説明

ビアペースト、ビアペーストを用いた配線基板と、配線基板の製造方法

【課題】ビアがファイン化(小径化、狭隣接化等)した場合であっても、ビア抵抗の増加や、ビア抵抗のバラツキの発生を押え、配線基板の信頼性を高める。
【解決手段】表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペースト110であって、第1、第2の潜在性硬化剤140、150と、この潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂130と、導電粒子120と、を有し、前記第1、第2の潜在性硬化剤140、150の軟化温度は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁樹脂層に三次元的に形成された2つの配線間を層間接続するためのビアホール導体を備えた、多層の配線基板の製造に用いるビアペースト、配線基板と、配線基板の製造方法に関する。詳しくは、多層配線をビアペーストで任意の位置で自由に層間接続できるビアペーストの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁樹脂層に三次元的に形成された2つの配線間を層間接続して得られる多層配線基板が知られている。このような層間接続の方法として、絶縁樹脂層に形成された孔に導電性ペーストを充填して形成されるようなビアホール導体が知られている。
【0003】
このように、導電性ペーストを、ビアホール導体として用いる場合、ビアホール導体内の未硬化状態の導電性ペーストは、半硬化状態のプリプレグと共に、硬化されるため、プリプレグ中に含まれる樹脂の影響(軟化、流動等)を受ける場合がある。
【0004】
図22〜図24を用いて、導電性ペーストをビアペーストに用いた場合に発生する導電性ペースト特有の課題について説明する。
【0005】
図22(A)〜(C)は、共にプリプレグに形成した孔にビアペーストを充填する様子を説明する断面図である。
【0006】
図22(A)は、プリプレグ2の両面に保護フィルム1を形成した様子を説明する断面図である。
【0007】
図22(B)は、プリプレグ2と保護フィルム1に、孔3を形成した様子を説明する断面図である。
【0008】
図22(C)は、保護フィルム1越しにスキージ5を矢印6の方向に移動させ、プリプレグ2に形成した孔3に、従来ビアペースト4を充填する様子を説明する断面図である。
【0009】
図23(A)〜(C)は、共に図22に続く工程を説明する断面図である。
【0010】
図23(A)は、保護フィルム1を剥離することで、従来ビアペースト4の一部を突出部7としたプリプレグ2の両面に銅箔8をセットし、矢印6で示すように加圧、加熱し一体化する様子を示す断面図である。
【0011】
図23(B)は、従来ビアペースト4が硬化してなるビア11と、プリプレグ2が硬化してなる絶縁層10を、それぞれ形成する様子を説明する断面図である。
【0012】
図23(C)は、絶縁層10の表面に固定された銅箔8をエッチングし配線12とする様子を説明する断面図である。図23(C)に示すように、コア基板部13の表面に設けた複数の配線12間には、隙間14を有している。
【0013】
図24(A)〜(C)は、共に図23で作製したコア基板部13を用いて多層の配線基板を作製する際に発生する課題を説明する断面図である。
【0014】
図24(A)は、コア基板部13の表面に設けた配線12の上に、従来ビアペースト4からなる突出部7を設けたプリプレグ2や、銅箔8を積層する様子を示す断面図である。
【0015】
図24(B)は、プリプレグ2の一部が、矢印6bに示すように流れ、配線12の隙間14を埋める様子を説明する断面図である。図24(B)における補助線15で示す部分について、図24(C)を用いて、更に詳しく説明する。
【0016】
図24(C)は、加熱され軟化したプリプレグ2の一部が、矢印6bに示すように流動し、複数の配線12間の隙間14を埋める際に、従来ビアペースト4の一部を流動させ、変形したビア16を形成する様子を示す断面図である。
【0017】
図24(C)に示すように、加熱によって軟化したプリプレグ2が、ビアペースト4を流動させてしまう結果、配線12間の隙間(例えば、矢印6dで示す距離)が、両側から矢印6bに示すように流れ込むビア(変形したビア16)によって狭くなってしまう(例えば、矢印6cで示す距離)。
【0018】
一方、配線基板の薄層化という市場要求に対応するため、プリプレグ2の薄層化が望まれている。しかしながらプリプレグ2を薄層化すればするほど、配線12間の隙間の平坦化が困難となるため、プリプレグ2の更なる高流動化が要求される。そのため、配線基板を薄層化(更にはファインパターン化、あるいは狭隣接化)するほど、従来ビアペースト4が変形してなる変形ビア16の発生確率が増加する。
【0019】
このように配線基板がファインピッチ化(ビア径の小径化、複数ビア間の狭隣接化等も含む)するほど、ビアペーストによるビアの変形が、配線間の絶縁性や、マイグレーション特性、ビア抵抗やビア抵抗のバラツキに影響を与える可能性が増加する。
【0020】
こうした課題に対して、導電性ペーストの硬化開始温度を、絶縁シートの溶融開始温度より低くすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2003−179356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
特許文献1に開示された多層配線基板におけるビアホール導体は、熱硬化性樹脂を含む導電性ペーストであって、この導電性ペーストの硬化開始温度は絶縁シートの溶融開始温度より低くされている。特許文献1では、導電性ペーストの硬化は、絶縁シートの溶融が起こる前に既に始まっており、従って、プリプレグあるいは絶縁シートの溶融に由来する問題点が緩和される。
【0023】
しかしながら特許文献1においては、絶縁シートの溶融開始温度より低温で硬化開始する導電性ペーストを使用することで、絶縁シートが溶融して流動可能となる前に、ビアホール導体の硬化が既に先行している、好ましくは完了しているため、導電性ペーストに含まれる導電粉同士の電気的な接続に、導電性ペースト中の硬化済の樹脂成分が影響を与えてしまう可能性が考えられる。そして特にビア径が小径化した場合、ビア抵抗が増加し、更にビア抵抗がばらつく可能性があるという課題が考えられる。
【0024】
本発明は、上述した導電性ペーストを層間接続用のビア導体とした多層の配線基板におけるビアペーストに関する課題を解決するビアペースト、配線基板と、配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一局面であるビアペーストは、少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストであって、このビアペーストは少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、前記第1、第2潜在性硬化剤の融点は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とする。
【0026】
また本発明の他の一局面である配線基板は、少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストの硬化物からなるビアと、を有する配線基板であって、前記ビアペーストは、少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、前記第1、第2潜在性硬化剤の軟化温度は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とする。
【0027】
また本発明の他の一局面である、配線基板の製造方法は、表層に複数の第1配線を設けたコア基板を用意する準備工程と、プリプレグの表面を保護フィルムで被覆する第1工程と、前記保護フィルムを介して前記プリプレグに穿孔して孔を形成する第2工程と、前記孔に、少なくとも互いに異なる硬化開始温度を有する第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有するビアペーストを充填する第3工程と、前記第3工程の後、前記保護フィルムを剥離することにより、前記貫通孔から前記ビアペーストの一部が突出して形成される突出部を表出させる第4工程と、前記突出部を覆うように、前記プリプレグの少なくとも一面に銅箔を配置する第5工程と、前記銅箔を前記プリプレグの表面に圧着して前記突出部を通じて前記ビアペーストを圧縮することにより、前記導電粒子同士が互いに面接触して形成された面接触部を設ける第6工程と、この第6工程に続く工程である加熱工程で、前記ビアペーストを40℃以上に加熱し、前記未硬化熱硬化樹脂と前記第1潜在性硬化剤の一部との熱硬化反応を開始させる第1加熱工程と、前記第1加熱工程より高温に加熱し、前記プリプレグ中のプリプレグ樹脂を軟化させ、前記複数の第1配線間の隙間を埋める第2加熱工程と、残った前記未硬化熱硬化樹脂と前記第2潜在性硬化剤との熱硬化反応を開始させる第3加熱工程と、を有していることを特徴とする。
【0028】
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明及び添付する図面により、より明白となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、少なくとも、共に固体の第1、第2の潜在性硬化剤と、この第1、第2の潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有するビアペーストにおいて、第1の潜在性硬化剤と未硬化熱硬化樹脂の一部とを最初に熱硬化反応させ、その後、残った未硬化熱硬化樹脂と第2の潜在性硬化剤とを更に高温で熱硬化反応させることが可能となり、ビアがファイン化(小径化、狭隣接化等)した場合であっても、ビア抵抗の増加や、ビア抵抗のバラツキ発生という課題を解決し、配線基板の信頼性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のビアペーストの内容を断面で説明する模式図
