説明

ヒドロキシ鎖末端官能性ポリオレフィンをその場で生成させる方法

【課題】テレキリックポリマーの製造方法を提供する。
【解決手段】下記式Iのテレキリックポリマーの製造方法:
【化1】


式中、
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準リビングポリオレフィンをその場で官能性にすることによって、ヒドロキシ末端ポリオレフィンを製造するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシ末端ポリマー、すなわちヒドロキシ末端基を含むポリマーは、高機能ポリマー生成物の製造において有用な中間体である。そのような中間体は、例えば燃料もしくは潤滑油の添加剤、ポリウレタン、ポリ(ウレタン−ウレア)、もしくはポリアミド、ネットワークポリマー、星状分岐ポリマー、およびブロックコポリマーのような熱可塑性エラストマーの製造のために用いることができる。このため、ヒドロキシル−末端ポリマー、並びにそれを生成するために好適な方法についての需要がある。
【0003】
ヒドロキシ末端ポリイソブチレンを合成するための従来の方法は、テレキリックポリイソブチレンの重合後の修飾、例えば、オレフィン末端ポリイソブチレンのヒドロホウ素化酸化によるものを含む。本明細書は、ポリイソブチレンを含む準リビングポリオレフィンをその場で官能性とするための方法を記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記式Iのテレキリックポリマーもしくはその混合物を製造するための下記の工程を含む方法を提供する:
【0005】
【化1】

【0006】
式中、
はポリオレフィン基であり:
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である;
(a)準リビング反応系において準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンを生成させる工程;
(b)工程(a)の準リビング反応系に下記式IIの化合物を加えて、一種以上の中間体を生成させる工程:
【0007】
【化2】

【0008】
式中、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキル、−C(O)R、−SO、−SO、もしくは−Si(R)(R)(R10)であって、R、R、R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、アルキルもしくはアリールであり;そして
(c)その場で工程(b)の一種以上の中間体を一種以上の酸と接触させて、上記式Iのテレキリックポリマーを生成させる工程。
【0009】
さらに、本発明は下記式Iの化合物を提供する:
【0010】
【化3】

【0011】
式中、
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(a)定義
別に定義する場合を除き、本明細書で使用するすべての技術と科学の用語は、当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書が使用する用語について複数の意味が存在する場合、別に述べられている場合を除き、下記の定義が優先される。
【0013】
本明細書で使用する「ポリオレフィン基」は、一価もしくは二価のポリオレフィン置換基を意味する。ある態様では、ポリオレフィン基はポリイソブチル基もしくはポリイソブチレン基である。
【0014】
本明細書で使用する「ポリオレフィン」は、少なくとも二つのオレフィンモノマー単位を含むポリマーを意味する。ある態様では、ポリオレフィンは、約300から100万g/モルを超える分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、約200乃至10000g/モルの分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、約1000乃至5000g/モルの分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、約2000乃至3000g/モルの分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、約100000乃至1000000g/モルの分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、200g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、400g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、600g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、800g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、1000g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、5000g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、10000g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、100000g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、500000g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、1000000g/モルよりも大きな分子量を有する。ある態様では、ポリオレフィンは、単官能開始剤、二官能開始剤、もしくは多官能開始剤から誘導される。ある態様では、ポリオレフィンは、ポリイソブテンである。
【0015】
本明細書で使用する「ポリイソブチル基」は、少なくとも二つのイソブチレンモノマー単位を含む一価のポリオレフィン基を意味する。ある態様では、ポリイソブチル基は、下記で表される:
【0016】
【化4】

【0017】
式中、
RはHもしくは1乃至約10の炭素原子を有するアルキルであり、そしてnは約10乃至約2000の整数である。
さらに別の態様では、nは約10乃至約1000である。さらに別の態様では、nは約10乃至約500である。さらに別の態様では、nは約10乃至約250である。さらに別の態様では、nは約10乃至約100である。さらに別の態様では、nは約10乃至約50である。
【0018】
本明細書で使用する「ポリイソブチレン基」は、少なくとも二つのイソブチレンモノマー単位を含む二価のポリオレフィン基を意味する。ある態様では、ポリイソブチレン基は下記で表される:
【0019】
【化5】

【0020】
式中、
nは約10乃至約2000の整数である。
さらに別の態様では、nは約10乃至約1000である。さらに別の態様では、nは約10乃至約500である。さらに別の態様では、nは約10乃至約250である。さらに別の態様では、nは約10乃至約100である。さらに別の態様では、nは約10乃至約50である。
【0021】
本明細書で使用する「カチオン性開始剤残基」は、式(−CRで表される一価もしくは多価の基を意味する。上記式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル、アリール、アルカリール、もしくはアラルキルである。ただし、上記RおよびRの少なくとも一つは、水素原子ではない。上記式中、Rは、脂肪族もしくは芳香族のr価である一価もしくは多価の基であって、rは1乃至4の整数である。ある態様では、Rが炭化水素基である。ある態様では、Rがアリールである。ある態様では、Rがアルキルである。ある態様では、Rがフェニルである。ある態様では、rが1である。ある態様では、rが2である。ある態様では、rが3である。ある態様では、rが4である。ある態様では、上記炭素カチオン性開始剤残基は本明細書に記載される開始剤から誘導される。
【0022】
本明細書で使用する「アルキル」は、約1乃至約20の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味する。ある態様では、アルキル基は約1乃至約15の炭素原子を含む。ある態様では、アルキル基は約1乃至約10の炭素原子を含む。ある態様では、アルキル基は約1乃至約8の炭素原子を含む。ある態様では、アルキル基は約1乃至約6の炭素原子を含む。ある態様では、アルキル基は約1乃至約3の炭素原子を含む。ある態様では、アルキル基は1乃至2の炭素原子を含む。ある態様では、アルキル基は一級である。ある態様では、アルキル基は二級である。ある態様では、アルキル基は三級である。ある態様では、アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、もしくはイソヘキシルである。ある態様では、アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、もしくはイソプロピルである。ある態様では、アルキル基はメチルである。ある態様では、アルキル基はtert−ブチルである。ある態様では、アルキル基は炭化水素直鎖である。ある態様では、アルキル基は炭化水素分岐鎖である。ある態様では、アルキル基は環状である。ある態様では、アルキル基は置換されている。
【0023】
本明細書で使用する「アルケニル」は2乃至約20の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、その鎖もしくは基が一つ以上の二重結合を含む。ある態様では、アルケニル基は2乃至約15の炭素原子を含む。ある態様では、アルケニル基は2乃至約10の炭素原子を含む。ある態様では、アルケニル基は2乃至約8の炭素原子を含む。ある態様では、アルケニル基は2乃至約6の炭素原子を含む。ある態様では、アルケニル基は2乃至3の炭素原子を含む。ある態様では、アルケニル基はアリル基である。ある態様では、アルケニル基は別の不飽和基と共役する一つ以上の二重結合を含む。ある態様では、アルケニル基は置換されている。
【0024】
本明細書で使用する「アルキニル」は2乃至約20の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、その鎖が一つ以上の三重結合を含む。ある態様では、アルキニル基は2乃至約15の炭素原子を含む。ある態様では、アルキニル基は2乃至約10の炭素原子を含む。ある態様では、アルキニル基は2乃至約8の炭素原子を含む。ある態様では、アルキニル基は2乃至約6の炭素原子を含む。ある態様では、アルキニル基は2乃至3の炭素原子を含む。ある態様では、アルキニル基はプロパルギル基である。ある態様では、アルキニル基は別の不飽和基と共役する一つ以上の三重結合を含む。ある態様では、アルキニル基は置換されている。
【0025】
本明細書で使用する「アリール」は、6乃至約30の炭素原子を含む一価の単環式もしくは多環式の芳香族基である。ある態様では、アリール基は単環式である。ある態様では、アリール基は6乃至約15の炭素原子を含む。ある態様では、アリール基は6乃至約10の炭素原子を含む。ある態様では、アリール基はフルオレニル、フェニル、もしくはナフチルである。ある態様では、アリール基はフェニルである。ある態様では、アリールは置換されている。
【0026】
本明細書で使用する「アルカリール」は、少なくとも一つのアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基で置換された一価のアリール基を意味する。
【0027】
本明細書で使用する「アラルキル」は、少なくとも一つのアリール基で置換された一価のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基を意味する。
【0028】
本明細書で使用する「置換されている」は、一つ以上の置換基の存在を意味する。ある態様では、一つの置換基のみが存在する。
【0029】
本明細書で使用する「準リビング炭素カチオン性ポリオレフィン」は、重合の進行に伴う不可逆的な連鎖終止が最小限かつ連鎖転移も最小限になるような重合条件下で生成する炭素カチオン性ポリオレフィンを意味する。そのような重合は、「準リビング重合」としても知られ、開始およびそれに引き続く生長によって進行する。生長では、生長(活性)種が非生長(休止)ポリマー鎖と平衡状態になっている。
【0030】
本明細書で使用する「準リビング反応系」は、準リビング重合を実施するために適している任意の反応系を意味する。ある態様では、上記反応系は一種以上のルイス酸、モノマー、開始剤、および電子供与体を含む。ある態様では、上記反応系は共通イオン塩もしくは共通イオン塩前駆体を含む。ある態様では、上記反応系は希釈剤を含む。
【0031】
本明細書で使用する「ルイス酸」は、電子対を受容できる化学的な存在を意味する。
【0032】
本明細書で使用する「モノマー」は、炭素カチオンと結合して別の炭素カチオンを生成するオレフィンを意味する。
【0033】
本明細書で使用する「開始剤」は、炭素カチオンを供給する化合物を意味する。
【0034】
本明細書で使用する「電子供与体」は、別の分子に電子対を供与できる分子を意味する。
【0035】
本明細書で使用する「共通イオン塩」は、準リビング炭素カチオン重合条件下で実施される反応に任意に加えられ、生長カルベニウムイオンと対イオンとの対の乖離を防止するイオン性塩を意味する。
【0036】
本明細書で使用する「共通イオン塩前駆体」は、準リビング炭素カチオン重合条件下で実施される反応に任意に添加されるイオン性塩であって、その場でルイス酸と反応することによって、生長連鎖末端の対アニオンと同じ対アニオンを生じさせるイオン性塩を意味する。
【0037】
本明細書で使用する「ハロゲン化物」はハロゲンを意味する。ある態様では、ハロゲンはF、Cl、Br、もしくはIである。ある態様では、ハロゲンはFである。ある態様では、ハロゲンはClである。ある態様では、ハロゲンはBrである。ある態様では、ハロゲンはIである。
【0038】
本明細書で使用する「接触させる」は、二種以上の化合物を互いに物理的に接触させることを意味する。ある態様では、二種以上の化合物を接触させて、互いに反応させる。
【0039】
本明細書で使用する「反応させる」は、二種以上の化合物を互いに接触させ、該二種以上の化合物の少なくとも一種が、異なる化合物に化学的に変換されることを意味する。
【0040】
本明細書で使用する「ハロゲン化アルキルアルミニウム」は、式RAlX3−nの化合物およびその混合物を意味する。上記式中、nは、1、1.5、もしくは2であり;Rはアルキル基であり;そして、Xはハロゲンである。
【0041】
本明細書で使用する「約」は、指摘した数値のプラスもしくはマイナス10%までを意味する。例えば、「約25℃」は、22.5℃乃至27.5℃を意味する。ある態様では、約は、指摘した数値のプラスもしくはマイナス9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1%までを意味する。整数値のみが可能である場合、「約」は、最も近い整数の値に近似されるプラスもしくはマイナス10%までを意味する。例えば、「約9の炭素原子」は、8乃至11の炭素原子を意味する。
【0042】
本明細書で使用する「その場で(in situ)」は、同じ反応系において実施される工程を意味する。本明細書に記載する方法に関して、工程(b)の一種以上の中間体を一種以上の酸と、その場で接触させることは、工程(a)および(b)が実施されたものと同じ反応系において、かつ反応が停止する前に、一種以上の酸が一種以上の中間体と接触することを意味する。
【0043】
(b)方法
本発明は、下記式Iのテレキリックポリマーもしくはその混合物を製造するための下記の工程を含む方法を提供する:
【0044】
【化6】

