説明

ヒンジユニット及びそれを用いた携帯端末

【課題】 弾性部材6の弾性力を大きくすることなくカムの係合・離合が行えるようにする。
【解決手段】シャフト2、フランジ3、固定カム4、可動カム5、弾性部材6等によりヒンジユニット1を形成する。シャフト2は、ヒンジ軸をなす。フランジ3は、シャフト2に挿通されている。固定カム4は、係合部7を備えて、シャフト2に挿通している。可動カム5は、係合部7と係合する被係合部8を備えてシャフト2に嵌合している。弾性部材6は、フランジ3と固定カム4との間であって、ヒンジ軸から所定量離れた位置に配置されて、固定カム4を押圧する。これにより、弾性部材6の弾性力を大きくすることなくカムの係合・離合が行えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジユニット及びそれを用いた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の表示デバイスが内設された表示筐体をテンキー等の入力デバイスが設けられた操作筐体に対して回動可能に設けた携帯端末が知られている。このような表示筐体を操作筐体に対して、回動可能にする機構はヒンジ機構と呼称され、表示筐体を1軸の回りに回動可能にする1軸ヒンジや、互いに直交する2軸の回りにそれぞれ独立に回動可能にする2軸ヒンジが知られている。
【0003】
このようなヒンジ機構は、例えば特許文献1〜4に開示されている。特許文献1が開示するヒンジ機構は、図8に示すように、開閉軸101および回転軸107を有する2軸ヒンジである。そして、開閉軸101には開閉軸用の回転カム105が配置され、この開閉軸用回転カム105の両側からコイルバネ103が圧接することにより、摩擦力を発生させている。また、回転軸107には回転軸用の回転カム111と固定カム110とがバネ109により圧接されることにより、摩擦力を発生させている。従って、この摩擦力により回転軸107の自由回転が規制される。
【0004】
また、特許文献2が開示するヒンジ機構は、図9に示すように、回動部203や係合突部205を備えている。回動部203は、係合凹部204を備えて回動する。係合突部205は、弾性部材206により回動部203に押圧されている。これにより、弾性部材206により押圧された係合突部205が係合凹部204に嵌ることにより、回転時にクリック感を発生させながら回動部203の自由回動が規制される。
【0005】
また、特許文献3が開示するヒンジ機構は、図10に示すように、凹凸カム303、矩形カム307、伸張バネ306を備えている。凹凸カム303は、第1軸部材302の一端に設けられている。矩形カム307は、第2軸部材308側に設けられ、凹凸カム303面の上に当接する。伸張バネ306は、凹凸カム303を矩形カム307側に押圧する。そして、四角形状の矩形カム307の頂点が凹凸カム303を通過する際に生じる回転力の急激な変動により、回転時にクリック感を発生させながら矩形カム307の自由回動が規制される。
【0006】
さらに、特許文献4が開示するヒンジ機構は、図11に示すように、回転軸406の外周に平面407を形成すると共に、軸受ホルダー419で回転軸406を支持し、板バネ422で回転軸406を軸受ホルダー419側に押圧している。これにより、板バネ422が平面407に当接した状態と離接した状態とで、回転軸406を回転させるための力に変化が生じて、回転時にクリック感を発生させながら回転軸406の自由回転が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−155923号公報
【特許文献2】特開2004−23469号公報
【特許文献3】特開2005−337461号公報
【特許文献4】特開2009−30733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記各特許文献1〜4にかかるヒンジ機構では、カムの作用点K1とバネの作用点K2との距離が近接しているため、明確なクリック感を得るためには強いバネ力のバネ等を用いる必要があった。
【0009】
例えば特許文献1にかかるヒンジ機構では、固定カム110や回転カム111は円盤状に形成され、かつ、これら固定カム110等のカム軸とバネ(コイルバネ)のコイル軸とは同軸に配置されているため、大きなバネ力のバネを用いると、固定カム110等が撓みながらカム部の係合・離合が行われるようになる。固定カム110等が撓むことは、バネ力が撓みにより吸収されることを意味するので、バネ力は有効利用されない。従って、固定カム110等の厚みを厚くしなければならず、カム機構の大型化を招く問題が生じる。また、バネ力を大きくすると、回転カム111と固定カム110との圧接力が増大し、回転カム111と固定カム110との摩擦面の摩耗が増大する。
【0010】
