説明

ヒドロオリゴシランのアリール化体及びそれを含む発光材料又は電子輸送材料、並びにヒドロオリゴシランのアリール化体の製造方法

【課題】導電性材料や光機能材料として有用な、ポリシラン及び/又はオリゴシラン類の製造方法の提供。
【解決手段】1)ヒドロオリゴシランを準備する工程;2)ヨウ化アリールを準備する工程;及び3)ヒドロオリゴシランとヨウ化アリールとを、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒の存在下で反応させて、一般式IIIで表されるヒドロヒドロオリゴシランのアリール化体を得る工程;を有する、ヒドロオリゴシランのアリール化体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロオリゴシランのアリール化体及びその製造方法に関する。また、本発明は、ヒドロオリゴシランのアリール化体を含む発光材料及び/又は電子輸送材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシランやオリゴシラン類は、そのSi−Si結合のσ共役を利用した導電性材料や光機能材料として大きな注目を集めている化合物群である。これらの化合物群は、アリールハライドを対応する有機リチウム試薬やグリニャール試薬に誘導し、その後、クロロシラン類を反応させて得られている(非特許文献1を参照のこと)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J. Org. Chem., 2003, 68, 3337。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記手法は、生産コストが高く、高い基質制限性を有する、即ち、出発原料として用いるアリールハライドの種類が制限される、という問題点を有する。
そこで、本発明の目的は、上記問題点を生じない、ヒドロオリゴシランのアリール化体の製造方法を提供することにある。
より具体的には、本発明の目的は、基質が制限されない、即ち、種々の出発材料を用いることができる、ポリシラン及び/又はオリゴシラン類の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、又は上記目的以外に、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記目的に加えて、又は上記目的以外に、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料及び/又は電子輸送材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、次の発明を見出した。
<1> 1)下記一般式I
(式中、R〜Rは各々独立に、炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、置換又は未置換の芳香族基、及びヘテロ芳香族基からなるA群から選ばれる基を示し、
m1は1以上、好ましくは1〜5の整数を示し、
は、式IVで表される基(式中、m2は0以上、好ましくは1〜5の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し、
は、式Vで表される基(式中、m3は0以上、好ましくは1〜5の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示す)
で表されるヒドロオリゴシランを準備する工程;
2)下記一般式II
(式中、Arは、
a)一般式VIで表される基(式中、R31及びR32は、各々独立に、水素、炭素数1以上、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルコキシ基(例えば、−OH、−OCHなど)、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルキル基を有するアミノ基(例えば、―NH、−N(CH、−N(CHCHCHCHなど)、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルキルメルカプト基(例えば、−SH、−SCHなど)、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるB群から選ばれる基を示し、p11は0〜5の整数を示し、p12は0〜4の整数を示し、n1は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);
b)一般式VIIで表される基(式中、XはO、S又はNHを示し、R33及びR34は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p13は0〜3の整数を示し、p12は0〜2の整数を示し、n2は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);
b’)一般式VII’で表される基(式中、X、R33及びP13は上述と同じ意である);
c)一般式VIIIで表される基(式中、R35及びR36は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p15は0〜4の整数を示し、p16は0〜3の整数を示し、n3は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);又は
d)炭素数2以上のアルケニル基又はアルキニル基(例えば、ビニル基、エチニル基など);
を示す)
で表されるヨウ化アリールを準備する工程;
3)前記ヒドロオリゴシランと前記ヨウ化アリールとを、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒Pd(PR(式中、R〜Rは各々独立に、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒を形成する嵩高いアルキル基を示す)の存在下で反応させて、下記一般式IIIで表される、ヒドロオリゴシランのアリール化体を得る工程;
を有する、ヒドロオリゴシランのアリール化体の製造方法。
【0006】
【化1】

【0007】
<2> 上記<1>において、ヨウ化アリールが、下記一般式II’(式中、Ar’は、下記一般式VI’、VII”又は VIII’(式中、n1〜n3;R32、R34及びR36;p12、p14及びp16;並びにXは、上述した通りである)であり、
得られるヒドロオリゴシランのアリール化体が、一般式III’(式中、R〜R及びm1は上述した通りである)で表されるのがよい。
【0008】
【化2】

