説明

パンチングサイトにおけるアンダーカットを介した平面性の改善

本発明は、接触領域にアンダーカットを含み、アンダーカットを生成する際に生じるテンションから生じる非平面性の無いプリント導体構造を生成するためのモジュール式金属テープに関する。よって、本発明は、モジュール式金属テープを提供するものであり、個々のモジュール(11)は、電子部品(30)の用途のためのキャリア領域(60)であって、互いに平行かつコーナー(64)により隣接する少なくとも二つの辺(62)を有するキャリア領域(60)と、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)の周囲、及び互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲全体に延びる接触領域(70)であって、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる接触領域(70)の当該領域は、丸くなっている、接触領域(70)と、接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)と、を含み、少なくとも接触領域(70)は、ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を含み、接触領域(70)は、丸くなっている領域において、ブランキング(80)に接続されるスリット(90)を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール式金属テープ、モジュール式金属テープを製造する方法及びモジュール式金属テープのモジュールを含むサブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触チップカードの製造において、金属箔からプリント導体をパンチすることが通例である。これは、特に、チップが後に適用されるキャリア領域(分離領域とも呼ばれる)、及びチップが後に導電性手段で接続される接触領域(アンテナ領域とも呼ばれる)を生成する。キャリア領域は、ブランキングを介して接触領域から大きく空間的に隔てられ、金属箔から提供された2つの狭いフィン(mass fins)を介して残存する金属箔に接続される。
【0003】
細長い箔片としての金属箔に同一のプリント導体パターンの周期的なモジュールの配置を提供することは、チップを提供可能にし、また、自動装置を用いて、通常、接触ワイヤを介して接触領域に電気的に接触することを可能にする。接触の後、チップは、キャスティングコンパウンドにより覆われる。接触ワイヤとの接触及びキャスティングコンパウンドによるカバレージは、キャリア領域を金属箔に固定する。続いて、チップ及び周囲のプリント導体パターンは、箔片からワンピースでパンチされ、チップカードの対応する部位に挿入される。
【0004】
チップが金属箔にまだ存在している間に、プロセス技術の視点からチップを電気的に試験することが望まれる。いくつかの試験は、キャリア領域がフィンによる位置で保持される間に成功する。しかし、特定の試験のために、チップと金属箔との間の全ての導電性接続を遮断する必要がある。2つのフィンを含む接続を提供することにより、キャリア領域を接続解除させる。
【0005】
パンチング後の位置でのキャリア領域を維持するために、EP1329952A2は、チップの背後に延び、かつ周囲の金属箔に接続されるチップ上のキャスティングコンパウンドからなる絶縁荷重負荷層を適用することを提案している。強固な接続のために、キャスティングコンパウンドが流れうる接触領域にアンダーカットをさらに提供することにより特に有利になることが証明されている。硬化の後に、チップの周囲の硬化したキャスティングコンパウンドは、アンダーカットを介してキャリア領域に固定される。
【0006】
前記アンダーカットは、通常、接触領域で金属箔をエンボス加工することにより製造される。金属箔のエンボス加工された材料は、プロセスにおいて移動される(displaced)必要がある。金属は、主に、張力の形成が金属箔の前記領域における非平面性をもたらす結果となる接触領域の方向に移動される。この影響は、特に、キャリア領域のコーナーの周囲に延びる接触領域の当該サイトで明白になる。この場合、エンボスサイトの非直線プロファイルは、接触領域付近の方向におけるエンボスされた金属の強い移動をもたらす。プロセスにおいて生じる非平面性は、生成される構造の質に大きな影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開1329952A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、接触領域においてアンダーカットを含むプリント導体構造を生成し、前記アンダーカット生成中に生じる張力から生じる非平面性が無いモジュール式金属テープを提供することである。
【0009】
他の目的は、前記モジュール式金属テープを製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明によれば、他の目的は、上述したモジュール式金属テープのモジュール及び電子部品を含むサブアセンブリを提供することである。
【0011】
前記目的は、独立請求項の課題を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、モジュール式金属テープが提供され、個々のモジュールは、電子部品の用途のためのキャリア領域であって、互いに平行かつコーナーにより隣接する少なくとも二つの辺を有するキャリア領域と、互いに平行なキャリア領域の少なくとも二つの辺の周囲、及び互いに平行なキャリア領域の少なくとも二つの辺のコーナーの周囲全体に延びる接触領域であって、互いに平行なキャリア領域の少なくとも二つの辺のコーナーの周囲に延びる接触領域の当該領域は、丸くなっている、接触領域と、接触領域からキャリア領域を隔てるブランキングと、を含み、少なくとも接触領域は、ブランキングに接続されるアンダーカットを含み、接触領域は、丸くなっている領域において、ブランキングに接続されるスリットを含む。