また、特許文献2にかかるヒンジ機構は、針金状の弾性部材206の先端部分に設けられた係合突起205が回動部203の係合凹部204に係合・離合する。左右の係合突起205は1つの弾性部材206により回動自在に支持されているため、係合突起205と係合凹部204とが係合・離合する際には、弾性部材206が全長に渡り変形する。従って、確かな係合状態を得るためにはバネ力を大きくしなければならない。なお、回動部203が回動している最中は、係合突起205がローラ等により形成されているので、略自由回動の状態となってしまう。このため、係合突起205が係合凹部204に係合し始めると、バネ力により係合突起205は係合凹部204に急に落ち込む。この急激な落ち込みは、バネ力が大きいほど大きくなり、ユーザに違和感を与えてしまう不都合がある。
【0011】
また、特許文献3にかかるヒンジ機構は、矩形カム307の回転に伴い伸張バネ306のバネ力に抗して第1軸部材302が矩形カム307に向かい進退することによりクリック感を得る。しかし、この構成では矩形カム307は微少角の範囲内であれば容易に回動できるため、明確なクリック感を得ることが難しい。即ち、矩形カム307が角度θだけ回転したとすると、第1軸部材302はsin(θ)だけ進退することになる。この回転角度θが微少であれば、sin(θ)は略「0」と近似できる(sin(θ)≒0)。従って、伸張バネ306によっては第1軸部材302の微少角の回転を規制することが困難であることを示している。このことは、ヒンジ機構にガタツキが生まれることを意味し、ユーザにクリック感の非シャープさ等を与える。そこで、伸張バネ306のバネ力を大きくして上記微少角の範囲を小さくすることが考えられるが、この場合は、矩形カム307を「90度」回転させる際に要する力が大きくなり、操作性が損なわれる問題が生じる。
【0012】
さらに、特許文献4にかかるヒンジ機構は、回転軸406に板バネ422が当接し、この回転軸406の平面407に当接したとき係合状態となることでクリック感を得ている。しかし、この場合も、明確なクリック感を得るためには板バネ422のバネ力を強くしなければならず、かつ、平面407の面積を大きくしなければならない。なお、この平面407の面積は、回転軸406の回転を規制する際に、板バネ422が接する面積である。平面407の面積を大きくすることは、回転軸406が円筒状に形成されているので、平面407の部分の肉厚が薄くなることを意味し、強度低下を招く要因となる。
【0013】
そこで、本発明の主目的は、弾性部材の弾性力を大きくすることなく、カムの係合・離合によるガタツキ等の発生を防止しながら確かなクリック感が得られるヒンジユニット及び携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明にかかるヒンジユニットは、ヒンジ軸をなすシャフトと、シャフトに挿通するフランジと、係合部を備えてシャフトに挿通する固定カムと、係合部と係合する被係合部を備えてシャフトに嵌合する可動カムと、フランジと固定カムとの間であって、ヒンジ軸から所定量離れた位置に配置されて、固定カムを押圧する弾性部材と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、携帯端末は、表示デバイスが内設された第1の筐体と、入力デバイスが設けられた第2の筐体と、第1の筐体と第2の筐体を連結するヒンジユニットとを備え、ヒンジユニットが、ヒンジ軸をなすシャフトと、シャフトに挿通するフランジと、係合部を備えてシャフトに挿通する固定カムと、係合部と係合する被係合部を備えてシャフトに嵌合する可動カムと、フランジと固定カムとの間であって、ヒンジ軸から所定量離れた位置に配置されて、固定カムを押圧する弾性部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、弾性部材の弾性力を大きくすることなく、カムの係合・離合によるガタツキ等の発生を防止しながら確かなクリック感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるヒンジユニットの部分上面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態にかかる携帯端末の斜視図である。
【図3】第2の実施形態にかかるヒンジユニットの斜視図である。
【図4】第2の実施形態にかかるヒンジユニットの分解斜視図である。
【図5】第2の実施形態にかかるヒンジユニットの上面図で、(a)はカム機構が係合状態にある場合、(b)はカム機構が離合状態にある場合である。
【図6】第2の実施の形態にかかる効果を説明するためのジユニットの正面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態にかかるヒンジユニットの上面図である。
【図8】特許文献1にかかるヒンジ機構の上面図である。
【図9】特許文献2にかかるヒンジ機構の上面図である。
【図10】特許文献3にかかるヒンジ機構の分解図である。
【図11】特許文献4にかかるヒンジ機構を含む端末の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態を図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態にかかるヒンジユニットの部分上面図である。ヒンジユニット1は、シャフト2、フランジ3、固定カム4、可動カム5、弾性部材6等を備える。シャフト2は、ヒンジユニット1のヒンジ軸をなす。フランジ3は、シャフト2に回動自在に挿通されている。固定カム4は、係合部7を備えて、シャフト2に回動自在に挿通されている。可動カム5は、係合部7と係合する被係合部8を備えてシャフト2の回動に従動する。弾性部材6は、フランジ3と固定カム4との間であって、ヒンジ軸から所定量離れた位置に配置されて、固定カム4を押圧している。
