に0〜255の範囲でマッピングするようになっている。まず、PanCamは、ヒストグラムの作成に用いられるイメージ領域にわたってMinMaxGray()を呼び出し、最小値および最大値を見出さなければならない。次いで、PanCamは、線形変換を用いて、初期の8ビットのしきい値を対応する12ビットのセグメンテーションしきい値にマッピングするに必要な計算を行うことができる。次いで、PanCamは、このしきい値を用いて、パンタグラフのプロフィールのセグメンテーションを行なう。
【0050】
ステップ4と同様に、PanCamは、パンタグラフのプロフィールを正確に検査することができる領域を調整する。PanCamは、HALCONを用いて、セグメンテーションされたパンタグラフのプロフィールおよび有効な対象領域に対して領域Intersection()を実行する。
【0051】
先の場合と同様に、PanCamは、MoveRegion()を用いて、パンタグラフモデルとマッチングさせる検査領域を調整する。PanCamは、AddChannels()およびFindScaledShapeModels()を呼び出し、単一の操作で複数のパンタグラフのマッチングを検索する。最も高いスコアでの合致(match)は、最良の合致を示すので、パンタグラフタイプの最も確からしい識別を示すことになる。
【0052】
HALCONには、ピラミッドマッチングアルゴリズムが用いられており、このアルゴリズムでは、マッチング作業速度を向上させるためにまず低解像度でモデルのマッチングが行われる。このことにより、解像度が低いために誤った合致に帰着する場合もある。そこで、PanCamは、TestRegionPoint()を呼び出し、合致したモデルが一定の検査領域内に確実に位置したものであるか否かをチェックする。誤った合致は無視され、そうでなければ、PanCamは、GetShapeModelContoursQ、AffineTransContourXld()およびGenRegionContourXld()を呼び出し、合致したモデルを出力イメージ上に表示する。
【0053】
PanCamは、いったんパンタグラフを識別してその場所を検出すると、GenRegionPolygonFilledOを呼び出し、基準点としてのパンタグラフモデルの位置とともに一定の座標オフセットを用いて、炭素集電装置が位置すると思われる場所のまわりの領域を出力させる。また、PanCamはこれらの領域を出力イメージ上に表示する。
【0054】
先の場合と同様に、PanCamは、MoveRegion()を用い、イメージ内においてバックボードの上側縁部が位置すると思われる場所を表した予め定められた領域を調整する。炭素集電装置領域がバックボードの上側縁部のうちの過剰部分をオーバーラップしている場合、PanCamは、炭素集電装置が解析結果の信頼性が低い位置にあると判断して、それに対してさらなる処理を行なわない。
【0055】
PanCamは、炭素集電装置領域の画素面積をチェックする。その面積が0である場合、このイメージの中で処理するデータはない。PanCamは、このイメージにさらなる処理を行わず、「パンなし(no pan)」という報告をする。このことは、PanCamが完全にパンタグラフの場所を逃すなどして誤った診断情報を作成しうるようなまれな状況をカバーするようになっている。
【0056】
PanCamは、損傷および摩耗の有無をチェックする前に、炭素集電装置のプロフィール内の不要なアーチファクト(artifacts)を取り除く必要がある。PanCamは、まずOpening()形態オペレータを用い、イメージ内の架空線のプロフィールを取り除く。その理由は、これらが炭素集電装置のプロフィールの上側縁部と交差するためである。PanCamは、各領域が炭素集電装置のプロフィールの上側縁部の異なる傾斜からなっているために異なる構造用部材を用いて、2つのオーバーラップしていない領域に対してこの動作を行なう。各々の場合において、PanCamは、ステップ4で計算された背景オフセットに応じて、Openingを実行する領域の位置をさらに調整する。
【0057】
PanCamは、SelectShape()を呼び出し、炭素集電装置のうちの一部と考えるには小さすぎ、かつ遠隔の位置にありすぎる部分を取り除くことにより、炭素集電装置のプロフィールのフィルタリングを続ける。バックボード上のダークスポット(所定の時間にわたって蓄積される)により、これらの誤ったプロフィールが生じることが多い。
【0058】
PanCamは、鉛直線で、炭素集電装置のプロフィール領域を拡大し、炭素集電装置の上方プロフィールよりも下に位置するすべてを満たす「レインフォール」効果を生じさせることにより、炭素集電装置にステップを検出する。また、PanCamは、元の炭素集電装置のプロフィール上に大きな円領域を用いてClosingを実行する。閉じられた領域からレインフォール領域を差し引くことによって、残った領域は炭素内の「ステップ」損傷を示しうる。
【0059】