【0009】
<3> 上記<1>又は<2>において、R〜Rで表される嵩高い基は、各々独立に、ブチル基、1-アダマンチル基、及びシクロヘキシル基からなる群から選ばれるのがよい。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、工程3)を、塩基存在下で行うのがよい。
【0010】
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、Rが式IVで表される基であるのがよい。
<6> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0011】
<7> 上記<1>〜<6>のいずれかにおいて、Arが、一般式VIで表される基であり、R31及び/又はR32が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<8> 上記<7>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0012】
<9> 上記<1>〜<6>のいずれかにおいて、Arが、一般式VII又はVII’で表される基であり、R33及び/又はR34が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<10> 上記<9>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0013】
<11> 上記<1>〜<6>のいずれかにおいて、Arが、一般式VIIIで表される基であり、R35及び/又はR36が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基から選ばれる基であるのがよい。
<12> 上記<11>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0014】
<13> 上記<2>〜<6>のいずれかにおいて、Ar’が、一般式VI’で表される基であり、R32が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<14> 上記<13>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0015】
<15> 上記<2>〜<6>のいずれかにおいて、Ar’が、一般式VII”で表される基であり、R34が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<16> 上記<15>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0016】
<17> 上記<2>〜<6>のいずれかにおいて、Ar’が、前記一般式VIII’で表される基であり、R36が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<18> 上記<17>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0017】
<19> 下記一般式IIIで表されるヒドロオリゴシランのアリール化体
(式中、
〜Rは各々独立に、炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、置換又は未置換の芳香族基、及びヘテロ芳香族基からなるA群から選ばれる基を示し、
m1は1以上、好ましくは1〜5の整数を示し、
は、式IVで表される基(式中、m2は0以上、好ましくは1〜5の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し、
は、式Vで表される基(式中、m3は0以上、好ましくは1〜5の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し;
Arは、
a)一般式VIで表される基(式中、R31及びR32は、各々独立に、水素、炭素数1以上、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルコキシ基(例えば、−OH、−OCHなど)、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルキル基を有するアミノ基(例えば、―NH、−N(CH、−N(CHCHCHCHなど)、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルキルメルカプト基(例えば、−SH、−SCHなど)、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるB群から選ばれる基を示し、p11は0〜5の整数を示し、p12は0〜4の整数を示し、n1は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);
b)一般式VIIで表される基(式中、XはO、S又はNHを示し、R33及びR34は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p13は0〜3の整数を示し、p12は0〜2の整数を示し、n2は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);
b’)一般式VII’で表される基(式中、X、R33及びP13は上述と同じ意である);
c)一般式VIIIで表される基(式中、R35及びR36は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p15は0〜4の整数を示し、p16は0〜3の整数を示し、n3は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);又は
d)炭素数2以上のアルケニル基又はアルキニル基(例えば、ビニル基、エチニル基など);
を示す)。
【0018】
【化3】

【0019】
<20> 上記<19>において、Rが式IVで表される基であるのがよい。
<21> 上記<19>又は<20>において、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0020】
<22> 上記<19>〜<21>のいずれかにおいて、Arが、一般式VIで表される基であり、R31及び/又はR32が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<23> 上記<22>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0021】
<24> 上記<19>〜<21>のいずれかにおいて、Arが、一般式VII又はVII’で表される基であり、R33及び/又はR34が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<25> 上記<24>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0022】
<26> 上記<19>〜<21>のいずれかにおいて、Arが、一般式VIIIで表される基であり、R35及び/又はR36が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<27> 上記<26>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0023】
<28> 下記一般式III’で表されるヒドロオリゴシランのアリール化体
(式中、
〜Rは各々独立に、炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、置換又は未置換の芳香族基、及びヘテロ芳香族基からなるA群から選ばれる基を示し、
m1は1以上、好ましくは1〜5の整数を示し、
は、式IVで表される基(式中、m2は0以上、好ましくは1〜5の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し、
は、式Vで表される基(式中、m3は0以上、好ましくは1〜5の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し;
Ar’は、下記一般式VI’、VII”又は VIII’(式中、n1〜n3は各々独立に1〜5の整数を示し、
32、R34及びR36は、各々独立に、
炭素数1以上、好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数0以上、好ましくは0〜5のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上のアルキルメルカプト基、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるB群から選ばれる基を示し、
p12は0〜4の整数を示し、p14は0〜2の整数を示し、p16は0〜3の整数を示し、
Xは、O、S又はNHを示す)。
【0024】
【化4】

