説明

ビーム材及び構造材並びにガラス基板支持ビーム及び基板カセット

【課題】曲げ剛性が高めることができる構造でありながら、軽量化を図ることができるとともにコストを低減することができるビーム材及び構造材並びにガラス基板支持ビーム及び基板カセットを提供する。
【解決手段】荷重を受けるビーム材B(ガラス基板支持ビーム1)を、略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延び、前記水平方向に離間した断面縦長の一対の外側板材2,2、これら外側板材2,2の間に挿入されて長手方向に延び、平面視において蛇行する断面縦長の内側板材3,3、並びに、外側板材2,2と内側板材3,3とを連結固定する連結固定手段4により構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を受けるビーム材及びこのビーム材を備えた構造材、並びに、プラズマディスプレイや液晶パネル等に用いられるガラス基板の自重によるたわみを抑制するためのガラス基板支持ビーム及びこのガラス基板支持ビームを備えた基板カセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイや液晶パネル等に用いられるガラス基板(マザーガラス)を保管、搬送又は供給する際には、水平姿勢にした多数のガラス基板を上下に離間させて収容する基板カセットが使用される。
このような基板カセットでは、その前面開口から水平姿勢のガラス基板が出し入れされることから、特にガラス基板の大型化の進展に伴って、該ガラス基板の自重によるたわみを抑制してロボット又は移載装置のフォーク状ハンドにより支持したガラス基板とその上側のガラス基板との干渉を防止するために荷重を受けるビーム材として、基板カセットの左右方向中央に、後端の支柱から前方に延びる片持ちのガラス基板支持ビーム(基板中央部支持プレート、サポートバー)を備えるようにしたものがある(例えば、特許文献1〜3参照。)。
このような片持ちのビーム材であるガラス基板支持ビームには、支持するガラス基板のさらなる大型化及び薄型化に対応するために曲げ剛性を高くする必要があることから、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を用いて中空パイプ状にしたものや(例えば、特許文献2参照。)、CFRP製の上部プレート及び下部プレートによりCFRP以外の材料からなる中空又は中実構造の中間部材を挟んでサンドイッチ構造にしたものもある(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−142876号公報
【特許文献2】特開2005−340480号公報
【特許文献3】特開2007−281251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CFRPを用いてガラス基板支持ビームの曲げ剛性を高める構造として、特許文献2のようにCFRP製の先細中空パイプ状とするもの(例えば特許文献2の図4〜図6参照。)では、製造工程が煩雑である(特許文献2の段落[0031]〜[0048]参照。)とともに1本ずつ個別に製造する必要があるため、製造コストが増大する。
また、特許文献3のようにCFRP製の上部プレート及び下部プレートによりCFRP以外の材料からなる中空又は中実構造の中間部材を挟んで先細テーパ状としたもの(例えば特許文献3の図1参照。)でも、CFRP製の上部プレート及び下部プレートを個別に製造する必要がある(特許文献3の段落[0037]〜[0044]参照。)ことから製造コストが増大するとともに、中間部材として中空又は中実構造のアルミニウム又はステンレス等を使用して比較的大きな断面形状にする必要があるため重量が比較的大きくなる。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、曲げ剛性が高めることができる構造でありながら、軽量化を図ることができるとともにコストを低減することができるビーム材及び構造材並びにガラス基板支持ビーム及び基板カセットを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るビーム材は、前記課題解決のために、荷重を受けるビーム材であって、略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延び、前記水平方向に離間した断面縦長の少なくとも一対の外側板材と、これらの外側板材の間に挿入されて長手方向に延び、前記外側板材に連結固定された内側板材とからなることを特徴とする。
このような構成によれば、断面縦長の少なくとも一対の外側板材により曲げ剛性を高めることができ、さらに外側板材と内側板材との連結構造により曲げ剛性を高めることができる。
