説明

パントプラゾール多粒子処方

経鼻胃チューブおよび胃瘻チューブへの粘着を回避するパントプラゾールナトリウム多粒子が記載される。該パントプラゾール多粒子は、パントプラゾールまたはそのエナンチオマーまたはその塩、界面活性剤および崩壊剤からなる球状コア;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)および水からなるサブコート、該サブコート上の腸溶性コート、および該腸溶性コート上のヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)および水からなる最終シールコートを有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
パントプラゾール、5−(ジフルオロメトキシ)−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾールは、胃壁細胞に存在する酵素であるH+/K+−アデノシントリホスフェート(ATP)の阻害剤(酸ポンプまたはプロトンポンプ阻害剤(PPI)としても知られている)である。これらの薬物は、胃壁細胞において活性なスルフェナミド代謝産物に代謝され、それがプロトンポンプのスルフヒドリル基を不活化し、かくして、水素イオン分泌が減少されると考えられる。PPIは、一般に、低pHで貧水溶性の脂肪親和性弱塩基である。多くのPPIは、低pH溶液中で不安定であり、迅速な酸触媒性分解を受け、それらは、中性または高pHで比較的安定である。
【0002】
現在市販されているナトリウムパントプラゾール経口処方は、一単位の被覆錠剤である。例えば、参考までに、米国特許第5997903号は、コア、中間層および外層からなるパントプラゾールの経口形態を記載している。該コーティングは、錠剤の胃腸管への望ましくない粘着を引き起こす傾向がある。
【0003】
多粒子(multiparticulate)処方は、胃腸管内で分散する性質があるので、一単位錠剤と比べて、胃内容排出時間中における食物の影響および変動が小さく、それにより、対象間および対象内変動が小さくなる(Intl. Journal of Pharmaceutics 140 [1996] 229-235)。
【0004】
過去に、パントプラゾール多粒子処方を開発するためのいくつかの試みが不成功に終わっている。しかしながら、これらの試みは、錠剤と生物学的に等価ではない多粒子を提供し、たった70%の相対的生物学的利用能を示した。異なる技術−ノンパレル・シード・コーティングおよび押出/球状化(spheronization)を用いる別の試みは、酸性条件下で適当な放出をもたらさない生産物を生じた。さらに、これらの試みは、室温で保存した場合、変色によって観察されるような不安定な生産物を提供した。
【0005】
発明の概要
本発明は、対象間および対象内変動が小さい安定な多粒子パントプラゾール処方を提供する。
一の具体例において、本発明のパントプラゾール多粒子は、パントプラゾールまたはそのエナンチオマーまたはその塩もしくは水和物、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの崩壊剤および約1%〜約2%w/wの水を含む球状(spheroid)コア;該コア上の腸溶性コート(ここに、該腸溶性コートは、該球状コアの約15〜約45%w/wの範囲において、メタクリル酸およびメタクリレートからなるコポリマーを含む)からなり、該多粒子は、平均約1mmの直径を有する。
【0006】
有利には、本発明の多粒子処方は、室温貯蔵条件下で、少なくとの12ヶ月間安定である。今日までに利用可能な12ヶ月室温データおよび6ヶ月40℃/75%相対湿度(RH)データを用いる傾向分析に基づいて、本発明の多粒子は、2年を越える貯蔵寿命を有するものである。典型的に、本発明の多粒子処方は、貯蔵の間に、90%〜110%の強度を保持する場合、安定であるとみなされる。
【0007】
本発明のパントプラゾール多粒子処方は、腸壁、経鼻胃チューブおよび胃瘻チューブに付着する傾向がほとんどなく、それにより、パウチ材料は、薬物放出部位に薬品を予想通りに送達できる。また、それは、胃腸痛の軽減のための作用を早期に発現し、長期間作用を維持する。該処方は、小児患者および固形食物を嚥下するのが困難な患者に対する投与が可能である。該処方はまた、経鼻胃チューブおよび胃瘻チューブを介する薬物送達を可能にする。
【0008】
発明の詳細な記載
本発明は、アルカリ性pH環境下でパントプラゾールナトリウムと適合性の賦形剤および界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)の独特な組み合わせを有するパントプラゾール多粒子処方を提供する。さらに、本発明は、造粒に低速剪断および乾燥に低温を用いる該多粒子の製造方法を提供する。該方法は、本発明の多粒子のコアの安定性に寄与する。
【0009】
一の態様において、本発明は、胃内条件下で放出が遅く、中性pHにて、すなわち、胃腸管下部において放出が速いパントプラゾール多粒子処方を提供する。
本発明のナトリウムパントプラゾール多粒子処方は、パントプラゾールの患者への送達のための増強された系を提供する。現在市販されている処方は、単一のモノリシック錠剤である。カプセルまたはホイルパケットにおける使用に適合できる本発明の球状多粒子処方は、押出/球状化およびコーティング技術によって調製することができる。
【0010】
本発明の多粒子の組成、および腸溶性コート、例えば、オイドラギット(Eudragit)は、低pH(〜1)での遅い放出および中性pH(〜7)での急速な放出が可能である。これは、患者において、より迅速な薬物血中レベルを提供し、それにより、より迅速な作用発現を提供する。犬のデータ結果に基づいて、単一のモノリシック錠剤と比べて、多粒子処方のより小さいTlag値は、より迅速な多粒子処方の作用発現を示す。
【0011】
多粒子処方の使用は、投与前に、該球状体を懸濁化液中に分散させるか、またはアップルソースのような低pH液中に振りかける/分散させることによって、小児患者および嚥下が困難な患者への投与を容易にする。該懸濁化液は、投与前に、粉末材料ブレンドと水とを混合することによって作製できる。また、カプセルまたはパウチまたはいずれか他の容器中において、より小さいサイズの該多粒子は、経鼻胃チューブまたは胃瘻チューブを介する投与を可能にする。