【0025】
<29> 上記<28>において、Rが式IVで表される基であるのがよい。
<30> 上記<28>又は<29>において、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0026】
<31> 上記<28>〜<30>のいずれかにおいて、Ar’が、一般式VI’で表される基であり、R32が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<32> 上記<31>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0027】
<33> 上記<28>〜<30>のいずれかにおいて、Ar’が、一般式VII”で表される基であり、R34が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<34> 上記<33>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0028】
<35> 上記<28>〜<30>のいずれかにおいて、Ar’が、一般式VIII’で表される基であり、R36が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
<36> 上記<35>において、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0029】
<37> 上記<19>〜<35>のいずれかに記載されるヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料。
<38> 上記<28>〜<35>のいずれかに記載されるヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料。
<39> 上記<19>〜<35>のいずれかに記載されるヒドロオリゴシランのアリール化体を有する電子輸送材料。
<40> 上記<28>〜<35>のいずれかに記載されるヒドロオリゴシランのアリール化体を有する電子輸送材料。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、基質が制限されない、即ち、種々の出発材料を用いることができる、ポリシラン及び/又はオリゴシラン類の製造方法、具体的にはヒドロオリゴシランのアリール化体の製造方法を提供することができる。
また、本発明により、上記効果に加えて、又は上記効果以外に、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体を提供することができる。
さらに、本発明により、上記効果に加えて、又は上記効果以外に、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料及び/又は電子輸送材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ヒドロオリゴシランのアリール化体の新規な製造方法を提供する。
また、本発明は、該製法により、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体を提供する。
さらに、本発明は、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料及び/又は電子輸送材料を提供する。
以下、製造方法について説明し、その後、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体、及びそれを有する発光材料及び/又は電子輸送材料について説明する。
【0032】
<ヒドロオリゴシランのアリール化体の新規な製造方法>
本発明の新規な製造方法は、
1)上述の一般式Iで表されるヒドロオリゴシランを準備する工程;
2)上述の一般式IIで表されるヨウ化アリールを準備する工程;及び
3)ヒドロオリゴシランとヨウ化アリールとを、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒の存在下で反応させて、上述の一般式IIIで表されるヒドロヒドロオリゴシランのアリール化体を得る工程;
を有する。
【0033】
<<一般式Iで表されるヒドロオリゴシラン>>
本発明の方法の工程1)は、下記一般式Iで表されるヒドロオリゴシランを準備する工程である。
【0034】
【化5】

【0035】
式中、R〜Rは各々独立に、炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、置換又は未置換の芳香族基、及びヘテロ芳香族基からなるA群から選ばれる基を示す。
m1は1以上、好ましくは1〜5の整数を示す。
は、式IVで表される基(式中、m2は0以上、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜2の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示す。好ましくは、Rは、式IVで表される基を示す。
は、式Vで表される基(式中、m3は0以上、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜2の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示す。好ましくは、Rは、式Vで表される基を示す。
【0036】
【化6】

【0037】
<<一般式IIで表されるヨウ化アリール>>
本発明の方法の工程2)は、一般式IIで表されるヨウ化アリールを準備する工程である。
【0038】
【化7】

【0039】
式中、Arは、
a)一般式VIで表される基(式中、R31及びR32は、各々独立に、水素、炭素数1以上、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルコキシ基(例えば、−OH、−OCHなど)、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルキル基を有するアミノ基(例えば、―NH、−N(CH、−N(CHCHCHCHなど)、炭素数0以上、好ましくは炭素数0〜10、より好ましくは0〜5のアルキルメルカプト基(例えば、−SH、−SCHなど)、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるB群から選ばれる基を示し、p11は0〜5の整数を示し、p12は0〜4の整数を示し、n1は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);
b)一般式VIIで表される基(式中、XはO、S又はNHを示し、R33及びR34は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p13は0〜3の整数を示し、p12は0〜2の整数を示し、n2は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);
b’)一般式VII’で表される基(式中、X、R33及びP13は上述と同じ意である);
c)一般式VIIIで表される基(式中、R35及びR36は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p15は0〜4の整数を示し、p16は0〜3の整数を示し、n3は0以上、好ましくは0〜5の整数を示す);又は
d)炭素数2以上のアルケニル基又はアルキニル基(例えば、ビニル基、エチニル基など);
を示す。
【0040】
【化8】

【0041】
特に、Arは、一般式VIで表される基であり、R31及び/又はR32が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
この場合、特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0042】
また、Arが、一般式VII又はVII’で表される基であり、R33及び/又はR34が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
この場合、特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0043】
また、Arが、一般式VIIIで表される基であり、R35及び/又はR36が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基であるのがよい。
この場合、特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基であるのがよい。
【0044】
本発明の方法の工程3)は、ヒドロオリゴシランとヨウ化アリールとを、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒の存在下で反応させて、一般式IIIで表されるヒドロオリゴシランのアリール化体を得る工程である。
【0045】
【化9】

【0046】
<<単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒>>
工程3)で用いる、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒は、Pd(PRで表すことができる。
ここで、R〜Rは各々独立に、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒を形成する嵩高いアルキル基を示す。
具体的には、R〜Rは各々独立に、ブチル基、1-アダマンチル基、及びシクロヘキシル基からなる群から選ばれるのがよい。
特に、R〜Rの組合せ(R、R、R)は、(t−ブチル基、t−ブチル基、t−ブチル基)、(シクロヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシル基)、(1-アダマンチル基、1-アダマンチル基、n−ブチル基)であるのがよい。
【0047】
工程3)は、塩基存在下で反応させるのがよい。具体的には、反応に用いる出発材料、反応温度などの諸条件に依存するが、一般に、トリアルキルアミン(例えば、エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなど)の存在下、好ましくはエチルジイソプロピルアミンの存在下で行うのがよい。
【0048】
工程3)の用いる溶媒、反応条件などは、用いる出発材料、用いる触媒などに依存するが、一般的に、溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどを挙げることができる。また、反応条件として、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)雰囲気下、温度:0〜50℃、好ましくは20〜30℃、圧力:1気圧、などであるのがよい。
【0049】
上記工程2)で、一般式IIで表されるヨウ化アリールを用いる代わりに、一般式II’で表されるヨウ化アリールを用いることもできる。
【0050】
【化10】