PanCamは、パンタグラフホーンの近傍に認識不能な形状を残しうるレインフォール動作からのアーチファクトを取り除くために、直前のステップで計算された結果領域を制限する必要がある。さらに先の場合と同様に、PanCamは、背景オフセットに応じて固定された対象領域を調整し、次いで、有効領域および前のステップの結果に対してIntersection()を呼び出す。
【0060】
損傷解析の最終部分では、PanCamは、小さな半径を備えたOpeningCircle()を呼び出し、前のステップの結果から小さなアーチファクトを取り除く。次いで、その結果内の不連続領域が一定のしきい値より大きな面積を有している場合、PanCamは炭素集電装置にステップ損傷が存在する可能性が存在すると考える。この場合、(強調された損傷を明瞭にさせておくために)、PanCamは、損傷領域を拡大して輪郭を出力することによって、出力イメージにその結果をさらに表示する。
【0061】
ステップ16〜18は、パンタグラフが「Y」タイプであれば、第二の炭素集電装置に対して繰り返される。明らかなように、T字形バーパンタグラフを表わすモデルに合致した入力イメージからは1つの炭素集電装置のプロフィールイメージしか抽出されない。その理由は、遠い炭素集電装置のプロフィールがパンタグラフ内の水平棒により不明瞭になるからである。
【0062】
摩耗解析については、PanCamは、架空線および他のアーチファクトを取り除くための処理が既になされている炭素集電装置のプロフィールを用いる。そのプロフィールに1を超える不連続領域がある場合、PanCamは、そのプロフィールを廃棄し、第二の炭素集電装置へと移動する。
【0063】
PanCamは、遠近法の縮尺によって炭素集電装置がどの程度影響を受けるかを判断しなければならない。その理由は、異なるイメージにおいて、パンタグラフがカメラに対してさまざまな位置にありうるからである。PanCamsでは、頭上の電力ケーブルを見つけるためにLinesGauss()というライン発見オペレータが用いられる。次いで、PanCamは、満足な程度に真っ直ぐな線(曲線またはアーク状の線と比較して)のみを選択するためのSelectShapeXldQと、架空線と同一の方向に走ると考えられる線を選択するためのSelectContoursXld()とを呼び出す。次いで、PanCamは、FitLineContourXldOを呼び出し、その他の線の直線式を(Tukeyアプローチを用いて)計算し、その結果と炭素集電装置の上側縁部との間の交点を取得する。PanCamは、遠近法の縮尺の調整のための基準点としてこの交点を用いる。
【0064】
前のステップで計算された基準点を用いて、PanCamは、予め定められた一定の式にカラム座標を適用し、炭素高さ最小しきい値に対する調整係数を計算する。カメラに接近するにつれておよびパンタグラフの遠近法の縮尺に対応して、カメラにより近い炭素集電装置は、カメラからより遠い炭素集電装置よりも炭素高さしきい値が大きくなる。
【0065】
PanCamが、いったん最小受け入れ高さを決定すると、構造エレメントとして、その高さの鉛直線を備えたOpening()オペレータを用いる。次いで、PanCamは、Difference()を呼び出し、元の炭素集電装置のプロフィールからopeningの結果を差し引く。残っている領域が過剰な炭素摩耗の可能性を示しており、PanCamは、その残りのイメージ領域の幅が十分に大きい場合、摩耗しているものとして炭素集電装置にフラグを立てる。この場合、PanCamは、出力イメージ上の摩耗領域を、当該領域を拡大してその輪郭を表示することにより強調する。
【0066】
パンタグラフが「Y」タイプである場合、ステップ20〜23が第二の炭素集電装置に対して繰り返される。明らかなように、入力イメージ内のパンタグラフがT字形バーパンタグラフを表わすモデルと合致する場合、ステップ20〜23は繰り返されない。その理由は、遠い炭素集電装置のプロフィールがパンタグラフ内の水平棒により不明瞭になるからである。
【0067】
図7を参照すると、監視サイトにおけるパンタグラフの構成要素となるホーンが損傷しているか否かを判断するプログラムを表わすフロー図が示されている。監視サイトにおいてパンタグラフの上方から遠近法を用いて見たイメージが高解像度ビデオカメラにより取り込まれる。次いで、このカメラにより取り込まれたイメージデータはプログラムにより解析される。このプログラムは、イメージデータを変化させる複数のサブルーチンを呼ぶ。これらのサブルーチンは、プログラムにより次の順番で通常呼び出される。
【0068】
EquHistoImage()は、入力イメージの強度ヒストグラム内の値の分布がすべての値の間でほぼ等しくなるように入力イメージを修正する。PanCamは、この結果が人による閲覧に適した良好なコントラスト特性を通常有しているため、この結果を出力イメージとして用いる。
【0069】
CopylmageOが、呼び出され、入力イメージをコピーするものの、その色深度をカメラにより作成された元の12ビットから8ビットに下げる。その理由は、HALCONオペレータ(とくに、パターンマッチング)が8ビットの深度のイメージしか受け入れないからである。
【0070】