【0045】
式中、
は一価のポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である;
【0046】
(a)準リビング反応系において準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンを生成させる工程;
(b)工程(a)の準リビング反応系に式IIの化合物を加えて、一種以上の中間体を生成させる工程:
【0047】
【化7】

【0048】
式中、
はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキル、−C(O)R、−SO、−SO、もしくは−Si(R)(R)(R10)であって、R、R、R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、アルキルもしくはアリールであり;そして
(c)その場で工程(b)の一種以上の中間体を一種以上の酸と接触させて、上記式Iのテレキリックポリマーを生成させる工程。
【0049】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、式IIの化合物は準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンと反応して、一種以上の中間体を生成する。理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、一種以上の中間体は、式IIIの化合物であるか、あるいは式IIIの化合物を含む。
【0050】
【化8】

【0051】
ある態様では、式IIIの化合物の80%以上が工程(c)の一種以上の酸によって消費される。ある態様では、式IIIの化合物の85%以上が工程(c)の一種以上の酸によって消費される。ある態様では、式IIIの化合物の90%以上が工程(c)の一種以上の酸によって消費される。ある態様では、式IIIの化合物の95%以上が工程(c)の一種以上の酸によって消費される。ある態様では、式IIIの化合物の98%以上が工程(c)の一種以上の酸によって消費される。
【0052】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、一種以上の中間体は、式IVの化合物であるか、あるいは式IVの化合物を含む。
【0053】
【化9】

【0054】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、一種以上の中間体は、式Vの化合物であるか、あるいは式Vの化合物を含む。
【0055】
【化10】

【0056】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、一種以上の中間体は、式VIの化合物であるか、あるいは式VIの化合物を含む。
【0057】
【化11】

【0058】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンは式IIの化合物と反応し、式IV、V、およびVIの化合物を含む混合物を生成する。
【0059】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、一種以上の中間体は工程(c)の一種以上の酸と反応し、式Iのテレキリックポリマーを生成する。
【0060】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、工程(c)の一種以上の酸が式IVの化合物と反応し、式VIIの化合物を生成する。
【0061】
【化12】

【0062】
【化13】

【0063】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、式Vの化合物は工程(c)の一種以上の酸と反応して式VIIIの化合物を生成する。
【0064】
【化14】

【0065】
【化15】

【0066】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、式IIの化合物は酸の存在下で式VIの化合物と反応して、前記式IV、V、VII、もしくはVIIIのテレキリックポリマーを生成する。
【0067】
【化16】

【0068】
理論に制約もしくは制限されるものではないが、ある態様では、式VIIIの化合物が異性化して式VIIの化合物になる。
【0069】
【化17】

【0070】
さらに別の態様では、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、もしくは少なくとも70℃の温度で、式VIIIの化合物は異性化して式VIIの化合物を生成する。
【0071】
ある態様では、本発明の方法は、式VIIの化合物を少なくとも80%生成させる。すなわち、生成される全てのポリマー生成物に対して、式VIIの化合物を少なくとも80モル%生成させる。ある態様では、本発明の方法は、式VIIの化合物を少なくとも85%生成させる。ある態様では、本発明の方法は、式VIIの化合物を少なくとも90%生成させる。ある態様では、本発明の方法は、式VIIの化合物を少なくとも95%生成させる。ある態様では、本発明の方法は、式VIIの化合物を少なくとも97%生成させる。ある態様では、本発明の方法は、式VIIの化合物を少なくとも98%生成させる。ある態様では、本発明の方法は、式VIIの化合物を少なくとも99%生成させる。
【0072】
ある態様では、Rは二価のポリイソブチレン基である。
【0073】
ある態様では、RおよびRは、それぞれ独立に、Hもしくは1乃至3の炭素原子を有するアルキルである。
【0074】
ある態様では、RおよびRは、いずれもHである。
【0075】
ある態様では、mは、2乃至10、2乃至8、2乃至6、2乃至4、もしくは2乃至3の整数である。
【0076】
ある態様では、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、もしくはアラルキルである。
【0077】
ある態様では、Rは、1乃至6の炭素原子を有するアルキル、3乃至6の炭素原子を有するアルケニル、3乃至6の炭素原子を有するアルキニル、6乃至10の炭素原子を有するアリール、7乃至16の炭素原子を有するアルカリール、もしくは7乃至16の炭素原子を有するアラルキルである。
【0078】
ある態様では、Rは下記で表される:
【0079】
【化18】

【0080】
式中、
はHもしくは1乃至3の炭素原子を有するアルキルであり;そして、GおよびGは、それぞれ独立に、1乃至3の炭素原子を有するアルキルである。
【0081】
ある態様では、Gが1乃至3の炭素原子を有するアルキルである。
【0082】
ある態様では、Rがイソプロピルもしくはtert−ブチルである。
【0083】
ある態様では、Rが二価のポリイソブチレン基であり、RおよびRが、いずれもHであり、mが2乃至3であり、そしてRがイソプロピルもしくはtert−ブチルである。
【0084】
ある態様では、pが1である。ある態様では、pが2である。ある態様では、pが3である。ある態様では、pが4である。
【0085】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは式VIIの化合物である。
【0086】
【化19】

【0087】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは式VIIIの化合物である。
【0088】
【化20】

