説明

ビルドアップ型多層プリント配線板及びその製造方法

【課題】高密度実装可能なスタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板を安価かつ安定的に製造する方法を提供する。
【解決手段】可撓性の絶縁ベース材1と、その両面に形成された内層回路パターン11A,11Bと、絶縁ベース材1を貫通し、内層回路パターン11Aと11Bを電気的に接続する埋込みビア6と、内層回路パターン11A,11Bのうち埋込みビア6が露出した受けランド部を被覆し、表層が金、銀又はニッケルからなる蓋めっき層9とを有する両面コア基板16を備える。さらに、両面コア基板16の上に積層されたビルドアップ層を備える。このビルドアップ層は、表層の外層回路パターン23と、外層回路パターン23と内層回路パターン11Aを電気的に接続するブラインドビア22Aとを有する。ブラインドビア22Aは、埋込みビア6とともにスタックビア構造を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化および高機能化がますます進展しており、プリント配線板に対する高密度実装の要求が高まっている。高密度実装が可能なプリント配線板を実現するために、微細な回路配線パターンを設けることが可能なビルドアップ型多層プリント配線板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ビルドアップ型多層プリント配線板は、一般的には、スルーホールを有する両面プリント配線板若しくは多層プリント配線板をコア基板とし、このコア基板の両面若しくは片面に1〜2層程度のビルドアップ層を設けたものである。このビルドアップ型多層プリント配線板は、コア基板上に設けられた回路(内層回路パターン)と、ビルドアップ層上に設けられた回路(外層回路パターン)とを電気的に接続する有底型の層間導通部(ブラインドビア)を備える。このブラインドビアは、ビルドアップ層を貫通し、底面に内層回路パターンの一部として設けられた受けランド部が露出した有底型のビアホール(ブラインドビアホール)の内壁に形成されためっき層から構成される層間導電路である。
【0004】
しかし、ブラインドビアの深さが増すにつれて、次のような問題が生じる。まず、プリント配線板を構成する部材の各々が熱膨張することによって、ブラインドビアが破壊され易くなる。さらに、層間導通を得るために有底型のビアホールの内壁にめっき層を形成する際、めっき液がビアホールの底部に滞留し易くなるため、所望のめっき厚が得られない。このような理由から、ブラインドビアの深さが増すほど、その層間導電路としての信頼性を確保することが困難となる。
【0005】
上記の問題の対策として、有底型のビアホールの内壁に十分厚くめっき層を形成することが考えられる。しかし、有底型のビアホールの内壁に形成されるめっき層の厚みが増すと、それに応じて、ビルドアップ層上に形成される導体層の厚みも大きくなることが避けられない。外層回路パターンは、ビルドアップ層上の導体層を所望のパターンに従ってウェットエッチングすることにより形成される。このため、ビルドアップ層上の導体層の厚みが増すにつれて、外層回路パターンを微細化することが困難となる。その結果、高密度実装の要求を満足することが困難になるという問題がある。
【0006】
ところで、ビルドアップ型多層プリント配線板のうち、特に、スタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板が、高密度化および設計自由度の向上の観点から求められている。ここで、スタックビア構造とは、コア基板の表面及び裏面に形成された内層回路パターン同士を電気的に接続する層間接続部の上に、外層回路パターンと内層回路パターンを電気的に接続する別の層間接続部を重ねて配置した構造をいう。従来、スタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法の一つとして、特許文献2に記載の方法が知られている。
【0007】
次に、従来技術の問題点を明確にするために、図4を用いて、スタックビア構造を有する従来のビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を説明する。図4は、従来のビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【0008】
(1)ポリイミドフィルムからなる可撓性絶縁ベース材101(25μm厚)の両面に、銅箔102及び銅箔103(各々12μm厚)を有する、可撓性の両面銅張積層板104を準備する。そして、図4(1)からわかるように、レーザ加工又はNCドリル等を用いて、この両面銅張積層板104を厚さ方向に貫通するスルーホール105(φ100μm)を形成する。
【0009】
(2)次に、図4(1)からわかるように、スクリーン印刷法等によりスルーホール105の内部に導電性ペーストを充填し、その後、充填した導電性ペーストを硬化させて、埋め込みビア106を形成する。
【0010】
(3)次に、図4(1)からわかるように、電解銅めっき処理を施すことにより、露出したビア105とその周辺の銅箔102,103上に、銅めっき皮膜からなる蓋めっき層107(φ200μm,10μm厚)を形成する。この蓋めっき層107は、埋込みビア106と銅箔102,103との接触抵抗を低減し、埋込みビア106による層間接続の信頼性を確保するとともに、後のブラインドビアホールをレーザ加工する際に埋込みビア106を保護するために形成される。なお、蓋めっき層107の厚みは、後のブラインドビアホールを形成する際に照射されるレーザ光に対する耐性を考慮して決められる。即ち、蓋めっき層107は、レーザ加工時に貫通しない程度の厚みにする必要がある。
【0011】
(4)次に、図4(1)からわかるように、フォトファブリケーション手法により銅箔102及び103を加工し、蓋めっき層107より大きい径の受けランド部108(φ300μm)を有する内層回路パターンを、可撓性絶縁ベース材101の両面に形成する。ここで、フォトファブリケーション手法とは、被加工層(銅箔等)を所定のパターンにパターニングするための加工方法であり、被加工層上のレジスト層の形成、露光、現像、被加工層のエッチング及びレジスト層の剥離等の一連の工程からなる。なお、本工程において、蓋めっき層107がダメージを受けないように蓋めっき層107全体をレジスト層で覆う必要がある。このため、受けランド部108の径は蓋めっき層107の径よりも大きくならざるを得ない。このことは、内層回路パターンの高密度化を妨げる要因となる。
【0012】
(5)次に、ビルドアップ層の積層に用いる接着材との密着性を向上させるために、内層回路パターンの表面に粗化処理を施す。この粗化処理によって銅表面における炭酸ガス(CO)レーザ光(波長:約9.8μm)の吸収率が増加するため、蓋めっき層107のレーザ加工に対する耐性が低下してしまう。
【0013】
(6)次に、図4(1)からわかるように、ポリイミドフィルム109(12μm厚)を、接着材層110(25μm厚)を介して、内層回路パターン上に接着して、カバーレイ111を形成する。ここで、接着材層110の厚さは、接着材層110が蓋めっき層107及び内層回路パターンを完全に充填できるように決められる。このため、蓋めっき層107の厚みが大きいほど、接着剤層110の厚みも大きくならざるを得ない。
【0014】
ここまでの工程で、図4(1)に示す両面コア基板112を得る。
【0015】
(7)次に、可撓性の片面銅張積層板113を準備する。そして、図4(2)からわかるように、この片面銅張積層板113の銅箔113bに対し、フォトファブリケーション手法を用いて、コンフォーマルマスクとなる開口部を形成する。ここで、片面銅張積層板113は、ポリイミドフィルム113a(厚さ25μm)の片面に銅箔113b(12μm厚)を有するものである。
【0016】
(8)次に、図4(2)からわかるように、前工程で銅箔113bが加工された片面銅張積層板113を、接着剤層114を介して、両面コア基板112の両面に積層接着する。
【0017】
(9)次に、図4(2)に示すように、銅箔113bに形成したコンフォーマルマスクを用いてレーザ加工を行い、ブラインドビアホール(導通用孔)115A,115Bを形成する。
【0018】
本工程のレーザ加工は、生産性を考慮し、炭酸ガスレーザを用いる場合が多い。しかし、粗化処理された銅表面は、炭酸ガスレーザによる熱ダメージを受けやすいため、レーザ加工の条件(レーザ光のパルスエネルギーなど)に注意が必要となる。蓋めっき層107を貫通しないようにする方法として、2つの方法、即ち、レーザ光のパワーを低下する方法と、蓋めっき層107の厚みを大きくする方法がある。前者の方法は、加工速度が低下し生産性が低下してしまうため、採用できない。一方、後者の方法を用いる場合、後に詳述するように微細な外層回路パターンを形成することが困難となるため、プリント配線板の高密度実装の要求を満足することができない。