【0007】
ここで、前記内側板材が断面縦長であり平面視において蛇行すると好ましい。
このような構成によれば、内側板材が平面視において蛇行した状態で外側板材に連結固定されるため、軽量でありながらねじり剛性及び曲げ剛性を高めることができる。
【0008】
また、前記内側板材が略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延びる断面縦長の板材を弾性変形させることにより平面視において蛇行させたものであると好ましい。
このような構成によれば、上述の軽量化及び高剛性化を図りながら、自由状態の内側板材が平面的な形状であることから、その製造が比較的容易であるため、製造コストを低減することができる。
その上、この内側板材は、ビーム材の組立前又は分解後の状態で、平面視において蛇行していた弾性変形状態から自由状態になると平面状に戻るため、輸送又は保管の際の省スペース化を図ることができる。
【0009】
さらに、前記外側板材及び内側板材の少なくともどちらかがCFRP製であると好ましい。
このような構成によれば、比弾性率の高いCFRPにより、高剛性化及び軽量化を図ることができる。
【0010】
前記CFRP製の板材が所要枚数レイアップされたカーボンファイバープリプレグを加圧成形したラミネート板から所要形状に切り出して製造されたものであると好ましい。
このような構成によれば、所要枚数レイアップされたカーボンファイバープリプレグを、例えばプレス等により加圧成形して大判のラミネート板を製造し、このラミネート板から所要形状に切り出して多数のCFRP製の板材(外側板材及び内側板材の少なくともどちらか)を製造することができるため、個別に製造されたCFRP製の板材に比べ、製造コストを大幅に低減することができる。
【0011】
さらにまた、前記水平方向に離間した外側板材間の隙間を塞ぐように被せられた外被板材を備えてなると好ましい。
このような構成によれば、矩形管と同様の表面が滑らかな外形になることから、屋外等で使用する際に雨滴等が溜まりにくくなるとともに表面の清掃や塗装をしやすく、ビーム材により構造材を構成する際に使用しやすいものになる。
【0012】
また、前記外被板材がCFRP製であると好ましい。
このような構成によれば、比弾性率の高いCFRPにより、高剛性化及び軽量化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る構造材は、前記ビーム材を備えたものである。
【0014】
本発明に係るガラス基板支持ビームは、前記課題解決のために、水平姿勢のガラス基板が前面開口から出し入れされる基板カセットの後端に取り付けられて前方向に延び、前記ガラス基板の下面を支持する片持ちのビームとして、前記ビーム材を用いてなるものである。
このような構成によれば、前記ビーム材と同様の作用効果を奏するとともに、ガラス基板支持ビームにより支持するガラス基板の自重によるたわみを効果的に抑制することができる。
その上、外側板材及び内側板材の少なくともどちらかを、アラミド繊維を使用したFRP板やカーボンとアラミド繊維・ガラス繊維等を適宜重ね合わせて製作したラミネート板等を用いて製作することにより、ガラス基板支持ビームに必要な性能の一つである振動減衰性を容易に高めることができる。
【0015】
ここで、前記ビーム材を構成する外側板材及び内側板材が前端に近づくにしたがって上下方向の長さが短くなるようにテーパ状に形成されてなると好ましい。
このような構成によれば、片持ちのガラス基板支持ビームに荷重が掛かった際に先端よりも応力が大きい根元側を太くして、ガラス基板の自重によるたわみを効果的に抑制しながらガラス基板支持ビームを軽量化することができる。
【0016】
また、熱収縮チューブにより被われてなると好ましい。
このような構成によれば、ガラス基板支持ビームの表面が滑らかになることから水洗浄後に水が溜まりにくくなるため、隙間等に溜まった水のガラス基板への滴下を防止することができる。
【0017】
本発明に係る基板カセットは、前記ガラス基板支持ビームを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係るビーム材及び構造材並びにガラス基板支持ビーム及び基板カセットによれば、構造材を構成するビーム材及び基板カセットに取り付けられるガラス基板支持ビームが、略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延び、前記水平方向に離間した断面縦長の少なくとも一対の外側板材と、これらの外側板材の間に挿入されて長手方向に延び、前記外側板材に連結固定された内側板材とからなるので、曲げ剛性が高めることができる構造でありながら軽量化を図ることができるとともにコストを低減することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板カセットの一例を示す概略斜視図である。
