説明

ビスピリジニウムアルカン(オクテニジンジヒドロクロリド)を含有する抗菌活性組成物

a)0.001〜10重量%のビスピリジニウムアルカン(例えば、オクテニジンジヒドロクロライド)、b)0.1〜30重量%のノニオン性界面活性剤、c)0〜40重量%の芳香族アルコール、及びd)アルカンジオールとアルカントリオールから選ばれる0.01〜10重量%のポリオールを含む、水性系組成物の記載が、本発明により与えられる。組成物は、洗口液として、現行の市販製品より活性であり、快い味覚と低い発泡傾向により特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスピリジニウムアルカンを含有する水系抗菌活性組成物と、また、その組成物の洗口液或いは経口消毒薬としての使用に関する。
【0002】
不利益を有する種々の活性化合物に基づく多くの洗口液が存在する。例えば、洗口液中に使用される活性化合物クロルヘキシジンは、長期使用の場合、歯、プラスチック充填物及び舌後部の黒褐色着色のような副作用のリスクを有し、それらは、専門的機械的歯磨きにより除去されねばならない。更に、味覚障害、口粘膜の剥離と損傷が起こり得る。創傷治癒障害も、手術後即時適用の結果として記載されている。
【0003】
加えて、アナフィラキシー反応と過敏症も報告されている。クロルヘキシジンの使用期間は、これら既知の副作用を考慮して、14日を超えてはならない。
【0004】
更に、ポリビニルピロリドン-ヨード(PVP-ヨード)に基づく経口消毒薬が知られている。それらの使用により、蛋白質は、それらの活性に対する効力をもたらすことができる。加えて、製品の着色は、布にしみをもたらす。加えて、製品の弱いか全くない残効性とヨウ素或いはヨウ化物の再吸収が存在する。PVP-ヨードに基づく経口消毒薬の使用を妨害する禁忌症は、ヨウ素感受性として知られる甲状腺、妊娠及び分泌障害である。
【0005】
ヘキセチジンに基づく製品についても、過敏症反応が起こり得る。加えて、ヘキセチジンは、毒性的に懸念されるホルムアルデヒド放出化合物である。
【0006】
先行技術によると、加えて、トリクロサンが、重要な薬剤への耐性の形成を誘導する洗口液のための活性化合物として知られる。(C. Rungtip, K. Beinlich, T. T. Hoang, A. Becher, R. R. Karkhoff-Schweizer, H.P. Schweizer, Cross-Resistance between Triclosan and Antibiotics in Pseudomonas aeruginosa Is Mediated by Multidrug Efflux Pumps: Exposure of a Susceptible Mutant Strain to Triclosan Selects nfxB Mutants Overexpressing MexCD-OprJ, Antimicrob. Agents and Chemother. 45 (2001) 428-432)参照。)
加えて、フェノール化合物として毒性的に懸念されるチモール、オイカプリトール及びメントール活性化合物に基づく経口消毒薬が知られている。
【0007】
加えて、ビスピリジニウムアルカン(例えば、N-N’-(1,10-デカンジイルジ-1-[4H]-ピリジニル-4-イリデン)ビス-(1-オクタナミン)ジヒドロクロライド(今後は、オクテニジンという))を含有する化合物の使用。オクテニジンは、以下の共鳴極限構造を有するビスピリジニウムアルカンである。
【化1】

【0008】
例えば、US-A-4 206 215は、ビスピリジニウムアルカンが抗微生物剤、特に歯垢防止歯科用剤として使用することができるという事実を記載している。WO 02/02128は、オクテニジンを含み得る健康増進用局所経口組成物を開示している。EP-A2-0 252 278は、消毒剤とそれの皮膚と粘膜の消毒のための使用を開示している。消毒剤はアルコールと過酸化水素或いは水性相で過酸化水素を生成する化合物を基礎として処方され、オクテニジンを含み得る。
【0009】
EP-A1-0 411 315は、オクテニジンジヒドロクロリドと、また、フェノキシエタノール及び/又はフェノキシプロパノールを規定量で含有する粘膜消毒としての、また創傷処置のための水性消毒組成物を開示している。実施例の処方は、洗口溶液のために望ましくない強い発泡をもたらすココアミドプロピルベタイン((3-ココアミドプロピル)ジメチルアザニウミルアセテート)を含むか、大量の脂肪族アルコールとシリコン油を含むが、それらは、脂肪酸の不快な味覚の故に、口腔内での使用には不利である。
【0010】