【0089】
ある態様では、pが1であり、Rが下記で表される。
【0090】
【化21】

【0091】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは式IXの化合物である:
【0092】
【化22】

【0093】
式中、
は一価のカチオン性残基である。
【0094】
さらに別の態様では、前記式Iのテレキリック化合物は式Xの化合物である:
【0095】
【化23】

【0096】
式中、
は一価のカチオン性残基である。
【0097】
さらに別の態様では、前記式Iのテレキリック化合物は式XIの化合物である:
【0098】
【化24】

【0099】
式中、
は一価のカチオン性残基である。
【0100】
ある態様では、Rは下記で表される:
【0101】
【化25】

【0102】
式中、
はアルキルであり、tは1乃至3の整数あって、tとpは同一の整数である。
【0103】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは式XIIの化合物である:
【0104】
【化26】

【0105】
式中、
はアルキルである。
【0106】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは式XIIIの化合物である。
【0107】
【化27】

【0108】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは式XIVの化合物である。
【0109】
【化28】

【0110】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは式XVの化合物である。
【0111】
【化29】

【0112】
ある態様では、Rが1乃至6の炭素原子を有するアルキルである。ある態様では、Rがtert−ブチルである。
【0113】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは、約1乃至約2、約1.0乃至約1.5、約1.0乃至約1.2、もしくは約1.00乃至約1.10の多分散指数を有する。
【0114】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは、約5.0×10g/モル乃至約1.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0115】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは、約1.0×10g/モル乃至約1.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0116】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは、約1.0×10g/モル乃至約5.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0117】
ある態様では、前記式Iのテレキリックポリマーは、約2.0×10g/モル乃至約3.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0118】
(i)準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンの生成
準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンは、当業者に知られている方法によって生成させることができる。そのような方法の制限されることのない例は、欧州特許第206756号明細書および国際公開第2006/110647号に記載されており、それらの記載は参照のための本明細書の記載とする。
【0119】
ある態様では、モノマー、開始剤、およびルイス酸を使用する。ある態様では、電子供与体、共通イオン塩、および/または共通イオン塩前駆体を使用する。ある態様では、イオン化ポリオレフィンは、下記式で表される準リビング炭素カチオン性ポリイソブチレンである。
【0120】
【化30】

【0121】
ある態様では、準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンは、予め生成したポリオレフィンから得られる。
【0122】
準リビングポリオレフィンを製造する重合に適している試薬および条件の限定されることがないいくつかの例を、以下に記載する。
【0123】
(A)開始剤
ある態様では、開始剤がカチオン性オレフィン重合を開始できる一つ以上の末端基を伴う化合物もしくはポリオレフィンである。例えば、開始剤は、式(X’−CRの化合物であってもよい。上記式中、RおよびRは独立に水素原子、アルキル、アリール、アルカリール、もしくはアラルキルである。ただし、RもしくはRの少なくとも一つは水素原子ではない。上記式中、Rは脂肪族もしくは芳香族のr価である一価もしくは多価の基であって、rは1乃至4の整数である。
【0124】
X’は、アシル、アルコキシ、もしくはヒドロキシ基、またはハロゲンである。ある態様では、R、R、およびRは、一つの炭素原子乃至約20の炭素原子を含む炭化水素基である。ある態様では、R、R、およびRは、一つの炭素原子乃至約8の炭素原子を含む炭化水素基である。ある態様では、X’はハロゲンである。ある態様では、X’は塩素である。ある態様では、R、R、およびRの構造は、生長種もしくはモノマーに擬態している。ある態様では、そのような構造は、ポリスチレンに対する1−ハロ−1−トリルエタン開始剤もしくはポリイソブチレンに対する2−ハロ−2,4,4−トリメチルペンタン開始剤に相当する。ある態様では、R、R、およびRは、イソブチレン重合の開始のため、それぞれ一つの炭素原子乃至約10の炭素原子を含む炭化水素基である。ある態様では、開始剤がハロゲン化クミル、ジクミル、もしくはトリクミルである。ある態様では、rが1もしくは2である。
【0125】
開始剤の例は、2−クロロ−2−フェニルプロパン(塩化クミル);1,4−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン(ジ(塩化クミル));1,3,5−トリ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン(トリ(塩化クミル));2−アセトキシ−2−フェニルプロパン(酢酸クミル);2−プロピオニルオキシ−2−フェニルプロパン(プロピオン酸クミル);2−メトキシ−2−フェニルプロパン(クミルメチルエーテル);1,4−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン(ジ(クミルメチルエーテル));1,3,5−トリ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン(トリ(クミルメチルエーテル));2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン(TMPCl);2−クロロ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン(PMHCl);1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン;2,6−ジクロロ−2,4,4,6−テトラメチルヘプタン;および1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼン(bDCC)を含む。
【0126】
ある態様では、開始剤が単官能、二官能、もしくは多官能である。本明細書で使用する「単官能開始剤」は、開始剤当たり化学量論的におおよそ一当量の炭素カチオンを供給する開始剤を意味する。単官能開始剤を使用する場合、連鎖末端濃度は、おおよそ開始剤濃度に等しくなる。本明細書で使用する「多官能開始剤」は、開始剤当たり化学量論的におおよそx当量の炭素カチオンを供給する開始剤を意味し、xは開始剤の官能数を意味する。多官能開始剤を使用する場合、開始剤の官能数=xであるならば、連鎖末端濃度は、開始剤濃度のおおよそx倍に等しくなる。ある態様では、xが2であり、開始剤が二官能開始剤である。
【0127】
ある態様では、単官能開始剤は、2−クロロ−2−フェニルプロパン、2−アセトキシ−2−フェニルプロパン、2−プロピオニルオキシ−2−フェニルプロパン、2−メトキシ−2−フェニルプロパン、2−エトキシ−2−フェニルプロパン、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−アセトキシ−2,4,4,−トリメチルペンタン、2−プロピオニルオキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−メトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−エトキシ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、2−クロロ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−アセトキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−プロピオニルオキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−メトキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、もしくは2−エトキシ−2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタンである。ある態様では、開始剤が2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタンである。
【0128】
ある態様では、二官能開始剤は、1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼン、2,6−ジクロロ−2,4,4,6−テトラメチルヘプタン、もしくは2,6−ジメトキシ−2,4,4,6−テトラメチルヘプタンである。ある態様では、開始剤が1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼンもしくは2,6−ジクロロ−2,4,4,6−テトラメチルヘプタンである。ある態様では、開始剤が1,3−ジ(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼンである。
【0129】
ある態様では、多官能開始剤は、1,3,5−トリ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,3,5−トリ(2−ブロモ−2−プロピル)ベンゼン、もしくは1,3,5−トリ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼンである。
【0130】
(B)モノマー
ある態様では、モノマーが炭化水素モノマー、すなわち水素原子および炭素原子のみを含む化合物であって、限定を意図するものではないが、オレフィンおよびジオレフィン、並びに約2乃至約20の炭素原子を有するものを含む。ある態様では、そのような化合物は、約4乃至約8の炭素原子を有する。
【0131】
ある態様では、本明細書に記載する方法を、そのようなモノマーの重合に使用して、様々であるが均一な分子量のポリマーを生成することができる。ある態様では、そのような分子量は、約300乃至100万g/モルを超える。ある態様では、そのようなポリマーは、約200乃至10000g/モルの分子量を有する低分子量の液体もしくは粘性ポリマー、あるいは約100000乃至1000000g/モル以上の分子量を有する固形ワックス状から可塑性もしくは弾性に至るまでの物質である。
【0132】
ある態様では、モノマーがイソブチレン、スチレン、ベータピネン、イソプレン、ブタジエン、もしくは以上述べた種類の置換化合物である。ある態様では、モノマーがイソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、もしくはスチレンである。ある態様では、モノマーがイソブチレンである。
【0133】
ある態様では、モノマーの混合物が用いられる。
【0134】
(C)ルイス酸
ある態様では、ルイス酸は非プロトン酸である。ある態様では、ルイス酸が金属ハロゲン化物もしくは非金属ハロゲン化物である。ある態様では、ルイス酸が金属ハロゲン化物である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化チタン(IV)、ハロゲン化亜鉛(II)、ハロゲン化スズ(IV)、もしくはハロゲン化アルミニウム(III)である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化チタン(IV)である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化スズ(IV)である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化アルミニウム(III)である。ある態様では、ルイス酸が四臭化チタンもしくは四塩化チタンである。ある態様では、ルイス酸が四塩化チタンである。ある態様では、ルイス酸が塩化亜鉛である。ある態様では、ルイス酸がAlBrである。ある態様では、ルイス酸が二塩化エチルアルミニウムである。ある態様では、ルイス酸が二塩化メチルアルミニウムである。ある態様では、ルイス酸が非金属ハロゲン化物である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化アンチモン(VI)、ハロゲン化ガリウム(III)、もしくはハロゲン化ホウ素(III)である。ある態様では、ルイス酸が三塩化ホウ素である。ある態様では、ルイス酸がトリアルキルアルミニウム化合物である。ある態様では、ルイス酸がトリメチルアルミニウムである。
【0135】
ある態様では、一種のルイス酸が使用される。ある態様では、二種以上のルイス酸の混合物が使用される。ある態様では、二種のルイス酸の混合物が使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)とトリアルキルアルミニウム化合物との混合物が使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウム化合物が、約1:1の化学量論的な比率で使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウム化合物が、2:1の化学量論的な比率で使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウムが、1:2の化学量論的な比率で使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウムの化学量論的な比率が1よりも大きい。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウムの化学量論的な比率が1未満である。ある態様では、三塩化アルミニウムとトリメチルアルミニウムとの混合物が使用される。
【0136】
ある態様では、ルイス酸は本明細書が定義するように、ハロゲン化チタン、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ホウ素、もしくはハロゲン化アルキルアルミニウムである。
【0137】
ある態様では、ルイス酸がハロゲン化アルキルアルミニウムである。ある態様では、上記アルキルがメチルもしくはエチルである。ある態様では、上記ハロゲンがClもしくはBrである。
【0138】
ある態様では、ルイス酸を一度に添加する。ある態様では、ルイス酸を一よりも多い数で分けて添加する。ある態様では、ルイス酸を二度に分けて添加する。ある態様では、ルイス酸の第1部分を重合反応において添加し、そして式IIの化合物の添加後にルイス酸の第2部分を添加する。
【0139】
(D)電子供与体
当業者で理解されているように、ある種の電子供与体は、従来の重合系を準リビング炭素カチオン性重合系に変換できる。ある態様では、本明細書に記載する方法を電子供与体の存在下で実施する。
【0140】
ある態様では、電子供与体がルイス酸と錯体を形成できる。ある態様では、電子供与体が塩基および/または求核性である。ある態様では、電子供与体がプロトンを引き抜く、もしくは除くことができる。ある態様では、電子供与体が有機塩基である。ある態様では、電子供与体がアミドである。ある態様では、電子供与体がN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、もしくはN,N−ジエチルアセトアミドである。ある態様では、電子供与体がスルホキシドである。ある態様では、電子供与体がジメチルスルホキシドである。ある態様では、電子供与体がエステルである。ある態様では、電子供与体が酢酸メチルもしくは酢酸エチルである。ある態様では、電子供与体がホスフェート化合物である。ある態様では、電子供与体がリン酸トリメチル、リン酸トリブチル、もしくはヘキサメチルリン酸トリアミドである。ある態様では、電子供与体が酸素含有金属化合物である。ある態様では、電子供与体がチタン酸テトライソプロピルである。
【0141】
ある態様では、電子供与体がピリジンもしくはピリジン誘導体である。ある態様では、電子供与体が下記式の化合物である:
【0142】
【化31】

