説明

パーティクル検出用光学装置およびパーティクル検出装置

【課題】検査光の光源として発光ダイオードを用いた場合でも、パーティクルを精度良く検出することができるパーティクル検出用光学装置を提供すること。
【解決手段】パーティクル検出用光学装置2は、基板4の基板表面4aに検査用光源部31から検査光Lを照射し、基板表面4aのパーティクルPによって散乱された検査光Lの散乱光を撮像部29により撮像し、得られた画像データに基づいて基板4上のパーティクルPを検出する。検査用光源部31は光源としての発光ダイオード41と、発光ダイオード41から射出された検査光Lを平面検査領域24に向けて出射すると共に、平面検査領域24に沿って走査する走査ミラー432と、検査光Lが収束光の状態で平面検査領域24に照射される状態とする凸レンズ44と、基板表面4aによって反射された検査光Lの反射光を当該基板表面4aの側に反射する反射鏡(反射部材)26を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面に付着したパーティクルを検出するためのパーティクル検出用光学装置およびパーティクル検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の技術分野や液晶装置の技術分野では、基板にパーティクルが付着していると不具合が発生するため、パーティクルの有無が検査されている。特許文献1には、基板表面のパーティクルを検出する装置として、パーティクルの検査対象とされる基板の基板表面に検査用光源部から検査光としてレーザ光を照射するとともに、基板表面のパーティクルによって散乱された検査光の散乱光をイメージセンサにより撮像し、イメージセンサの撮像結果に基づいて、基板上のパーティクルを検出する異物検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ光はコヒーレント光なので、特許文献1では、基板表面に付着している特定のパーティクルについて、検査用光源部からの検査光が直接このパーティクルを照射しているとともに、検査用光源部から基板表面に達した後に検査光が基板表面で跳ね返ってこのパーティクルを照射しているという事態が発生している場合には、これらが干渉する。ここで、検査光の干渉が発生すると干渉に起因して散乱光の強度が変化するので、撮像結果からパーティクルの大きさなどを正確に検出することができなくなるという問題がある。
【0005】
このような問題に対して、検査用光源部の光源として発光ダイオードを用い、発光ダイオードから射出されるインコヒーレント光を検査光として用いれば、検査光の干渉を低減させることができると考えられる。しかし、光源として発光ダイオードを用いる場合には、検査光の光量がレーザ光よりも少なくなってしまうので、微細なパーティクルを検出することが難しくなるという問題が発生する。また、光源として発光ダイオードを用いる場合には、発光ダイオードの配光特性によって基板表面上に照度分布が発生してしまうので、基板表面上におけるパーティクルの位置によって発散光の強度が変化してしまい、パーティクルの大きさなどを精度よく検出することが難しくなるという問題が発生する。
【0006】
このような問題点に鑑みて、本発明の課題は、検査光の光源として発光ダイオードを用いた場合でも、パーティクルを精度良く検出することができるパーティクル検出用光学装置およびパーティクル検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
検査対象の基板の基板表面が配置される平面検査領域に検査光を照射する検査用光源部と、前記基板表面で生じた前記検査光の散乱光を画像データとして取得する撮像部とを有し、前記画像データに基づいて前記基板表面に付着しているパーティクルを検出するためのパーティクル検出用光学装置において、
前記基板表面によって反射された前記検査光の反射光を、当該基板表面の側に反射する反射部材を有し、
前記検査用光源部は、光源としての発光ダイオードを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、検査用光源部は、光源として発光ダイオードを備えており、発光ダイオードから出射されたインコヒーレント光を検査光とする。従って、基板表面に付着している特定のパーティクルについて、検査用光源部からの検査光が直接このパーティクルを照射しているとともに、検査用光源部から基板表面に達した後に基板表面で跳ね返ってこのパーティクルを照射しているという事態が発生しても、干渉が発生しにくい。この結果、検査光の干渉に起因する散乱光の強度の変化を低減できる。ここで、発光ダイオードから出射される検査光は、レーザ光を検査光とした場合と比較して光量の少ないものとなるが、本発明では、パーティクルの検査対象となっている基板の基板表面によって反射された検査光の反射光を基板表面の側に反射する反射部材を有しているので、基板表面に照射される検査光の光量を確保することができる。また、検査光がインコヒーレント光なので、反射部材を用いて、基板表面によって反射された検査光の反射光を基板表面の側に反射させても、検査光に干渉が発生しない。よって、パーティクルが微細であっても精度よく検出することができる。また、光源としてレーザ光を射出する半導体レーザを用いている場合には、温度変化による出力変化が大きいので、環境温度の変化、或いは、半導体レーザ自身の発熱によって検査光の光量が変化してしまい、撮像結果からパーティクルの大きさなどを正確に検出することができなくなることがあるが、光源として発光ダイオードを用いれば温度の変化に起因する光量の変化を抑制できるので、温度の変化に拘わらず撮像部が取得した画像データに基づいて基板上のパーティクルを精度よく検出することができる。
【0009】
