説明

ビデオカメラ装置

【課題】 機器及び記録/再生データの破損を最小限に留める事を目的とする。
【解決手段】 各種センサーによる状態検出を行う状態ア検出回路を有し、ビデオカメラが落下する可能性の有無を事前に判断し、実際に落下する前に記録データを他の記録媒体へ記録させつつ、主記憶媒体のヘッドを保護するという事前の保護、防衛措置を講じる構成により、携帯機器が落下する可能性を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビデオカメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気テープや光ディスクなどの記録媒体を用いたビデオカメラ装置が広く普及し利用されている。このようなビデオカメラ装置を用い、運動会や、各種発表会等において、かなり無理な体勢での撮影を強いられたり、あるいは、ビデオカメラを持つ手を保持するグリップベルトがゆるかったりした時に、ビデオカメラが落下することがある。
【0003】
その場合、衝撃が加えられた事を検出し、記録媒体及びヘッドを保護する目的で、ヘッドを安全な場所に退避させている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2000-149465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のような手法では、実際に落下した後の処理になるため、媒体及び記録データ及びヘッドの保護と言う観点から、効果が非常に薄く、その結果として重大な被害を被ることがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、各種センサーによる状態検出により、ビデオカメラが落下する可能性の有無を事前に判断し、実際に落下する前に記録データを他の記録媒体へ記録させつつ、主記憶媒体のヘッドを保護するという事前の保護、防衛措置を講じ、落下した場合の保護効果を向上させるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ビデオカメラにおいて、落下の防止、及び、落下時の記録データ保護、及び、記録ヘッドの保護を確実に行なう事が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の実施例であるビデオカメラ装置(以下、DVCと記す。)の構成を表す図である。CPU116内には、ROM化された一部のプログラムが格納され、容量の問題や、今後変更される可能性がある事などを考慮された上記以外のプログラムは、図示せずもプログラムフラッシュメモリに格納されている。DVCの起動時、又は通常動作時においては、上記プログラムフラッシュメモリからCPU116内に適宜ロードされながら動作する事で、CPUバスを介して、以後説明する各種の制御動作を行う。
【0008】
記録時において被写体は、図示せずもレンズを通して撮像素子100に結像される。撮像素子100に結像された被写体は、光電変換された後に所定の周期で読み出され、カメラ信号処理102にて標準的な画像信号になるような信号処理が施される。上記標準画像信号は、画像メインメモリ104に一時的に蓄積されると同時に動画符号化復号化処理106で輝度レベルのみの制御がなされた輝度信号(以下、Yと記す。)、及び色差信号(以下、Cr、Cbと記す。)がディスプレイ出力用のためのRGB変換処理を行い、それにより生成されたR,G,B各信号がディスプレイ108へと送られ、現在撮影中の動画像が表示される。また、動画符号化復号化処理106では、動画像の圧縮符号化がなされ、画像メインメモリ104をバッファとして一旦蓄積された後にインタフェース110を介して本実施例における主記憶媒体であるハードディスク112に記録される。OSD制御処理114は、メニュー表示或いは、モード情報等、主にテキスト画像を記録中の表示画像にオーバレイさせるものである。具体的には、CPU116からソフト的に画像メインメモリ104に書き込んだOSDデータをOSD制御処理114が読み出し図示せずも動画データ及び読み出されたOSDデータをミックスした画像信号が動画符号化/復号化処理106に供給され、その後ディスプレイ108に表示される。
【0009】
画像蓄積メモリ118は、通常静止画取り込みまたは、低レートの動画像取り込みが行なわれる。状態検出処理120は、各種センサー検出部122から検出情報が供給され、検出情報を解析した結果をレジスタに蓄積する。CPU116は、ポーリングによりその検出結果を監視し、その検出状態により所望の動作を実行する。
【0010】
図2を用いて、状態検出処理120の回路構成を説明する。
【0011】
