説明

ヒュージブルリンクユニット

【課題】ヒューズユニットのバッテリポストを中心とする回り止めと、バッテリーミナルに対する固定を確実化する。
【解決手段】長孔18Aを貫通するスタッドボルト13にワッシャ31とナット本体32を挿通させ、ワッシャ31のピニオン31aをラック34に噛合させた状態で該ナット本体32をスタッドボルト13にねじ込むことによって、ヒューズユニット支持板16を突き当て方向に移動可能にするとともに、ヒューズユニット支持板16とバスバー9を互いが近づく方向に移動可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリポストに装着されるバッテリターミナルにヒューズユニットを直付けするタイプのヒュージブルリンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリポストに装着されるバッテリターミナルにヒューズユニットを直付けするタイプのヒュージブルリンクユニットが、種々提案されている。このヒュージブルリンクユニットにおけるヒューズユニットは自動車のバッテリと電源供給用の電線とを接続するものであり、可溶部を含む導電金属製のヒューズエレメントとこのヒューズエレメントをインサート成形した絶縁樹脂ボディとにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このようなバッテリターミナルにヒューズユニットを直付けするタイプのヒュージブルリンクユニットとして、図8及び図9に示すものがある。このヒュージブルリンクユニットは、バッテリターミナル1とこれに直付けされるヒューズユニット2とから構成されている。これらのうちバッテリターミナル1は導電性を有する金属板をプレス加工することにより製造されている。
【0004】
このバッテリターミナル1はバッテリ3のバッテリポスト4に嵌挿される上下方向に重なる一対の切欠環状部5、6と、これらに連続するU字上の連結部7、8とを備える。また、各切欠環状部5、6間にはバスバー9の一端が介在され、このバスバー9の他端は連結部7、8とは90°の角度離れた位置に臨んでいる。なお、連結部7、8は水平方向に所定幅の間隙をおいて対峙している。
【0005】
連結部7、8にはそれぞれ図示しない取付孔が略同一水平線(中心線)上に形成され、これらの取付孔にボルト10が挿通されている。このボルト10の前記連結部7、8端から突出する軸部先端にはワッシャ12を介してナット11が螺合されている。従って、切欠環状部5、6をバッテリ3のバッテリポスト4に挿し込み、ナット11をボルト10の軸部先端側から締め込むことで、連結部7、8間の前記間隙を狭め、切欠環状部5、6をバッテリポスト4に堅固に保持させることができる。
【0006】
前記バスバー9の上面は平滑な支持面9aとなっており、この支持面9aには、バスバー9の下面側からこれに設けられた取付孔9bを通して上方に向かって貫通するスタッドボルト13が取り付けられている。なお、切欠環状部5、6間、連結部7、8間及びバスバー9の側面部分は、これらの外観を良好にする所定形状の化粧枠14により被われている。
【0007】
一方、前記ヒューズユニット2は、全体としてL字状に成形された樹脂ボディ15内に複数の可溶部を持つ導電金属製のヒューズエレメント(図示しない)を収納したものからなる。このヒューズエレメントはバッテリ電圧を受けるとともに、ヒューズユニット2を前記バッテリターミナル1に支持させるヒューズユニット支持板16と、このヒューズユニット支持板16に、例えばクランク状の細幅部を介して連設されたタブ端子(図示しない)とを有する。そして、これらのタブ端子は樹脂ボディ15と一体の各雌型コネクタハウジング17内のコネクタ室内に突出している。これらのタブ端子とコネクタハウジング17とで雌型コネクタが構成される。
【0008】
前記ヒューズユニット支持板16はバッテリターミナル1のバスバー9と電気的に接続されるとともに、ヒューズユニット2の全体を支持するように機能する。このヒューズユニット支持板16は水平板状をなし、中央部に丸孔8が形成されている。このヒューズユニット支持板16はヒューズユニット2の全重量を支えるため、所定の強度を持つサイズ、厚みに成形されている。
【0009】
従って、バスバー9の取付孔9bに貫通させたスタッドボルト13にヒューズユニット支持板16の丸孔18を通し、この丸孔18に通されたスタッドボルト13端にワッシャ19を介してナット20をねじ込むことにより、スタッドボルト13にヒューズユニット支持板16を固定することができる。この結果、バッテリターミナル1にヒューズユニット2を安定的に連結することができる。