さらに、光源として発光ダイオードを用いる場合には、発光ダイオードの配光特性によって基板表面上で照度分布が発生してしまうので、同一サイズのパーティクルであっても基板表面上の位置によって散乱光の強度が異なり、パーティクルを検出する検出精度が低下することがあるが、反射部材による反射によって検査用光源部からの検査光とは異なる方向から検査光を基板表面に照射できるので、基板表面上で照度分布を均一に近いものとすることができる。また、検査光を一方向から平面検査領域に照射している場合には、検査光によって形成されたパーティクルの影の中に他のパーティクルが入ってしまい、この影の中に入った他のパーティクルを検出することができない場合が発生するが、反射部材による反射によって、検査用光源部からの検査光とは異なる方向から検査光を基板表面に照射できるので、このような影の中に入った他のパーティクルも検出できる。
【0010】
本発明において、前記検査用光源部は、前記光源から射出された前記検査光を、前記平面検査領域に照射すると共に前記平面検査領域に沿って走査する走査ミラーを備えていることが望ましい。このようにすれば、発光ダイオードの配光特性に拘わらず、平面検査領域における照度分布を均一に近いものとすることができる。
【0011】
本発明において、前記光源から前記走査ミラーに向かう光路に、前記検査光が収束光の状態で前記平面検査領域に照射される状態とする集束レンズを備えていることが望ましい。発光ダイオードからの検査光が発散光の状態で基板に照射されると、基板表面において検査光が入射してくる側(光学的に光源に近い側)に届く光の光量は多いが、基板表面において検査光が入射してくる側から離れた側(光学的に光源から遠い側)に届く光の光量は少なくなるので、同一サイズのパーティクルであっても基板表面上の位置によって散乱光の強度が異なり、パーティクルを検出する検出精度が低下することがあるが、検査光を収束光の状態で基板に照射される状態とすることにより、このような検査光の強度分布を緩和することができる。従って、基板表面上のパーティクルを精度良く検出できる。
【0012】
本発明において、検査用光源部からの検査光の反射光を基板表面の側に反射するためには、前記反射部材の反射面は、少なくとも、前記平面検査領域を挟んで前記走査ミラーとは反対側に位置する反射面部分を備えていることが望ましい。
【0013】
本発明において、検査対象の前記基板として、基板表面が鏡面研磨されている基板を有していることが望ましい。このようにすれば、基板自身の基板表面での散乱を防止することができるので、検出精度が高い。また、このようにすれば、基板表面に照射された検査光の光量と、基板表面で反射した検査光の反射光の光量との差が僅かなものとなる。従って、基板表面で反射した検査光の反射光を反射部材で基板表面の側に反射することにより、基板表面に照射される検査光の光量を十分なものとすることができる。
【0014】
次に、本発明のパーティクル検出装置は、
上記のパーティクル検出用光学装置と、
前記撮像部によって撮影された前記基板表面の撮像画像の前記画像データに基づいて前記基板表面に付着しているパーティクルを検出する画像処理部を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、パーティクル検出用光学装置によって取得された画像データにおいて検査光の干渉に起因する散乱光の強度の変化が低減されている。また、パーティクル検出用光学装置によって画像データが取得される際に、基板表面に照射される検査光の光量が確保されている。従って、画像処理部では、画像データに基づいて基板上のパーティクルを精度よく検出できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検査用光源部は、光源として発光ダイオードを備えており、発光ダイオードから出射されたインコヒーレント光を検査光とする。従って、基板表面に付着している特定のパーティクルについて、検査用光源部からの検査光が直接このパーティクルを照射しているとともに、検査用光源部から基板表面に達した後に基板表面で跳ね返ってこのパーティクルを照射しているという事態が発生しても、干渉が発生しにくい。この結果、検査光の干渉に起因する散乱光の強度の変化を低減できる。ここで、発光ダイオードから出射される検査光は、レーザ光を検査光とした場合と比較して光量の少ないものとなるが、本発明では、パーティクルの検査対象となっている基板の基板表面によって反射された検査光の反射光を基板表面の側に反射する反射部材を有しているので、基板表面に照射される検査光の光量を確保することができる。また、検査光がインコヒーレント光なので、反射部材を用いて、基板表面によって反射された検査光の反射光を基板表面の側に反射させても、検査光に干渉が発生しない。よって、パーティクルが微細であっても精度よく検出することができる。
【0017】
さらに、光源として発光ダイオードを用いる場合には、発光ダイオードの配光特性によって基板表面上で照度分布が発生してしまうので、同一サイズのパーティクルであっても基板表面上の位置によって散乱光の強度が異なり、パーティクルを検出する検出精度が低下することがあるが、反射部材による反射によって検査用光源部からの検査光とは異なる方向から検査光を基板表面に照射できるので、基板表面上で照度分布を均一に近いものとすることができる。また、検査光を一方向から平面検査領域に照射している場合には、検査光によって形成されたパーティクルの影の中に他のパーティクルが入ってしまい、この影の中に入った他のパーティクルを検出することができない場合が発生するが、反射部材による反射によって、検査用光源部からの検査光とは異なる方向から検査光を基板表面に照射できるので、このような影の中に入った他のパーティクルも検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用したパーティクル検出装置および基板を示す説明図である。
【図2】パーティクル検出用光学装置の要部を説明するための説明図である。
【図3】パーティクル検出用光学装置の光学系等の構成を示す説明図である。
【図4】反射鏡(反射部材)が検査光を反射する様子を示す説明図である。