【図2】(A)本発明のビアペーストの示差熱量分析(DSC)の測定結果の一例を示すグラフ、(B)〜(D)本発明のビアペーストの硬化の様子を断面で説明する模式図
【図3】本発明のビアペーストの構成部材のDSCの測定結果の一例を示すグラフ
【図4】本発明のビアペーストを構成する部材の粘度と温度の相関関係の測定結果の一例を示すグラフ
【図5】本発明の配線基板の製造方法の一例を断面で示す模式図
【図6】本発明の配線基板の製造方法の一例を断面で示す模式図
【図7】本発明の配線基板の製造方法の一例を断面で示す模式図
【図8】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図9】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図10】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図11】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図12】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図13】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図14】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図15】本発明のビアペーストが軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によっては変形しない様子を模式的に説明する断面図
【図16】(A)本発明による配線基板におけるビア部分の拡大SEM写真、(B)図16(A)の模式図
【図17】比較例1のビアペーストを用いた配線基板の製造方法の一例を模式的に説明する断面図
【図18】コア基板部の上に、矢印に示すように比較例1ビアペーストを加圧、加熱、圧着する様子を示す断面図
【図19】図18に続く工程を説明する模式的な断面図
【図20】(A)図17〜図19で説明した比較例1の変形ビアの一例を示す断面SEM写真、(B)図20(A)の模式図
【図21】プリプレグが加熱され軟化する温度より低温で、硬化してしまう比較例2ビアペーストを用いた場合に発生する課題について説明する断面図
【図22】プリプレグに形成した孔にビアペーストを充填する様子を説明する断面図
【図23】図22に続く工程を説明する断面図
【図24】図23で作製したコア基板部を用いて配線基板を作製する際に発生する課題を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1の実施の形態]
図1〜図5を用いて、本発明のビアペーストの一例について説明する。
【0032】
図1は、本発明のビアペーストの内容を断面で説明する模式図である。図1に示すように、ビアペースト110は、少なくとも、導電粒子120、未硬化熱硬化樹脂130、第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150を含んでいる。160は補助線である。ビアペースト110は、導電粒子120、未硬化熱硬化樹脂130、第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150以外に、更に加えて、溶剤や、分散剤等、ビアペースト110の印刷性を高める添加剤を添加することは有用である。
【0033】
なお第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150は、共に固体(あるいは固形)のものとすることは有用である。第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150を、共に室温(20℃)において固体(あるいは固形)のものとすることで、液化(あるいは軟化)によって、硬化反応を実質的に発現させることができる。
【0034】
なお、第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150のどちらか一つ以上を、室温(20℃)において液状とすることも有用である。こうすることで、未硬化熱硬化樹脂130との反応性を高められる。またこうした場合の硬化の発現メカニズムは、使用する液状の第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150の特性に応じて、個別に最適化すれば良い。
【0035】
第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150として、共に固体状態の潜在性硬化剤を用いることは有用である。固体状態の第1、第2潜在性硬化剤140、150を用いた場合、この潜在性硬化剤が溶融する温度(あるいは液化する、あるいは軟化する等の温度)において、未硬化熱硬化樹脂130との熱硬化反応が開始する。また互いに異なる溶融温度(あるいは固体状態から液状へ変化する温度、あるいは液化、あるいは軟化あるいは反応開始する温度)を有する、共に複数の潜在性硬化剤(例えば第1、第2潜在性硬化剤140、150)を、共に固体状態でビアペースト110に加えておくことは有用である。こうすることで互いに異なる溶融温度(あるいは固体状態から液状へ変化する温度等)において、未硬化熱硬化樹脂130との硬化反応を、多段階(あるいは互いに5℃以上異なる温度)で開始できる。
【0036】
その結果、この複数の熱硬化反応の温度間(あるいは工程間)に、プリプレグを軟化させ、またビアペースト110の変形防止を実現しながらプリプレグを流動させることができるため、ビア径が小径化、あるいは狭隣接化した場合であっても、ビア抵抗の増加や、ビア抵抗のバラツキ増加という課題の発生を防止する。
【0037】
なお潜在性硬化剤(英語では、latent hardener)とは、例えば固体状態から液状に変化する(あるいは溶融する、軟化する)ことで、未硬化状態の熱硬化樹脂との反応性を実質的に発現する硬化剤である。なお液状の潜在性硬化剤であっても(例えば、20℃において液状)のものであっても、所定温度で硬化反応を発現すれば、同様に使用できる。
【0038】
次に、図2を用いて、更に詳しく説明する。
【0039】
図2(A)は、本発明のビアペースト110の示差熱量分析(DSC)の測定結果の一例を示すグラフ、図2(B)〜(D)は、共にビアペースト110の硬化の様子を断面で説明する模式図である。170はグラフ、180は第1硬化物、190は硬化済熱硬化樹脂である。200は矢印である。
【0040】
図2(A)において、X軸(横軸)は、温度(単位は℃)であり、40℃〜240℃である。Y軸(縦軸)は示差熱量分析(DSC)の値を示す(単位は、a.u.なお任意単位arbitrary unit)。なお示差熱量分析(Differential scanning calorimetry、通称DSC)は、測定試料(例えば、本発明のビアペースト110)と、標準物質との間の熱量の差を測定するものであり、市販の測定装置を使うことができる。なお昇温速度は1℃/分以上10℃/分以下で行うことが望ましいが、これは実際の配線基板の製造工程での昇温温度(1℃/分以上10℃/分以下)に合わせるためである。
【0041】
なお測定は、DSCだけに限定する必要はない、TG/DTAを使っても良い。TG/DTA(Thermo Gravimetry/Differential Thermal Analyser)でも、DSCと同様に、本発明のビアペースト110の熱硬化挙動(特に、硬化開始温度、硬化発熱ピーク温度、硬化終了温度等)を測定することができる。また必要に応じて、TMA(Thermo Mechanical Analyzer:TMA)を用いることも有用である。なおDSC等については、JIS K7121 プラスチックの転移温度測定方法、JIS K7122 プラスチックの転移熱測定方法、JIS K7123 プラスチックの比熱容量測定方法等を参考にすれば良い。
【0042】
図2(A)において、Tp1、Tp2は、本発明のビアペースト110のDSC測定における発熱ピーク温度を示す。Tp1は未硬化熱硬化樹脂130の一部と第1潜在性硬化剤140との反応に起因する発熱のピーク温度である。Tp1は、補助線160bを用いて求めることができる。Tp2は残った未硬化熱硬化樹脂130と第2潜在性硬化剤150との反応における発熱ピークを示す温度である。Tp2は、補助線160dを用いて求めることができる。
【0043】
また第1、第2潜在性硬化剤140、150が、共に室温(20℃)で固体の場合、これらの軟化温度は、TMAで測定することができる。TMAを用いた軟化温度の測定方法については、JIS K7196 熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験法等を参考にすれば良い。
【0044】
また第1、第2潜在性硬化剤140、150の融点を、その軟化温度としても良い。
【0045】
なお第1、第2潜在性硬化剤140、150として、液状(例えば室温20℃で液状)のものについては、軟化温度の代わりに、反応性が発現する温度とすることが有用である。これは液状(少なくとも、室温20℃で液状)のものは、外部から与えられる熱等によって反応が発現するためであり、TMAで測定可能な軟化温度を有しないためである。
【0046】
図2(A)において、Ts1、Ts2は、本発明のビアペースト110のDSC測定における反応開始温度を示す。Ts1は未硬化熱硬化樹脂130の一部と第1潜在性硬化剤140との熱硬化反応の反応開始温度であり、Ts1は補助線160a等を用いて求めることができる。Ts2は残った未硬化熱硬化樹脂130と第2潜在性硬化剤150との反応の反応開始温度である。Ts2は、補助線160cを用いて求めることができる。
【0047】
なお第1、第2潜在性硬化剤140、150として、共に固体状態のものを使うことで、その溶融温度(更には反応開始温度等)を利用して、Ts1、Ts2、Tp1、Tp2等を互いに5℃以上(更には10℃以上)離すように制御することができる。