【0019】
(10)次に、図4(3)からわかるように、導電化処理とそれに続く電解銅めっき処理を施すことにより、銅箔113b上及びブラインドビアホール115A,115Bの内壁に電解銅めっき皮膜を形成する。この電解銅めっき被膜の厚みは、層間導通を確保するために25〜30μm程度にする必要がある。本工程により、層間導電路として機能するブラインドビア116A,116Bが形成される。ブラインドビア116Aは、蓋めっき層107を介して、コア基板の埋め込みビア106上にスタックされており、スタックビア構造が形成されている。一方、ブラインドビア116Bはスタックビア構造を構成しない。
【0020】
(11)次に、図4(3)に示すように、フォトファブリケーション手法を用いて、前工程で形成された電解銅めっき被膜を加工し、外層回路パターン117を形成する。図4(3)からわかるように、ビルドアップ型多層プリント配線板118は、両面コア基板112にビルドアップ層が積層された部品実装部118aと、この部品実装部118aから延伸する可撓性ケーブル部118bとを有する。この可撓性ケーブル部118bは、ビルドアップ層が設けられていない両面コア基板112の一部である。
【0021】
以上の工程を経て、ステップビア構造を有する従来のビルドアップ型多層プリント配線板118が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2004−200260号公報
【特許文献2】特開2000−151118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従来技術の問題点一つとして、前述のように、生産性を維持しながら、ブラインドビアホール115A,115Bをレーザ加工で形成する際に蓋めっき層107が貫通しないようにするため、蓋めっき層107を厚くせざるを得ないことが挙げられる。蓋めっき層107が厚くなるにつれて、内層回路パターンを埋め込む接着材層110の厚みが大きくなるため、ブラインドビアホール115A,115Bが深くなる。ブラインドビアホール115A,115B及び銅箔113b上に形成される電解銅めっき皮膜の厚みは、ブラインドビア116A,116Bの接続信頼性を確保するために、上述のように25〜30μm程度にする必要がある。この場合、ビルドアップ層上の導体層(銅箔113b及び電解銅めっき被膜)の厚みは、トータルで37〜42μmにもなるため、例えばピッチ100μm程度の微細な外層回路パターンを歩留まり良く形成することは実際上極めて困難となる。
【0024】
このように、ステップビア構造を有する従来のビルドアップ形多層プリント配線板では、高密度実装の要求を満足することができないという問題があった。
【0025】
本発明は、上記の技術的な認識に基づいてなされたものであり、高密度実装可能なスタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板を提供すること、及び、このようなプリント配線板を安価かつ安定的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一態様によれば、可撓性の絶縁ベース材と、前記絶縁ベース材の両面に設けられ、受けランド部を有する内層回路パターンと、前記絶縁ベース材及び前記受けランド部を貫通し、前記絶縁ベース材の表面及び裏面の前記内層回路パターンを電気的に接続する埋込みビアと、前記埋込みビアが露出した前記受けランド部を被覆し、且つ表層が前記内層回路パターンを構成する金属のエッチャントに対して耐性を有する材料からなる蓋めっき層とを有する、コア基板と、
前記コア基板の上に積層されたビルドアップ層であって、表層に設けられた外層回路パターンと、前記ビルドアップ層を厚さ方向に貫通し、底面に前記蓋めっき層が露出したブラインドビアホールの内壁に形成されためっき皮膜であって、前記内層回路パターンと前記外層回路パターンを電気的に接続するブラインドビアとを有する、ビルドアップ層と、を備えるビルドアップ型多層プリント配線板が提供される。
【0027】
本発明の別態様によれば、可撓性の絶縁ベース材と、その表面及び裏面にそれぞれ設けられた第1の銅箔及び第2の銅箔と、を有する両面銅張積層板を準備し、
前記両面銅張積層板を厚さ方向に貫通するスルーホールを形成し、
前記スルーホールの内部に導電性ペーストを充填した後、前記導電性ペーストを硬化させて、埋込みビアを形成し、
前記埋込みビアが露出している領域、及び前記埋込みビアが露出していなくともブラインドビアホールの受けランド部となる領域に、少なくとも表層が銀、金又はニッケルからなる蓋めっき層を形成し、
所定のパターンを有するレジスト層を前記第1の銅箔上に形成し、
前記レジスト層及び前記蓋めっき層をエッチングレジストとして用いて前記第1の銅箔をエッチングすることにより、前記蓋めっき層で覆われた受けランド部を有する内層回路パターンを形成し、
前記レジスト層を剥離し、前記内層回路パターンの表面に粗化処理を施した後、前記内層回路パターン及び前記蓋めっき層を充填する接着剤層を形成し、
表層に第3の銅箔を有するビルドアップ層を前記接着剤層の上に積層し、
前記ビルドアップ層の所定の位置に赤外レーザ光を照射することにより、前記ビルドアップ層を厚さ方向に貫通し、底面に前記蓋めっき層が露出した、ブラインドビアホールを形成し、
前記ブラインドビアホールの内壁及び前記第3の銅箔上にめっき皮膜を形成することにより、前記第3の銅箔及び前記めっき皮膜からなる導電膜と、前記内層回路パターンとを電気的に接続するブラインドビアを形成する、ビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0028】
これらの特徴により、本発明は次のような効果を奏する。
【0029】
本発明に係るビルドアップ型多層プリント配線板は、ブラインドビアホールの受けランド部に、表層が内層回路パターンを構成する金属のエッチャントに対して耐性を有する材料からなる蓋めっき層を有する。この蓋めっき層は赤外レーザに対する耐性が高いため、蓋めっき層の厚みを大幅に低減することができる。これにより、内層回路パターン及び蓋めっき層を充填する接着材層の厚みを低減し、ビルドアップ層を貫通するブラインドビアホールを浅くすることができる。その結果、層間導通を確保するのに必要なめっき層の厚みを低減することができ、外層回路パターンを微細化することができる。よって、本発明に係るスタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板は、高密度実装の要求を満たすことができる。
【0030】
また、本発明に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法では、ビルドアップビアホールの受けランド部に、表層が内層回路パターンを構成する金属のエッチャントに対して耐性を有する材料からなる蓋めっき層を形成する。この蓋めっき層は、赤外レーザに対する耐性が高いため、大幅に薄く形成することができる。これにより、内層回路パターン及び蓋めっき層を充填する接着材層の厚みを低減することができ、ビルドアップ層を貫通するブラインドビアホールを浅くする形成することができる。その結果、層間導通を確保するのに必要なめっき層の厚みを低減し、微細な外層回路パターンを形成することができる。さらに、スタックビア構造用か否かに拘わらず、ブラインドビアホールを形成する際におけるレーザ加工の条件及びデスミア工程の条件を同一とすることができるため、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図1B】図1Aに続く、本発明の第1の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。但し、(6)は(5)に対応する平面図である。
