説明

ビームローテータ

【課題】ウェッジプリズムの往復移動を伴うことなく、レーザビームのワークに対する照射角度を可変とするビームローテータの実現。
【解決手段】角度ローテータ14の第3のウェッジプリズム30及び第4のウェッジプリズム38を透過したレーザビームL13は、第2の反射ミラー52a〜第4の反射ミラー52cを経由し、反転された状態で第4のウェッジプリズム38及び第3のウェッジプリズム30に再入射するため、両ウェッジプリズムの少なくとも一方を所定方向に回転させ、両者間の位相差を調整することにより、半径ローテータ12に出射されるレーザビームL14の光軸を所定幅で平行移動可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はビームローテータに係り、特に、内蔵された複数のウェッジプリズムの回転により、レーザビームをワークに円形に照射する機能を備えたビームローテータに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに対してレーザビームを照射し、高精度の穴開け加工を行うに際し、ビームローテータが用いられる場合がある(非特許文献1参照)。
図4に示すように、この従来のビームローテータ80は、一対のウェッジプリズムを備えた半径ローテータ12と、一対のウェッジプリズムを備えた角度ローテータ81を備えている。
【0003】
半径ローテータ12に含まれる第1のウェッジプリズム16は、第1の円筒状支持部材17の左端開口部に嵌合されている。この第1の円筒状支持部材17は、第1のベアリング18内に挿通されている。また、この第1の円筒状支持部材17には、第1のプーリ19が嵌装されている。
【0004】
この第1の円筒状支持部材17の近傍には第1のサーボモータ20が配置されており、そのシャフトに接続されたギア21と第1のプーリ19との間には、ベルト22が装着されている。この結果、第1のサーボモータ20の回転により、第1の円筒状支持部材17内に配置された第1のウェッジプリズム16も回転する。
【0005】
半径ローテータ12に含まれる第2のウェッジプリズム22は、第2の円筒状支持部材23の右端開口部に嵌合されている。この第2の円筒状支持部材23は、第2のベアリング24内に挿通されている。また、この第2の円筒状支持部材23には、第2のプーリ25が嵌装されている。
【0006】
この第2の円筒状支持部材23の近傍には第2のサーボモータ26が配置されており、そのシャフトに接続されたギア27と第2のプーリ25との間には、ベルト28が装着されている。この結果、第2のサーボモータ26の回転により、第2の円筒状支持部材23内に配置された第2のウェッジプリズム22も回転する。
【0007】
角度ローテータ81に含まれる第3のウェッジプリズム82は、第3の円筒状支持部材83の左端開口部に嵌合されている。この第3の円筒状支持部材83は、第3のベアリング32内に挿通されている。また、この第3の円筒状支持部材83には、第3のプーリ33が嵌装されている。
【0008】
この第3の円筒状支持部材83の近傍には第3のサーボモータ34が配置されており、そのシャフトに接続されたギア35と第3のプーリ33との間には、ベルト36が装着されている。この結果、第3のサーボモータ34の回転により、第3の円筒状支持部材83内に配置された第3のウェッジプリズム82も回転する。
第3の円筒状支持部材83の左端開口部端面には、複数本のガイドシャフト84が突設されている。
【0009】
角度ローテータ81に含まれる第4のウェッジプリズム85は、第4の円筒状支持部材86の右端開口部に嵌合されている。この第4の円筒状支持部材86は、第4のベアリング40内に挿通されている。
この第4の円筒状支持部材86の右端開口部端面には複数のガイド孔87が形成されており、このガイド孔87には、第3の円筒状支持部材83のガイドシャフト84が挿通されている。
【0010】
第4のベアリング40の下端部には、ナット支持部材88が固定されており、このナット支持部材88内のナットにボールネジ89が螺合されている。
このボールネジ89の端部には第4のサーボモータ90が接続されており、このサーボモータ90の正転または逆転により、第4の円筒状支持部材86はガイドレール91に沿って第4のウェッジプリズム85ごと左右に往復移動する。
第4の円筒状支持部材86のガイド孔87には、上記のように第3の円筒状支持部材83のガイドシャフト84が挿通されているため、第3の円筒状支持部材83の回転に呼応して第4の円筒状支持部材86も回転する。
【0011】
第1のサーボモータ20〜第4のサーボモータ90には、ケーブル46を介して制御手段としてのパソコン48が接続されており、このパソコン48から出力される制御信号に基づいて、各サーボモータの回転方向及び回転速度がコントロールされる。
【0012】
ここで、パソコン48からの制御信号に基づいて図示しないレーザ発振器からレーザビームが出射されると、このレーザビームL41は第4の円筒状支持部材86内に配置された第4のウェッジプリズム85に入射し、所定の方向に偏向される。
この偏向レーザビームは、第3の円筒状支持部材83内に配置された第3のウェッジプリズム82に入射し、ここでも所定の方向に偏向される。
【0013】
第4のウェッジプリズム85及び第3のウェッジプリズム82は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えており、お互いの頂角が180度反対方向に向くように固定配置されているため、第4のウェッジプリズム85及び第3のウェッジプリズム82を透過したレーザビームL42は、第4のウェッジプリズム85に入射したレーザビームL41に対して所定の幅で平行移動することとなる。
【0014】
この第3のウェッジプリズム82を透過したレーザビームL42は、第2の円筒状支持部材23内に配置された第2のウェッジプリズム22及び第1の円筒状支持部材17内に配置された第1のウェッジプリズム16に入射する。
