説明

ビス四級アンモニウム塩化合物およびその製造方法

【課題】 細菌、かび、酵母、藻などの微生物に対して優れた抗菌活性を有し、かつ溶解度が高く、殺菌処理後に加水分解により毒性の低い化合物に分解される、環境や人体に対し安全性の高いビス四級アンモニウム塩化合物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なビス四級アンモニウム塩化合物およびその製造方法に関し、詳しくは、抗菌性、殺菌性、防黴性に優れ、細菌、かび、酵母、藻などの微生物に対する抗菌剤、殺菌剤、防黴剤または消毒剤として有用なビス四級アンモニウム塩化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、第四級アンモニウム塩化合物は、細菌、真菌などの微生物に有効な抗菌効果を有することから、医療産業、繊維産業などの各種産業分野において微生物制御剤として広く利用されてきた。その一つである塩化ベンザルコニウムは、細菌、真菌に対して広い抗菌スペクトルを有し、殺菌消毒剤として位置付けられている。しかし、この種の化合物はグラム陽性菌に対しては有効な抗菌効果を示すが、グラム陰性菌、真菌などに対しては抗菌力が低下するという欠点があった。さらに、環境温度やpHの影響を受けて抗菌力が変動するという欠点もあった。
【0003】
上述したような欠点を解決する方法として、本発明者らは、先に、第四級アンモニウム塩構造を1分子中に2個持つ化合物、ビス四級アンモニウム塩化合物を提案した(例えば、特許文献1〜6参照)。これらのビス四級アンモニウム塩化合物は、細菌、真菌などに優れた抗菌力を示し、温度やpHなどの使用環境にも影響されず一定の抗菌活性を有する優れた化合物である。
【特許文献1】特開平9−110692号公報
【特許文献2】特開平10−95773号公報
【特許文献3】特開平10−287566号公報
【特許文献4】特開2000−136185号公報
【特許文献5】特開2000−95763号公報
【特許文献6】特開2000−198879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらのビス四級アンモニウム塩化合物は、1分子内に2つの疎水性基を有するため高い分子疎水性を示し、水に対する溶解度が著しく低いので、水系の微生物制御剤としては使用が制限されるという問題点があった。また、抗菌力が極めて高いため、残留薬剤による環境生態系の破壊や人体に対する安全性などが懸念されるという問題点があった。
【0005】
本発明者等は上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ピリジン骨格と架橋結合構造の間にアルキル鎖を導入すれば、ビス四級アンモニウム塩化合物の水に対する溶解度が著しく上昇することを見出し、さらに化合物分子中の加水分解能に着目することで、ピリジン骨格と架橋結合構造の間にアルキル鎖を有し、かつ加水分解可能な構造であるエステル結合を架橋構造としたビス四級アンモニウム塩化合物を合成し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の目的は、細菌、かび、酵母、藻などの微生物に対して優れた抗菌力を有する化合物であり、かつ水に対する溶解度が高く、殺菌処理後に加水分解して毒性の低い化合物に分解される、環境や人体に対し安全性の高いビス四級アンモニウム塩化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は下記構成からなる。
1.下記一般式(1)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物。
【0008】
【化9】

{式中、RおよびRは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、Rは、炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、沃素原子またはまたは式:OSO(Rは、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である。)で示される有機基である。}
【0009】
2.一般式(1)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物が、下記一般式(2)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物である上記1に記載のビス四級アンモニウム塩化合物。
【0010】
【化10】

(式中、Rは、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基またはオクタデシル基であり、Zは、臭素原子または沃素原子である。)
【0011】
3.下記一般式(3)
【0012】
【化11】

(式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、Rは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基である。)
で表されるピリジン化合物と、下記一般式(4)
【0013】
【化12】

(式中、Rは、炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基である。)
で表される酸塩化物類とを反応させることにより、下記一般式(5)
【0014】
【化13】

(式中、RおよびRは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、Rは、炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、dは0〜2である。)
で表されるピリジン塩化合物を製造し、次いで、該ピリジン塩化合物をアルカリ処理して下記一般式(6)
【0015】
【化14】