【図1C】図1Bに続く、本発明の第1の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図1D】図1Cに続く、本発明の第1の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図2A】本発明の第2の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図2B】図2Aに続く、本発明の第2の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図2C】図2Bに続く、本発明の第2の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図2D】図2Cに続く、本発明の第2の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図3A】本発明の第3の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図3B】図3Aに続く、本発明の第3の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図3C】図3Bに続く、本発明の第3の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】従来技術による、スタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る3つの実施形態ついて説明する。
【0033】
なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。実施形態の説明中の数値はいずれも例示的な値であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各実施形態に係る特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0034】
(第1の実施形態)
図1A〜図1Dを用いて、第1の実施形態に係るスタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法について説明する。図1A〜図1Dは、本実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【0035】
(1)ポリイミドフィルム等の可撓性絶縁ベース材1(厚さ25μm)の表面及び裏面にそれぞれ銅箔2及び銅箔3(各々12μm厚)を有する、可撓性の両面銅張積層板4を準備する。そして、図1A(1)に示すように、レーザ加工又はNCドリル等を用いて、この両面銅張積層板4を厚さ方向に貫通するスルーホール5(φ100μm)を形成する。なお、スルーホール5をレーザ加工により形成する場合には、所定のパターンに加工された銅箔2,3をメタルマスクとするコンフォーマルレーザ加工法、又は、銅箔2,3及びその下の絶縁樹脂(可撓性絶縁ベース材1)をレーザ光で直接加工するダイレクトレーザ加工法を選択可能である。ここでは、生産性を考慮して、フォトファブリケーション手法による銅箔のエッチング工程が不要なダイレクトレーザ加工法を選択した。
【0036】
(2)次に、図1A(2)に示すように、スクリーン印刷法等によりスルーホール5の内部に導電性ペースト6Aを充填し、その後、充填した導電性ペースト6Aを硬化させる。工程数の削減及び電気特性の観点から、この導電性ペースト6Aは、体積抵抗率が低く、且つ、後述の蓋めっき層9を形成する際に導電化処理が不要であるものが好ましい。ここでは、タツタエレクトロニクス社製のAE1244(体積抵抗率:5×10−5Ω・cm)を用いた。本工程では、導電性ペーストの不足によってボイド等がスルーホール5内に発生しないように、図1A(2)に示すように、スルーホール5の上部及び下部ともに、導電性ペースト6Aが溢れるまで充填することが好ましい。なお、導電性ペーストはブラインドビアホールではなくスルーホールに充填されることから、本工程で用いる印刷機は、真空系のものである必要はなく、両面銅張積層板4を吸着する程度の差圧を発生可能な機構を備えるものであればよい。
【0037】
(3)次に、図1A(2)に示すスルーホール5内に導電性ペースト6Aが充填された両面銅張積層板4の両面を、ベルトサンダー若しくはロールバフによる機械研磨、又は化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等により研磨する。これにより、図1A(3)に示すように、スルーホール5からはみ出した余分な導電ペースト6Aが削られ、埋込みビア6が形成される。本工程の研磨によって銅箔2及び銅箔3も削られ、銅箔2及び銅箔3はそれぞれ約5μm厚の銅箔2a及び銅箔3aとなる。
【0038】
なお、本工程のように可撓性の薄い両面銅張積層板を研磨する場合には、研磨する前に、両面銅張積層板4を粘着性の接着シートを介して硬質基板(数mm厚)等へ張り合わせた後、研磨加工する。このようにすることで、硬質基板用の研磨装置を用いることができる。薄膜を研磨する他の方法として、両面銅張積層板4を平板に吸着させて保持した後、吸着面と反対側の面を研磨し、その後、両面銅張積層板4をひっくり返し、研磨済みの面を平板に吸着させて、未研磨の面を研磨するようにしてもよい。
【0039】
(4)次に、図1A(4)からわかるように、銅箔2a及び銅箔3a上にめっきレジスト層7をそれぞれ形成する。このめっきレジスト層7は、埋込みビア6が露出している領域に開口部8aを有し、さらに、埋込みビア6がなくともブラインドビアホールの受けランド部となる領域に開口部8bを有する。なお、開口部8a,8bの直径は、ブラインドビアホールの直径と、ブラインドビアホールを形成する際の位置合わせ精度とを考慮して決めることが望ましい。ここでは、φ200μmとした。
【0040】
(5)次に、図1A(4)に示すように、めっきレジスト層7を用いて電解または無電解めっきを行うことにより、めっきレジスト層7の開口部8a及び8bに蓋めっき層9を形成する。より詳細には、蓋めっき層9は次のようにして形成される。まず、電解銅めっきを行い、厚さ2μmの銅めっき層9aを開口部8a及び8bの底面に形成する。その後、無電解銀めっきを行い、厚さ0.5μmの銀めっき層9bを銅めっき層9aの上に形成する。この一連のめっき処理は、めっきレジスト層7を残したままの状態で行う。
【0041】
なお、蓋めっき層9は上記の構成に限られない。例えば、銅めっき層9aの代わりに、無電解ニッケルめっきによるニッケルめっき層を形成してもよい。また、蓋めっき層9は、電解または無電解めっきを用いて、1層の銀めっき層又はニッケルめっき層として構成してもよい。
【0042】
蓋めっき層9の表層を構成するめっき層は、銅のエッチャントに対する耐性(銅に対する選択エッチング性でもよい。)を有することが必要である。この条件を満たすめっき層として、銀めっき層9bに代えて、無電解金めっきによる金めっき層、又は無電解ニッケルめっきによるニッケルめっき層を形成してもよい。その他、銀メッキ層9bの代わりに、銅めっき層9aの上に、ニッケルめっき層と金メッキ層を順次形成してもよい。このように、蓋めっき層9は、少なくとも表層が銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)などといった銅のエッチャントに対して耐性を有する材料からなるという条件下で、銀、金、ニッケル、銅等からなるめっき層を、単独もしくは複数組み合わせて構成することができる。これらいずれの場合であっても以降の工程を変更する必要はなく、銅めっき層9aと銀めっき層9bからなる蓋めっき層9を形成した場合と同様の効果が得られる。蓋めっき層9の構成は、生産性及びコスト等を考慮して選択される。
【0043】
(6)次に、めっきレジスト層7を剥離した後、図1B(5)及び(6)に示すように、後述の内層回路パターン11A,11Bを形成するための、所定のパターンを有するエッチングレジスト層10を、銅箔2a,2b上に形成する。ここで、図1B(5)は、図1B(6)のA−A’線に沿う断面図である。つまり、図1B(6)は、図1B(5)に示す基材を上面からみた図である。なお、エッチングレジスト層10を形成するために、微細配線形成用のドライフィルムレジスト(約10μm厚)を用いてもよい。この場合でも、前述のように蓋めっき層9の厚みは2.5μmと薄いため、蓋めっき層9を充填することが可能である。
【0044】
蓋めっき層9は、回路パターンエッチングの際にエッチングレジストとして機能するため、図1B(5)及び(6)に示すように、蓋めっき層9を保護するためのエッチングレジスト層を設ける必要はない。よって、高精度な位置合わせが可能な露光機を用いなくとも、蓋めっき層9の形状をそのままブラインドビアホールの受けランド部の形状とすることが可能である。このことは、生産性を向上させるとともに、安価なプリント配線板の製造に寄与する。
【0045】
(7)次に、図1B(7)からわかるように、エッチングレジスト層10及び蓋めっき層9をエッチングレジストとして用いて、銅箔2a及び銅箔3aのエッチングを行うことにより、可撓性絶縁ベース材1の表面及び裏面に内層回路パターン11A及び内層回路パターン11Bをそれぞれ形成する。その後、エッチングレジスト層10を剥離する。この内層回路パターン11A,11Bは、蓋めっき層9で覆われた、ブラインドビアホールの受けランド部を有する。
【0046】
