説明

ヒータおよびガスセンサ

【課題】ロウ材のマイグレーションを抑制すると共に、製造コストの上昇を抑制することができるヒータおよびガスセンサを提供する。
【解決手段】軸線方向に沿って延びるセラミック基体21と、セラミック基体21の一端側に埋め込まれた発熱抵抗体と、セラミック基体21の他端側の表面に設けられ発熱抵抗体と電気的に接続されるとともに、外部の電源から電力を供給する電気路がロウ付けされた電極パッド26と、セラミック基体21のうち、電極パッド26よりも一端側に接触する部位を有し、電極パッド26と異なる電位に設定される端子部51と、が設けられ、セラミック基体21の表面のうち、電極パッド26と端子部51との間に設けられるダミーパターン27であって、電極パッド26よりも軸線方向一端側にセラミック基体21の表面を介在させて配置しつつ、電極パッド26と同じ電位が印加されるダミーパターン27とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータおよびガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定雰囲気に含まれる特定ガスの濃度を測定するガスセンサとして、特定ガスの濃度を測定する有底円筒状のガス検出素子と、ガス検出素子を作動温度にまで加熱するセラミックヒータと、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
セラミックヒータP1には、図10(a)に示すように、円柱状に形成されたセラミック体P2と、セラミック体P2に巻き付けられたセラミックシートP3と、外部電源から電力が供給される電極パッドP4と、電極パッドP4を介して供給された電力によって熱を発生させる発熱部P5と、セラミックヒータP1の一部をガス検出素子の内壁に押し付けると共にガス検出素子の出力信号を外部に導くセンサ出力端子P6と、が設けられている。発熱部P5において発生した熱は、熱伝導によって、または、熱輻射によって、セラミックヒータP1からガス検出素子に伝わり、ガス検出素子を作動温度にまで加熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−148260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のセラミックヒータP1の場合、外部電源から電力を供給する配線を電極パッドP4に電気的に接続させる方法として、ロウ材を用いたロウ付けが用いられている。このロウ材には、イオン化されやすい金属材料が含まれており、イオン化したロウ材の金属イオン(正の電荷を有するイオン)は、周囲の電圧勾配によって電圧の低い方向へ移動する(マイグレーションする)。
【0006】
上述のセラミックヒータP1について考えると、図10(b)に示すように、一対の電極パッドP4のうち、高圧電位が印加される電極パッドP4において最も電圧が高くなる。ここと比較すると、センサ出力端子P6では電圧は低くなる。そのため、高圧電位が印加される電極パッドP4におけるロウ材の金属イオンは、電圧の低いセンサ出力端子P6に向かって、セラミックシートP3の表面上を移動する。
【0007】
その結果、高圧電位が印加される電極パッドP4とセンサ出力端子P6との間をロウ材によって電気的につなぐ経路が形成されやすくなり、絶縁性を確保することが難しいという問題があった。
【0008】
上述の問題を解決する方法として、イオン化しにくい金属材料を含むロウ材を用いてロウ付けする方法が考えられる。しかしながら、イオン化しにくい材料を含むロウ材は、イオン化しやすい材料を含むロウ材と比較して、価格が高いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ロウ材のマイグレーションを抑制すると共に、製造コストの上昇を抑制することができるヒータおよびガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のヒータは、軸線方向に沿って延びるセラミック基体と、前記セラミック基体の一端側において、前記セラミック基体内に埋め込まれた発熱抵抗体と、前記セラミック基体の他端側において、前記セラミック基体の表面に設けられ前記発熱抵抗体と電気的に接続されるとともに、外部の電源から電力を供給する電気路がロウ付けされた電極パッドと、前記セラミック基体のうち、前記電極パッドよりも一端側に接触する部位を有し、前記電極パッドと異なる電位に設定される端子部と、が設けられたヒータであって、前記セラミック基体の表面のうち、前記電極パッドと前記端子部との間に設けられるダミーパターンであって、前記電極パッドよりも軸線方向一端側に前記セラミック基体の表面を介在させて配置しつつ、前記電極パッドと同じ電位が印加されるダミーパターンとを備えてなることを特徴とする。
【0011】
本発明のヒータによれば、電極パッドと端子部との間に、セラミック基体の表面を介在させつつダミーパターンを配置するとともに、ダミーパターンに電極パッドと同じ電位が印加されるため、電極パッドとダミーパターンとの間に電位差が形成されることが抑制される。そのため、電極パッドのロウ付けに用いられたロウ材に含まれる金属材料がイオン化して端子部に向かって移動するマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0012】
また、セラミック基体上の電極パッドと端子部との間にダミーパターンを設けるだけなので、電極パッドの形成と同時にダミーパターンを形成することが可能となり、製造工程の増加を抑制し、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0013】