【0048】
なお図2(A)において、補助線160a〜160dの一部は、図2(A)が複雑になることを避けるため、グラフ170からわざと離して図示している。
【0049】
なおTs1、Tp1、Ts2、Tp2等の求め方、あるいはこれらを求めるのに用いる補助線160a〜160dの引き方は、JISの記載を元にし、あるいは測定装置メーカーから提供されている自動計算プログラムを用いることが有用である。
【0050】
特に第2の発熱ピークTp2は、ビアペースト110の中に含まれている、第1潜在性硬化剤140と反応しきれずに残っていた未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150とが反応することで発生する反応熱に相当する。
【0051】
このように、第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150と、別々の温度で硬化開始する未硬化熱硬化樹脂130とのバランスをとることが重要となる。
【0052】
例えば、未硬化熱硬化樹脂130の割合を、第1潜在性硬化剤140との反応に必要な量以上に多くすることで、第1潜在性硬化剤140と反応しきれなかった未硬化熱硬化樹脂130をそのまま残すことが可能になる。そしてこの残った未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150とを、より高温側で新たに反応させることができる。特に未硬化熱硬化樹脂130にエポキシ樹脂を用いた場合、そのエポキシ当量を計算することは有用である。なおエポキシ当量(単位はg/eq)は、エポキシ基1個あたりのエポキシ樹脂の分子量で定義できる。
【0053】
また第1潜在性硬化剤140、第2潜在性硬化剤150の当量は、活性水素当量あるいは活性アミン当量等から計算すれば良い。なお硬化剤側の活性水素当量やアミン当量と、エポキシ樹脂側のエポキシ当量は略同じとすることが望ましいが、製品製造上のバラツキ等を考慮した場合、僅か(例えば1wt%以下、あるいは5wt%以下)に、活性水素当量あるいは活性アミン当量の方を、エポキシ当量より多目に設定しておくことは有用である。
【0054】
以上、図2(A)に示すように、本発明のビアペースト110は、少なくとも互いに5℃以上(更には10℃以上)異なる複数の反応開始温度を有する第1、第2潜在性硬化剤140、150を有し、あるいはTs1、Ts2で示される5℃以上(更には10℃以上)異なる少なくとも2つの反応開始温度を、あるいはTp1、Tp2で示される5℃以上(更には10℃以上)異なる少なくとも2つの反応ピークを示す温度を有している。これはこれらの差が5℃未満の場合、後述する図12〜14で説明するプレプレグ230による隙間320の埋設が不十分になる可能性がある。
【0055】
図2(B)〜図2(D)は、本発明のビアペースト110の、室温(例えば20℃)前後から加熱することで、硬化反応が複数工程として進む様子を模式的に示す断面図である。
【0056】
図2(B)は、室温(20℃)付近における本発明のビアペースト110の断面を示す模式図である。図2(B)に示すように、室温付近(更には20℃付近からTs1で示す温度未満)では、ビアペースト110は少なくとも、導電粒子120、未硬化熱硬化樹脂130、固体状態の第1潜在性硬化剤140、固体状態の第2潜在性硬化剤150を含んでいる。その後、ビアペースト110を室温以上(具体的には、温度Ts1を超える温度まで)加熱することで、第1潜在性硬化剤140と未硬化熱硬化樹脂130との熱硬化反応が開始する。ここで第1潜在性硬化剤140として、室温で固体であって、融点を超えることで、あるいは固体から液化することで、未硬化熱硬化樹脂130との熱硬化反応が開始する材料を選ぶことが望ましい。その後、ビアペースト110は温度Tp1で最初の発熱のピークを示す。温度Tp1を超えた後の状態が、図2(C)の状態となる。図2(C)において、第1硬化物180とは、未硬化熱硬化樹脂130の一部と、第1潜在性硬化剤140とが互いに熱硬化し形成された硬化物である。なお図2(C)において、第1硬化物180と、未硬化熱硬化樹脂130とが、互いに混在(あるいは相溶、共存)状態とすることが望ましい。こうすることで、第1硬化物180内に含まれる未硬化熱硬化樹脂130が応力緩和効果を発現する。なお図2(C)に示すように、第1硬化物180と、未硬化熱硬化樹脂130とを混在させるためには、第1潜在性硬化剤140とで硬化しきれないように(あるいは消尽しきれないように)、多目に未硬化熱硬化樹脂130を添加しておくことが有用である。
【0057】
その後、更に加熱を続けることで、図2(A)のTs2で示す温度で、反応しきれずに残っていた未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150との硬化反応が開始する。その後、図2(A)で示す反応温度のピーク(Tp2)を経た後、図2(D)の状態となる。
【0058】
図2(D)の状態は、Tp2を越えた高温側におけるビアペースト110の硬化状態を示す模式図である。図2(D)において、ビアペースト110は、硬化済熱硬化樹脂190と、導電粒子120と、を含んでいる。硬化済熱硬化樹脂190は、第1硬化物180と、反応しきれずに第1硬化物180と共存していた未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150と、が反応してなる熱硬化物(番号は付与していない)と、からなる。なお図2(B)〜(D)において、ビアペースト110をビアホール内で硬化させた場合、後述する図10等で説明するように複数の導電粒子120同士が互いに圧着され、互いに変形してなる面接触部を形成するが、こうした部分は図示していない。
【0059】
次に図3(A)〜(C)を用いて、発明者らが作製したビアペースト110の構成部材のDSCの測定結果の一例について説明する。図3(A)〜(C)は、共に本発明のビアペースト110の構成部材のDSCの測定結果の一例を示すグラフ170a〜170cである。
【0060】
図3(A)は、ビアペースト110を構成する部材である、未硬化熱硬化樹脂130と、第1潜在性硬化剤140と、を含む混合物のDSCデータである。なお導電粒子120を添加させないことで、これら部材の温度に対する硬化挙動をより正確に測定することも可能である。
【0061】
図3(A)において、Ts1は、未硬化熱硬化樹脂130と、第1潜在性硬化剤140との反応開始温度に相当する。Ts1は、補助線(図示していない)を用いて、前述の図2(A)のようにして求めることができる。Tp1は、未硬化熱硬化樹脂130と、第1潜在性硬化剤140との反応による発熱ピークを示す温度に相当する。
【0062】
図3(B)は、ビアペースト110を構成する部材である、未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150との混合物のDSCのグラフである。なお導電粒子120を添加させないことで、これら部材の温度に対する硬化挙動をより正確に測定することも可能である。
【0063】
図3(B)において、Ts2は、未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150との反応開始温度に相当する。Ts2は、補助線(図示していない)を用いて、前述の図2(A)のようにして求めることができる。Tp2は、未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150との反応による発熱ピーク温度を示す。
【0064】
図3(C)は、ビアペースト110を構成する部材である、未硬化熱硬化樹脂130と、第1潜在性硬化剤140と、第2潜在性硬化剤150との混合物のDSCのグラフである。なお導電粒子120を添加させないことで、これら部材の温度に対する硬化挙動をより正確に測定することも可能である。
【0065】
図3(C)において、Ts1は、未硬化熱硬化樹脂130と、第1潜在性硬化剤140との反応開始温度に相当する。Tp1は、未硬化熱硬化樹脂130と、第1潜在性硬化剤140との反応による発熱ピーク温度を示す。Ts2は、第1潜在性硬化剤140によって消尽しきれなかった(あるいは残った)未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150との反応開始温度に相当する。Tp2は、第1潜在性硬化剤140によって消尽しきれなかった未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150との反応による発熱ピーク温度を示す。
【0066】
以上のように、第1、第2潜在性硬化剤140、150と、未硬化熱硬化樹脂130との反応開始温度を、互いに少なくとも5℃以上(更には10℃以上)異ならせることが有用である。
【0067】
このような選択的な反応性の違いは、反応メカニズムの設計(例えば固体の潜在性硬化剤が溶融することで反応が開始する性質を利用することで、積極的に異なる溶融温度の固体潜在性硬化剤を複数種類組合せること)、あるいは反応速度の遅い/早い、を利用することは有用である。
【0068】
