説明

ヒンジ装置及びそのヒンジ装置を用いた機器

【課題】開閉軸を備えるヒンジ装置について、組み立て工数の削減にある。
【解決手段】部材間の開閉に用いられる開閉軸(4)を備えるヒンジ装置(2)に関し、前記開閉軸は第1の開閉軸部(14)と、この第1の開閉軸部と同一中心軸上に設置される第2の開閉軸部(16)とを有しており、各開閉軸部間を第1及び第2の突片(22、24)を用いて連結する構成であり、各突片は互いの固定部(固定基部32、33)との噛み合わせにより連結する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材間を連結し、各部材の開閉や部材の回転等の交差する軸を中心とした2軸操作を可能にしたヒンジ機構に関し、特に、開閉軸と回転軸を直交させたヒンジ装置及びそのヒンジ装置を用いた機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルカメラ等の機器では、筐体部とモニタ部とを連結するヒンジ装置が設置され、このヒンジ装置は、筐体部とモニタ部との開閉操作やモニタ部の回動操作を実現している。このようなヒンジ装置には、機器の仕様や一定角度で停止できる等の機能を実現するため、例えば、各軸に独立した回転角度を規制する機能を有すること、各軸に一定の摺動回転トルクの発生機能を有すること、各軸に一定角度の位置で回転抵抗を生じるクリック感発生機能を有すること等が求められている。
【0003】
このようなヒンジ装置に関し、特許文献1には、開閉軸によって開閉可能に支持されるベース部材が設置され、このベース部材に開閉軸と直交方向に回転軸が支持された構造が開示されている。また、特許文献2には、シャフトに回転可能にベースが取り付けられ、このベースに前記シャフトと直交方向にメインシャフトを取り付けた構造が開示されている。
【特許文献1】特開2003−166522号公報(要約、図1等)
【特許文献2】特開2005−155779号公報(段落番号0015、0016、図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたヒンジ装置では、ベース部材に加締めによって取り付けられた回転軸の位置精度によっては、回転軸の回転にぶれが生じるおそれがある。ベース部材に形成した透孔の一点で回転軸を支持することは、支持強度が低下するので、この対策として、回転軸を二ヶ所以上で支持すれば、回転軸のぶれを抑制できるが、その分だけ、部品点数の増加を来すことになる。
【0005】
特許文献2は、回転軸を二ヶ所以上で支持したものであるが、このような構造では、部品点数が多く、さらに各部品の加工精度を高めることが必要であり、各部品の製造コスト及び組立工数が煩雑になれば、ヒンジ装置のコストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、開閉軸を備えるヒンジ装置について、組み立て工数の削減にある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、開閉軸を備えるヒンジ装置について、簡易な構成で汎用性の向上を図ることにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、斯かるヒンジ装置を用いた機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、部材間の開閉に用いられる開閉軸を備えるヒンジ装置に関し、前記開閉軸は第1の開閉軸部と、この第1の開閉軸部と同一中心軸上に設置される第2の開閉軸部とを有しており、各開閉軸部間を第1及び第2の突片を用いて連結する構成であり、各突片は互いの固定部との噛み合わせにより連結する構成である。
【0010】
そこで、上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、開閉軸を備えるヒンジ装置であって、 前記開閉軸が第1の開閉軸部と、この第1の開閉軸部と同一中心軸上に設置される第2の開閉軸部とを有し、前記第1の開閉軸部にその中心軸から変位させて第1の突片を突設し、前記第2の開閉軸部に前記中心軸から変位させて第2の突片を突設し、前記第1の突片の固定部に前記第2の突片を噛み合わせて連結し、前記第2の突片の固定部に前記第1の突片を噛み合わせて連結する連結部を備える構成である。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【0011】
上記目的を達成するためには、上記ヒンジ装置において、好ましくは、前記第1の突片と前記第2の突片との間に設置された軸受部を備え、この軸受部に前記開閉軸と交差方向に回転軸が支持された構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0012】
上記目的を達成するためには、上記ヒンジ装置において、好ましくは、前記第1の突片と前記第2の突片とを同一形状に形成する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0013】