上記発明において前記ダミーパターンにおける前記軸線方向と交差する方向の長さは、前記電極パッドの前記交差する方向の長さよりも長いことが望ましい。
このように、軸線方向と交差する方向、より好ましくは直交する方向において、ダミーパターンの長さを、電極パッドの長さよりも長くすることにより、マイグレーションの発生をより確実に抑制することができる。つまり、ロウ材の金属イオンが、電極パッドから端子部に向かって移動するためには、ダミーパターンを迂回して移動する必要がある。金属イオンの移動経路をさえぎる形状にダミーパターンを形成することにより、上述の迂回経路が長くなり、マイグレーションの発生がさらに抑制される。上述のように、軸線方向と交差する方向、より好ましくは直交する方向において、ダミーパターンの長さを電極パッドの長さよりも長くすると、言い換えると、軸線方向から見て、ダミーパターンが電極パッドよりも横方向に突出する形状にダミーパターンを形成とすると、ダミーパターンは金属イオンの最短移動経路をさえぎることができる。
【0014】
上記発明において前記ダミーパターンは、前記電極パッドに電力を供給する前記電気路に電気的に接続されていることが望ましい。
このようにダミーパターンを、電極パッドに電力を供給する電気路と電気的に接続することにより、ダミーパターンには、外部の電源から電極パッドに供給される電圧と同じ電圧が印加される。そのため、ダミーパターンの電位を、容易かつ確実に、電極パッドの電位と同じ電位にすることができる。
【0015】
上記発明において前記ダミーパターンは、前記電極パッドに電気的に直接接続されていることが望ましい。
このようにダミーパターンを電極パッドに直接、電気的に接続することにより、ダミーパターンの電位を、容易かつ確実に、電極パッドの電位と同じ電位にすることができる。さらに、ダミーパターンと電極パッドとが電気的に分離された状態で配置されている場合には、外部の電源から電力を供給する電気路を、ダミーパターンおよび電極パッドの両方に電気的に接続する必要があるのに対して、ダミーパターンと電極パッドとが、直接、電気的に接続している場合には、ダミーパターンおよび電極パッドのいずれかに電気路を電気的に接続するだけでよく、製造工程の数を減らすことができる。
【0016】
上記発明において前記電極パッドは、前記軸線方向に沿って延びる側辺を有する矩形状に形成され、前記電極パッドを複数配置する際には、前記ダミーパターンから、前記側辺に沿って延びる側辺路が前記電極パッド同士の側辺間に設けられていることが望ましい。
【0017】
このようにダミーパターンに、複数の電極パッドの側辺間おいて、側辺に沿って延びる側辺路を更に設けることにより、マイグレーションの発生をより効果的に抑制することができる。つまり、ロウ材の金属イオンが電極パッドから端子部まで移動するためには、さらに、側辺路を迂回すること、言い換えると移動経路が更に長くなるため、マイグレーションの発生をより効果的に抑制することができる。
【0018】
また、複数の電極パッドの間に側辺路を配置することにより、複数の電極パッドのうち、一方のパッドの電位が下がった場合に、高電位パッドから低電位パッドへのマイグレーションの発生を抑制することができる。つまり、高電位パッドと低電位パッドとの間には電位差が形成されるため、側辺路が配置されていない場合には、高電位パッドのロウ材の金属イオンは、電位差によって低電位パッドに向かって移動するマイグレーションが発生する。しかし、高電位パッドと低電位パッドとの間に側辺路を配置したことにより、高電位パッドと側辺路との間に電位差が発生しないため、高電位パッドから低電位パッドへのマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0019】
上記発明において前記セラミック基体には、少なくとも、セラミック基体の側面を覆う膜状のシート部が備えられ、前記電極パッド、前記ダミーパターンおよび前記側辺路は、前記シート部の上に配置され、前記側辺路は、前記シート部の中央側に配置されるとともに、前記電極パッドは、前記側辺路よりも前記シート部の外側に配置されていることが望ましい。
【0020】
このように側辺路の配置位置を、シート部の中央側に配置されるとともに、電極パッドを側辺路よりもシート部の外側に配置することにより、マイグレーションの発生をより効果的に抑制することができる。つまり、側辺路を電極パッドの中央側の側辺と対向して配置させることにより、この中央側の側辺から端子部へ向かうロウ材の金属イオンの移動(マイグレーション)を抑制することができる。
【0021】
その一方で、反対側の側辺、つまり電極パッドにおけるシート部の端部側に配置された側辺から端子部に向かうマイグレーションは、以下の理由で抑制される。一般に、ロウ材の金属イオンは移動経路に存在する凹凸などの段差によっても移動が阻害される。一回巻きによりセラミック基体をシート部で覆った場合、シート部の端部が互いに向き合う、繋ぎ合せ部が形成される。繋ぎ合せ部では、特段の処理を施さない限り、一方の端部と他方の端部との間に、シート部が存在しない凹部が形成されるか、一方の端部が他方の端部に乗り上げる凸部が形成される。このように、端部側の側辺から端子部に向かう経路には、シート部の端部による凹部または凸部が形成されていて、物理的にマイグレーションの発生が抑制される。
【0022】
本発明のガスセンサは、軸線方向に沿って延びる有底筒状に形成されたガス検出素子と、該ガス検出素子の内部に配置されると共に、前記ガス検出素子の内面に押し付けられる上記本発明のヒータと、が設けられていることを特徴とする。
【0023】