(式中、R〜Rは上記と同義である。)
で表されるビスエステル化合物を製造し、次いで、該ビスエステル化合物と下記一般式(7)
【0016】
【化15】

{式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、沃素原子または式:OSO(Rは、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である)で示される有機基である。}
で表されるハロゲン化合物またはスルホン酸エステル化合物と反応させることを特徴とする、上記1に記載のビス四級アンモニウム塩化合物の製造方法。
【0017】
4.一般式(6)で表されるビスエステル化合物が下記式(8)で表されることを特徴とする前記3に記載のビス四級アンモニウム塩化合物の製造方法。
【0018】
【化16】

【0019】
5.上記1または2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する抗菌剤。
【0020】
6.上記1または2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する殺菌剤。
【0021】
7.上記1または2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する防黴剤。
【0022】
8.上記1または2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する消毒剤。
【発明の効果】
【0023】
前記一般式(1)で表される本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、種々の細菌、真菌に対して、非常に広い静菌スペクトルを有しているため、抗菌剤、殺菌剤、防黴剤および消毒剤として、非常に有用である。
【0024】
また、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、従来の市販の四級アンモニウム塩である塩化ベンザルコニウムと比較して、1/10〜1/100程度の濃度でも優れた抗菌効果を示す。従って、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、従来の市販の抗菌剤よりもはるかに少ない使用濃度で、従来と同等の抗菌効果を発揮することができる。
【0025】
しかも、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、ピリジン骨格と架橋結合構造の間にアルキル基を有するため、水に対する高い溶解度を示し、さらに分子中にエステル結合を有するため、殺菌処理後、加水分解によりビス型構造から毒性の低いモノマー型構造に分解されるので、従来問題となっていた残留薬剤による環境微生物や水生生物の死滅、薬剤耐性菌の出現などを防ぐことができ、人体に対する安全性も向上するという、優れた特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0027】
【化17】

【0028】
上記式中、RおよびRは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、RとRとは同一でも異なっていてもよい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基が挙げられ、好ましくはメチレン基である。また、RおよびRがピリジン環に結合する位置はどこでもよいが、好ましくはピリジン環の3または4の位置であり、さらに好ましくはピリジン環の4の位置である。
【0029】
およびRは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、RとRとは同一でも異なっていてもよい。低級アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。低級アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基などの直鎖または分岐のアルコキシ基が挙げられる。RおよびRとして、好ましくは水素原子である。
【0030】
は炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられ、これらの中でも好ましくはテトラメチレン基、ヘキサメチレン基であり、さらに好ましくはテトラメチレン基である。
【0031】
は炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、好ましくは、炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基である。その中でもさらに炭素数が偶数のものであり、具体的にはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基またはオクタデシル基が挙げられる。
【0032】
Zは、塩素原子、臭素原子、沃素原子または式:OSO(Rは、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である。)で表される有機基であり、好ましくは、臭素原子または沃素原子であり、さらに好ましくは臭素原子である。
【0033】
一般式(1)で表される本発明のビス四級アンモニウム塩化合物としては、下記一般式(2)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物が好ましい。
【0034】
【化18】

(式中、Rは、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基またはオクタデシル基であり、Zは、臭素原子または沃素原子である。)
【0035】
上記一般式(2)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物として、具体的には、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−オクチルピリジニウムアイオダイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−デシルピリジニウムアイオダイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−ドデシルピリジニウムアイオダイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−テトラデシルピリジニウムアイオダイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウムアイオダイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8‐ジオキソデカメチレン)ビス(1−オクタデシルピリジニウムアイオダイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−オクチルピリジニウムブロマイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−ドデシルピリジニウムブロマイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−テトラデシルピリジニウムブロマイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウムブロマイド)、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8‐ジオキソデカメチレン)ビス(1−オクタデシルピリジニウムブロマイド)が挙げられる。
【0036】
次に、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物の製造方法について説明する。一般式(1)で表される本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、下記一般式(3)で表されるピリジン化合物と、下記一般式(4)で表される酸塩化物類とを反応させることにより、下記一般式(5)で表されるピリジン塩化合物を製造し、次いで、該ピリジン塩化合物をアルカリ処理して下記一般式(6)で表されるビスエステル化合物を製造し、次いで、該ビスエステル化合物と下記一般式(7)で表されるハロゲン化合物またはスルホン酸エステル化合物とを反応させることによって製造することができる。
【0037】
【化19】