なおビアペースト110に含まれる第1、第2の潜在性硬化剤140、150の融点は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上(更には20℃以上、更には30℃以上)、140℃以下(あるいは130℃以下、あるいは120℃以下)の範囲で異なるものとすることは有用である。こうすることで、ビアペースト110に、図2(A)や図3(A)〜(C)のグラフに示すように、少なくとも2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)を、更には2つ以上の反応開始温度(Ts1、Ts2)を有することができる。また少なくともこの2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)や更には2つの反応開始温度(Ts1、Ts2)は、共に40℃以上200℃以下とすることは有用である。発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)が、更には反応開始温度(Ts1、Ts2)が共に40℃未満の場合、ビアペースト110が自然硬化してしまい、ポットライフ等が短くなってしまう可能性がある。また発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)、更には反応開始温度(Ts1、Ts2)が、共に200℃を超えた場合、後述する図7(C)で説明する配線基板330として用いるプリプレグ230が特殊で高価なものとなる可能性がある。なお少なくとも2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)の差が、10℃未満の場合、複数の発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)が、1つに重なってしまい、ビア径が小径化した場合であっても、ビア抵抗の増加や、ビア抵抗のバラツキ増加という課題が発生する可能性がある。また互いに少なくとも2つの発熱ピーク温度の差が140℃より大きく異なっている場合、多層の配線基板として用いるプリプレグが特殊で高価なものとなる可能性がある。
【0069】
なおビアペースト110は、示差熱量分析において、少なくとも2つの反応開始温度(Ts1、Ts2)を有し、この少なくとも2つの反応開始温度(Ts1、Ts2)は、共に40℃以上であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なるものとすることは有用である。反応開始温度が共に40℃未満の場合、ビアペースト110が自然硬化してしまい、ポットライフ等が短くなってしまう可能性がある。また反応開始温度が、共に200℃を超えた場合、多層の配線基板として用いるプリプレグが特殊で高価なものとなる可能性がある。
【0070】
以上のように、ビアペースト110は、少なくとも共に固体の第1、第2潜在性硬化剤140、150と、この第1、第2潜在性硬化剤140、150によって硬化する未硬化熱硬化樹脂130と、導電粒子120と、を有し、第1、第2潜在性硬化剤140、150の融点は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることとすることで、少なくとも2つの発熱ピークを示す温度(Tp1、Tp2)を有するものとする。またこの2つの発熱ピーク温度を示す温度(Tp1、Tp2)を有することで、ビアペーストの温度vs粘度グラフにおいて、70℃〜160℃の温度域に粘度変化が少ない領域(一種の平坦領域)を設けることができる。そしてこの温度変化が少ない領域(すなわち、第1潜在性硬化剤140と未硬化熱硬化樹脂130との硬化物である第1硬化物180と、反応しきれなかった未硬化熱硬化樹脂130と、が共存している領域)を発生させることができる。またこの平坦領域において、プリプレグ230中に含まれるプリプレグ樹脂370を流動させることで、ビアペースト110の変形を防止することができる。
【0071】
このように、ビアペースト110を多段階硬化するものとすることで、粘度の温度に対する挙動を、配線基板に最適化することができる。
【0072】
次に、本発明のビアペースト110の粘度の温度に対する特性を最適化した一例を示す。
【0073】
図4を用いて、ビアペースト110の粘度を測定した結果の一例について説明する。粘度計としては、株式会社ユービーエム製(例えばG1000等)、HAAKE社製(例えばレオストレスRS6000等)、旧レオメトリックスサイエンティフィック社製(今のTAインスツルメント社)のRSA等の市販のレオメータを用いることは有用である。発明者らが使用したコーンプレート型のレオメータでは0.5rpm(使用したコーンの直径はφ25mm、コーン角度2度であり、ここからズリ速度等を計算することができる)である。なおレオメータでの粘度測定等については、JIS K7117−2やJIS K 6833等を参考にすれば良い。なお粘度は定常流粘度(定常回転時のトルクから求める粘度)としても良いが、動的粘度(正弦振動を与えた場合に発生する応力から求める動的粘度)とすることは有用である。
【0074】
図4(A)〜(C)は、それぞれ本発明のビアペースト110を構成する部材の粘度と温度の相関関係の測定結果の一例を示すグラフ170a〜170cである。図4において、X軸(横軸)は温度(単位は℃)、Y軸(縦軸)は粘度を示す(単位は、a.u.で示す任意。なお粘度変化は大きいため、Y軸は対数で示している)。
【0075】
図4(A)は、前述の図3(A)に示したサンプルと同等のサンプルの粘度と温度の関係の測定結果の一例であり、ビアペースト110を構成する部材である、未硬化熱硬化樹脂130と、第1潜在性硬化剤140とを含む混合物の粘度の測定結果の一例である。なお導電粒子120を添加させないことで、これら部材の温度に対する粘度変化をより正確に測定することも可能である。
【0076】
図4(A)において、Tη1aは、測定サンプルの最低粘度を示す温度である。
【0077】
図4(A)において、40℃付近ではサンプルは液状であり、Tη1aで最低粘度となり、その後100℃付近まで急激に粘度上昇し硬化する。なおTη1aは、補助線160a等を用いて求めることができる。
【0078】
図4(B)は、前述の図3(B)に示したサンプルと同等のサンプルの粘度と温度の関係の測定結果の一例であり、ビアペースト110を構成する部材である、未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150との混合物の粘度変化の測定結果の一例である。なお導電粒子120を添加させないことで、これら部材の温度に対する硬化挙動をより正確に測定することも可能である。図4(B)において、Tη2aは測定サンプルの最低粘度を示す温度である。
【0079】
図4(B)において、室温付近では液状であり、150℃付近の温度Tη2aで最低粘度を示す。その後、サンプルの硬化と共に粘度が急激に上昇する。なおTη2aは、補助線160b等を用いて求めることができる。
【0080】
図4(C)は、前述の図3(C)に示したサンプルと同等のサンプルの最低粘度の測定結果の一例であり、ビアペースト110を構成する部材であり、少なくとも未硬化熱硬化樹脂130と、第1、第2潜在性硬化剤140、150とを含む。
【0081】
図4(C)に示すTη1bは、図4(A)の最低粘度を示すTη1aより高温側に、Tη2bは、図4(B)の最低粘度を示すTη2aより低温側に、それぞれシフトしている。このようにTη1aを高温側のTη1bに、Tη2aを低温側のTη2bにと、それぞれシフトさせることで、図2(C)における第1硬化物180と、この第1硬化物180に混在している未硬化熱硬化樹脂130との混在状態を均一なものとすることができる。なおシフト温度は1℃以上20℃以下(更には15℃以下、更には10℃以下)が望ましい。シフト温度が1℃未満は測定精度等の影響を受ける可能性がある。またシフト温度が20℃を超えた場合、互いの混在状態に影響を与える可能性がある。
【0082】
また図4(C)における平坦領域210の粘度域(すなわちY軸に対する値)は、100Pa・s以上10000Pa・s以下の範囲内(更には300Pa・s以上3000Pa・s以下の範囲内)であることが望ましい。この中の範囲内の任意の値とすることで、更にこの任意の値が、対数軸(Y軸)に対して粘度変化が少ない(すなわち粘度変化が±2桁以内、更には±1桁以内、あるいは10倍以下の範囲に抑える)ことが望ましい。
【0083】
なお平坦領域210の低温側の端は、Ts1より高温(更にはTp1より高温)で、平坦領域210の高温側の端は、Tp2未満(更にはTs2未満)とする。なお量産を考慮した場合、平坦領域210の低温側の端は50℃以上、高温側の端は180℃以下が望ましい。また平坦領域の温度幅(すなわち粘度変化が±2桁以内と小さくなる範囲)は5℃以上(更には10℃以上)80℃以下が望ましい。平坦領域210の幅(図4の温度軸に対する幅)が5℃未満の場合、後述する図12〜14で説明する軟化したプリプレグ樹脂370による隙間320の充填性に影響を与える場合がある。また80℃を超えた場合、プリプレグ樹脂370にエポキシ樹脂のような安価なものを使うことが難しくなる場合がある。
【0084】
以上のようにして、後述する図7等で図示するように、少なくとも表層に第1配線340を設けたコア基板部310と、このコア基板部310上にプリプレグ230の硬化物からなる絶縁層290を介して積層された第2配線350と、絶縁層290に形成された孔240に充填され、第1配線340と第2配線350とを電気的に接続するビアペースト110であって、少なくとも、共に固体の第1、第2潜在性硬化剤140、150と、この第1、第2潜在性硬化剤140、150によって硬化する未硬化熱硬化樹脂130と、導電粒子120と、を有し、第1、第2潜在性硬化剤140、150の融点は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とするビアペースト110とすることで、ビア径が小径化した場合での、ビアペースト110の変形によるビア抵抗の増加や、ビア抵抗のバラツキ増加という課題を防止する。
【0085】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態として、本発明のビアペースト110を用いた配線基板及びその製造方法について説明する。
【0086】
図5〜図7を用いて、本発明のビアペースト110を用いた多層の配線基板及びその製造方法の一例について説明する。なお図5〜図6は、本発明のビアペースト110を用いた配線基板の一部(あるいはコア部分となる)であるコア基板部の製造方法である。このコア基板部の製造において、本発明のビアペースト110の代わりに、市販のビアペーストを用いることも可能である。なおコア基板部として、市販のガラスエポキシ製の両面基板(例えば、メッキビア孔で層間接続したもの)を用いることも可能であるが、後述する図7に示す加熱プレス時にメッキビア部が変形等の影響を受ける場合がある。