ここで、第2のウェッジプリズム22及び第1のウェッジプリズム16は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えているが、回転方向の位置ズレ(位相差)があれば、第1のウェッジプリズム16から出射されたレーザビームL43は第2のウェッジプリズム22への入射ビームL42に対して平行移動とはならず、所定の角度で偏向されることになる。
【0015】
第1のウェッジプリズム16から出射されたレーザビームL43は、ミラー54で反射されてレンズ55に入射し、そこで集光されたレーザビームL45がワーク56に照射される。
レーザ加工に際しては、第1のサーボモータ20〜第3のサーボモータ34が同一方向に高速回転しており、これを受けて第1のウェッジプリズム16〜第4のウェッジプリズム85も同一方向に高速回転する。この結果、ワークにおける照射スポットは円周上を移動することとなる。
【0016】
この際に、第1のウェッジプリズム16と第2のウェッジプリズム22との位相差を調整することにより、第1のウェッジプリズム16から出射されるレーザビームL43の角度を変えることができ、この結果、ワーク56における照射スポットの半径を加減することが可能となる。
この第1のウェッジプリズム16と第2のウェッジプリズム22との位相差は、第1のサーボモータ20及び第2のサーボモータ26の回転速度を制御し、両ウェッジプリズム間の位置関係を調整することにより実現される。
【0017】
また、第3のウェッジプリズム82と第4のウェッジプリズム85との間の距離を調整することにより、第3のウェッジプリズム82から出射されるレーザビームの平行移動量を加減することができ、この結果、レンズ55におけるレーザビームL44の入射位置が移動するため、ワーク56に対するレーザビームの照射角度を変えることが可能となる。
この第3のウェッジプリズム82と第4のウェッジプリズム85間の距離の変更は、第4のサーボモータ90の駆動により実現される。
【0018】
図5は、第3のウェッジプリズム82及び第4のウェッジプリズム85間の距離と、レーザビームの平行移動量との関係を説明するものである。
すなわち、図5(a)に示すように、第3のウェッジプリズム82と第4ウェッジプリズム85の傾斜面同士を密着させ、両者間の距離を限りなく0に近づけると、入射レーザビームL41と出射レーザビームL42は同じ光軸を通ることとなり、両者間に平行移動は生じない。
【0019】
これに対し、図5(b)に示すように、第3のウェッジプリズム82と第4ウェッジプリズム85の傾斜面間の距離を大きくとると、第4のウェッジプリズム85から出射されたレーザビームは屈折して第3のウェッジプリズム82の中心から大きく下に外れた位置に入射し、そのまま平行化される。この結果、入射レーザビームL41と出射レーザビームL42間の平行移動量は大となる。
【0020】
図6は、ワークに対する加工例を示すものである。
すなわち、図6(a)は、第1のウェッジプリズム16及び第2のウェッジプリズム22による偏向量が比較的大きくなるように両ウェッジプリズム間の位相差(位置関係)を制御すると共に、第3のウェッジプリズム82及び第4のウェッジプリズム85間の距離が最小となるように制御した場合の加工例を示しており、形成される孔91の半径が比較的大きくなると共に、レーザビームL45の照射角度が垂直に近いため、孔91の内面が垂直に近い形となっている。
【0021】
これに対し図6(b)は、第1のウェッジプリズム16及び第2のウェッジプリズム22による偏向量が最小となるように両ウェッジプリズム間の位相差を制御すると共に、第3のウェッジプリズム82及び第4のウェッジプリズム85間の距離が比較的大きくなるように制御した場合の加工例を示しており、形成される孔91の半径が極めて小さくなると共に、レーザビームL45の照射角度が傾斜しているため、孔91の形状が円錐状となっている。
【0022】
また図6(c)は、第1のウェッジプリズム16及び第2のウェッジプリズム22による偏向量が比較的大きくなるように両ウェッジプリズム間の位相差を制御すると共に、第3のウェッジプリズム82及び第4のウェッジプリズム85間の距離がさらに大きくなるように制御した場合の加工例を示しており、形成される孔91の半径が広がると共に、レーザビームL45の照射角度がさらに傾斜しているため、孔91の形状が逆テーパ状となっている。
【0023】
【非特許文献1】TGSW/Helical Drilling Optic インターネットURL:http://www.tgsw-photonics.de/homepage/leistungen/produkte/mikrobearbeitung/wendelbohroptik/HDO-Flyer_TGSW_2007.pdf 検索日:平成22年1月12日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
このように、上記のビームローテータ80を用いることにより、ワーク56に形成する孔91の半径や断面形状を柔軟に変更することが可能となる。
しかしながら、従来のビームローテータ80の場合には、ワーク56に対するレーザビームL45の角度調整が、ボールネジ89の駆動による第4のウェッジプリズム85の往復移動によって実現されるため、その際に第4のウェッジプリズム85の位置が僅かに捻れ、第3のウェッジプリズム82との間に位相差が生じるという問題があった。
ワーク56において超微細加工を行うことを前提とすると、第4のウェッジプリズム85と第3のウェッジプリズム82間において極僅かな位相差が生じても、照射スポットの半径に大きな狂いを生じさせる結果となる。
【0025】