(式中、RおよびRは上記と同義である。)
【0038】
【化20】

(式中、Rは上記と同義である。)
【0039】
【化21】

(式中、dは0〜2であり、R〜Rは上記と同義である。)
【0040】
【化22】

(式中、R〜Rは上記と同義である。)
【0041】
【化23】


(式中、Zは上記と同義である。)
【0042】
上記一般式(3)のピリジン化合物と、上記一般式(4)の酸塩化物類との反応は、適当な溶媒中にて、通常、20〜80℃の温度下で行われ、1〜24時間で終了する。一般式(3)のピリジン化合物と一般式(4)の酸塩化物類との使用割合は、通常、一般式(3)の化合物1モルに対して一般式(4)の化合物を0.1〜0.5モル、好ましく0.3〜0.5モルの割合で用いれば良い。前記溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類;水とアルコールとの混合溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化合物系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミドなどのアミド化合物系溶媒;ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリルが挙げられる。溶媒は必要に応じて、2種類以上を併用することもできる。溶媒の使用量は、通常、一般式(3)の化合物の1〜10倍(重量)であり、好ましくは1〜4倍(重量)である。反応雰囲気については、大気中でも反応は可能であるが、窒素雰囲気下で行うのが好ましい。反応後、ろ過、乾燥することにより一般式(5)のピリジン塩化合物が得られる。
【0043】
一般式(5)のピリジン塩化合物をアルカリで処理する方法としては、通常の手段を用いることができる。アルカリとしては特に制限されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基類が挙げられる。反応後、ろ過、乾燥することにより一般式(6)のビスエステル化合物が得られる。
【0044】
アルカリ処理により得られる一般式(6)のビスエステル化合物と、一般式(7)のハロゲン化合物またはスルホン酸エステル化合物との反応は、適当な溶媒中にて、加圧下または非加圧下で行われる。加圧下で行う場合は、10〜100MPaの加圧下において、50〜100℃の温度で行われ、この反応は、通常、2〜48時間で終了する。非加圧下で行う場合は、50〜100℃の温度で、通常、24〜120時間反応させればよい。一般式(6)のビスエステル化合物と一般式(7)のハロゲン化合物またはスルホン酸エステル化合物との使用割合は、通常、一般式(6)の化合物1モルに対して一般式(7)の化合物を2〜6モル、好ましく2.1〜3モルの割合で用いれば良い。前記溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類;水とアルコールとの混合溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化合物系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミドなどのアミド化合物系溶媒;ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリルが挙げられる。溶媒は必要に応じ、2種類以上を併用することもできる。溶媒の使用量は、通常、一般式(6)の化合物の1〜10倍(重量)であり、好ましくは2〜6倍(重量)である。この反応により得られる一般式(1)で表される四級アンモニウム塩化合物は、再結晶等の通常の分離精製手段により、容易に反応混合物中から単離、精製することができる。
【0045】
本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、細菌、かび、酵母、藻などに対する優れた抗菌活性を有する。これらの特性を生かして、抗菌剤、殺菌剤、防黴剤、消毒剤など抗菌性能を要求される各種用途において、市販されている従来の第四アンモニウム塩と同様に利用できる。例えば、防菌防臭加工繊維製品、皮革製品、建材、木材、塗料、接着剤、プラスチック、フィルム、紙、パルプ、金属加工油、食品、医薬品、化粧品、文房具、畜産分野等における抗菌剤、殺菌剤、防黴剤または消毒剤として幅広くその応用が期待される。
【0046】
さらに、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、化合物分子中に、加水分解性基(エステル結合)を有することから、使用後に適宜分解して低毒化あるいは無毒化するという特性を有するので、環境に優しい抗菌剤、殺菌剤、防黴剤および消毒剤として有用である。本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、例えば、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の産業用水の有害微生物の防除の用途において有効に用いることができる。また、繊維、木材、医療器械、医療器具、光学機器、工作機械、精密機器、精密器材などに、洗浄殺菌剤として適用することができる。
【0047】
本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、そのまま、粉末の状態で使用してもよい。また、本発明の化合物の粉末を適当な溶媒、例えば、水やアルコール類などに溶解または分散し、液状にして用いることもできる。このような液状組成物は、紙、セラミックス、ガラス、金属、木材、合成樹脂、繊維など様々な基材の表面に塗布または噴霧することで、基材表面の殺菌・抗菌処理を行うことができる。さらには、本発明の化合物を各種合成樹脂などに練り込み、糸、繊維、フィルム、シート、粒子など、その他任意の形状に成形することで、抗菌作用を備えた成型体とすることが可能となる。
【0048】
次に、本発明を実施例および試験例により具体的に説明する。
【実施例1】
【0049】
下記化学構造式(9)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物(1−1)の製造
【0050】
【化24】