【0012】
該処方は、現在市販されている錠剤と比べて、GI痛のより迅速な軽減、および長期間の作用(持続性放出)を可能にする。
【0013】
I.本発明の多粒子
適当には、該多粒子は、約0.1〜2mm、または0.5mm〜1.5mm、または0.7mm〜1.25mm、または0.8mm〜1mmの範囲にある。一の具体例において、本発明の組成における多粒子は、平均約1mmの直径を有する。典型的には、本発明の多粒子は、経鼻胃チューブ中の通過を容易にするために、約1mm以下のサイズである。
【0014】
本発明の多粒子は、少なくとも、球状コアと該コア上の腸溶性コートからなる。該コアと腸溶性コートとの間には、最初のシールコートが施されていてもよく、例えば、該最初のシールコートは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)のコーティングを含む。また、腸溶性コート上には、最終シールコートが施されていてもよく、例えば、該最終シールコートは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)のコーティングである。該球状コアは、少なくとも、パントプラゾールまたはその塩および界面活性剤からなる。
【0015】
本明細書中で使用される場合、文脈上他の意味に解すべき場合をのぞき、「パントプラゾール」なる語は、5−(ジフルオロメトキシ)−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジル)メチルスルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾールおよびそのエナンチオマーを示し、「パントプラゾール化合物」なる語は、パントプラゾールならびにそのエナンチオマーおよび塩および水和物を包含する。活性な化合物、パントプラゾールは、欧州特許第166 287号に記載されており(その調製法が記載されている)、PROTONIX(登録商標)なる商品名で市販されている。パントプラゾールの医薬上許容される塩の例は、例えば、特に、ナトリウム、マグネシウムおよびカルシウムを包含し、また他にも、欧州特許第166 286号(出典明示により、本明細書の一部とする)に記載されている。適当な塩の選択は、本発明を限定するものではない。一の具体例において、該塩はナトリウムである。典型的には、パントプラゾール化合物は、多粒子全体の約5〜50%w/w、より好ましくは、約20〜45%w/wの範囲で配合される。
【0016】
適当な界面活性剤は、当業者に既知である。しかしながら、特に望ましいものは、ラウリル硫酸ナトリウム、例えばポリソルベート80を包含するポリソルベート、およびこれらの成分の混合物である。典型的には、界面活性剤は、コア中、該コアの約2〜約7%w/w、望ましくは、約5%w/wの量で配合される。別の具体例において、界面活性剤は、約5:3の薬物:界面活性剤(例えば、パントプラゾールナトリウムセスキ水和物 対 ラウリル硫酸ナトリウム)〜約10:1の薬物:界面活性剤(例えば、パントプラゾールナトリウムセスキ水和物 対 ポリソルベート80)の比率で配合される。有利には、多粒子処方中の界面活性剤が、湿潤性を高め、かくして、本発明の多粒子処方からのナトリウムパントプラゾールの放出の速度および程度ならびに吸収を増強することがわかった。
【0017】
さらに、該球状コアは、崩壊剤、pH調整剤、および所望により、結合剤または他の賦形剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ヒプロメロース2208)を含有することができる。適当には、コア中に存在する崩壊剤の総量は、約15%w/w〜約80%w/w、または約20%w/w〜約70%w/w、または約25%w/w〜約45%w/w、または約30%w/w〜約42%w/wである。一の具体例において、薬物 対 結合剤の総量は、重量に基づき、約50:1〜約40:1の薬物:結合剤比によって示される。処方中のpH調整剤の総量は、該多粒子の約0.1%w/w〜約10%w/w、または約1%w/w〜約8%w/w、または約3%w/w〜約7%w/wの範囲であることができる。しかしながら、これらのパーセンテージは、必要に応じて、または所望により、当業者が調整することができる。
【0018】
崩壊剤は、例えば、特にセルロースおよびクロスポビドンを包含する他の既知の崩壊剤の中から選択されうる。一の具体例において、崩壊剤は、微結晶セルロースおよびクロスポビドンおよびその混合物から選択される。結合剤は、例えば、特にセルロースおよびポビドンを包含する既知の結合剤の中から選択されうる。一の具体例において、結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)である。適当なpH調整剤は、例えば、特に、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムを包含する。また他の適当な成分は、当業者に容易に明らかであろう。
【0019】
一の具体例において、該球状コアは、乾燥したコーティングされていないコアに基づいたw/wで、約45%のパントプラゾールナトリウムセスキ水和物(約40%の遊離パントプラゾール)、約25〜30%、好ましく約27%の微結晶セルロース、約4〜6%、好ましくは約5%のポリソルベート80、約14〜16%、好ましくは約15%のクロスポビドン、約0.5〜2%、好ましくは約1%のヒプロメロース2208、約5〜8%、好ましくは約6.5%の炭酸ナトリウムを含有する。一の具体例において、該球状コアは:
パントプラゾールナトリウムセスキ水和物 45.24%w/w
微結晶セルロース 27.25%w/w
ポリソルベート80 5%w/w
クロスポビドン 15%w/w
ヒプロメロース2208 1%w/w
炭酸ナトリウム 6.5%w/w
を含有する。
【0020】
別の具体例において、該球状コアは:
【表1】