本工程におけるエッチャントは、銅箔2a,3aをエッチングする一方、蓋めっき層9(銀めっき層9b)にはダメージを与えないものを用いる。例えば、このようなエッチャントとして、塩化第二銅又は塩化第二鉄を用いたエッチャントを用いることができる。
【0047】
なお、蓋めっき層9の表層をニッケルめっき層で構成した場合、本工程のエッチングは、例えばアンモニア系のアルカリエッチャントを用いて、選択エッチングとして行う。
【0048】
ここまでの工程を経て、図1B(7)に示す両面回路基材12を得る。両面回路基材12には、受けランド部を有する内層回路パターン11A,11Bが形成されており、埋込みビア6が内層回路パターン11Aと内層回路パターン11Bを電気的に接続している。この蓋めっき層9は、埋込みビア6と銅箔2,3との接触抵抗を低減し、埋込みビア6の層間接続路としての信頼性を確保する機能も有する。
【0049】
(8)次に、ビルドアップ層の積層に用いる接着材(後述の接着材層14)との密着性を向上させるために、内層回路パターン11A,11Bの表面に粗化処理を施す。ここでは、日本マクダーミッド(株)のマルチボンド150を用いて粗化処理を行った。その他、(株)荏原電産製のネオブラウンプロセスNBDシリーズなどを用いて粗化処理を行ってもよい。
【0050】
前述のように、粗化処理により銅箔2a,3aと接着剤との密着性が向上する反面、銅箔2a,3aにおける炭酸ガスレーザ光の吸収率が増加してしまう。しかし、本実施形態では、ブラインドビアホールの受けランド部を覆う蓋めっき層9の表層には、銅エッチャント耐性を有する銀めっき層9bが形成されている。このため、本工程の粗化処理によって、蓋めっき層9は粗化されず、受けランド部における炭酸ガスレーザ光の吸収率は増加しない。実際に、粗化処理の前後で炭酸ガスレーザ光の吸収率を測定したところ、吸収率は銅箔2a,3aの表面では約20%から約30%に増加したが、銀めっき層9bの表面における吸収率の増加は認められなかった。また、炭酸ガスレーザ光の照射によって銀めっき層9bの下にある銅めっき層9a及び銅箔2a(3a)の厚みが減少しないことからも、レーザ加工に伴う熱ダメージに対する耐性は十分に確保されている。銀めっき層9bは本工程(粗化処理)前において殆ど赤外レーザ光を吸収しないことから、本工程の粗化処理後において赤外レーザ光に対する蓋めっき層9の耐性は十分高く維持される。
【0051】
(9)次に、図1B(8)に示すように、内層回路パターン11A,11Bを覆うように、両面回路基材12の表面および裏面にカバーレイ15を形成する。より詳細には、内層回路パターンを構成11A,11B及び蓋めっき層9を充填する接着剤層14を形成した後、この接着剤層14の上に例えばポリイミドフィルムからなる絶縁フィルム13(12μm厚)を形成することにより、カバーレイ15を形成する。なお、接着材層14は、例えばアクリル系又はエポキシ系の接着剤を硬化させたものである。
【0052】
この接着材層14の厚みは、内層回路パターン11A(11B)及び蓋めっき層9を完全に充填できるように決められる。内層回路パターン11A(11B)のうち最も厚い部分はブラインドビアホールの受けランド部である。この受けランド部の厚さは、蓋めっき層9の薄化により、7.5μm(銅箔2a(3a):5μm、蓋めっき層9:2.5μm)と従来よりも小さい。したがって、接着剤層14の厚みは従来よりも大幅に小さい値(8μm)とすることができる。
【0053】
ここまでの工程を経て、図1B(8)に示す両面コア基板16を得る。
【0054】
(10)次に、図1C(9)からわかるように、可撓性絶縁ベース材17a(例えば厚さ25μmのポリイミドフィルム)の片面に、銅箔17b(12μm厚)を有する片面銅張積層板17を準備する。そして、フォトファブリケーション手法を用いて、片面銅張積層板17の銅箔17bに、ブラインドビアホールを形成するためのコンフォーマルマスク18(開口部)を形成する。
【0055】
(11)次に、図1C(9)に示すように、コンフォーマルマスク18が形成された片面銅張積層板17を、ビルドアップするための接着剤からなる接着剤層19を介して両面コア基板16に積層接着する。ここで用いる接着材としては、接着剤が可撓性ケーブル部(片面銅張積層板17で覆われない両面コア基板16)に流れ出さないように、ローフロータイプのプリプレグやボンディングシート等といった流れ出しの少ないものが好ましい。なお、未加工の銅箔17bを有する片面銅張積層板17を、接着材層19を介して両面コア基板16に接着した後、銅箔17bを加工し、コンフォーマルマスク18を形成してもよい。
【0056】
ここでは、コンフォーマルマスク18の直径は、ブラインドビアホールの受けランド部(蓋めっき層9)の直径200μmに対して80μm小さい値である120μmとした。よって、コンフォーマルマスク18は、±40μmの位置合わせ精度が得られる手法で形成すれば良い。この位置合わせの方法として、例えば次の2つの方法がある。
【0057】
1つめの方法は、コンフォーマルマスク18を形成した後、片面銅張積層板17を両面コア基板16に積層する場合の方法である。この方法では、両面コア基板16にターゲットマークを予め形成しておく。そして、このターゲットマークを用いて片面銅張積層板17の位置合わせを行った後、片面銅張積層板17を両面コア基板16に積層する。
【0058】
2つめの方法は、片面銅張積層板17を両面コア基板16に積層接着した後にコンフォーマルマスク18を形成する場合の方法である。この方法では、まず、両面コア基板16にターゲットマークを予め形成しておく。そして、片面銅張積層板17を両面コア基板16に積層接着し、銅箔17b上にレジスト層を形成する。その後、露光用のフォトマスクに設けられた基準位置を示すマークと、両面コア基板16のターゲットマークを用いて、両面コア基板16とフォトマスクの位置合わせを行う。そして、レジスト層への露光および現像を行い、銅箔17bの所定の位置にコンフォーマルマスク18を形成する。
【0059】
(12)次に、図1C(10)に示すように、前工程で形成したコンフォーマルマスク18を用いてレーザ加工を行い、底面に蓋めっき層9が露出したブラインドビアホール20A,20B(導通用孔)を形成する。より詳細には、コンフォーマルマスク18における可撓性絶縁ベース材17a、接着剤層19、絶縁フィルム13及び接着剤層14を除去する。本工程のレーザ加工法においては、加工速度が速く、生産性に優れた炭酸ガスレーザを用いることが好ましいが、より一般的には赤外レーザを用いることができる。
【0060】
ここで、本工程におけるレーザ加工の詳細について説明する。炭酸ガスレーザ加工機としては、三菱電機(株)製のML605GTXIII−5100U2を用いた。所定のアパーチャー等でレーザのビーム径を200μmに調整し、レーザ照射位置を調整した後、パルス幅10μSec,パルスエネルギー5mJのレーザパルスを5ショット照射して、ブラインドビアホール20A,20Bを形成した。蓋めっき層9の厚みは2.5μmと薄いものの、銀めっき層9bの炭酸ガスレーザ光の吸収が少ないことから、レーザ光が蓋めっき層9を貫通したり、蓋めっき層9が埋込みビア6から剥離することなく、レーザ加工を行うことができる。
【0061】
(13)次に、ブラインドビアホール20A,20Bを形成する際に生じた樹脂残渣を除去するために、デスミア工程を行う。
【0062】
(14)次に、図1D(11)に示すように、導電化処理とそれに続く電解銅めっき処理を施すことにより、ブラインドビアホール20A,20Bの内壁(側面および底面)及び銅箔17b上に、電解銅めっき皮膜21を形成する。この電解銅めっき皮膜21の厚みは、層間導通を確保するために15〜20μm程度とした。これにより、外層の導電膜(銅箔17bと電解銅めっき皮膜21)と内層回路パターン11A,11Bを電気的に接続し、層間導電路として機能するブラインドビア22A,22Bが形成される。
【0063】
(15)次に、図1D(12)に示すように、フォトファブリケーション手法により、可撓性絶縁ベース材17a上の導電層(銅箔17b及びその上の電解銅めっき被膜21)を所定のパターンに加工して、外層回路パターン23を形成する。
【0064】
この後、図示しないが、必要に応じて、はんだ付けが不要な部分には保護用のフォトソルダーレジスト層を形成し、ランド部等の表面には半田めっき、ニッケルめっき、金めっき等の表面処理を施す。その後、金型による抜き打ち等により外形加工を行う。
【0065】