【図5】パーティクル検出装置のデータ処理系の構成を示すブロック図である。
【図6】画像データの一例を示す説明図である。
【図7】パーティクル検出方法を示すフローチャートである。
【図8】検査用光学部の別の例を示す説明図である。
【図9】検査用光学部の更に別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明を適用したパーティクル検出用光学装置およびパーティクル検出装置を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1(a)はパーティクル検出装置全体の構成を示す説明図であり、図1(b)はパーティクルの検査対象となる基板の平面図である。図2はパーティクル検出用光学装置の要部を示す説明図である。図1(a)に示すように、パーティクル検出装置1は、パーティクル検出用光学装置2と、表示部3aおよびキーボードやマウスなどの入力部3bを備えるコンピュータ3を有している。コンピュータ3はパーティクル検出用光学装置2に通信可能に接続されている。
【0021】
パーティクル検出用光学装置2は、前側にスイッチ21aおよびランプ21bが設けられた装置本体21と、装置本体21の後側で起立して上側部分が前方に張り出している光学系収納部22を有している。装置本体21の上面部には、試料台23が一段高く設けられている。試料台23は、その上端面に円形の平面検査領域24が設けられており、平面検査領域24にはパーティクルPの検査対象となる基板4が配置されており、基板4の基板表面4aが平面検査領域24上に位置している。試料台23の側方には、照度基準部材25が設けられている(図2参照)。試料台23および照度基準部材25の前方には、これら試料台23および照度基準部材25の前側部分を覆う反射鏡(反射部材)26が取り付けられている。反射鏡26の前方には、装置本体21と光学系収納部22との間で試料台23を囲んだ状態および開放した状態に切り換える二重の回転ドア27が設けられている。回転ドア27は遮光性を有しており、回転ドア27を閉状態にした状態で回転ドア27の内側は、外部から光が遮断された測定室28となる。本形態において、反射鏡26は反射面として鏡面を備えるものである。
【0022】
基板4の平面形状は略円形をしている。基板4はシリコンウエハーであり、基板表面4aが鏡面となるまで研磨されている。基板表面4aにはレーザ加工等により基板4の位置を特定するための位置決めマーク4bが刻印されている。位置決めマーク4bは、基板4の中心4cから外れた位置に形成されており、基板4の半径方向と直交する方向に長く延びる長方形をしている。
【0023】
図2に示すように、試料台23は中央に円形凹部231を備えており、基板4は円形凹部231に配置されている。円形凹部231は、基板4の外径と対応する内径を備えており、円形凹部231の内側に基板4を配置すると、基板4は径方向で位置決めされ、基板4の中心4cと平面検査領域24の中心24aが一致する。また、円形凹部231は基板4の厚さと対応する深さを備えており、円形凹部231の内側に基板4を配置された状態では、基板表面4aと試料台23の上端面23aが高さ方向で一致する。円形凹部231の上端開口が平面検査領域24を規定している。
【0024】
光学系収納部22内は、試料台23の上方に撮像部29と照明装置30を備えている。撮像部29は、複数の画素がマトリクス状に配置されたCCDカメラを備えており、平面検査領域24の中心24aに対して対向するように下向きに配置されている。照明装置30は平面検査領域24に対向するように下向きに配置されており、平面検査領域24の全体を照射可能な発散光を照射する。また、光学系収納部22は、試料台23の後方に、平面検査領域24および照度基準部材25に検査光L(図3参照)を照射する検査用光源部31を備えている。
【0025】
基板4に付着したパーティクルPを検出する際には、パーティクル検出用光学装置2において、試料台23に基板4をセットして回転ドア27を閉状態とする。次に、検査用光源部31から平面検査領域24に検査光Lを照射して、基板表面4aに付着しているパーティクルPによって散乱された検査光Lの散乱光を撮像部29によって撮影する。これにより画像データが取得されると、パーティクル検出用光学装置2は画像データをコンピュータ3に送信する。コンピュータ3では、受信した画像データに基づいて基板4上のパーティクルPの数および大きさを検出する。また、コンピュータ3では、受信した画像データと共に、パーティクルPの検出結果を表示部3aに表示する。
【0026】
基板4に付着したパーティクルPを観察する際には、パーティクル検出用光学装置2において、試料台23に基板4をセットして回転ドア27を開状態とする。次に、照明装置30によって平面検査領域24を照らすとともに、検査用光源部31から平面検査領域24に検査光Lを照射して、基板表面4aのパーティクルPによって散乱された検査光Lの散乱光を撮像部29によって撮影する。これにより画像データが取得されると、パーティクル検出用光学装置2は画像データをコンピュータ3に送信する。コンピュータ3では、受信した画像データを表示部3aに表示する。
【0027】
(検査用光源部)
図2、図3を参照して、パーティクル検出用光学装置2の検査用光源部31を説明する。図3(a)は検査用光源部31の平面的なレイアウトを示す平面図であり、図3(b)は検査用光源部31の光学的なレイアウトを示す説明図であり、図3(c)は基板表面4aに検査光Lが照射される様子を示す説明図である。図3では反射鏡26を取り外して示している。検査用光源部31は、光源としての発光ダイオード41と、発光ダイオード41を保持するホルダ42と、検査光Lを平面検査領域24に向けて出射するとともに、平面検査領域24に沿って走査させるための走査装置43を備えている。
【0028】