【0143】
式中、
1A、R1B、R1C、R1D、およびR1Eは、それぞれ独立に、水素原子もしくは炭化水素基であるか;あるいは、R1AおよびR1B、もしくはR1BおよびR1C、もしくはR1CおよびR1D、もしくはR1DおよびR1Eが独立に、約3乃至約7の炭素原子を有する縮合脂肪族環もしくは約5乃至約7の炭素原子を有する縮合芳香族環を形成する。
ある態様では、R1AおよびR1Eが、それぞれ独立に、炭化水素基であり、そしてR1B〜R1Dが水素原子である。
【0144】
ある態様では、電子供与体が2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、2,6−ルチジン、2,4−ルチジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2−メチルピリジン、もしくはピリジンである。ある態様では、電子供与体がN,N−ジメチルアニリンもしくはN,N−ジメチルトルイジンである。ある態様では、電子供与体が2,6−ルチジンである。
【0145】
(E)共通イオン塩およびイオン塩前駆体
ある態様では、共通イオン塩もしくは塩前駆体は、電子供与体に加えて、もしくは電子供与体に代えて、反応混合物に任意に加えることができる。ある態様では、そのような塩は、イオン強度を増加させ、遊離イオンを抑制し、さらに配位子交換に関与させるために使用できる。ある態様では、共通イオン塩前駆体が塩化テトラ−n−ブチルアンモニウムである。ある態様では、共通イオン塩前駆体が臭化テトラ−n−ブチルアンモニウムである。ある態様では、共通イオン塩前駆体がヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウムである。ある態様では、全反応混合物における共通イオン塩もしくは塩前駆体の濃度は、リットル当たり約0.0005モル乃至リットル当たり約0.05モルの範囲にすることができる。ある態様では、共通イオン塩もしくは塩前駆体の濃度は、リットル当たり約0.0005モル乃至リットル当たり約0.025モルの範囲である。ある態様では、共通イオン塩もしくは塩前駆体の濃度は、リットル当たり約0.001モル乃至リットル当たり約0.007モルの範囲である。
【0146】
(F)クエンチング剤およびクエンチング時間
ある態様では、準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンが生成し、そして必要な時間だけ重合が進行した後、準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンを式IIの化合物でクエンチさせる:
【0147】
【化32】

【0148】
式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキル、−C(O)R、−SO、−SO、−Si(R)(R)(R10)であって、R、R、R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、アルキルもしくはアリールである。
【0149】
ある態様では、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、もしくはアラルキルである。
【0150】
ある態様では、Rは、1乃至6の炭素原子を有するアルキル、3乃至6の炭素原子を有するアルケニル、3乃至6の炭素原子を有するアルキニル、6乃至10の炭素原子を有するアリール、7乃至16の炭素原子を有するアルカリール、もしくは7乃至16の炭素原子を有するアラルキルである。
【0151】
ある態様では、Rは下記で表される:
【0152】
【化33】