【0021】
下記される乾燥過程の間にコアから水分が除去されるが、好ましくは、コアは約1%〜約2%の水を保持する。理論によって縛られることは望ましくないが、本発明者らは、失敗した先行技術の多粒子パントプラゾールを製造する試みと比べて、この水分が該多粒子の安定性を与えると考えている。
【0022】
所望により、最初のシールコート(またはサブコート)は、腸溶性コートでコーティングする前に、直接コアに施すことができる。該シールコートの成分は、当業者が変更することができるが、特に適当な最初のシールコートは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)および水からなる。例えば、適当な最初のシールコートは、7.5%w/wヒプロメロース溶液として施すことができる。典型的には、かかるシールコートは、コーティングされていないコアの約2%w/w〜約4%w/wまたはコーティングされた多粒子の約1%w/w〜約2%w/wの範囲である。
【0023】
一の具体例において、サブコートを有する多粒子は:
【表2】

を含有する。
【0024】
腸溶性コートは、存在するならば最初のシールコート上に、またはコーティングされていないコアに直接施される。適当には、腸溶性コートは、多粒子の約15〜45%w/w、または約20%w/w〜約30%w/w、または約25%w/w〜約30%w/wの量でコアを被覆するように施される。一の具体例において、腸溶性コートは、多粒子の約27.5〜32.5%w/wである。適当には、腸溶性コートは、メタクリル酸およびメタクリレートのコポリマーである生成物、例えば市販のオイドラギットL 30D−55を含有する。一の具体例において、腸溶性コートは、オイドラギットL30D−55コポリマー、タルク、クエン酸トリエチル、水酸化ナトリウムおよび水からなる。より特別には、腸溶性コーティングは、多粒子の約30%w/w(30wt%分散液として施される)のオイドラギットL 30D−55コーティング;約15%w/wのタルク、約3%w/wのクエン酸トリエチル、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤および水を含有しうる。腸溶性コートにおいて使用するための他の適当な材料を選択してもよく、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレートなどを包含する。
【0025】
一の具体例において、本発明の多粒子は、コア上のサブコートおよび腸溶性コートと共に提供され、下記の通りである。
【表3】

【0026】
一の具体例において、腸溶性コーティングされた多粒子をさらに、最終シールコートでコーティングする。適当には、該最終シールコートは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、コーティングされた多粒子の約0.1%w/w〜10%w/w、0.1%w/w〜約5%w/w、または約0.2%w/w〜約4%w/wである。
【0027】
一の具体例において、水(製造中に除去される)中における多粒子の0.5〜1%w/w量のヒドロキシプロピルメチルセルロースの最終シールコートを腸溶性コート上に施す。この後、所望により、タルクのコーティングを最終シールコート上に約0.05%w/w〜約1%w/w、好ましくは0.1%w/w〜0.5%w/wの量で施すことができる。
【0028】
一の具体例において、本発明の得られる多粒子処方は、試験/参照の幾何平均AUC比89〜94(該比の90%信頼区間84〜100を伴う)または試験/参照の幾何平均Cmax比62〜66(該比の90%信頼区間56〜74を伴う)または下記に示すインビトロ溶出プロフィールを達成する。
【0029】
【表4】

【0030】
別の具体例において、本発明の得られる多粒子処方は、平均AUC5451〜5629ng.h/mlおよび平均Cmax1865〜1929ng/mlまたは下記のインビトロ溶出プロフィールを達成する。
【0031】
【表5】