【0051】
ここで、Ar’は、下記一般式VI’、VII”又は VIII’(式中、n1〜n3;R32、R34及びR36;p12、p14及びp16;並びにXは、上述した通りである)で表される基である。
【0052】
【化11】

【0053】
一般式II’で表されるヨウ化アリールを用いた場合、得られるヒドロオリゴシランのアリール化体は、一般式III’(式中、R〜R及びm1は上述した通りである)で表すことができる。
【0054】
【化12】

【0055】
一般式II’で表されるヨウ化アリールを用いた場合、塩基:エチルジイソプロピルアミン、溶媒:テトラヒドロフラン、温度:20〜30℃、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)雰囲気下、圧力:1気圧、などであるのがよい。
【0056】
<新規なヒドロオリゴシランのアリール化体>
上述の方法により、ヒドロオリゴシランのアリール化体の新規物質を得ることができる。
特に、本発明は、ヒドロオリゴシラン側のR〜R、及び/又はアリール側の置換基が、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、アルキル基などの電子供与性基である新規ヒドロオリゴシランのアリール化体、特に従来法では合成が困難であった水酸基、アミノ基であるのがよい新規ヒドロオリゴシランのアリール化体を提供する。
以下、具体的に説明する。
本発明は、一般式III又はIII’(式中、R〜R、Ar及びAr’は上述の通りである)で表される、ヒドロオリゴシランのアリール化体を提供する。
【0057】
これら、一般式III又はIII’で表される、ヒドロオリゴシランのアリール化体のうち、次のA1)〜A3)、及びB1)〜B3)で示すものが新規物質である。
即ち、
A1)Arが、一般式VIで表される基であり、R31及び/又はR32が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である。特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である。
【0058】
A2)Arが、一般式VII又はVII’で表される基であり、R33及び/又はR34が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である。特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である。
【0059】
A3)Arが、一般式VIIIで表される基であり、R35及び/又はR36が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である。特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である。
【0060】
B1)Ar’が、一般式VI’で表される基であり、R32が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2のアルキルメルカプト基である。特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である。
【0061】
B2)Ar’が、一般式VII”で表される基であり、R34が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である。特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である。
【0062】
B3)Ar’が、一般式VIII’で表される基であり、R36が、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜1のアルコキシ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜4のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である。特に、Rが式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である。
【0063】
<新規なヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料及び/又は電子輸送材料>
上述の、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体は、発光材料及び/又は電子輸送材料、特に有機EL材料に求められる発光材料及び/又は電子輸送材料に利用できる。
なお、本明細書において、「発光材料」とは、光励起により励起波長とは異なる波長の光を発する化合物、好ましくは紫外線の励起により可視光を発する化合物のことをいう。また、本明細書において、「電子輸送材料」とは、電極から注入された電子を外部電場により輸送する化合物のことをいう。
具体的には、上述の、A1)〜A3)、及びB1)〜B3)で示した、新規なヒドロオリゴシランのアリール化体のうち、A2)、B2)が発光材料及び/又は電子輸送材料に利用できる。特に、A2)において、XはSであり、n2は0〜2、特に1〜2であり、m1が1であり、R〜Rがメチル基、R及びRが−Si(CHであるのがよい。また、B2)において、XはSであり、n2は1〜2、特に2であり、m1が1であり、R〜Rがメチル基、R及びRが−Si(CHであるのがよい。
【0064】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0065】
<5,5’-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシラン-2-イル)-2,2’-ビスチオフェンの合成>
5,5’-ジヨード-2,2’-ビスチオフェン832.3mg(2.0mmol)とビス(トリt−ブチルホスフィン)パラジウム(0)錯体(Pd(PBu)50.8mg(5mol%)をシュレンクに入れ、系を窒素置換後、THF1ml、エチルジイソプロピルアミン(EtPrN)0.70ml(4.0mmol)、トリス(トリメチルシリル)シラン1.2ml(4.0mmol)を加えた。
室温で3日間攪拌後、反応を水で停止させ、内容物をジクロロメタンで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を除去して溶媒をエバポレータで留去した。内容物をシリカゲルTLCプレートで精製し(展開溶媒:ヘキサン)、さらにGPCカラムを搭載したHPLCによって、精製し、題記化合物を得た(262mg、20%)。mp.: 216-217℃。
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ:7.17(d, 2H, J=3.42), 6.98(d, 2H, J=3.42), 0.22(s, 54H).
13C NMR(100MHz, CDCl3) δ:142.1(2Cq), 136.7(2CH), 131.9(2Cq), 125.0(2CH).
Anal. Cald. For C26H58S2Si8: C, 47.35; H, 8.86. Found C, 47.20; H, 8.65.
EI-MS m/z 659(M+).
【0066】
<5,5’-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシラン-2-イル)-2,2’-ビスチオフェンの発光性>
上記で得られた化合物のクロロホルム溶液(濃度:1.7μM)に352nmの光を照射したところ、410nmにピークトップがある発光が観測された(青色発光)。
このことから、上記化合物は、大きいモル吸光係数(ε:2.9×10)を有し且つ良好な量子収率(φ:0.40)を有していることがわかる。また、これらのことから、本実施例で得られた化合物が、有機EL材料の発光材料として有用であることがわかる。
【実施例2】
【0067】
<1-(4-メトキシフェニル)-1,1,2,2,2-ペンタメチルジシランの合成>
系を窒素置換後、Pd(PBu 25.6 mg (5 mol%)、ペンタメチルジシラン0.183 mL (1.0 mmol)、4-ヨードアニソール351 mg (1.5 mmol)、テトラヒドロフラン(THF)1 mL、及びEtPrN0.26 mL (1.5 mmol)をシュレンクに加えた。室温で3日間攪拌後、反応を水で停止させ、内容物をジクロロメタンで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を除去して溶媒をエバポレータで留去した。内容物をシリカゲルTLCプレートで精製し(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル = 10/1)、さらにGPCカラムを搭載したHPLCによって精製し、題記化合物を得た(188 mg、79%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.92(d, 2H, J = 8.54 Hz), 7.45(d, 2H, J = 8.54 Hz), 4.35(s, 3H), 0.85(s, 6H), 0.60(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 159.9(Cq), 135.1(CH), 130.2(Cq), 113.6(CH), 54.9(CH3), -2.2(CH3), -3.8(CH3). EI-MS m /z 238 (M+).
【実施例3】
【0068】
<1-(3-メトキシフェニル)-1,1,2,2,2-ペンタメチルジシランの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを3-ヨードアニソールに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(181 mg、76%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.29-7.24(m, 2H), 7.03-6.98(m, 2H), 3.80(s, 3H), 0.14(s, 6H), 0.04(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 158.9(Cq), 141.4(Cq), 128.8(CH), 126.1(CH), 119.3(CH), 113.3(CH), 55.0(CH3), 2.1(CH3), -2.5(CH3). EI-MS m /z 238 (M+).
【実施例4】
【0069】