パンタグラフを検査する前に、PanCamは、まずそのイメージに対して予め定められた線路モデルとのマッチングを試みる。HALCONがそのイメージ内に一組の線路を検出することに成功できた場合、PanCamはイメージの中に機関車が実際に存在しないと仮定する。その理由は、機関車が存在すればこれらの線路が視界をさえぎられるからである。この場合、PanCamは、現在の画像を拒絶し、次のものに移動して処理用する。
【0071】
PanCamは、ReduceDomain()を呼び出し、イメージ内のパンタグラフの合致が期待される予め定められた領域に検査領域を絞る。次いで、それは、FindScaledShapeModels()を呼び出し、複数の予め定められたパンタグラフモデルに対してマッチングを行う。側面視処理におけるパターンマッチングと同様に、PanCamは、TestRegionPoint()オペレータを用いて、誤った合致をチェックしなければならない。このチェックが失敗した場合、パンタグラフの合致が、予測されたパンタグラフ領域からあまりにも外側にあるものとして拒絶される。PanCamは、パターンマッチングから戻された縮尺係数を、以後のマッチング動作でのオフセットの縮尺係数として用い、遠近法の縮尺に対応する。
【0072】
パンタグラフを見つけて識別した後、PanCamは(側面視パターンマッチングと同様に)、GetShapeModelContours()、AffineTransContourXld()およびGenRegionContourXld()を用いて合致したモデルを出力イメージ上に表示する。
【0073】
PanCamは、合致したパンタグラフの座標および一組の予め定められた座標オフセット(ステップ4で求められた縮尺係数に基づいて縮尺される)を用いて、ホーンが探されるパンタグラフの左右に新規の検査領域を算出する。次いで、PanCamは、それぞれの側で一度ずつさらなるパターンマッチング動作を行ない、ホーンの有無をチェックする。
【0074】
Y字形バーパンタグラフについては、マッチング動作にはホーンに対して単一のモデルが用いられる。しかしながら、ホーンが3つの別個の脚部(prong)からなっているT字形バーパンタグラフについては、PanCamは、まず長い中央のホーン部分を探す。次いで、パターンマッチングが成功したと仮定した場合、PanCamは、ホーン部分の位置および一組の縮尺された予め定められた座標オフセットから算出されるさらに二つの検査領域を生じる。次いで、PanCamは、さらに他のパターンマッチング動作を行い、残りの二つのホーン部分の有無をチェックする。
【0075】
パターンマッチャが前のステップの任意の段階でホーンまたはホーン部分を見つけられなかった場合、PanCamはホーンが損傷していると宣言する。HALCONがホーンまたはホーン部分のマッチングに成功した場合、PanCamは合致したモデルを出力イメージ上に表示する。
【0076】
図8aを参照すると、側面視用のイメージキャプチャデバイスから得られた視界が示されている。ここでは、Y字形バータイプパンタグラフ44の一対の炭素集電装置42、43のプロフィールがバックスクリーン45を背景にして示されている。図8bは、直前に記載されたイメージ上に重ね合わされた摩耗および損傷の解析結果を示す合成イメージである。黄色の輪郭46、47は、摩耗について解析された各炭素集電装置のプロフィールの領域を強調している。赤い輪郭48は、「ステップ」損傷の可能性のある領域を強調している。シアン色の輪郭49、50、51は、パンタグラフモデルマッチングの結果を示している。図8cには、解析結果が示されている。
【0077】
図9aを参照すると、平面視用のイメージキャプチャデバイスから得られた視界が示される。ここでは、Y字形バータイプのパンタグラフ52が示されている。図9bでは、平面視用のイメージキャプチャデバイスから得られた視界が示されている。ここでは、Y字形バータイプのパンタグラフ52が構成要素のホーン53を欠いている。図9cには、グラフィカルユーザインターフェイスにより提示されるようなホーン損傷解析の結果が示されている。
【0078】
図10を参照すると、側面視用のイメージキャプチャデバイスから得られる視界が示されている。ここでは、Y字形バータイプパンタグラフの一対の炭素集電装置54,55のプロフィールがバックスクリーン56を背景にして示されている。損傷解析の結果がイメージ上に重ね合わされている。青色の輪郭57、58、59が、過剰な摩耗領域を取り囲んでいる。黄色の輪郭60、61が、各炭素集電装置のプロフィールのうちの摩耗について解析された領域を強調している。赤色の輪郭62、63、64が「ステップ」損傷の可能性のある領域を強調している。シアン色の輪郭65、66、67は、パンタグラフモデルマッチングの結果を示している。
【0079】
本発明のとくに好ましいシステムの動作が次のパラグラフに記載されている。
【0080】