【0010】
前記樹脂ボディ15は前述のようにL字状をなして垂直部21を有し、この垂直部21の下端にはバッテリ3の側面に向かって突出する突き当て部22が一体に設けられている。この突き当て部22は全体が鉤状(またはL字状)をなし、その先端面はバッテリ3に密接可能な略垂直な突き当て面22aとなっている。なお、垂直片21にはこの突き当て部22付近を補強する、形やサイズが異なる複数の補強片23が一体に突設されている。
【0011】
従って、バッテリターミナル1に対するヒューズユニット2の前記連結時には、ヒューズユニット2の突き当て部22の突き当て面22aがバッテリ3の側面に、図9に示すように接触する。この接触によって、バッテリターミナル1及びヒューズユニット2のバッテリポスト4を中心とする回動が規制される。これにより、車両の走行中に切欠環状部5、6のバッテリポスト4に対する接触抵抗が低下するのを回避でき、その接触が不完全または不安定になることを未然に回避することができる。
【特許文献1】特開2001‐297683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来のヒュージブルリンクユニットにあっては、ヒューズユニット2及び突き当て部22がバッテリ3及びバッテリターミナル1の形態に合わせて設計及び製作されているため、例えばバッテリサイズやバッテリポスト4の位置が異なる場合には、突き当て面22aをバッテリ3の側面に正しく密接させることができないという不都合があった。この場合には、ヒューズユニット2がバッテリポスト4を中心に回動またはガタ付いてしまう。このように従来のヒューズユニット2はいずれのバッテリにも適用可能な構成となっておらず、汎用性に欠けるという問題があった。
【0013】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バッテリの形態やバッテリターミナルの設置位置に拘わらずヒューズユニットをバッテリターミナルの正規の位置に堅固に固定できるとともに、突き当て部をバッテリ側面に正しく突き当てることで、ヒューズユニットのバッテリポストを中心とする不用意な回動を防止することができるヒュージブルリンクユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するために、本発明に係るヒュージブルリンクユニットは、下記(1)〜(2)を特徴としている。
(1) バッテリポストに装着されるバッテリターミナルにヒューズユニットが直付けされ、該ヒューズユニットに突設した突き当て部がバッテリ側面に突き当てられることにより、前記ヒューズユニットの前記バッテリポストを中心とする回動が規制されるように構成されたヒュージブルリンクユニットであって、
前記バッテリターミナルに設けられた、バスバーを貫通して該バッテリターミナルの上面から上方に突出するスタッドボルトと、
周縁にピニオンが形成されたワッシャと、前記スタッドボルトに螺合可能なナット本体と、を有するピニオン付きナットと、
前記ヒューズユニットに設けられた、前記スタッドボルトによって貫通される長孔と、前記ワッシャのピニオンに噛合されるラックと、を有するヒューズユニット支持板と、
を備え、
前記長孔は、前記突き当て部の前記バッテリ側面に対する突き当て方向に長く延びるように前記ヒューズユニット支持板に形成され、
前記ラックは、前記突き当て方向に沿って前記ヒューズユニットに形成され、
前記長孔を貫通する前記スタッドボルトに前記ワッシャと前記ナット本体を挿通させ、前記ワッシャの前記ピニオンを前記ラックに噛合させた状態で該ナット本体を前記スタッドボルトにねじ込むことによって、前記ヒューズユニット支持板を前記突き当て方向に移動可能にするとともに、前記ヒューズユニット支持板と前記バスバーを互いが近づく方向に移動可能とする、
こと。
(2) 上記(1)の構成のヒュージブルリンクユニットであって、
前記ナット本体を前記スタッドボルトにねじ込む場合であって、前記突き当て部が前記バッテリ側面に突き当たることにより前記ワッシャと前記ナット本体の間で作用する摩擦力が最大静止摩擦力よりも大きくなったときには、前記ワッシャに対して前記ナット本体が回転することによって、前記突き当て部が前記バッテリ側面に突き当たった状態で前記ヒューズユニット支持板と前記バスバーを互いに近づく方向に移動可能とする、
こと。