【0153】
式中、
はHもしくは1乃至3の炭素原子を有するアルキルであり;そして、GおよびGは、それぞれ独立に、1乃至3の炭素原子を有するアルキルである。
【0154】
ある態様では、Gは1乃至3の炭素原子を有するアルキルである。
【0155】
ある態様では、Rはイソプロピルもしくはtert−ブチルである。
【0156】
ある態様では、約5分間乃至約120分間をかけて工程(b)を実施する。ある態様では、約15分間乃至約90分間をかけて工程(b)を実施する。ある態様では、約30分間乃至約60分間をかけて工程(b)を実施する。
【0157】
ある態様では、工程(b)の前に、工程(a)の準リビング反応系の停止とそれに続く再活性化とを、0回、一回、もしくはそれ以上の回数で必要な時に実施する。ある態様では、工程(a)の準リビング反応系の停止とそれに続く再活性化とを0回実施する、すなわち、工程(a)の準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンの生成後、工程(b)の前に、工程(a)の準リビング反応系を一度も停止しない。ある態様では、工程(a)の準リビング反応系の停止とそれに続く再活性化とを一回実施する。
【0158】
ある態様では、式IIの化合物を、モノマーが高率で変換された後に添加する。特定の態様では、式IIの化合物を、モノマーの80%、85%、90%、95%、97%、99%、もしくは99.9%が重合して準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンになった後で添加する。
【0159】
(G)温度
ある態様では、工程(a)および(b)を約−120℃乃至約0℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−110℃乃至約−10℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−100℃乃至約−20℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−90℃乃至約−30℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−80℃乃至約−40℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−70℃乃至約−40℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−60℃乃至約−40℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、もしくは−80℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−40℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−50℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−60℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−70℃の温度で実施する。ある態様では、工程(a)および(b)を約−80℃の温度で実施する。
【0160】
(H)濃度
本明細書に記載する方法の連鎖末端濃度は、開示する実施例に限定されるものではない。本明細書に記載する方法における連鎖末端濃度は、明確な上限を有していないように思われ、かつ反応成分の密度および分子量(すなわち、モル容積)によって課せられている本質的な限界が条件になるが、本明細書に記載する方法は任意の連鎖末端濃度で実施できる。
【0161】
ある態様では、式IIの化合物のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1乃至約10倍である。ある態様では、式IIの化合物のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1.1乃至約8倍である。ある態様では、式IIの化合物のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1.1乃至約5倍である。ある態様では、式IIの化合物のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1.1乃至約4倍である。ある態様では、式IIの化合物のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1.1乃至約3倍である。ある態様では、式IIの化合物のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1.1乃至約2倍である。
【0162】
ある態様では、ルイス酸のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約0.5乃至約20倍である。ある態様では、ルイス酸のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約0.5乃至約15倍である。ある態様では、ルイス酸のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1.0乃至約10倍である。ある態様では、ルイス酸のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約1.0乃至約8倍である。ある態様では、ルイス酸のモル濃度は連鎖末端のモル濃度の約2乃至約5倍である。
【0163】
ある態様では、電子供与体の濃度はルイス酸の濃度の半分未満である。ある態様では、電子供与体の濃度はルイス酸の濃度の0.4倍未満である。ある態様では、電子供与体の濃度はルイス酸の濃度の0.3倍未満である。ある態様では、電子供与体の濃度はルイス酸の濃度の0.2倍未満である。ある態様では、電子供与体の濃度はルイス酸の濃度の0.1倍未満である。
【0164】
ある態様では、連鎖末端濃度は0.010M未満である。ある態様では、連鎖末端濃度は0.050M未満である。ある態様では、連鎖末端濃度は0.10M未満である。ある態様では、連鎖末端濃度は0.5M未満である。ある態様では、連鎖末端濃度は1.0M未満である。ある態様では、連鎖末端濃度は0.001Mよりも大きな値である。
【0165】
(ii)その場での酸によるブロックの解除
(A)酸
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸がルイス酸もしくは複数のルイス酸の混合物である。
【0166】
ある態様では、ルイス酸が非プロトン酸である。ある態様では、ルイス酸が金属ハロゲン化物もしくは非金属ハロゲン化物である。ある態様では、ルイス酸が金属ハロゲン化物である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化チタン(IV)、ハロゲン化亜鉛(II)、ハロゲン化スズ(IV)、もしくはハロゲン化アルミニウム(III)である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化チタン(IV)である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化スズ(IV)である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化アルミニウム(III)である。ある態様では、ルイス酸が四臭化チタンもしくは四塩化チタンである。ある態様では、ルイス酸が四塩化チタンである。ある態様では、ルイス酸が塩化亜鉛である。ある態様では、ルイス酸がAlBrである。ある態様では、ルイス酸が二塩化エチルアルミニウムである。ある態様では、ルイス酸が二塩化メチルアルミニウムである。ある態様では、ルイス酸が非金属ハロゲン化物である。ある態様では、ルイス酸がハロゲン化アンチモン(VI)、ハロゲン化ガリウム(III)、もしくはハロゲン化ホウ素(III)である。ある態様では、ルイス酸が三塩化ホウ素である。ある態様では、ルイス酸がトリアルキルアルミニウム化合物である。ある態様では、ルイス酸がトリメチルアルミニウムである。
【0167】
ある態様では、一種のルイス酸が使用される。ある態様では、二種以上のルイス酸の混合物が使用される。ある態様では、二種のルイス酸の混合物が使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)とトリアルキルアルミニウム化合物との混合物が使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウム化合物が、約1:1の化学量論的な比率で使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウム化合物が、2:1の化学量論的な比率で使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウムが、約1:2の化学量論的な比率で使用される。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウムの化学量論的な比率が1よりも大きい。ある態様では、ハロゲン化アルミニウム(III)対トリアルキルアルミニウムの化学量論的な比率が1未満である。ある態様では、三塩化アルミニウムとトリメチルアルミニウムとの混合物が使用される。
【0168】
ある態様では、ルイス酸は本明細書が定義するように、ハロゲン化アルキルアルミニウムである。ある態様では、ルイス酸が臭化メチルアルミニウムである。
【0169】
特定の態様では、工程(c)の一種以上の酸が、ハロゲン化チタン、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ホウ素、もしくはハロゲン化アルキルアルミニウムである。
【0170】
特定の態様では、工程(c)の一種以上の酸が、四塩化チタン、四臭化チタン、もしくは塩化アルキルアルミニウムあるいは式RAlX3−n(式中、nは1、1.5、もしくは2であり、Rはメチルもしくはエチルであり、Xは塩素である)で表される塩化アルキルアルミニウムの混合物である。
【0171】
特定の態様では、工程(c)において少なくとも二種の酸を使用し、それらの少なくとも二種の酸の少なくとも一種が二塩化エチルアルミニウムであり、それらの少なくとも二種の酸の一種が四塩化チタンである。
【0172】
特定の態様では、少なくとも二種の酸を使用し、それらの少なくとも二種の酸の少なくとも一種がルイス酸であり、それらの少なくとも二種の酸の一種がブレンステッド酸である。
【0173】
特定の態様では、ブレンステッド酸は、ルイス酸の活性を顕著に減少させることがない塩基と共役する。
【0174】
特定の態様では、ブレンステッド酸が、カルボン酸、鉱酸、スルホン酸、もしくはリン酸である。ある態様では、カルボン酸は、ギ酸、酢酸、もしくはプロピオン酸である。ある態様では、鉱酸はハロゲン化水素である。ある態様では、ハロゲン化水素はHF、HCl、HBr、もしくはHIである。ある態様では、鉱酸は、硫酸、リン酸、過塩素酸、もしくは硝酸である。ある態様では、スルホン酸は、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、もしくはフルオロスルホン酸である。ある態様では、リン酸はメタンホスホン酸である。
【0175】
特定の態様では、ブレンステッド酸が、硫酸、塩酸、臭化水素酸、もしくはp−トルエンスルホン酸である。
【0176】
特定の態様では、少なくとも三種の酸を使用し、それらの少なくとも三種の酸の少なくとも一種が四塩化チタンであり、それらの少なくとも三種の酸の一種が二塩化エチルアルミニウムであり、それらの少なくとも三種の酸の一種が硫酸である。
【0177】
(B)温度
ある態様では、工程(c)を、約−75℃乃至約80℃の温度で実施する。
【0178】
ある態様では、温度は、工程(c)の一種以上の酸を添加する前、添加中、および/または添加後において、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、もしくは少なくとも70℃とする。
【0179】
ある態様では、工程(c)を、最初に約−75℃乃至約−55℃の温度で実施し、次いで温度を約65℃乃至約85℃に上昇させる。本明細書において、工程(c)に関して使用する「最初に…実施し、次いで…上昇させる」とは、工程(c)における一種以上の酸の添加が指示される開始温度において最初に実施され;次に、一種以上の酸の添加が開始された後の任意の時期に、該温度を引き続き指示される温度まで上昇させることを意味する。温度は、任意の速度で指示される温度まで上昇させることができる。
【0180】
ある態様では、工程(c)を、最初に約−60℃の温度で実施し、次いで温度を約70℃まで上昇させる。特定の態様では、最初に約−60℃で工程(c)を実施し、30分間乃至120分間をかけて放置し約25℃まで暖め;次に、約60乃至80℃まで加熱し、約60乃至80℃を2乃至6時間維持する。
【0181】
(C)濃度
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸が一種以上のルイス酸を含み、該一種以上のルイス酸が連鎖末端当たり約0.2乃至約20当量で存在する。
【0182】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸が一種以上のルイス酸を含み、該一種以上のルイス酸が連鎖末端当たり約0.1乃至約10当量で存在する。
【0183】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸が一種以上のルイス酸を含み、該一種以上のルイス酸が連鎖末端当たり約1乃至約5当量で存在する。
【0184】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸が一種以上のブレンステッド酸を含み、該一種以上のブレンステッド酸が連鎖末端当たり約0.001乃至約20当量で存在する。
【0185】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸が一種以上のブレンステッド酸を含み、該一種以上のブレンステッド酸が連鎖末端当たり約0.1乃至約10当量で存在する。
【0186】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸が一種以上のブレンステッド酸を含み、該一種以上のブレンステッド酸が連鎖末端当たり約0.5乃至約5当量で存在する。
【0187】
(D)反応時間
ある態様では、工程(c)を、約15分間乃至約8時間をかけて実施する。ある態様では、工程(c)を、約2乃至約6時間をかけて実施する。
【0188】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸がハロゲン化アルキルアルミニウムを含み、工程(c)を最初に約−60℃で実施し、次いで工程(c)を、温度を約−10℃まで上昇させ、約30分間乃至約1時間をかけて実施する。
【0189】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸がハロゲン化チタンおよびブレンステッド酸を含み、工程(c)を最初に約−60℃で実施し、次いで工程(c)を、温度を約5℃まで上昇させ、約30分間乃至約2時間をかけて実施する。
【0190】
ある態様では、工程(c)の一種以上の酸がハロゲン化チタンを含み、工程(c)を、最初に約−60℃で実施し、次いで工程(c)を、温度を約70℃まで上昇させ、約30分間乃至約6時間をかけて実施する。
【0191】
(iii)希釈剤
本明細書に記載する方法のある態様では、希釈剤中でその方法を実施する。ある態様では、希釈剤は単一の化合物もしくは二種以上の化合物の混合物である。ある態様では、希釈剤は、反応成分を完全に溶解するか、あるいは反応成分を部分的に溶解する。ある態様では、希釈剤は反応成分を完全もしくはほぼ完全に溶解する。ある態様では、希釈剤は反応成分を完全に溶解する。ある態様では、希釈剤は反応成分をほぼ完全に溶解する。
【0192】
ある態様では、希釈剤は低沸点および/または低凝固点を有する。ある態様では、希釈剤はアルカンである。ある態様では、希釈剤は直鎖アルカンである。ある態様では、希釈剤はプロパン、直鎖ブタン、直鎖ペンタン、直鎖ヘキサン、直鎖ヘプタン、直鎖オクタン、直鎖ノナン、もしくは直鎖デカンである。ある態様では、希釈剤は直鎖ヘキサンもしくは直鎖ペンタンである。ある態様では、希釈剤は直鎖ヘキサンである。ある態様では、希釈剤は分岐鎖アルカンである。ある態様では、そのようなアルカンは、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、もしくは2,3−ジメチルブタンである。ある態様では、アルカンは環状である。ある態様では、そのようなアルカンはメチルシクロヘキサンである。ある態様では、希釈剤は混合沸点留分アルカン。ある態様では、希釈剤はC5アルカンの混合沸点留分、すなわち混合ペンタン類であるか、あるいはC6アルカンの混合沸点留分、すなわち混合ヘキサン類である。ある態様では、そのようなアルカンはニトロアルカンである。
【0193】
ある態様では、希釈剤がハロゲン化アルキルである。ある態様では、希釈剤がモノハロゲン化アルキルもしくはポリハロゲン化アルキルである。ある態様では、希釈剤が、クロロホルム、塩化エチル、塩化n−ブチル、塩化メチレン、塩化メチル、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、塩化n−プロピル、塩化イソプロピル、1,2−ジクロロプロパン、もしくは1,3−ジクロロプロパンである。ある態様では、希釈剤が塩化メチレンもしくは塩化メチルである。ある態様では、希釈剤が塩化メチルである。ある態様では、希釈剤がアルケンもしくはハロゲン化アルケンである。ある態様では、希釈剤が塩化ビニル、1,1−ジクロロエテン、もしくは1,2−ジクロロエテンである。
【0194】
ある態様では、希釈剤が置換ベンゼンである。ある態様では、希釈剤がベンゼンである。ある態様では、希釈剤がトルエンである。
【0195】
ある態様では、希釈剤が、二硫化炭素、二酸化硫黄、酢酸無水物、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、メチルシクロヘキサン、クロロベンゼン、もしくはニトロアルカンである。
【0196】
ある態様では、希釈剤は二種以上の化合物の混合物である。ある態様では、希釈剤はヘキサンと塩化メチルとの混合物である。さらに別の態様では、そのような混合物は容量で約10/90乃至約90/10のヘキサン/塩化メチルである。さらに別の態様では、そのような混合物は容量で約20/80乃至約80/20のヘキサン/塩化メチルである。さらに別の態様では、そのような混合物は容量で約30/70乃至約70/30のヘキサン/塩化メチルである。さらに別の態様では、そのような混合物は容量で約40/60乃至約60/40のヘキサン/塩化メチルである。さらに別の態様では、そのような混合物は容量で約50/50のヘキサン/塩化メチルである。さらに別の態様では、そのような混合物は容量で約60/40のヘキサン/塩化メチルである。さらに別の態様では、そのような混合物は容量で約40/60のヘキサン/塩化メチルである。
【0197】
(iv)停止剤
ある態様では、停止剤はルイス酸を不活性化する化合物である。ある態様では、停止剤は塩基および/または求核性である。ある態様では、停止剤は塩基である。ある態様では、停止剤は電子供与体である。ある態様では、停止剤は有機塩基である。ある態様では、停止剤はアルコールもしくはアミンである。ある態様では、停止剤はアルコールである。ある態様では、停止剤はピリジン誘導体である。
【0198】
ある態様では、停止剤が、メタノール、エタノール、もしくはイソプロパノールである。ある態様では、停止剤がメタノールである。ある態様では、停止剤が水である。ある態様では、停止剤が、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、n−ブチルアミン、もしくはtert−アミルアミンである。
【0199】
ある態様では、停止剤を工程(c)の後で添加する。
【0200】
(c)組成
ある態様では、本発明は下記式Iの化合物を提供する:
【0201】
【化34】