本発明のガスセンサによれば、上記本発明のヒータを備えるため、電極パッドからのロウ材のマイグレーションを抑制すると共に、ガスセンサの製造コストの上昇を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のヒータおよびガスセンサによれば、電極パッドと端子部との間に、セラミック基体の表面を介在させつつダミーパターンを配置するとともに、ダミーパターンに電極パッドと同じ電位が印加することにより、電極パッドの周囲の形成される電位差を小さくし、ロウ材のマイグレーションを抑制すると共に、製造コストの上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガスセンサの全体構成を説明する断面視図である。
【図2】図1のガス検出素子の構成を説明する図である。
【図3】図1のヒータの構成を説明する模式図である。
【図4】図3の電極パッドおよびダミーパターンの構成を説明する部分拡大図である。
【図5】図3の電極パッドおよびダミーパターンの構成を説明する展開図である。
【図6】図3のヒータにおける電位差を説明する模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るガスセンサの電極パッド周辺の構成を説明する展開図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るガスセンサの電極パッド周辺の構成を説明する部分拡大図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るガスセンサの電極パッド周辺の構成を説明する部分拡大図である。
【図10】従来のヒータにおける電位差を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るガスセンサついて図1から図6を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るガスセンサ1の全体構成を説明する断面視図である。
【0027】
本実施形態では、本発明のガスセンサを、例えば乗用車等の車両に搭載された内燃機関の排気流路内に締結され、排気流路の内部にガスセンサの先端部分が突出されたセンサであり、排気ガス中の酸素濃度を計測する酸素センサに適用して説明する。なお、以下の説明では、軸線Oに沿う方向のうち、主体金具60に対してプロテクタ80の取り付けられる側を先端側とし、この逆側を後端側として説明する。
【0028】
本実施形態のガスセンサ1は、後述するガス検出素子10を加熱するためのヒータ20を備えたセンサであり、ヒータ20の熱によってガス検出素子10を加熱して活性化し、排気ガス中の酸素濃度を計測するものである。
【0029】
ガスセンサ1には、図1に示すように、ガス検出素子10と、ヒータ20と、セパレータ30と、シール部材40と、複数の端子金具50と、リード線55とが主として備えられているとともに、それらの周囲を覆う主体金具60と、プロテクタ80と、外筒90等が備えられている。
【0030】
図2は、図1のガス検出素子10の構成を説明する図であり、ガス検出素子10は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質から形成されたものである。ガス検出素子10は、軸線O方向に延びる円筒状に形成された筒部12と、筒部12の先端側の端部(図2の下側の端部)が閉塞された素子本体11から主に構成されている。素子本体11の中央部の外周には、径方向外向きに突出する鍔部14が周方向にわたって設けられている。
【0031】
素子本体11を構成する固体電解質としては、例えば、Y23又はCaOを固溶させたZrO2が代表的なものである。この個体電解質以外にも、アルカリ土類金属または希土類金属の酸化物とZrO2との固溶体である固体電解質を使用しても良い。また、アルカリ土類金属または希土類金属の酸化物とZrO2との固溶体に、さらにHfO2が含有された固体電解質を使用しても良い。
【0032】
素子本体11の外周面には、外側電極16と、縦リード部17と、環状リード部18とが形成されている。外側電極16は、ガス検出素子10の先端側に、PtあるいはPt合金(以下、「Pt等」と表記する。)を多孔質に形成した電極である。縦リード部17は、外側電極16から軸線方向に延びる導電部であり、Pt等から形成されたものである。環状リード部18は、鍔部14の下面側(図2の下方)に環状に形成され、縦リード部17と導電可能に接続される導電部であり、Pt等から形成されたものである。素子本体11の内周面には、Pt等を多孔質に形成した内側電極19が形成されている。
【0033】
ヒータ20は、図1および図3に示すように、ガス検出素子10の内部に配置されて素子本体11の加熱を行う長尺の加熱手段である。
ヒータ20は、丸棒状のアルミナからなるセラミック管(セラミック基体)21と、セラミック管21の外周を覆うアルミナからなるセラミック層(シート部)22と、から主に構成されている。セラミック層22における先端側には、電力が供給されることにより熱を発生する発熱部(発熱抵抗体)23が設けられている。
【0034】
本実施形態では、発熱部23として、電力が供給されることにより熱を発生させる材料、例えばタングステン系の材料から形成された発熱抵抗体(図示せず)が、セラミック層22に埋め込まれている例に適用して説明する。なお、本実施形態では丸棒状のヒータを用いた例に適用して説明したが、ヒータの形状は、丸棒状に限らず、筒状または柱状であっても良い。
【0035】
さらに、ヒータ20には、複数の端子金具50の一つである第1センサ端子金具(端子部)51が設けられている。第1センサ端子金具51は、ヒータ20における発熱部23と電極パッド26との間を把持するとともに、ヒータ20の発熱部23が設けられている領域を、ガス検出素子10の内面に押し付けるものである。また第1センサ端子金具51は、ガス検出素子10の内側電極19と電気的に接触し、第2センサ端子金具52と共に、ガス検出素子10の検出信号を外部に出力するものである。