【0013】
また、モジュール式金属テープを製造する方法が提供され、(i)金属箔が提供され、(ii)キャリア領域、接触領域、ブランキング及び金属箔にパンチされたスリットを含むモジュールであって、キャリア領域は、互いに平行かつコーナーにより隣接する少なくとも二つの辺を含み、前記接触領域は、互いに平行な前記キャリア領域の前記少なくとも二つの辺の周囲、及び互いに平行な前記キャリア領域の前記少なくとも二つの辺の前記コーナーの周囲全体に延び、互いに平行な前記キャリア領域の前記少なくとも二つの辺の前記コーナーの周囲に延びる前記接触領域の当該領域は、丸くなっており、前記ブランキングは、前記接触領域から前記キャリア領域を隔て、前記スリットは、前記接触領域の丸くなった領域に設けられ、かつ前記ブランキングに接続され、(iii)前記接触領域は、前記ブランキングに接続されるアンダーカットを生成するためにエンボス加工がなされる。
【0014】
また、本発明は、サブアセンブリを提供し、サブアセンブリは、(i)モジュール式金属テープのモジュールであって、電子部品の用途のためのキャリア領域であって、互いに平行かつコーナーにより隣接する少なくとも二つの辺を有するキャリア領域と、互いに平行な前記キャリア領域の前記少なくとも二つの辺の周囲、及び互いに平行な前記キャリア領域の前記少なくとも二つの辺の前記コーナーの周囲全体に延びる接触領域であって、互いに平行な前記キャリア領域の前記少なくとも二つの辺の前記コーナーの周囲に延びる前記接触領域の当該領域は、丸くなっている、接触領域と、前記接触領域から前記キャリア領域を隔てるブランキングと、を含み、少なくとも前記接触領域は、前記ブランキングに接続されるアンダーカットを含み、前記接触領域は、丸くなっている領域において、前記ブランキングに接続されるスリットを含み、(ii)前記モジュールの前記キャリア領域に適用される電子部品であって、キャスティングコンパウンドにより覆われ、キャスティングコンパウンドは、前記接触領域に対して前記電子部品を取り囲むキャスティングコンパウンドの固着を形成するために、前記アンダーカットに位置する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の図面を参照して説明されるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【図1】図1は、本発明のモジュール式金属テープのモジュールの平面図を示す。
【図2】図2は、図1に係るモジュール式金属テープのモジュールの断面を示す。この断面は、図1の二つの矢印によりマークされた平面に沿って位置づけられる。また、チップ及びチップの周囲のキャスティングコンパウンドが示される。よって、最終的に、図2は、本発明に係るサブアセンブリの断面を示す。
【図3】図3は、キャリア領域から接触領域を隔てる本発明に係るモジュール式金属テープのモジュールのブランキングを示す。
【図4】図4は、本発明に係るモジュール式金属テープのモジュールの接触領域におけるアンダーカットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によれば、金属テープが提供される。
【0017】
本発明によれば、金属テープの文言は、金属又は金属合金を含む金属箔(20)を含むものである。
【0018】
金属箔(20)の金属又は金属合金は、貴金属又は非貴金属でありうる。好ましい実施形態によれば、金属は、銅であり、金属合金は、銅合金である。特定の好ましい実施形態によれば、CuSn6合金は、金属合金として用いられる。
【0019】
金属又は金属合金は、コーティングされてもよく、又はコーティングされなくてもよい。金属又は金属合金は、例えば、電気めっきされうる。電気めっきは、貴金属又は非貴金属でもたらされ、スズ、銀及び金が特に好ましい。
【0020】
好ましくは、金属箔(20)は、金属又は金属合金の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、さらに好ましくは少なくとも99重量%、特に好ましくは100重量%含む。
【0021】
好ましくは、金属箔(20)は、連続したテープである。したがって、金属箔(20)の長さは、特に限定されない。
【0022】
金属テープは、複数のモジュール(11)を含む。本発明の範囲によれば、モジュール(11)は、金属テープに配置され、同一又は類似のデザインの構造となることが理解される。好ましい実施形態によれば、個々のモジュール(11)は、金属テープに均等に配置される。特に、複数のモジュールは、金属テープの幅及び長さに沿って互いに隣接して配置されうる。
【0023】
本発明によれば、個々のモジュール(11)は、キャリア領域(60)を含む。前記キャリア領域(60)は、電子部品(30)の用途のために適している。電子部品(30)は、好ましくは集積回路であり、特に好ましくはチップである。したがって、キャリア領域(60)は、電子部品(30)を好ましくは完全に取ることができるように設計される。
【0024】
キャリア領域(60)は、互いに平行、かつコーナー(64)により隣接する少なくとも二つの辺(62)を含む。互いに平行な二つの辺(62)は、平坦であることが好ましい。本発明によれば、コーナー(64)は、ちょうど丸くなってもよい。好ましい実施形態によれば、キャリア領域(60)は、4つの辺を含み、各辺の対は互いに平行である。好ましくは、キャリア領域(60)は、矩形である。特に好ましい実施形態によれば、矩形の全てのコーナーは、丸くなっている。