発光ダイオード41は緑色の発散光を出射するものである。走査装置43は、図3(b)、(c)に示すように、走査ミラー432と、この走査ミラー432をその中心軸線431回りに回転させる駆動装置(図示せず)を備えている。走査ミラー432は、平面検査領域24に対して垂直な方向に中心軸線431を向ける正八角柱状のポリゴンミラーであり、図2、図3(c)に示すように、平面検査領域24よりもわずかに上方に位置している。
【0029】
図3に示すように、ホルダ42内には、凸レンズ(収束レンズ)44が収納されており、発光ダイオード41から射出された発散光は凸レンズ44によって収束光に変換される。この収束光は、図3(c)に示すように、走査ミラー432で反射した後も収束光として進行し、検査光Lとして、平面検査領域24に向って照射される。検査光Lは、平面検査領域24において光学的に光源からの距離が最も遠いところで焦点Fを結んでいる。
【0030】
また、検査光Lは、中心軸線431周りに回転している走査ミラー432によって反射されることにより、図3(b)に矢印Sで示すように、平面検査領域24に沿って基板表面4aの面内方向で走査され、基板表面4a全体を、その側方斜め上方から照射する。
【0031】
(照度基準部材)
照度基準部材25は、表面25aに細かな凹凸を備えたガラス板などであり、表面25aは光散乱性を備えている。図2に示すように、照度基準部材25は、平面検査領域24から外れた位置において、照度基準部材25の表面が平面検査領域24に配置された基板表面4aよりも低くなるように配置されている。従って、検査用光源部31からの検査光Lは、平面検査領域24より低い照度で照度基準部材25に照射される。
【0032】
(反射鏡)
図2、図4を参照して反射鏡26を説明する。図4は反射鏡26が検査光Lを反射する様子を示す説明図である。反射鏡26は、図2に示すように、平面検査領域24の中心24aを挟んで走査ミラー432とは反対側に配置されており、平面検査領域24の前側部分を前方斜め上方から覆っている。反射鏡26において平面検査領域24の側を向いている内側の反射面26aは、平面検査領域24の中心24aを中心として規定された円弧面となっている。図4に示すように、反射鏡26は、平面検査領域24に配置された基板4の基板表面4aによって反射された検査光Lの反射光を、反射面26aで基板表面4aの側に反射する。
【0033】
(制御系)
図5は、本発明を適用したパーティクル検出装置1における制御系を示すブロック図である。図6は画像データの一例を示す説明図である。コンピュータ3は予めメモリに格納されたプログラムに基づいて動作しており、図5に示すように、入力部3bからの命令に基づいてパーティクル検出用光学装置2を制御する光学装置制御部51、パーティクル検出用光学装置2から送信された画像データを受信する受信部52、画像データに基づいてパーティクルPを検出する画像処理部53、および、画像データおよび画像データに基づいて検出されたパーティクルPの検出結果を表示部3aに表示する表示制御部54を備えている。
【0034】
光学装置制御部51は、入力部3bから入力された命令に基づいて、撮像部29、照明装置30および検査用光源部31を制御する。
【0035】
本例では、試料台23に基板4をセットして回転ドア27を閉状態とした後に入力部3bから「パーティクル検出命令」が入力されると、検査用光源部31および撮像部29を駆動制御して、検査用光源部31から平面検査領域24に検査光Lを照射し、撮像部29によって基板表面4aのパーティクルPによって散乱された検査光Lの散乱光を撮影する。そして、取得した画像データを撮像部29からコンピュータ3に送信させる。「パーティクル検出命令」では照明装置30は点灯されず、撮像部29による撮影は「暗視野状態」で行なわれる。暗視野状態とは、検査光L以外の光が、測定室28に照射されていない状態を意味する。
【0036】
また、試料台23に基板4をセットして回転ドア27を閉状態とした後に入力部3bから「パーティクル観察命令」が入力されると、照明装置30、および検査用光源部31および撮像部29を駆動制御して、照明装置30によって平面検査領域24を照らし、かつ、検査用光源部31から平面検査領域24に検査光Lを照射し、撮像部29によって基板表面4aのパーティクルPによって散乱された検査光Lの散乱光を撮影する。そして、取得した画像データを撮像部29からコンピュータ3に送信させる。「パーティクル観察命令」では照明装置30が点灯され、撮像部29による撮影は「明視野状態」で行なわれる。明視野状態とは検査光L以外の光が、平面検査領域24に照射されている状態を意味する。なお、「パーティクル観察命令」が入力されている場合に、検査用光源部31を駆動せずに、撮影を行うようにしてもよい。すなわち、検査光Lを検査用光源部31から平面検査領域24に検査光Lを照射せず、基板表面4aのパーティクルPによって散乱された照明装置30の発散光の散乱光を撮像部29によって撮影してもよい。
【0037】
ここで、パーティクル検出用光学装置2からコンピュータ3に送信される画像データは、2次元の画像データであり、画素の位置を示す座標と、各画素の輝度値が対応付けられたものである。各画素の位置は、例えば、図6に示すように、座標(Xi、Yj)=座標(X1、Y1)、(X1、Y2)・・(Xn、Ym)で表される。
【0038】
受信部52は、パーティクル検出用光学装置2からの画像データを受信して、記憶装置55に記憶保持する。また、画像データを、画像処理部53および表示制御部54に出力する。
【0039】
画像処理部53は、パーティクル検出用光学装置2から受信した画像データから散乱光の領域を抽出する領域抽出部531、領域抽出部531によって抽出された領域に基づいてパーティクルPの大きさを特定するパーティクル特定部532、パーティクル特定部532により特定されたパーティクルPの数を計数する計数部533を備えている。ここで、領域抽出部531、パーティクル特定部532、計数部533は、「パーティクル検出命令」が入力されている場合に動作するものであり、「パーティクル観察命令」が入力されている場合には、動作しない。