【0015】
上記(1)の構成によれば、ピニオン付きナットのねじ込みによりラックがピニオンによってスタッドボルトに向かって移動するため、ヒューズユニットの突き当て部がバッテリ側面へ向かって移動し、遂には突き当て面がバッテリ側面に密着し、ラックの移動が規制される。これにより、ピニオン付きナットのスタッドボルトに対するねじ込みによって、ヒューズユニットのバッテリポストを中心とする回り止めと、バッテリターミナルに対する確実な固定との両方を実施できる。
【0016】
また、上記(2)の構成によれば、上記(1)の構成において、ピニオン付きナットのスタッドボルトへの締付けがまだ不十分である場合または不完全である場合には、ピニオン付きナットをスタッドボルトに更に締め込む。このとき、ピニオンがラックに噛合した状態で回動が規制されているため、ピニオン付きナットのナット本体のみが、ピニオンを持つワッシャ上を滑りながら(摺動しながら)独自に回動する。このため、ナット本体のみによるヒューズユニットの端子取付部に対する締付けが強くかつ確実に行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリの形態やバッテリターミナルの設置位置に拘わらずヒューズユニットをバッテリターミナルの正規の位置に堅固に固定できるとともに、突き当て部をバッテリ側面に正しく突き当てることで、ヒューズユニットのバッテリポストを中心とする不用意な回動を防止することができる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明に係るヒュージブルリンクユニットの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
ここで、図1は、本実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの斜視図である。図2は、図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け時の側面図である。図3は、図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け状態の平面図である。図4は、ヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け状態におけるピニオン付きナット部付近の拡大正面図である。図5は、図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け完了状態の側面図である。図6は、図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け完了状態の平面図である。図7は、ヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け完了状態におけるピニオン付きナット部付近の拡大正面図である。
【0020】
この実施形態に係るヒュージブルリンクユニットは、バッテリターミナル1とこれに直付けされるヒューズユニット2とから構成されている。これらのうちバッテリターミナル1は導電性を有する金属板をプレス加工することにより製造されている。
【0021】
このバッテリターミナル1はバッテリ3のバッテリポスト4に嵌挿される上下方向に重なる一対の切欠環状部5、6と、これらに連続するU字状の連結部7、8とを備える。また、各切欠環状部5、6間にはバスバー9の一端が介在され、このバスバー9の他端は連結部7、8とは90°の角度離れた位置に臨んでいる。連結部7、8は、所定幅のバスバー9の一部を介し所定間隙をおいて水平方向に対峙している。
【0022】
連結部7、8にはそれぞれ図示しない取付孔が略同一水平線(中心線)上に形成され、これらの取付孔にボルト10が挿通されている。このボルト10の前記連結部7、8端から突出する軸部先端にはワッシャ12を介してナット11が螺合されている。従って、切欠環状部5、6を前記バッテリポスト4に挿し込み、ナット11をボルト10の軸部先端側から締め込むことで、連結部7、8間の前記間隙を狭め、切欠環状部5、6をバッテリポスト4に堅固に保持させることができる。
【0023】
前記バスバー9の上面は平滑な支持面9aとなっており、この支持面9aにはバスバー9の下面側からこのバスバー9に設けられた取付孔9bを通して上方に向かって貫通するスタッドボルト13が取り付けられている。なお、切欠環状部5、6間、連結部7、8間及びバスバー9の側面部分は、これらの外観を良好にする所定形状の化粧枠14により被われている。