【0051】
脱水クロロホルム200mlに4−ヒドロキシメチルピリジン0.61モルを加えて、60℃に加温して完全に溶解させた。次いで、アジポイルクロライド0.31モルを窒素気流下で徐々に加えて6時間反応させた。反応混合物をろ過し、得られた結晶を乾燥して4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム塩化水素塩118.1gを得た。
【0052】
次いで、この4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム塩化水素塩118.1gを少量の水に溶かした後、氷冷下で4%炭酸ナトリウム水溶液を添加し、水溶液のpHを7〜8に調整して、脱塩化水素化を行った。反応混合物をろ過し、得られた結晶を乾燥して、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム79gを得た。
【0053】
次いで、この4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム2.0g(0.006モル)とn−オクチルアイオダイド2.9g(0.012モル)を無水エチルアルコール10mlに溶解し、この溶液を耐圧樹脂フィルム製パックに充填した。このパックを、圧力溶媒[エチルアルコールとグリセリンの1:2(体積比)混合液]を満たした超高圧反応装置(有限会社山下技研製、商品名:YHP−92)に入れて、80℃、80MPaの条件で24時間反応を行った。反応終了後、パックから反応混合物を取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、さらにエチルアルコールとトルエンとの混合溶媒から再結晶を行い、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−オクチルピリジニウムアイオダイド)[以下、化合物(1−1)という]を得た。得られた化合物(1−1)の分析を行ったところ、H−NMRスペクトル(CDOD)は次の通りであった。また、元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【0054】
H−NMR:0.89ppm(6H,t,J=7.0Hz)、1.30−1.38ppm(20H,m)、1.74−1.77ppm(4H,m)、2.01ppm(4H,t,J=7.3Hz)、2.57−2.61ppm(4H,m)、4.62ppm(4H,t,J=7.6Hz)、5.46ppm(4H,s)、8.08ppm(4H,d,J=6.8Hz)、8.97ppm(4H,d,J=6.8Hz)
【実施例2】
【0055】
ビス四級アンモニウム塩化合物(1−2)の製造
実施例1において、n−オクチルアイオダイドの代わりにn−デシルアイオダイド3.2g(0.012モル)を使用し、再結晶溶媒としてエチルアルコールとトルエンの混合溶媒の代わりにアセトンを使用した以外は、実施例1と同様にして、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−デシルピリジニウムアイオダイド)[上記一般式(2)中、Rはデシル基であり、Zは沃素原子である化合物][以下、化合物(1−2)という]を得た。得られた化合物(1−2)の元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【実施例3】
【0056】
ビス四級アンモニウム塩化合物(1−3)の製造
実施例1において、n−オクチルアイオダイドの代わりにn−ドデシルアイオダイド3.6g(0.012モル)を使用し、再結晶溶媒としてエチルアルコールとトルエンの混合溶媒の代わりにクロロホルムとベンゼンの混合溶媒を使用した以外は、実施例1と同様にして、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−ドデシルピリジニウムアイオダイド)[上記一般式(2)中、Rはドデシル基であり、Zは沃素原子である化合物][以下、化合物(1−3)という]を得た。得られた化合物(1−3)の元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【実施例4】
【0057】
ビス四級アンモニウム塩化合物(1−4)の製造
実施例1において、n−オクチルアイオダイドの代わりにn−テトラデシルアイオダイド3.9g(0.012モル)を使用し、再結晶溶媒としてエチルアルコールとトルエンの混合溶媒の代わりにクロロホルムとトルエンの混合溶媒を使用した以外は、実施例1と同様にして、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−テトラデシルピリジニウムアイオダイド)[上記一般式(2)中、Rはテトラデシル基であり、Zは沃素原子である化合物][以下、化合物(1−4)という]を得た。得られた化合物(1−4)の元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【実施例5】
【0058】
ビス四級アンモニウム塩化合物(1−5)の製造
実施例1において、n−オクチルアイオダイドの代わりにn−ヘキサデシルアイオダイド4.2g(0.012モル)を使用し、再結晶溶媒としてエチルアルコールとトルエンの混合溶媒の代わりにクロロホルムとアセトンの混合溶媒を使用した以外は、実施例1と同様にして、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウムアイオダイド)[上記一般式(2)中、Rはヘキサデシル基であり、Zは沃素原子である化合物][以下、化合物(1−5)という]を得た。得られた化合物(1−5)の元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【実施例6】
【0059】
ビス四級アンモニウム塩化合物(1−6)の製造
実施例1において、n−オクチルアイオダイドの代わりにn−オクタデシルアイオダイド4.6g(0.012モル)を使用し、再結晶溶媒としてエチルアルコールとトルエンの混合溶媒の代わりにクロロホルムとトルエンの混合溶媒を使用した以外は、実施例1と同様にして、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−オクタデシルピリジニウムアイオダイド)[上記一般式(2)中、Rはオクタデシル基であり、Zは沃素原子である化合物][以下、化合物(1−6)という]を得た。得られた化合物(1−6)の元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【実施例7】
【0060】
下記化学構造式(10)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物(2−1)の製造
【0061】
【化24】