【0040】
領域抽出部531は、各種メモリ等を備えており、入力部3bから予め入力されているしきい値を記憶している。しきい値は、パーティクルPに照射された検査光Lの散乱光の強度が、パーティクルPが存在すると認識するための下限値である。また、領域抽出部531は、撮像部29から入力された画像データとしきい値を用いて画像データを処理し、図6に示すように、しきい値以上の輝度値を持つ画素がひとまとまりとなった高輝度画素領域R(高輝度画素領域R1、R2、R3)を求めるとともに、かかる高輝度画素領域R(高輝度画素領域R1、R2、R3)の位置、および高輝度画素領域R(高輝度画素領域R1、R2、R3)に含まれる画素数および各画素の輝度値を高輝度画素情報として抽出して、パーティクル特定部532に出力する。領域抽出部531で抽出される高輝度画素領域Rは、パーティクルPに対して1対1で対応するものとなる。
【0041】
ここで、領域抽出部531は、照度基準部材25に照射された検査光Lの散乱光の強度に基づいて、各画素の輝度やしきい値を補正する。すなわち、光源として用いた発光ダイオード41での出射光量が変動して各画素の輝度に影響を与える場合があるので、各画素の輝度やしきい値を補正する。本例では、各画素の実際の輝度を照度基準部材25での散乱光の検出値で除した値を画素の輝度として扱う。このため、しきい値についても、各画素の実際の輝度を照度基準部材25での散乱光の検出値で除した値に対応する値に設定されている。
【0042】
パーティクル特定部532は、高輝度画素情報に含まれる、高輝度画素領域Rの位置、高輝度画素領域Rに含まれる各画素の画総数および輝度値に基づいて、基板表面4aに付着している各パーティクルPの位置および大きさを特定する。すなわち、パーティクルPのサイズが大きければ、高輝度画素領域Rに存在する画素数が多く、かつ、輝度が高いので、高輝度画素領域Rに存在する画素数および輝度に基づいてパーティクルPのサイズを特定することができる。
【0043】
また、パーティクル特定部532は、特定された各パーティクルPを大きさによって分級する。本例では、例えば、30μm以上かつ60μm未満、60μm以上かつ90μm未満、90μm以上に分級する。さらに、パーティクル特定部532は、パーティクルPの位置および大きさ並びに分級結果を、パーティクル特定情報として計数部533に出力する。
【0044】
計数部533は複数のカウンタを備えており、パーティクル特定情報を受信する毎にカウンタの値を1増加させて、パーティクルPの数を計数する。また、パーティクル特定情報に含まれている分級結果に基づいて、各分級のパーティクルPの数を計数する。また、パーティクル特定情報と、計数されたパーティクルPの総数および各分級のパーティクルPの数を表示制御部54に出力する。
【0045】
なお、領域抽出部531が高輝度画素領域Rを検出できなかった場合には、領域抽出部531からパーティクル特定部532に、高輝度画素領域Rが存在しないことを示すゼロ情報が出力される。この場合には、パーティクル特定部532からパーティクル特定情報が出力されないので、計数部533によるパーティクルPの計数は行われない。
【0046】
表示制御部54は、「パーティクル検出命令」が入力されている場合には、受信部52からの画像データを表示部3aに表示すると共に、各パーティクルPの位置および大きさ並びに分級結果を含むパーティクル特定情報、パーティクルPの総数および各分級のパーティクルPの数を表示部3aに表示する。ここで表示部3aに表示される画像データは、暗視野状態において取得されたものである。
【0047】
また、表示制御部54は、「パーティクル観察命令」が入力されている場合には、受信部52からの画像データをのみを表示部3aに表示する。ここで表示部3aに表示される画像データは明視野状態において取得されたものである。
【0048】
(パーティクル検出動作)
図7はパーティクル検出動作を示すフローチャートである。本例のパーティクル検出装置1は、基板4が配置されていたエリアにおけるパーティクルPの監視に用いられる。後者の場合、基板4を所定のエリアに配置した後、回収し、基板4上に付着したパーティクルPを監視することにより、基板4が配置されていたエリアに存在するパーティクルPの数や大きさが求められる。かかる監視を継続的に行なう場合、例えば、パーティクル検出装置1によってパーティクルPの検出を終えた基板4を再度、監視エリアに配置し、所定の時間が経過した後、再度、基板4を回収して基板4上に付着したパーティクルPの数や大きさが求め、前回の検出結果と比較される。その際、基板4の位置を合わせる必要があることから、本例では、基板4に付された位置決めマーク4bを原点位置にして、パーティクルPの基板4上の位置を決定する。
【0049】
パーティクルPを検出する際には、まず、試料台23に基板4をセットし、すなわち、平面検査領域24上に基板4の基板表面4aを配置し、回転ドア27を閉状態とする(ステップST1)。しかる後に入力部3bから「パーティクル検出命令」を入力する(ステップST2)。これにより、検査用光源部31から平面検査領域24への検査光Lの照射が開始され、撮像部29による撮像が始まる(ステップST3)。その際に、照明装置30は消灯した状態となっている(暗視野撮像工程)。
【0050】
暗視野撮像工程において、パーティクルPにより発生した散乱光を撮像部29が画像データとして取得してコンピュータ3に送信すると、受信部52はこの画像データを記憶装置55に記憶保持する。また、受信部52はこの画像データを表示制御部54に出力するとともに、領域抽出部531に出力する。領域抽出部531は高輝度画素領域Rを求めるとともに、かかる高輝度画素領域Rの位置、および高輝度画素領域に含まれる画素数および各画素の輝度を高輝度画素情報として抽出してパーティクル特定部532に出力する(ステップST4)。
【0051】