【0025】
また、個々のモジュール(11)は、接触領域(70)を含む。好ましい実施形態によれば、各モジュール(11)は、キャリア領域(60)に隣接するブランキング(80)に直接接する、少なくとも2つ、好ましくは正確に2つの接触領域(70)を含む。
【0026】
使用時に、接触領域(70)は、適切な接触ツールを介して電子部品(30)に電気的に接続される。前記接触ツールは、好ましくは接触ワイヤである。
【0027】
接触領域(70)は、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)の周囲、及び互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲全体に延びる。本発明によれば、周囲全体に延びるとは、仮想平行直線が想定され、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)の間で延び、接触領域(70)を交差することを意味するように理解することが好ましい。
【0028】
また、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる、接触領域(70)の領域は、丸くなっている。本発明によれば、丸くなるとは、直線形状からの任意の変移を含むように理解される。
【0029】
また、接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)が提供される。よって、ブランキング(80)は、金属箔(20)が無いキャリア領域(60)と接触領域(70)との間で、凹部となるように理解される。
【0030】
接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)だけでなく、所望のプリント導体パターンを生成するブランキングが、さらに提供されうる。前記のさらなるブランキングの形状及びデザインは、制限されない。
【0031】
また、モジュール(11)は、フィン(110)を含む。好ましくは、前記フィン(110)は、キャリア領域(60)に一体的に接続される。この文脈では、一体的に接続されるとは、キャリア領域(60)及びフィン(110)が凹部を介して互いに隔てられないことを意味するように理解される。しかしながら、これは、開口の形態で、凹部がフィン(110)自体に存在することを排除しない。フィン(110)自体は、ブランキング(80)を介して形成される。接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)は、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)の周囲、及び互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる。好ましくは、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)の一方の周囲、及び前記一方の辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びるブランキング(80)は、前記一方の辺(62)に平行なキャリア領域(60)の辺(62)の周囲、及び前記一方の辺(62)のコーナーの周囲に延びるブランキング(80)に接続されない。むしろ、前記2つのブランキング(80)は、本発明に係るフィン(110)を開放する。よって、フィン(110)は、接触領域(70)から互いに隔てられる。好ましくは、接触領域(70)は、本発明に係るフィン(110)及び凹部を介して、互いに隔てられる。これは、接触領域(70)が、周囲の金属箔(20)を介して、電気伝導手段で互いに接続されうることを排除するものではない。
【0032】
接触領域(70)は、ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を含む。
【0033】
本発明によれば、アンダーカット(50)は、後に電子部品(30)から反対側へ向く接触領域(70)の表面領域において凹部となるように理解される。アンダーカット(50)は、ブランキング(80)と流体連通する。これは、キャスティングコンパウンド(40)が、ブランキング(80)及びアンダーカット(50)の両方へ流れることを可能にする。よって、接触領域(70)におけるアンダーカット(50)により、キャスティングコンパウンド(40)で電子部品(30)を覆うこと、及びキャスティングコンパウンドの硬化が、キャスティングコンパウンド(40)による接触領域(70)に固定された電子部品(30)をもたらす。
【0034】
接触領域(70)だけでなく、キャリア領域(60)もまた、ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を含みうる。前述したように、アンダーカット(50)は、ブランキング(80)と流体連通する。これは、キャスティングコンパウンド(40)が、ブランキング(80)、接触領域(70)のアンダーカット(50)及びキャリア領域(60)のアンダーカット(50)へ流れることを可能にする。前記実施形態によれば、接触領域(70)及びキャリア領域(60)におけるアンダーカット(50)により、キャスティングコンパウンド(40)で電子部品(30)を覆うこと、及びキャスティングコンパウンドの硬化が、キャスティングコンパウンド(40)による接触領域(70)及びキャリア領域(60)に固定された電子部品(30)をもたらす。
【0035】