【0062】
脱水クロロホルム200mlに4−ヒドロキシメチルピリジン0.61モルを加えて、60℃に加温して完全に溶解させた。次いで、アジポイルクロライド0.31モルを窒素気流下で徐々に加えて6時間反応させた。反応混合物をろ過し、得られた結晶を乾燥して4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム塩化水素塩118.1gを得た。
【0063】
次いで、この4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム塩化水素塩118.1gを少量の水に溶かした後、氷冷下で4%炭酸ナトリウム水溶液を添加し、水溶液のpHを7〜8に調整して、脱塩化水素化を行った。反応混合物をろ過し、得られた結晶を乾燥して、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム79gを得た。
【0064】
次いで、この4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビスピリジニウム2.0g(0.006モル)とn−オクチルブロマイド2.3g(0.012モル)を無水エチルアルコール10mlに溶解し、この溶液を耐圧樹脂フィルム製パックに充填した。このパックを、圧力溶媒(エチルアルコールとグリセリンの1:2(体積比)混合液)を満たした超高圧反応装置(有限会社山下技研製、商品名:YHP−92)に入れ、80℃、80MPaの条件で48時間反応を行った。反応終了後、パックから反応混合物を取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、さらにエチルアルコールとトルエンとの混合溶媒から再結晶を行い、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−オクチルピリジニウムブロマイド)[以下、化合物(2−1)という]を得た。得られた化合物(2−1)の元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【実施例8】
【0065】
ビス四級アンモニウム塩化合物(2−2)の製造
実施例7において、n−オクチルブロマイドの代わりにn−デシルブロマイド2.7g(0.012モル)を使用した以外は、実施例7と同様にして、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)[上記一般式(2)中、Rはデシル基であり、Zは臭素原子である化合物][以下、化合物(2−2)という]を得た。得られた化合物(2−2)の元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【実施例9】
【0066】
ビス四級アンモニウム塩化合物(2−3)の製造
実施例7において、n−オクチルブロマイドの代わりにn−ドデシルブロマイド3.9g(0.012モル)を使用した以外は、実施例7と同様にして、4,4’−(2,9−ジオキシ−3,8−ジオキソデカメチレン)ビス(1−ドデシルピリジニウムブロマイド)[上記一般式(2)中、Rはドデシル基であり、Zは臭素原子である化合物][以下、化合物(2−3)という]を得た。得られた化合物(2−3)の分析を行ったところ、H−NMRスペクトル(CDOD)は次の通りであった。また、元素分析値、融点および収率は、後記する表1に示す通りであった。
【0067】
H−NMR:0.89ppm(6H,t,J=6,5Hz)、1.28−1.38ppm(40H,m)、1.74−1.75ppm(4H,m)、2.00−2.01ppm(4H,m)、2.59ppm(4H,t,J=7.0Hz)、4.61ppm(4H,t,J=7,6Hz)、5.46ppm(4H,s)、8.08ppm(4H,d,J=6.3Hz)、8.97ppm(4H,d,J=6.8Hz)
【0068】
【表1】

