説明

ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器

【課題】回動抵抗を所定の回動範囲や全ての回動範囲で容易に得ることができるヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器を提供すること。
【解決手段】回動軸部4の外周にO状の摩擦体5を被嵌状態に設け、この摩擦体5に対し接離移動可能な圧接体6を備え、第一部材1に対して第二部材2を回動すると圧接体6を押圧して摩擦体5に圧接させる押圧機構7を備えて、第一部材1に対する第二部材2の所定の回動範囲で押圧機構7が圧接体6を押圧して圧接体6が摩擦体5を押圧変形させ、この押圧変形した摩擦体5が回動軸部4と圧接体6とに圧接することで摩擦体5の回動軸部4と圧接体6への摩擦抵抗が増大してこの回動軸部4に回動抵抗を付与する回動抵抗機構8を備えたヒンジ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話やノートパソコンなどの折り畳み式の電子機器に採用されるヒンジ装置、並びに折り畳み式携帯電話やノートパソコンなどのヒンジ装置を用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒンジ装置においては、様々な要望から開閉時に回動抵抗を生じさせて所定のトルクが生じるように構成している。
【0003】
例えば、第一部材に対して第二部材を回動させる場合、この第二部材の自重にも抗し得る回動抵抗を生じさせることで回動させる手を放した位置で停止する所謂フリーストップが実現できる回動抵抗を生じさせたり、自重により加速して勢い良く閉じないように閉じ位置前でダンパー機能が生じるようにしたい。
【0004】
また、ワンプッシュオープン構造のように、例えばトーションバネなどによって回動付勢を生じさせておき、係止解除用のボタンやスイッチを操作することでロックが外れて第一部材に対し第二部材が自重に抗して自動回動する構成の場合も、この自動回動速度が加速し、特に90度以上回動するとトーションバネに自重も加わって勢いが増して開放回動する場合があり、回動開放位置(全開位置)でストッパーに突き当たったりクリック係合することで開放回動位置で急停止するような場合に大きな衝撃が生じ故障の原因となったり、耐久性に劣ったりすることが考えられるため、前記のようなダンパー機能を持たせたい。
【0005】
特に、携帯電話など手で持ってこの開閉操作を行う場合、この勢いある開放回動による慣性や、ストッパーやクリック係合による急停止によって手から落としたり落としそうになったりする場合もあり、このような問題を解決するためにも回動開放位置前の範囲で大きな回動抵抗(ブレーキ)によって減速するように構成することが望ましい。
【0006】
従来、このような要求や前記問題を解決するために回動抵抗を生じさせる方法としては、オイルダンパーを設けたり、回動軸部を例えばC状の軸受部で圧着抱持し大きな回動抵抗を生じさせたり、所定回動位置で凹凸係合するクリック係合機構を設け、一方のカム係合部にカム部が相対回動して凹凸係合させるように構成し、このカム部をカム係合部に係合付勢するカム係合用のバネを強力にしたり、擦り合わせ面での回動抵抗を大きくするなどの手段が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−247532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来構造とは、全く異なる手法により所定の回動範囲や全ての回動範囲での回動抵抗付与を実現すると共に、その構造の簡易さからオイル漏れなどの不具合を生じにくい画期的なヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
第一部材1と第二部材2とを枢着するヒンジ装置Hであって、第一部材1若しくは第二部材2に回り止め状態に設ける軸受部3と、第二部材2若しくは第一部材1に回り止め状態に設けられて前記軸受部3に軸支する回動軸部4とから成り、この回動軸部4の外周にC状若しくはO状の摩擦体5を被嵌状態に設け、この摩擦体5に対し接離移動可能な圧接体6を備えると共に、この圧接体6は前記第二部材2若しくは前記第一部材1に回り止め状態に設け、前記第一部材1に対して前記第二部材2を回動すると、前記圧接体6を押圧して前記摩擦体5に圧接せしめる押圧機構7を備えて、第一部材1に対する第二部材2の所定の回動範囲でこの押圧機構7が圧接体6を押圧して圧接体6が摩擦体5を押圧変形させ、この押圧変形した摩擦体5が前記回動軸部4と圧接体6とに圧接することで摩擦体5の回動軸部4と圧接体6への摩擦抵抗が増大してこの回動軸部4に回動抵抗を付与する回動抵抗機構8を備えたことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0011】