【0202】
式中、
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である。
【0203】
ある態様では、Rがピロール環の3位に位置する。
【0204】
ある態様では、Rがピロール環の2位に位置する。
【0205】
ある態様では、Rはポリイソブチレン基である。
【0206】
ある態様では、RおよびRは、それぞれ独立に、Hもしくは1乃至3の炭素原子を有するアルキルである。
【0207】
ある態様では、RおよびRが水素原子である。
【0208】
ある態様では、mが2乃至10、2乃至8、2乃至6、2乃至4、もしくは2乃至3の整数である。
【0209】
ある態様では、pが1である。ある態様では、pが2である。ある態様では、pが3である。ある態様では、pが4である。
【0210】
ある態様では、式Iの化合物が式VIIの化合物である。
【0211】
【化35】

【0212】
ある態様では、式Iの化合物が式VIIIの化合物である。
【0213】
【化36】

【0214】
ある態様では、pが1であり、Rが下記で表される。
【0215】
【化37】

【0216】
ある態様では、式Iの化合物が式IXの化合物である:
【0217】
【化38】

【0218】
式中、
は一価のカチオン性残基である。
【0219】
さらに別の態様では、式Iの化合物が式Xの化合物である:
【0220】
【化39】

【0221】
式中、
は一価のカチオン性残基である。
【0222】
さらに別の態様では、式Iの化合物が式XIの化合物である:
【0223】
【化40】

【0224】
式中、
は一価のカチオン性残基である。
【0225】
ある態様では、Rは下記で表される:
【0226】
【化41】

【0227】
式中、
はアルキルであり、tは1乃至3の整数あって、tとpは同一の整数である。
【0228】
ある態様では、式Iの化合物は式XIIの化合物である:
【0229】
【化42】