【0019】
これにより、ヒンジ軸から所定量離れた弾性部材が大きな弾性力を持たない場合であっても、この距離に比例するモーメントにより大きな力が係合部と被係合部とに作用する。よって、リンク機構にガタツキ等が発生するのを防止し、かつ、確かなクリック感を得ながら係合・離合が行えるヒンジユニットが提供できるようになる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態を図を参照して説明する。図2は、第2の実施形態にかかるヒンジユニットを適用した携帯端末の斜視図である。なお、以下の説明では、携帯端末として携帯電話を例に説明するが、PHS(Personal Handy−phone System)等の端末であっても良い。
【0020】
携帯端末10は、表示デバイス11を内設する表示筐体12、操作筐体13、ヒンジユニット14を備え、ヒンジユニット14が表示筐体12と操作筐体13とを回動自在に連結している。
【0021】
ヒンジユニット14は、以下のように、表示筐体(第1の筐体)12と操作筐体(第2の筐体)13とを2軸で回動可能に連結する。即ち、ヒンジユニット14は、表示筐体12の長手方向に延びる軸線(以下、X軸線と記載する)と、このX軸線に直交し、携帯端末10の幅方向に沿う軸線(以下、Y軸線と記載する)との2つの回動軸からなる2軸ヒンジ機構を持つ。以下、X軸を反転軸、Y軸を開閉軸と記載する。そして、表示筐体12が反転軸の回りに回動する動作を反転動作、開閉軸の回りに回動する動作を開閉動作と記載する。
【0022】
操作筐体13の内部には、各種の情報の送受信等に必要な電子機器が配置されると共に、各種の情報入力に用いられるテンキー等の入力デバイス19が操作筐体13の操作面15に設けられている。操作筐体13における操作面15の先端部(ヒンジユニット14から最も遠い端部領域)には、パッド20が設けられている。
【0023】
このパッド20は、樹脂やゴム等の弾性体から形成され、携帯端末10を閉状態にしたときに、表示筐体12がパッド20に当接することにより、表示筐体12と操作筐体13との間に所定のクリアランスを確保する。
【0024】
そして、表示筐体12が開閉軸の回りに回動することにより、携帯端末10の開閉が行われる。また、携帯端末10を閉状態にしたとき、携帯端末10は、表示筐体12の反転状態に応じて表示筐体正面17が操作面15に対面する状態と表示筐体裏面18が操作面15に対面する状態とをとる。
【0025】
図3は、ヒンジユニット14の構成を示す斜視図である。また、図4は、このヒンジユニット14の分解斜視図である。ヒンジユニット14の一端には操作筐体側ヒンジ部30が設けられ、他端には表示筐体側ヒンジ部40が設けられている。操作筐体側ヒンジ部30は、操作筐体13に対してヒンジユニット14を開閉軸(Y軸)の周りに回動可能に支持するための支持軸穴31を備える。
【0026】
表示筐体側ヒンジ部40は、第1フランジ41、第2フランジ(フランジ)42、シャフト43、カム機構50を備える。第1フランジ41は、操作筐体側ヒンジ部30にネジ等により固定される。第2フランジ42は、表示筐体12にネジ等により固定される。シャフト43は、一端が第1フランジ41に固着され、他端が第2フランジに42に挿通して、第2フランジ42を第1フランジ41に対して回動自在に支持する。カム機構50は、第2フランジ42の自由回動を規制しながら、この第2フランジ42が所定位置に止まるように規制する。
【0027】
カム機構50は、板バネ、皿バネ、コイルバネ等の弾性部材51、固定カム52、可動カム53、カム止リング54、固定カム支持ピン55を備える。
【0028】
なお、シャフト43における第2フランジ42側の端部領域には、カム止リング54が係合する係合溝56が、形成されると共に、面取部57が形成されている。以下、このシャフト43の端部領域を、シャフト先端領域65と記載する。
【0029】
また、固定カム52は略矩形状に形成され、その中央部分に凹状のカム収納部61が形成されると共に、シャフト43が挿通するシャフト穴59が形成されている。
【0030】
なお、このシャフト穴59の周縁面(カム面)62には、2つの係合部60が対向して形成されている。この係合部60の形状は、後述する図5に示すように等脚台形状になっている。さらに、固定カム52の左右端部領域には、固定カム支持ピン55の挿通するピン穴58が形成されている。
【0031】
可動カム53は、概略円筒体で、中央にシャフト先端領域65が嵌合するシャフト係合穴63が形成されると共に、カム面62と対向する周端面に係合部60と係合する被係合部64が形成されている。被係合部64は、図5に示すように係合部60と同一形状を持っている。
【0032】