【0087】
図5(A)〜(C)、図6(A)〜(C)、図7(A)〜(C)は、共に本発明の配線基板の製造方法の一例を示す断面図である。
【0088】
はじめに図5(A)に示すように、プリプレグ230の両表面に保護フィルム220が貼り合わされたものを用意する。本実施形態において、プリプレグ230は、ガラス織布や不織布等からなる芯材(図示していない)と、この芯材に含浸させた半硬化状態のプリプレグ樹脂(図示していない)とを有している。
【0089】
保護フィルム220としては、各種樹脂フィルムが用いられる。その具体例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムの厚みとしては0.5〜50μm、さらには、1〜30μmであることが好ましい。このような厚みの場合には、後述するように、保護フィルム220の剥離により、充分な高さのビアペースト110からなる突出部270を表出させることができる。
【0090】
プリプレグ230に保護フィルム220を貼り合わせる方法としては、例えば、プリプレグ230の表面に露出した未硬化(あるいは半硬化状態の)プリプレグ樹脂(図示していない)の表面タック性を用いて、直接貼り合わせる方法が挙げられる。
【0091】
次に図5(B)に示すように、保護フィルム220が配されたプリプレグ230に保護フィルム220の外側から穿孔することにより、孔240を形成する。穿孔には、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等の非接触による加工方法の他、ドリルを用いた穴あけ等各種方法が用いられる。貫通してなる孔240の直径としては10〜500μm、さらには50〜300μm程度が挙げられる。
【0092】
次に図5(C)に示すように、スキージ250等を使って、孔240の中にビアペースト110を満充填する。ビアペースト110は、実施の形態1で説明した、導電粒子120(図示していないが、例えばCu粉等)と、未硬化熱硬化樹脂130と、共に固体の第1、第2潜在性硬化剤140、150を含有する。スキージ250としては、一般的なスクリーン印刷に使われるゴム製の市販品を使うことができる。
【0093】
Cu粒子等からなる導電粒子120の平均粒径は、0.1〜20μm、さらには、1〜10μmの範囲であることが好ましい。Cu粒子等の導電粒子120の平均粒径が小さすぎる場合には、孔240中に高充填しにくくなり、また、高価である傾向がある。一方、Cu粒子等からなる導電粒子120の平均粒径が大きすぎる場合には、径の小さいビアホール導体を形成しようとした場合に充填しにくくなる傾向がある。
【0094】
また、Cu粒子等からなる導電粒子120の粒子形状は、特に限定されない。具体的には、例えば、球状、扁平状、多角状、麟片状、フレーク状、あるいは表面に突起を有するような形状等が挙げられる。また、一次粒子でもよいし、二次粒子を形成していてもよい。
【0095】
ビアペースト110の充填方法はとくに限定されない。具体的には、例えば、スクリーン印刷などの方法が用いられる。なお、本実施形態の製造方法においては、孔240にビアペースト110を充填する場合においては、充填工程の後に、保護フィルム220を剥離したときに、ビアペースト110の一部がプリプレグ230に形成された孔240から突出して突出部270が表出するように、プリプレグ230に形成された孔240からはみ出す量を充填する必要がある。
【0096】
次に、図6(A)に示すように、プリプレグ230の表面から保護フィルム220を剥離することにより、ビアペースト110の一部を孔240から突出部270として突出させる。突出部270の高さ(h)は、保護フィルム220の厚みにもよるが、例えば、0.5〜50μm、さらには、1〜30μmであることが好ましい。突出部270の高さが高すぎる場合には、後述する圧着工程においてプリプレグ230の表面の孔240の周囲にペーストが溢れて表面平滑性を失わせる可能性があるために好ましくなく、低すぎる場合には、後述する圧着工程において充填されたビアペースト110に圧力が充分に伝わらなくなる傾向がある。
【0097】
次に、図6(A)に示すように、プリプレグ230の上に銅箔260を配置し、矢印200で示す方向にプレスする。それにより、図6(B)に示すようにプリプレグ230と銅箔260とを一体化させることにより、絶縁層290が形成される。この場合においては、プレスの当初に、銅箔260を介して突出部270に力が掛かるために孔240に充填されたビアペースト110が高い圧力で圧縮される。それにより、ビアペースト110中に含まれる複数の導電粒子120(図示していない)同士の間隔が狭められ、導電粒子120同士が互いに変形し、面接触し、ビア280を形成する。
【0098】
プレス条件はとくに限定されないが、常温(20℃)〜第1潜在性硬化剤140の融点未満(あるいは反応開始温度未満)、あるいは図2(A)の温度Ts1、あるいは図3(A)の温度Ts1未満の温度で、プレスによる加圧を開始することが望ましい。
【0099】
ここで図6(A)に示すように、プリプレグ230に形成された孔240から突出した突出部270を、銅箔260を介して押圧することにより、孔240に充填されたビアペースト110が圧縮され、導電粒子120同士が互いに接触する。圧縮において当初は導電粒子120同士は互いに点接触し、その後、圧力が増加するにつれて押し潰されて、互いに変形し面接触して面接触部380(図示していない)を形成する。このように、多数の導電粒子120同士が面接触することにより、上層の配線となる銅箔260と下層の配線となる銅箔260との間を低抵抗な状態で電気的に接続する。
【0100】
このようにして、上層の配線と下層の配線とを層間接続するためのビア280が形成される。
【0101】
次に、図6(C)に示すように、少なくとも一面に配線300を形成する。配線300は、表層に貼り合わされた銅箔260の表面にフォトレジスト膜を形成し、フォトマスクを介して選択的露光することによりパターニングした後、現像を行い、エッチングにより配線部以外の銅箔260を選択的に除去した後、フォトレジスト膜を除去すること等により形成される。フォトレジスト膜の形成には、液状のレジストを用いてもドライフィルムを用いてもよい。
【0102】
このような工程により、絶縁層290と、この絶縁層290の両面に形成された配線300であって、互いに隙間320を有して形成された複数の配線300と、この配線300の間を層間接続するビア280と、を有したコア基板部310が得られる。
【0103】
なおこのコア基板部310の製造において、本発明のビアペースト110の代わりに、市販のビアペーストを用いても良い。
【0104】
次にこのコア基板部310をさらに、多層化することにより、本発明の多層の配線基板を製造する様子について、図7を参照して説明する。
【0105】
はじめに、図7(A)に示すように、上述のようにして得られたコア基板部310の、配線300側に、図6(A)で得られたのと同様のビアペースト110からなる突出部270を有するプリプレグ230と、銅箔260とを、それぞれ配置し、重ね合わせ、重ね合わせ体(番号等は付与していない)を形成する。そして、この重ね合わせ体をプレス金型(図示していない)に挟み込み、プレス及び加熱することにより、図7(B)に示すような積層体を得る。
【0106】
その後、上述したようなフォトプロセスを用いることにより新たな配線300を、その表層に形成する。このような多層化プロセスをさらに繰り返すことにより多層の配線基板330が得られる。
【0107】
次に、図7(B)に示すように、コア基板部310の一面に突出するように形成された複数の配線300間の隙間320に、プリプレグ230に含浸されたプリプレグ樹脂(図示していない)を、矢印200bのように流動させ埋設する。
【0108】
図7(B)の補助線160で囲んだ部分に示すように、コア基板部310の一面に設けられた複数の配線300の間に形成された隙間320には、矢印200bで示すように、プリプレグ230中のプリプレグ樹脂(図示していない)が浸透し、その隙間320を充填する。
【0109】
ここでプリプレグ230の厚みが薄く(例えば100μm以下、更には50μm以下、30μm以下)となった場合、あるいはコア基板部310の一面に設けられた複数の配線300がファインパターン化した場合、その微細な隙間320をプリプレグ樹脂で埋め込むためには、プリプレグ樹脂の更なる低粘度化や、プリプレグ樹脂を隙間320の隅々まで押し込むための強力な加圧力(例えば、図7(B)の矢印200aで示す)が必要となる。プリプレグ樹脂を低粘度化し、更に強力な加圧力で、配線300の隙間320に充填しようとすればするほど、前述の図24(C)の補助線15に示すようにビアペースト110の一部が、プリプレグ樹脂の流れに押し流されてしまう可能性があった。
【0110】
こうした従来の課題に対して、本発明のビアペースト110では、例えプリプレグ230の厚みが薄くなったとしても、更にプリプレグ樹脂を従来以上に低粘度化し、強力な加圧力で、配線300の隙間320に充填しようとした場合であっても、ビアペースト110が変形しない。
【0111】
図7(C)は、こうして作製された本発明の配線基板330の断面図である。330は本発明の配線基板、340は第1配線、350は第2配線である。また図7の工程を必要回数、繰り返すことで、更なる多層化に対応することができる。
【0112】
図7(C)において、第1配線340はコア基板部310の表面に突出するように設けられた配線である。コア基板部310の上に、プリプレグ230の硬化物からなる絶縁層290を介して積層された第2配線350と、この絶縁層290に形成された孔240に充填され、第1配線340と第2配線350とを電気的に接続するビアペースト110の硬化物からなるビア280と、を有する配線基板330であって、ビアペースト110は、少なくとも、共に固体の第1、第2潜在性硬化剤140、150と、この第1、第2潜在性硬化剤140、150によって硬化する未硬化熱硬化樹脂130と、導電粒子120と、を有し、第1、第2潜在性硬化剤140、150の融点は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とする配線基板とすることで、ビアペースト110の変形を抑制し、信頼性の優れた配線基板330を提供する。