この発明は、このような従来の問題を解決するために案出されたものであり、ウェッジプリズムの往復移動を行うことなく、レーザビームのワークに対する照射角度を調整可能とするビームローテータを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載のビームローテータは、回転可能に配置された第1のウェッジプリズム及び第2のウェッジプリズムを備え、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、もってレンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、回転可能に配置された第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムを備え、外部に出射するレーザビームの光軸を平行移動させることにより、レンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータと、上記の各ウェッジプリズムの回転速度及び回転方向を制御する制御手段と、上記角度ローテータの第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムを透過したレーザビームを反転させて、第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムに再入射させる反射光学系とを備え、上記第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムの少なくとも一方を所定方向に回転させて、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することにより、第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して外部に出射されるレーザビームの光軸を所定幅で平行移動させることを特徴としている。
上記「反射光学系」は、例えば複数枚の反射ミラーの組合せ、ダブプリズムと複数枚の反射ミラーとの組合せ、複数のプリズムの組合せによって構成される。
【0027】
請求項2に記載のビームローテータは、回転可能に配置された第1のウェッジプリズム及び第2のウェッジプリズムを備え、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、もってレンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、回転可能に配置された第1のユニット及び第2のユニットを備え、外部に出射するレーザビームの光軸を平行移動させることにより、レンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータと、上記の各ウェッジプリズム及びユニットの回転速度及び回転方向を制御する制御手段とを備えたビームローテータであって、上記角度ローテータの第1のユニット及び第2のユニットは、相互の頂角が反対方向を向くように固定配置された一対のウェッジプリズムをそれぞれ備え、第1のユニット及び第2のユニットの少なくとも一方を所定方向に回転させて、両ユニットのウェッジプリズム間の位相差を調整することにより、第2のユニットの各ウェッジプリズム及び第1のユニットの各ウェッジプリズムを透過して外部に出射されるレーザビームの光軸を所定幅で平行移動させることを特徴としている。
【0028】
請求項3に記載のビームローテータは、回転可能に配置された第1のウェッジプリズム及び第2のウェッジプリズムを備え、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、もってレンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、回転可能に配置された第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムを備え、外部に出射するレーザビームの光軸を平行移動させることにより、レンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータと、上記の各ウェッジプリズムの回転速度及び回転方向を制御する制御手段と、直線偏光の第1の偏光(例えば「P偏光」)を透過すると共に第2の偏光(例えば「S偏光」)を反射する第1の偏光ビームスプリッタ及び第2の偏光ビームスプリッタと、第1の偏光を第2の偏光に変換すると共に、第2の偏光を第1の偏光に変換する波長板と、反射光学系及び反転光学系(例えばダブプリズム)とを備え、上記第1の偏光ビームスプリッタに導かれたレーザビームの第1の偏光が、これを透過して第4のウェッジプリズムに入射し、この第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して所定の角度に偏向された後、上記波長板によって第2の偏光に変換され、この第2の偏光が上記第2の偏光ビームスプリッタで反射された後、上記反射光学系及び反転光学系を介して反転された状態で上記第1の偏光ビームスプリッタに入射し、この第1の偏光ビームスプリッタで反射された第2の偏光が、上記第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して所定の角度に偏向された上で、上記波長板に入射して第1の偏光に変換され、この第1の偏光が、上記第2の偏光ビームスプリッタを透過して外部に出射されるように、上記の各部材が配置されており、上記第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムの少なくとも一方を所定方向に回転させて、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することにより、第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して上記波長板に入射する第2の偏光の光軸を所定幅で平行移動させ、もって当該波長板で変換され、第2の偏光ビームスプリッタを透過して外部に出射される第1の偏光の光軸を所定幅で平行移動させることを特徴としている。