【0036】
複数の端子金具50には、上述の第1センサ端子金具51の他に、第2センサ端子金具52、第1ヒータ端子金具53および第2ヒータ端子金具54が含まれる。複数の端子金具50は、ニッケル合金(例えばインコネル750。英インコネル社製、登録商標)から形成された金具である。第2センサ端子金具52は、素子本体11の外側電極16と電気的に接続されるものであり、第1ヒータ端子金具53は、高電位パッド261および低電位パッド262の一方と電気的に接続され、第2ヒータ端子金具54は、高電位パッド261および低電位パッド262の他方と電気的に接続されるものである。複数の端子金具50には、それぞれ、リード線55の芯線が加締め接続されて電気的に接続されている。図1では、4本のリード線55のうち3本のリード線55が図示されている。
【0037】
なお、本実施形態では高電位パッド261及び低電位パッド262としているが、これはヒータに一定の電圧を印加すると発熱部23によって対極が相対的に低電位となることを表しているに過ぎず、この電位関係は逆であっても成り立つ。
【0038】
ヒータ20は、ガス検出素子10の軸線に対して斜めに配置されている。ヒータ20の発熱部23は、素子本体11の筒部12における側面である内周面と直接に接触している。
【0039】
ヒータ20の後端には、発熱部23と電気的に接続され、発熱部23に電力を供給する一対の電極パッド26が設けられている。図1では、一対の電極パッド26のうち一方の電極のみが図示されている。電極パッド26は、軸線O方向に長い矩形状に形成された電極であって、外部の電源から電力を供給する第1ヒータ端子金具(電気路)53および第2ヒータ端子金具(電気路)54と、ロウ材を用いたロウ付けによって電気的に接続されるものである。
【0040】
なお、ロウ付けは、電極パッド26に対してのみ行われ、後述するダミーパターン27に対しては行われていない。図3において電極パッド26にはハッチングを施して図示し、ダミーパターン27に対してはハッチングを施していないのは、ロウ付けの有無を強調して示すためである。
【0041】
一対の電極パッド26は、図3に示すように、外部の電源における高電位側と電気的に接続される高電位パッド261と、低電位側と電気的に接続される低電位パッド262と、に分けられる。
【0042】
以降では、高電位パッド261および低電位パッド262に共通の説明では、電極パッド26と表記し、高電位パッド261および低電位パッド262に固有の説明では、それぞれの名称である高電位パッド261または低電位パッド262と表記する。
【0043】
図4は、図3の電極パッド26およびダミーパターン27の構成を説明する部分拡大図であり、図4(a)は正面視図、図4(b)は正面視図からおよそ120°回転した側面視図、図4(c)は背面視図、図4(d)は断面視図である。
【0044】
電極パッド26には、図3から図5に示すように、ダミー本体271と、側辺路272と、から主に構成されるダミーパターン27が設けられている。ダミーパターン27は、電極パッド26からロウ材の金属イオンが第1センサ端子金具51との接触部に向かって移動するマイグレーションの発生を抑制するものである。ダミーパターン27を形成する材料としては、電極パッド26と同じ材料を例示することができる。
【0045】
ダミー本体271は、ヒータ20における第1センサ端子金具51との接触部と、電極パッド26との間に配置された線状または細長い矩形状に形成された電極である。また、ダミー本体271は側辺路272を介して電極パッド26と電気的に接続されている。そのため、高電位パッド261に設けられたダミー本体271および側辺路272は高電位パッド261を同じ電位を有し、低電位パッド262に設けられたダミー本体271および側辺路272は低電位パッド262と同じ電位を有する。ダミー本体271は、ヒータ20の周方向に延びて配置され、周方向において、電極パッド26の長さよりも長く形成されている。
【0046】
側辺路272は、図5に示すように、電極パッド26の軸線O方向に延びる一対の長辺のうち、セラミック層22の中央側に配置された長辺に沿って延びて配置された線状または細長い矩形状に形成された電極である。言い換えると、高電位パッド261に設けられた側辺路272は、高電位パッド261における低電位パッド262と対向する側辺側に設けられ、低電位パッド262に設けられた側辺路272は、低電位パッド262における高電位パッド261と対向する側辺側に設けられている。側辺路272は、電極パッド26における先端側(図5の左側)の端部において電極パッド26と電気的に接続されている。
【0047】
ダミー本体271と電極パッド26との間、および、側辺路272と電極パッド26との間には隙間が形成されている。本実施形態では、電極パッド26とダミー本体271との隙間が0.2mmである例に適用して説明するが、特にこの値に限定するものではない。
【0048】
なお、ダミーパターン27は、上述のように高電位パッド261および低電位パッド262の区別なく、両者に設けられていてもよいし、高電位パッド261に対してのみ設けられていてもよく、特に限定するものではない。
【0049】
セパレータ30は、図1に示すように、ガス検出素子10とシール部材40との間に配置される部材であり、電気絶縁性を有する材料、例えばアルミナから形成された円筒形状の部材である。セパレータ30には、複数の端子金具50などを収納する収容部31が設けられている。収容部31は、セパレータ30を軸線O方向に貫通して形成された貫通孔であり、セパレータ30よりも先端側の空間と、後端側の空間との間で大気の流通を可能とするものである。