【0113】
次に、図8〜図15を用いて、本発明のビアペースト110が、プリプレグに充填され、層間接続となるビアを構成する際に変形しない理由について、更に詳しく説明する。
【0114】
図8〜図15は、共に本発明のビアペースト110が、軟化して流動し始めたプリプレグ樹脂によって押し流されない様子を模式的に説明する断面図であり、例えば図7(B)の補助線160で示した部分の拡大断面図に相当する。
【0115】
図8は、本発明のビアペースト110の一部が突出部270となったプリプレグ230を、コア基板部310の一面に形成された配線300に押し付ける様子を示す断面図であり、例えば、図7(A)の一部を拡大した断面図に相当する。
【0116】
図8に示すように、プリプレグ230は、芯材360(ガラス繊維やアラミド等の樹脂繊維からなる織布、あるいは不織布)と、この芯材360に含浸させたエポキシ樹脂等から成る半硬化状態の樹脂(以下、プリプレグ樹脂370とする)を有する。
【0117】
図8は、室温(20℃)付近から図2(A)のTs1未満の、ビアペースト110の硬化反応が開始される前の状態を示す。図8においてビアペースト110は硬化前であり、ビアペースト110の中には、共に固体状態の第1、第2潜在性硬化剤140、150や、導電粒子120、未硬化熱硬化樹脂130が含まれている。
【0118】
またビアペースト110からなる突出部270と、コア基板部310の表面に形成した配線300(図7(C)では、第1配線340として図示したもの)との間には、隙間320が存在する。
【0119】
その後、図8の矢印200aに示すように、これら部材を加圧する。なおこの加圧は、室温(20℃)付近からTs1(Ts1は図2等を参照)未満で行うことが望ましい。この温度範囲で加圧を行うことで、図9の状態とする。
【0120】
図9は、ビアペースト110からなる突出部270と、コア基板部310の表面に形成した配線300とが接触した状態を示す断面図である。なおこの加圧は、図8と同様に室温(20℃)付近からTs1(Ts1は図2等を参照)未満で行うことが望ましい。そして更に加圧を続けることで、図10の状態とする。
【0121】
図10は、ビアペースト110が加圧され、その内部に添加された複数の導電粒子120同士が矢印200aに示すように加圧され、互いに変形してなる面接触部380を介して電気的に導通する様子を示す断面図である。なおこの加圧は、図8、図9と同様に室温(20℃)付近からTs1(Ts1は図2等を参照)未満で行うことが望ましい。
【0122】
そしてこの状態のまま加圧を続け、これら部材をTs1以上に(更にはTp1前後、例えばTp1±10℃以下の範囲に)加熱することで、図11の状態とする。
【0123】
図11は、ビアペースト110中の、固体の第1潜在性硬化剤140が溶融、あるいは軟化、あるいは反応性が発現し、未硬化熱硬化樹脂130の一部と硬化反応し、第1硬化物180を形成した様子を示す。なお図11に示すように、固体の第2潜在性硬化剤150に加えて、第1硬化物180と、未硬化熱硬化樹脂130が共存することが望ましい。反応しきれずに残した未硬化熱硬化樹脂130を第1硬化物180と共存させるためには、第1潜在性硬化剤140のエポキシ当量を、未硬化熱硬化樹脂130のエポキシ当量の10%以上90%以下(更には20%以上80%以下、更には30%以上70%以下、あるいは40%以上60%以下、45%以上55%以下)とすることが望ましい。
【0124】
その後、更に加熱を続けることで、プリプレグ230に含まれるプリプレグ樹脂370を軟化させ、コア基板部310の隙間320等も埋めるようにする。
【0125】
図12は、Tp1以上に加熱することで、プリプレグ230に含まれるプリプレグ樹脂370を軟化させ、芯材360等の隙間を通じて、矢印200bに示すように流動させる様子を示す。なお図12においてビアペースト110は、その中に含まれる第1硬化物180の存在によって、プリプレグ230に含まれるプリプレグ樹脂370の流動の影響は受けない。また反応によって第1硬化物180を形成せずに残った未硬化熱硬化樹脂130が、この第1硬化物180と共存している。第1硬化物180は硬化済であっても未硬化熱硬化樹脂130が存在するため、外力に対する応力緩和が可能となり、矢印200a等による圧縮力で壊れることはない。その後、必要に応じて更に加熱を続けることで図13に示すように、プリプレグ230に含まれるプリプレグ樹脂370を、更に低粘度に軟化させ、その流動性を高めることで隙間320を埋める。こうして図14の状態とする。
【0126】
図14において、プリプレグ230とコア基板部310との隙間(特に複数の配線300間の隙間320)は、Ts1以上(更にはTp1以上)に加熱され、軟化したプリプレグ樹脂370によって埋められている。また未硬化熱硬化樹脂130の一部をプリプレグ230側へ移動させることで、ビア280中の導電粒子120の体積密度を更に高められる。
【0127】
その後、加熱を続けることで、Ts2以上に加熱することで、ビアペースト110に含まれていた、固体状態の第2潜在性硬化剤150が溶融し(あるいは反応性が発現し)、第1硬化物180と共存している未硬化熱硬化樹脂130との反応が開始する。更にプリプレグ樹脂370も硬化させることで、図15の状態となる。
【0128】
図15は、プリプレグ230もビアペースト110も共に硬化した後の状態を示す断面図である。図15において、プリプレグ樹脂370は硬化し、硬化済プリプレグ樹脂390を形成している。
【0129】
なお面接触部380を介して、導電粒子120同士を面接触させるのは、ビアペースト110は、室温(20℃)付近から図2(A)のTs1未満、あるいは図2(B)で示した状態であって、硬化が開始される前に行うことが望ましい。Ts1以上(更にはTp1以上)となった場合、第1潜在性硬化剤140と未硬化熱硬化樹脂130との硬化物(例えば、第1硬化物180)が、導電粒子同士の面接触(更にはその接触抵抗)に影響を与える場合がある。またこうした硬化反応は、プレスし加熱する際の昇温速度にも依存するため、昇温速度に応じて(更には基材内での熱伝導速度等も考慮し)、設定することが望ましい。
【0130】
なおTp1未満(更にはTs1未満)の温度域で、複数の導電粒子120同士が互いに変形してなる面接触部380を介して接触させた後に、ビアペースト110をTs1以上、更にはTp1以上に加熱することが望ましい。Ts1以上に加熱することで、固体状態の第1潜在性硬化剤140が溶融(更には反応性を発現)することで、反応性を発現させ、未硬化熱硬化樹脂130と反応し、第1硬化物180を形成することができる。またこうして形成された第1硬化物180が、その後の加熱において特に軟化したプリプレグ樹脂370が隣接した複数の配線300間の隙間320(あるいは図7(B)に示したコア基板部310の表面に設けられた第1配線340の隙間320)を埋めるために、ビアペースト110と共に流動し、ビアペースト110の形状が変形することを防止する。その後、ビアペースト110やプリプレグ230を、Ts2以上(更にはTp2前後。なお前後とは±10℃以下、更には±5℃以下が望ましい)に加熱することで、ビアペースト110中に残っていた未硬化熱硬化樹脂130と、第2潜在性硬化剤150とが反応を開始し、硬化済熱硬化樹脂190を形成する。
【0131】
また図8〜図15に示した、加圧、加熱工程は一連の連続した工程とすることは、生産工程における管理項目の低減、作業の効率化の面からも有用である。
【0132】
なお図13、14において、第1潜在性硬化剤140によって消尽(あるいは反応)しきれなかった未硬化熱硬化樹脂130が、第1硬化物180と、共に存在している。そしてこの共存している未硬化熱硬化樹脂130が、Ts2以上で液化し、実質的な反応性を発現させた第2潜在性硬化剤150と硬化反応し、ビアペースト110を硬化させ、ビア280を形成する。
【0133】
図16(A)は、本発明による配線基板におけるビア部分の拡大SEM写真、図16(B)はその模式図である。図16(A)(B)に示すように、本発明のビアペースト110を用いた配線基板330において、ビアペースト110はプリプレグ樹脂370(図16では硬化済プリプレグ樹脂390として図示)の流動の影響を殆ど受けていないことが判る。
【0134】
図16に示すように、絶縁層290は、少なくとも、ガラス織布やガラス不織布、あるいはアラミド織布あるいはアラミド不織布等からなる芯材360と、硬化済プリプレグ樹脂390とを有している。
【0135】
なお導電粒子120の平均粒径は0.1〜20μm、さらには、1〜10μmの範囲であることが好ましい。導電粒子120の平均粒径が小さすぎる場合には、ビア280中において、接触点が多くなるため導通抵抗が大きくなる傾向がある。また、このような粒径の粒子は高価である傾向がある。一方、導電粒子120の平均粒径が大きすぎる場合には、φ100〜150μmのように径の小さいビア280を形成しようとした場合に、充填率を高めにくくなる傾向がある。
【0136】
導電粒子120の純度は、90質量%以上、さらには99質量%以上であることが好ましい。導電粒子120はその銅純度が高いほどより柔らかくなる。そのために後述する加圧工程において押し潰されやすくなるために、複数の導電粒子120同士が接触する際に導電粒子120が容易に変形することにより、導電粒子120同士の接触面積が大きくなる。また、純度が高い場合には、導電粒子120の抵抗値がより低くなる点からも好ましい。
【0137】
なお、導電粒子120の平均粒径や、導電粒子120同士が面接触している面接触部380は、形成された配線基板を樹脂埋めした後、ビア280の断面を研磨(必要に応じてFOCUSED ION BEAM等の微細加工手段も使って)して作製した試料を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより確認及び測定される。
【0138】