【図2】(a)は本発明の実施の形態に係るガラス基板支持ビームが基板カセットの支柱に取り付けられた状態における全体を示す斜視図、(b)は同じく要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】(a)は本発明の実施の形態に係るガラス基板支持ビームが基板カセットの支柱に取り付けられた状態における全体を示す平面図、(b)は同じく正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るガラス基板支持ビームの分解斜視図である。
【図5】同じく分解平面図である。
【図6】熱収縮チューブにより被覆した状態のガラス基板支持ビームを示す斜視図である。
【図7】図6に示すガラス基板支持ビームを用いた基板カセットを示す概略斜視図である。
【図8】(a)は本発明の実施の形態に係るビーム材の斜視図であり、(b)は外被板材を取り外した状態のビーム材の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るビーム材における外被板材以外の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
なお、本明細書において、ガラス基板支持ビーム及び基板カセットに係る発明の実施の形態では、基板カセットの内部からにガラス基板を出し入れする開口側に向かう方向を前方、その反対側を後方とし、左方及び右方は前方に向かっていうものとする。また、ガラス基板支持ビームについては、右方から見た図を正面図とする。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る基板カセット11は、前面開口Aから水平姿勢のガラス基板Gが出し入れされる略矩形箱状であり、ガラス基板Gの左右下面を支持する左右の端部支持板材12,12を備えるとともに、後端中央の支柱13により後端部(基端部)が支持されて前方に延び、ガラス基板Gの左右方向の中央下面を支持する、荷重を受けるビーム材Bである片持ちのガラス基板支持ビーム1を上下方向に一列備えている。
また、図2及び図3に示すように、ガラス基板支持ビーム1は、略均一の厚みに形成され厚み方向を左右方向として前後方向に延び、左右方向に離間した断面縦長の左右の外側板材2,2、これら左右の外側板材2,2の間に挿入され、平面視において蛇行する左右の断面縦長の内側板材3,3、並びに、外側板材2,2及び内側板材3,3を連結固定する連結固定手段4からなる。
さらに、外側板材2,2及び内側板材3,3は、前端に近づくにしたがって上下方向の長さが短くなるようにテーパ状に形成される。
【0022】
次に、ガラス基板支持ビーム1の組立方法について説明する。
なお、図4及び図5の分解斜視図においても、前後方向に長い内側板材3,3が平面視において左右方向に蛇行している状態を示しているが、これは分解斜視図における内側板材3の通孔3A,…の位置を分かりやすくするためである。すなわち、実際には、内側板材3,3は、略均一の厚みに形成され厚み方向を左右方向として前後方向に延びる断面縦長の板材であり、このような真っ直ぐな板材を組み立てた状態で弾性変形させることにより平面視において蛇行させている(図2及び図3(a)参照。)。
このように内側板材3,3を平面的な形状にすることにより、その製造が比較的容易になるため、製造コストを低減することができるとともに、ガラス基板支持ビーム1の組立前又は分解後の状態で、内側板材3,3は、平面視において蛇行していた弾性変形状態から自由状態になると平面状に戻るため、輸送又は保管の際の省スペース化を図ることができる。
なお、内側板材3,3は必ずしも真っ直ぐな板材とする必要はなく、自由状態で平面視において左右方向に蛇行しているように成形してもよい。
【0023】
図4及び図5に示すように、左右の内側板材3,3の間には、その前端部前後の近接位置及び中間部前後の全長の約1/3程度離間した位置に長スペーサ6,6,…が挿入され、左右の内側板材3,3の左右方向外側と左右の外側板材2,2との間には、前端部後側の長スペーサ6と中間部前側の長スペーサ6との前後方向中間位置、中間部前後の長スペーサ6,6間の前後方向中間位置、及び、中間部後側の長スペーサ6と後端部との前後方向中間位置に、長スペーサの半分の長さの短スペーサ7,7,…が挿入され、左右の内側板材3,3及び外側板材2,2におけるスペーサ6,7,…の挿入位置に対応する位置には、通孔3A,3A,…及び2A,2A,…が形成されている。