<1-(2-メトキシフェニル)-1,1,2,2,2-ペンタメチルジシランの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを2-ヨードアニソールに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(171 mg、72%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.31-7.25(m, 2H), 6.90(t, 1H, J = 7.32 Hz), 6.73(d, 1H, J = 8.05 Hz), 3.71(s, 3H), 0.27(s, 6H), 0.00(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 164.6(Cq), 135.8(CH), 131.2(CH), 128.3(Cq), 109.7(CH), 55.5(CH3), -0.9(CH3), -2.7(CH3). EI-MS m /z 238 (M+).
【実施例5】
【0070】
<1,1,1,2,2-ペンタメチル-2-p-トリルジシランの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを4-ヨードトルエンに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(101 mg、45%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.31(d, 2H, J = 7.81 Hz), 7.11(d, 2H, J = 7.81 Hz), 2.29(s, 3H), 0.27(s, 6H), 0.02(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ138.0(Cq), 135.8(Cq), 133.8(CH), 128.6(CH), 21.4(CH3), -2.2(CH), -3.9(CH). EI-MS m /z 222 (M+).
【実施例6】
【0071】
<1-(4-エチルフェニル)-1,1,2,2,2-ペンタメチルジシランの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを1-エチル-4-ヨードベンゼンに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(176 mg、75%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.32(d, 2H, J = 7.56 Hz), 7.12(d, 2H, J = 7.56 Hz), 2.58(q, 2H, J = 7.57 Hz), 1.17(t, 3H, J = 7.56 Hz), 0.26(s, 6H), 0.00(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 144.3(Cq), 136.1(Cq), 133.8(CH), 127.4(CH), 28.8(CH2), 15.4(CH3), -2.2(CH3), -3.9(CH3). EI-MS m /z 236 (M+).
【実施例7】
【0072】
<1-(4-イソプロピルフェニル)-1,1,2,2,2-ペンタメチルジシランの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを1-ヨード-4-イソプロピルベンゼンに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た (145 mg、58%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.32(d, 2H, J = 8.05 Hz), 7.14(d, 2H, J = 7.81 Hz), 2.87-2.77(m, 1H, J = 7.08 Hz), 1.19(d, 6H, J = 6.83 Hz), 0.25(s, 6H), 0.00(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 148.9(Cq), 136.3(Cq), 133.8(CH), 125.9(CH), 34.0(CH), 23.9(CH3), -2.2(CH3), -3.9(CH3). EI-MS m /z 250 (M+).
【実施例8】
【0073】
<1-(4-tert-ブチルフェニル)-1,1,2,2,2-ペンタメチルジシランの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを1-tert-ブチル-4-ヨードベンゼンに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(165 mg、62%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.40-7.34(m, 4H), 1.32(s, 9H), 0.31(s, 6H), 0.06(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 151.1(Cq), 135.9(Cq), 133.7(CH), 124.7(CH), 34.6(Cq), 31.3(CH3), -2.2(CH3), -3.8(CH3). EI-MS m /z 264 (M+).
【実施例9】
【0074】
<4-(1,1,2,2,2-ペンタメチルジシリル)アニリンの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを4-ヨードアニリンに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(127 mg、57%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.27-7.07(m, 4H), 3.55(s, 2H), 0.23(s, 6H), 0.00(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 147.5(Cq), 135.8(CH), 130.1(Cq), 115.6(CH), -1.3(CH3), -2.8(CH3). EI-MS m /z 223 (M+).
【実施例10】
【0075】
<4-(1,1,2,2,2-ペンタメチルジシリル)フェノールの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを4-ヨードフェノールに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(159 mg、71%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.22(d, 2H, J = 8.54 Hz), 6.92(s, 1H), 6.83(d, 2H, J = 7.56 Hz), 0.14(s, 6H), 0.03(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 155.5(Cq), 129.6(CH), 120.7(Cq), 115.3(CH), 2.1(CH3), -2.6(CH3). EI-MS m /z 224 (M+).
【実施例11】
【0076】
<1,1,1,2,2-ペンタメチル-2-(チオフェン-2-イル)ジシランの合成>
実施例2で用いた4-ヨードアニソールを2-ヨードチオフェンに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(57 mg、27%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.50(d, 1H, J = 4.39 Hz), 7.12-7.10(m, 2H), 0.28(s, 6H), 0.01(s, 9H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 138.9(Cq), 134.0(CH), 130.3(CH), 128.1(CH), -2.5(CH3), -2.7(CH3). EI-MS m /z 214 (M+).
【実施例12】
【0077】
<2-(4-メトキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例2で用いたペンタメチルジシランをトリス(トリメチルシリル)シランに換えた以外、実施例2と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(145 mg、41%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 6.95(d, 1H, J = 8.54 Hz), 6.43(d, 1H, J = 8.54 Hz), 3.38(s, 3H), -0.20(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 159.3(Cq), 137.7(CH), 125.2(Cq), 113.7(CH), 54.9(CH3), 1.1(CH3). EI-MS m /z 354 (M+).
【実施例13】
【0078】
<2-(3-メトキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを3-ヨードアニソールに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(46 mg、13%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 6.98-6.55(m, 4H), 3.56(s, 3H), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 158.6(Cq), 137.0(Cq), 129.0(CH), 128.7(CH), 121.6(CH), 113.0(CH), 54.9(CH3), 1.2(CH3). EI-MS m /z 354 (M+).
【実施例14】
【0079】