また、前記圧接体6は、前記摩擦体5を前記回動軸部4の軸方向に押圧接して摩擦体5を回動軸部4の軸方向と直交する方向に圧延変形させる構成とし、この摩擦体5の圧延変形により摩擦体5の内径が縮小し回動軸部4に圧接して摩擦抵抗が増大する前記回動抵抗機構8を構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置に係るものである。
【0012】
また、前記摩擦体5の外周部を被覆する筒状の前記圧接体6を摩擦体5に被嵌状態にして設け、この圧接体6が前記押圧機構7により摩擦体5を押圧変形させると、筒状の圧接体6の内周面に摩擦体5の外周部が接触してこの摩擦体5の外周部が外方へ膨出変形しようとすることが阻止される構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0013】
また、前記押圧機構7は、前記第一部材1に対して前記第二部材2を回動すると、前記圧接体6に対して相対回動する押圧体9を備え、この押圧体9に、圧接体6を押圧する押圧突起部9Aと圧接体6を押圧しない無押圧部9Bとを並設状態に設け、この押圧突起部9Aと無押圧部9Bとに係合する係合部6Aを圧接体6に設けて、第一部材1と第二部材2の所定の回動位置では係合部6Aが無押圧部9Bに係合して圧接体6が押圧されず、この第一部材1と第二部材2の所定の回動位置から第一部材1に対し第二部材2を回動させた所定の回動範囲では係合部6Aが前記押圧突起部9Aに係合してこの押圧突起部9Aに前記圧接体6が押圧される構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0014】
また、前記圧接体6は、前記回動軸部4に設けてこの回動軸部4に沿って前記摩擦体5に対し接離移動可能に構成すると共に、前記第二部材2若しくは前記第一部材1に回り止め状態に設け、この圧接体6に隣接状態にして前記押圧体9を回動軸部4に設けると共に、この押圧体9は回動軸部4に回り止め状態に設けて、前記第一部材1に対して前記第二部材2を回動すると前記圧接体6に対して回動軸部4と共に押圧体9が相対回動するように構成し、この際押圧体9が回動しつつ相対回動する圧接体6を押圧するように前記押圧機構7を構成したことを特徴とする請求項4記載のヒンジ装置に係るものである。
【0015】
また、互いに相対回動するカム部10とカム係合部11とを回動軸部4にスライド自在に軸支し、所定回動位置でカム係合部11とカム部10とが凹凸係合すると共に、この凹凸係合がバネ付勢されて所定回動位置がこの凹凸係合によって保持されるクリック係合機構Kを備えたヒンジ装置Hのこの回動軸部4を前記回動軸部4とし、この回動軸部4の延長部4Aに、前記押圧機構7と前記回動抵抗機構8とを設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0016】
また、前記第一部材1に重合した前記第二部材2を重合閉塞状態から起動回動して回動開放位置まで開放回動し得るヒンジ装置Hであって、この第一部材1に対して第二部材2が90度以上開放回動して開放回動する部材の自重が加わる回動範囲か若しくは回動付勢によって回動開放位置へ向かう回動範囲において、前記押圧機構7が前記圧接体6を押圧し圧接体6が前記摩擦体5を押圧変形せしめて前記摩擦抵抗が生じ、開放回動位置へと到達する際の勢いを減速させるように前記回動抵抗機構8を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0017】
また、第一部材1と第二部材2とを枢着するヒンジ装置Hであって、第一部材1若しくは第二部材2に回り止め状態に設ける軸受部3と、第二部材2若しくは第一部材1に回り止め状態に設けられて前記軸受部3に軸支する回動軸部4とから成り、この回動軸部4の外周にC状若しくはO状の摩擦体5を被嵌状態に設け、この摩擦体5に対し接離移動可能な圧接体6を備えると共に、この圧接体6は前記第二部材2若しくは前記第一部材1に回り止め状態に設け、この圧接体6を常に押圧して前記摩擦体5に圧接せしめる押圧機構7を備えて、この押圧機構7が圧接体6を押圧して圧接体6が摩擦体5を押圧変形させ、この押圧変形した摩擦体5が前記回動軸部4と圧接体6とに圧接することで摩擦体5の回動軸部4と圧接体6への摩擦抵抗が増大してこの回動軸部4に回動抵抗を付与する回動抵抗機構8を備えたことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0018】