以上の工程を経て、第1の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板24を得る。ビルドアップ型多層プリント配線板24の両面コア基板16は、可撓性絶縁ベース材1と、可撓性絶縁ベース材1の両面に設けられ、受けランド部を有する内層回路パターン11A,11Bと、可撓性絶縁ベース材1と受けランド部を貫通し、内層回路パターン11Aと内層回路パターン11Bを電気的に接続する埋込みビア6を備える。また、埋込みビア6が露出した受けランド部を被覆し、且つ表層が内層回路パターン11A,11Bを構成する金属のエッチャントに対して耐性を有する材料からなる蓋めっき層9を有する。
【0066】
両面コア基板16の上には、接着剤層19を介して、表層に外層回路パターン23が設けられたビルドアップ層が積層されている。
【0067】
ブラインドビア22A及び22Bはビルドアップ層を厚さ方向に貫通し、底面に蓋めっき層9が露出したブラインドビアホール20A,20Bの内壁に形成されためっき皮膜からなり、蓋めっき層9を介して内層回路パターン11A,11Bと外層回路パターン23を電気的に接続している。さらに、図1D(12)に示すように、ブラインドビア22Aは蓋めっき層9を介して、埋込みビア6上に重なるように配置されている。このように、本実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板24は、埋込みビア6とブラインドビア22Aから構成されるスタックビア構造を有する。
【0068】
図1D(12)に示すように、ビルドアップ型多層プリント配線板24は、両面コア基板16にビルドアップ層が積層された部品実装部24aと、この部品実装部24aから延伸する可撓性ケーブル部24bとを有する。この可撓性ケーブル部24bは、ビルドアップ層が設けられていない両面コア基板16の一部である。この可撓性ケーブル部24bは必須の構成要素ではなく、設けられていなくともよい。
【0069】
なお、本実施形態では、両面コア基板16の表面および裏面にビルドアップ層を設けたが、片面にのみビルドアップ層を設けるようにしてもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施形態では、ビルドアップ層を貫通するブラインドビアホール20A,20Bの受けランド部となる領域に、蓋めっき層9を形成しておく。この蓋めっき層9の表層は、銅のエッチャントに対して耐性があるめっき層(銀めっき層9bなど)で構成される。これにより、銅膜2a,3aを粗化する際に蓋めっき層9は粗化されないため、ブラインドビアホール20A,20Bをレーザ加工で形成する際、受けランド部(蓋めっき層9)の表面におけるレーザ光の吸収はほとんどなく、蓋めっき層9は薄い場合でもレーザ光による熱ダメージを受けない。したがって、蓋めっき層9を従来に比べて大幅に薄くすることができる。
【0071】
蓋めっき層9の薄化により、カバーレイ15の接着材層14を薄くすることができる。これにより、ブラインドビアホール20A,20Bを浅く形成することができる。例えば、従来に比べて10μm程度小さくなる。これにより、ブラインドビアホール20A,20Bの内壁に対する電解銅めっき皮膜21の電着容易性が向上する。さらに、多層プリント配線板の構成部材が熱膨張することによる、ブラインドビア22A,22Bへの影響が低減する。ビルドアップ型多層プリント配線板24を構成する部材のうち、接着剤層14を構成する接着剤は特に熱膨張率が大きいため、接着剤層14が薄くなることによる効果は大きい。このため、歩留まりの向上及び接続信頼性を確保するのに必要な電解銅めっき皮膜21の厚みを低減することができる。この結果、本実施形態によれば、微細な外層回路パターン23を形成することが可能となり、高密度実装の要求を満たす、スタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板24を得ることができる。
【0072】
さらに、内層回路パターン11を形成するために銅箔2a,3aをエッチングの際、蓋めっき層9は銅エッチャント耐性を有するため、蓋めっき層9を保護するためのレジスト層を設ける必要がない。これにより、本発明によれば、蓋めっき層9で被覆された受けランド部(銅箔2a,3a)の径を蓋めっき層9と同じにすることができ、内層回路パターンの高密度化を図ることができる。また、高精度な位置合わせが可能な露光機を用いなくてもよいため、生産性を向上させるとともに、安価にプリント配線板を製造することができる。
【0073】
さらに、スタックビア構造を構成しないブラインドビアホール20Bについても、受けランド部に蓋めっき層9を設けている。このため、ブラインドビアホール20Bの構造(ビアの深さ等)は、スタックビア構造用のブラインドビアホール20Aとほぼ同じになる。よって、スタックビア構造用か否かに拘わらず、ブラインドビアホールを形成する際のレーザ加工の条件及びデスミア工程の条件を同一とすることができる。その結果、本実施形態によれば、大きな加工マージンを確保することができるとともに、生産性を向上させることができる。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板について説明する。第2の実施形態と第1の実施形態の相違点の一つは、第2の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板は可撓性ケーブル部における可撓性絶縁ベース材上に内層端子を有し、この内層端子の表面を保護するめっき層を、埋込みビア及び受けランド部の上に形成する蓋めっき層と同じめっき工程で形成することである。これにより、工程数を削減し、生産性を向上させることができる。
【0075】
図2A〜図2Dを用いて、本実施形態に係るスタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法について説明する。図2A〜図2Dは、本実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【0076】
第1の実施形態の図1A(3)に示す基材を得るまでの工程は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略し、それ以降の工程から説明する。
【0077】
(1)図2A(1)に示すように、基材の両面に電解銅めっき処理を施し、銅箔2a及び3aと、露出した埋込みビア6の上に、電解銅めっき皮膜31及び32(各2μm厚)を形成する。
【0078】
(2)次に、図2A(2)に示すように、後述の内層回路パターン34A,34Bを形成するための、所定のパターンを有するエッチングレジスト層33を、電解銅めっき皮膜31及び32の上に形成する。
【0079】
(3)次に、図2A(3)に示すように、エッチングレジスト層33を用いて、電解銅めっき皮膜31,32及び銅箔2a,3aをエッチングし、それにより、ブラインドビアホールの受けランド部を有する内層回路パターン34A及び34Bを形成する。その後、エッチングレジスト層33を剥離する。本工程のエッチングでは、例えば、塩化第二銅又は塩化第二鉄を用いたエッチャントを用いることができる。
【0080】
(4)次に、図2B(4)からわかるように、前工程で得られた基材の両面にめっきレジスト層35を形成する。このめっきレジスト層35は、ブラインドビアホールの受けランド部に開口部36bを有し、さらに、内層端子が形成される領域に開口部36cを有する。なお、図2B(4)に示すように、めっきレジスト層35は、埋込みビア6が露出している領域に開口部36aを有してもよい。この開口部36aを設けるか否かは任意である。
【0081】
(5)次に、図2B(4)に示すように、めっきレジスト層35を用いて電解または無電解めっきを行うことにより、めっきレジスト層35の開口部36a,36b,36cに露出した電解銅めっき皮膜31及び32上に、銀めっき層からなる蓋めっき層37(0.5μm厚)を形成する。その後、めっきレジスト層35を剥離する。なお、めっきリードが繋がらない部分が存在する場合、無電解めっきを行う。図2B(4)からわかるように、本工程のめっき処理により、開口部36cに露出した内層端子となる内層回路パターンの一部にも、端子保護膜となる銀めっき層(蓋めっき層37)が形成され、内層端子50が完成する。
【0082】
蓋めっき層37の表層を構成するめっき層は、後の粗化処理で用いられる銅エッチャントに対する耐性を有することが必要である。銀めっき層はこの条件を満たす。また、蓋めっき層37として、銅めっき層の代わりに、無電解ニッケルめっきによるニッケルめっき層、又は無電解金めっきによる金めっき層を形成してもよい。他に、蓋めっき層37として、無電解ニッケルめっきによるニッケルめっき層、及び無電解金めっきによる金めっき層を順次形成してもよい。このように、蓋めっき層37は、少なくとも表層が銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)などといった銅のエッチャントに対して耐性を有する材料からなるという条件下で、銀、金、ニッケル等からなるめっき層を、単独もしくは複数組み合わせて構成することができる。これらいずれの場合であっても以降の工程を変更する必要はなく、銀めっき層を形成した場合と同様の効果が得られる。蓋めっき層37の構成は、生産性及びコスト等のほか、内層端子への接続方式を考慮して選択される。