上記「反転光学系」は、例えば1または複数のダブプリズムによって構成される。
【発明の効果】
【0029】
請求項1〜3に記載したビームローテータの場合、何れもウェッジプリズムの往復移動によって角度ローテータから外部に出射されるレーザビームの平行移動を実現する代わりに、角度ローテータ側のウェッジプリズムを意図的に回転させることによってこれを実現する方式を採用しているため、ウェッジプリズムの不用意な回転により、ワークにおける照射スポットの半径に予期せぬ狂いが生じることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、この発明に係る第1のビームローテータ10の基本構成を示す模式図であり、一対のウェッジプリズムを備えた半径ローテータ12と、同じく一対のウェッジプリズムを備えた角度ローテータ14を備えている。
【0031】
半径ローテータ12に含まれる第1のウェッジプリズム16は、第1の円筒状支持部材17の左端開口部に嵌合されている。この第1の円筒状支持部材17は、第1のベアリング18内に挿通されている。また、この第1の円筒状支持部材17には、第1のプーリ19が嵌装されている。
【0032】
この第1の円筒状支持部材17の近傍には、第1のサーボモータ20が配置されており、そのシャフトに接続されたギア21と第1のプーリ19との間には、ベルト22が装着されている。この結果、第1のサーボモータ20の回転により、第1の円筒状支持部材17内に配置された第1のウェッジプリズム16も回転する。
【0033】
半径ローテータ12に含まれる第2のウェッジプリズム22は、第2の円筒状支持部材23の右端開口部に嵌合されている。この第2の円筒状支持部材23は、第2のベアリング24内に挿通されている。また、この第2の円筒状支持部材23には、第2のプーリ25が嵌装されている。
【0034】
この第2の円筒状支持部材23の近傍には、第2のサーボモータ26が配置されており、そのシャフトに接続されたギア27と第2のプーリ25との間には、ベルト28が装着されている。この結果、第2のサーボモータ26の回転により、第2の円筒状支持部材23内に配置された第2のウェッジプリズム22も回転する。
【0035】
第1のウェッジプリズム16及び第2のウェッジプリズム22は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えている。
【0036】
角度ローテータ14に含まれる第3のウェッジプリズム30は、第3の円筒状支持部材31の左端開口部に嵌合されている。この第3の円筒状支持部材31は、第3のベアリング32内に挿通されている。また、この第3の円筒状支持部材31には、第3のプーリ33が嵌装されている。
【0037】
この第3の円筒状支持部材31の近傍には、第3のサーボモータ34が配置されており、そのシャフトに接続されたギア35と第3のプーリ33との間には、ベルト36が装着されている。この結果、第3のサーボモータ34の回転により、第3の円筒状支持部材31内に配置された第3のウェッジプリズム30も回転する。
【0038】
角度ローテータ14に含まれる第4のウェッジプリズム38は、第4の円筒状支持部材39の右端開口部に嵌合されている。この第4の円筒状支持部材39は、第4のベアリング40内に挿通されている。また、この第4の円筒状支持部材39には、第4のプーリ41が嵌装されている。
【0039】
この第4の円筒状支持部材39の近傍には、第4のサーボモータ42が配置されており、そのシャフトに接続されたギア43と第4のプーリ41との間には、ベルト44が装着されている。この結果、第4のサーボモータ42の回転により、第4の円筒状支持部材39内に配置された第4のウェッジプリズム38も回転する。
【0040】
第3のウェッジプリズム30及び第4のウェッジプリズム38は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えている。
【0041】
第1のサーボモータ20〜第4のサーボモータ42には、ケーブル46を介して制御手段としてのパソコン48が接続されている。
各サーボモータはエンコーダを内蔵しており、パソコンに対してそれぞれの位置情報がリアルタイムに送出される。
このパソコン48には、OSの他にレーザ加工装置及びビームローテータの制御用プログラムが搭載されている。
そして、パソコン48の拡張スロットに装着された制御ボードから各サーボモータに対して制御用の信号が送出され、それぞれの回転方向及び回転速度がコントロールされる。
汎用的なパソコン48を用いる代わりに、専用の制御装置(同期サーボ制御装置等)を制御手段として用いることも当然に可能である。
【0042】
図示の通り、半径ローテータ12を構成する第1の円筒状支持部材17及び第2の円筒状支持部材23は、角度ローテータ14を構成する第3の円筒状支持部材31及び第4の円筒状支持部材39と同一の平面上に設置されておらず、所定の傾斜面50に設置されている。
【0043】
半径ローテータ12の下方には、第1の反射ミラー51が配置されている。また、第4の円筒状支持部材39の左端開口部の外側には、所定角度に傾斜した反射面を備えた第2の反射ミラー52a、第3の反射ミラー52b、及び第4の反射ミラー52cが配置されている。
【0044】
ここで、パソコン48からの制御信号に基づいて図示しないレーザ発振器からレーザビームが出射されると、このレーザビームL11は第1の反射ミラー51の反射面に入射し、そこで反射されたレーザビームL12は、第3の円筒状支持部材31内に導かれる。
そして、第3のウェッジプリズム30及び第4の円筒状支持部材39内の第4のウェッジプリズム38を透過し、所定の方向に偏向されたレーザビームL13は、第2の反射ミラー52a〜第4の反射ミラー52cを経由して反転され、再び第4の円筒状支持部材39内に導かれる。
【0045】