*明細:酸 2時間−NMT10.0%;バッファー 45分−NLT75%
しかしながら、本発明はこれらの例示的プロフィールに限定されない。
【0032】
理論によって縛られることを望まないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの最終シールコート層が、粘膜接着性のオイドラギット層とGI管上部との間の接触を減らすための物理的障壁を提供し、それにより、薬物の効果的な放出および吸収に適当なGI管中のpH環境への該多粒子の確実な輸送が可能になると考えられる。さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの最終シールコート層は、該多粒子に抗接着性質を付与し、かくして、該多粒子は、パウチ材料および/または経鼻胃チューブに接着しない。本発明の多粒子は、経鼻胃チューブを介する投与、食物ビヒクル、特に、酸性食物ビヒクルを介する投与に適当である。
【0033】
II.本発明の多粒子処方の製造法
別の態様において、本発明は、本発明の多粒子処方の製造法を提供する。
典型的には、コーティングされていないパントプラゾール化合物を下記のように調製する。少なくとも1つのパントプラゾール化合物および結合剤を包含する乾燥成分を低速剪断条件下、適当なミキサー中で乾式混合する。適当な低速剪断条件は、例えば、Hobartミキサーを用いて、約25rpm〜35rpmの範囲にて、最も適当には32rpmにて、容易に達成することができる。しかしながら、当業者は、異なる装置を用いて、該選択された装置に適当な低速剪断設定にrpmを調整して、匹敵する低速剪断条件を達成することができるであろう。所望により、該工程において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはクロスポビドンを代わりに用いてもよく、または付加的に含んでいてもよい。さらに、該工程において、pH調整剤を含んでいてもよい。
【0034】
次いで、液体成分、例えば、界面活性剤および水を混合して、低速剪断条件下で混合することにより、造粒生成物を得る。適当な低速剪断条件は、例えば、Hobartミキサーを用いて、約25rpm〜35rpmの範囲にて、最も適当には32rpmにて、容易に達成することができる。しかしながら、当業者は、異なる装置を用いて、該選択された装置に適当な低速剪断設定にrpmを調整して、匹敵する低速剪断条件を達成することができるであろう。次いで、適当な装置(例えば、NICA押出/球体成形機(spehronizer))によって、造粒物を押出および球状化し、得られた球状体を乾燥させ、篩にかけ、所望によりブレンドして、貯蔵する。
【0035】
本発明者らは、本発明の多粒子を低温で乾燥させた場合、該化合物の安定性に有意な利益が与えられることを見出した。望ましくは、本発明のパントプラゾール多粒子の球状コアは、乾燥減量パーセント(%)が3.4%〜4.3%になるまで乾燥させる。本明細書中で使用される場合、低温乾燥は、10〜12時間、約40℃を越えない温度をいう。乾燥条件が該温度および時間を超えた場合、不純物が観察され、それが不安定性に寄与する。一の具体例において、コアの乾燥は、35℃〜40℃、または約37℃〜39℃の範囲で、約8〜72時間行われる。別の具体例において、コアは、約40℃で10〜12時間乾燥される。適当には、コーティング層が記載のように施される場合、種々のコーティング層のための乾燥温度もまた、この範囲内にある。
【0036】
所望により、親水性ポリマーの最初のシールコートをコーティングされていない多粒子に施すことができる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび精製水からなる最初のシールコートを流動床コーターにおいて、例えば、スプレーによって施すことができる。
腸溶性コートは、コーティングされていない球状コア、すなわち、コーティングされていない多粒子に直接施すことができ、または最初のシールコート上に施してもよい。上記の腸溶性コートは、典型的には、流動床wursterコーターにおいて施される。
【0037】
一の具体例において、最終シールコートを腸溶性コート上に施し、所望により、最終工程でタルクを用いた後、該多粒子を適当なパッケージング単位に詰める。
本発明の多粒子は、所望の送達経路に依存して、例えば、顆粒、ペレット、ビーズ、ミニタブ(minitab)、小球、小ビーズ(beadlet)、マイクロカプセル、ミリスフェア(millisphere)、ナノカプセル、マイクロスフェア(microsphere)、小板、錠剤およびカプセルを包含するいずれの適当な形態であってもよい。
【0038】
III.処方、キットおよび送達方法
別の具体例において、本発明は、本発明のパントプラゾール多粒子を含有する生産物を提供する。
適当には、本発明の多粒子組成物は、適当な量のパントプラゾール、例えば、5mg〜200mg、約10mg〜約100mg、または約40mg(遊離パントプラゾールに基づいて計算された)を患者が受け取るように処方される。好ましくは、該処方は、適当な投与量が単一の投与単位で送達されるようなものである。これらの投与量は、適当な期間、例えば、4週間〜8週間毎日投与してもよいが、より短い投与期間、例えば、3日〜3週間、1週〜3ヶ月間、またはより長期間、例えば、6ヶ月以上にわたって投与することができる。これらの組成物は、単独または制酸性組成物もしくは他の適当な組成物と共に送達することができる。
【0039】
一の具体例において、本発明は、少なくともProtonix40mg錠剤に生物学的に等価な曲線下面積(AUC)および表VIに示すようなCmaxが達成されるように有効投与量のパントプラゾール多粒子を投与することによってヒトを治療する方法を提供する。
【0040】
一の具体例において、パントプラゾール多粒子は、患者またはその介護人による使用のためにパッケージされる。例えば、該多粒子は、ホイルまたは他の適当なパッケージ中にパッケージすることができ、食品(例えば、アップルソースおよび他の酸性食物ビヒクル)または患者によって消費されるための飲料中に混合するのに適当である。
【0041】
本発明のパントプラゾール多粒子処方は、胃食道逆流疾患(GERD)、胃および十二指腸の潰瘍、およびゾリンジャー−エリソン症候群の治療に有用である。
別の具体例において、パントプラゾール多粒子は、生理学上適合性の懸濁化液体に懸濁される。
また別の具体例において、パントプラゾール多粒子は、経口送達のために、カプセル、カプレットなどに充填される。
またさらなる具体例において、本発明は、有効投与量の本発明のパントプラゾール多粒子を投与することによって、治療の必要な対象を治療する方法を提供する。
【0042】
下記の実施例は、本発明の特定の具体例を説明するものであり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0043】
実施例1−パントプラゾールナトリウム多粒子処方
最初の処方開発の間、NICA押出/球体成形機を用い、コーティングされていない多粒子のいくつかのプロトタイプを製造して、パントプラゾールナトリウム非コーティング錠剤である現在入手可能なProtonix(20mgおよび40mg)錠剤に類似するか、またはそれよりも速い目的の速放性プロフィールを得た。5〜28.5%という崩壊剤クロスポビドンのレベルおよび0.5〜1%という結合剤ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、4バッチにわたるコーティングされていない多粒子の製造の間に求められた。
【0044】
A.コーティングされていないパントプラゾールナトリウム多粒子の調製
より詳細には、パントプラゾールナトリウムセスキ水和物、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース2208)、クロスポビドンおよび炭酸ナトリウムをHobartミキサー中で乾式混合する。その後、ポリソルベート80,NF(植物由来)および精製水,USPを該Hobartミキサー中に加える。得られた造粒産物をNCA押出/球体成形機中で押出および球状化し、該球状体を40℃以下でトレイ乾燥させ、篩にかけ、次いで、PKブレンダー中に移す。最終的な球状体をドラム中で保管する。
15%崩壊剤クロスポビドンおよび1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース2208)を含有するバッチ(約200gmバッチ)の一つを、類似の放出プロフィールを有するプロトタイプとして選んだ。該バッチ由来の非コーティング球状体の篩カットオフ値は、500〜1000ミクロンであった。
【0045】
B.プロトタイプ・ラボ・バッチ(バッチA)
約100gのこれらのコーティングされていない球状体を3’’Wurster流動床コーター中、オイドラギットL30D−55およびヒプロメロースを用いてコーティングして、腸溶性コーティングした多粒子を得た。
該バッチのコーティングの間、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の最初のシールコートのレベルは、コーティングされていない多粒子の重量の4%であった。使用した乾燥ポリマーオイドラギットL30D−55の%w/wは、22.16%であった。コーティングバッチ中、懸濁液の一部の代わりにタルクを乾燥粉末としてコーティングチャンバー中に導入した。これは、100gバッチをコーティングするために用いられたのが小さいノズルサイズ(0.5mm)であったため、詰まる可能性があったからである。ラボバッチに用いられたタルクおよびクエン酸トリエチルの割合は、続いて調製された臨床バッチと比べて少なかった。該多粒子は、サイズ#2 HPMCカプセル中に、充填重量206mgで手で充填された。該カプセルを0.1N HClおよびpH6.8リン酸バッファー中、イン・ビトロで試験した。所望の通り、酸性培地中、2時間で1%未満が放出され、80%以上が塩基性培地中、45分で放出された。
【0046】
これらのカプセルを犬で試験した。CmaxおよびAUCは、市販のProtonix20mg錠剤と比較した(値は、40mg強度に当てはめた)。これらの多粒子は、所望の通り、pH6.8リン酸バッファー中で、市販のProtonix錠剤よりもはるかに速く薬物を放出することがわかった。最終シールコートは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)および水を含む。該バッチを球状体として、透明ガラスバイアル中にパッケージし、加速条件(30℃/65%相対湿度(RH)および40℃/75%RH)下で安定に置いた。3ヶ月間、安定性をモニターした。強度および溶出性の結果を表Iに示す。該多粒子は、3ヶ月間にわたって安定であり、安定な各時点でのカプセル中に充填された多粒子の40mg等価用量は、全ての溶出性および安定性基準を満たした。
【0047】
溶出性は、貯蔵した球状体をカプセル外皮中に充填し、0.1N HCl中での溶出(2時間での目的の放出:10%以下(NMT))、次いで、pH6.8リン酸バッファー中での溶出(45分での目的の放出:75%以上(NLT))によって試験された。許容基準は、さらに、ラベルに表示された強度の90〜110%の強度を必要とした。
【0048】
【表6】