また、操作部を設けた本体部と、ディスプレイ部を設けた重合部とを重合した重合閉塞状態から、前記重合部を相対的に起伏回動して少なくとも90度以上開放回動して回動開放位置まで到達するように、前記本体部と前記重合部とを起伏回動自在に連結するヒンジ装置Hを有し、このヒンジ装置Hは、前記本体部を前記第一部材1若しくは前記第二部材2とし、前記重合部を前記第二部材2若しくは前記第一部材1とした前記請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒンジ装置を採用したことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、所定の回動範囲で回動抵抗を得ることができ、これにより例えば全開位置近くでのみ回動抵抗を生じさせるような構成を簡易に設計実現可能となり、従って、例えば回動させる部材の自重によって回動速度が加速しようとする範囲で回動抵抗を生じさせて等速としたり減速させたりストップさせたりすることができる秀れたヒンジ装置となり、しかも、オイル式のダンパー装置を採用して回動抵抗機構を構成するような場合と異なり、本発明は、回動軸部に被嵌状態に設けたC状若しくはO状の摩擦体を押圧変形させることで摩擦回動抵抗を得る簡易構造のため、簡易に設計実現可能であると共に、故障時にオイル漏れのような不都合を生じることもないなど、極めて実用性に秀れた画期的なヒンジ装置となる。
【0020】
また、請求項2記載の発明においては、摩擦体による回動軸部への摩擦抵抗が一層効果的に生じる極めて実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0021】
また、請求項3記載の発明においては、摩擦体による圧接体への摩擦抵抗が一層効果的に生じる極めて実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0022】
また、請求項4記載の発明においては、押圧機構を簡易に設計実現可能となる一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0023】
また、請求項5記載の発明においては、第一部材に対する第二部材の回動に連動して確実に押圧機構が圧接体を押圧する構成を簡易に設計実現可能となる一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0024】
また、請求項6記載の発明においては、クリック係合機構と組み合わせた構成となり、例えば全開位置でクリック係合する場合、その前範囲でこの回動抵抗を生じさせるように構成でき、しかもこのクリック係合機構を備えたヒンジ装置の回動軸部の延長部に押圧機構と回動抵抗機構とを設けたため、クリック係合機構に大きな設計変更を要することなく本発明を容易に実現実現可能となるなど、一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0025】
また、請求項7記載の発明においては、第一部材に対して第二部材が90度以上開放回動して開放回動する部材の自重が加わる回動範囲か若しくは回動付勢によって回動開放位置へ向かう回動範囲でブレーキをかけて、開放回動位置へと到達する際の勢いを減速させることができる一層実用性に秀れた構成のヒンジ装置となる。
【0026】
また、請求項8記載の発明においては、上述のように構成したから、全ての回動範囲で回動抵抗を得ることができ、これにより例えば全回動範囲でのフリーストップ構造や緩い回動抵抗を生じる構造を簡易に設計実現可能となり、しかも、オイル式のダンパー装置を採用して回動抵抗機構を構成するような場合と異なり、本発明は、回動軸部に被嵌状態に設けたC状若しくはO状の摩擦体を押圧変形させることで摩擦回動抵抗を得る簡易構造のため、簡易に設計実現可能であると共に、故障時にオイル漏れのような不都合を生じることもないなど、極めて実用性に秀れた画期的なヒンジ装置となる。
【0027】
また、請求項9記載の発明においては、前記作用・効果を発揮する極めて実用性に秀れた画期的なヒンジ装置を用いた電子機器となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0029】
請求項1記載の発明の場合を説明する。
【0030】
第一部材1に対して第二部材2を回動すると、軸受部3に対して回動軸部4が回動するが、この際、第一部材1に対する第二部材2の所定の回動範囲では、押圧機構7が圧接体6を押圧して圧接体6が回動軸部4に被嵌状態に設けた摩擦体5を押圧変形させ、この押圧変形した摩擦体5が前記回動軸部4に圧接して摩擦体5と回動軸部4との摩擦抵抗が増大する。
【0031】
また、この際、圧接体6は前記第二部材2若しくは前記第一部材1と共に回動するが、この圧接体6が摩擦体5に圧接していることで摩擦体5と圧接体6との摩擦抵抗も増大する。
【0032】
そのため、この回動軸部4にも圧接体6にも圧接して摩擦抵抗を生じている摩擦体5により、回動軸部4に摩擦回動抵抗が付与されることになる。
【0033】
従って、押圧機構7が圧接体6を押圧する回動位置を設定すれば、回動抵抗が生じる位置や回動範囲を所望したように設定できる。