つぎに、第4のウェッジプリズム38及び第3のウェッジプリズム30を透過し、所定の方向に偏向されたレーザビームL14は、第2の円筒状支持部材23内に配置された第2のウェッジプリズム22に入射する。
そして、第2のウェッジプリズム22及び第1の円筒状支持部材17内の第1のウェッジプリズム16を透過し、所定の角度に偏向されたレーザビームL15は、ミラー54で反射されてレンズ55に入射し、そこで集光されたレーザビームL17は、ワーク56に照射される。
【0046】
レーザ加工に際しては、第1のサーボモータ20〜第4のサーボモータ42が同一方向に高速回転しており、これを受けて第1のウェッジプリズム16〜第4のウェッジプリズム38も同一方向に高速回転する。この結果、ワーク56におけるレーザビームの照射スポットは円周上を移動することとなる。
【0047】
この際に、第1のウェッジプリズム16と第2のウェッジプリズム22との間の位相差を調整することにより、第1のウェッジプリズム16から出射されるレーザビームL15の偏向角度を変えることができ、この結果、ワーク56における照射スポットの半径を可変とすることができる。
この第1のウェッジプリズム16と第2のウェッジプリズム22との位相差は、第1のサーボモータ20の回転速度と第2のサーボモータ26の回転速度との間にズレが生じるように両サーボモータを制御し、一方のウェッジプリズムを他方のウェッジプリズムに対して相対的に回転させることにより実現される。
【0048】
また、第3のウェッジプリズム30及び第4のウェッジプリズム38を通過することによって所定角度で偏向されたレーザビームL13は、第2の反射ミラー52a〜第4の反射ミラー52cによって反転された状態で再び第4のウェッジプリズム38及び第3のウェッジプリズム38を通過し、同様の角度に偏向される構造を備えているため、第3のウェッジプリズム30と第4のウェッジプリズム38との位相差を調整することにより、第3のウェッジプリズム30から第2のウェッジプリズム22に対して出射されるレーザビームL14を、L14'あるいはL14"のように任意の幅で平行移動させることができる。この結果、レンズ55におけるレーザビームL16の入射位置が移動するため、ワーク56に照射するレーザビームL17の角度を可変とすることができる。
この第3のウェッジプリズム30と第4のウェッジプリズム38との位相差は、第3のサーボモータ34の回転速度と第4のサーボモータ42の回転速度との間にズレが生じるように両サーボモータを制御し、一方のウェッジプリズムを他方のウェッジプリズムに対して相対的に回転させることにより実現される。
【0049】
なお、第3のウェッジプリズム30から出射されるレーザビームL14は、第4の円筒状支持部材39及び第3の円筒状支持部材31の開口軸と交差する傾斜角度を有しているが、第2の円筒状支持部材23及び第1の円筒状支持部材17が上記のように傾斜配置されているため、両円筒状支持部材の内面に入射することなく、ミラー54に到達できる。
【0050】
上記のように複数枚の反射ミラーを組み合わせてレーザービームL13を反転させる代わりに、他の反転光学系(例えばダブプリズム)を用いて反転させることもできる。
【0051】
図2は、この発明に係る第2のビームローテータ60の基本構成を示す模式図であり、一対の円筒状支持部材を備えた半径ローテータ12と、一対の円筒状支持部材を備えた角度ローテータ14を備えている。
【0052】
図より明らかなように、半径ローテータ12の構成自体は、図4に示した従来のビームローテータにおける半径ローテータ12と実質的に等しいため、同一部材に対して同一の符号を付することにより、重複説明を省略する。
【0053】
また、角度ローテータ14についても、基本構成は図1に示した第1のビームローテータ10における角度ローテータ14と等しいため、以下において両者の相違点を中心に説明する。
【0054】
まず、角度ローテータ14の第3の円筒状支持部材31の右端開口部には、第5のウェッジプリズム62が嵌装されている。
この第5のウェッジプリズム62と、第3の円筒状支持部材31の左端開口部に嵌装された第3のウェッジプリズム30は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えており、、頂角が反対方向に向くように固定配置されている。この第3の円筒状支持部材31が、第1のユニットに相当する。
【0055】
角度ローテータ14の第4の円筒状支持部材39の左端開口部には、第6のウェッジプリズム63が嵌装されている。
この第6のウェッジプリズム63と、第4の円筒状支持部材39の右端開口部に嵌装された第4のウェッジプリズム38は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えており、両ウェッジプリズムの、頂角が反対方向に向くように固定配置されている。この第4の円筒状支持部材39が、第2のユニットに相当する。
【0056】
図示の通り、半径ローテータ12を構成する第1の円筒状支持部材17及び第2の円筒状支持部材23と、角度ローテータ14を構成する第3の円筒状支持部材31及び第4の円筒状支持部材39は、同一平面上に設置されている。
【0057】
第1のサーボモータ20〜第4のサーボモータ42には、上記と同様、ケーブル46を介して制御手段としてのパソコン48が接続されている。
そして、パソコン48からの制御信号に基づいて図示しないレーザ発振器からレーザビームが出射されると、このレーザビームL21は第4の円筒状支持部材39の第6のウェッジプリズム63に入射し、所定の方向に偏向される。この偏向レーザビームL22は、そのまま第4のウェッジプリズム38に入射し、ここでも所定の方向に偏向される。
【0058】