1 1カプセル−78% 放出
【0049】
実施例2−コーティングされたパントプラゾールナトリウム多粒子処方(バッチB)
ラボバッチAに基づき、7’’wurster流動床コーターを用いて、1400gのさらにスケールアップしたバッチを製造した。該バッチのコーティングの間、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの最初のシールコートのレベルは、コーティングされたバッチAではコーティングされていない多粒子の重量の4%であったのに比べて、2%であった。使用された乾燥ポリマー、オイドラギットL30D−55の%w/wは、22.16%w/wであった。また、より大きなノズルサイズ(1mm)を用いたので、タルクを直接、該コーティング懸濁液に加えた。
0.1N酸中におけるコーティングされた多粒子の最初の放出は、高く(9.0%)、10%の限界に非常に近かった。該バッチ(B)は、加速条件(30℃/60%相対湿度(RH)および40℃/75%RH)で試験したとき、安定性および溶出性基準を満たさなかった。該バッチ由来の試験は、非コーティング多粒子の2%を越える最初のシールコートが該多粒子の安定性を増強することを示した。さらに、より多くの腸溶性ポリマーの負荷は、該プロセスをスケールアップした場合に、酸性培地中での放出を調節するのに有益でありうる。
【0050】
実施例3−パントプラゾール多粒子スケールアップバッチの調製
A.テクニカルバッチ
NICA押出/球体形成機を用いて、非コーティング多粒子の36kgテクニカルバッチを調製し、該バッチの20kgをGlatt GPCG−15機中で腸溶性コーティングして、32kgのコーティングした多粒子のバッチを得た。使用された乾燥ポリマー、オイドラギットL30D−55の%w/wは、22.16%w/wであった。該バッチをサイズ#3HPMCカプセル中に、充填重量156mgで充填した。2時間の0.1N HCl中での放出は、所望される10%よりも多かった。これに基づき、スケールアップの影響を考慮して、臨床バッチの処方および製法に少し調整を施した。
【0051】
B.臨床バッチ
湿った造粒塊からなる2つの12kgのサブバッチをNICA押出/球体形成機において、押出し、球状化して、湿った多粒子を得た。該多粒子を40℃にて10〜12時間、3.4%〜4.3%という所望の%LODになるまでトレイ乾燥した。該バッチをスクリーンし、GPCG−15機中でのコーティングの均一性および完全性を保証するために、コーティングされていない多粒子の16kgのみをコーティングに用いた。この篩にかけられた非コーティング多粒子を最初のヒドロキシプロピルメチルセルロースシールコート、次いで、オイドラギットL30D−55腸溶性コート、次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロース最終コートでコーティングして、33kgのコーティングした多粒子を得た。該バッチをサイズ#2HPMCカプセル中に、充填重量206mgで充填した。
【0052】
2時間の0.1N HCl中での放出は、10%の限界より小さく、pH6.8リン酸バッファー中では、45分で80%の限界よりも大きかった。該バッチは、イン・ビトロでの放出特徴を満たした。1ヶ月安定性データは、該多粒子が40℃/75%RHにて1ヶ月間安定であったことを示した。現在、該バッチは、室温で1年まで安定であり、40℃/75%RHで6ヶ月まで安定である。1年を超える室温条件での安定性研究は、進行中である。該バッチの1年室温安定性の結果を下表IIに示す。
球状体充填カプセルは、Protonix40mg錠剤と比べた場合、pH6.8リン酸バッファー中で、より迅速なイン・ビトロ放出性(溶出性)を有した。
【0053】
【表7−1】