したがって、スペーサ6,7,…の軸方向(左右方向)の通孔6A,7A,…に挿通されたスタッドボルト8,8,…の両端ねじ部8A,8A,…に、左右の外側板材2,2の左右方向外側からナット9,9,…を螺合することにより、図3(a)に示すように、内側板材3,3と外側板材2,2とが、上述のとおり内側板材3,3が平面視において左右方向に蛇行している状態で固定され、一体化される。
【0024】
また、図4及び図5に示すように、左右の外側板材2,2の間には、その前端部に長スペーサ5が挿入され、長スペーサ5の前後の通孔5A,5Aに挿通されたスタッドボルト8,8の両端ねじ部8A,8A,…を外側板材2,2の通孔2A,2A,…に挿通して、左右の外側板材2,2の左右方向外側からナット9,9,…を螺合することにより、図3(a)に示すように、外側板材2,2の前端部が連結される。
さらに、図4及び図5に示すように、基板カセット11(図1参照。)の後端中央の支柱13から前方へ突出する支持ブラケット14の前後の通孔14A,14Aに挿通されたスタッドボルト8,8の両端ねじ部8A,8A,…を、支持ブラケット14の左側及び右側において内側板材3後端部の前後の通孔3A,3A及び外側板材2後端部の前後の通孔2A,2Aに挿通して、左右の外側板材2,2の左右方向外側からナット9,9,…を螺合することにより、ガラス基板支持ビーム1の後端部(基端部)が支持ブラケット14(支柱13)に固定される。
【0025】
以上のように単純な形状の板材2,2,3,3をスペーサ5,6,7並びにスタッドボルト8及びナット9により容易に組み立ててガラス基板支持ビーム1を形成することができるとともに、容易に分解することもできる。
したがって、輸送又は保管の際には分解しておくことにより、省スペース化を図ることができる。
また、スタッドボルト8,8,…の長さを長くすることにより、左右の外側板材2,2のさらに外側に新たな外側2,2を添設する補強を容易に行うことができる。
なお、スタッドボルト8及びナット9による締結構造に加えて、外側板材2と内側板材3とが接触する部分を接着剤によって固定することにより、さらに大きな横方向及びねじり方向の剛性を確保することが可能となる。
【0026】
次に、ガラス基板支持ビーム1の各構成部品の材料について説明する。
外側板材2及び内側板材3については、ガラス基板Gの自重によるたわみを抑制しながら基板カセット11の軽量化を図るためには、比弾性率の高いCFRP(炭素繊維強化プラスチック)とするのが好ましい。
しかしながら、外側板材2及び内側板材3は薄板であることから、パイプ状のもののように重量の増大を懸念する必要が少ないため、鉄鋼、アルミニウム合金若しくはチタン合金等の金属製又はアルミナ若しくは炭化珪素等のセラミックス製等であってもよい。
また、スペーサ5,6,7は、鉄鋼若しくはアルミニウム合金等の金属製、アルミナ若しくは炭化珪素等のセラミックス製又は木製とすることができる。
さらに、スタッドボルト及びナットは、一般的な鋼製のものを使用すればよい。
【0027】
外側板材2及び内側板材3(これらの一方のみであってもよい。)をCFRP製とする場合において、プレス等により所要枚数レイアップされたカーボンファイバープリプレグを加圧成形して大判のラミネート板を製作し、このラミネート板からウォータージェット等により所要形状に切り出してCFRP製の所要形状の板材とするのが好ましい実施態様である。
このようにすることにより、特殊な型を全く用いずに成形することができるとともに、ウォータージェット等を用いた単純な直線カットのみで製作することができ、コア材との接合等の二次接着も不要になる。
よって、個別に製造されたCFRP製の板材に比べ、製造コストを大幅に低減することができる。
【0028】
以上のようなガラス基板支持ビーム1の構成によれば、断面縦長の左右の外側板材2,2により曲げ剛性を高めることができ、さらに外側板材2,2と内側板材3,3との連結構造により曲げ剛性を高めることができるため、ガラス基板支持ビーム1により支持するガラス基板Gの自重によるたわみを効果的に抑制することができる。
また、外側板材2,2及び内側板材3,3の少なくともどちらかを、アラミド繊維を使用したFRP板やカーボンとアラミド繊維・ガラス繊維等を適宜重ね合わせて製作したラミネート板等を用いて製作することにより、ガラス基板支持ビーム1に必要な性能の一つである振動減衰性を容易に高めることができる。
【0029】
さらに、内側板材3,3が断面縦長であり平面視において蛇行した状態で外側板材2,2に連結固定されるため、軽量でありながらねじり剛性及び曲げ剛性を高めることができる。
さらにまた、外側板材2,2及び内側板材3,3が、前端に近づくにしたがって上下方向の長さが短くなるようにテーパ状に形成されているため、片持ちのガラス基板支持ビーム1に荷重が掛かった際に先端よりも応力が大きい根元側を太くして、ガラス基板Gの自重によるたわみを効果的に抑制しながらガラス基板支持ビーム1を軽量化することができる。