US 2006/0 051 385 A1は、カチオン性消毒組成物とその使用に関する。組成物は、一般的開示によりオクテニジンを含み得る。如何にしてオクテニジン含有洗口液が処方され得るかについての特定の教示は、開示文書からは引き出されず、何れの例にも開示されていない。
【0011】
加えて、オクテニジンは、本出願人の粘膜及び創傷消毒剤オクテニセプト(octenisept、登録商標)に長期間成功裏に使用されてきた。欠点は、洗口液としての適切性を損なう、うがい時の市販品の苦い味と発泡性である。
【0012】
したがって、本発明の目的は、先行技術に記載された欠点に打ち勝つ組成物を提供することである。特に、組成物は、
-十分に無味か、例えば、オクテニジンの苦味を有さず、快い味であること、
-うがい時の発泡を生じないこと
-低濃度の活性化合物で、広範な微生物スペクトルに抗して十分に活性である、特に、スタフィロコッカスアウレウス(Staphylococcus aureus)とエンテロコッカスファエカリス(Enterococcus faecalis)型のメチシリン耐性種に抗して活性なこと、
-比較的長期間での使用の場合においてさえ、毒性的に無害であること
を備えねばならない。
【0013】
この目的は、
a)0.001〜10重量%のビスピリジニウムアルカン
b)0.05〜30重量%のノニオン性界面活性剤
c)0〜40重量%の芳香族アルコール、及び
d)0.01〜10重量%のアルカンジオールとアルカントリオールから選ばれるポリオール
を含む、水性系抗菌活性組成物により達成されることが、今回、驚くべきことに見出された。
【0014】
更なる随意の成分は、
e)フルーツ酸及び/又はその塩、
f)香料及び/又は甘味料、及び/又は
g)酸、塩基及び/又は緩衝剤
である。
【0015】
本発明は、とりわけ、ビスピリジニウムアルカンに悪影響を及ぼさないノニオン性界面活性剤を使用することにより、うがい時に発泡せずに、無味である組成物が得られるということが見出されたという事実に基づいている。加えて、快い味に追加的に貢献する香料は、本発明による組成物中において、より良好に溶解性である。加えて、本発明の組成物は、経口消毒剤及び洗口液に関連する全ての有機体に抗して非常に高い活性であると同時に、非常に良好な適合性と受容性を有する。例えば、ほんの0.1重量%のオクテニジン活性化合物含有量を有する本発明の組成物は、0.2重量%のクロルヘキシジンジグルコネートを活性化合物として含む市販品クロルヘキサムドフォルテ(Chlorhexamed forte、登録商標)より活性であることが、例から理解できる。
【0016】
a)ビスピリジニウムアルカン
本発明の組成物は、少なくとも一つのビスピリジニウムアルカンを含む。ビスピリジニウムアルカンという表現はDE 27 08 331 C2 及びDE 102 05 883 A1に開示されたビス[4-(置換-アミノ)-1-ピリジニウム]アルカンを含む。ビスピリジニウムアルカンに関する全ての記載は物質のクラス全体に適用されるが、それらは、特に、本発明の具体例で好まれるオクテニジンに適用される。
【0017】
特に好ましくは、オクテニジンは、成分a)として使用される。
【0018】
成分a)の好ましい濃度は、0.01〜1重量%、好ましくは、0.03〜0.5重量%、より好ましくは、0.05〜0.2重量%、特に、0.08〜0.12重量%、例えば0.1重量%である。
【0019】
b)ノニオン性界面活性剤
本発明による組成物中に使用されることのできる好ましいノニオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールポリアルコキシレート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド及びアルコキシル化(特に、エトキシ化)脂肪酸モノグリセリドから選ばれ、5〜100個のエトキシ基により置換された脂肪酸モノグリセリド、特に、20〜70個のエトキシ基、例えば、約40個のエトキシ基により置換されたような脂肪酸モノグリセリド(すなわち、40個のエチレンオキシド単位を含むマクロゴルグリセロールヒドロキシステアレートであり、CognisからEumulgin HRE 40 PH(登録商標)及びBASFからCremophor RH 40(登録商標)という名称で入手可能である。)が好ましい。
【0020】