【0024】
一方、前記ヒューズユニット2は、L字状に成形された樹脂ボディ15内に複数の可溶部を持つ導電金属製のヒューズエレメント(図示しない)を収納したものからなる。このヒューズエレメントはバッテリ電圧を受けるとともに、ヒューズユニット2を前記バッテリターミナル1に支持させるヒューズユニット支持板16と、このヒューズユニット支持板16に、例えばクランク状の細幅部を介して連設されたタブ端子(図示しない)とを有する。そして、これらのタブ端子は樹脂ボディ15と一体の各雌型コネクタハウジング17内のコネクタ室内に突出している。これらのタブ端子とコネクタハウジング17とで雌型コネクタが構成される。
【0025】
前記ヒューズユニット支持板16は前記スタッドボルト13周辺のバスバー9の一部に接合され、これにより電気的に接続されるとともに、ヒューズユニット2の全体を支持するように機能する。このヒューズユニット支持板16は水平板状をなし、中央部には突き当て部22のバッテリ3側面への突き当て方向に長く延びる孔(長孔)18Aが形成されている。
【0026】
このヒューズユニット支持板16はヒューズユニット2の全重量を支えるため、所定の強度を持つサイズ、厚みに成形されている。従って、バスバー9を貫通して上方へ突出するスタッドボルト13にヒューズユニット支持板16の長孔18Aを通し、この長孔18Aを通したスタッドボルト13端にピニオン付きナット30を螺合することができる。そしてこのピニオン付きナット30を更にねじ込むことにより、スタッドボルト13にヒューズユニット支持板16を固定することができる。この結果、バッテリターミナル1にヒューズユニット2を安定的に固定することができる。
【0027】
ところで、前記ピニオン付きナット30は、周縁にピニオン31aを一体に持つワッシャ31と、前記スタッドボルト13に螺合可能なナット本体32とを、所定の摩擦力を以って摺接可能に一体結合したものからなる。このため、前述のようなナット本体32のスタッドボルト13に対するねじ込み過程で、ワッシャ31のナット本体32に対する所定の静止トルク(最大静止摩擦力によって決定されるトルク)を超えるような駆動(回転)トルクが、ナット本体32に加えられたとき、ナット本体32はその静止するワッシャ31から独立してこのワッシャ31上で滑るように摺動することになる。従って、所定の静止トルク以下ではナット本体32はワッシャ31と密着状態にて一体で回転するように、スタッドボルト13にねじ込まれる。
【0028】
一方、ヒューズユニット2には、ヒューズユニット支持板16の一側縁に沿うようにラック板33が立設され、このラック板33のヒューズユニット支持板16表面に臨む位置にラック34が突設されている。このラック34は、ヒューズユニット支持板16の前記突き当て部22の突き当て方向に沿って形成され、その長さは、突き当て部22の移動可能な距離に略等しい。
【0029】
このラック34の歯のサイズ及びピッチは、ピニオン31aの歯のサイズ及びピッチに略等しく、ピニオン31aの円滑回転が可能になっている。なお、ピニオン付きナット30は、ピニオン31aをラック板33のラック34に噛合しながら、これのワッシャ31をヒューズユニット支持板16上で滑りながら回転可能にしている。
【0030】
前記樹脂ボディ15は前述のようにL字状をなして垂直部21を有し、この垂直部21の下端にはバッテリ3の側面に向かって突出する突き当て部22が一体に設けられている。この突き当て部22の先端部は、前記と同様にバッテリ3に密接可能な突き当て面22aとなっている。なお、垂直片21には形やサイズが異なる複数の補強片23が一体に突設されている。
【0031】
上述の構成のヒュージブルリンクユニットにより、ヒューズユニット2はバッテリターミナル1とともにバッテリ3に対して次のように組みつけられる。先ず、切欠環状部5、6をバッテリポスト4に挿し込み、前記ナット11に螺合されたボルト10の軸部先端に締め込む。これにより連結部7、8間の間隙を狭め、切欠環状部5、6をバッテリポスト4に堅固に保持させる。
【0032】
次に、バスバー9に貫通させたスタッドボルト13にヒューズユニット支持板16の長孔18Aを通す。そしてこの長孔18Aに通されたスタッドボルト13端にピニオン付きナット30をねじ込む。このナット30のねじ込みは、ピニオン付きナット30のワッシャ31の下面がヒューズユニット支持板16上に摺接させた状態にて行う。このときワッシャ31外周のピニオン31aをラック板33のラック34に噛合させる。