<1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを4-ヨードチオアニソールに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(55 mg、15%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.14(d, 2H, J = 8.30 Hz), 6.93(d, 2H, J = 8.30Hz), 2.25(s, 3H), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 137.6(Cq), 136.8(CH), 131.2(Cq), 125.6(CH), 15.3(CH3), 1.1(CH3). EI-MS m /z 370 (M+).
【実施例15】
【0080】
<4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル) トリシラン-2-イル)-N,N-ジメチルアニリンの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを4-ヨード-N,N-ジメチルアニレンに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(173 mg、47%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.10(d, 2H, J = 9.03 Hz), 6.46(d, 2H, J = 8.54 Hz), 2.71(s, 6H), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 150.7(Cq), 138.3(CH), 135.2(Cq), 113.1(CH), 41.0(CH3), 2.1(CH3). EI-MS m /z 367 (M+).
【実施例16】
【0081】
<N,N-ジブチル-4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシラン-2-イル)アニリンの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを4-ヨード-N,N-ジブチルアニレンに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(351 mg、78%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.05-6.97(m, 2H), 6.42-6.36(m, 2H), 3.06-3.00(m, 2H), 1.35-1.33(m, 2H), 1.17-1.09(m, 2H), 0.77-0.72(m, 6H), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 137.6(CH), 129.1(CH), 111.6(Cq), 111.3(Cq), 60.3(CH2), 20.3(CH2), 14.0(CH3), 1.2(CH3). EI-MS m /z 222 (M+).
【実施例17】
【0082】
<1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-p-トリル-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを4-ヨードトルエンに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(146 mg、41%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.13(d, 2H, J = 7.81 Hz), 6.87(d, 2H, J = 7.81 Hz), 2.10(s, 3H), 0.008(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 137.0(Cq), 136.5(CH), 131.2(Cq), 128.6(CH), 21.3(CH3), 1.20(CH3). EI-MS m /z 338 (M+).
【実施例18】
【0083】
<2-(4-エチルフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを1-エチル-4-ヨードベンゼンに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(59 mg、17%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.14(d, 2H, J = 8.05 Hz), 6.88(d, 2H, J = 8.30 Hz), 2.40(q, 2H, J = 2.52 Hz), 1.02(t, 3H, J = 7.56 Hz), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 142.9(cq), 136.2(CH), 131.1(Cq), 127.0(CH), 28.3(CH2), 14.8(CH3), 0.8(CH3). EI-MS m /z 352 (M+).
【実施例19】
【0084】
<2-(4-イソプロピルフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを1-ヨード-4-イソプロピルベンゼンに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(95 mg、28%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.14(d, 2H, J = 8.05 Hz), 6.89(d, 2H, J = 7.81 Hz), 2.65-2.64(m, 1H), 1.02(d, 6H, J = 7.08 Hz), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 148.5(Cq), 137.3(CH), 132.3(Cq), 126.6(CH), 34.5(CH), 24.6(CH3), 1.9(CH3). EI-MS m /z 366 (M+).
【実施例20】
【0085】
<2-(4-tert-ブチルフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを1-tert-ブチル-4-ヨードベンゼンに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(103 mg、27%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.14(d, 2H, J = 8.30 Hz), 7.04(d, 2H, J = 8.30 Hz), 1.09(s, 9H), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 150.7(Cq), 137.1(CH), 131.8(Cq), 125.4(CH), 32.0(CH3), 1.9(CH3). EI-MS m /z 380 (M+).
【実施例21】
【0086】
<1,1,1,3,3,3-ヘキサメチル-2-(チオフェン-2-イル)-2-(トリメチルシリル)トリシランの合成>
実施例12で用いた4-ヨードアニソールを2-ヨードチオフェンに換えた以外、実施例12と同様の手順で合成を行い、題記化合物を得た(269 mg、81%)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 7.16-7.14(m, 1H), 7.08-7.07(m, 1H), 6.87-6.86(m, 1H), 0.00(s, 27H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ 133.9(CH), 132.2(Cq), 131.0(CH), 124.9(CH), 1.0(CH3). EI-MS m /z 330 (M+).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記一般式I
(式中、R〜Rは各々独立に、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2以上の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数2以上の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるA群から選ばれる基を示し、
m1は1以上の整数を示し、
は、式IVで表される基(式中、m2は0以上の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し、
は、式Vで表される基(式中、m3は0以上の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示す)
で表されるヒドロオリゴシランを準備する工程;
2)下記一般式II
(式中、Arは、
a)一般式VIで表される基(式中、R31及びR32は、各々独立に、水素、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上のアルキルメルカプト基、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるB群から選ばれる基を示し、p11は0〜5の整数を示し、p12は0〜4の整数を示し、n1は0以上の整数を示す);
b)一般式VIIで表される基(式中、XはO、S又はNHを示し、R33及びR34は、各々独立に、水素、及び前記B群からなら群から選ばれる基を示し、p13は0〜3の整数を示し、p12は0〜2の整数を示し、n2は0以上の整数を示す);
b’)一般式VII’で表される基(式中、X、R33及びP13は上述と同じ意である);
c)一般式VIIIで表される基(式中、R35及びR36は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p15は0〜4の整数を示し、p16は0〜3の整数を示し、n3は0以上の整数を示す);又は
d)炭素数2以上のアルケニル基又はアルキニル基;
を示す)
で表されるヨウ化アリールを準備する工程;
3)前記ヒドロオリゴシランと前記ヨウ化アリールとを、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒Pd(PR(式中、R〜Rは各々独立に、単座ホスフィンが2分子配位したパラジウム錯体触媒を形成する嵩高いアルキル基を示す)の存在下で反応させて、下記一般式IIIで表される、ヒドロオリゴシランのアリール化体を得る工程;
を有する、ヒドロオリゴシランのアリール化体の製造方法。
【化1】