アルコールポリアルコキシレートは、また、脂肪族アルコールアルコキシレート、例えば、種々のエチレンオキシドフラクションを含むイソデシルエトキシレート、イソトリデシルエトキシレート、ステアリル、ラウリル及びオレイルアルコールのポリエチレングリコールエステルを含む。アルコールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド或いはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの任意の所望の混合物でアルコキシ化されたものであってよい。アルコールポリアルコキシレートは、とりわけ、Lutensol(登録商標)、Marlipal(登録商標)、Marlox(登録商標)、Brij(登録商標)及びPlurafac(登録商標)の名称で知られる。
【0021】
加えて、ノニオン性界面活性剤として、ポリソルベートと定義される、通常、オレアート、ステアレート、ラウレート及びパルミテートとして存在するソルビタンエステルの使用がなされる(例えば、ツイーン(登録商標))。
【0022】
加えて、ノニオン性界面活性剤として、アルキルグリコシドの使用がなされる。
【0023】
この場合、成分b)の好ましい量は、0.1〜20重量%若しくは0.2〜15重量%、好ましくは、0.3〜10重量%、特に、0.5〜5重量%のような、0.4〜8重量%、例えば、0.7〜2重量%、例えば、1.0重量%の範囲である。
【0024】
c)芳香族アルコール
本発明により使用される芳香族アルコールは、好ましくは、(i)アリールオキシアルカノール(グリコールモノアリールエーテル)、(ii)アリールアルカノール及び(iii)オリゴアルカノールアリ−ルエーテルから選ばれる。
【0025】
(i)本発明により使用されるアリールオキシアルカノールは、Rが、独立してH(n≧2)若しくはC〜Cアルキルであり、nが整数、好ましくは、2〜10、より好ましくは、2〜6、特に、2或いは3である、式Ar-O-(CHR)-OHを有する。ここで、基Arは、核置換或いは非置換アリール基であってよく、非置換アリール、例えば、フェニル若しくはナフチルが好ましい。本発明により使用される例のアリールオキシアルカノールは、フェノキシエタノールとフェノキシプロパノールである。好ましいフェノキシプロパノールは、1-フェノキシプロパン-2-オール、2-フェノキシプロパン-1-オール或いはそれらの混合物及びまた、3-フェノキシプロパン-1-オールである。
【0026】
(ii)本発明により使用されるアリールアルカノールは、Rが、独立してH若しくはC〜Cアルキルであり、nが整数、好ましくは、1〜10、より好ましくは、1〜6、特に、1,2,3或いは4である、式Ar-(CHR)-OHを有する。ここで、基Arは、核置換或いは非置換アリール基であってよく、非置換アリール、例えば、フェニル若しくはナフチルが好ましい。例のアリールアルカノールは、3-フェニルプロパン-1-オール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール(3,4-ジメトキシフェニルメチルアルコール)、ベンジルアルコール及び2-メチル-1-フェニル-2-プロパノールである。(iii)オリゴアルカノールアリ−ルエーテルは、例えば、フェノキシジエタノール、トリエタノール及びオリゴエタノール並びにフェノキシジプロパノール、トリプロパノール、トリエタノール及びオリゴプロパノールを含む。
【0027】
特に好ましい成分c)は、フェノキシエタノールである。
【0028】
成分c)の好ましい量は、0.2〜15重量%、好ましくは、0.3〜10重量%、より好ましくは、0.4〜8重量%、特に、0.7〜3重量%のような、0.5〜7重量%、例えば、約2.0重量%の範囲である。
【0029】
d)ポリオール
好ましいポリオールは、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ソルビトール、(ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール)及びグリセロールから選ばれ、グリセロールが、特に好ましい。成分d)の好ましい量は、0.05〜5重量%、好ましくは、0.1〜3重量%、より好ましくは、0.2〜2重量%、特に、0.3〜0.7重量%のような、0.25〜1重量%、例えば、約0.4重量%である。
【0030】
e)フルーツ酸及び/又はその塩
本発明の組成物は、加えて、e)0.05〜10重量%の少なくとも一つのフルーツ酸及び/又はその塩を含み得る。適切なフルーツ酸は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、フマール酸及びコハク酸から選ばれ、グルコン酸ナトリウムが、特に好ましい。成分e)の好ましい量的範囲は、0.1〜5重量%、好ましくは、0.2〜3重量%、より好ましくは、0.25〜2重量%、特に、0.3〜0.7重量%のような、0〜1重量%、例えば、約0.4重量%である。
【0031】
f)香料及び/又は甘味料