多数の導電粒子120は互いに接触して、絶縁層290を介して絶縁された複数の配線300の間に低抵抗の導通路を形成する。このような導通路を形成させることにより絶縁層290を介して対向した複数の配線300同士(あるいは図7(C)に示した第1、第2配線340、350間)を、小さな接続抵抗で層間接続する。
【0139】
また、ビア280においては多数の導電粒子120が整然と整列することなく、図11〜図15に示すようにランダムに接触することにより、複雑なネットワークが形成されていることが好ましい。このようなネットワークを形成することにより電気的接続の信頼性を高めることができる。また、多数の導電粒子120同士が面接触する位置もランダムであることが好ましい。ランダムな位置で導電粒子120同士を面接触させることにより、熱を受けたときにビア280の内部で発生する応力や、外部から付与される外力をその変形により分散させることができる。
【0140】
ビア280中に含有される導電粒子120の体積割合としては、30〜90体積%、さらには、40〜70体積%であることが好ましい。導電粒子120の体積割合が低すぎる場合には、多数の導電粒子120が互いに面接触することにより形成された結合体の導通路としての電気的接続の信頼性が低下する傾向があり、高すぎる場合には、抵抗値が信頼性試験で変動しやすくなる傾向がある。
【0141】
一方、ビア280を構成する硬化済熱硬化樹脂190は、硬化性樹脂の硬化物からなる。硬化性樹脂は特に限定されないが、具体的には、例えば、耐熱性に優れ、また、線膨張率が低い点からエポキシ樹脂の硬化物がとくに好ましい。
【0142】
ビア280中の硬化済熱硬化樹脂190の体積割合としては、0.1〜50体積%、さらには、0.5〜40体積%であることが好ましい。硬化済熱硬化樹脂190の体積割合が高すぎる場合には、抵抗値が高くなる傾向があり、低すぎる場合には、製造時にビアペースト110の調製が困難になる傾向がある。
【0143】
以上のように、表層に複数の第1配線340を設けたコア基板部310を用意する準備工程と、プリプレグ230の表面を保護フィルム220で被覆する工程と、保護フィルム220を介してプリプレグ230に穿孔して貫通した孔240を形成する工程と、孔240に、少なくとも、共に固体の第1、第2潜在性硬化剤140、150と、この第1、第2潜在性硬化剤140、150によって硬化する未硬化熱硬化樹脂130と、導電粒子120と、を有し、第1、第2潜在性硬化剤140、150の融点は、共に40℃以上であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なるビアペースト110を充填する工程と、保護フィルム220を剥離することにより、孔240からビアペースト110の一部が突出して形成される突出部270を表出させる工程と、突出部270の一方を、第1配線340に、他方の突出部270を覆うように、前記プリプレグの少なくとも一面に銅箔260を配置する工程とを有することが望ましい。
【0144】
更に、銅箔260をプリプレグ230の表面に圧着して突出部270を通じてビアペースト110を圧縮することにより、導電粒子120同士が互いに面接触して形成された面接触部380を設ける工程と、この工程に続く工程である、加熱工程で、ビアペースト110を40℃以上に加熱し、未硬化熱硬化樹脂130と第1潜在性硬化剤140との熱硬化反応を開始させる第1加熱工程と、第1加熱工程より更に高温に加熱し、プリプレグ230中のプリプレグ樹脂370を軟化させ、複数の第1配線340間の隙間320を埋める工程と、残った未硬化熱硬化樹脂130と第2潜在性硬化剤150との熱硬化反応を開始させる第3加熱工程と、を有していることを特徴とする配線基板330の製造方法とすることが望ましい。
【0145】
以下に本発明と、従来技術とを比較した結果を示す。
【0146】
次に比較例1について、図17〜図20を用いて説明する。図17は、プリプレグ230の硬化反応と連動して硬化する従来のビアペースト(以下、比較例1熱硬化樹脂400を用いた、比較例1ビアペースト410とする)で、ビアペーストの一部が変形する様子を断面で説明する模式図である。
【0147】
図17は、比較例1ビアペースト410を用いた配線基板の製造方法の一例を模式的に説明する断面図であり、例えば図7(B)に相当する。
【0148】
図17において、比較例1ビアペースト410に含まれる、比較例1ビアペースト410に用いた比較例1熱硬化樹脂400の熱硬化開始温度は、プリプレグ230の軟化温度と、略一致している。
【0149】
図17において、比較例1ビアペースト410と、コア基板部310との間には隙間320があり、互いに接触する前である。その後、矢印200aに示すように互いを加圧、加熱し、密着させることで、図18の状態となる。
【0150】
図18は、コア基板部310の上に、矢印200aに示すように比較例1ビアペースト410を加圧、加熱、圧着する様子を示す断面図である。矢印200cは、比較例1ビアペースト410の一部(特に、突出部270を形成していた部分、あるいは芯材360によって導電粒子120の流動が妨げられていない部分)に、発生する力を示す。矢印200cによって、比較例1ビアペースト410の一部が、補助線160で示すように流動する。そして、前述の図24(C)で示したような変形ビア16となる。
【0151】
図19は、図18に続く工程を説明する模式的な断面図である。図19に示すように、矢印200cに示すように、比較例1ビアペースト410の一部が、補助線160で示すように流動する。そして、前述の図24(C)で示したような変形ビア16となる。
【0152】
図20(A)(B)は、それぞれ図17〜図19で説明した比較例1の変形したビアの一例を示す断面SEM写真と、その模式図である。
【0153】
図20(A)(B)に示すように、比較例1ビアペースト410を用いた場合、ビアペーストの一部は、補助線160に示すように大きく変形している。
【0154】
次に、比較例2について、図21を用いて説明する。図21は、比較例2として、プリプレグ230が加熱され軟化する温度より低温で、硬化してしまうビアペーストを用いた場合に発生する課題について説明する断面図である。
【0155】
図21に示すように、比較例2ビアペースト430に含まれる、比較例2熱硬化樹脂420の硬化開始温度は、プリプレグ230の軟化温度より低い。
【0156】
図21において、矢印200bは、加熱され軟化したプリプレグ230(更には軟化したプリプレグ樹脂370)が、コア基板部310の隙間320に流入し埋め込む様子を示す。矢印200cは加熱され軟化したプリプレグ樹脂370が、比較例2ビアペースト430を変形させようとする力を示す。
【0157】
図21において、比較例2ビアペースト430の反応開始温度は、プリプレグ230の軟化温度(更には流動開始温度)より低いため、プリプレグ230が矢印200bに示すように流動する前に硬化している。その結果、比較例2ビアペースト430は、変形し、前述の図24(C)で示したような変形ビア16となることはない。しかしながら、図21に示すように、複数の導電粒子120間には、熱硬化済みの比較例2熱硬化樹脂420が存在し、この比較例2熱硬化樹脂420が導電粒子120間の電気的接触を妨げる可能性がある。そのため比較例2では、ビア抵抗が大きくなり、ビア抵抗のバラツキが増加する可能性が考えられる。
【0158】
次に、本発明による試作品(以下、本発明)と、上記比較例1での試作品(比較例1)、比較例2での試作品(比較例2)の絶縁信頼性について比較した結果を、[表1]に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
[表1]で示す絶縁信頼性の評価は、隣接する2つのビア間(項目:Via/Viaとして記載)と、隣接するビアと配線間(項目:Via/Lineとして記載)で行った。また互いの絶縁距離は、0.4mmと、0.3mmで行った。またビア径は、φ150μmとφ100μmで行った。なお評価数は、外形寸法600mmのテスト基板に設けた複数個のテストパターンを用いて、何回か行った。そして内部規格での絶縁信頼性結果が良好なものを良品○(合格)と、ほとんどが良品であったが一部に課題が残るものを△(課題有り)、内部規格の絶縁信頼性を満足しなかった場合を×(不合格)とした。
【0161】
[表1]より、本発明による試作品(本発明品)と、比較例2は共に絶縁信頼性を満足することが判る。比較例1で絶縁信頼性が×となった試作品の内部構造を解析したところ、図20に示すように、ビアペーストの一部が大きく変形している部分が見つかった。
【0162】
一方、本発明品や比較例2による試作品の内部構造を観察したが、図16等に示すように、ビアペースト110の変形は殆ど発生していなかった。
【0163】
次にビア抵抗について測定した結果を、[表2]に示す。ビアホール(N=100個)の抵抗値を4端子法によって測定し、その平均値が2mΩ未満を○(合格)、2〜3mΩを△(高め)、3mΩより高いものを×(不合格)として、[表2]に記載した。また抵抗値バラツキはCV値(CV値=標準偏差/平均値を、%表示したもの)で評価し、CV値20%未満を○(合格)、20%以上50%未満を△(バラツキ大)、50%以上を×(課題有り)として、[表2]に記載した。
【0164】
【表2】

【0165】
[表2]より、本発明による試作品と、比較例1は、共にビア抵抗が低く、かつ、ビア抵抗のバラツキ(CV値)も小さいことが判る。これは試作品を解析した結果からも、本発明による試作品や、比較例1では、図15や図18に示したように、複数の導電粒子120同士が互いに変形してなる面接触部380を介してビア280内に、多数の導電パス(あるいは導電路)を形成したためと考えられる。一方、比較例2において、ビア抵抗が高く、更にビア抵抗のバラツキも大きい原因は、図21に示すように、複数の導電粒子120の間で硬化した比較例2熱硬化樹脂420が、導電粒子120同士の電気的接続に影響を与えたためと考えられた。
【0166】
[実施の形態3]
実施の形態3では、実施の形態1や2で説明したビアペースト110に用いる各部材について更に詳しく説明する。
【0167】