【0050】
さらに、セパレータ30の外周面には、径方向外側に突出するフランジ部32が設けられている。セパレータ30におけるフランジ部32よりも先端側の外周面には、略円筒状に形成された保持金具33が、セパレータ30が内部に挿入されるように配置されている。
【0051】
シール部材40は、例えばフッ素ゴムなどの弾性材料からなる円筒形状の栓部材であり、ガスセンサ1の後端に配置される部材である。シール部材40は、軸線O方向を高さ方向とする略円柱状に形成された栓部材であり、外筒90の後端を塞ぐ部材である。シール部材40は、セパレータ30の後端側の面に当接するように外筒90の後端側の開口に嵌め込まれている。シール部材40は、外筒90におけるシール部材40の側面に対応する位置に形成された外筒加締部91によって、外筒90に固定されている。
【0052】
外筒加締部91は、外筒90を径方向内側に向かって凹状に変形させた部分であり、外筒90を周方向に一周する溝状に形成された部分である。シール部材40の径方向の中央には、軸線O方向に貫通する大気連通孔41が形成されると共に、大気連通孔41よりも径方向外側に軸線O方向に貫通する4つのリード線挿通孔42が周方向に等間隔に形成されている。
【0053】
大気連通孔41は、シール部材40により閉塞された外筒90の内部に大気を導く貫通孔である。大気連通孔41の内部には、フィルタ部材43および留め金具44が挿入されている。フィルタ部材43は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から形成されたマイクロメータ単位の網目構造を有する薄膜状のフィルタである。そのため、フィルタ部材43は、水滴等の透過を許さず、大気の通過は許容するものである。留め金具44は、筒状に形成された部材であり、フィルタ部材43をシール部材40に固定するものである。具体的には、留め金具44の外周と大気連通孔41の内周との間にフィルタ部材43を挟みこみ、フィルタ部材43をシール部材40に固定するものである。
【0054】
主体金具60は、図1に示すように、ステンレス合金(例えば、JIS規格のSUS310S)から形成された部材であり、概ね円筒状に形成された部材である。主体金具60には、ガス検出素子10の鍔部14を支持する段部61が、内周面から径方向内側に向かって、周方向にわたって突出して設けられている。
【0055】
主体金具60の先端側の外周面には、ガスセンサ1を内燃機関の排気流路(図示せず。)に取付けるネジ部62と、ネジ部62を排気流路にネジ込むための取付工具を係合させる六角部63と、が周方向にわたって設けられている。ネジ部62と六角部63との間には、環状のガスケット64が配置されている。ガスケット64は、ガスセンサ1と排気流路との間の隙間からのガス抜けを防止するものである。
【0056】
主体金具60におけるネジ部62よりも先端側には、後述するプロテクタ80が係合される先端係合部65が形成されている。先端係合部65は、ネジ部62よりも外周面の径が小さく形成された部分である。また、主体金具60における六角部63よりも後端側には、六角部63から後端側に向かって順に、外筒90と係合される後端係合部66と、ガス検出素子10を加締め固定する加締固定部67と、が形成されている。
【0057】
主体金具60の内部には、段部61から後端側に向かって順に、金属製の先端側パッキン71、アルミナからなる筒状の支持部材72、金属製の後端側パッキン73、滑石の粉末からなる充填部材74、アルミナ製のスリーブ75、および、環状のリング76が配置されている。支持部材72の内周面には段部が形成されており、当該段部により素子本体11の鍔部14が支持されている。なお、支持部材72と鍔部14との間に後端側パッキン73が挟まれて配置されている。
【0058】
リング76は、スリーブ75と加締固定部67との間に配置されるものであり、加締固定部67が、径方向内側かつ先端側に変形されることにより加わる先端方向への力を、充填部材74、後端側パッキン73、支持部材72、先端側パッキン71に伝えるものである。この押し付ける力により、充填部材74は軸線O方向に圧縮充填され、かつ、主体金具60の内周面および素子本体11の外周面との隙間を気密に埋める。
【0059】
プロテクタ80は、ガスセンサ1が排気流路に取り付けられた際に、流路内に突出するガス検出素子10を、流路内を流れるガス中に含まれる水滴や異物等の衝突から保護するものである。プロテクタ80は、ステンレス鋼(例えば、JIS規格のSUS310S)から形成された部材であり、ガス検出素子10の先端を覆う保護部材である。プロテクタ80は、軸線方向に延びる筒状の部材であって、先端が閉塞された形状に形成されている。プロテクタ80の後端縁は、主体金具60の先端係合部65に溶接によって固定されている。
【0060】
プロテクタ80には、有底筒状に形成され開放された側の周縁部が先端係合部65に嵌め合わされる外側プロテクタ81と、外側プロテクタ81の内部に固定された有底筒状に形成された内側プロテクタ82と、が設けられている。言い換えると、プロテクタ80は、外側プロテクタ81および内側プロテクタ82からなる2重構造を有している。
【0061】
外側プロテクタ81および内側プロテクタ82の円筒面には、内部にガスを導入する導入口83が設けられている。図1では、外側プロテクタ81の導入口83のみが図示されており、内側プロテクタ82の導入口83は配置の関係上、図示されていない。さらに、外側プロテクタ81および内側プロテクタ82の底面には、内部に入り込んだ水滴や、ガスを排出する外側排出口84、内側排出口85がそれぞれ設けられている。
【0062】