高輝度画素情報が入力されたパーティクル特定部532では、高輝度画素領域Rの位置、高輝度画素領域に含まれる画素数および各画素の輝度に基づいて、基板表面4aに付着している各パーティクルPの位置および大きさを特定する。また、各パーティクルPを大きさによって分級する。そして、各パーティクルPの位置および大きさ並びに分級結果をパーティクル特定情報として測定部に出力する(ステップST5)。
【0052】
パーティクル特定情報が入力された計数部533では、パーティクルPの総数および各分級のパーティクルPの数を計数し(ステップST6)、パーティクル特定情報と共に表示制御部54に出力するので、表示制御部54は、画像データと共に、各パーティクルPの位置および大きさ並びに分級結果を含むパーティクル特定情報、パーティクルPの総数、および各分級のパーティクルPの数を表示部3aに表示する(ステップST7)。
【0053】
次に、パーティクル検出装置1の使用者がコンピュータ3の入力部3bに「パーティクル観察命令」を入力すると(ステップST8)、照明装置30が点灯し、撮像部29は明視野状態で基板表面4aを撮像する(ステップST9)。その際に、検査用光源部31からの検査光Lは平面検査領域24を走査する状態となっている。(明視野撮像工程)。
【0054】
明視野撮像工程において、パーティクルPにより発生した散乱光を撮像部29が画像データとして取得してコンピュータ3に送信すると、受信部52はこの画像データを記憶装置55に記憶保持する。また、受信部52はこの画像データを表示制御部54に出力し、表示制御部54は、画像データを表示部3aに表示する(ステップST10)。すなわち、明視野撮像工程では、パーティクルPの特定は行われないので、表示制御部54よって画像データのみが表示部3aに表示される。
【0055】
ここで、明視野撮像工程では、サイズの大きなパーティクルPの像が表示部3aに表示されるので、かかるサイズの大きなパーティクルPの外形を観察することができる。従って、サイズの大きなパーティクルPが何に由来しているかを判別することができる。また、明視野撮像工程の間も、発光ダイオード41は点灯し続けているので、サイズの小さなパーティクルPについては、外形は観察できないものの、サイズの小さいパーティクルPでの散乱光が表示部3aに表示される。
【0056】
このような、パーティクル検出動作では、散乱光の輝度が低いパーティクルPに対応させて検査光Lの強度や撮像部29の感度を設定しておけば、暗視野撮像工程において、小さなパーティクルPの数やサイズを検出することができる。この場合、大きなパーティクルPでの散乱光の輝度レベルでは検出感度が飽和してしまい、大きなパーティクルPについては外形を検出できないが、大きなパーティクルPの外形については明視野撮像工程で検出することができる。従って、簡素な構成で、サイズが小さいパーティクルPを検出することができるとともに、サイズが大きいパーティクルPについても外形を検出することができる。
【0057】
(作用効果)
本例によれば、検査用光源部31は、光源として発光ダイオード41を備えており、発光ダイオード41から出射されたインコヒーレント光を検査光Lとする。従って、基板表面4aに付着している特定のパーティクルPについて、検査用光源部31からの検査光Lが直接このパーティクルPを照射しているとともに、検査用光源部31から基板表面4aに達した後に基板表面4aで跳ね返ってこのパーティクルPを照射しているという事態が発生しても、干渉が発生しにくい。この結果、検査光Lの干渉に起因する散乱光の強度の変化を低減できるので、撮像部29が取得した画像データに基づいて基板4上のパーティクルPを精度よく検出することができる。
【0058】
また、光源としてレーザ光を射出する半導体レーザを用いている場合には、温度変化による出力変化が大きいので、環境温度の変化、或いは、半導体レーザ自らの発熱によって検査光Lの光量が変化してしまい、撮像結果からパーティクルPの大きさなどを正確に検出することができなくなることがあるが、光源として発光ダイオード41を用いているので、温度の変化に起因する光量の変化を抑制できる。よって、温度の変化に拘わらず撮像部29が取得した画像データに基づいて基板4上のパーティクルPを精度よく検出することができる。
【0059】
ここで、発光ダイオード41から出射される検査光Lは、レーザ光を検査光Lとした場合と比較して光量の少ないものとなるが、検査光Lは収束光となっているので、照射エリアに照射される検査光Lの光量を確保することができる。さらに、検査光Lは、平面検査領域24において光学的に光源からの距離が最も遠いところで焦点を結んでいるので、平面検査領域24に照射される検査光Lの光量が多くなる。
【0060】
加えて、本例では、パーティクルPの検査対象となっている基板4の基板表面4aによって反射された検査光Lの反射光を基板表面4aの側に反射する反射鏡26を有しているので、基板表面4aに照射される検査光Lの光量を確保することができる。また、検査光Lがインコヒーレント光なので、反射鏡26を用いて、基板表面4aによって反射された検査光Lの反射光を基板表面4aの側に反射させても、検査光Lに干渉が発生しない。よって、パーティクルPが微細であっても精度よく検出することができる。
【0061】
また、検査光Lが発散光の状態で基板4に照射されると、基板表面4aにおいて検査光Lが入射してくる側(光学的に光源に近い側)に届く光の光量は多いが、基板表面4aにおいて検査光Lが入射してくる側から離れた側(光学的に光源から遠い側)に届く光の光量は少なくなるので、同一サイズのパーティクルPであっても基板表面4a上の位置によって散乱光の強度が異なり、パーティクルPを検出する検出精度が低下することがあるが、検査光Lは収束光の状態で基板4に照射されているので、このような検査光Lの強度分布を緩和することができる。
【0062】