また、フィン(110)は、接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)をちょうど含みうる。フィン(110)自体が開口の形態の凹部を含む場合、フィンは、前記凹部に接続されるアンダーカットをちょうど含みうる。
【0036】
接触領域(70)は、少なくとも丸くなった領域において、ブランキング(80)に接続されるスリット(90)を含む。接触領域(70)の丸くなった領域に配置されるスリット(90)は、ブランキング(80)と流体連通する。本発明によれば、スリット(90)は、凹部を意味するように理解され、これは、例えば、パンチアウトされ、エンボス加工処理中に移動される材料を取り外す。
【0037】
特に好ましい実施形態によれば、接触領域における本発明に係るアンダーカット(50)もまた、接触領域(70)のスリット(90)に接続される。
【0038】
個々のスリット(90)の容積は、0.00025から0.00055mmの範囲内であることが好ましく、0.0003から0.0005mmの範囲内であることがより好ましく、0.00035から0.00045mmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0039】
個々のスリット(90)の周囲の長さは、0.30から0.50mmの範囲内であり、0.35から0.45mmの範囲内であることがより好ましい。本発明によれば、個々のスリット(90)の周囲の長さとは、スリット(90)の輪郭を形成する金属テープの接触領域(70)の断面の長さを意味するように理解される。
【0040】
また、個々のスリット(90)のスリット幅は、0.20−0.40mmの範囲内であり、0.25−0.35mmの範囲内であることがより好ましい。本発明によれば、スリット幅は、スリット(90)を形成する凹部の幅を意味するように理解される。
【0041】
他の好ましい実施形態によれば、接触領域(70)のアンダーカット(50)の総体積に対するスリット(90)の体積分率は、1.0−2.5%の範囲内であり、1.5−2%の範囲内であることが好ましい。前記追加の体積は、アンダーカット(50)のエンボス加工中に移動される材料を取ることを可能にし、張力の形成を効果的に抑制する。
【0042】
他の好ましい実施形態によれば、接触領域(70)の周囲の長さは、スリット(90)の存在により0.5−2%増加し、0.9−1.5%増加することがより好ましい。接触領域(70)のアンダーカット(50)がスリット(90)に接続された場合、キャスティングコンパウンド(40)を導入した後に、電子部品(30)を取り囲むキャスティングコンパウンド(40)を接触領域(70)に固定するために、アンダーカット(50)のより多くの面積が取得可能になるように、スリット(90)の存在は、ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を有する接触領域(70)のエッジの長さを増加させる。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つのスリット(90)、より好ましくは正確に1つのスリット(90)は、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる接触領域(70)の丸くなった領域それぞれに存在する。
【0044】
好ましい実施形態によれば、接触領域(70)は、互いに平行に延びていないスリット(90)が、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)の一つの周囲及び前記辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる接触領域(70)に含まれる場合、少なくとも丸くなった領域において、スリット(90)を含む。
【0045】
特に好ましい実施形態によれば、接触領域(70)は、スリット(90)が、接触領域(70)の表面に平行に延びる軸を有する幾何学形状を含む場合、少なくとも丸くなった領域において、スリット(90)を含み、前記軸は、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)に厳密ではないが垂直に延びる。好ましくは、前記軸、及び互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)のなす角度は、90度以上であり、より好ましくは95度以上であり、さらに好ましくは100度以上であり、特に好ましくは105度以上である。
【0046】
他の特に好ましい実施形態によれば、接触領域(70)は、(i)互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)が長さIを有し、(ii)接触領域(70)が、ブランキング(80)を縁取る直線部分を含み、(iii)スリット(90)が接触領域(70)の表面に平行に延びる軸を有する幾何学形状を含む場合、少なくとも丸くなった領域において、スリット(90)を含み、前記軸は、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)に厳密ではないが垂直に延び、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)の周囲、及び互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる接触領域(70)の直線部分は、少なくとも(l−l/2)の長さを有し、好ましくは(l−l/4)、より好ましくは(l−l/5)、特に好ましくは(l−l/10)であり、接触領域(70)の表面に平行に延び、スリット(90)の無い軸は、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺(62)に厳密ではないが垂直に延び、前記直線部分に存在する。