外筒90は、主体金具60とは異なるステンレス鋼(例えば、JIS規格のSUS304L)から形成された部材であり、外筒90の内部に主体金具60の後端係合部66が差し込まれて、主体金具60に固定されるものである。外筒90の内部には、主体金具60の後端から突出したガス検出素子10の後端や、セパレータ30や、シール部材40が配置されている。
【0063】
上記の構成によれば、図6(a)に示すように、電極パッド26と第1センサ端子金具51との間に、セラミック管21の表面を介在させてダミーパターン27を配置する、言い換えると電極パッド26と第1センサ端子金具51との間に隙間をあけて、ダミーパターン27を配置するとともに、図6(b)に示すように、ダミーパターン27に電極パッド26と同じ電位が印加されるため、電極パッド26とダミーパターン27との間に電位差が形成されることが抑制される。そのため、電極パッド26のロウ付けに用いられたロウ材に含まれる金属材料がイオン化して第1センサ端子金具51に向かって移動するマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0064】
さらに、軸線O方向と交差する方向、より好ましくは直交する方向において、ダミーパターン27の長さを、電極パッド26の長さよりも長くすることにより、マイグレーションの発生をより確実に抑制することができる。つまり、ロウ材の金属イオンが、電極パッド26から第1センサ端子金具51に向かって移動するためには、ダミーパターン27を迂回して移動する必要がある(図5参照)。金属イオンの移動経路をさえぎる形状にダミーパターン27を形成することにより、上述の迂回経路が長くなり、マイグレーションの発生がさらに抑制される。上述のように、軸線O方向と交差する方向、より好ましくは直交する方向において、ダミーパターン27の長さを電極パッド26の長さよりも長くすると、言い換えると、軸線O方向から見て、ダミーパターン27が電極パッドよりも横方向に突出する形状にダミーパターン27を形成とすると、ダミーパターン27は金属イオンの最短移動経路をさえぎることができる。
【0065】
また、ヒータ20上の電極パッド26と第1センサ端子金具51との間にダミーパターン27を設けるだけなので、電極パッド26の形成と同時にダミーパターン27を形成することが可能となり、製造工程の増加を抑制し、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0066】
ダミーパターン27を電極パッド26に直接、電気的に接続することにより、ダミーパターン27の電位を、容易かつ確実に、電極パッド26の電位と同じ電位にすることができる。さらに、ダミーパターン27と電極パッド26とが電気的に分離された状態で配置されている場合には、外部の電源から電力を供給する第1ヒータ端子金具53や第2ヒータ端子金具54を、ダミーパターン27および電極パッド26の両方に電気的に接続する必要があるのに対して、ダミーパターン27と電極パッド26とが、直接、電気的に接続している場合には、ダミーパターン27および電極パッド26のいずれかに第1ヒータ端子金具53や第2ヒータ端子金具54を電気的に接続するだけでよく、製造工程の数を減らすことができる。
【0067】
ダミーパターン27に、電極パッド26の側辺に沿って延びる側辺路272を設けることにより、マイグレーションの発生をより効果的に抑制することができる。つまり、ロウ材の金属イオンが電極パッド26から第1センサ端子金具51まで移動するためには、さらに、側辺路272を迂回すること、言い換えると移動経路が更に長くなるため、マイグレーションの発生をより効果的に抑制することができる。
【0068】
また、複数の電極パッド26の間に側辺路272を配置することにより、複数の電極パッド26のうち、一方の電極パッド26の電位が下がった場合に、高電位パッド261から低電位パッド262へのマイグレーションの発生を抑制することができる。つまり、高電位パッド261と低電位パッド262との間には電位差が形成されるため、側辺路272が配置されていない場合には、高電位パッド261のロウ材の金属イオンは、電位差によって低電位パッド262に向かって移動するマイグレーションが発生する。しかし、高電位パッド261と低電位パッド262との間に側辺路272を配置したことにより、高電位パッド261と側辺路272との間に電位差が発生しないため、高電位パッド261から低電位パッド262へのマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0069】
さらに、側辺路272の配置位置を、セラミック層22の中央側に配置するとともに、電極パッド26を側辺路272よりもセラミック層22の外側に配置することにより、マイグレーションの発生をより効果的に抑制することができる。つまり、側辺路272を電極パッド26の中央側の側辺と対向して配置させることにより、この中央側の側辺から第1センサ端子金具51へ向かうロウ材の金属イオンの移動(マイグレーション)を抑制することができる。
【0070】
その一方で、反対側の側辺、つまり電極パッド26におけるセラミック層22の端部側に配置された側辺から第1センサ端子金具51に向かうマイグレーションは、以下の理由で抑制される。一般に、ロウ材の金属イオンは移動経路に存在する凹凸などの段差によっても移動が阻害される。一回巻きでセラミック管21をセラミック層22で覆った場合、セラミック層22の端部が互いに向き合う、繋ぎ合せ部が形成される。繋ぎ合せ部では、特段の処理を施さない限り、一方の端部と他方の端部との間に、シート部が存在しない凹部が形成される(図4(a)および図4(d)参照)。このように、端部側の側辺から第1センサ端子金具51に向かう経路には、セラミック層22の端部による凹部が形成されていて、物理的にマイグレーションの発生が抑制される。
【0071】