また、本発明の第2の側面は、第1の部材と第2の部材とを備え、これら第1の部材と第2の部材とを連結するヒンジ装置を用いた機器であって、前記ヒンジ装置に開閉軸を備え、該開閉軸が第1の開閉軸部と、この第1の開閉軸部と同一中心軸上に設置される第2の開閉軸部とを有し、前記第1の開閉軸部にその中心軸から変位させて第1の突片を突設し、前記第2の開閉軸部に前記中心軸から変位させて第2の突片を突設し、前記第1の突片の固定部に前記第2の突片を噛み合わせて連結し、前記第2の突片の固定部に前記第1の突片を噛み合わせて連結する連結部を備える構成である。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果が得られる。
【0015】
(1) 第1及び第2の開閉軸部は、第1及び第2の突片で連結される構造であり、一つ一つの部品の加工コストを安価なものとすることができ、また、各構成部分を板金加工によって作製することができる。
【0016】
(2) 第1及び第2の開閉軸部は第1及び第2の突片で連結され、各突片は固定部との噛み合わせによって結合されるので、組み立て工数を削減でき、組み立ての迅速化とともに、加工コストの低減を図ることができる。
【0017】
(3) また、ヒンジの使用に変動があった場合でも、軸フレーム部の変更が不要であり、第1及び第2の開閉軸部の長さ調整で対応でき、しかも、構成部分を共通化することができ、その共通化等により製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔第1の実施の形態〕
【0019】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、ヒンジ装置を示す斜視図である。
【0020】
このヒンジ装置2には、開閉軸4と、この開閉軸4と直交方向に取り付けられた回転軸6とを備える。開閉軸4は、軸受部8、10によって支持され、回転軸6には支持フレーム部12が取り付けられている。軸受部8、10のそれぞれにはヒンジ装置2が設置される筐体部等に取り付けるための取付孔11が形成され、支持フレーム部12にも複数の取付孔13が形成されている。
【0021】
開閉軸4は、第1の開閉軸部14と、この第1の開閉軸部14と同一中心軸上に設置される第2の開閉軸部16とを備えており、これら開閉軸部14、16は軸フレーム部18を介在させて連結され、回転軸6は軸フレーム部18にある軸受部20(図2)によって回転可能に支持されている。
【0022】
ヒンジ装置2の各部材について、図2を参照する。軸フレーム部18は、開閉軸部14に突設された第1の突片22と、開閉軸部16に突設された第2の突片24と、これら突片22、24の間に設置された軸受部20とを備える。軸受部20は、回転軸6を上下2か所の部分で保持するため、2枚の軸受板26、28で構成されている。
【0023】
突片22はL字形の枠片であって、開閉軸部14の固定フランジ部30に当接される固定基部32と、この固定基部32からL字形に屈曲させて突出するアーム部34とを備えている。固定基部32には固定孔36、係止突部40が形成されている。固定孔36には、固定フランジ部30の中央に突出させた固定突部42が挿入され、固定突部42の加締めによって、突片22が開閉軸部14に固定される。即ち、アーム部34は、開閉軸部14の中心軸より半径方向に変位して突設されている。アーム部34には、係止突部46、48が形成されている。
【0024】
突片24は突片22と同様にL字形の枠片であって、開閉軸部16の固定フランジ部31に当接される固定基部33と、この固定基部33からL字形に屈曲させて突出するアーム部35とを備えている。このアーム部35は、突片22のアーム部34より厚く形成されてもよい。固定基部33には固定孔37、係止突部41が形成されている。固定孔37には、固定フランジ部31の中央に突出させた固定突部43が挿入され、固定突部43の加締めによって、突片24が開閉軸部16に固定される。即ち、アーム部35は、開閉軸部16の中心軸より半径方向に変位して突設され、アーム部34と平行に配置される。
【0025】
アーム部35には、係止突部47、係止突部を兼ねるストッパ部49が形成されている。ストッパ部49には回転軸6側のストッパリング50のストッパ爪51が当たり、回転軸6の回転を阻止する。
【0026】
そこで、開閉軸部14と開閉軸部16との連結について、図3を参照する。図3のAは、連結前の開閉軸部を示す図、図3のBは、連結後の開閉軸を示す図である。
【0027】
図3のAに示すように、開閉軸部14と開閉軸部16との連結には、突片22、24に形成された連結部44、45が用いられ、突片22の固定基部32には、突片24とを連結する連結部44の噛合せ凹部442が形成され、突片24の固定基部33には、突片22とを連結する連結部45の噛合せ凹部452が形成されている。突片22の先端側には噛合せ凹部452に対応する噛合せ凹部454が形成され、また、突片24の先端側には噛合せ凹部442に対応する噛合せ凹部444が形成されている。突片22の噛合せ凹部442、454の幅は突片24の素材の厚さに対応し、突片24の噛合せ凹部452、444の幅は突片22の素材の厚さに対応し、両者の噛合せにより強固に結合される関係にある。