【0069】
以下に試験例を挙げ、実施例で得られたビス四級アンモニウム塩化合物の静菌作用および殺菌作用を検討した。さらに、各種細菌に対する静菌スペクトルについて、下記化合物と比較を行った。
対照化合物:(1)塩化ベンザルコニウム[以下、(BAC)という]、(2)チアベンダゾール[以下、(TBZ)という]
【0070】
試験例1:殺菌活性に及ぼすアルキル鎖長の影響
上記実施例1〜6で得られたビス四級アンモニウム塩化合物について、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対する最小発育阻止濃度(MIC)を後記する方法で測定し、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物におけるアルキル側鎖[上記一般式(2)のR]の長さが殺菌活性に及ぼす影響を調べた。その結果を表2に示した。
【0071】
【表2】

【0072】
[最小殺菌濃度(MBC)の測定]
この測定は、無菌フード(エアテック社製、クリーンベンチ)内で行い、特に記載のない限り、微生物は氷冷下に保った。
細菌をLbroth[トリプトン1.0%(W/V)、酵母抽出物0.5%(W/V)、塩化ナトリウム0.5%(W/V)、pH7.0〜7.2]5ml中で、37℃、18時間前培養した。この前培養菌体5mlをNB培地(Bascto nutrient broth、Difco laboratories、USA)80mlの入った坂口フラスコに移植し、30℃で一定時間(1.5時間)培養して、対数増殖初期の菌体を得た。その菌体を遠心分離機(株式会社佐久間製作所製、MODEL 50A−7)を使って冷却遠心分離(0℃、6000rpm、15分)により集菌した。次いで、無菌水で希釈し、分光光度計(株式会社島津製作所製、型名:UV−160)を用いて、菌懸濁液濃度が10cell/ml(OD660=0.0001)となるように調整した。殺菌試験については、80%のエチルアルコールを用いて調整した薬剤溶液を、無菌水で50倍希釈した後、2倍の10段階希釈した。各薬剤0.5mlに上記の菌懸濁液0.5mlを接種し、30℃のウォーターバスシェーカー(株式会社タイテック製、Personal Lt−10)内で30分間振盪培養した後、試験管から試料液0.1mlを分取し、NB培地2ml中に接種した。このNB判定培地を37℃で24時間培養し、増殖の有無を肉眼で判定し、増殖の認められない最小薬剤濃度を最小殺菌濃度(Minimum Bactericidal Concentration、MBC)とした。
【0073】
試験例2:静菌活性に及ぼすアルキル鎖長の影響
上記実施例1〜6で得られたビス四級アンモニウム塩化合物について、大腸菌(Escherichia coli IFO 12713)に対する最小発育阻止濃度(MIC)を後記する方法で測定し、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物におけるアルキル側鎖[上記一般式(2)のR]の長さが静菌活性に及ぼす影響を調べた。その結果を表3に示した。
【0074】
【表3】