上記の通り、第6のウェッジプリズム63及び第4のウェッジプリズム38は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えており、両ウェッジプリズムの頂角が反対方向に向くように配置されており、相互の位置関係は固定されているため、第6のウェッジプリズム63及び第4のウェッジプリズム38を透過したレーザビームL23は、第6のウェッジプリズム63に入射したレーザビームL21に対して所定の幅で平行移動することとなる。
【0059】
第4のウェッジプリズム38から出射したレーザビームL23は、第3の円筒状支持部材31の第3のウェッジプリズム30に入射し、所定の方向に偏向される。この偏向レーザビームL24は、そのまま第5のウェッジプリズム62に入射し、ここでも所定の方向に偏向される。
【0060】
上記の通り、第3のウェッジプリズム30及び第5のウェッジプリズム62は、それぞれ同一の形状、寸法、材質を備えており、両ウェッジプリズムの頂角が反対方向に向くように配置されており、相互の位置関係は固定されているため、第3のウェッジプリズム30及び第5のウェッジプリズム62を透過したレーザビームL25は、第3のウェッジプリズム30に入射したレーザビームL23に対して所定の幅で平行移動することとなる。
【0061】
この第5のウェッジプリズム62を透過したレーザビームL25は、第2の円筒状支持部材23内に配置された第2のウェッジプリズム22に入射する。
そして、第2のウェッジプリズム22及び第1の円筒状支持部材17内の第1のウェッジプリズム16を透過し、所定の角度に偏向されたレーザビームL26は、ミラー54で反射されてレンズ55に入射し、そこで集光されたレーザビームL28は、ワーク56に照射される。
【0062】
レーザ加工に際しては、第1のサーボモータ20〜第4のサーボモータ42が同一方向に高速回転しており、これを受けて第1のウェッジプリズム16〜第4のウェッジプリズム38も同一方向に高速回転する。この結果、ワーク56における照射スポットは円周上を移動することとなる。
【0063】
この際に、第1のウェッジプリズム16と第2のウェッジプリズム22との間の位相差を調整することにより、第1のウェッジプリズム16から出射されるレーザビームL26の偏向角度を変えることができ、この結果、ワーク56における照射スポットの半径を可変とすることができる。
この第1のウェッジプリズム16と第2のウェッジプリズム22との位相差は、上記と同様、第1のサーボモータ20及び第2のサーボモータ26の回転速度を制御することにより実現される。
【0064】
また、第3の円筒状支持部材31内に配置された第3のウェッジプリズム30と、第4の円筒状支持部材39内に配置された第4のウェッジプリズム38との間の位相差を調整することにより、第5のウェッジプリズム62から第2のウェッジプリズム22に対して出射されるレーザビームL25の平行移動量を調整することができ、この結果、レンズ55におけるレーザビームL27の入射位置が移動するため、ワーク56に照射するレーザビームの角度を可変とすることができる。
この第3のウェッジプリズム30と第4のウェッジプリズム38との位相差は、上記と同様、第3のサーボモータ34及び第4のサーボモータ42の回転速度を制御することにより実現される。
【0065】
図3は、この発明に係る第3のビームローテータ70の基本構成を示す模式図であり、一対の円筒状支持部材を備えた半径ローテータ12と、一対の円筒状支持部材を備えた角度ローテータ14を備えている。
【0066】
図より明らかなように、半径ローテータ12の構成自体は、図4に示した従来のビームローテータにおける半径ローテータ12と実質的に等しいため、同一部材に対して同一の符号を付することにより、重複説明を省略する。
また、角度ローテータ14についても、基本構成は図1に示した第1のビームローテータ10における角度ローテータ14と実質的に等しいため、同一部材に対して同一の符号を付することにより、重複説明を省略する。
【0067】
この第3のビームローテータ70の特徴は、以下の点にある。
まず、第4の円筒状支持部材39の左端開口部の直前に、第1の偏光ビームスプリッタ71が配置されている。
また第2の円筒状支持部材23の左端開口部の直前には、第2の偏光ビームスプリッタ72が配置されている。
第1の偏光ビームスプリッタ71の接合面及び第2の偏光ビームスプリッタ72の接合面は、それぞれ直線偏光のP偏光を透過すると共に、S偏光を反射する特性を備えている。
【0068】
第2の偏光ビームスプリッタ72と第3の円筒状支持部材31の右端開口部との間には、波長板(λ/2板)73が設置されている。
この波長板73は、入射した直線偏光の偏光方向を、「P偏光→S偏光」及び「S偏光→P偏光」のように変換する機能を備えている。
【0069】
第1の偏光ビームスプリッタ71の下方及び第2の偏光ビームスプリッタ72の下方には、所定角度に傾斜した反射面を備えた第1の反射ミラー74及び第2の反射ミラー75が、それぞれの反射面が対向するように配置されている。
また、第1の反射ミラー74と第2の反射ミラー75との間には、第1のダブプリズム100が介装されている。
さらに、第1の偏光ビームスプリッタ71と第1の反射ミラー74との間には、第2のダブプリズム102が介装されている。
【0070】
図示の通り、半径ローテータ12を構成する第1の円筒状支持部材17及び第2の円筒状支持部材23と、角度ローテータ14を構成する第3の円筒状支持部材31及び第4の円筒状支持部材39は、同一平面上に設置されている。
【0071】
第1のサーボモータ20〜第4のサーボモータ42には、上記と同様、ケーブル46を介して制御手段としてのパソコン48が接続されている。
そして、パソコン48からの制御信号に基づいて図示しないレーザ発振器からレーザビームが出射されると、このレーザビームは図示しない偏光子を介してP偏光に偏光され、第1の偏光ビームスプリッタ71に到達する。
このP偏光P01は、そのまま第1の偏光ビームスプリッタ71を透過し、第4の円筒状支持部材39内に導かれる。