PanCamプログラム12は多重スレッドアプローチを具象化している。PanCamプログラムは、機関車センサおよびパンタグラフセンサからの信号を扱うスレッドを有している。これらのセンサからの信号を受信すると、それは、イメージキャプチャスレッドにより処理するための待ち行列にセンサ入力を加える。次いで、イメージキャプチャスレッドは、USBI/Oデバイス14により提供される情報に従って、適切なカメラ15、16をトリガーし、イメージを取得する。このイメージが取り入れられると、イメージキャプチャスレッドは、処理を待つイメージの待ち行列にたった今取り入れたイメージを加える。
【0081】
それと同時に、線路の両側に配置されたAVIタグリーダ10、11は機関車識別情報を受信する。これらのタグリーダはこの情報をPanCamを実行しているコンピュータ13へ送信する。この情報はシリアルポートを通じてASCII文字ストリームとして送信される。PanCamソフトウェアは、これを、直前に受信した受信タグを有しているバッファ内に格納する。
【0082】
イメージ処理スレッドは、イメージ処理待ち行列から一度に一つずつイメージを取り出し、これらのイメージを解析する。イメージ処理スレッドは、各イメージを車両識別タグと関連付けする。この受信時刻はイメージ取得時間と最も緊密に合致する。イメージ取得の2.5分内(5分のウィンドウ)のタイムスタンプを有したIDタグがない場合、PanCamは、対応するIDタグなしでそのイメージを処理する。
【0083】
イメージ処理スレッドは、イメージを解析し、当該イメージを作成したイメージキャプチャデバイスの位置に応じて、炭素集電装置上の損傷もしくは摩耗の兆候の有無またはパンタグラフ上に損傷もしくは紛失したホーンの有無を調べる。解析が完了した後、PanCamは、視覚的なおよびテキストベースの結果をスクリーンに表示することに加えて、ディスク上のイメージファイルおよびテキストファイルに情報を書き込む。診断結果が損傷または摩耗の可能性を示しておりかつユーザがそうするようにPanCamを構成している場合、PanCamは、電子メールおよび/またはSMSを通じてエンドユーザのもとへアラートを送信する。イメージ処理スレッドが電子メール待ち行列に電子メールメッセージを加え、PanCamがこれらの電子メールメッセージを別個の電子メール送信スレッド内で処理する。
【0084】
電子メールでの報告に加えて、PanCamは、標準ODBCインターフェイスを通じて中央データベースサーバに結果を記録するようにしもよい。中央データベースサーバには、データベースとしてマイクロソフトSQLサーバ2005のエクスプレスエディションであるSP2が用いられている。同一のサーバコンピュータ上には、アパッチウェブサーバがPHP5と一緒にセットアップされ、データベースへのウェブアクセスを可能としている。次いで、エンジニア等は、ウェブインターフェイスを介して解析結果を調べ、機関車に必要な調査および修理を行なうことができ、さらに、既に検討した結果をデータベースに記録することもできる。
【0085】
監督されていない環境の下でPanCamの動作の継続を担保するために、PanCamプログラムが内部監視スレッドを有し、この内部監視スレッドがPanCamプログラムの他のスレッドの各々の応答を定期的にチェックするようになっている。これらのスレッドのうちのいずれかが長期間にわたって応答しなくなると、PanCamはコンピュータを再起動する。それに加えて、PanCamプログラムは、それ自体、外部サービスにより監視されている。当該外部サービスは、PanCamを自動的に起動し、PanCamソフトウェアが動作していないまたは応答していないことを検出した場合、PanCamを実行しているコンピュータを再起動させることができる。
【0086】
デスクトップの対話性を担保するシステムアカウントでは、ネットワーク資源へのアクセスはできないようになっている。このことは、マイクロソフトウインドウズシステムの仕組みであり、変更することはできない。PanCamを実行しているコンピュータからイメージおよびデータファイルを中央データベースサーバへのコピーすることを可能とするため、第二のサービスがPanCamプログラムと一緒に実行され代わりにファイルのコピーを実行するようになっている。このコピーサービスは、ウェブサーバファイルシステムへの書き込みを可能とする許可を有しているユーザアカウントの下で実行される。
【0087】
先に記載の実施形態は、本発明の原理の例示のみを意図したものであり、さまざまな修正および変更が当業者にとって明らかである。本発明は、さまざまな方法およびさまざまな実施形態で実行されてもよい。さらに明らかなように、本明細書で用いられている用語は説明を目的としたものであり、限定を目的としたものではない。
【0088】
用語「備える、有するまたは含む」およびその用語の変形体、たとえば「備えている」または「備えた」は、記載された項目または記載された数の項目を内包することを表すために用いられているが、この用語の排他的な解釈が必要な文脈または用途におけるものでない限り、いかなる数の項目を内包することも可能である。
【0089】
本明細書に引用された出版物への言及はその開示内容が共通の一般的知識を構成するということを認めているということを意味するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンタグラフの状態を評価するためのシステムであって、