【表7−2】

BRL = 報告限界未満 (0.05%)
NMT = 以下
NLT = 以上
RRT = 相対保持時間
a: 最初および再確認した溶出性の結果は、パントプラゾールナトリウム球状体40mg/206mgに関して提供される。これは、パントプラゾールナトリウム球状体充填カプセル40mgの製造のために使用される球状体のインゴーイング(ingoing)バッチである。
b. RRT=1.39での不純物に相当する
【0054】
実施例4−ビーグル犬におけるバッチA処方の評価
ナトリウムパントプラゾール多粒子処方のイン・ビトロ放出データは、市販の錠剤よりも速い放出性を示す。これは、より早期の吸収を提供し、それにより、より迅速な作用発現を提供する。犬でのデータは、単一モノリシック錠剤と比べて、明らかに、多粒子由来のナトリウムパントプラゾールのより早期の薬物レベルを示す。より早期の作用発現は、胃痛および他の胃腸(GI)障害のより迅速な軽減を提供する。
パントプラゾールナトリウム処方は、ビーグル犬(n=5)において評価されている。パントプラゾールの平均(SD)薬物動力学的パラメーターおよび相対的生物学的利用能を下表IIIに示す。
【0055】
示されるように、犬に投与されたナトリウムパントプラゾール多粒子処方の非最適化ラボバッチは、市販の錠剤よりも小さい遅延を示す。下表において、AUCは、プロトコール時間に対する平均濃度をプロットしている曲線下の面積を示す。Cmaxは、投与後の血液試料中において観察された最大の濃度値を示す。Tmaxは、Cmaxが起こる時点を示す。Tlagは、有効量の薬物が循環血液中で観察される前の投与後の時間を示す。t1/2(時間)は、薬物消失の半減期を提供する。相対的生物学的利用能は、静脈内投与(100%と仮定する)と比較した、消化管からの製品の吸収を示す。
【0056】
【表8】