【0028】
そこで、図3のBに示すように、開閉軸部14側に固定された突片22の固定基部32にある噛合せ凹部442に突片24の噛合せ凹部444が噛合わされ、開閉軸部16側に固定された突片24の固定基部33にある噛合せ凹部452に突片22の噛合せ凹部454が噛合わされることにより、開閉軸部14、16が突片22、24の連結部44、45によって連結される。このような連結構造によれば、突片22、24の連結位置が噛合せ凹部442、444、452、454で決定されるとともに、噛合せ凹部442、444間の噛合せ、噛合せ凹部452、454間の噛合せにより強固に連結され、しかも、加締め等の機械加工を伴うことなく、噛合せによる操作で組み立てることができ、組み立て工数の削減と組み立て時間の短縮を図ることができる。
【0029】
そして、このように平行に配置され且つ連結された突片22、24の上側には軸受部20の軸受板26が設置され、突片22、24の下側には軸受板28が設置されている。軸受板26、28には回転軸6を支持する軸受孔52がそれぞれ形成され、軸受板26には係止突部46、47に対応する係止凹部54、56が形成されるとともに、係止突部40を挟み込む係止爪58、係止突部41を挟み込む係止爪60が形成されている。また、軸受板28には係止突部48、ストッパ部49に対応する係止凹部55、57が形成されている。そこで、突片22の係止突部40に係止爪58を係合させ、係止突部46に係止凹部54を係合させるとともに、突片24の係止突部47に係止凹部56を係合させ、また、係止突部41に係止爪60を係合させることにより、突片22、24の上側に軸受板26を合体させ、また、突片22の係止突部48に係止凹部55を係合させ、突片24のストッパ部49に係止凹部57を係合させることにより、突片22、24の下側に軸受板28を合体させ、これら突片22、24と軸受板26、28とを以て直方体状の軸フレーム部18が構成される。
【0030】
この軸フレーム部18の軸受部20には、回転軸6が回転可能に支持され、回転軸6には軸フレーム部18の下側に配置されるストッパリング50が取り付けられる。ストッパリング50には、回転軸6を貫通させるとともに、回転軸6と一体化するための貫通孔62が形成されている。
【0031】
軸フレーム部18の上側に突出させた回転軸6には、軸受板26の上面に設置されたバネ板64を介在させてカム板66が取り付けられている。バネ板64は、固定爪68、70を備えており、各固定爪68、70に対応する軸受板26の溝部72、74に挿入させて軸受板26に固定されている。バネ板64には、回転軸6を貫通するための貫通孔76、この貫通孔76を挟んで突部78、80が形成されている。カム板66は、中央に形成した貫通孔82に回転軸6が固定され、回転軸6とともに回転する。カム板66には貫通孔82を挟んで周縁方向に開放されたU字形の切欠部84、86が形成されている。これら切欠部84、86はバネ板64の突部78、80に対応し、それぞれの位置が一致したときに係合し、これらの位置が不一致である区間では、突部78、80がカム板66の下面側に接触し、適当な摩擦トルクを生じさせる。
【0032】
回転軸6の下端部は、図4に示すように、支持フレーム部12の固定孔88に挿入されて固定される。また、この回転軸6と直交方向に設置される開閉軸部14、16について、開閉軸部14には軸受部8の軸受孔90に回転可能に支持させる軸部92が形成され、この軸部92を軸受孔90に貫通させて支持させるとともに、軸部92の先端部には抜け止め94が取り付けられる。また、開閉軸部16には軸受部10の軸受孔91に回転可能に支持させる軸部93が形成され、この軸部93を軸受孔91に貫通させて支持させるとともに、軸部93の先端部には抜け止め95が取り付けられる。
【0033】
また、開閉軸部16は、開閉軸部14より細く形成されたスライド軸部96と、径大部98が形成され、スライド軸部96の一部を切削する等して、フラット面部100が形成されている。径大部98にはスライドカム機構102のコイルばね104が固定され、スライド軸部96にはスライドカム106が摺動可能に取り付けられ、軸受部10には固定カム108が取り付けられている。スライドカム106にはスライド軸部96の断面形状と相似形の摺動孔110が形成され、固定カム108と対向する面部には突部112と凹部114とが形成されている。また、固定カム108には、軸受部10の固定溝116に挿入して固定される固定突部118が形成されているとともに、スライド軸部96を回転させるための円孔120が形成され、スライドカム106と対向する面部にはスライドカム106の突部112、凹部114と互いに噛み合う突部122、凹部124が形成されている。
【0034】