200は角度センサーからの入力端子であり、202のデコーダ回路に入力される。202のデコーダ回路では、図3に示したように、デジタルカムコーダ(以下、DVCと記す。)の角度情報により、'L'または'H'の信号を出力する。例えば、0°以上180°未満までは'H'を208のAND回路に供給し、180°以上360度未満においては'L'信号を208のAND回路に供給する。ここで、上記出力信号が'L'の時は、落下する可能性が高い事を意味する。204は加速度センサーからの入力端子であり、206の積分器/デコーダ回路に入力される。206では、まず、204の加速度センサーから入力された信号を積分することにより速度情報に変換し、次にデコーダ回路により予め設定された所定の速度の閾値と比較し、速度が閾値未満であれば'H'信号を出力し、閾値以上であれば'L'信号を出力して、208のAND回路に供給する。ここで、上記出力信号が'L'の時は、落下する可能性が高い事を意味する。208のAND回路は上記202からの出力または、206からの出力のいずれかが'L'になった時に218のOR回路に'L'を供給する。210は支持装置有り無しの識別信号入力端子であり、例えば三脚等に固定されている場合に於いては図示せずも'H'の信号を216のOR回路に供給する。212は図示せずもDVC本体を保持する部分に実装されたタッチセンサーからの圧力情報の入力端子であり、214のデコーダ回路に供給する。214のデコーダ回路には、図示せずも予め装着されているバッテリの種類(Big or Small)及び記録媒体の有り無しの情報がCPUを介して設定されている。214のデコーダ回路は、その情報を元にDVCを保持するための圧力の閾値を算出する。そこで、タッチセンサーからの圧力情報が閾値未満である場合には、'L'を出力し、閾値以上である場合には、'H'を出力し216のOR回路へ供給する。ここで、圧力の閾値は、図4に示したように、縦軸をDVCの総重量(M)、横軸をDVCを保持するために必要な圧力(x)、静止摩擦係数をs、重力をgとした時に、x=smgで近似できる。例えば、Smallバッテリを装着し記録メディアが装着されている時の総重量をm1、その時のDVCを保持する圧力の閾値をx1とすると、その時の閾値はx1=sm1gとなる。また、上記のような逐次計算によらず、総重量に対する固定値との比較でも同様の効果が得られる事は明かである。
【0012】
216のOR回路は、上記2入力の両方がL'の時のみ'L'を出力し、それ以外の場合は'H'を出力して218のOR回路へ供給する。すなわち、角度センサーまたは、加速度センサーのいずれかの状態により、DVCが落下すると判断されても、タッチセンサーによるDVCの保持力が閾値以上、または、支持装置が有りの場合においては、落下する危険がないものと判断されるように動作する。218のOR回路は上記状態を落下フラグとして、DVCが落下する危険がある場合には'L'信号を出力し、そうでない場合は'H'信号を出力し、その状態を220のレジスタの所定ビットへ落下フラグとしてセットする。
【0013】
226は衝撃センサーの入力端子であり、228のデコーダへ供給される。228のデコーダでは、図示せずもCPUにより予め設定された閾値と比較し、閾値以上の場合は'L'信号をそれ以外は'H'信号を220のレジスタの所定ビットにセットする。
【0014】
220のレジスタは222の端子を介して224のCPUバスに接続されており、その状態はポーリングする事でCPUが把握する。CPUは上記状態により、図5に示すフローチャートに従って順次処理する。
【0015】
以下に図5を用いて落下時の処理の詳細を説明する。
【0016】
S501は処理のスタートである。S502は図2を用いて説明した落下フラグの状態を判断し、落下フラグが'H'の時は、計数器をリセットし、'L'の時はS504に遷移し図示せずもパネルにDVCが落下しそうである事を表示する。次にS505にて落下フラグが'L'期間の時間を計数しS506へ遷移する。S506では記録媒体を例えばディスクから半導体メモリに切り替え、次にS507にて記録ヘッドを退避させ、S508に遷移する。S508では、衝撃センサーからの入力値から実際に落下したと判断した場合(この時、'L'レベル)は、S509に遷移し記録再生処理を終了する。それ以外の場合(この時、'H'レベル)は、S510に遷移し、計数値と予めCPUにより設定された閾値とを比較し、閾値より小さい場合はS520に遷移し、上記処理を繰り返す。繰り返し処理の場合、S506とS507は処理墨であるため2度め以降は何ら処理をするものではなく現状の状態を維持する様に動作する。つまり、この繰り返し処理においては、落下しそうである、または落下中であると判断た場合の処理を実施している。次に計数値を超えた場合においては、ユーザが意識的に落下しそうな角度で記録または再生をしているため落下はしないと判断し、S511に遷移しヘッド退避を解除するとともに、S512へ遷移する。S512では、カメラからメモリへ、メモリからディスクへ記録し、S513ではメモリに蓄積されたデータを全て読み出すまで処理を繰り返し、メモリ空になった後にS514へ遷移し、そこでは通常のカメラからディスクへの記録へ切り替えるように動作する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一の実施例を示す図面である。