【0075】
[最小発育阻止濃度(MIC)の測定]
この測定は、無菌フード(エアテック社製、クリーンベンチ)内で行い、特に記載のない限り、微生物は氷冷下に保った。
まず、細菌をLbroth[トリプトン1.0%(W/V)、酵母抽出物0.5%(W/V)、塩化ナトリウム0.5%(W/V)、pH7.0〜7.2]5ml中で、37℃、18時間前培養した。この菌懸濁液を分光光度計(株式会社島津製作所製、型名:UV160)を用いて、菌懸濁液濃度が10cell/ml(OD660=0.0001)となるように調整した。
供試菌が黴の場合は、サブロー寒天培地に一白金耳植菌し、7日間、30℃で培養した後、着生した胞子を生理食塩水[0.2%(W/V)、Tween−80を含む]15mlを用いてかきとった。ガーゼを詰めたチップを使用し、黴をかきとった生理食塩水溶液を濾過し、胞子懸濁液とした。この胞子懸濁液をサブロー液体培地を用いて100倍希釈した菌体を用いた。
静菌試験については、80%のエチルアルコールを用いて調製した薬剤溶液を、NB培地溶液(黴の場合はサブロー液体培地)で50倍希釈した後、2倍、10段階希釈した。次に所定濃度の希釈薬剤溶液をステンレスモルトン栓付き試験管に各々0.5ml分注後、前述した希釈菌液をそれぞれ0.5ml接種し、37℃で24時間(黴の場合は30℃で2日間)静置培養後、増殖の有無により最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration,MIC)を決定した。
【0076】
試験例3:静菌スペクトル
上記実施例2および実施例8で得られたビス四級アンモニウム塩化合物(1−2)(2−2)の各種細菌に対する静菌スペクトルを上記2種類の対照化合物と比較した。供試菌としては、下記表4に示すグラム陰性細菌4種、グラム陽性細菌5種およびカビ5種を使用し、静菌スペクトルを最小発育阻止濃度(MIC)で示した。なお、最小発育阻止濃度(MIC)の測定は試験例2で示した方法で行った。結果を表4に示した。
【0077】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、細菌、かび、酵母、藻などに対する優れた抗菌活性を有するため、抗菌剤、殺菌剤、防黴剤、消毒剤など抗菌性能を要求される各種用途において、市販されている従来の第四アンモニウム塩と同様に利用できる。特に、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、化合物分子中に、加水分解性基(エステル結合)を有することから、使用後に適宜分解し、低毒化あるいは無毒化するので、環境に優しい抗菌剤、殺菌剤、防黴剤および消毒剤として利用できる。さらに、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物は、例えば、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の産業用水の有害微生物の防除の用途において有効に用いることができる。また、繊維、木材、医療器械、医療器具、光学機器、工作機械、精密機器、精密器材などにおいて、洗浄殺菌剤として適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物。
【化1】

{式中、RおよびRは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、Rは、炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、沃素原子または式:SO(Rは、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である)で示される有機基である。}
【請求項2】
一般式(1)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物が、下記一般式(2)で表されるビス四級アンモニウム塩化合物である請求項1に記載のビス四級アンモニウム塩化合物。
【化2】

(式中、Rは、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基またはオクタデシル基であり、Zは、臭素原子または沃素原子である。)
【請求項3】
下記一般式(3)
【化3】

(式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、Rは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基である。)
で表されるピリジン化合物と、下記一般式(4)
【化4】

(式中、Rは、炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基である。)
で表される酸塩化物類とを反応させることにより、下記一般式(5)
【化5】

(式中、RおよびRは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、Rは、炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、dは0〜2である。)
で表されるピリジン塩化合物を製造し、次いで、該ピリジン塩化合物をアルカリ処理して下記一般式(6)
【化6】

(式中、R〜Rは上記と同義である。)
で表されるビスエステル化合物を製造し、次いで、該ビスエステル化合物と下記一般式(7)
【化7】

{式中、Rは、炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、沃素原子または式:OSO(Rは、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である)で示される有機基である。}
で表されるハロゲン化合物またはスルホン酸エステル化合物とを反応させることを特徴とする、請求項1に記載のビス四級アンモニウム塩化合物の製造方法。
【請求項4】
一般式(6)で表されるビスエステル化合物が、下記式(8)で表されるビスエステル化合物であることを特徴とする請求項3に記載のビス四級アンモニウム塩化合物の製造方法。
【化8】

【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する抗菌剤。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する殺菌剤。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する防黴剤。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含有する消毒剤。


【公開番号】特開2006−151941(P2006−151941A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104958(P2005−104958)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】