本発明の組成物は、加えて、f)0.025〜10重量%の香料及び/又は甘味料を含み得る。適切な甘味料は、アリテーム、アスパルテーム、ズルチン、ネオヘスペリジンDC、ステビオサイド、スクラロース、スオサン及びソウマチンから選ばれる。ネオヘスペリジンDC(ネオヘスペリジンジヒドロカルコン;1-(4-((2-O-[6-デオキシ-α-L-マンノピラノシル]β-D-グルコピラノシル)オキシ)-2-6-ジヒドロキシフェニル)-3-[3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル]-1-プロパノン)は、次の式
【化2】

【0032】
ネオヘスペリジンD
を有する化合物である。
【0033】
特に好ましい甘味料は、アスパルテーム及び/又はネオヘスペリジンDCで与えられる。
【0034】
好ましい香料は、ビスピリジニウムアルカンの苦味を十分にカバー或いはマスクし、使用者により良好に受容されるものである。
【0035】
g)酸、塩基及び/又は緩衝剤
本発明の組成物は、加えて、pHを設定するための酸、塩基及び/又は緩衝剤を含む。この場合、成分g)が、2〜8、好ましくは、2.5〜7、より好ましくは、3.5〜5のような、3〜6、例えば、約4にpHを設定する量で存在することが好ましい。
【0036】
好ましい重量比は、
-成分a):香料-1:100〜50:1、好ましくは、1:10〜2:1;
-成分a):甘味料-1:200〜5000:1、好ましくは、1:10〜10:1;
-香料:甘味料-1:20〜1000:1、好ましくは、1:10〜100:1;
である。
【0037】
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも50重量%の、より好ましくは、少なくとも60重量%の、特に、少なくとも80重量%のような、特に、少なくとも70重量%の、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%の水含有量を有する水性溶液として存在するがゆえに、典型的には、単一相で、透明である。
【0038】
本発明によれば、種々の成分の存在は、必要ではないか、不利益でさえあることが判明した。したがって、これら成分は、本発明の好ましい具体例の組成物中には存在しない。
【0039】
-好ましくは、本発明によれば、US 2005/0 169 852 A1により必須であると規定される4級アンモニウム化合物を含まない。本発明により存在するビスピリジニウムアルカンとは対照的に、例えば、セチルピリジニウムクロライド及びベンザルコニウムクロライドのような4級アンモニウム化合物は、うがい時に、猛烈な泡の発生をもたらす。
【0040】
-本発明による好ましい組成物は、EP 0252 278 A2により必須であると規定される過酸化水素或いは過酸化物放出化合物を含まない。過酸化物の欠点は、不十分な粘膜適合性と限定された処方の安定性である。
【0041】
-加えて、本発明による組成物は、US 4 420 484 A1により提案される2つの活性化合物のクラス、ベタイン及び/又はアミンオキシドを含まない。市販されている通常のベタイン、例えば、ココアミドプロピルベタインは、水性組成物中の望ましくない激しい発泡をもたらす。加えて、アミンオキシドの存在は、発癌性として知られそれゆえ懸念されるニトロソアミンの発生を伴うとみなされる。
【0042】
-加えて、本発明による組成物は、DE 42 01391により必須であると規定されるホルムアルデヒドを含まない。アルデヒドは、毒性的に懸念される。
【0043】
-加えて、本発明による調製物は、シリコンオイルを含まない。シリコンオイルは、典型的には低い水溶性を有し、それゆえその存在は単一相組成物の製造の障害となる。
【0044】
-本発明の好ましい組成物は、5重量%未満のような10重量%未満の、特に、3重量%未満の、例えば、1重量%未満の含有量の脂肪族アルコールを有する。特に好ましい具体例では、脂肪族アルコールは存在しない。
【0045】
加えて、本発明は、洗口液或いは経口消毒剤としての抗菌活性化合物の使用に関する。最も重要な適応は、
-歯科処置及び顎外科処置前の抗菌洗口;
-化学療法-或いは放射線治療で誘起されるムスコシチス(muscositis)の予防と治療;
-免疫抑制患者の口腔衛生の改善;
-感染体の口腔への偶発的吸引後の抗菌洗口;
-手術前或いは手術後の処置;
-上顎間固定による顎破損の場合の抗菌経口手当て;
-歯髄管消毒;
-虫歯と歯周組織の処置;
-インプラント;
-特定の患者群(例えば、免疫抑制患者)の日常口腔衛生のための追加的洗口;
-その歯を手で磨くことのできない患者の歯垢形成の減少と歯肉炎の予防;
-エアロジル中の微生物数の減少のための事前或いはその間の歯の処置;