【0033】
このラック板33に対するピニオン31aの噛合に続いて、ピニオン付きナット30を更にねじ込む。これにより、ヒューズユニット支持板16をスタッドボルト13に沿って下降させる(言い換えれば、バスバー9をスタッドボルト13に沿って浮上させる)とともに、ヒューズユニット支持板16をラック34の長さ方向(突き当て部22のバッテリ3側面に対する突き当て方向)に水平移動させる。この水平移動は長孔18Aがスタッドボルト13にガイドされることにより可能になっている。
【0034】
このねじ込み操作の当初は、図2に示すように突き当て部22の突き当て面22aはバッテリ3側面から離れているが、ねじ込みが進むと次第に接近し、遂には図5に示すように当接する。この突き当て面22aのバッテリ3側面に対する当接によって、ピニオン付きナット30のスタッドボルト13に対するねじ込み操作が規制される。
【0035】
この状態では、ヒューズユニット支持板16の下面は、図4に示すように、バスバー9の上面に当接しないで間隙Gを残す場合がある。この場合には、ヒューズユニット2のバッテリターミナル1に対する取付状態が未だ不完全かつ不安定である。このため、続けてピニオン付きナット30をスタッドボルト13に対して更に強くねじ込む。
【0036】
このとき前記突き当てによって移動不可能なラック34に噛合しているワッシャ31のピニオン31aは回転が規制されているが、そのねじ込みの操作トルクがワッシャ31とナット本体32との最大静止摩擦力(静止トルク)を超えると、ナット本体32はワッシャ31に対してこれらの摩擦面で滑り始める。このため、ナット本体32はスタッドボルト13に対するさらなるねじ込み操作によってヒューズユニット支持板16の下面にバスバー9の上面が接近し、遂には図7に示す状態になって強く当接される。
【0037】
従って、ヒューズユニット2はバッテリターミナル1に対し堅固に固定されるとともに、突き当て面22aがバッテリ3側面に強く当接される。この結果、車両の走行中にヒューズユニット2の変位やバッテリポスト4を中心とする回動が規制される。また、スタッドボルト13に対し長孔18Aを介してヒューズユニット2の移動量が調整可能であるので、バッテリ3のサイズやバッテリポスト4の位置が異なる場合であっても、前記ピニオン付きナット30の操作によるヒューズユニット支持板16の水平移動によって、突き当て面22aをバッテリ3側面に密接させることができる。
【0038】
以上説明してきたように、本実施形態によればバッテリターミナル1のスタッドボルト13に貫通される長孔18Aを持ったヒューズユニット支持板16をヒューズユニット2に設け、周縁にピニオン31aが形成されたワッシャ31と、このワッシャ31に対し所定の摩擦力で摺接可能に一体化されたナット本体32とを有するピニオン付きナット30を設け、ヒューズユニット2に、このヒューズユニット2における突き当て部22のバッテリ3側面に対する突き当て方向に沿って、前記ピニオン31aに噛合されるラック34を設け、ピニオン付きナット30のスタッドボルト13に対するねじ込み操作によって、ピニオン31aに噛合するラック34を水平駆動して突き当て部22をバッテリ3の側面に突き当て可能にし、突き当て部22をバッテリ3側面に突き当てた後も、ピニオン付きナット30のナット本体32をワッシャ31上に滑らせながらスタッドボルト13にねじ込み可能にしている。
【0039】
これにより、スタッドボルト13に、ヒューズユニット支持板16に設けられた長孔18Aを通し、更にそのスタッドボルト13にピニオン付きナット30をねじ込んで、ピニオン31aをヒューズユニット2のラック34に噛合させることで、ラック34を前記突き当て方向に移動させることができる。従って、突き当て部22亜hバッテリ3の側面方向へ移動し、遂には突き当て面22aをバッテリ3の側面に密着させることができる。
【0040】
さらに、ピニオン付きナット30のスタッドボルト13への締付けが不完全である場合には、ピニオン付きナット30を更に締め込んで、ピニオン付きナット30のナット本体32のみを、ピニオン31aを持つワッシャ31上に滑らせ、ナット本体32のみのねじ込みによりヒューズユニット支持板16のバスバー9に対する接合を強固にすることができる。これにより、ヒューズユニット2のバッテリポスト4を中心とする回り止めと、バッテリターミナル1に対する確実な固定とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るヒュージブルリンクユニットの実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け状態の側面図である。