なお、係合部60は凸形状で2つ設けられ、被係合部64は凹形状で2つ設けられている場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されない。即ち、凹形状の被係合部64(又は係合部60)の数N1が、凸形状の係合部60(又は被係合部64)の数N2より多ければよい(N1≧N2)。このとき係合部60及び被係合部64の数は、偶数で、かつ、反転軸(X軸)に対称に形成されていることが好ましい。これは、可動カム53が反転軸の軸心に対して対称に回動できるようにするためである。可動カム53が回転軸の軸心に対して対称に回動すると、滑らかな回動が可能になる。また、係合部60と被係合部64を複数設けた場合に、係合部60と被係合部64との片当たりを防止することができる。即ち、複数の係合部60が、それぞれ対応する被係合部64と同時に係合・離合することができる。従って、片当たりによる部分的な摩耗が抑制できる。
【0033】
また、係合部60が凹形状で、被係合部64が凸形状であっても良い。さらに、係合部60や被係合部64の形状は三角形や半円形状等が可能である。
【0034】
このようなヒンジユニット14は、以下のようにして組み立てられる。先ず、第1フランジ41に立設されたシャフト43に第2フランジ42を挿通し、第2フランジ42に立設された左右の固定カム支持ピン55に弾性部材51を挿通する。そして、固定カム52のシャフト穴59にシャフト43を挿通すると共に、ピン穴58に固定カム支持ピン55を挿通する。その後、可動カム53のシャフト係合穴63をシャフト43に挿通する。
【0035】
シャフト先端領域65には面取部57が形成され、シャフト係合穴63には面取部57に対応した回転規制面63aが形成されているので、シャフト係合穴63をシャフト43に挿通することにより、可動カム53はシャフト43に従って回動するようになる。そして、固定カム52を第2フランジ42側に押して弾性部材51を収縮させ、カム止リング54を係合溝56に係合させる。これにより、可動カム53をシャフト43に取り付けることができる。
【0036】
次に、このヒンジユニット14の動作を図5を参照して説明する。図5(a)は係合部60と被係合部64とが係合した状態を示すヒンジユニット14の上面図であり、図5(b)は係合部60と被係合部64とが離合した状態を示すヒンジユニット14の上面図である。
【0037】
図5(a)に示すように、係合部60と被係合部64とが係合した状態では、弾性部材51は略自由長(圧縮も伸張もしていない状態)となっている。この状態から第2フランジ42を図5(b)に示す矢印D1の方向に回転させて、被係合部64と係合部60とを離合させる。係合部60等は所定の高さHを持つため、被係合部64と係合部60との係合を解除させるためには、固定カム52は矢印D2の方向に寸法Hだけ移動しなければならない。
【0038】
可動カム53の作用点をP1、第2フランジ42の作用点をP2、作用点をP1と作用点をP2との距離をLとすると、作用点P1に働く力F1に釣り合う力は、作用点P2に働く力F2のL/2倍となる(F1=F2。L/2)。即ち、作用点P1と作用点P2とが距離Lだけ離れているため、弾性部材51の弾性力が小さくても、大きな力を作用点P1に作用させることが可能になる。従って、弾性部材の弾性力を大きくすることなくカム機構の係合・離合が確実に行えるので、表示筐体を回転運動させた際には明確なクリック感が得られる。また、係合部60と被係合部64とが離合して、係合部60と被係合部64とが当接しながら可動カム53が回動する際には、当接部に摩擦力が働くので、リンク機構にガタツキが発生することはない。
【0039】
特に、図6に示すように、シャフト43と同軸にコイルバネ68を設け、かつ、そのコイルバネ68の半径が上記の距離Lに相当させるならば、特許文献1に示した構成に近似するが、この場合はコイルバネ68が表示筐体12からはみ出してしまう不都合が生じる。近年、表示筐体等の小型・薄型化が進んでいるため、表示筐体12からコイルバネ68が容易にはみ出してしまう。なお、図6は、半径の大きなコイルバネの使用を弾性部材として用いた場合のヒンジユニットの正面図である。
【0040】
しかし、本実施形態のように可動カム53の左右に弾性部材51を配置することにより、小さな弾性力の弾性部材51であっても、モーメントにより拡大された大きな力が係合部60と被係合部64とに作用する。従って、厚みの薄い携帯端末に適用された場合であっても、意匠性を損なうことなく確実に表示筐体の回転規制ができると共に、明確なクリック感が得られるようになる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を図を参照して説明する。なお、第2の実施形態と同一構成に関しては同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0041】
第2の実施形態においては、固定カムは、その左右の端部において弾性部材から弾性力により押圧する構造であった。これに対して、第3の実施形態にかかる固定カムは、一方の端部は第2フランジ42に回動自在に支持され、他方の端部は弾性部材から弾性力を受ける構成である。
【0042】
図7は、このようなヒンジユニット14Bの上面図である。固定カム70は、概略L字状に形成され、一端は弾性部材51により押圧されている。また、固定カム70の他端は、支持板71に挿通された支持軸72により回動自在に支持されている。