-リスクに晒される患者での菌血症の防止と減少(例えば、心内膜炎の予防);
-集中治療患者の感染防止;
-人口呼吸患者の感染防止;
-口内注射前処置;
-口腔内多耐性微生物の保菌者の処置(例えば、MRSA)
である。
【0046】
特に、本発明は、上記成分a)〜d)及び必要ならばe)、f)及び/又はg)の洗口液を製造するための、特に、MRSA及び/又はイー ファエカリスを防除するための使用にも関する。
【0047】
全ての適応はオクテニジンを含む洗口液及び/又は経口消毒剤により使用され得る。例えば、MRSA(メチシリン耐性エス アウレウス)のような多耐性病原体での感染の場合の処置及び歯周組織と歯髄管の処置が好ましい。歯髄管感染で重要な微生物イー ファエカリスへの有効性の比較は、本発明による好ましい処方が、クロルヘキサメド フォルテ(登録商標)より顕著に良好に作用することを示す。
【0048】
本発明の利益は、特に、以後の例から理解される。
【0049】

処方
【表1】

【0050】
例1
イー ファエカリス(ATCC19433)を使用する定量的懸濁液実験
使用された方法:2001年9月1日の化学殺菌法試験のためのDGHM(衛生学と微生物学のためのドイツ協会)標準法から抜粋
9. 細菌若しくは真菌の定量的活性の決定
懸濁液実験
9.1 細菌(ミコバクテリアを除く)と真菌を使用する定量的懸濁液実験
9.1.3 方法論
9.1.3.1 原理
試験下の製品の試料が、細菌若しくは真菌懸濁液で準備され、この混合物は、試験温度に保たれる。処置時間の選択決定後、混合物のアリコートは、存在する細菌若しくは真菌の特性を調査するために、確認された方法によりすぐに中和される。各試料において、細胞数が測定され、そこでの減少が計算される。選択方法は、希釈中和法である。ただ適切な中和剤が見出されなければ、膜ろ過法が使用されてもよい。比較的低いか比較的高い有機物使用量での試験が、試験されるべき調製物の使用状態に対応する。
【0051】
9.1.5評価
栄養媒体は、CFU(コロニー形成単位)の量が15〜300であるところで、主に評価される。減少係数(RF)は、次の公式により計算される:
Log10RF=Log10(CFUcol)−Log10(CFU D)
CFUcol 製品の処置なしでのmlあたりCFU計数
CFU D 製品の処置後のmlあたりCFU計数
試験報告では、CFU値は、希釈段階あたりで挙げられねばならず、Log10(CFU D)とRF値も表にされねばならない。
【0052】
処方9と市販製品との比較。減少係数が挙げられている。
【表2】

【0053】
(1)Conc.=濃度
結果:
0.1%だけのオクテニジンを含む処方9は、0.2%のクロルヘキシジンジグルコネートを含むクロルヘキサメド フォルテ(登録商標)より、歯髄管の処置に関連する有機体エンテロコッカスファエカリスに抗して顕著により良好に作用する。
【0054】
例2
汚染条件下種々のMRSA分離菌を使用する定量的懸濁液実験(処方6)
多耐性スタフィロコッカスアウレウス分離菌に抗する処方6の抗菌活性が試験された。抗菌活性は、DGHM Methods Book 2001 (mhp Verlag, ISBN 3-88681-042-9)による「汚染条件」下、定量的懸濁液実験で測定された。選ばれた処置時間は10、20及び30秒であった。使用されたNos. 740、686及び710のMRSA分離菌は、Hygiene-Institut Hamburgにより提供された。
【0055】
減少係数が、提示されている:
【表3】

【0056】
結果:
オクテニジン含有洗口液は、試験された濃度で、10秒の処置時間でさえも、使用された全てのMRSA分離菌に抗して十分な活性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.001〜10重量%のビスピリジニウムアルカン
b)0.05〜30重量%のノニオン性界面活性剤
c)0〜40重量%の芳香族アルコール、及び
d)0.01〜10重量%のアルカンジオールとアルカントリオールから選ばれるポリオール
を含む、水性系抗菌活性組成物。
【請求項2】
成分a)が、オクテニジンジヒドロクロライドであることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
0.01〜1重量%、好ましくは、0.03〜0.5重量%、より好ましくは、0.05〜0.2重量%、特に、0.08〜0.12重量%、例えば0.1重量%の成分a)を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