a:AUCおよびCmaxは、40mg投与量に標準化される
b:市販錠剤製品に対する相対値
【0057】
ナトリウムパントプラゾール多粒子処方の犬でのデータは、市販の錠剤と類似のAUCを与える。理論によって縛られることを望まないが、該多粒子のより迅速な放出性および類似のAUCは、崩壊剤クロスポビドンのレベルを(該錠剤中のレベルと比べて)下げ、該球状コア中に機能的賦形剤ポリソルベート80を配合することによって達成されると考えられる。
【0058】
実施例5−パントプラゾールナトリウムセスキ水和物:賦形剤処方
該研究は、パントプラゾールナトリウムセスキ水和物とヒプロメロース2208、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、クロスポビドンおよびポリソルベート80との適合性を決定するために行われた。
【0059】
A.研究計画
該研究は、2セットの試料からなる。第1のセットは、薬物および賦形剤を含有した。第2のセットは、薬物、賦形剤および約2μlの水を含有した。薬物および賦形剤と共に水を含有する理由は、付加的な水の存在がいずれかの不適合性を引き起こすかどうかを見るためである。
賦形剤を下表に示される比率で薬物と混合した。賦形剤および薬物をガラスバイアル中に秤量した。次いで、該バイアルを15秒間ボルテックスした。同様に、第2セットの試料を調製した。約2μl(該ラボにおいてピペットで加えることのできる最少量の水)をこれらのバイアルに加えた。次いで、バイアルを5秒間ボルテックスした。最後に、第1および第2セットのバイアルに蓋をし、安定性チャンバー中に置いた。試験条件は、40℃/75%RHおよび51℃、3週間であった。
【0060】
B.結果
該薬物−賦形剤適合性研究の結果は、下表IVにおいて%回収として示す。適合性または不適合性の選択基準は、90−110%の%回収に基づく。
【0061】
【表9】

【0062】
表に示される結果から、以下の結論を導くことができる。ヒプロメロース2208、SLS、クロスポビドンおよびポリソルベート80は、40℃/75%RHにて3週間、パントプラゾールナトリウムセスキ水和物と適合性である。ヒプロメロース2208、SLSおよびクロスポビドンは、40℃/75%RHおよび51℃にて、付加的な水の有無にかかわらず、3週間、パントプラゾールナトリウムセスキ水和物と適合性である。
【0063】
該研究において、分解化合物は研究されなかった。しかしながら、小児臨床処方[パントプラゾールナトリウムセスキ水和物45.24%w/w、微結晶セルロース27.25%w/w、ポリソルベート80 5%w/w、クロスポビドン15%w/w、ヒプロメロース2208 1%w/w、炭酸ナトリウム6.5%w/w、精製水 十分量]を40℃/75%RHの加速条件下で研究した。該処方は、6ヶ月まで安定であり、室温で2年間の貯蔵寿命を提供する。
該小児用処方の成分を下表Vに示す。
【0064】
【表10】

【0065】
実施例6−成人対象におけるパントプラゾールナトリウム処方の評価
該研究において、記載のように処方された40mgパントプラゾールナトリウム臨床的小児用処方を健康な大人(n=24)に、アップルソース中に振りかけて、錠剤形態で、または不活性粉末ブレンドおよび水を用いて調製した水性懸濁液として投与した(各群8人)。
下表VIにおいて、カラム1は、薬物動力学的(PK)パラメーター、AUC(濃度曲線下の面積)、AUC(濃度時間曲線下の面積)およびCmax(最大濃度)を提供する。第2カラムは、試験/参照幾何平均(GM)比を提供する。第3カラムは、GM比の信頼区間を提供する。[FDAは、試験および参照間のAUCおよびCmaxの幾何平均比の90%信頼区間(CI)が80−125%にある場合、試験生成物は参照生成物に対して生物学的等価であるとみなす。]信頼区間は、WinNonlinソフトウェアを用いて計算される。
【0066】
表VI:ヒトPK研究結果
【表11】