そして、第4のウェッジプリズム38及び第3の円筒状支持部材31内の第3のウェッジプリズム30を透過し、所定の方向に偏向されたP偏光P02は、波長板73を介してS偏光S01に変換された後、第2の偏光ビームスプリッタ72に到達する。
【0072】
このS偏光S01は、第2の偏光ビームスプリッタ72の接合面で反射され、第2の反射ミラー75、第1のダブプリズム100、第1の反射ミラー74及び第2のダブプリズム102を経由して反転された上で、第1の偏光ビームスプリッタ71に到達する。
そして、この反転状態となされたS偏光S01は、第1の偏光ビームスプリッタ71の接合面で反射され、第4の円筒状支持部材39内に導かれる。
【0073】
つぎに、第4のウェッジプリズム38及び第3のウェッジプリズム30を透過し、所定の方向に偏向されたS偏光S02は、波長板73を介してP偏光P03に変換される。
このP偏光P03は、第2の偏光ビームスプリッタ72を透過して、第2の円筒状支持部材23内に配置された第2のウェッジプリズム22に入射する。
そして、第2のウェッジプリズム22及び第1の円筒状支持部材17内の第1のウェッジプリズム16を透過し、所定の角度に偏向されたP偏光P04は、ミラー54で反射されてレンズ55に入射し、そこで集光されたP偏光P06がワーク56に照射される。
【0074】
レーザ加工に際しては、第1のサーボモータ20〜第4のサーボモータ42が同一方向に高速回転しており、これを受けて第1のウェッジプリズム16〜第4のウェッジプリズム38も同一方向に高速回転する。この結果、ワーク56におけるP偏光P06の照射スポットは円周上を移動することとなる。
【0075】
この際に、第1のウェッジプリズム16と第2のウェッジプリズム22との間の位相差を調整することにより、第1のウェッジプリズム16から出射されるP偏光P04の偏向角度を変えることができ、この結果、ワーク56における照射スポットの半径を可変とすることができる。
【0076】
また、第4のウェッジプリズム38及び第3のウェッジプリズム30を通過することによって所定角度で偏向されたP偏光P02は、波長板73によってS偏光S01に変換された後に、第2の反射ミラー75、第1のダブプリズム100、第1の反射ミラー74及び第2のダブプリズム102によって反転された状態で再び第4のウェッジプリズム38及び第3のウェッジプリズム30を通過し、同様の角度に偏向される構造を備えているため、第3のウェッジプリズム30と第4のウェッジプリズム38との位相差を調整することにより、第3のウェッジプリズム30から出射されるS偏光S02を所定の幅で平行移動させることができる。この結果、レンズ55におけるP偏光P05の入射位置が移動するため、ワーク56に照射するP偏光P06の角度を可変とすることができる。
この第3のウェッジプリズム30と第4のウェッジプリズム38との位相差は、上記と同様、第3のサーボモータ34及び第4のサーボモータ42の回転速度を制御することにより実現される。
【0077】
上記のようにビーム反転手段としてダブプリズムを用いる代わりに、複数枚の反射ミラーを組み合わせてビーム反転手段となすこともできる。
【0078】
なお、上記においてはP偏光を第1の偏光ビームスプリッタ71に導く例を示したが、S偏光を第1の偏光ビームスプリッタ71に導くように構成することもできる。この場合、第1の偏光ビームスプリッタ71及び第2の偏光ビームスプリッタ72として、S偏光を透過すると共にP偏光を反射する特性を備えたものを用いるべきことは言うまでもない。
【0079】
上記においては、角度ローテータの次段に半径ローテータが設けられた例を示したが、この発明はこれに限定されるものではない。すなわち、半径ローテータから出力されたレーザビームを角度ローテータにおいて平行移動させ、ミラー54に出射するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明に係る第1のビームローテータの基本構造を示す模式図である。
【図2】この発明に係る第2のビームローテータの基本構造を示す模式図である。
【図3】この発明に係る第3のビームローテータの基本構造を示す模式図である。
【図4】従来のビームローテータの基本構造を示す模式図である。
【図5】従来のビームローテータにおけるレーザビームの平行移動の原理を示す説明図である。
【図6】ビームローテータによる加工例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0081】
10 第1のビームローテータ
12 半径ローテータ
14 角度ローテータ
16 第1のウェッジプリズム
17 第1の円筒状支持部材
18 第1のベアリング
19 第1のプーリ
20 第1のサーボモータ
21 ギア
22 ベルト
22 第2のウェッジプリズム
23 第2の円筒状支持部材
24 第2のベアリング
25 第2のプーリ
26 第2のサーボモータ
27 ギア
28 ベルト
30 第3のウェッジプリズム
31 第3の円筒状支持部材
32 第3のベアリング
33 第3のプーリ
34 第3のサーボモータ
35 ギア
36 ベルト
38 第4のウェッジプリズム
39 第4の円筒状支持部材
40 第4のベアリング
41 第4のプーリ
42 第4のサーボモータ
43 ギア
44 ベルト
46 ケーブル
48 パソコン
50 傾斜面
51 第1の反射ミラー
52a 第2の反射ミラー
52b 第3の反射ミラー
52c 第4の反射ミラー
54 ミラー
55 レンズ
56 ワーク
60 第2のビームローテータ
62 第5のウェッジプリズム
63 第6のウェッジプリズム
70 第3のビームローテータ
71 第1の偏光ビームスプリッタ
72 第2の偏光ビームスプリッタ
73 波長板
74 第1の反射ミラー
75 第2の反射ミラー
100 第1のダブプリズム