さらに、本例では、撮像部29により得られた画像データにおいて、各画素の輝度値としきい値とを比較してパーティクルPを認識するので、照度の連続性が確保されないと、パーティクルPの大きさや数を誤検出してしまう。しかるに本例では、検査光Lを収束光として基板4に向けて照射しているので、検査光Lの強度は、走査ミラー432から遠ざかるに連れて収束度合いが連続的に高まり、照度が連続している状態となる。それ故、パーティクルPの大きさや数の検出精度が高い。
【0063】
また、光源として発光ダイオード41を用いる場合には、発光ダイオード41の配光特性によって平面検査領域24に配置された基板表面4aに照度分布が発生してしまうが、反射鏡26によって、基板表面4aで反射された検査光Lの反射光を基板表面4aの側に反射しているので、平面検査領域24における照度分布を均一に近いものとすることができる。さらに、走査ミラー432によって検査光Lを走査しながら平面検査領域24に向けて出射するので、平面検査領域24における照度分布を均一に近いものとすることができる。
【0064】
また、走査ミラー432によって検査光Lを走査しながら平面検査領域24に向けて出射すれば、基板4を静止させた状態で、基板表面4a全体においてパーティクルPを検出することができるので、パーティクル検出用光学装置2の構成を簡素化することができる。
【0065】
本例において、基板4は、シリコンウエハーであり、基板表面4aは鏡面研磨されている。この結果、基板自身の基板表面4aでの散乱を防止することができるので、検出精度が高い。また、基板表面4aを鏡面研磨しておけば、基板表面4aに照射された検査光Lの光量と、基板表面4aで反射した検査光Lの反射光の光量との差が僅かなものとなる。従って、基板表面4aで反射した検査光Lの反射光を反射鏡26で基板表面4aの側に反射することにより、基板表面4aに照射される検査光Lの光量を十分なものとすることができる。
【0066】
また、基板表面4aには位置決めマーク4bが付されているため、パーティクルPの検出を実施した基板4を、再び、空気清浄度を監視する環境下に配置し、しかる後に基板表面4aのパーティクルPを検出した際、位置決めマーク4bを基準に基板表面4aの各位置でのパーティクルPの付着量変化を追跡することができる。
【0067】
さらに、本例では、検査光Lが照射される照度基準部材25が設けられているので、かかる照度基準部材25に対する検出結果により、撮像部29での撮像結果を補正できる。このため、発光ダイオード41から出射される検査光Lの光量が変動した場合でも、パーティクルPの検出精度が高い。
【0068】
また、照度基準部材25は、平面検査領域24の側方に配置され、かつ、照度基準部材25の表面は、平面検査領域24よりも低い位置にある。この結果、検査光Lが基板表面4aより低い照度で照射されるので、撮像部29の撮像結果において、照度基準部材25で生じた散乱光の強度が基板表面4aのパーティクルPによって生じた散乱光の強度よりも弱くすることができるので、この散乱光を基準として基板表面4aのパーティクルによって生じた検査光Lの散乱光の強度を補正することが容易となる。しかも、検査光Lが基板表面4aより低い照度で照度基準部材25に照射されるように構成するにあたって、照度基準部材25の表面を平面検査領域24より低くしているので、照度基準部材25と走査ミラー432との距離を長くした構成や、走査ミラー432と照度基準部材25との間に光強度を低下させる透光性部材を配置した構成に比較して、狭い領域内に平面検査領域24と照度基準部材25とを配置することができる。
【0069】
さらに、検査光Lを一方向から平面検査領域24に照射している場合には、検査光Lによって形成されたパーティクルPの影の中に他のパーティクルPが入ってしまい、この影の中に入ったパーティクルPを検出することができない場合があるが、本例では、反射鏡26による反射によって、検査用光源部31からの検査光Lとは異なる方向から検査光Lを基板表面4aに照射できる。従って、他のパーティクルPの影の中に入ったパーティクルPも検出できる。
【0070】
(その他の実施の形態)
図8は検査用光源部の別の例の光学的なレイアウトを示す説明図である。上記の検査用光源部31では、発光ダイオード41と走査ミラー432との間に凸レンズ44を備えているが、本例の検査用光源部61では、この凸レンズ44に替えて、コリメートレンズ62および凸レンズ63からなるレンズ系64を備えるように構成してある。なお、本例の検査用光源部61は検査用光源部31と対応する構成を備えているので、対応する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0071】
本例の検査用光源部61では、発光ダイオード41は、発散光からなる検査光L1を出射するが、かかる検査光L1は、レンズ系64において、コリメートレンズ62により平行光束化された後、凸レンズ63によって、収束光に変換される。ここで、検査光L1においては、走査ミラー432による走査方向で収束光になっていればよいことから、凸レンズ63としては、水平方向(走査方向)に正のパワーを有するシリンドリカルレンズが用いられている。
【0072】
このようにすれば、コリメートレンズ62から出射される光はコリメート光であるため、凸レンズ63を光軸方向のいずれの位置に配置しても、凸レンズ63への入射光量や凸レンズ63から出射される検査光Lの収束角については変化しない。それ故、凸レンズ63の位置調整などが容易である。
【0073】
図9(a)は検査用光源部の更に別の例の光学的なレイアウトを示す説明図であり、図9(b)は図9(a)の検査用光源部において基板表面4aに検査光Lが照射される様子を示す説明図である。なお、本例の検査用光源部71は検査用光源部31と対応する構成を備えているので、対応する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0074】
本例では、検査用光源部71は発光ダイオード41と走査ミラー432との間に凸レンズ72を備えているが、検査光L2は凸レンズ72によって収束光の状態とされておらず、発散光の状態で平面検査領域24に照射される。