【請求項2】
前記ヨウ化アリールが、下記一般式II’(式中、Ar’は、下記一般式VI’、VII”又は VIII’(式中、n1〜n3、R32、R34及びR36;p12、p14及びp16;並びにXは、上述した通りである)であり、
得られるヒドロオリゴシランのアリール化体が、一般式III’ (式中、R〜R及びm1は上述した通りである)で表される請求項1記載の方法。
【化2】

【請求項3】
前記R〜Rで表される嵩高い基は、各々独立に、ブチル基、1-アダマンチル基、及びシクロヘキシル基からなる群から選ばれる請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記工程3)を、塩基存在下で行う請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
が式IVで表される基である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
が式Vで表される基である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
Arが、前記一般式VIで表される基であり、R31及び/又はR32が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項7記載の方法。
【請求項9】
Arが、前記一般式VII又はVII’で表される基であり、R33及び/又はR34が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項9記載の方法。
【請求項11】
Arが、前記一般式VIIIで表される基であり、R35及び/又はR36が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項11記載の方法。
【請求項13】
Ar’が、前記一般式VI’で表される基であり、R32が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項2〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項13記載の方法。
【請求項15】
Ar’が、前記一般式VII”で表される基であり、R34が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項2〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項15記載の方法。
【請求項17】
Ar’が、前記一般式VIII’で表される基であり、R36が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項2〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項17記載の方法。
【請求項19】
下記一般式IIIで表されるヒドロオリゴシランのアリール化体
(式中、
〜Rは各々独立に、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2以上の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数2以上の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるA群から選ばれる基を示し、
m1は1以上の整数を示し、
は、式IVで表される基(式中、m2は1以上の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し、
は、式Vで表される基(式中、m3は1以上の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し;
Arは、
a)一般式VIで表される基(式中、R31及びR32は、各々独立に、水素、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上のアルキルメルカプト基、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるB群から選ばれる基を示し、p11は0〜5の整数を示し、p12は0〜4の整数を示し、n1は0以上の整数を示す);
b)一般式VIIで表される基(式中、XはO、S又はNHを示し、R33及びR34は、各々独立に、水素、及び前記B群からなら群から選ばれる基を示し、p13は0〜3の整数を示し、p12は0〜2の整数を示し、n2は0以上の整数を示す);
b’)一般式VII’で表される基(式中、X、R33及びP13は上述と同じ意である);
c)一般式VIIIで表される基(式中、R35及びR36は、各々独立に、水素、及び前記B群からなる群から選ばれる基を示し、p15は0〜4の整数を示し、p16は0〜3の整数を示し、n3は0以上の整数を示す);又は
d)炭素数2以上のアルケニル基又はアルキニル基
を示す)。
【化3】