【0043】
このような構成により、固定カム70の係合部60と可動カム53の被係合部64とが係合・離合する。係合力は係合部60の作用点と、弾性部材の作用点をL2としたとき、弾性部材51の発生する力のL2倍となる。従って、弾性部材51の弾性力を大きくすることなくカム機構の係合・離合が確実に行えるので、表示筐体12を反転運動させた際には明確なクリック感が得られる。
【符号の説明】
【0044】
1、14,14B ヒンジユニット
2,43 シャフト
3 フランジ
4,52,70 固定カム
5,53 可動カム
6,50 弾性部材
7,60 係合部
8,64 被係合部
10 携帯端末
11 表示デバイス
12 表示筐体
13 操作筐体
41 第1フランジ
42 第2フランジ
50 カム機構
61 カム収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ軸をなすシャフトと、
前記シャフトが回動自在に挿通するフランジと、
係合部を備えて、前記シャフトが回動自在に挿通する固定カムと、
前記係合部と係合する被係合部を備えて、前記シャフトの回動に従動する可動カムと、
前記フランジと前記固定カムとの間に配置され、かつ、前記ヒンジ軸から所定量離れた位置に配置されて、前記固定カムを前記可動カムの方向に押圧する弾性部材と、を備えることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヒンジユニットであって、
前記弾性部材が、前記ヒンジ軸の左右のいずれか一方の側に設けられていることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のヒンジユニットであって、
前記固定カムの一端が、前記フランジのフランジ面に回動自在に支持され、他端が前記弾性部材により前記可動カムの方向に押圧されていることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のヒンジユニットであって、
前記弾性部材は、前記ヒンジ軸の左右の両側に設けられていることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒンジユニットであって、
前記固定カムは、中央部分に前記可動カムを収納する凹状のカム収納部を備えることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒンジユニットであって、
前記係合部と前記被係合部との数は共に偶数、かつ、前記ヒンジ軸に対称点を持つ点対称に配置されていることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項7】
表示デバイスが内設された第1の筐体と、
入力デバイスが設けられた第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体を連結するヒンジユニットと、を備え、
前記ヒンジユニットが、ヒンジ軸をなすシャフトと、前記シャフトが回動自在に挿通するフランジと、係合部を備えて前記シャフトが回動自在に挿通する固定カムと、前記係合部と係合する被係合部を備えて前記シャフトの回動に従動する可動カムと、前記フランジと前記固定カムとの間に配置され、かつ、前記ヒンジ軸から所定量離れた位置に配置されて、前記固定カムを前記可動カムの方向に押圧する弾性部材と、を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯端末であって、
前記弾性部材が、前記ヒンジ軸の左右のいずれか一方の側に設けられていることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の携帯端末であって、
前記固定カムの一端が、前記フランジのフランジ面に回動自在に支持され、他端が前記弾性部材により前記可動カムの方向に押圧されていることを特徴とするヒンジユニット。
【請求項10】
請求項7に記載の携帯端末であって、
前記弾性部材は、前記ヒンジ軸の左右の両側に設けられていることを特徴とする携帯端末。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1項に記載の携帯端末であって、
前記固定カムは、中央部分に前記可動カムを収納する凹状のカム収納部を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか1項に記載の携帯端末であって、
前記係合部と前記被係合部との数は共に偶数、かつ、前記ヒンジ軸に対称点を持つ点対称に配置されていることを特徴とする携帯端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−106642(P2011−106642A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265060(P2009−265060)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】