【0083】
ここまでの工程を経て、図2B(5)に示す両面回路基材38を得る。
【0084】
(6)次に、ビルドアップ層の積層に用いる接着材(後述の接着材層40)との密着性を向上させるために、内層回路パターン34A及び34Bの表面に粗化処理を施す。この粗化処理は第1の実施形態で説明した方法と同様にして行うことができる。
【0085】
本実施形態においては、後にレーザ光を照射される受けランド部を被覆する蓋めっき層37は、銅エッチャント耐性を有する銀めっき層で構成されている。このため、本工程の粗化処理によって、蓋めっき層37は粗化されない。したがって、受けランド部における炭酸ガスレーザ光の吸収率は増加せず、低い吸収率が維持される。
【0086】
(7)次に、図2B(6)に示すように、部品実装部における内層回路パターン34A,34Bを覆うように、両面回路基材38の表面および裏面にカバーレイ41を形成する。このカバーレイ41は、例えばポリイミドフィルムからなる絶縁フィルム39(12μm厚)を、例えばアクリル系又はエポキシ系の接着剤からなる接着材層40を介して両面回路基材38に接着することにより形成する。
【0087】
この接着材層40の厚みは、内層回路パターン34A(34B)及び蓋めっき層37を完全に充填できるように決められる。内層回路パターン34A(34B)のうち最も厚い受けランド部の厚さは、7.5μm(銅箔2a(3a):5μm、電解銅めっき皮膜31(32):2μm、蓋めっき層37:0.5μm)である。したがって、接着剤層40の厚みは従来よりも大幅に小さい値(8μm)とすることができる。
【0088】
ここまでの工程を経て、図2B(6)に示す両面コア基板42を得る。
【0089】
(8)次に、図2C(7)からわかるように、可撓性絶縁ベース材43a(例えば厚さ25μmのポリイミドフィルム)の片面に、銅箔43b(12μm厚)を有する片面銅張積層板43を準備する。そして、第1の実施形態と同様にして、フォトファブリケーション手法を用いて、片面銅張積層板43の銅箔43bに、ブラインドビアホールを形成するためのコンフォーマルマスク44(開口部)を形成する。
【0090】
(9)次に、図2C(7)に示すように、第1の実施形態と同様にして、コンフォーマルマスク44が形成された片面銅張積層板43を、ビルドアップするための接着剤からなる接着剤層45を介して両面コア基板42の表面及び裏面に積層接着する。
【0091】
(10)次に、図2C(8)に示すように、第1の実施形態と同様にして、コンフォーマルマスク44を用いてレーザ加工を行い、ブラインドビアホール46A,46B(導通用孔)を形成する。
(11)次に、ブラインドビアホール46A,46Bを形成する際に生じた樹脂残渣を除去するために、デスミア工程を行う。
【0092】
(12)次に、図2D(9)に示すように、導電化処理とそれに続く電解銅めっき処理を施すことにより、ブラインドビアホール46A,46Bの内壁(側面および底面)及び蓋めっき層37上に、電解銅めっき皮膜47を形成する。この電解銅めっき皮膜47の厚みは、層間導通を確保するために15〜20μm程度とした。これにより、層間導電路として機能するブラインドビア48A,48Bが形成される。
【0093】
(13)次に、図2D(10)に示すように、フォトファブリケーション手法により、ビルドアップ層状の導電層(銅箔43b及びその上の電解銅めっき被膜47)を所定のパターンに加工して、外層回路パターン49を形成する。
【0094】
この後、図示しないが、必要に応じて、はんだ付けが不要な部分には保護用のフォトソルダーレジスト層を形成し、ランド部等の表面には半田めっき、ニッケルめっき、金めっき等の表面処理を施す。その後、金型による抜き打ち等により外形加工を行う。
【0095】
以上の工程を経て、第2の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板51を得る。図2D(10)に示すように、本実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板51は、埋込みビア6とブラインドビア48Aから構成されるスタックビア構造を有する。
【0096】
また、図2D(10)に示すように、ビルドアップ型多層プリント配線板51は、両面コア基板42にビルドアップ層が積層された部品実装部51aと、この部品実装部51aから延伸する可撓性ケーブル部51bとを有する。この可撓性ケーブル部51bは、ビルドアップ層が設けられていない両面コア基板42の一部である。この可撓性ケーブル部51bには、可撓性絶縁ベース材1上に露出した内層端子50が設けられている。この内層端子50の表面には蓋めっき層37と同じ材料からなる保護めっき膜が形成されている。なお、内層端子50を可撓性絶縁ベース材1上に複数形成し、可撓性のコネクタ領域を構成してもよい。
【0097】
なお、本実施形態では、両面コア基板42の表面および裏面にビルドアップ層を設けたが、片面にのみビルドアップ層を設けるようにしてもよい。
【0098】
以上、説明したように、本実施形態によれば、内層端子50の表面めっき層の形成を、蓋めっき層37の形成と同時に行うことができる。これにより、工程数を削減し、生産性を向上させることが可能となる。
【0099】
さらに、本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
【0100】
まず、第1の実施形態と同様、蓋めっき層37の薄化により、カバーレイ41の接着剤層40を従来に比べて大幅に薄くすることができる。これにより、ブラインドビアホール46A,46Bを浅く形成することができる。例えば、従来に比べて10μm程度小さくなる。これにより、ブラインドビアホール46A,46Bの内壁に対する電解銅めっき皮膜47の電着容易性が向上する。さらに、多層プリント配線板の構成部材が熱膨張することによる、ブラインドビア48A,48Bへの影響が低減する。このため、歩留まりの向上及び接続信頼性を確保するのに必要な電解銅めっき皮膜47の厚みを低減することができる。この結果、本実施形態によれば、微細な外層回路パターン49を形成することが可能となり、高密度実装の要求を満たす、スタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板51を得ることができる。
【0101】
さらに、スタックビア構造を構成しないブラインドビアホール46Bについても、受けランド部に蓋めっき層37を設けている。このため、ブラインドビアホール48Bの構造(ビアの深さ等)は、スタックビア構造用のブラインドビアホール48Aとほぼ同じになる。よって、スタックビア構造用か否かに拘わらず、ブラインドビアホールを形成する際のレーザ加工の条件及びデスミア工程の条件を同一とすることができる。その結果、本実施形態によれば、大きな加工マージンを確保することができ、生産性を向上させることができる。
【0102】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板について説明する。第3の実施形態と第2の実施形態の相違点の一つは、カバーレイを、部品実装部の内部には設けず、プリント配線板の部品実装部と可撓性ケーブル部との境界領域に設けることである。これにより、部品実装部の内層回路パターンを充填する接着剤の流れ出しを考慮する必要がなくなるため、接着剤の選択肢が広がる。さらに、部品実装部におけるプリント配線板の厚みを低減することができるため、外層回路パターンをより微細化することができる。
【0103】
図3A〜図3Cを用いて、本実施形態に係るスタックビア構造を有するビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法について説明する。図3A〜図3Cは、本実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【0104】
第2の実施形態の図2A(3)に示す基材を得るまでの工程は、第2の実施形態と同じであるため、説明を省略し、それ以降の工程から説明する。
【0105】
(1)図3A(1)に示すように、部品実装部76aとなる領域と可撓性ケーブル部76bとの境界領域における基材の表面及び裏面に、それぞれカバーレイ63を形成する。このカバーレイ63は、例えばポリイミドフィルムからなる絶縁フィルム61(12μm厚)を、例えばアクリル系又はエポキシ系の接着剤からなる接着材層62(8μm厚)を介して基材に接着することにより形成する。