【0034】
このように本発明は、所定の回動範囲で回動抵抗を生じさせることが容易に実現可能で、例えば、第一部材1と第二部材2とを本ヒンジ装置Hで枢着し、第一部材1に重合した第二部材2を重合閉塞状態から起伏回動して回動開放位置まで開放回動し得るように構成した場合に、この第一部材1に対して第二部材2が90度以上開放回動して開放回動する部材の自重が加わってあるいは回動付勢によって勢い良く開こうとする回動範囲で摩擦抵抗(回動抵抗)を生じさせて開放回動位置へと到達する際の勢いを減速させてゆっくりと開くような、扱い易い動きを実現できる。
【0035】
また、本発明は、回動軸部4に被嵌状態に設けたC状若しくはO状の摩擦体5を押圧変形させることで摩擦回動抵抗を得る簡易構造のため、簡易に設計実現可能であり、しかも、オイル式のダンパー装置を採用して回動抵抗機構を構成するような場合と異なり、故障時にオイル漏れのような不都合を生じることがなく、非常に実用的である。
【0036】
請求項8記載の発明の場合を説明する。
【0037】
本発明は、押圧機構7が圧接体6を常に押圧して圧接体6が回動軸部4に被嵌状態に設けた摩擦体5を押圧変形させているため、この押圧変形した摩擦体5が前記回動軸部4に圧接して摩擦体5と回動軸部4との摩擦抵抗が増大している。
【0038】
また、圧接体6は前記第二部材2若しくは前記第一部材1と共に回動するが、この圧接体6が摩擦体5に圧接していることで摩擦体5と圧接体6との摩擦抵抗も増大している。
【0039】
そのため、第一部材1に対して第二部材2を回動すると、軸受部3に対して回動軸部4が回動するが、この際、回動軸部4にも圧接体6にも圧接して摩擦抵抗を生じている摩擦体5により、回動軸部4には常に摩擦回動抵抗が付与されることになる。即ち、本発明では、第一部材1と第二部材2との全ての回動範囲で回動抵抗を生じていることになる。
【0040】
このように本発明は、全ての回動範囲で回動抵抗を生じさせることが容易に実現可能で、この回動抵抗の強さ(度合い)の設定により、例えば、第一部材1と第二部材2との全ての回動範囲において、第一部材1若しくは第二部材2の自重にも抗し得る回動抵抗を生じさせて手を放した位置で停止する所謂フリーストップを実現できたり、第一部材1と第二部材2との全ての回動範囲で緩い回動抵抗を生じさせてゆっくりと回動するような高級感のある動きを実現できる。
【0041】
また、本発明は、回動軸部4に被嵌状態に設けたC状若しくはO状の摩擦体5を押圧変形させることで摩擦回動抵抗を得る簡易構造のため、簡易に設計実現可能であり、しかも、オイル式のダンパー装置を採用して回動抵抗機構を構成するような場合と異なり、故障時にオイル漏れのような不都合を生じることがなく、非常に実用的である。
【実施例1】
【0042】
本発明の具体的な実施例1について図1〜図10に基づいて説明する。
【0043】
本実施例は、図1に示すような折り畳み式の携帯電話のヒンジ装置Hに適用した場合であり、操作部を設けた本体部を第二部材2とし、ディスプレイ部を設けた重合部を第一部材1とし、この本体部と重合部との端部同志をヒンジ装置Hで枢着して、本体部に重合部を重合閉塞した状態から、重合部を略180度起伏回動して回動開放位置(全開位置)まで開放回動し得るように構成している(図10参照。)。
【0044】
本実施例のヒンジ装置Hは、互いに相対回動するカム部10とカム係合部11とを回動軸部4にスライド自在に軸支し、所定回動位置でカム係合部11とカム部10とが凹凸係合すると共に、この凹凸係合がバネ付勢されて所定回動位置がこの凹凸係合によって保持されるクリック係合機構Kを備えている。
【0045】
また、このクリック係合機構Kは、回動軸部4を軸受する軸受部3に設けている。
【0046】
具体的には、軸受部3は、図3に示すように第一部材1の取付孔13に回り止め状態に挿入固定して回動軸部4を軸支するケース体14に、軸受孔11Aを備えたカム係合部11をこのケース体14に回り止め状態にして設けると共に、このカム係合部11の軸受孔11Aに回動軸部4を通してこのカム係合部11をケース体14内で回動軸部4に沿ってスライド移動自在に設けた構成としている。
【0047】
また、カム部10を前記回動軸部4の先端部(一端部)に一体に設けると共に、このカム部10と前記カム係合部11とを対向状態に設け、更に、回動軸部4に挿通しているカム係合部11は、ケース体14内に内装したカム係合付勢バネ15により付勢されて前記カム部10に所定回動位置で凹凸係合するように構成している。また、このカム部10を設けた回動軸部4が第二部材2に回り止めされるように構成している。
【0048】