【請求項20】
が式IVで表される基である請求項19記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項21】
が式Vで表される基である請求項19又は20記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項22】
Arが、前記一般式VIで表される基であり、R31及び/又はR32が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項19〜21のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項23】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項22記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項24】
Arが、前記一般式VII又はVII’で表される基であり、R33及び/又はR34が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項19〜21のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項25】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項24記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項26】
Arが、前記一般式VIIIで表される基であり、R35及び/又はR36が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項19〜21のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項27】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項26記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項28】
下記一般式III’で表されるヒドロオリゴシランのアリール化体
(式中、
〜Rは各々独立に、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2以上の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、炭素数2以上の直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるA群から選ばれる基を示し、
m1は1以上の整数を示し、
は、式IVで表される基(式中、m2は1以上の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し、
は、式Vで表される基(式中、m3は1以上の整数を示す)、又はA群から選ばれる基を示し;
Ar’は、下記一般式VI’、VII”又は VIII’(式中、n1〜n3は各々独立に1以上の整数を示し、
32、R34及びR36は、各々独立に、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、炭素数0以上のアルキルメルカプト基、置換又は未置換の芳香族基及び置換又は未置換のヘテロ芳香族基からなるB群から選ばれる基を示し、
p12は0〜4の整数を示し、p14は0〜2の整数を示し、p16は0〜3の整数を示し、
Xは、O、S又はNHを示す)。
【化4】

【請求項29】
が式IVで表される基である請求項28記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項30】
が式Vで表される基である請求項28記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項31】
Ar’が、前記一般式VI’で表される基であり、R32が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項28〜30のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項32】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項31記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項33】
Ar’が、前記一般式VII”で表される基であり、R34が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項28〜30のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項34】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項33記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項35】
Ar’が、前記一般式VIII’で表される基であり、R36が、炭素数0以上のアルコキシ基、炭素数0以上のアルキル基を有するアミノ基、及び炭素数0以上のアルキルメルカプト基からなる群から選ばれる基である請求項28〜30のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項36】
が式IVで表される基であり、Rが式Vで表される基である請求項35記載のヒドロオリゴシランのアリール化体。
【請求項37】
請求項19〜35のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料。
【請求項38】
請求項28〜35のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体を有する発光材料。
【請求項39】
請求項19〜35のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体を有する電子輸送材料。
【請求項40】
請求項28〜35のいずれか1項記載のヒドロオリゴシランのアリール化体を有する電子輸送材料。

【公開番号】特開2010−163405(P2010−163405A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8950(P2009−8950)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2008(平成20)年9月5日 錯体化学会発行の「第58回 錯体化学討論会 講演要旨集」に発表
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】