【0230】
式中、
はアルキルである。
【0231】
ある態様では、式Iの化合物が式XIIIの化合物である。
【0232】
【化43】

【0233】
ある態様では、式Iの化合物が式IXの化合物である。
【0234】
【化44】

【0235】
ある態様では、式Iの化合物が式XVの化合物である。
【0236】
【化45】

【0237】
ある態様では、Rが1乃至6の炭素原子を有するアルキルを含む。ある態様では、Rがtert−ブチルである。
【0238】
ある態様では、式Iの化合物は約1乃至約2、約1.0乃至約1.5、約1.0乃至約1.2、もしくは約1.00乃至約1.10の多分散指数を有する。
【0239】
ある態様では、式Iの化合物は約5.0×10g/モル乃至約1.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0240】
ある態様では、式Iの化合物は約1.0×10g/モル乃至約1.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0241】
ある態様では、式Iの化合物は約1.0×10g/モル乃至約5.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0242】
ある態様では、式Iの化合物は約2.0×10g/モル乃至約3.0×10g/モルの数平均分子量を有する。
【0243】
上記の実施態様と具体例および下記の実施例は、単に例示を意図しており、そのような例および実施態様には限定されない。例えば、ここに記載した主題の範囲に含まれるものとして、ここに記載した実施態様の全ての組み合わせがある。加えて、当業者は、ここに記載した実施態様と実施例の修正について、通常の実験を行うまでもなく、認識もしくは確認することができるであろう。そのような修正は、請求項の主題の範囲に含まれるとみなされ、添付の特許請求の範囲に包含されている。
【実施例】
【0244】
[実施例1]
この例は、準リビング単官能性ポリイソブチレンをN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールでキャップし、その場でヒドロキシル連鎖末端を得る工程を含む。
【0245】
雰囲気下、105mLのヘキサンおよび70mLの塩化メチルを−60℃まで冷却し、オーバーヘッド攪拌機、熱電対、およびIRプローブ(ReactIR probe)を取り付けた四口丸底フラスコに入れた。ヘキサン/塩化メチルの60/40(v/v)混合物に、0.109mLの2,6−ジメチルピリジンおよび0.648mLの2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン(TMPCl)を加えて、0.005Mのプロトントラップ濃度と0.02Mの連鎖末端濃度とを実現した。最終的な分子量として2000g/モルを目標にして、反応器に9.9mLのイソブチレンを加えた。熱的な平衡後、1.26mL(3当量)のTiClを用いて重合を開始した。モノマーの変換の完了の際に、2mL(3当量)のN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールを加え、およそ50分間アルキル化反応を進行させた。次に反応器に2mL(5当量)の二塩化エチルアルミニウムおよび0.4mL(2当量)の硫酸を加えて、ピロールのキャップ剤に存在している末端のtert−ブチル保護基の除去を促進した。酸の添加後、反応フラスコを直ちに冷却浴から取り出し、90分間をかけて周囲の温度まで暖めた。この時点で塩化メチルの大部分は気化により除かれており、さらに反応フラスコを加熱マントルに載せ、加熱して3時間かけて還流(69℃)した。最後に、メタノールを加えて触媒を無効にした。
【0246】
N−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールの最初のアルキル化の結果は、57%のC−3アルキル化異性体、38%のC−2アルキル化異性体、および5%のエキソ−オレフィン鎖末端からなっていた。二塩化エチルアルミニウムおよび硫酸を加え、引き続き加熱した結果、エキソ−オレフィン鎖末端が過剰なN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールと反応し、末端のtert−ブチル基が完全に置き換えられて末端のヒドロキシル基が生じ、さらに鎖末端の異性化により99%のC−3アルキル化異性体および1%のC−2アルキル化異性体が生じた。最終的なヒドロキシ官能性ポリマーは、2056g/モル(1.05)の数平均分子量(多分散性)を有していた。
【0247】
[実施例2]
この例は、準リビング二官能性ポリイソブチレンをN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールでキャップし、その場でヒドロキシル連鎖末端を得る工程を含む。
【0248】
雰囲気下、105mLのヘキサンおよび70mLの塩化メチルを−60℃まで冷却し、オーバーヘッド攪拌機、熱電対、およびIRプローブ(ReactIR probe)を取り付けた四口丸底フラスコに入れた。ヘキサン/塩化メチルの60/40(v/v)混合物に、0.109mLの2,6−ジメチルピリジンおよび0.54gの1,3−ビス(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼン(bDCC)を加えて、0.005Mのプロトントラップ濃度と0.02Mの連鎖末端濃度とを実現した。最終的な分子量として3000g/モルを目標にして、反応器に7.03mLのイソブチレンを加えた。熱的な平衡後、1.26mL(3当量)のTiClを用いて重合を開始した。モノマーの変換の完了の際に、2mL(3当量)のN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールを加え、およそ30分間アルキル化反応を進行させた。次に反応器に2mL(5当量)の二塩化エチルアルミニウムおよび0.4mL(2当量)の硫酸を加えて、ピロールのキャップ剤に存在している末端のtert−ブチル保護基の除去を促進した。酸の添加後、反応フラスコを直ちに冷却浴から取り出し、90分間をかけて周囲の温度まで暖めた。この時点で塩化メチルの大部分は気化により除かれており、さらに反応フラスコを加熱マントルに載せ、加熱して4時間かけて還流(69℃)した。最後に、メタノールを加えて触媒を無効にした。
【0249】
N−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールの最初のアルキル化の結果は、55%のC−3アルキル化異性体、38%のC−2アルキル化異性体、5%のエキソ−オレフィン鎖末端、および2%のピロールの二重アルキル化による結合からなっていた。二塩化エチルアルミニウムおよび硫酸を加え、引き続き加熱した結果、エキソ−オレフィン鎖末端が過剰なN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールと反応し、末端のtert−ブチル基が完全に置き換えられて末端のヒドロキシル基が生じ、さらに鎖末端の異性化により98%のC−3アルキル化異性体および2%の結合鎖末端が生じた。最終的なヒドロキシ官能性ポリマーは、3084g/モル(1.05)の数平均分子量(多分散性)を有していた。
【0250】
[実施例3]
下記の内容を乾燥N雰囲気下で実施した。
ヘキサン(105mL)/塩化メチル(70mL)の60/40(v/v)混合物に、−60℃で6.9gの三級塩化末端ポリイソブチレン(2000g/モル)、0.11mLの2,6−ルチジン、および1.9mL(3当量)のN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールを溶解した。1.19mL(3当量)のTiClを加えて、アルキル化反応を開始した。30分間の反応時間後、追加の酸を反応器に加え、反応器を直ちに冷却浴から取り出し、周囲の温度まで暖めて、末端tert−ブチル基の除去を促進した。反応器を暖めながら空気を送り込み、塩化メチルを蒸発させた。
【0251】
四種類の異なる反応を、脱ブロック反応のための追加の酸を以下のように組み合わせて用いて実施した:
A)5当量のTiCl
B)5当量のTiClおよび2当量のHSO
C)5当量のEtAlCl、および
D)5当量のEtAlClおよび2当量のHSO
【0252】
30分間未満で周囲の温度まで暖めた後、D)の組合せでは、末端tert−ブチル基が完全に置き換えられて、92%のヒドロキシルおよび8%の残存エキソ−オレフィン官能性を生じる結果になった。同様に、C)の組合せでは、30分間未満で末端tert−ブチル基が完全に置き換えられて、96%のヒドロキシルおよび4%の残存エキソ−オレフィン官能性を生じる結果になった。B)の組合せは、脱ブロック反応の完了に90分間未満を必要として、91%のヒドロキシル官能性および3%の残存三級塩化鎖末端を生じ;残る6%の鎖は単一のピロール部分の二重のアルキル化(C−2およびC−4)によって結合した。A)の組合せは、4.5時間後に、49%のみが脱ブロックされ、4%のエキソ−オレフィンと7%鎖結合を伴っており;残りの40%の鎖については末端tert−ブチル基がそのまま残っていた。
【0253】
4.5時間後、それぞれの反応器の残存成分を、すなわちヘキサン中のポリマーを、酸と共にN下で加熱して、さらに3.5時間還流(69℃)した。加熱後、A)の条件は、5%の残存エキソ−オレフィンを伴う83%のヒドロキシル官能性を示した。ピロール鎖末端を経由する鎖間の結合も、12%まで増加した。B)の組合せを加熱した結果、ヒドロキシル官能性が89%まで僅かに減少し、結合が9%まで増加し、2%の残存エキソ−オレフィンを伴っていた。D)の組合せを加熱した結果、エキソ−オレフィン末端ポリイソブチレンによるピロールのアルキル化がさらに誘導され、100%のヒドロキシル官能性が実現された。C)の組合せを加熱した結果では、さらなるピロールのアルキル化もしくは鎖の結合は誘導されなかった。しかし、4条件のすべてについて、3.5時間の加熱が異性化を誘導し;C−2アルキル化ピロール異性体が、より熱力学的に安定なC−3アルキル化ピロール異性体に変換された。
【0254】
[実施例4]
この例は、準リビングイソブチレン重合および塩化ジメチルアルミニウムの触媒反応のみを用いるN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールによるクエンチングによって得られるヒドロキシ末端ポリイソブチレンの例である。
【0255】
攪拌したガラス製反応器を、N−雰囲気のグローブボックス内で−75℃まで冷却した。反応器に、120mLの塩化メチル/ヘキサンの50/50(v/v)混合物、0.45mLの2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、0.08mLの2,6−ルチジン、および6.76mLのイソブチレンを加えた。(開始剤)連鎖末端濃度は0.02Mであり、2,6−ルチジンは0.005Mの濃度で存在し、2000g/モルの分子量を目標とした。重合は、2.64mL(連鎖末端当たり6当量)の塩化ジメチルアルミニウムの1Mヘキサン溶液を添加することによって開始した。すべてのモノマーの変換には、およそ2.5時間で到達し、その時点での反応標本は三級塩化鎖末端官能性を示していた。反応は1.4mLのN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールを反応器に添加(連鎖末端当たり3当量)してクエンチし、1.5時間後、反応器を冷却浴から取り出し、N雰囲気下、室温で一晩(19時間)、過剰のメタノールにより触媒が無効になるまで放置した。得られたポリイソブチレンの分析結果は、残存オレフィン末端基が2%未満であるほぼ定量的な一級ヒドロキシル鎖末端官能基(>98%および62/38のC−3/C−2異性体比)を示した。
【0256】
[実施例5]
この例は、三塩化ホウ素(BCl)で触媒した準リビングイソブチレン重合および引き続き塩化ジメチルアルミニウムで触媒したN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロールのアルキル化によって得られたヒドロキシ末端ポリイソブチレンの例である。
【0257】
攪拌したガラス製反応器を、N−雰囲気のグローブボックス内で−60℃まで冷却した。反応器に、175mLの塩化メチル、0.68mLの2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、および0.1mLの2,6−ルチジンを加えた。重合は、7.4mL(連鎖末端当たり24当量)のBClを添加することによって開始した。(開始剤)連鎖末端濃度は0.02M、2000g/モルの分子量を目標とした。モノマーの完全な変換は、6.6時間で達成した。予めクエンチした標本は、完全な三級塩化鎖末端官能性を示した。重合は、1.4mLのN−(2−tert−ブトキシエチル)ピロール(連鎖末端当たり2当量)および2.64mL(連鎖末端当たり6当量)の塩化ジメチルアルミニウムの1Mヘキサン溶液を加えて、クエンチした。2.5時間後、反応標本は、ピロール・クエンチャー(63/35のC−3/C−2異性体比)による定量的キャップと末端tert−ブチルエーテルの開裂による鎖末端におけるヒドロキシル官能基の生成とを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iのテレキリックポリマーもしくはその混合物を製造するための下記の工程を含む方法:
【化1】