【0106】
(2)次に、図3A(2)からわかるように、前工程で得られた基材の両面の部品実装部76aとなる領域にめっきレジスト層64を形成する。このめっきレジスト層64は、ブラインドビアホールの受けランド部に開口部65bを有する。なお、内層端子が形成される領域については、図3A(2)からわかるように、カバーレイ63がめっきレジスト層となる。また、図3A(2)に示すように、めっきレジスト層64は、埋込みビア6が露出している領域に開口部65aを有してもよい。この開口部65aを設けるか否かは任意である。
【0107】
(3)次に、図3A(2)に示すように、めっきレジスト層64及びカバーレイ63を用いて電解または無電解めっきを行うことにより、めっきレジスト層64の開口部65a,65bに露出した電解銅めっき皮膜31及び32上に、銀めっき層(0.5μm厚)からなる蓋めっき層66を形成する。その後、めっきレジスト層64を剥離する。なお、めっきリードが繋がらない部分が存在する場合、無電解めっきを行う。図3A(2)からわかるように、本工程のめっき処理により、内層端子となる銅めっき層の表面にも、端子保護膜となる銀めっき層(蓋めっき層66)が形成され、内層端子67が完成する。
【0108】
蓋めっき層66の表層を構成するめっき層は、後の粗化処理で用いられる銅エッチャントに対する耐性を有することが必要である。銀めっき層はこの条件を満たす。この蓋めっき層66は、第2の実施形態における蓋めっき層37と同様な材料及び構成を採ることができる。
【0109】
ここまでの工程を経て、図3A(3)に示す両面コア基板68を得る。
【0110】
(4)次に、ビルドアップ層の積層に用いる接着材(後述の接着材層71)との密着性を向上させるために、内層回路パターン34A及び34Bの表面に粗化処理を施す。この粗化処理は第1の実施形態で説明した方法と同様にして行うことができる。
【0111】
後にレーザ光を照射される部分である蓋めっき層66は、第1の実施形態と同様、銅エッチャント耐性を有する銀めっき層で構成されている。このため、本工程の粗化処理によって、蓋めっき層66は粗化されない。したがって、受けランド部における炭酸ガスレーザ光の吸収率は増加せず、低い吸収率が維持される。
【0112】
(5)次に、部品実装部における内層回路パターン34A,34B及び蓋めっき層66を充填する接着剤層71を形成する。この接着剤層71を形成する際、カバーレイ63は、接着剤が部品実装領域76aから可撓性ケーブル部76bに流れ出すのを防ぐダムのように働く。よって、本工程では、ローフロータイプのプリプレグやボンディングシート等といった流れ出しの少ない接着剤の他、流れ出しの多い接着剤を使用することもできる。
【0113】
(6)次に、図3B(4)に示すように、可撓性絶縁ベース材69a(例えば厚さ25μmのポリイミドフィルム)の片面に、銅箔69b(12μm厚)を有する片面銅張積層板69を準備する。そして、第1の実施形態と同様にして、フォトファブリケーション手法を用いて、片面銅張積層板69の銅箔69bに、ブラインドビアホールを形成するためのコンフォーマルマスク70(開口部)を形成する。
【0114】
(7)次に、図3B(4)に示すように、コンフォーマルマスク70が形成された片面銅張積層板69を、ビルドアップするための接着剤からなる接着剤層71を介して両面コア基板68の表面及び裏面に積層接着する。
【0115】
(8)次に、図3B(5)に示すように、第1の実施形態と同様にして、コンフォーマルマスク70を用いてレーザ加工を行い、ブラインドビアホール72A,72B(導通用孔)を形成する。
(9)次に、ブラインドビアホール72A,72Bを形成する際に生じた樹脂残渣を除去するために、デスミア工程を行う。
【0116】
(10)次に、図3C(6)に示すように、導電化処理とそれに続く電解銅めっき処理を施すことにより、ブラインドビアホール72A,72Bの内壁(側面および底面)及び蓋めっき層66上に、電解銅めっき皮膜73を形成する。この電解銅めっき皮膜73の厚みは、層間導通を確保するために15〜20μm程度とした。これにより、層間導電路として機能するブラインドビア74A,74Bが形成される。
【0117】
(11)次に、図3C(7)に示すように、フォトファブリケーション手法により、ビルドアップ層状の導電層(銅箔69b及びその上の電解銅めっき被膜73)を所定のパターンに加工して、外層回路パターン75を形成する。
【0118】
この後、図示しないが、必要に応じて、はんだ付けが不要な部分には保護用のフォトソルダーレジスト層を形成し、ランド部等の表面には半田めっき、ニッケルめっき、金めっき等の表面処理を施す。その後、金型による抜き打ち等により外形加工を行う。
【0119】
以上の工程を経て、第3の実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板76を得る。図3C(7)に示すように、本実施形態に係るビルドアップ型多層プリント配線板76は、埋込みビア6とブラインドビア74Aから構成されるスタックビア構造を有する。
【0120】
図3C(7)に示すように、ビルドアップ型多層プリント配線板76は、両面コア基板68にビルドアップ層が積層された部品実装部76aと、この部品実装部76aから延伸する可撓性ケーブル部76bとを有する。この可撓性ケーブル部24bは、ビルドアップ層が設けられていない両面コア基板68の一部である。この可撓性ケーブル部76bには、可撓性絶縁ベース材1上に露出した内層端子67が設けられている。この内層端子67を可撓性絶縁ベース材1上に複数形成し、可撓性のコネクタ領域を構成してもよい。
【0121】
また、図3C(7)に示すように、接着剤層62及び絶縁フィルム61を順次積層したものとして構成されたカバーレイ63が、 部品実装部76aと可撓性ケーブル部76bの境界領域における可撓性絶縁ベース材1の上に設けられている。
【0122】
接着剤層71は、部品実装部76aにおける内層回路パターン34A,34B及び蓋めっき層66を充填する。この接着剤層71の厚みは、カバーレイ63の厚み以上である必要があり、好ましくはカバーレイ63の厚みと同じである。
【0123】
なお,本実施形態では、両面コア基板68の表面および裏面にビルドアップ層を設けたが、片面にのみビルドアップ層を設けるようにしてもよい。
【0124】
以上説明したように、本実施形態では、カバーレイ63は、部品実装部76aと可撓性ケーブル部76bの境界領域に設けられ、部品実装部76aの内部には設けられない。このため、部品実装部76aの内層回路パターン34A,34Bを充填する接着剤の可撓性ケーブル部76bへの流れ出しを考慮する必要がなくなるため、接着剤層71の形成に用いられる接着剤の選択肢が広がる。さらに、部品実装部76aにおけるプリント配線板の厚みを低減することができるため、ブラインドビアホール72A,72Bをさらに浅くすることができる。この結果、本実施形態によれば、外層回路パターン75をさらに微細に形成することが可能となる。
【0125】
さらに、第1及び第2の実施形態と同様、本実施形態においては、スタックビア構造を構成しないブラインドビアホール72Bについても、受けランド部に蓋めっき層66を設けている。このため、ブラインドビアホール72Bの構造(ビアの深さ等)は、スタックビア構造用のブラインドビアホール72Aとほぼ同じになる。よって、スタックビア構造用か否かに拘わらず、ブラインドビアホールを形成する際のレーザ加工の条件及びデスミア工程の条件を同一とすることができる。その結果、本実施形態によれば、大きな加工マージンを確保することができ、生産性を向上させることができる。
【0126】
さらに、第2の実施形態と同様、内層端子67の表面めっき層の形成を、蓋めっき層66の形成と同時に行うことができる。これにより、工程数を削減し、生産性を向上させることが可能となる。
【0127】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0128】
1,101 可撓性絶縁ベース材
2,2a,3,3a,102,103 銅箔
4,104 両面銅張積層板
5,105 スルーホール
6A 導電性ペースト
6,106 埋込みビア
7,35,64 めっきレジスト層
8a,8b,36a,36b,36c,65a,65b 開口部
9,37,66,107 蓋めっき層
9a 銅めっき層
9b 銀めっき層
10,33 エッチングレジスト層
11A,11B,34A,34B 内層回路パターン
12,38 両面回路基材
13,39,61 絶縁フィルム
14,40,62,110 接着材層
15,41,63,111 カバーレイ
16,42,68,112 両面コア基板
17,43,69,113 片面銅張積層板