また、このカム部10とカム係合部11との凹凸係合位置は、本実施例では第二部材2に対して第一部材1が全開した位置(例えば170度開放回動位置)と、閉じ位置を例えば10度すぎた180度位相が異なる位置とで凹凸係合するようにし、全開位置で係合クリックし、閉じ位置では凹凸係合途中となって閉じ付勢が生じるようにしている。
【0049】
また、本実施例のクリック係合機構Kは、カム部10とカム係合部11とのカム係合形状の設定により、第二部材2に対し第一部材1を40度程開放回動したところでカム部10がカム係合部11に係合しはじめてその後は手を放してもカム係合付勢バネ15の付勢力により自動的に全開位置まで回動し、逆に閉じる時は、第二部材2に対し第一部材1を30度程の位置まで閉じたところでカム部10がカム係合部11に係合しはじめてその後は手を放してもカム係合付勢バネ15の付勢力により自動的に閉塞位置まで回動することになる構成としている。
【0050】
本実施例では、この第一部材1と第二部材2とを枢着するヒンジ装置Hに回動抵抗機構8を設けて、開放回動時の全開位置前範囲に回動抵抗を生じさせる構成としている。
【0051】
即ち、このクリック係合機構Kのカム係合付勢バネ15による係合付勢によって凹凸係合位置以外でも常に少なからず回動抵抗が生じているが、これだけでは重合部を回動させる場合の自重が回動方向に加わる90度をすぎた回動範囲では、この自重が大きいと回動速度が許容以上となることがあるため、全開位置前ではこれとは別に新たに大きな回動抵抗を生じさせる回動抵抗機構8を備えた構成としている。
【0052】
具体的には、前記回動軸部4の他端側の外周に弾性を有するO状の摩擦体5を被嵌状態に設け、この摩擦体5に対し接離移動可能な圧接体6を備えると共に、この圧接体6は前記第一部材1に回り止め状態に設け、前記第一部材1に対して前記第二部材2を回動すると、前記圧接体6を押圧して前記摩擦体5に圧接せしめる押圧機構7を備えて、第一部材1に対する第二部材2の所定の回動範囲でこの押圧機構7が圧接体6を押圧して圧接体6が摩擦体5を押圧変形させ、この押圧変形した摩擦体5が前記回動軸部4に圧接することで摩擦体5の回動軸部4への摩擦抵抗が増大してこの回動軸部4に回動抵抗を付与する回動抵抗機構8を備えている。
【0053】
更に具体的には、図4〜図6に示すように、ヒンジ装置Hの回動軸部4を延長した設計としてケース体14より回動軸部4の他端部の延長部4Aを突設し、この延長部4Aの途中部に前記摩擦体5を支承する円板状の支承部12を設け、この支承部12より延長部4A先端側にゴム製のOリングを採用した摩擦体5を三体被嵌状態にして配設している。また、最も支承部12側に位置する摩擦体5を支承部12に当接支承すると共に、各摩擦体5を互いに密接状態にして配設している。
【0054】
また、この各摩擦体5の外周部を被覆し得る有底円筒状であって、底部に相当する部位に前記回動軸部4の延長部4Aを挿通軸支する挿通孔6Cを有する圧接体6を、この挿通孔6Cと反対側の開口部を摩擦体5側に向けて延長部4Aの先端部(他端部)から配設して挿通孔6Cを延長部4Aにスライド自在に軸支することで各摩擦体5に被嵌状態にして設け、図7に示すように、この圧接体6がケース体14側に向かって移動すると、各摩擦体5がこの圧接体6と前記支承部12とにより挟持押圧されて各摩擦体5が回動軸部4の軸方向と直交する方向に圧延変形し、この際、筒状の圧接体6の周壁部6Dの内周面に摩擦体5の外周部が接触してこの摩擦体5の外周部が外方へと膨出変形しようとすることが阻止され(摩擦体5が外方へ逃げて回動軸部4に強く圧接しなくなることが阻止され)、これにより各摩擦体5の内径が確実に縮小するように変形して各摩擦体5の内周部が回動軸部4に圧接し摩擦抵抗を増大する構成としている。
【0055】
また、この際、各摩擦体5の外周部が圧接体6の周壁部6Dの内周面に圧接することとなってこの各摩擦体5の外周部と圧接体6の周壁部6Dの内周面とにも摩擦抵抗が生じ、更に両側に位置する摩擦体5が、支承部12と圧接体6の底部に相当する部位の内面とに圧接して摩擦抵抗を生じ、これにより各摩擦体5が回動軸部4と共に簡単に回動してしまうことなく、回動軸部4に対して確実に摩擦回動抵抗を付与する構成としている。
【0056】
また、この圧接体6は、前記第一部材1に回り止め状態に取付する構成として、この圧接体6が前記ケース体14(カム係合部11)と共に回動軸部4に対し相対回動する構成としている。更に具体的には、圧接体6の周壁部6Dの外周面に係合凸部6Eを一体に突設する一方、この圧接体6が取付される第一部材の取付孔13に係合凸部6Eを係合する凹部13Aを設けて、圧接体6を取付孔13に挿入取付した際に、係合凸部6Eを凹部13Aに係合すると、圧接体6が第一部材に対して回り止め状態となる構成としている(図9参照。)。
【0057】
また、回動軸部4の延長部4Aの先端部に押圧体9を一体に設けて、この押圧体9を圧接体6より延長部4Aの先端側に配置し、第一部材1に対して第二部材2を回動させると、これに伴って押圧体9と圧接体6とが相対回動するように構成している。