【0047】
また、接触領域(70)は、また、丸くなっていない領域において、スリット(100)を含みうる。この文脈では、それぞれが同一の接触領域(70)の丸くなった領域のスリット(90)間の中央に位置する丸くなっていない領域の一つのスリット(100)が好ましい。
【0048】
驚くべきことに、スリット(90)の特定の配置により、モジュール式金属テープにおける製造に関連する非平面性を防ぐことが可能になることが明らかになった。これは、本発明に係る配置により、張力が低減されうるこのような手法で、特に接触領域(70)の実質的に丸くなっている領域において、アンダーカット(50)をエンボス加工する間に移動される材料を、スリット(90)により取ることを可能にする。
【0049】
好ましい実施形態によれば、金属テープの厚さは、0.03−0.15mmの範囲内であり、0.04−0.10mmの範囲内であることが好ましく、0.05−0.07mmの範囲内であることが特に好ましい。
【0050】
他の好ましい実施形態によれば、接触領域(70)及び適用可能であればキャリア領域のアンダーカット(50)も同様に、0.005−0.05mmの範囲内の深さを有し、0.02−0.05mmの範囲内であることがより好ましい。
【0051】
他の好ましい実施形態によれば、キャリア領域(60)の面積は、8−20mmの範囲内であり、9−16mmの範囲内であることが特に好ましい。
【0052】
他の好ましい実施形態によれば、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも2つの辺の長さは、2.5−4.5mmの範囲内であり、3.0−4.0mmの範囲内であることが特に好ましい。
【0053】
他の好ましい実施形態によれば、接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)の幅は、0.3−0.5mmの範囲内である。
【0054】
本発明は、また、上述したモジュール式金属テープを製造する方法に関する。
【0055】
この文脈では、金属箔(20)が先に提供される。好ましくは、金属箔(20)は、上記で規定された金属箔(20)である。
【0056】
本発明によれば、モジュール(11)は、キャリア領域(60)、接触領域(70)、ブランキング(80)及び金属箔(20)にパンチされたスリット(90)を含む。
【0057】
また、個々のモジュール(11)は、所望のプリント導体パターンを生成するために、別の領域を開放する別のブランキング(80)を含みうる。
【0058】
また、モジュール(11)も、好ましくはキャリア領域(60)に一体的に接続され、接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)を介して形成され、互いに接触領域(70)を隔てるフィン(110)を含みうる。
【0059】
モジュール(11)及びその部品の設計については、上記の記載を参照して下さい。
【0060】
したがって、キャリア領域(60)は、互いに平行かつコーナー(64)により隣接する少なくとも二つの辺(62)を有する。接触領域(70)は、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)の周囲、及び互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲全体に延び、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる接触領域(70)の当該領域は、丸くなっている。ブランキング(80)は、キャリア領域(60)を接触領域(70)から隔てるように設計される。また、丸くなっている領域において、接触領域(70)は、ブランキング(80)に接続するスリット(90)を含む。
【0061】
キャリア領域(60)、接触領域(70)、ブランキング(80)及びスリット(90及び/又は100)の設計について、上記の記載を参照して下さい。
【0062】
パンチングは、一又はそれ以上のステップに影響を及ぼしうる。好ましくは、共通のパンチングツールがパンチング処理に用いられうる。
【0063】
例えば、適用可能であれば、スリット(90及び/又は100)及び他のブランキングと同様に、パンチング処理の一つの工程で、キャリア領域(60)及び接触領域(70)を開放するブランキング(80)を生成するパンチングツールを使用することが可能である。
【0064】
しかし、それに替えて、2つ又はそれ以上のパンチングツールが使用されてもよく、第1のパンチングツールがキャリア領域(60)及び接触領域(70)を開放するブランキング(80)を生成し、第2のパンチングツールが本発明に係るスリット(90)を生成する。
【0065】
金属テープにおけるパンチングモジュールの技術は、既知である。この文脈に適切な文献を参照して下さい。
【0066】
アンダーカット(50)は、パンチング処理に続いて生成される。アンダーカット(50)は、少なくとも接触領域(70)に位置されるが、キャリア領域(60)に追加で位置されてもよい。前記アンダーカット(50)は、ブランキング(80)と流体連通する。
【0067】
アンダーカット(50)を生成するために、接触領域(70)及び適用可能であればキャリア領域(60)は、エンボス加工ツールにより処理される。前記エンボス加工ツールは、接触領域(70)及び適用可能であればモジュール(11)の使用中に電子部品(30)を後に取る表面から反対側に向くキャリア領域(60)の領域に、アンダーカット(50)をエンボス加工する。
【0068】
金属テープでアンダーカットをエンボス加工する技術は既知である。この文脈に適切な文献を参照して下さい。
【0069】