【図3】図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け状態の平面図である。
【図4】ヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け状態におけるピニオン付きナット部付近の拡大正面図である。
【図5】図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け完了状態の側面図である。
【図6】図1に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け完了状態の平面図である。
【図7】ヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け完了状態におけるピニオン付きナット部付近の拡大正面図である。
【図8】従来のヒュージブルリンクユニットの斜視図である。
【図9】図8に示すヒュージブルリンクユニットのバッテリに対する取り付け状態の側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 バッテリターミナル
2 ヒューズユニット
3 バッテリ
4 バッテリポスト
5、6 切欠環状部
7、8 連結部
9 バスバー
10 ボルト
11 ナット
12 ワッシャ
13 スタッドボルト
15 樹脂ボディ
16 ヒューズユニット支持板
17 雌型コネクタハウジング
18A 長孔
21 垂直片
22 付き当て部
22a 突き当て面
30 ピニオン付きナット
31 ワッシャ
31a ピニオン
32 ナット本体
33 ラック板
34 ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリポストに装着されるバッテリターミナルにヒューズユニットが直付けされ、該ヒューズユニットに突設した突き当て部がバッテリ側面に突き当てられることにより、前記ヒューズユニットの前記バッテリポストを中心とする回動が規制されるように構成されたヒュージブルリンクユニットであって、
前記バッテリターミナルに設けられた、バスバーを貫通して該バッテリターミナルの上面から上方に突出するスタッドボルトと、
周縁にピニオンが形成されたワッシャと、前記スタッドボルトに螺合可能なナット本体と、を有するピニオン付きナットと、
前記ヒューズユニットに設けられた、前記スタッドボルトによって貫通される長孔と、前記ワッシャのピニオンに噛合されるラックと、を有するヒューズユニット支持板と、
を備え、
前記長孔は、前記突き当て部の前記バッテリ側面に対する突き当て方向に長く延びるように前記ヒューズユニット支持板に形成され、
前記ラックは、前記突き当て方向に沿って前記ヒューズユニットに形成され、
前記長孔を貫通する前記スタッドボルトに前記ワッシャと前記ナット本体を挿通させ、前記ワッシャの前記ピニオンを前記ラックに噛合させた状態で該ナット本体を前記スタッドボルトにねじ込むことによって、前記ヒューズユニット支持板を前記突き当て方向に移動可能にするとともに、前記ヒューズユニット支持板と前記バスバーを互いが近づく方向に移動可能とする、
ことを特徴とするヒュージブルリンクユニット。
【請求項2】
前記ナット本体を前記スタッドボルトにねじ込む場合であって、前記突き当て部が前記バッテリ側面に突き当たることにより前記ワッシャと前記ナット本体の間で作用する摩擦力が最大静止摩擦力よりも大きくなったときには、前記ワッシャに対して前記ナット本体が回転することによって、前記突き当て部が前記バッテリ側面に突き当たった状態で前記ヒューズユニット支持板と前記バスバーを互いに近づく方向に移動可能とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒュージブルリンクユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−129315(P2010−129315A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301479(P2008−301479)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】