【0075】
ここで、検査光L2が発散光の状態で基板4に照射されると、基板表面4aにおいて検査光L2が入射してくる側(光学的に光源に近い側)に届く光の光量は多いが、基板表面4aにおいて検査光L2が入射してくる側から離れた側(光学的に光源から遠い側)に届く光の光量は少なくなるので、同一サイズのパーティクルPであっても基板表面4a上の位置によって散乱光の強度が異なり、パーティクルPを検出する検出精度が低下することがあるが、本例では、図9(b)に示すように、反射鏡26を備えているので、反射鏡26によって反射される検査光L2によって、基板表面4aにおいて検査光L2が入射してくる側から離れた側(光学的に光源から遠い側)の光量を増加させることができる。この結果、検査光L2の強度分布を緩和することができるので、パーティクルPを検出する検出精度を維持することができる。なお、検査光L2を発散光とする場合には、平面検査領域24の側方から検査光L2を照射するよりも、平面検査領域24の上方から検査光L2を照射した方が平面検査領域24における光量を確保しやすい。
【0076】
また、上記の例では、反射鏡26は、平面検査領域24の中心24aを挟んで走査ミラー432とは反対側に配置されているが、反射鏡26は、その反射面26aが、少なくとも、平面検査領域24を挟んで走査ミラー432とは反対側に位置する反射面部分を備えていればよく、反射鏡26の位置および形状は、上記の例に限られるものではない。例えば、基板表面4aによって反射された検査光の反射光を当該基板表面4aの側に反射することができれば、反射面26aは平坦面やテーパー面であってもよい。また、反射鏡26は、走査ミラー432からの検査光を遮る位置、或いは、撮像部29により撮像を妨げる位置を除けば、どのような位置に配置されていてもよく、反射鏡を複数配置してもよい。
【0077】
なお、平面検査領域24に基板4を配置するためには、反射鏡26は着脱可能な状態で装置本体21に取り付けられていることが望ましい。
【0078】
また、上記の例では、反射鏡26は反射面として鏡面を備えるものであるが、この反射鏡26に替えて、反射面が細かな凹凸を備えるガラス板などから構成されており、この反射面が光散乱性を備える反射部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1・パーティクル検出装置、2・パーティクル検出用光学装置、3・コンピュータ、3a・表示部、3b・入力部、4・基板、4a・基板表面、4b・位置きめマーク、4c・中心、21・装置本体、21a・スイッチ、21b・ランプ、22・光学系収納部、23・試料台、23a・上端面、24・平面検査領域、24a・中心、25・照度基準部材、25a・表面、26・反射鏡(反射部材)、26a・反射面、27・回転ドア、28・測定室、29・撮像部、30・照明装置、31・検査用光源部、41・発光ダイオード、42・ホルダ、43・走査ミラー装置、44・凸レンズ、51・光学装置制御部、52・受信部、53・画像処理部、54・表示制御部、55・記憶装置、61・検査用光源部、62・コリメートレンズ、63・凸レンズ、64・レンズ系、71・検査用光源部、72・凸レンズ、231・円形凹部、431・中心軸線、432・走査ミラー、531・領域抽出部、532・パーティクル特定部、533・計数部、L・L1・L2・検査光、P・パーティクル、R・高輝度画素領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板の基板表面が配置される平面検査領域に検査光を照射する検査用光源部と、前記基板表面で生じた前記検査光の散乱光を画像データとして取得する撮像部とを有し、前記画像データに基づいて前記基板表面に付着しているパーティクルを検出するためのパーティクル検出用光学装置において、
前記基板表面によって反射された前記検査光の反射光を、当該基板表面の側に反射する反射部材を有し、
前記検査用光源部は、光源としての発光ダイオードを備えていることを特徴とするパーティクル検出用光学装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記検査用光源部は、前記光源から射出された前記検査光を、前記平面検査領域に照射すると共に前記平面検査領域に沿って走査する走査ミラーを備えていることを特徴とするパーティクル検出用光学装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記光源から前記走査ミラーに向かう光路に、前記検査光が収束光の状態で前記平面検査領域に照射される状態とする集束レンズを備えていることを特徴とするパーティクル検出用光学装置。
【請求項4】
請求項2ないし3において、
前記反射部材の反射面は、少なくとも、前記平面検査領域を挟んで前記走査ミラーとは反対側に位置する反射面部分を備えていることを特徴とするパーティクル検出用光学装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
検査対象の前記基板として、基板表面が鏡面研磨されている基板を有していることを特徴とするパーティクル検出用光学装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載のパーティクル検出用光学装置と、
前記撮像部によって撮影された前記基板表面の撮像画像の前記画像データに基づいて前記基板表面に付着しているパーティクルを検出する画像処理部とを備えていることを特徴とするパーティクル検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−73039(P2012−73039A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216113(P2010−216113)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】