パンタグラフの少なくとも1つのイメージを、前記パンタグラフを有した機関車が正常なサービスに従事している際に取り込む線路側パンタグラフ監視ステーションと、
前記監視ステーションで取り込まれた前記少なくとも1つのイメージを解析し、前記パンタグラフの状態を判断するステーション管理システムと、
前記ステーション管理システムを制御し、パンタグラフが損傷および/または摩耗しているか否かを示すためのユーザインターフェイスと
を備えてなる、システム。
【請求項2】
前記監視ステーションが、
データ転送手段と、
機関車が前記監視ステーション内に進入するときに前記機関車を検出するための少なくとも1つの線路側に取り付けられたセンサ(「機関車センサ」)と、
前記監視ステーションにおいて前記パンタグラフの位置を検出するための少なくとも1つの線路側に取り付けられたセンサ(「パンタグラフセンサ」)と、
前記監視ステーションでパンタグラフの少なくとも1つのイメージを取り込む少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスと、
これらのセンサから入力を受信し、前記監視ステーションにおいて前記パンタグラフの少なくとも1つのイメージを取り込むように前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスに命じるセンサインターフェイスと
を有してなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データ転送手段が、センサ、センサインターフェイス、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスおよびステーション管理システムの間の通信を促進するように構成されてなる、請求項2のシステム。
【請求項4】
前記監視ステーションが2つのイメージキャプチャデバイスを有しており、
第一のイメージキャプチャデバイスが少なくとも1つの炭素集電装置を有するパンタグラフのプロフィールのイメージを取り込むように構成されており、
第二のイメージキャプチャデバイスが少なくとも1つのパンタグラフホーンを有するパンタグラフのイメージを取り込むように構成されてなる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第一のイメージキャプチャデバイスが、前記監視ステーションにおいてパンタグラフに対して下方かつある傾斜角度で(「側面位置」に)配置されてなる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第二のイメージキャプチャデバイスが、前記監視ステーションにおいてパンタグラフの上方に(「上方位置」に)配置されてなる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
イメージキャプチャデバイスが高解像度ビデオカメラである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第一のイメージキャプチャデバイスがバックスクリーンをさらに有してなる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記バックスクリーンが白色である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記バックスクリーンが照らされてなる、請求項9のシステム。
【請求項11】
前記第一のイメージキャプチャデバイスが駆動されると、取り込まれる前記イメージが前記バックスクリーンを背景にした前記パンタグラフのプロフィールであるように、前記バックスクリーンが前記イメージキャプチャデバイスの焦点よりも後側にかつ前記デバイスの視野内に取り付けられてなる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
センサが赤外線センサである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記監視ステーションが前記パンタグラフの位置を検出するための2つのセンサを有しており、
前記第一のセンサ(「上方位置センサ」)が、前記パンタグラフが前記上方位置イメージキャプチャデバイスの視野内にあるポイントを識別するように位置決めされており、
前記第二のセンサ(「側面位置センサ」)が、前記パンタグラフが前記側面位置イメージキャプチャデバイスの視野内にあるポイントを識別するように位置決めされてなる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記パンタグラフが前記センサにより検出されると前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスが駆動されるように、センサが前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスと通信するように構成されてなる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記監視ステーションが、機関車の識別詳細を取り込むために少なくとも1つの線路側に取り付けられるセンサ(「機関車識別センサ」)をさらに有してなる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