【0058】
また、この押圧体9に、圧接体6を押圧する押圧突起部9Aと圧接体6を押圧しない無押圧部9Bとを並設状態に設け、この押圧突起部9Aと無押圧部9Bとに係合する係合部6Aを圧接体6に設けて、第一部材1と第二部材2の所定の回動位置では係合部6Aが無押圧部9Bに係合して圧接体6が押圧されず、この第一部材1と第二部材2の所定の回動位置から第一部材1に対し第二部材2を回動させた所定の回動範囲では係合部6Aが前記押圧突起部9Aに係合してこの押圧突起部9Aに前記圧接体6が押圧されることになる前記押圧機構7を構成している。
【0059】
即ち、第一部材1と第二部材2の所定の回動位置から第一部材1に対し第二部材2を回動させた所定の回動範囲で、押圧機構7により圧接体6が摩擦体5に圧接して摩擦体5が押圧変形することによる摩擦回動抵抗(ブレーキ)が回動軸部4に生じ、これにより第一部材1に対する第二部材2の回動に抵抗が生じるようにしている。
【0060】
そして、本実施例では、第一部材1に対して第二部材2が90度以上開放回動して開放回動する部材の自重が加わる回動範囲において、前記押圧機構7(押圧体9)が前記圧接体6を押圧し圧接体6が前記摩擦体5を押圧変形せしめて前記摩擦抵抗が生じ、開放回動位置へと到達する際の勢いを減速させるように、前記押圧突起部9Aと無押圧部9Bとの並設位置関係並びに係合部6Aの形成位置とを設定構成している。
【0061】
更に具体的には、押圧体9は、図8に示すように、やや厚みのある円盤状体に構成し、この押圧体9の圧接体6側に配する側面に、平坦面部を形成してこの平坦面部を前記無押圧部9Bとし、この無押圧部9Bと押圧体9の円周方向に並設状態にして、無押圧部9Bから徐々に上り傾斜する傾斜面を形成してこの傾斜面部を前記押圧突起部9Aとしている。
【0062】
また、この並設する無押圧部9Bと押圧突起部9Aとの一組が押圧体9の中心を境にした対向位置に存するように構成すると共に、無押圧部9Bと押圧突起部9Aとを押圧体9の中心を中心とする約90度範囲に形成した構成としている。
【0063】
一方、図9に示すように、前記圧接体6の押圧体9側の側面に、この対向側面の中心位置を境にした対向位置に突起部を形成してこの突起部を前記係合部6Aとし、この対向位置に存する係合部6A間の円周方向には、凹所6Bが形成される構成としている。
【0064】
このように構成した押圧機構7の作動を説明すると、第一部材1に対して第二部材2を重合閉塞した状態(0度の状態)から第一部材1を90度程起動するまでの回動範囲では、係合部6Aが無押圧部9Bに係合すると共に、前記凹所6Bに押圧突起部6Aが位置して圧接体6が押圧されない(回動抵抗は付与されない。)。
【0065】
引き続いて、90度起こされた第一部材1を90度以上倒すように伏動回動させると、係合部6Aが押圧突起部6Aに乗り上げ係合してこの押圧突起部6Aの傾斜面を上るように摺動し、これにより徐々に圧接部6がケース体14側へと押動されて前記摩擦体5が押圧変形していき、前記したように回動軸部4に摩擦回動抵抗が生じる。
【0066】
この際、本実施例の押圧突起部9Aは、押圧体9の円周方向に沿って徐々に突出度合いが大きくなる(高くなる)傾斜面形状に形成してあるため、第一部材1に対する第二部材2の開放回動角度を大きくさせるにしたがって次第にブレーキ作用(摩擦抵抗)が強くなる構成である。
【0067】
尚、本実施例の回動抵抗機構8は、摩擦体5の使用本数や材質の設定変更によりブレーキ効果(摩擦度合い)をコントロールすることが可能であり、また、同様に押圧体9の押圧突起部9Aの高さ(突出度合い)や突出角度の設定変更によりブレーキ効果をコントロールすることが可能である。
【0068】
また、摩擦体5の周辺にグリスを塗布し、このグリスの硬さを変更することによってブレーキ効果をコントロールすることも可能である。
【0069】
また、本実施例の回動抵抗機構8は、摩擦体5に側方から圧力を加え、この圧力方向と直交する方向に摩擦体5を圧延変形させて摩擦体5の内周部を回動軸部4に圧接させる構成のため、一般的なオイル式のダンパー装置のように各部品を非常に精度が高いものとせずとも、ダンパー(ブレーキ)効果のばらつきが部品精度の影響を受けにくいという利点もある。
【0070】
図中符号16は座金、17はカム部10を回動軸部4に回り止め状態に固定するための固定ピン、18は押圧体9を回動軸部4に回り止め状態に固定するための固定ピンである。
【0071】
尚、本実施例では、第一部材1を第二部材2に対して90度以上開放回動した時に回動軸部4に摩擦抵抗が生じる構成とした場合を示しているが、例えば、押圧機構7を構成する押圧体9の形状を設計変更することにより、第一部材1と第二部材2に対して閉塞する前の回動範囲で摩擦抵抗が生じるような構成とすることも容易にできるし、開放回動時と閉塞回動時の双方において摩擦抵抗が生じるように構成することも容易にできる。