このように開閉軸部14、16からなる開閉軸4は軸受部8、10に支持されて回転可能であり、このため、開閉軸4のスライド軸部96とともにスライドカム106及びコイルばね104も回転可能である。これに対し、固定カム108は軸受部10に固定されて回転しない。
【0035】
このヒンジ装置2の動作を説明する。このヒンジ装置2では、直交する2軸回転として、開閉軸4を回転中心とする第1の回転と、回転軸6を回転中心とする第2の回転とを実現している。
【0036】
第1の回転では、図5の(A)に示すように、開閉軸4をNX方向に回転させると、スライドカム106及び固定カム108が互いに突部112と凹部120、凹部114と突部122とが噛み合う位置にあるとすると、この場合、スライドカム106はコイルばね104の復元力によってX1方向に移動し、スライドカム106は固定カム108に密着している。この位置から、開閉軸をNX方向に回転させると、図5の(B)に示すように、スライドカム106及び固定カム108が互いに突部112と突部122、凹部114と凹部120とが合致する位置に移行させることができ、この場合、スライドカム106は、矢印X2方向に移動し、突部112、122の立上り分だけコイルばね104が圧縮される。即ち、コイルばね104の圧縮による復元力がスライドカム106と固定カム108との間に作用し、開閉軸4の回転を阻止しようとする力となる。ユーザは、開閉軸4の回転に対してトルク感を体感することができる。
【0037】
そして、開閉軸4をNX方向と反対方向に移動させるか、又は、NX方向を更に進めるかにより、スライドカム106及び固定カム108は、互いの突部112と突部122、凹部114と凹部120との合致位置から外れ、図5の(C)に示す状態に移行することになる。このとき、コイルばね104の圧縮状態が軽減されるので、ユーザは、開閉軸4の回転に対して開放されたトルク感を体感することができる。
【0038】
また、第2の回転では、図6の(A)及び(B)に示すように、回転軸6をNY1方向に回転させると、ストッパリング50のストッパ爪51の側部がストッパ部48に当たって回転が阻止され、また、その位置から回転軸6をNY2方向に回転させると、ストッパリング50のストッパ爪51の側部がストッパ部48に当たって回転が阻止される。即ち、ストッパ爪51がストッパ部48に当たるまでの角度区間において、左右に回転させることができる。
【0039】
その場合、バネ板64の突部78、80がカム板66の下面部に当接する部分では、両者間の摩擦によるトルク感が得られ、突部78、80がカム板66の切欠部84、86に嵌まり込むと(図1)、その摩擦による回転阻止から開放されるトルク感が得られる。このようなトルク感と摩擦による回転阻止との対比感から、回転位置及びその停止位置を体感することができる。
【0040】
以上述べた通り、このヒンジ装置2は、L字型の突片22、24を組み合わせて軸フレーム部18を成す構造であって、一つ一つの部品の加工コストを安価なものとすることができる。また、軸フレーム部18を構成する部品を板金加工によって作製することができる等、開閉軸4の制作コストを低減することができる。
【0041】
また、軸フレーム部18は、突片22、24に対して回転軸6を支持する軸受板26、28を合体する構成であって、開閉軸部14、16と同等の機械的強度を持つフレーム体として構成される。
【0042】
また、ヒンジ装置2の仕様に変動があった場合でも、L字型の突片22、24による軸フレーム部18に変更を来すことがなく、回転軸6、開閉軸4の長さ調整等により、大きさや長さの異なる同等のヒンジ装置2を実現できる。仕様変更によっても、部品の共通化により、ヒンジ装置2の製造コスト低減を図ることができる。
【0043】
〔第2の実施の形態〕
【0044】
本発明の第2の実施の形態について、図7及び図8を参照する。図7は、ヒンジ装置を備える機器の構成例において、カム軸側を中心とする回転を示す図、図8は、回転軸を中心とする回転を示す図である。
【0045】
ヒンジ装置2を備える機器200は、第1の部材202と第2の部材204とを備えており、部材202、204間をヒンジ装置2で連結させたものである。部材202にはヒンジ装置2の軸受部8、10を固定ねじ206を以て固定し、また、部材204は、ヒンジ装置2の支持フレーム部12を固定ねじ208を以て固定している。
【0046】
斯かる構成によれば、ヒンジ装置2の2軸回転機能により、図7に示すように、部材202に対して部材204を開閉軸4を中心に矢印Oで示す方向に開閉させることができるとともに、図8に示すように、部材202と部材204との相対的な位置関係を回転軸6を中心に矢印Pで示すように、回転させて変位させることができる。
【0047】
このような2軸回転が可能であれば、機器200は、例えば、ビデオカメラ等に適用し、所望の回転変位を実現することができ、利便性を高めることができる。
【0048】
〔他の実施の形態〕
【0049】
(1) 上記実施の形態では、金属で形成された軸フレーム部18を例示したが、軸フレーム部18は合成樹脂で形成してもよい。
【0050】