【0030】
また、図6に示すように、前後方向に細長いガラス基板支持ビーム1が、その全長にわたって円環状の熱収縮チューブ10を被せられ、この熱収縮チューブ10にドライヤー又はヒーティングガン等により熱風を当てて収縮させ密着させてなる、熱収縮チューブ10により全長にわたって継ぎ目なく被覆されたものであると、これらを使用した図7に示すような基板カセット11を定期的に水洗浄しても、ガラス基板支持ビーム1の表面が滑らかであることから水洗浄後に水が溜まりにくくなるため、隙間等に溜まった水のガラス基板Gへの滴下を防止することができる。その上、ポリオレフィン又はフッ素系ポリマー等からなる熱収縮チューブは軽量であるため、ガラス基板支持ビーム1の軽量性を損なうことがない。
【0031】
次に、荷重を受けるビーム材Bが、図1〜図7のようなガラス基板支持ビーム1ではなく、枠体等の一般的な構造材の構成部材である場合について説明する。
図8及び図9に示すように、本発明の実施の形態に係るビーム材Bは、略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延び、前記水平方向に離間した断面縦長の一対の外側板材2,2、これらの外側板材2,2の間に挿入されて長手方向に延び、平面視において蛇行する一対の断面縦長の内側板材3,3、並びに、外側板材2,2及び内側板材3,3を連結固定する連結固定手段4からなる。
【0032】
次に、ビーム材Bの組立方法について説明する。
なお、図9の分解斜視図においても、内側板材3,3が長手方向に直交する水平方向に蛇行している状態を示しているが、これは図4及び図5の分解図と同様の理由によるものである。すなわち、実際には、内側板材3,3は、略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延びる断面縦長の板材であり、このような真っ直ぐな板材を組み立てた状態で弾性変形させることにより平面視において蛇行させている。
【0033】
図8(b)の組立状態で内側板材3,3の長手方向の前後端部の2箇所及び中間部分の4箇所を等間隔ごとに接触させ、これらの接触箇所の間を離間させて外側板材2,2に接触させている。
図8(b)及び図9に示すように、内側板材3,3同士を離間させる箇所には内側板材3,3の間に長スペーサ16,16,…が挿入され、内側板材3,3同士を接触させる箇所における外側板材2,2との間には、長スペーサ16の半分の長さの短スペーサ15,15,17,17,…,15,15が挿入され、内側板材3,3及び外側板材2,2におけるスペーサ15,16,17,…の挿入位置に対応する位置には、通孔3A,3A,…及び2A,2A,…が形成され、スペーサ15,16,17には、外側板材2の長手方向に直交する水平方向の通孔15A,16A,17Aが上下に形成されている。
したがって、スペーサ15,16,17,…の通孔15A,16A,17A,…に一方の外側板材2の外側からボルト18,…を挿通して他方の外側板材2の外側からボルト18,…のねじ部18A,…にナット19,…を螺合することにより、図8(b)に示すように、内側板材3,3と外側板材2,2とが、上述のとおり内側板材3,3が平面視において長手方向に直交する水平方向に蛇行している状態で固定され、さらに上下の外被板材20,20が接着等により固定され、図8(a)に示すように一体化される。
【0034】
以上のように単純な形状の板材2,2,3,3をスペーサ15,16,17並びにボルト18及びナット19により容易に組み立ててビーム材Bを形成することができるとともに、容易に分解することもできる。
したがって、輸送又は保管の際には分解しておくことにより、省スペース化を図ることができる。
また、ボルト18,18,…の長さを長くすることにより、外側板材2,2のさらに外側に新たな外側2,2を添設する補強を容易に行うことができる。
【0035】
なお、ボルト18及びナット19による締結構造に加えて、外側板材2と内側板材3とが接触する部分を接着剤によって固定することにより、さらに大きな横方向及びねじり方向の剛性を確保することが可能となる。
ビーム材Bの各構成部品の材料については、上述したガラス基板支持ビーム1の各構成部品の材料と同様の材料とすればよく、外被板材20,20については、高剛性化及び軽量化を図るためにCFRP製とするのが好ましい。
【0036】
以上のようなビーム材Bの構成によれば、断面縦長の一対の外側板材2,2により曲げ剛性を高めることができ、さらに外側板材2,2と内側板材3,3との連結構造により曲げ剛性を高めることができ、内側板材3,3が平面視において蛇行した状態で外側板材3,3に連結固定されるため、軽量でありながらねじり剛性及び曲げ剛性を高めることができる。