【実施例2】
【0072】
本発明の具体的な実施例2について図11〜図12に基づいて説明する。
【0073】
本実施例のヒンジ装置Hは、第一部材1と第二部材2との全ての回動範囲において、回動抵抗機構8による回動摩擦抵抗が生じるように構成した場合である。
【0074】
具体的には、前記実施例1において、押圧機構7の構成を異ならせることで第一部材1と第二部材2との全ての回動範囲において、回動抵抗機構8による回動摩擦抵抗が生じるように構成している。
【0075】
更に具体的には、押圧体9に押圧突起部9Aを設けたり、圧接体6に係合部6Aや凹所6Bを設けたりすることなく、図11,図12に示すように、押圧体9と圧接体6の対向側面部をいずれも平坦面として夫々が摺動自在に面接当接する構成としている。
【0076】
また、本実施例の押圧体9は、実施例1のそれよりも厚みのある形状に形成し、これによりこの押圧体9が圧接体6を常に支承部12側へ押圧することになる前記押圧機構7を構成している。
【0077】
即ち、この押圧機構7により摩擦体5が常に押圧変形した状態となって第一部材1と第二部材2の全ての回動範囲で回動軸部4に回動摩擦抵抗が生じる前記回動抵抗機構8を構成している。
【0078】
また、本実施例は、押圧体9による圧接体6の押圧度合いを、前記実施例1での最大押圧時よりやや小さい押圧度合いとなるように押圧体9の厚みを設定構成し、これにより強い回動抵抗ではなく、常に緩やかな回動抵抗が生じるように構成した場合を示している(図12参照。)。
【0079】
その他の構成は、前記実施例1と同様であるので、図面に同符号を付すことで詳しく説明することは省略する。
【0080】
尚、本発明は、実施例1,実施例2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0081】
例えば、実施例1,実施例2の摩擦体5は、ゴム製のOリングを採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、弾性を有して変形する素材(例えばシリコンなど)製のものであれば何でも良い。
【0082】
また、ワンプッシュオープン機構付のヒンジ装置Hを採用して前記回動抵抗機構8を設ける構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施例1の説明斜視図である。
【図2】実施例1のヒンジ装置を示す説明斜視図である。
【図3】実施例1のヒンジ装置の説明分解斜視図である。
【図4】実施例1の閉塞時のヒンジ装置の作動を示す説明断面図である。
【図5】実施例1の開放回動途中時のヒンジ装置の作動を示す説明断面図である。
【図6】実施例1の開放時のヒンジ装置の作動を示す説明断面図である。
【図7】実施例1の回動抵抗機構の作動を示す拡大説明図である。
【図8】実施例1の押圧体を示す拡大説明図である。
【図9】実施例1の圧接体の押圧機構部分を示す拡大説明図である。
【図10】実施例1の開放回動時の作動説明図である。
【図11】実施例2の閉塞時のヒンジ装置を示す説明断面図である。
【図12】実施例2の回動抵抗機構を示す拡大説明図である。
【符号の説明】
【0084】
1 第一部材
2 第二部材
3 軸受部
4 回動軸部
4A 延長部
5 摩擦体
6 圧接体
6A 係合部
7 押圧機構
8 回動抵抗機構
9 押圧体
9A 押圧突起部
9B 無押圧部
10 カム部
11 カム係合部
H ヒンジ装置
K クリック係合機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と第二部材とを枢着するヒンジ装置であって、第一部材若しくは第二部材に回り止め状態に設ける軸受部と、第二部材若しくは第一部材に回り止め状態に設けられて前記軸受部に軸支する回動軸部とから成り、この回動軸部の外周にC状若しくはO状の摩擦体を被嵌状態に設け、この摩擦体に対し接離移動可能な圧接体を備えると共に、この圧接体は前記第二部材若しくは前記第一部材に回り止め状態に設け、前記第一部材に対して前記第二部材を回動すると、前記圧接体を押圧して前記摩擦体に圧接せしめる押圧機構を備えて、第一部材に対する第二部材の所定の回動範囲でこの押圧機構が圧接体を押圧して圧接体が摩擦体を押圧変形させ、この押圧変形した摩擦体が前記回動軸部と圧接体とに圧接することで摩擦体の回動軸部と圧接体への摩擦抵抗が増大してこの回動軸部に回動抵抗を付与する回動抵抗機構を備えたことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記圧接体は、前記摩擦体を前記回動軸部の軸方向に押圧接して摩擦体を回動軸部の軸方向と直交する方向に圧延変形させる構成とし、この摩擦体の圧延変形により摩擦体の内径が縮小し回動軸部に圧接して摩擦抵抗