【図2】落下状態検出処理の構成図である。
【図3】DVCの角度を示す図である。
【図4】DVCを保持するための圧力の閾値を示すグラフである。
【図5】本発明の処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
100 撮像素子
102 カメラ信号処理
104 画像メインメモリ
106 動画符号化復号化処理
108 ディスプレイ
110 記録媒体インタフェース
112 ハードディスク
114 OSD制御処理
116 CPU
118 画像蓄積メモリ
120 状態検出処理
122 各種センサー検出部
200 角度センサーからの入力端子
202 デコーダ回路
202 デコーダ回路
204 加速度センサーからの入力端子
206 積分器/デコーダ回路
208 AND回
210 支持装置有り無しの識別信号入力端子
212 タッチセンサーからの圧力情報の入力端子
214 デコーダ回路
216 OR回路
218 OR回路
220 レジスタ
222 CPUのバス端子
224 CPUバス
226 衝撃センサーの入力端子
228 デコーダ
S501 本発明におけるフローチャートの開始
S502 落下フラグの判定処理
S503 計数器リセット処理
S504 パネル状態表示処理
S505 計数開始処理
S506 カメラから半導体メモリへの記録手段切り替え処理
S507 ヘッド退避処理
S508 衝撃センサーの状態判断処理
S509 記録再生処理の終了処理
S510 計数地と閾値の比較処理
S511 ヘッド退避解除処理
S512 カメラからメモリを経由したDiskへの記録処理
S513 半導体メモリのデータ格納状態検出処理
S514 カメラからDisk記録への通常処理切り替え処理
S515 本発明のフローチャート終了

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録媒体を有するビデオカメラ装置において、複数種類の落下検出センサーを具備し、それらセンサーの検出状態により落下の可能性を示す落下フラグ信号を発生し、そのフラグにより落下の可能性があると判断した場合には、落下する前に何らかの記録処理の制御をする事を特徴とするビデオカメラ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、落下の可能性があると判断した時に、主記憶媒体に対する記録処理を停止し、少なくとも1つ以上の他の媒体を選択する機能を具備し、記録処理を前記任意の記録媒体に変更する事が可能である事を特徴とするビデオカメラ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、落下フラグが解除された後に、少なくとも1つ以上の他の媒体から主記憶媒体へ記録データを転送し、転送し終えた後に、通常記録モードの処理に戻る事を特徴とするビデオカメラ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、検出手段としては、角度(水平/垂直)センサー、タッチセンサー、支持装置(三脚等)検出センサー、加速度センサー、衝撃(荷重)センサー等を具備した事を特徴とする、ビデオカメラ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、ビデオカメラ本体の質量により、タッチセンサーから出力される圧力の閾値を可変にする事を特徴とする請求項1に記載のビデオカメラ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、支持装置を使用している場合、またはタッチセンサーからの情報によって、角度センサーまたは加速度センサーからの情報を無視するように処理する事を特徴とする請求項1に記載のビデオカメラ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のビデオカメラ装置であって、落下の可能がある事をパネルに表示させる機能を具備した事を特徴とする、ビデオカメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−109057(P2006−109057A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292531(P2004−292531)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】