式中、
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である;
(a)準リビング反応系にて準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンを生成させる工程;
(b)工程(a)の準リビング反応系に下記式IIの化合物を加えて、一種以上の中間体を生成させる工程:
【化2】

式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキル、−C(O)R、−SO、−SO、もしくは−Si(R)(R)(R10)であって、R、R、R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、アルキルもしくはアリールであり;そして
(c)工程(b)で生成した一種以上の中間体をその場で、一種以上の酸と反応させて、上記式Iのテレキリックポリマーを生成させる工程。
【請求項2】
上記準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンが、電子供与体、共通イオン塩、もしくは共通イオン塩前駆体、あるいはそれらの混合物の存在下で、一種以上のルイス酸とモノマーとを開始剤に加えることにより製造される請求項1の方法。
【請求項3】
工程(b)を、モノマーの高い変換率での変換が行われた後に実施する請求項2の方法。
【請求項4】
工程(c)を、−120℃乃至100℃の温度で実施する請求項1の方法。
【請求項5】
工程(c)を、−75℃乃至80℃の温度で実施する請求項1の方法。
【請求項6】
工程(c)を、最初に−75℃乃至−55℃の温度で実施し、次いで温度を65℃乃至85℃にまで上昇させる請求項1の方法。
【請求項7】
工程(c)を、最初に−60℃の温度で実施し、次いで温度を60℃にまで上昇させる請求項1の方法。
【請求項8】
前記式IIの化合物が工程(a)の準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンと反応して、一種以上の中間体を生成する請求項1の方法。
【請求項9】
前記式Iのテレキリックポリマーが、上記の一種以上の中間体を工程(c)の上記一種以上の酸と反応することにより生成する請求項8の方法。
【請求項10】
上記の一種以上の中間体が下記式IIIの化合物であるか、あるいは下記式IIIの化合物を含む請求項8の方法:
【化3】

式中、
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;
pは1乃至4の整数であり;そして
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、アラルキル、−C(O)R、−SO、−SO、もしくは−Si(R)(R)(R10)であって、R、R、R、R、R、およびR10は、それぞれ独立に、アルキルもしくはアリールである。
【請求項11】
前記式IIIの化合物の80%以上が工程(c)の一種以上の酸によって消費される請求項10の方法。
【請求項12】
開始剤が2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン、1,3−ビス(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼン、1,3,5−トリ(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、1,3,5−トリ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、もしくは2,6−ジクロロ−2,4,4,6−テトラメチルヘプタンである請求項2の方法。
【請求項13】
開始剤が2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタンもしくは1,3−ビス(2−クロロ−2−プロピル)−5−tert−ブチルベンゼンである請求項2の方法。
【請求項14】
モノマーがイソブチレンである請求項2の方法。
【請求項15】
電子供与体が2,6−ジメチルピリジンである請求項2の方法。
【請求項16】
準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンを製造するために使用する一種以上のルイス酸が、ハロゲン化チタン、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ホウ素、もしくはハロゲン化アルキルアルミニウムである請求項2の方法。
【請求項17】
一つのルイス酸が準リビング炭素カチオン性ポリオレフィンを製造するために使用され、そのルイス酸が四塩化チタン、四臭化チタン、もしくは式RAlX3−nの塩化アルキルアルミニウムであって、nは1、1.5、もしくは2であり、Rはメチルもしくはエチルであり、そしてXは塩素原子である請求項2の方法。
【請求項18】
工程(c)の一種以上の酸が、ルイス酸もしくは複数のルイス酸の混合物である請求項2の方法。
【請求項19】
工程(c)の一種以上の酸が、ハロゲン化チタン、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ホウ素、もしくはハロゲン化アルキルアルミニウムである請求項2の方法。
【請求項20】
工程(c)の一種以上の酸が、四塩化チタン、四臭化チタン、もしくは式RAlX3−nの塩化アルキルアルミニウムであって、nが1、1.5、もしくは2であり、Rがメチルもしくはエチルであり、そしてXが塩素原子である請求項2の方法。
【請求項21】
工程(c)において少なくとも二種の酸を使用し、それらの少なくとも二種の酸の少なくとも一種が二塩化エチルアルミニウムであり、それらの少なくとも二種の酸の一種が四塩化チタンである請求項2の方法。
【請求項22】
少なくとも二種の酸を使用し、それらの少なくとも二種の酸の少なくとも一種がルイス酸であり、それらの少なくとも二種の酸の一種がブレンステッド酸である請求項2の方法。
【請求項23】
ブレンステッド酸が、硫酸、塩酸、臭化水素酸、もしくはp−トルエンスルホン酸である請求項22の方法。
【請求項24】
少なくとも三種の酸を使用し、それらの少なくとも三種の酸の少なくとも一種が四塩化チタンであって、それらの少なくとも三種の酸の一種が二塩化エチルアルミニウムであり、それらの少なくとも三種の酸の一種が硫酸である請求項2の方法。
【請求項25】
連鎖末端濃度に対して0.2乃至20当量のルイス酸もしくは複数のルイス酸の混合物を使用する請求項18の方法。
【請求項26】
連鎖末端濃度に対して1乃至5当量のルイス酸もしくは複数のルイス酸の混合物を使用する請求項18の方法。
【請求項27】
連鎖末端濃度に対して0.5乃至5当量のブレンステッド酸を使用する請求項22の方法。
【請求項28】
が二価のポリイソブチレン基である請求項1の方法。
【請求項29】
およびRが水素原子である請求項1の方法。
【請求項30】
mが2乃至3である請求項1の方法。
【請求項31】
が下記で表される請求項1の方法:
【化4】

式中、
はHもしくは1乃至3の炭素原子を有するアルキルであり;そしてGおよびGは、それぞれ独立に、1乃至3の炭素原子を有するアルキルである。
【請求項32】
がtert−ブチルである請求項1の方法。
【請求項33】
がピロール環の2位に位置する請求項1の方法。
【請求項34】
がピロール環の3位に位置する請求項1の方法。
【請求項35】
工程(c)を少なくとも60℃の温度で実施し、該方法により前記式Iの化合物の少なくとも85%が生成し、前記式Iの化合物が下記式VIIの化合物である請求項34の方法:
【化5】

式中、
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である。
【請求項36】
前記式Iの化合物が下記式IXの化合物である請求項1の方法:
【化6】

式中、
は一価のカチオン性開始剤残基であり;
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;そして
pは1乃至4の整数である。
【請求項37】
pが1であり、Rが下記で表される請求項1の方法。
【化7】

【請求項38】
が下記で表される請求項1の方法:
【化8】

式中、
はアルキルであり、そしてtは1乃至3の整数であって、tとpは同一の整数である。
【請求項39】
前記式Iの化合物が下記式XIIIで表される請求項38の方法:
【化9】

式中、
はアルキルであり;
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;そして
mは2乃至20の整数である。
【請求項40】
pが1もしくは2である請求項1の方法。
【請求項41】
下記式Iの化合物:
【化10】

式中、
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;
mは2乃至20の整数であり;
はカチオン性開始剤残基であり;そして
pは1乃至4の整数である。
【請求項42】
がピロール環の3位に位置する請求項41の化合物。
【請求項43】
がピロール環の2位に位置する請求項41の化合物。
【請求項44】
が二価のポリイソブチレン基である請求項41の化合物。
【請求項45】
およびRが水素原子である請求項41の化合物。
【請求項46】
mが2乃至3である請求項41の化合物。
【請求項47】
pが1であり、Rが下記で表される請求項41の化合物。
【化11】

【請求項48】
が下記で表される請求項41の化合物:
【化12】

式中、
はアルキルであり、そして
tは1乃至3の整数であって、tとpは同一の整数である。
【請求項49】
前記式Iの化合物が下記式XIIIの化合物である請求項41の化合物:
【化13】

式中、
はアルキルであり;
はポリオレフィン基であり;
およびRは、−(CR)−単位毎に独立に、水素原子もしくは1乃至6の炭素原子を有するアルキルであり;そして
mは2乃至20の整数である。
【請求項50】
pが1もしくは2である請求項41の化合物。

【公表番号】特表2013−501098(P2013−501098A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523044(P2012−523044)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043729
【国際公開番号】WO2011/014665
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(504239353)ザ・ユニバーシティー・オブ・サザン・ミシシッピ (9)
【Fターム(参考)】