が増大する前記回動抵抗機構を構成したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記摩擦体の外周部を被覆する筒状の前記圧接体を摩擦体に被嵌状態にして設け、この圧接体が前記押圧機構により摩擦体を押圧変形させると、筒状の圧接体の内周面に摩擦体の外周部が接触してこの摩擦体の外周部が外方へ膨出変形しようとすることが阻止される構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記押圧機構は、前記第一部材に対して前記第二部材を回動すると、前記圧接体に対して相対回動する押圧体を備え、この押圧体に、圧接体を押圧する押圧突起部と圧接体を押圧しない無押圧部とを並設状態に設け、この押圧突起部と無押圧部とに係合する係合部を圧接体に設けて、第一部材と第二部材の所定の回動位置では係合部が無押圧部に係合して圧接体が押圧されず、この第一部材と第二部材の所定の回動位置から第一部材に対し第二部材を回動させた所定の回動範囲では係合部が前記押圧突起部に係合してこの押圧突起部に前記圧接体が押圧される構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記圧接体は、前記回動軸部に設けてこの回動軸部に沿って前記摩擦体に対し接離移動可能に構成すると共に、前記第二部材若しくは前記第一部材に回り止め状態に設け、この圧接体に隣接状態にして前記押圧体を回動軸部に設けると共に、この押圧体は回動軸部に回り止め状態に設けて、前記第一部材に対して前記第二部材を回動すると前記圧接体に対して回動軸部と共に押圧体が相対回動するように構成し、この際押圧体が回動しつつ相対回動する圧接体を押圧するように前記押圧機構を構成したことを特徴とする請求項4記載のヒンジ装置。
【請求項6】
互いに相対回動するカム部とカム係合部とを回動軸部にスライド自在に軸支し、所定回動位置でカム係合部とカム部とが凹凸係合すると共に、この凹凸係合がバネ付勢されて所定回動位置がこの凹凸係合によって保持されるクリック係合機構を備えたヒンジ装置のこの回動軸部を前記回動軸部とし、この回動軸部の延長部に、前記押圧機構と前記回動抵抗機構とを設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項7】
前記第一部材に重合した前記第二部材を重合閉塞状態から起動回動して回動開放位置まで開放回動し得るヒンジ装置であって、この第一部材に対して第二部材が90度以上開放回動して開放回動する部材の自重が加わる回動範囲か若しくは回動付勢によって回動開放位置へ向かう回動範囲において、前記押圧機構が前記圧接体を押圧し圧接体が前記摩擦体を押圧変形せしめて前記摩擦抵抗が生じ、開放回動位置へと到達する際の勢いを減速させるように前記回動抵抗機構を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項8】
第一部材と第二部材とを枢着するヒンジ装置であって、第一部材若しくは第二部材に回り止め状態に設ける軸受部と、第二部材若しくは第一部材に回り止め状態に設けられて前記軸受部に軸支する回動軸部とから成り、この回動軸部の外周にC状若しくはO状の摩擦体を被嵌状態に設け、この摩擦体に対し接離移動可能な圧接体を備えると共に、この圧接体は前記第二部材若しくは前記第一部材に回り止め状態に設け、この圧接体を常に押圧して前記摩擦体に圧接せしめる押圧機構を備えて、この押圧機構が圧接体を押圧して圧接体が摩擦体を押圧変形させ、この押圧変形した摩擦体が前記回動軸部と圧接体とに圧接することで摩擦体の回動軸部と圧接体への摩擦抵抗が増大してこの回動軸部に回動抵抗を付与する回動抵抗機構を備えたことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項9】
操作部を設けた本体部と、ディスプレイ部を設けた重合部とを重合した重合閉塞状態から、前記重合部を相対的に起伏回動して少なくとも90度以上開放回動して回動開放位置まで到達するように、前記本体部と前記重合部とを起伏回動自在に連結するヒンジ装置を有し、このヒンジ装置は、前記本体部を前記第一部材若しくは前記第二部材とし、前記重合部を前記第二部材若しくは前記第一部材とした前記請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒンジ装置を採用したことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−275081(P2008−275081A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119899(P2007−119899)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】