第1、第2潜在性硬化剤140、150としては、一液性エポキシ樹脂用の潜在性硬化剤(硬化促進剤と呼ばれる場合もある)を用いることは有用である。潜在性硬化剤としては、高沸点活性水素化合物、第3アミン・イミダゾール塩、ルイス酸・プレンステッド酸の塩等を用いることができる。例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアミキュア(登録商標)(例えば、アミンアダクト系、ヒドラジド系、複合系、DICY系)の中から選ぶことは有用である。例えば、アミキュアPN−23の融点(軟化点)は105℃、MY−24の融点(軟化点)は120℃である。またアミキュアVDHの融点は120℃、UDHの融点は160℃である。
【0168】
また四国化成工業株式会社からは、イミダゾール誘導体をベースとした潜在性硬化剤(エポキシ−イミダゾールアダクト等)が、各種販売されている。
【0169】
また株式会社T&K TOKA製のフジキュアー(登録商標)FXR−1020、FXR−1030、FXR−1081、FXR−1121等を用いることも有用である。また旭化成イーマテリアルズ株式会社製のノバキュア(登録商標)等、アミンアダクト化合物系を用いることは有用である。また芳香族アミン型、BPA型フェノール樹脂として、活性水素量が210〜1050(g/eq)のものが新日鐵化学等より販売されている。
【0170】
なお潜在性硬化剤の反応は、必ずしも融点にて発現する必要は無い。融点より低い温度(例えば融点より5℃〜20℃程度低い温度)において、未硬化熱硬化樹脂130と硬化反応を開始しても良い。これは本発明において、第1、第2潜在性硬化剤140、150の融点を積極的に異ならせること、あるいは異なる2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)や、異なる2つの反応開始温度(Ts1、Ts2)を発現させるための手段として、2つの潜在性硬化剤の融点を互いに異ならせるためである。
【0171】
なお軟化温度の測定方法としては、ビカット軟化温度(JIS K7206、ISO 306、ASTM D1525)を選ぶことができる。なお試験方法としては、A−50法、A−120法、B−50法、B−120法等を適宜選択すれば良い。またJIS K2207の環球式軟化点試験法を選んでも良い。またTMAに付属されている針入りプローブを用い、プローブが資料に接している状態から、試料が柔らかくなるにつれてプローブが試料に埋まる過程を測定し、TMAのグラフを元に計算により軟化点を特定することも有用である(例えば、JIS K 7196等)。
【0172】
また未硬化熱硬化樹脂130としては、市販の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが有用である。液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三菱化学製(あるいはジャパンエポキシレンジ株式会社製)のエピコート(登録商標)の中から、適当な品番を選ぶことは有用である。
【0173】
なお導電粒子120は、銅粉、銀コート銅粉等の金属粉の群の中から選ばれた、1つ以上の金属粉から選ぶことが有用である。
【0174】
また本発明の配線基板330に用いるプリプレグ230の軟化温度(あるいは軟化開始温度)は、Ts1より高温側(更にはTp1より高温側)とすることは有用である。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明によれば、携帯電話等に使われる多層の配線基板の更なる低コスト化、小型化、高機能化、高信頼性化が実現できる。
【符号の説明】
【0176】
110 ビアペースト
120 導電粒子
130 未硬化熱硬化樹脂
140 第1潜在性硬化剤
150 第2潜在性硬化剤
160 補助線
170 グラフ
180 第1硬化物
190 硬化済熱硬化樹脂
200 矢印
210 平坦領域
220 保護フィルム
230 プリプレグ
240 孔
250 スキージ
260 銅箔
270 突出部
280 ビア
290 絶縁層
300 配線
310 コア基板部
320 隙間
330 配線基板
340 第1配線
350 第2配線
360 芯材
370 プリプレグ樹脂
380 面接触部
390 硬化済プリプレグ樹脂
400 比較例1熱硬化樹脂
410 比較例1ビアペースト
420 比較例2熱硬化樹脂
430 比較例2ビアペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストであって、
少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、
前記第1、第2潜在性硬化剤の軟化温度は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とするビアペースト。
【請求項2】
少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストであって、
少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、
示差熱量分析において、少なくとも2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)を有し、
前記2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とするビアペースト。
【請求項3】
少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストであって、
少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、
示差熱量分析において、少なくとも2つの反応開始温度(Ts1、Ts2)を有し、
前記2つの反応開始温度(Ts1、Ts2)は、共に40℃以上であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とするビアペースト。
【請求項4】
少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストであって、
少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、
50℃以上180℃以下の温度域に、粘度変化が小さい平坦領域を5℃以上の範囲で有しているビアペースト。
【請求項5】
少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストの硬化物からなるビアと、を有する配線基板であって、
前記ビアペーストは、少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、
前記ビアペーストは示差熱量分析において、少なくとも2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)を有し、前記2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)は、共に40℃以上200℃以下であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とするビアペーストを用いた配線基板。
【請求項6】
少なくとも表層に第1配線を設けたコア基板部と、このコア基板部上にプリプレグの硬化物からなる絶縁層を介して積層された第2配線と、前記絶縁層に形成された孔に充填され、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続するビアペーストの硬化物からなるビアと、を有する配線基板であって、
前記ビアペーストは、少なくとも第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有し、
前記ビアペーストは示差熱量分析において、少なくとも2つの発熱ピーク温度(Tp1、Tp2)を有し、前記2つの反応開始温度(Ts1、Ts2)は、共に40℃以上であって、互いに10℃以上140℃以下の範囲で異なることを特徴とするビアペーストを用いた配線基板。
【請求項7】
表層に複数の第1配線を設けたコア基板を用意する準備工程と、
プリプレグの表面を保護フィルムで被覆する第1工程と、
前記保護フィルムを介して前記プリプレグに穿孔して孔を形成する第2工程と、
前記孔に、少なくとも互いに異なる硬化開始温度を有する第1、第2潜在性硬化剤と、この第1、第2潜在性硬化剤によって硬化する未硬化熱硬化樹脂と、導電粒子と、を有するビアペーストを充填する第3工程と、
前記第3工程の後、前記保護フィルムを剥離することにより、前記貫通孔から前記ビアペーストの一部が突出して形成される突出部を表出させる第4工程と、
前記突出部を覆うように、前記プリプレグの少なくとも一面に銅箔を配置する第5工程と、
前記銅箔を前記プリプレグの表面に圧着して前記突出部を通じて前記ビアペーストを圧縮することにより、前記導電粒子同士が互いに面接触して形成された面接触部を設ける第6工程と、
この第6工程に続く工程である、加熱工程で
前記ビアペーストを40℃以上に加熱し、前記未硬化熱硬化樹脂と前記第1潜在性硬化剤との熱硬化反応を開始させる第1加熱工程と、
前記第1加熱工程より高温に加熱し、前記プリプレグ中のプリプレグ樹脂を軟化させ、前記複数の第1配線間の隙間を埋める第2加熱工程と、
残った前記未硬化熱硬化樹脂と前記第2潜在性硬化剤との熱硬化反応を開始させる第3加熱工程と、
を有していることを特徴とする配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図16】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−4763(P2013−4763A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134886(P2011−134886)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】