【表12】

【0067】
錠剤の吸収における遅延は、振りかけた処方および懸濁処方よりも大きかった。錠剤中の薬物全体は、短時間で放出されるので、より大きなCmaxが得られる。該粒状体処方を用いると、各粒状体から薬物が長期にわたって放出されるので、錠剤よりもCmaxが小さい。しかしながら、投与後のパントプラゾールが循環血液中に残存した時間は、この3種類の処方の間で類似している。
【0068】
本明細書中に記載される全ての文献は、出典明示により本明細書の一部とされる。当業者は、本発明を逸脱することなく、本明細書に記載する特定の具体例に記載の条件および技術に対する少しの変更を行うことができることを理解するであろう。かかる小さな変更および変形は、付随の特許請求の範囲によって定義付けられるような本発明の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃内条件下で放出が遅く、中性pHで放出が速いパントプラゾール多粒子であって、該多粒子の各々が、
パントプラゾールまたはそのエナンチオマーまたはその塩もしくは水和物、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの崩壊剤および約1%〜約2%w/wの水を含む球状コア;
該球状コア上の最初のシールコート;
該多粒子の各々につき約15〜約45%w/wのメタクリル酸およびメタクリレートからなるコポリマーを含む該コア上の腸溶性コート
を含み、かつ、該コーティングされた多粒子が平均約1mmの直径を有するところの多粒子。
【請求項2】
さらに腸溶性コート上の最終シールコートを含む請求項1記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項3】
最終シールコートが該多粒子の約0.1〜10wt%を構成する請求項2記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項4】
最終シールコートがヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)を含む請求項2または3記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項5】
最初のシールコートがコーティングされていないコアの約2〜4%w/wである請求項1記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項6】
最初のシールコートがヒプロメロースを含む請求項1〜5のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項7】
界面活性剤がコーティングされていないコアの約2〜約7重量%を構成する請求項1〜6のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項8】
界面活性剤がポリソルベートである請求項1〜7のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項9】
ポリソルベートがポリソルベート80である請求項8記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項10】
腸溶性コートが多粒子の27.5〜48%w/wを構成する請求項1〜9のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項11】
腸溶性コーティングが、多粒子の重量に基づき、約30%w/wのオイドラギットL30 D−55コーティング、約15%w/wのタルク、約3%のクエン酸トリエチルおよびpH調整剤を含む請求項1記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項12】
パントプラゾール化合物が該球状コアの約5〜50w/wで配合される請求項1〜11のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項13】
該コアが、コーティングされていない多粒子100mgあたり約40mgのパントプラゾールに等しい量でパントプラゾール化合物を含む請求項1〜12のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項14】
該球状コアがさらに、pH調整剤およびヒプロメロースを含む請求項1〜13のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項15】
崩壊剤が、微結晶セルロースおよびクロスポビドンおよびその混合物からなる群から選択される請求項1〜14のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項16】
微結晶セルロースが該コアの約25〜約30重量%を構成する請求項15記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項17】
クロスポビドンが該コアの約14〜約16重量%を構成する請求項15または16記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項18】
該球状コアが本質的に、
パントプラゾールナトリウムセスキ水和物 45%w/w
微結晶セルロース 27%w/w
ポリソルベート80 5%w/w
クロスポビドン 15%w/w
ヒプロメロース2208 1%w/wおよび
炭酸ナトリウム 7%w/w
からなる請求項1記載のパントプラゾール多粒子。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子および生理学上適合性の懸濁化液からなる懸濁液を含む、小児患者への投与において使用するためのパントプラゾール処方。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子を含むカプセル。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子を含むホイルパケット。
【請求項22】
有効量の請求項1〜19のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子を投与する工程を特徴とする、パントプラゾールを必要とするヒトの治療方法。
【請求項23】
パントプラゾールの多粒子処方の製造方法であって、
パントプラゾールまたはそのエナンチオマーまたはその塩、界面活性剤、崩壊剤を含む球状コアを押出および球状化によって製造し、ここに、該コアが約1〜約2%w/wの水を含有する工程;
最初のシールコートを該球状コアに施し、ここに、該シールコートが多粒子の約1%w/w〜約2%w/wである工程;
該最初のシールコートの上に腸溶性コーティングを施し、ここに、該腸溶性コーティングが、該多粒子に15〜45%w/wの乾燥した腸溶性コーティングポリマーを提供する量でメタクリル酸およびメタクリレートからなるコポリマーを含む工程;次いで
該腸溶性コーティングされた球状コアに最終シールコートを施してもよく、ここに、該最終シールコートが多粒子の約1wt%である工程
を含み、ここに、該多粒子が平均約1mm以下の直径を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
約25rpm〜35rpmの低速剪断条件下にて、低速剪断ミキサー中で材料を混合することによって球状コアを調製する請求項23記載の方法。
【請求項25】
低速剪断条件が32rpmである請求項24記載の方法。
【請求項26】
約40℃以下の低温にて8〜72時間、3.4%〜4.3%の乾燥減量(LOD)パーセント(%)まで球状コアを乾燥させる請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
さらに、該多粒子の0.05%w/w〜0.1%w/wの量でタルクからなる層を施す工程を含む請求項23記載の方法。
【請求項28】
腸溶性コーティングを懸濁液として球状コア上にスプレーする請求項23記載の方法。
【請求項29】
医薬の製造における請求項1〜19のいずれか1項記載のパントプラゾール多粒子の使用。
【請求項30】
対象への経口投与後に、パントプラゾールが、40mg単位用量のパントプラゾールにつき、Cmax比62〜66ng/mLおよびAUC比89〜94を達成する、有効量のパントプラゾール多粒子を含有する経口投与形態を含む組成物。


【公表番号】特表2007−507553(P2007−507553A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534330(P2006−534330)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/033058
【国際公開番号】WO2005/032513
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】