機関車識別センサが自動車両識別(AVI)タグデコーダである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記AVIタグデコーダが、前記監視ステーションにおいて前記機関車の車両識別番号または前記機関車のタイプのうちのいずれか1つに関する情報を取得するように構成されてなる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記センサインターフェイスが回路の形態を有しており、該回路が、
機関車が前記監視ステーションにあることを示す第一の線路側センサ(「機関車センサ」)からの入力を受信するステップと、
パンタグラフがイメージキャプチャデバイスの視野内にあることを示す第二の線路側センサ(「パンタグラフセンサ」)からの入力を受信するステップと、
これらの線路側センサから受信されたこれらの入力のバウンスを除去し、成形するステップと、
前記機関車センサの入力および前記パンタグラフセンサからの入力が同時に受信されるとき、前記パンタグラフのイメージを取得する命令をイメージキャプチャデバイスに与えるステップと
を実行するように構成されてなる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記センサインターフェイスである前記回路が、前記機関車センサからの入力および前記パンタグラフセンサからの入力を同時に受信したとき、前記監視ステーションにおいて前記機関車の詳細を取得する命令を少なくとも1つの機関車識別センサに与えるステップをさらに実行するように構成されてなる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
パンタグラフが損傷および/または摩耗しているか否かを解析するように構成されたコンピュータシステムであって、
コンピュータと、
前記コンピュータ上で実行されるプログラムと、を備えており、
前記プログラムが、
センサから少なくとも1つの命令の受信し、該少なくとも1つの命令を受信すると、少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスを起動して監視ステーションにおいてパンタグラフの少なくとも1つのイメージを取り込むタスクと、
前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスにより取り込まれた少なくとも1つのイメージを、損傷および/または摩耗の兆候の有無を調べるために解析するタスクと、
前記解析の結果を出力手段に提供するタスクと
を実行するように構成されてなる、システム。
【請求項21】
前記プログラムが
ユーザ入力を受信するタスクと、
AVIタグリーダから機関車の詳細を受信し、これらの詳細をパンタグラフの少なくとも1つのイメージに割り当てるタスクと、
イメージキャプチャデバイスの焦点の後側に取り付けられたバックスクリーンの照明を制御するタスクと、
前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスの露出および利得を校正するタスクと、
パンタグラフのイメージの解析を調整する入力をユーザから受信するタスクと、
前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスの露出時間およびビデオ利得を自動的に調節するタスクと
のうちの少なくとも1つをさらに実行するように構成されてなる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスにより取り込まれるパンタグラフのイメージの解析が、
前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスから該デバイスの視野のイメージを表わす入力を受信するステップと、
前記入力イメージ内のパンタグラフのイメージを既知のパンタグラフタイプを表わす予め定められたモデルとマッチングさせるステップと、
合致した予め定められたモデルを用いて前記入力イメージ内のパンタグラフの座標を計算するステップと、
直前の前記ステップで計算された前記座標を用いて前記入力イメージから前記パンタグラフのうちの1つの領域の少なくとも1つのイメージを抽出するステップと、
パンタグラフの領域の前記少なくとも1つのイメージを解析して前記パンタグラフが損傷および/または摩耗しているか否かを判断するステップと
を有してなる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記入力イメージから1つの炭素集電装置のプロフィールを表わす領域が抽出されてなる、請求項22のシステム。
【請求項24】
前記入力イメージから2つの炭素集電装置のプロフィールのイメージを表わす領域が抽出されてなる、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