言い換えると、高電位パッド261と低電位パッド262との間に側辺路272を配置することにより、高電位パッド261から低電位パッド262へのマイグレーションの発生を抑制することができる。つまり、高電位パッド261と低電位パッド262との間には電位差が形成されるため、側辺路272が配置されていない場合には、高電位パッド261のロウ材の金属イオンは、電位差によって低電位パッド262に向かって移動するマイグレーションが発生する。しかし、高電位パッド261と低電位パッド262との間に側辺路272を配置したことにより、高電位パッド261と側辺路272との間に電位差が発生しないため、高電位パッド261から低電位パッド262へのマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0072】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図7を参照して説明する。
本実施形態のガスセンサの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、ヒータの電極パッド周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図7を用いて電極パッド周辺の構成について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0073】
第1の実施形態と同様に、本実施形態のガスセンサ1のヒータ20には、図7に示すように、高電位パッド261および低電位パッド262からなる一対の電極パッド26が設けられている。電極パッド26には、ダミー本体271と、側辺路372と、から主に構成されるダミーパターン370が設けられている。
【0074】
ダミーパターン370は、電極パッド26からロウ材の金属イオンが第1センサ端子金具51との接触部に向かって移動するマイグレーションの発生を抑制するものである。ダミーパターン370を形成する材料としては、電極パッド26と同じ材料を例示することができる。
【0075】
側辺路372は、電極パッド26の軸線O方向に延びる一対の長辺のうち、セラミック層22の中央側に配置された長辺におけるダミー本体271の端部(図7の下側の端部)から軸線O方向に延びて配置された線状または細長い矩形状に形成された電極である。言い換えると、高電位パッド261に設けられた側辺路372は、高電位パッド261における低電位パッド262と対向する側辺の端部に設けられ、低電位パッド262に設けられた側辺路372は、低電位パッド262における高電位パッド261と対向する側辺の端部に設けられている。
【0076】
上記の構成によれば、第1の実施形態と比較して、電極パッド26およびダミーパターン370の構成が簡素になるため、電極パッド26およびダミーパターン370の成形が容易となる。その結果、電極パッド26およびダミーパターン370を有するヒータ20の製造が容易となり、ひいてはガスセンサ1の製造が容易となる。
【0077】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図8を参照して説明する。
本実施形態のガスセンサの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、ヒータの電極パッド周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図8を用いて電極パッド周辺の構成について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0078】
第1の実施形態と同様に、本実施形態のガスセンサ1のヒータ20には、図8に示すように、一対の電極パッド26が設けられている。図8では、一つの電極パッド26のみ図示されているが、残りの電極パッド26は、ヒータ20の裏面側に配置されていて図示されていない。電極パッド26には、ダミー本体471から主に構成されるダミーパターン470が設けられている。ダミー本体471は、第1の実施形態のダミー本体271と同様に、ヒータ20における第1センサ端子金具51との接触部と、電極パッド26との間に配置された線状または細長い矩形状に形成された電極である(図3など参照)。
【0079】
セラミック層22には、電極パッド26に供給された電力を発熱部23(図1参照)に供給する給電配線472が埋め込まれている。セラミック層22には、電極パッド26から給電配線472に届くパッド端子473が配置され、パッド端子473によって電極パッド26と給電配線472とが電気的に接続されている。また、セラミック層22には、給電配線472からダミー本体471に届くダミー端子474が配置され、ダミー端子474によって給電配線472とダミー本体471とが電気的に接続されている。
【0080】
上記の構成によれば、セラミック層22に埋め込まれる給電配線472を介して、電極パッド26からダミー本体471へ電力が供給されるため、第1の実施形態のように側辺路272を介して電力を供給する方法と比較して、電極パッド26を配置する面積の確保が容易となる。
【0081】
例えば、ヒータ20の直径が十分に大きくない場合には、電極パッド26が配置されるヒータ20の側面の面積も小さくなる。このような場合に、2つの電極パッド26と、2つの側辺路272を周方向に並べ、かつ、これらの間に所定間隔の隙間を形成しようとすると、電極パッド26の面積が制限されやすくなる。
【0082】
それに対して、本実施形態では、側辺路272を配置しないため、側辺路272の幅および側辺路272に隣接する隙間を省略することができ、電極パッド26を配置する面積の確保が容易となる。