ノニオン性界面活性剤が、脂肪族アルコールポリアルコキシレート、ポリソルベート、アルキルグリコシド及びアルコキシル化脂肪酸モノグリセリド並びにそれらの混合物から選ばれ、5〜100個のエトキシ基により置換された脂肪酸モノグリセリドが好ましく、特に、20〜70個のエトキシ基、例えば、40個のエトキシ基により置換された脂肪酸モノグリセリドであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の組成物。
【請求項5】
0.2〜15重量%、好ましくは、0.3〜10重量%、特に、0.5〜5重量%のような、0.4〜8重量%、例えば、0.7〜2重量%、例えば、約1.0重量%の成分b)を含むことを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の組成物。
【請求項6】
芳香族アルコールは、i)アリールオキシアルカノール、ii)アリールアルカノール及びiii)オリゴアルカノールアリ−ルエーテル並びにそれらの混合物から選ばれ、フェノキシエタノールが、成分c)として特に好ましいことを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の組成物。
【請求項7】
0.2〜15重量%、好ましくは、0.3〜10重量%、より好ましくは、0.4〜8重量%、特に、0.7〜3重量%のような、0.5〜7重量%、例えば、約2.0重量%の成分c)を含むことを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載の組成物。
【請求項8】
ポリオールは、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、グリセロール、ソルビトール及びそれらの混合物から選ばれ、グリセロールが、成分d)として特に好ましいことを特徴とする、請求項1〜7何れか1項記載の組成物。
【請求項9】
0.05〜5重量%、好ましくは、0.1〜3重量%、より好ましくは、0.2〜2重量%、特に、0.3〜0.7重量%のような、0.25〜1重量%、例えば、約0.4重量%の成分d)を含むことを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の組成物。
【請求項10】
加えて、成分e)0.05〜10重量%のフルーツ酸及び/又はその塩を含むことを特徴とする、請求項1〜9何れか1項記載の組成物。
【請求項11】
フルーツ酸は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、フマール酸及びコハク酸並びにそれらの混合物から選ばれ、グルコン酸ナトリウムが、成分e)として特に好ましいことを特徴とする、請求項1〜10何れか1項記載の組成物。
【請求項12】
0.05〜5重量%、好ましくは、0.1〜3重量%、より好ましくは、0.2〜2重量%、特に、0.3〜0.7重量%のような、0.25〜1重量%、例えば、約0.4重量%の成分e)を含むことを特徴とする、請求項1〜11何れか1項記載の組成物。
【請求項13】
加えて、成分f)0.025〜10重量%の香料及び/又は甘味料を含むことを特徴とする、請求項1〜12何れか1項記載の組成物。
【請求項14】
甘味料は、アリテーム、アスパルテーム、ズルチン、ネオヘスペリジンDC、ステビオサイド、スクラロース、スオサン及びソウマチン並びにそれらの混合物から選ばれ、アスパルテーム及び/又はネオヘスペリジンDCが、特に好ましいことを特徴とする、請求項1〜13何れか1項記載の組成物。
【請求項15】
加えて、成分g)酸、塩基及び/又は緩衝剤を含むことを特徴とする、請求項1〜14何れか1項記載の組成物。
【請求項16】
成分g)が、2〜8、好ましくは、2.5〜7、より好ましくは、3.5〜5のような、3〜6、例えば、約4にpHを設定する量で存在することを特徴とする、請求項1〜15何れか1項記載の組成物。
【請求項17】
請求項1〜16何れか1項記載の抗菌活性組成物の洗口液としての使用。
【請求項18】
メチシリン耐性エス アウレウス(S.aureus)及び/又はイー ファエカリス(E.faecalis)を制御するために役立つ請求項17記載の使用。

【公表番号】特表2010−508251(P2010−508251A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533815(P2009−533815)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061363
【国際公開番号】WO2008/052912
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(399035504)エール・リキード・サンテ(アンテルナスィオナル) (26)
【Fターム(参考)】