102 第2のダブプリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に配置された第1のウェッジプリズム及び第2のウェッジプリズムを備え、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、もってレンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、
回転可能に配置された第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムを備え、外部に出射するレーザビームの光軸を平行移動させることにより、レンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータと、
上記の各ウェッジプリズムの回転速度及び回転方向を制御する制御手段と、
上記角度ローテータの第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムを透過したレーザビームを反転させて、第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムに再入射させる反転光学系とを備え、
上記第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムの少なくとも一方を所定方向に回転させて、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することにより、第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して外部に出射されるレーザビームの光軸を所定幅で平行移動させることを特徴とするビームローテータ。
【請求項2】
回転可能に配置された第1のウェッジプリズム及び第2のウェッジプリズムを備え、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、もってレンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、
回転可能に配置された第1のユニット及び第2のユニットを備え、外部に出射するレーザビームの光軸を平行移動させることにより、レンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータと、
上記の各ウェッジプリズム及びユニットの回転速度及び回転方向を制御する制御手段とを備えたビームローテータであって、
上記角度ローテータの第1のユニット及び第2のユニットは、相互の頂角が反対方向を向くように固定配置された一対のウェッジプリズムをそれぞれ備え、
第1のユニット及び第2のユニットの少なくとも一方を所定方向に回転させて、両ユニットのウェッジプリズム間の位相差を調整することにより、第2のユニットの各ウェッジプリズム及び第1のユニットの各ウェッジプリズムを透過して外部に出射されるレーザビームの光軸を所定幅で平行移動させることを特徴とするビームローテータ。
【請求項3】
回転可能に配置された第1のウェッジプリズム及び第2のウェッジプリズムを備え、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、もってレンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、
回転可能に配置された第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムを備え、外部に出射するレーザビームの光軸を平行移動させることにより、レンズを介してワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータと、
上記の各ウェッジプリズムの回転速度及び回転方向を制御する制御手段と、
直線偏光の第1の偏光を透過すると共に第2の偏光を反射する第1の偏光ビームスプリッタ及び第2の偏光ビームスプリッタと、
第1の偏光を第2の偏光に変換すると共に、第2の偏光を第1の偏光に変換する波長板と、
反射光学系及び反転光学系とを備え、
上記第1の偏光ビームスプリッタに導かれたレーザビームの第1の偏光が、これを透過して第4のウェッジプリズムに入射し、この第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して所定の角度に偏向された後、上記波長板によって第2の偏光に変換され、
この第2の偏光が上記第2の偏光ビームスプリッタで反射された後、上記反射光学系及び反転光学系を介して反転された状態で上記第1の偏光ビームスプリッタに入射し、
この第1の偏光ビームスプリッタで反射された第2の偏光が、上記第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して所定の角度に偏向された上で、上記波長板に入射して第1の偏光に変換され、
この第1の偏光が、上記第2の偏光ビームスプリッタを透過して外部に出射されるように、上記の各部材が配置されており、
上記第3のウェッジプリズム及び第4のウェッジプリズムの少なくとも一方を所定方向に回転させて、両ウェッジプリズム間の位相差を調整することにより、第4のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを透過して上記波長板に入射する第2の偏光の光軸を所定幅で平行移動させることを特徴とするビームローテータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−167704(P2011−167704A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31550(P2010−31550)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(506170465)エイチアールディー株式会社 (2)
【出願人】(508303209)株式会社ジー・イー・エス (2)
【Fターム(参考)】