【0083】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図9を参照して説明する。
本実施形態のガスセンサの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、ヒータの電極パッド周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図9を用いて電極パッド周辺の構成について説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
【0084】
第1の実施形態と同様に、本実施形態のガスセンサ1のヒータ20には、図9に示すように、高電位パッド261および低電位パッド262からなる一対の電極パッド26が設けられている。さらにヒータ20には、ダミー本体571と、ダミー電極572と、接続配線(側辺路)573と、から主に構成されるダミーパターン570が設けられている。
【0085】
ダミー本体571は、第1の実施形態のダミー本体271と同様に、ヒータ20における第1センサ端子金具51との接触部と、電極パッド26との間に配置された線状または細長い矩形状に形成された電極である(図3など参照)。
【0086】
ダミー電極572は、電極パッド26に対して、ダミー本体571とは反対側に配置された電極であり、高電位パッド261と同じ電位の電圧が印加されるものである。本実施形態では、電極パッド26よりも面積が小さな矩形状に形成された電極に適用して説明しているが、その形状を特に限定するものではない。
【0087】
接続配線573は、ダミー本体571とダミー電極572とを電気的に接続するものであり、かつ、高電位パッド261および低電位パッド262の間に配置されることにより、第1の実施形態の側辺路272と同様の働きをするものである。
【0088】
上記の構成によれば、ダミーパターン570のダミー電極572に、高電位パッド261に供給する電位と同じ電位を印加することにより、ダミーパターン570の電位を、容易かつ確実に、電極パッド26の電位と同じ電位にすることができる。
【符号の説明】
【0089】
1…ガスセンサ、10…ガス検出素子、20…ヒータ、21…セラミック管(セラミック基体)、22…セラミック層(シート部)、23…発熱部(発熱抵抗体)、26…一対の電極パッド、261…高電位パッド、262…低電位パッド、27,370,470,570…ダミーパターン、272,372…側辺路、51…第1センサ端子金具(端子部)、53…第1ヒータ端子金具(電気路)、54…第2ヒータ端子金具(電気路)、573…接続配線(側辺路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に沿って延びるセラミック基体と、
前記セラミック基体の一端側において、前記セラミック基体内に埋め込まれた発熱抵抗体と、
前記セラミック基体の他端側において、前記セラミック基体の表面に設けられ前記発熱抵抗体と電気的に接続されるとともに、外部の電源から電力を供給する電気路がロウ付けされた電極パッドと、
前記セラミック基体のうち、前記電極パッドよりも一端側に接触する部位を有し、前記電極パッドと異なる電位に設定される端子部と、
が設けられたヒータであって、
前記セラミック基体の表面のうち、前記電極パッドと前記端子部との間に設けられるダミーパターンであって、前記電極パッドよりも軸線方向一端側に前記セラミック基体の表面を介在させて配置しつつ、前記電極パッドと同じ電位が印加されるダミーパターンとを備えてなるヒータ。
【請求項2】
該ダミーパターンは、前記電極パッドとの間に隙間を形成して配置され、
前記ダミーパターンにおける前記軸線方向と交差する方向の長さは、前記電極パッドの前記交差する方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1記載のヒータ。
【請求項3】
前記ダミーパターンは、前記電極パッドに電力を供給する前記電気路に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記ダミーパターンは前記電極パッドに電気的に直接接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒータ。
【請求項5】
前記電極パッドは、前記軸線方向に沿って延びる側辺を有する矩形状に形成され、
前記電極パッドを複数配置する際には、前記ダミーパターンから前記側辺に沿って延びる側辺路が前記電極パッド同士の側辺間に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のヒータ。
【請求項6】
前記セラミック基体には、少なくとも、セラミック基体の側面を覆う膜状のシート部が備えられ、
前記電極パッド、前記ダミーパターンおよび前記側辺路は、前記シート部の上に配置され、
前記側辺路は、前記シート部の中央側に配置されるとともに、前記電極パッドは、前記側辺路よりも前記シート部の外側に配置されていることを特徴とする請求項5項記載のヒータ。
【請求項7】
軸線方向に沿って延びる有底筒状に形成されたガス検出素子と、
該ガス検出素子の内部に配置されると共に、前記ガス検出素子の内面に押し付けられる請求項1から請求項6のいずれかに記載のヒータと、
が設けられていることを特徴とするガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−77504(P2013−77504A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217612(P2011−217612)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】