炭素集電装置の摩耗の解析が、
炭素集電装置の下側縁部を表わす表面輪郭と前記炭素集電装置の上側縁部を表わす表面輪郭との間の距離を求めるステップと、
直前の前記ステップで測定された前記距離が、摩耗を示す最小許容距離を下回っている領域を特定するステップと
を有してなる、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
炭素集電装置の損傷の解析が、
前記イメージの下側と前記炭素集電装置の上側縁部を表わす表面輪郭との間の領域を鉛直線で満たして「レインフォール」パターンを作成するステップと、
前記炭素集電装置の上側縁部を表わす表面輪郭上に一定の半径を有した円を用いて閉鎖領域を作成するステップと、
前記閉鎖領域から前記レインフォールパターンを引くことにより損傷領域を特定するステップと
を有してなる、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記解析が、
前記少なくとも1つのイメージキャプチャデバイスから前記デバイスの視野のイメージを表わす入力を受信するステップと、
前記入力イメージ内のパンタグラフのイメージを既知のパンタグラフタイプを表わす予め定められたモデルとマッチングさせるステップと、
合致した予め定められたモデルを用いて前記入力イメージ内のパンタグラフホーンの座標を計算するステップと、
直前の前記ステップで特定された前記座標を特定のホーン設計を表わす予め定められたモデルと比較することにより、損傷または紛失したパンタグラフホーンを特定するステップと
を有してなる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記予め定められたモデルがT字形バーパンタグラフ構造またはY字形バーパンタグラフ構造である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記コンピュータが一または複数のコンピュータネットワークに接続されてなる、請求項28のシステム。
【請求項30】
前記出力手段が、コンピュータモニターの如き画像表示装置、コンピュータハードディスクの如き格納デバイス、リレーショナルデータベース、ネットワークデバイスまたは紙の如き物理的出力手段のうちの一または複数を含んでなる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記出力手段が、前記ステーション管理コンピュータから遠隔の位置にあるコンピュータ上で実行されるデータベースにデータを転送するための電子データ転送手段をさらに含んでなる、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ユーザインターフェイスがデータ入力手段と電子表示装置とを有してなる、請求項19に記載のシステム。
【請求項33】
前記データ入力手段が、前記ステーション管理システムにより実行されるタスクを制御する、または、前記エンドユーザによる前記解析の結果の閲覧方法を調整するように構成されてなる、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記ユーザインターフェイスが、前記ステーション管理システムと通信するように構成されているとともに遠隔のサイトに位置するコンピュータの表示画面である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
機関車が、正常なサービスに従事しているとき、12kph以上かつ80kph以下の速度で移動してなる、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
パンタグラフの状態を自動的に判断するための方法であって、
監視ステーションにおいて機関車の有無を検出するステップと、
前記監視ステーションにおいてパンタグラフの有無を検出するステップと、
前記監視ステーションにおいて機関車およびパンタグラフを同時に検出すると、イメージキャプチャデバイスを駆動させることによりパンタグラフのイメージを取り込むステップと、
前記パンタグラフのイメージを解析して前記パンタグラフが損傷しているか否かおよび/または構成部品である炭素集電装置が摩耗しているか否かを判断するステップと、
前記解析の結果をエンドユーザに報告するステップと
を有している、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−535658(P2010−535658A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519308(P2010−519308)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001135
【国際公開番号】WO2009/018612
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510035141)キューアール リミテッド (1)
【Fターム(参考)】