17a,43a,69a,113a 可撓性絶縁ベース材
17b,43b,69b,113b 銅箔
18,44,70 コンフォーマルマスク
19,45,71,114 接着材層
20A,20B,46A,46B,72A,72B,115A,115B ブラインドビアホール(導通用孔)
21,31,32,47,73 電解銅めっき皮膜
22A,22B,48A,48B,74A,74B,116A,116B ブラインドビア
23,49,75,117 外層回路パターン
24,51,76,118 ビルドアップ型多層プリント配線板
24a,51a,76a,118a 部品実装部
24b,51b,76b,118b 可撓性ケーブル部
50,67 内層端子
108 受けランド部
109 ポリイミドフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の絶縁ベース材と、前記絶縁ベース材の両面に設けられ、受けランド部を有する内層回路パターンと、前記絶縁ベース材及び前記受けランド部を貫通し、前記絶縁ベース材の表面及び裏面の前記内層回路パターンを電気的に接続する埋込みビアと、前記埋込みビアが露出した前記受けランド部を被覆し、且つ表層が前記内層回路パターンを構成する金属のエッチャントに対して耐性を有する材料からなる蓋めっき層とを有する、コア基板と、
前記コア基板の上に積層されたビルドアップ層であって、表層に設けられた外層回路パターンと、前記ビルドアップ層を厚さ方向に貫通し、底面に前記蓋めっき層が露出したブラインドビアホールの内壁に形成されためっき皮膜であって、前記内層回路パターンと前記外層回路パターンを電気的に接続するブラインドビアとを有する、ビルドアップ層と、
を備えることを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載されたビルドアップ型多層プリント配線板であって、
第1の接着剤層及び絶縁フィルムを順次積層したものとして構成され、部品実装部と可撓性ケーブル部の境界領域における前記絶縁ベース材の表面に設けられた、カバーレイと、
前記部品実装部における、前記内層回路パターン及び前記蓋めっき層を充填する、第2の接着剤層と、
を備えることを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたビルドアップ型多層プリント配線板であって、
前記埋込みビアの上方に設けられていない前記受けランド部を被覆し、且つ表層が前記内層回路パターンを構成する金属のエッチャントに対して耐性を有する材料からなる蓋めっき層を、さらに備えることを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたビルドアップ型多層プリント配線板であって、
前記内層回路パターンは銅からなり、前記蓋めっき層の少なくとも表層は、銀、金、又はニッケルからなることを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたビルドアップ型多層プリント配線板であって、
可撓性ケーブル部における前記絶縁ベース材の上に露出した状態に配置され、表面に前記蓋めっき層と同じ材料からなるめっき層が形成された内層端子をさらに備えることを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板。
【請求項6】
可撓性の絶縁ベース材と、その表面及び裏面にそれぞれ設けられた第1の銅箔及び第2の銅箔と、を有する両面銅張積層板を準備し、
前記両面銅張積層板を厚さ方向に貫通するスルーホールを形成し、
前記スルーホールの内部に導電性ペーストを充填した後、前記導電性ペーストを硬化させて、埋込みビアを形成し、
前記埋込みビアが露出している領域、及び前記埋込みビアが露出していなくともブラインドビアホールの受けランド部となる領域に、少なくとも表層が銀、金又はニッケルからなる蓋めっき層を形成し、
所定のパターンを有するレジスト層を前記第1の銅箔上に形成し、
前記レジスト層及び前記蓋めっき層をエッチングレジストとして用いて前記第1の銅箔をエッチングすることにより、前記蓋めっき層で覆われた受けランド部を有する内層回路パターンを形成し、
前記レジスト層を剥離し、前記内層回路パターンの表面に粗化処理を施した後、前記内層回路パターン及び前記蓋めっき層を充填する接着剤層を形成し、
表層に第3の銅箔を有するビルドアップ層を前記接着剤層の上に積層し、
前記ビルドアップ層の所定の位置に赤外レーザ光を照射することにより、前記ビルドアップ層を厚さ方向に貫通し、底面に前記蓋めっき層が露出した、ブラインドビアホールを形成し、
前記ブラインドビアホールの内壁及び前記第3の銅箔上にめっき皮膜を形成することにより、前記第3の銅箔及び前記めっき皮膜からなる導電膜と、前記内層回路パターンとを電気的に接続するブラインドビアを形成する、
ことを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法。
【請求項7】
可撓性の絶縁ベース材と、その表面及び裏面にそれぞれ第1の銅箔及び第2の銅箔とを有する両面銅張積層板を準備し、
前記両面銅張積層板を厚さ方向に貫通するスルーホールを形成し、
前記スルーホールの内部に導電性ペーストを充填した後、前記導電性ペーストを硬化させて、埋込みビアを形成し、
前記第1の銅箔及び露出した前記埋込みビアの上に銅めっき皮膜を形成し、
前記銅めっき皮膜上に所定のパターンを有するレジスト層を形成し、
前記レジスト層をエッチングレジストとして用いて前記銅めっき皮膜及び前記第1の銅箔をエッチングすることにより、ブラインドビアホールの受けランド部を有する内層回路パターンを形成し、
前記受けランド部、及び内層端子となる前記内層回路パターンの一部に、少なくとも表層が銀、金又はニッケルからなる蓋めっき層を形成し、
前記内層回路パターンの表面に粗化処理を施した後、部品実装部における前記内層回路パターン及び前記蓋めっき層を充填する接着剤層を形成し、
表層に第3の銅箔を有するビルドアップ層を前記接着剤層の上に積層し、
前記ビルドアップ層の所定の位置に赤外レーザ光を照射することにより、前記ビルドアップ層を厚さ方向に貫通し、底面に前記蓋めっき層が露出した、ブラインドビアホールを形成し、
前記ブラインドビアホールの内壁及び前記第3の銅箔上にめっき皮膜を形成することにより、前記第3の銅箔及び前記めっき皮膜からなる導電膜と、前記内層回路パターンとを電気的に接続するブラインドビアを形成する、
ことを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法。
【請求項8】
可撓性の絶縁ベース材と、その表面及び裏面にそれぞれ第1の銅箔及び第2の銅箔とを有する両面銅張積層板を準備し、
前記両面銅張積層板を厚さ方向に貫通するスルーホールを形成し、
前記スルーホールの内部に導電性ペーストを充填した後、前記導電性ペーストを硬化させて、埋込みビアを形成し、
前記第1の銅箔及び露出した前記埋込みビアの上に銅めっき皮膜を形成し、
前記銅めっき皮膜上に所定のパターンを有するレジスト層を形成し、
前記レジスト層をエッチングレジストとして用いて前記銅めっき皮膜及び前記第1の銅箔をエッチングすることにより、ブラインドビアホールの受けランド部を有する内層回路パターンを形成し、
部品実装部と可撓性ケーブル部の境界領域における前記絶縁ベース材の表面に、第1の接着剤層及び絶縁フィルムを順次積層して、カバーレイを形成し、
前記受けランド部、及び前記可撓性ケーブル部の内層端子となる前記内層回路パターンの一部に、少なくとも表層が銀、金又はニッケルからなる蓋めっき層を形成し、
前記内層回路パターンの表面に粗化処理を施した後、前記部品実装部における前記内層回路パターン及び前記蓋めっき層を充填する第2の接着剤層を形成し、
表層に第3の銅箔を有するビルドアップ層を前記第2の接着剤層の上に積層し、
前記ビルドアップ層の所定の位置に赤外レーザ光を照射することにより、前記ビルドアップ層を厚さ方向に貫通し、底面に前記蓋めっき層が露出した、ブラインドビアホールを形成し、
前記ブラインドビアホールの内壁及び前記第3の銅箔上にめっき皮膜を形成することにより、前記第3の銅箔及び前記めっき皮膜からなる導電膜と、前記内層回路パターンとを電気的に接続するブラインドビアを形成する、
ことを特徴とするビルドアップ型多層プリント配線板の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233836(P2011−233836A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105488(P2010−105488)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】