(2) 上記実施の形態では、連結部44、45に互いに噛み合う噛合せ凹部442、444(452、454)を用いたが、図9の(A)に示すように、噛合せ凹部442として、素材の厚さに対応して間隔を設定した立壁部502、504を形成し、これら立壁部502、504の間隔内に噛合せ凹部444を噛合せるように構成してもよい。
【0051】
(3) また、図9の(B)に示すように、噛合せ凹部442側に素材の表裏面に凹部506、508を形成し、これら凹部506、508を挟み込むように噛合せ凹部444を噛合せるように構成してもよい。
【0052】
(4) 図9の(A)及び(B)について、噛合せ凹部444側を立壁部502、504又は凹部506、508に形成してもよい。
【0053】
以上述べたように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は、発明を実施するための最良の形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であり、斯かる変形や変更が本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、部材間を連結し、各部材の開閉や部材の回転等の交差する軸を中心とした2軸操作を可能にしたヒンジ装置に関し、第1及び第2の開閉軸部間を第1及び第2の突片の噛合せで連結した構造を備え、一つ一つの部品の加工コストを安価なものとすることができるとともに、加工工数を削減でき、また、各構成部分を板金加工によって作製することができる等、有用性が高い。

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるヒンジ装置を示す斜視図である。
【図2】ヒンジ装置のスライドカム機構を除いて示す分解斜視図である。
【図3】開閉軸の突片の分解及び連結関係を示し、(A)は連結前の開閉軸部を示す斜視図、(B)は、連結後の開閉軸部を示す斜視図である。
【図4】ヒンジ装置の軸受部、スライドカム機構及び回転軸部分を分解して示す分解斜視図である。
【図5】開閉動作を示す図である。
【図6】回転動作を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態であるヒンジ装置を備える機器の構成例を示す図である。
【図8】回転軸を中心とする回転を示す図である。
【図9】本発明における連結部の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
2 ヒンジ装置
4 開閉軸
6 回転軸
14 第1の開閉軸部
16 第2の開閉軸部
18 軸フレーム部
20 軸受部
22 第1の突片
24 第2の突片
44、45 連結部
442、444、452、454 噛合せ凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉軸を備えるヒンジ装置であって、
前記開閉軸が第1の開閉軸部と、この第1の開閉軸部と同一中心軸上に設置される第2の開閉軸部とを有し、前記第1の開閉軸部にその中心軸から変位させて第1の突片を突設し、前記第2の開閉軸部に前記中心軸から変位させて第2の突片を突設し、前記第1の突片の固定部に前記第2の突片を噛み合わせて連結し、前記第2の突片の固定部に前記第1の突片を噛み合わせて連結する連結部を備えることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
請求項1のヒンジ装置において、
前記第1の突片と前記第2の突片との間に設置された軸受部を備え、この軸受部に前記開閉軸と交差方向に回転軸が支持されてなることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項3】
請求項1のヒンジ装置において、
前記第1の突片と前記第2の突片とを同一形状に形成したことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項4】
第1の部材と第2の部材とを備え、これら第1の部材と第2の部材とを連結するヒンジ装置を用いた機器であって、
前記ヒンジ装置に開閉軸を備え、該開閉軸が第1の開閉軸部と、この第1の開閉軸部と同一中心軸上に設置される第2の開閉軸部とを有し、前記第1の開閉軸部にその中心軸から変位させて第1の突片を突設し、前記第2の開閉軸部に前記中心軸から変位させて第2の突片を突設し、前記第1の突片の固定部に前記第2の突片を噛み合わせて連結し、前記第2の突片の固定部に前記第1の突片を噛み合わせて連結する連結部を備えることを特徴とする、ヒンジ装置を用いた機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−249094(P2008−249094A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94543(P2007−94543)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000228578)日本ケミコン株式会社 (514)
【Fターム(参考)】