また、外被板材20,20を備えているため、矩形管と同様の表面が滑らかな外形になることから、屋外等で使用する際に雨滴等が溜まりにくくなるとともに表面の清掃や塗装をしやすく、ビーム材Bにより構造材を構成する際に使用しやすいものになる。
【0037】
以上のビーム材B(ガラス基板支持ビーム1)の説明においては、外側板材2,2間に挿入され、平面視において蛇行する断面縦長の内側板材3が2個である場合を示したが、内側板材3は1個又は3個以上であってもよい。ただし、長手方向に直交する水平方向に対称である方が、よりねじれにくいため好ましい実施態様である。なお、内側板材3は、断面縦長の比較的厚みが薄い形状に限定されるものではなく、CFRP製のハニカムコア等も含むものである。
また、外側板材2についても、少なくとも一対の外側板材2,2があればよく、上述の補強の説明のように、長手方向に直交する水平方向にそれぞれ、複数の外側板材を積層するようにしてもよい。
さらに、一列のガラス基板支持ビーム1,1,…を基板カセット11の中央に備える構成ではなく、ガラス基板支持ビーム1,1,…の列を左右方向に離間させて複数列備えるようにしてもよい。
さらにまた、基板カセット11に収容可能なガラス基板Gの枚数や、ガラス基板G,G,…を収容した状態における上下のガラス基板G,Gの間隔等についても、図1及び図7の構成に限定されるものではなく、要求仕様等に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0038】
A 前面開口
B ビーム材
G ガラス基板
1 ガラス基板支持ビーム
2 外側板材
2A 通孔
3 内側板材
3A 通孔
4 連結固定手段
5,6,7 スペーサ
5A,6A,7A 通孔
8 スタッドボルト
8A ねじ部
9 ナット
10 熱収縮チューブ
11 基板カセット
12 端部支持部材
13 支柱
14 支持ブラケット
14A 通孔
15,16,17 スペーサ
15A,16A,17A 通孔
18 ボルト
18A ねじ部
19 ナット
20 外被板材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重を受けるビーム材であって、
略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延び、前記水平方向に離間した断面縦長の少なくとも一対の外側板材と、
これらの外側板材の間に挿入されて長手方向に延び、前記外側板材に連結固定された内側板材とからなることを特徴とするビーム材。
【請求項2】
前記内側板材が断面縦長であり平面視において蛇行する請求項1記載のビーム材。
【請求項3】
前記内側板材が略均一の厚みに形成され厚み方向を長手方向に直交する水平方向として長手方向に延びる断面縦長の板材を弾性変形させることにより平面視において蛇行させたものである請求項2記載のビーム材。
【請求項4】
前記外側板材及び内側板材の少なくともどちらかがCFRP製である請求項1〜3の何れか1項に記載のビーム材。
【請求項5】
前記CFRP製の板材が所要枚数レイアップされたカーボンファイバープリプレグを加圧成形したラミネート板から所要形状に切り出して製造されたものである請求項4記載のビーム材。
【請求項6】
前記水平方向に離間した外側板材間の隙間を塞ぐように被せられた外被板材を備えてなる請求項1記載のビーム材。
【請求項7】
前記外被板材がCFRP製である請求項6記載のビーム材。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のビーム材を備えた構造材。
【請求項9】
水平姿勢のガラス基板が前面開口から出し入れされる基板カセットの後端に取り付けられて前方向に延び、前記ガラス基板の下面を支持する片持ちのビームとして、請求項1〜5の何れか1項に記載のビーム材を用いてなるガラス基板支持ビーム。
【請求項10】
前記ビーム材を構成する外側板材及び内側板材が前端に近づくにしたがって上下方向の長さが短くなるようにテーパ状に形成されてなる請求項9記載のガラス基板支持ビーム。
【請求項11】
熱収縮チューブにより被われてなる請求項9又は10記載のガラス基板支持ビーム。
【請求項12】
請求項9〜11の何れか1項に記載のガラス基板支持ビームを備えた基板カセット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−211160(P2011−211160A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270224(P2010−270224)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(503314819)有限会社 インデックス (3)
【Fターム(参考)】