金属箔(20)のいくつかの材料は、前記エンボス加工工程で移動する。前記移動した材料は、金属箔(20)が無い領域にのみ流れ込みうる。これは、特に、キャリア領域(60)及び接触領域(70)を隔て、エンボスされたアンダーカット(50)に流体連通するブランキング(80)が影響するためである。
【0070】
従来から知られている方法によれば、移動した材料は、張力をもたらす。特に、移動した材料は、ブランキング(80)だけでなく、接触領域の底部に定着し、金属テープの前記領域に非平面性をもたらす。これらの効果は、主にエンボスプロファイルが直線ではなく、曲線になっている領域で生じる。
【0071】
本発明に係り、提供されるスリット(90)のために、特に張力及び非平面性を目的として特に接触領域(70)の丸くなった領域のエンボス加工処理において、移動する材料を完全に防ぐことが可能である。これは、エンボス加工中に移動した材料を取る凹部を提供するスリット(90)によるものであり、よって、張力を低減し、金属テープに生じる非平面性を効果的に抑制する。
【0072】
本発明は、またパンチング及びエンボス加工ツールを組み合わせたものを使用したちょうど一つの作業工程で処理するための、ブランキング(80)のパンチング及びアンダーカット(50)のエンボス加工を提供しうる。
【0073】
本発明は、さらに、上述した金属部品(30)と同様に、金属テープのモジュール(11)を含むサブアセンブリ(10)に関する。
【0074】
モジュール(11)は、電子部品(30)の用途のためのキャリア領域(60)であって、互いに平行かつコーナー(64)により隣接する少なくとも二つの辺(62)を有するキャリア領域と、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)の周囲、及び互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲全体に延びる接触領域(70)であって、互いに平行なキャリア領域(60)の少なくとも二つの辺(62)のコーナー(64)の周囲に延びる接触領域(70)の当該領域は、丸くなっている、接触領域(70)と、接触領域(70)からキャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)と、を含み、少なくとも前記接触領域(70)は、前記ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を含む。
【0075】
モジュール(11)のデザイン及びモジュール(11)の部品については、上記の説明を参照して下さい。
【0076】
サブアセンブリ(10)は、電子部品(30)をさらに含む。好ましくは、前記電子部品(30)は、集積回路であり、特にチップである。
【0077】
本発明によれば、電子サブアセンブリ(30)は、モジュール(11)のキャリア領域(60)に適用される。電子部品(30)は、前記の位置に取り付けられる。本発明によれば、取り付けは、キャスティングコンパウンド(40)を介して影響を受ける。
【0078】
好ましくは、キャスティングコンパウンド(40)は、重合可能なモノマー混合物である。前記型のキャスティングコンパウンド(40)は、従来から知られている。
【0079】
したがって、電子部品(30)は、キャスティングコンパウンド(40)により覆われる。キャスティングコンパウンド(40)もまた、接触領域(70)及び適用可能であれば、キャリア領域(60)のアンダーカット(50)に位置される。この文脈において、電子部品(30)を取り囲むキャスティングコンパウンド(40)は、接触領域(70)及び適用可能であれば、キャリア領域(60)に固定される。
【0080】
好ましい実施形態によれば、サブアセンブリ(10)は、接触ワイヤをさらに含み、各接触ワイヤの一端は、電子部品に配置され、他端は、接触領域(70)の一つに配置される。接触ワイヤは、主として電子部品(30)及び接触領域(70)の電気的な接触の役割を果たす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式金属テープであって、個々のモジュール(11)は、
電子部品(30)の用途のためのキャリア領域(60)であって、互いに平行かつコーナー(64)により隣接する少なくとも二つの辺(62)を有するキャリア領域(60)と、
互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の周囲、及び互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の前記コーナー(64)の周囲全体に延びる接触領域(70)であって、互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の前記コーナー(64)の周囲に延びる前記接触領域(70)の当該領域は、丸くなっている、接触領域(70)と、
前記接触領域(70)から前記キャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)と、を含み、
少なくとも前記接触領域(70)は、前記ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を含み、
前記接触領域(70)は、丸くなっている領域において、前記ブランキング(80)に接続されるスリット(90)を含むことを特徴とするモジュール式金属テープ。
【請求項2】
前記キャリア領域(60)もアンダーカット(50)を含むことを特徴とする請求項1に記載のモジュール式金属テープ。
【請求項3】
前記モジュール(11)は、前記キャリア領域(60)に一体的に接続され、前記接触領域(70)から前記キャリア領域(60)を隔てる前記ブランキング(80)を介して形成され、かつ前記接触領域(70)を互いに隔てるフィン(110)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のモジュール式金属テープ。
【請求項4】
金属テープの厚さは、0.03−0.15mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のモジュール式金属テープ。
【請求項5】
前記接触領域(70)の前記アンダーカット(50)の深さ、及び適用可能な場合における前記キャリア領域(60)の前記アンダーカット(50)の深さは、0.005−0.05mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のモジュール式金属テープ。
【請求項6】
(i)金属箔(20)が提供され、
(ii)キャリア領域(60)、接触領域(70)、ブランキング(80)及び前記金属箔(20)にパンチされたスリット(90)を含むモジュール(11)であって、
前記キャリア領域(60)は、互いに平行かつコーナー(64)により隣接する少なくとも二つの辺(62)を含み、
前記接触領域(70)は、互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の周囲、及び互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の前記コーナー(64)の周囲全体に延び、互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の前記コーナー(64)の周囲に延びる前記接触領域(70)の当該領域は、丸くなっており、
前記ブランキング(80)は、前記接触領域(70)から前記キャリア領域(60)を隔て、
前記スリット(90)は、前記接触領域(70)の丸くなった領域に設けられ、かつ前記ブランキング(80)に接続され、
(iii)前記接触領域(70)は、前記ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を生成するためにエンボス加工がなされる、請求項1から5のいずれか一項に記載のモジュール式金属テープを製造する方法。
【請求項7】
サブアセンブリ(10)であって、
(i)モジュール式金属テープのモジュール(11)であって、
電子部品(30)の用途のためのキャリア領域(60)であって、互いに平行かつコーナー(64)により隣接する少なくとも二つの辺(62)を有するキャリア領域(60)と、
互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の周囲、及び互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の前記コーナー(64)の周囲全体に延びる接触領域(70)であって、互いに平行な前記キャリア領域(60)の前記少なくとも二つの辺(62)の前記コーナー(64)の周囲に延びる前記接触領域(70)の当該領域は、丸くなっている、接触領域(70)と、
前記接触領域(70)から前記キャリア領域(60)を隔てるブランキング(80)と、を含み、
少なくとも前記接触領域(70)は、前記ブランキング(80)に接続されるアンダーカット(50)を含み、
前記接触領域(70)は、丸くなっている領域において、前記ブランキング(80)に接続されるスリット(90)を含むモジュール(11)と、
(ii)前記モジュール(11)の前記キャリア領域(60)に適用される電子部品(30)であって、キャスティングコンパウンド(40)により覆われ、キャスティングコンパウンド(40)は、前記接触領域(70)に対して前記電子部品(30)を取り囲むキャスティングコンパウンド(40)の固着を形成するために、前記アンダーカット(50)に位置する電子部品(30)と、を含むサブアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記キャリア領域(60)もアンダーカット(50)を含むことを特徴とする請求項7に記載のサブアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記モジュール(11)は、前記キャリア領域(60)に一体的に接続され、前記接触領域(70)から前記キャリア領域(60)を隔てる前記ブランキング(80)を介して形成され、かつ前記接触領域(70)を互いに隔てるフィン(110)を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載のサブアセンブリ(10)。
【請求項10】
金属テープの深さは、0.04−0.08mmの範囲内であり、前記接触領域(70)の前記アンダーカット(50)の深さ、及び適用可能な場合における前記キャリア領域(60)の前記アンダーカット(50)の深さは、0.002−0.035mmの範囲内である請求項7から9のいずれか一項に記載のサブアセンブリ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−517956(P2013−517956A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549286(P2012−549286)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000194
【国際公開番号】WO2011/088987
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511213476)ヘレウス マテリアルズ テクノロジー ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (7)
【Fターム(参考)】